皮膚科ブログ

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【柴犬の皮膚科専門外来】脱カラー&脱洋服

2015.11.05

こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。

さて、今日は久しぶりに柴犬の皮膚病治療の

紹介をします。

常にエリザベスカラーと、洋服を着て傷を防止している柴犬のわんちゃんです。

まずは初診時の状態、まずは顔からみてみましょう。

続いて、頚部です。

つづいて、全体の右側です。

同じく右側の拡大、ちょうど胸の側面です。

続いて、背中(腰背部)です。

同じく、背中の拡大をやや斜めから。

今回の柴犬の皮膚病治療にはいつもよりも少し制限がありました。

それは、非常に遠方からの来院でしたので、通院間隔は極力長くする必要がありました。

こまめに診れないということは、治療の修正をするチャンスが少ないということで、もし判断や選択にミスやズレがあった場合にいたずらに時間だけが過ぎてしまう・・・という不安もあります。

ですが、そこは「初診時の診極め」です。

初診時に2ヶ月、3ヶ月後までの道を描きます。

初診時、再診、再診の3回の診察した後の状態(4回目の診察時)をみましょう。

普段は初診時の写真と並べますが、今回は並べる必要性すらないので全体像で掲載します。

初診時からわずか2ヵ月後、カラーもありませんし、洋服もありません。

痒みは10分の1まで減少しています。

初診時に描いた道筋どおり、一寸の狂いすらなく2ヶ月でたどり着きました。

ポイントは「柴犬を知る」ですね。

柴犬がどういう体質か、十分に把握することが重要です。

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

【柴犬の皮膚科専門外来】外科手術を要する治療方針

2014.02.18

こんにちは、四季の森どうぶつクリニック獣医師平川です。

柴犬の皮膚病と一言にいっても、その診断名・治療方針はさまざまです。

今回は皮膚科疾患の中ではそう多くありませんが、外科手術を行い改善させた症例を紹介します。

【症例】

 柴犬 9歳 男の子

【病歴】

 〇1歳未満から発症、顔周囲から全身へ拡大
 〇夏が最も悪くなり、冬には改善していた
 〇当院受診前の冬は改善なく、悪い状態のまま
 〇過去に4つの動物病院を受診したが、改善なく当院受診

初診時の状態を見てみましょう。

まずは全体、常にエリザベスカラーを装着していました。

続いて、顔の正面、左右からです。

続いて、背側全体と頚部、胸背部、腰背部の拡大です。

続いて、右からの側面です。

続いて、胸部全体と左脇の拡大です。

続いて、右前肢外側から。

最後に右後肢外側から。

それでは約3ヶ月後の状態と比較してみましょう。


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非常に長期に渡り重度の皮膚病があったことと、この疾患特有の毛根への強いダメージがあったため、一部(目・肢端)に再生が不十分なところもありますが、エリザベスカラーも完全にはずすことができ、90%以上の部位で柴犬らしい綺麗な毛並みが再生しています。

一見、柴犬に多く認められる典型的な犬アトピー性皮膚炎の重症化のようにみえます。ただ純粋な犬アトピー性皮膚炎だけではこのような状態にはなりにくいため、何か別の基礎疾患があると考えました。

実際にこの基礎疾患に外科的アプローチをしたのは初診時から6週間後ですが、そこから格段に治療成績が向上していったことを考慮するとやはり外科手術がターニングポイントになったと思われます。

四季の森どうぶつクリニック
獣医師  平川将人

 

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

【柴犬の皮膚科専門外来】柴犬を知る

2014.02.17

こんにちは、四季の森どうぶつクリニック獣医師平川です。

今日の柴犬の皮膚科症例です。

【症例】

 柴犬 2歳 女の子

【病歴】

 〇生後6カ月の頃から前肢の外側をよく噛むようになり、被毛が薄くなっていった。
 〇近医にて抗生物質と痒み止め(ステロイド)を処方され、あまり効いていないように見えたが痒みがあったため約1年間継続して服用
 〇1年経過し、セカンドオピニオンで2件目の動物病院を受診したところ、肝臓数値が高くなっていたためステロイドを中止
 〇痒みが強く、アレルギー検査・外用ステロイドスプレー、療法食、手作り食を試すも改善なく悪化

それでは初診時の状態を見てみましょう。

まずは全体から。

続いて、顔。

わかりにくいかもしれませんが、毛穴を中心とした脱毛、毛穴~鼻上にかけて皮膚炎がみとめられます。

続いて、左前肢の外側から。

ここもわかりにくかもしれませんが、被毛が薄く、短くなり、地肌が見えています。

続いて、右前肢。

これはちょっとわかりやすいと思いますが、左前肢と同じく被毛が短くなっています。

わかりやすいように黄色の線で噛んでいるところを示してみます。

続いて、左後肢です。

これも柴犬の被毛を見慣れていないと、病変としてみえないかもしれませんが、膝の周囲を噛んで被毛が短くなっています。

脱毛しているわけではありません。

黄色い線で噛んでいる範囲を示してみます。

上の写真と見比べてみるとわかるかと思います。

続いて、右後肢です。

ここも左後肢と同じく脱毛ではなく、噛んで被毛が短くなっています。

黄色の線で囲ってみます。

今回の症例は初診時におそらく「〇〇〇による皮膚病」と仮診断し、初診時の診断に沿って治療を行いましたが、中々いい治療結果には結び付きませんでした。

通常であれば1~3ヶ月後にはほぼ綺麗になっているのですが、今回は5カ月を超えた時点でも悪化が認められました。

自分自身の中でも「自分の治療の限界なのか?」と悩みましたが、色々な治療法をさせていただく機会をいただくことができましたので、色々な攻め方をして、最終的にこの悪化後に変更した治療内容でいい結果を出すことができました。

上記の悪化したときから2カ月半後の状態と比べて見てみましょう。


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痒がらないわけではありませんが、傷をつけるようなこともなく、被毛も綺麗に再生してきました。

この時点で初診時から8カ月経過していました。

正直、自分自身の未熟さを認め、大学病院を紹介するべきか・・・と悩みましたが、結果がついてきていない中でも新しい治療の選択肢を受け入れてくださった飼主さまの対応に本当に感謝しています。

「ここでは治らない」と判定されていてもおかしくない状況でしたので、最も頑張ってくださった飼主さまのおかげという以外ありません。

ただ診断名としては最後まで変更なく、今でもその診断として間違っていないと思っています。

それでも後半の2カ月半の治療の選択肢をもっと早くに提示することがでいなかった自分の非力・未熟なところは反省すべきで、今後に生かしていきたいと思います。

今回の症例を8カ月間治療させていただけたことで、、「柴犬の皮膚病を診る」という点においても新しい世界へ入ったような気がしました。

何度もお話しておきますが、チャンスを与えてくださった飼主さまに感謝しております。


当院の皮膚科専門外来を受診された飼主さまには、初診時にそのわんちゃんの皮膚病と同じように見える治療症例の写真を複数お見せするようにしています。

年間を通すと柴犬だけで何十頭と初診を診させて頂き、そのほぼすべてを画像データで残していますので、この数年は例外なく「うちの子とそっくり・・・」と思える症例を、しかも複数例お見せできています。

ここで症例報告をご覧になっている柴犬の飼主さまもきっと「うちの子と一緒」と思っている治療症例がいるのではないでしょうか。

そしてここの多くの治療症例をみながら「ほとんど同じに見える」、「柴犬には柴犬特有の同じ病気になりやすいのではないか?」、または「柴犬の皮膚病に特別効果のある薬があるのではないか?」と思う方もいるのではないでしょうか?

しかし答えは違います。

今回の症例を含め最近の6症例だけをピックアップしても、診断名と治療内容が一緒の症例は2症例のみです。他の4症例はそれぞれ異なる診断と治療を行っています。

このあとさらに2~3症例は紹介しようと考えていますが、それぞれ診断名・治療内容が少しずつ異なります。

柴犬を診るのが非常に難しい理由が少しずつ伝わってきているでしょうか?

また最後にまとめさせていただきます。

四季の森どうぶつクリニック
獣医師  平川将人

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

【柴犬の皮膚科専門外来】四季の森どうぶつクリニック治療成績

2014.02.15

こんにちは、四季の森どうぶつクリニック獣医師平川です。

今日は柴づくしというほど柴犬の来院が多い1日でした。

獣医師になって12年経ち、相当数の柴犬を診させていただく機会を得ていますが、今でも柴犬はむずかしいと感じます。

その「柴犬を診るのは難しい」というテーマをまとめようと考えて、ここ最近「柴犬シリーズ」で頻繁に症例報告をしています。

今日紹介する症例は、一昨年に診させていただいた症例です。

【症例】

 柴犬 5歳 女の子

【病歴】

 〇かかりつけで「アレルギー、やっかいで治らない」と言われたため当院受診

それでは初診時の状態を診てみましょう。

柴犬の痒い皮膚病、この目の周り、口唇の皮膚炎のパターンは非常に多いですね。

それでは約2カ月後の状態をみてみましょう。


※画像をクリックすると拡大します。


※画像をクリックすると拡大します。

非常に綺麗になりました。

当院には他院の治療で治らない難治性皮膚病の柴犬が非常に多く来院しますが、このパターンが最も多く来院します。

よく「完治ではなく、コントロール」という言葉を使いますが、実はこの症例は「完治パターン」です。

その差はなにか?

それが『柴犬を診極める』です。

①診る
②触る
③嗅ぐ

そして④話を聞く、最後に⑤検査です。

「わからないから検査する」ではなく、頭の中でいくつかイメージして、それの確認のために検査するという方が近いかもしれません。

同時に柴犬の皮膚病が難治性になりやすい理由がここなのだと思います。

 

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

【柴犬の皮膚科専門外来】教科書的治療では治らない

2014.02.07

こんにんちは、四季の森どうぶつクリニック獣医師平川です。

今日は、「よく診る柴犬の皮膚病」に見えて、実は非常に高いテクニックが必要とされた症例を紹介します。

キーワードは「アグレッシブに美しく」です♪

【症例】

 柴犬 6歳 男の子

【過去の病歴】

 〇2歳から痒みを伴う皮膚病で通院
 〇1件目の動物病院では「アトピー」として抗生物質、ステロイド、免疫抑制剤、インターフェロン注射・・・も改善せず
 〇2件目の動物病院では抗生物質、ステロイド、院内薬浴、食事療法を継続するも改善せず
 〇症状は全身の痒み、特に顔(目・口唇・頬)、お腹を舐める、胸の側面を後肢で掻く、四肢端(指間と足裏)を舐める

それでは初診時の状態からみてみましょう。

まずは顔からです。

続いて、上腕部分を正面からみてみましょう。

同じく右前肢上腕の拡大です。

続いて、右側面から胸部と腹部の拡大と合わせてみてみましょう。

同じ右側面からの胸部です。

同じく右側面からの腹部です。

続いて、左胸部側面からです。

最後に腹部、そしてその局所の拡大です。

それでは上記の初診時から約3カ月半後の状態を比較してみましょう。

※すべて画像をクリックすると拡大することができます。


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※画像をクリックすると拡大できます。

現在さらに半年経過しましたが、「ほとんど痒がらない。一番ベスト!」と言っていただけています。

さて、気になるのは

①なぜ治らなかったのか?
②なぜ綺麗になったのか?

ですね。

まず①の過去の治療で治らなかった理由から説明してみましょう。

一番の大きな理由はニキビダニ症を見落としていたことです。

たしかに僕も1度や2度の皮膚顕微鏡検査でニキビダニを発見できずに、診断に苦慮した苦い経験もあるので難しいこともありますが、先入観で診てしまうと「陥りがち」なところに本当に陥ってしまいます。

なぜならこの僕も一目見て「柴犬に典型的に認められるアレルギー性皮膚炎」と判断できるほどの典型パターンだったからです。

過去の治療をみても、前2件の動物病院の先生が明らかに柴犬のアレルギー性皮膚疾患と診断したと想像することができます。

そして肝心なことは、この「ニキビダニ症」にステロイドは禁忌(使ってはいけない)とされているのです。

続いて②のなぜ綺麗になったのか?

すべては伝えられませんが、やはりポイントとしては

1.柴犬の遺伝的特徴を含め、柴の皮膚病をよく知ること
2.この皮膚疾患をすべて1つにくくらず、2つあることを把握すること
3.教科書的にならず、唯一無二の目の前の症例(病態)に合った治療方針をつくること

です。

この教科書的ではない治療テクニックは、定期的に開催している臨床セミナーで「このような皮膚疾患をどのように考えるか」というところを、個人的な見解ではありますが解説させていただきました。

四季の森どうぶつクリニック
獣医師 平川将人

 

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

犬の皮膚病|柴犬のアレルギー性皮膚炎

2011.04.06

     柴犬のアレルギー性皮膚炎
【症例】

    柴犬 女の子

【症状】

    痒み:口唇、目、耳、指間、内股

今回の症例は、ステロイドを積極的に使用していき、低用量のステロイドで副作用もなくコントロール可能になったアレルギー性皮膚炎の症例です。


 

【治療経過】 
        ステロイド使用前の状態
 
 

 

治療後(ステロイドを可能な限り低用量まで減らすことができた状態)
 
 

【結果】

柴犬に多く認められる典型的なアレルギー性皮膚炎です。ステロイドは対症療法(根本的な完治を目指せない)ではありますが、飼主さまとの相談で積極的にステロイドを使用した治療方針を選択しました。投薬以外の治療も併用し、ステロイドを減らしていきながらほぼ副作用をださずにコントロールできています。

【コメント】

ステロイドは皮膚への悪影響もあるため、使い方を間違えると皮膚病の悪化を引き起こしてしまいます。ですが、今回の症例のようにテクニック次第では非常に有効な治療法でもあります。よくある「痒みをとめるためのステロイド」という使い方では「飲むと痒みがとまり、飲まない日は痒みが再発する」となり痒みを抑えるためのステロイドが多くなってしまいますが、過剰な炎症をおさえ皮膚の機能を回復させる余地をもたせる目的にステロイドを使うとこのようにいい治療成績につながります。

もちろん完治ではありませんし、継続治療も必要ですし、長い目でみると悪化の時期もあるかもしれませんが、これも治療の一つです。

 

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

犬の皮膚病|柴犬のホルモン性脱毛

2011.02.21

柴犬のホルモン性脱毛        

【症例】

    柴犬  13歳  女の子

【過去の病歴】

    1年前から後肢を中心に脱毛
    2カ月前に乳腺腫瘍&卵巣・子宮摘出術実施
    他院にて抗生物質とステロイドによる治療で改善なし

【来院時の状態】

    痒み・・・時々掻く?程度
    脱毛・・・腹部(手術後被毛再生が認められない)、後肢など


【治療経過】

治療前
             

         

治療後

     

      

 


【結果】

過去の病歴、各種検査、病変部から「ホルモン性皮膚疾患」と仮診断しました。
これは予測ではありますが、以前の病院で受けられた「乳腺腫瘍&卵巣子宮摘出術」の病理検査結果が「卵胞嚢腫」であったため、卵巣から持続的なエストロゲン分泌が起こり、エストロゲンの過剰により脱毛および色素沈着を起こしたと考えられます。

治療はステロイドによる2次感染と考えられる細菌&真菌感染の治療のみとしました。

【治療のポイント】

☆不必要なステロイドの中止
☆2次感染の治療
☆特徴的な病変部から「ホルモン性」を疑うこと
☆手術の病理結果「卵胞嚢腫」からエストロゲン過剰があったことを見つけること

【コメント】

今回の症例では、前の動物病院で受けられた手術の検査結果(病理検査)が重要なポイントとなりました。そしてこの特徴的な皮膚病変を診て「ホルモン性」を疑うことができれば、スムーズな診察が可能になったのではと思います。結果として、「時間が解決する」ものですので、ステロイドなど副作用のある投薬を行わなければ悪化することなく、被毛の再生が認められたことでしょう。
実際今回の症例に、特別な治療はまったく行っておりません。

 

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

犬の皮膚病 | 柴犬のアトピー性皮膚炎

2010.09.26

  柴犬のアトピー性皮膚炎

【症例】

      柴犬

【過去の病歴】

      過去にも梅雨時期~秋にかけて皮膚病治療歴あり
      冬は改善して、治療終了したが、春から痒みの再発

【来院時の状態】

      痒みの部位:眼周囲、額、鼻周囲、口唇、指間
      脱毛の部位:眼周囲、額、鼻周囲


【治療経過】

治療前

治療6週間後

     


【結果】

アレルギー検査(特異的IgE検査、リンパ球反応検査)、内分泌検査、各種皮膚検査から、「アトピー性皮膚炎」と診断しました。

治療6週間で、痒みは少なく、脱毛もほとんど改善しました。ステロイドを症状(痒み)の改善のためではなく、治療として使用したことにより早期に改善が認められました1例です。

【治療のポイント】

☆「痒み止め」だけのためではない、治療のための上手なステロイドの使用
☆適切な薬物療法
☆環境アレルゲン対策としての、スキンケアを実施

【コメント】

来院時、アトピー性皮膚炎で多く認められる「皮膚糸状菌症」の併発がありました。一般的にステロイドの使用は、免疫を抑制するため健常な症例にも皮膚糸状菌症の発症の原因になったり、皮膚糸状菌症の悪化を引き起こす危険性があります。そのため、今回の症例にステロイドを使用することは「皮膚糸状菌症の悪化」も考えられるため要注意ですが、アトピーのコントロールと糸状菌の治療を兼ねて必要と判断し使用しました。

糸状菌症の治療にステロイドが必要と解釈した理由は、糸状菌症がアトピー性皮膚炎に起因するものであり、アトピーの早期のコントロールが糸状菌症の治療に必要と考えられたためです。環境アレルゲンによるアトピー性皮膚炎では、環境アレルゲンが皮膚に炎症を起こし、炎症がバリア機能を低下させ、さらに環境アレルゲンが皮膚に侵入しやすくなり、常在菌や糸状菌の2次感染を引き起こし、さらに炎症が悪化・・・という悪循環が起きています。その悪循環を止めるために、2次感染治療のための薬物療法と、環境アレルゲン対策としてのスキンケア療法をしっかりと実施しつつ、皮膚バリア機能の低下の原因になっている「炎症」を少量のステロイドで抑えていくことが治療になると考えました。この際のステロイドの量は短期間で少量まで減量し、免疫が抑制され糸状菌症が悪化しないようにします。

理想的なステロイドの使い方になりますが、ステロイドにより痒みを早期から抑えつつ、ステロイドによる2次感染や糸状菌症の悪化も引き起こさず、アトピーにより低下した皮膚バリア機能も回復させることができれば「上手なステロイドテクニック」といえると思います。

ステロイドを痒み止めのためではなく、皮膚病の治療として使用することが大切です。

※ステロイドの使用量・・・週に2回 0.5mg/㎏


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投稿者:四季の森どうぶつクリニック

犬の皮膚病 | 柴犬のアトピー性皮膚炎

2010.09.26

  柴犬のアトピー性皮膚炎

【症例】

柴犬 6歳

【過去の病歴】

1歳のころから皮膚病で定期的に通院歴あり。5歳の夏から明らかな悪化、6歳の年は梅雨の時期からほぼ全身の強い痒みと脱毛が始まった。秋・冬は調子がよかったが、今年はよくならない。以前の動物病院から「痒み止め(ステロイド?)」を含む内服薬処方あり。

【来院時の状態】

痒みの部位:眼周囲、口唇、耳、頚部、背中、内股、指間
脱毛:顔、体躯(頚部、胸背側、腰背側)、指間、内股


【治療経過】

指間全体像

指間の拡大

内股

背側の被毛

※写真の左側が初診時、右側が治療79日目


【結果】

診断はアレルギー検査、内分泌検査、各種皮膚検査から『ハウスダストに対するアトピー性皮膚炎』としました。

同じくステロイドを使用しましたが、スキンケアと適切な薬物療法の併用により、少ないステロイドで痒みをコントロールしながら治療できた1例です。

【治療のポイント】

☆アトピー性皮膚炎のため、上手にステロイドを使用することが大切
☆糸状菌症などの2次感染を抑えるため薬物療法、スキンケアを実施
☆環境アレルゲン対策としての適切なスキンケアを実施

【コメント】

過去にステロイドに頼った治療を継続したため、皮膚糸状菌症を発症し、全身に症状が出たものと考えられました。このアトピー性皮膚炎をステロイドなしで管理することは困難でありますが、皮膚糸状菌症はアトピーで弱った皮膚にステロイドの免疫抑制がかかったことが原因で発症したと考えられるため、「ステロイドを使わなければいけないが、使うと糸状菌症が治りにくい」という状況でした。感染症とアレルゲンに対する適切なスキンケアと薬物療法を併用し、ステロイドの使う量とタイミングを工夫したことで、糸状菌症が悪化させず治療の初期から痒みを抑えて、うまく治療できた1例です。

原因がハウスダストに対するアトピー性皮膚炎であるため、ほぼ通年発症する可能性が高く、再発は避けきれないと思われます。


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投稿者:四季の森どうぶつクリニック

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