2016.10.01
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックです。
※2017年6月追記
このページを読まれる方が非常に多く、いかにアポキルが多く処方されているか、そして飼主さまが期待した改善が得られないことに悩んでいるかがわかりました。
ブログ本文は過去のままですが、最下部に最近のアポキルの使い方を考えて作成した症例リンクを複数記載しています。
ご興味のある方は最後までお読みいただき、リンクもぜひご覧ください。
今年の夏に、「アポキル」という皮膚病治療薬として非常に新しいお薬がでました。
痒みを緩和させるための画期的なお薬で、非常にいいお薬のため当院でもよく使うのですが、どんな皮膚トラブルにも効く万能薬ではありません。
そのため発売前から予測していたのですが、早速「(他院で)アポキルを処方され飲んでいるのによくならない」という電話がかかってくるようになりました。
今日は少しめずらしい関西圏からの来院で、「アポキルでも改善しない」という主訴の転院症例報告です。
【症例】
柴犬 8歳 女の子
【病歴】
〇5年前からずっと皮膚病
〇免疫抑制剤で多少改善
〇この夏からアポキル1日2回服用開始したが、効果を感じられない
初診時の状態から。
柴犬の皮膚病として、「よくある典型的なパターン」といえると思います。
この初診から1ヵ月後の状態と比較してみましょう。
写真をクリックすると拡大してみることができます。
非常に綺麗になりました。
もちろん肝心の痒みも元々の10分の1まで落ちついてコントロールできています。
「アポキルを1日2回服用しているのに痒みが減らない」という主訴に対して、当院がアポキルをどうしたか?
実は、初診時から1日1回で継続処方しています。
アポキルだけにフォーカスを絞って考える点は2つ、
①この症例にアポキルは効果的かどうか?
②アポキルでなければ改善しない症例かどうか?
現実として「1日2回服用していたのに、効果がなかった」という状態で来院されているので、
アポキルが痒みを抑えなかったようにみえなくもないのですが、実は効果はあるのです。
正確な表現としては「効果はあるはず」がよりベターで、詳細に説明するなら
「アポキルを治療の柱にする判断は十分正しいが、その他の治療方針が不十分がゆえに効果がみられなかった」
と考えています。
アポキルが効かないのではなくて、アポキル以外の必要な治療に気づかなかったことがポイントになっています。
このアポキルがその他の薬でも同様のことが言えます。
実際にこのわんちゃんは以前に免疫抑制剤をつかっていますが抑えきれず、アポキルに変更になったという経過をたどっています。
今回は当院でもアポキルを選択しましたが、例えアポキルがなかった半年前であったとしても、今回の症例を「痒み10分の1」にすることは可能です。
ということで、①と②の結論・・・①は効果的、②は「そんなことはない」です。
医療に魔法の万能薬はありませんので、大事なことは「いいお薬を出す」ではなくて「使うシーンを診極めて処方する」、いい武器は使いこなしてこそですね。
2017年6月3日 追記
アポキルが発売されて約1年、当院には「アポキルを使っているのに痒い」という飼主さまばかりが来院されるようになりました。
症例報告でもアポキルについてなるべく書くようにしています。
以下にリンクを張っていますので、参考にしてください。
【痒み専門外来】アポキルは効く?効かない?
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