2021.11.23
柴犬の皮膚科治療にも力を入れている、犬の皮膚科専門動物病院の四季の森どうぶつクリニックです。
今回は、柴犬の症例をご紹介します。
【症例】
柴犬 5歳3ヶ月 女の子(避妊手術済)
【経過】
〇1歳前から発症
〇掻く、かじる
〇アポキルを服用してもあまり効果が得られず
では、初診の様子からご覧下さい。
まずお顔の写真です。
一見普通の柴犬のようですが、後からビフォーアフターで載せる写真を見て頂くと、その差がお分かり頂けます。
次は、首と前足の写真です。
首の毛はぱさぱさしている印象を受けます。
前足に至ってはかじったり舐めたりする頻度も多く、毛質も悪く地肌が透けて見えている部分も多いです。
続いてはお腹、胸、写真です。
胸やお腹の毛はだいぶ薄くなっていて、こちらも毛質が良くありません。
更に股の部分、後ろ足、側面から見た前足と後足です。
側面から見た足は薄毛なのがよく分かります。
最後に全体の様子です。
足以外はそんなに違和感がないかもしれませんが、次の写真の様に側面の毛をかき分けて見てみるとアンダーコートが正常に生えていないのが分かります。
ビフォーアフターで見て頂くと更にお分かり頂けます。
それでは、ビフォーアフターの写真をご覧下さい。
こちらは2ヶ月後の写真になります。
こうして比べてみると、いかに毛量や毛質に異常があったかがお分かり頂けると思います。
当院では原因を見極め、すぐに基礎疾患や心因性へのアプローチ、平行してご自宅でのスキンケアを行いました。1ヶ月も経たないうちにアポキルだけでは改善しなかった痒みも減り、かじったり掻いたりすることも少なくなってきて、初診から2ヶ月後には痒がることがほとんど無くなりました。
毛並みも生まれて初めてこんなにもふもふになったと飼主様から言って頂けました。
ただ痒みを抑えようとする治療では改善しない事も多く、その子に隠れている原因を見つけ出すことが大切です。
アポキルを服用していても良くならない、良くなったり悪くなったりを繰り返している、執拗にかじる・舐めるなどの場合、他の原因で毛質が悪くなったり痒みがある場合もあります。
このように似た症状だな、中々改善しないな、など、毛並みや皮膚のことでお困りの方は是非当院にご相談下さい。
今回の治療でも使用した当院オリジナルのサプリメント、パーソナルケアpⅡ+(心因性のアプローチに服用しました)、スキンケア製品(ご自宅で行って頂きました)は、当院のホームページでご覧頂けます。⇒サプリメント&スキンケア製品
尚、関東にお住いの方は東京サテライトで初診を診させて頂き、その後の診察をオンライン診療で行うこともできます。
疾患によっては適応外になることもありますが、ご希望の方はご相談ください。
詳しくはこちらからご覧頂けます。⇒東京サテライト
【症例報告作成者】 看護師 森
投稿者:
2021.06.12
【症例】
柴犬 12歳 女の子(不妊手術済)
【経過】
〇10歳から皮膚トラブル(それ以前は、皮膚トラブルはなし)
〇顔(目・耳・口唇・下顎)を掻く
〇お尻を吸ったり噛む
〇四肢・四肢端・お腹を舐める
〇アポキルが効かない
はじめに顔の正面と横側から。
目のまわりや耳、口まわりが赤く、毛がまだらになってしまっています。
続いて腹部、左後足の内側、そして右後足の内側です。
こちらも皮膚が赤く、毛が生えそろっておらず毛並みも悪いです。
では、この初診時から約8カ月後の状態と比べてみましょう。
まだらだった顔周りの毛は見事に生えそろい、赤みもなくなりました。
腹部も赤く硬くなっていた皮膚はピンク色のやわらかい皮膚に戻り、ふわふわな毛も生えてきました。
作成:看護師 山崎
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当院で紹介している柴犬のほぼすべてが「特別な治療」を行っています。
この症例も例外ではなく、特別な治療で改善しています。
柴犬は「アトピー」「アレルギー」と言われやすいのですが、もし単純なアトピーであればアポキルやサイトポイントでコントロールできます。
もし食物アレルギーであれば、対応している食事療法できれいに改善します。
そうでないときは・・・・
「食物アレルギーではないかも?」
「何か見落としているかも?」
という視点が必要です。
当院ではそういった「アポキルが効かない」の症例で、見落とされている視点からアプローチすることで治療成績を向上させています。
この症例にもアポキルを使っていますが、本当の意味でアポキルが効かないのではありません。
「アポキルが効かない」ではなく「アポキルが効かない理由が見落とされている」です。
お困りの方は当院への受診をお勧めします。
関東にお住いの方は東京サテライトで初診を診て、再診をオンライン診療で継続治療を受けることもできます。
疾患によっては適応外になることもありますが、ご希望の方はご相談ください。
東京サテライト開設ページ
投稿者:
2020.09.08
柴犬のアトピー・アレルギーなどによる痒い皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
今回紹介する症例も柴犬の難治性の典型症例です。
特徴①アポキルが効かない
特徴②悲鳴をあげるほど掻いてしまい、傷になる
特徴③手や足、身体など噛みだしたら止まらない
特徴④エリザベスカラーを外すことができない
それでは初診時の状態です。
まずは正面から。
続いて、頚部~前腕部分です。
続いて、身体側面と、胸部側面の拡大です。
初診時から3カ月弱の治療後と比較してみます。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
非常にきれいになりましたね。
エリザベスカラーも外すことができ、痒みで鳴いたり、傷になったりすることはなくなりました。
このタイプの柴犬は非常に多く、標準治療ではまずよくなりません。
標準治療というのは、
・アポキル(またはステロイド、シクロスポリン)を毎日服用する
・アレルギー対策をする(減感作療法など含む)
・アレルギー療法食を採用する
・スキンケアに力を入れる
・抗生物質を使う
どれも標準治療で、一概に間違いとはいいませんがこれでよくなる柴犬は多くありません。
(良くなるなら過去の治療ですでによくなっているでしょう。)
比較して当院での診療の特徴は、
ポイント①診断に要する時間は一瞬
ポイント②検査で異常値はでない
ポイント③抗生物質は不要
ポイント④アレルギー対策はしない
です。
ほぼすべての症例で同じことをお伝えしていますが、診断は「検査結果が出そろってから」ではありません。
診断および治療方針は、診察室で一瞬目を合わせただけ、実際には1秒もかからず0.5秒でしょうか。
もちろん問診・各種検査は行いますが、このファーストインプレッションが覆ることはなく、治療方針がブレることはほぼありません。
今回も検査結果が出そろう前の初診時にお伝えた治療方針を1つも変えずにエリザベスカラーを外すところまで到達することができました。
アポキル・抗生物質・アレルギー対策・食物アレルギーに対する食事療法などの標準治療では治せない理由はいくつもあるのですが、今回の症例の中で特徴的な治療の1つは「パニックに対する治療」です。
パニックというのは、急に掻きだす、舐め続ける、舐めることに夢中になりすぎて思わず噛んでしまい・・・・ついつい傷だらけになってしまうといったパターンのことで、柴犬の皮膚病のあるあるです。
このタイプにはアポキルはあまり効かないので、アポキル以外の治療が必要になります。
では柴犬は他の犬種とどう違うのか、が重要になりますね。
もちろん柴犬にしかない病気はないので、全犬種で当てはまるのですが、柴犬に多いというのがポイントです。
当院はこの「柴犬だから」に対して医学的にアプローチすることで治療成績を向上させています。
絶対ではありませんが、多くの病気は遠隔オンライン診療でも対応できますので、遠方にお住いの方でも継続治療が可能になるかと思います。
また東京にサテライトクリニックがありますので、関東圏にお住いの方は当院まで受診する必要がない場合もあります。
柴犬の皮膚病治療で、アポキルなどの一般的な投薬治療で改善がなくお困りの方は一度受診をご検討ください。
なお、このタイプは投薬治療が必須のタイプで、スキンケア&サプリメントも非常に重要ですが、投薬治療なしにこのレベルの劇的な改善は見込めません。
投稿者:
2019.03.31
アポキルが効かない柴犬のアトピー・アレルギーなどの痒い皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
柴犬の皮膚病治療は難しいですね。
「難しい」と一言にしても色々意味があって、
①掻く・舐める・嚙むの原因、皮膚炎の原因がわからない(診断できない)
②柴犬が治療を受け入れてくれない
③治療方針に対して、飼主の理解が得られにくい
④体質に合う薬・体質改善方法がわからない
などがあります。
今回は柴犬の難治性が色々詰まった症例です。
【症例】2272
柴犬
【経過】
〇アポキルが効かない
〇ステロイドが効かない
〇ずっと掻いている
〇食事療法で改善しない
まずは初診時の状態です。
まずは顔から。
続いて、左胸部(脇)を側面からみたところです。
それでは治療後の状態と比較してみましょう。
非常に綺麗になりました。
見た目の重症度が高くないためBefare&Afterでみれば一瞬にみえますが、実際は相当苦労しました。
まずは①原因がわからない(診断できない)についてから。
もちろん当院で原因がわからないということはほとんどなくて、「検査でわかる原因はない」と言った方が適切かと思います。
このタイプは診た瞬間に治療方針はわかるのですが、実はありとあらゆる検査をしても痒みの原因と考えられる異常な検査結果が1つもでないのです。
原因というには不足ですが、局所にわずかなマラセチア・細菌が検出される程度です。
柴犬の皮膚病治療が難しい理由の1つはこれ、「原因が特定しにくい」です。
ただ、検査結果で異常がでないのはいつものことで、想定の範囲内です。
続いて②柴犬が治療を受け付けないについてお話します。
根本的な解決ではないのですが、このタイプにはスキンケア&局所療法をすることが痒みの緩和にそこそこ効果的なのです。
しかし柴犬は特徴的な性格が原因で、このスキンケアや局所療法が難しいことがあります。
診察のたびに局所ケアを提案しましたが、飼主さまがケガをするレベルなので結局不可能でした。
続いて③飼主さまの理解を得られないについて。
これは僕のインフォームドに未熟なところがあったかもしれませんが、「検査で異常所見がない」というのは飼主さまにとっては理解しにくいことかと思います。
「病院でしっかり検査したら、原因が見つかって、答え(治療法)がわかる」
これは病院を受診する飼主さまに潜在している期待レベルで、当然のことかと思います。
ただこれには獣医師とのギャップがあり、医療提供する側からしたら「それならどんな獣医師も困らない」という想いで診ています。
検査して原因が分かって、治療法がわかるものならどの病院でも検査を勧めますし、おそらく病院を変える必要はなくなります。
ただ、異常所見がないからこそ「治療は〇〇と〇〇」というのがあるのですが、そこに飼主さまとのギャップがあると治療が進まないということがあります。
良くも悪くも検査結果に異常があれば「〇〇だから治療は〇〇」とスムーズに進みますが、検査で証明できない治療方針には「本当にそうなのか?その治療方針が効果的なのか?」という疑問は信頼関係でしか払拭できません。
今回はこの③に非常に時間がかかりました。
答えとして、今回の症例には
〇痒みを止める ⇒ アポキルやステロイド
〇局所ケア ⇒ 不可能
〇性格 ⇒ 心因性アプローチ
〇体質改善 ⇒ 免疫サプリメント
〇有害物質の排除 ⇒ 食事療法
特に下3つが「同時に」必要だったのですが、まさにこの3つが「検査結果で異常がでない」ところで伝わりにくいというのがネックでした。
例えば、食事療法です。
「食べないかもしれない」
「(過去によくなっていないのに)本当によくなるのか?」
「高い食事を勧められる」
不安要素はたくさんあると思います。
続いて心因性アプローチです。
「掻いているのに痒みではない?」
「心因性の薬に不安がある」
想定外の診断治療が提案されると心配になるのは当然かと思います。
最後は「体質改善のサプリメント」です。
「何がどう体質なのか?」
「サプリメントは気休めでは?」
アポキルやステロイドですら効かない皮膚炎にサプリメントが有効と考えるのは確かに伝わりにくいかもしれませんね。
何より大事なのは「全部同時にすること」です。
複数の治療方針の中から「〇〇はするけど、△△は治らなかったら考える」というように、複数の中から1つ選ぶというスタンスで臨むと治療は失敗します。
原因を1つでも残すとうまくいきません。
実は今回の治療症例は明らかに改善するにの3カ月以上かかったのですが、時間がかかったのはこういった理由がありました。
初診時にしっかり検査させていただいて以降はほとんど追加検査はなく、毎回の診察で丁寧に丁寧にお話しさせて理解を得ることができました。
まとめです。
柴犬の掻く・舐める・嚙むといった痒み症状の原因の多くは検査でみつけることはできません。
検査で異常がでないということは、治療法がかなり限定されます(痒み止めのアポキルやステロイド)。
そのためアポキルやステロイドが効かなければ今の標準医療ではかなり難治性という判断になりやすいです。
ただ、柴犬には遺伝的な体質・性格があるため、アプローチ方法はたくさんあります。
だからこそ、一つ一つ的確な対応をすれば「劇的に」改善します。
それは「検査」ではなく「経験」です。
投薬治療が必須ですが、こういった症例には当院のスキンケア&サプリメントが非常に有効です。
特にスキンケアECプラスと、まもなく発売されるパーソナルケアPⅡ+はかなり相性がいいと思います。
当院のオンラインショップでお買い求めできますので、「適切な医療とともに」ご使用いただければと思います。
医療にわずかでもズレがあれば改善しないのも事実のため、柴犬の皮膚病でお悩みの方は当院受診をご検討ください。
柴犬の皮膚病の多くはメール&写真で対応する遠隔診療(2回目以降)でも十分高い治療成績が期待できます。
投稿者:
2019.03.02
柴犬のアトピー・アレルギーなど痒い皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
数年前から比較すると柴犬の来院が増えたように思います。
もちろんシーズー、フレンチブルドッグもまだまだ多く減っているわけではないのですが、柴犬のわんちゃんの転院の方が多くなってきた印象です。
これは痒み止めの治療薬「アポキル」の影響で、シーズーやフレンチブルドッグに比較して柴犬にアポキルが効きにくいことが原因だと思います。
シーズーとフレンチブルドッグの軽度皮膚炎であればアポキル単独でなんとか緩和させることができる症例もいるからです。
もちろん柴犬でも軽度であればアポキル単独でコントロール可能なんですが、アポキルが効かない原因を持っている柴犬はシーズーとフレンチブルドッグより多いと思います。
この点に関して、改善した柴犬の飼主さまからも「どうして今まで治らなかったのか?」と聞かれますが、答えは簡単です。
「柴犬だから」
です。
医学的に解説すると「柴犬の皮膚病の原因は検査で判明しない。だから今の皮膚科医療ではよくならない。」になると思います。
今日の症例はそんな「検査では何も異常が見つからないけど、柴犬の体質に合った治療をすると劇的に改善する柴犬」です。
【症例】
柴犬 約9歳 女の子(不妊手術済)
【経過】
〇子犬のころにニキビダニ
〇3歳までは一切皮膚トラブルなし
〇5歳くらいから皮膚病
〇この4年間季節性はなく1年通じてずっと皮膚が悪い
〇ステロイドで多少緩和できるがすっきりよくならない
〇分子量の低いアレルギー対応食事療法継続するもよくならない
〇痒みは「腹部を掻く&噛む&舐める」「口唇を掻く」「四肢端(指間・足裏)を舐める」「耳を掻く」
それでは初診時の状態です。
まずは正面と顔です。
続いて、前胸部と上腕です。
続いて胸部~臍~内股です。
続いて、腹部の側面(右から)です。
初診時から約6週間後の状態と比較してみましょう。
口唇だけでなく、目の周りの綺麗になっているのがわかると思います。
痒み止め「アポキル」も併用しましたが、6週間後の時点で「頓服で服用」となりました。
この柴犬のポイントは4つ、
①アトピーが悪化する要因(アポキルが効かない要因)に対する治療
②食事が体質に合っていない
③心因性
④スキンケア
です。
この4つの共通項は「検査でいい・悪いがわからない」であり、教科書通りの治療では確かに改善しにくいです。
逆に言うと「柴犬の体質をよく理解すれば非常に簡単」で、一定の病気を除外すれば初診時にほぼ治療方針は確定可能です。
投稿者:
2019.02.01
アポキルとステロイドが効かない柴犬のアトピー・アレルギーなどの痒い皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
アポキルが効かない柴犬の皮膚病は多いですね。
効かないというより、「効かない理由を治療する」といった方がよりベターかと思います。
今回の症例は、「柴犬のアポキルが効かない典型疾患」の症例報告です。
【症例】
柴犬 3歳 女の子(不妊手術済)
【経過】
〇生後半年前から続く痒み
〇3年間ですっきりとよくなったことはない
〇季節性は多少あり、夏は悪化しやすい
〇アポキルを1日1回2年間、欠かさず継続服用しているが痒みが悪化している
それでは初診時の状態をみてみましょう。
続いて、頚部です。
続いて、胸部です。
続いて、腹部です。
続いて、内股です。
続いて、胸部を側面からみて拡大したところです。
続いて、右後肢の側面です。
それでは初診時からちょうど2か月後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
劇的な改善ですね。
気になる痒みはほぼゼロと言っていい状態です。
今回はアポキルを処方せず代わりにシクロスポリンを採用しましたが、そのシクロスポリンも完全休薬としました。
1年通してみたとき、本当の意味でアポキルもシクロスポリンもゼロでということではないと考えていますが、痒みがゼロであれば服用する意味もないため、一旦休薬としています。
ではアポキルが効かないときはシクロスポリンに変更すれば効果が出るのか?と言えば異なります。
今回の症例はアポキルだから効かなかった、シクロスポリンだから効いたではありません。
アポキルとシクロスポリンには適応に若干の差がありますが、基本似ているため、変更で効くというのは特殊な皮膚病タイプのみと考えています。
大事なポイントは、シクロスポリン以外の投薬治療法と考えています。
この併用した治療があれば、多少時間の差はあれアポキルでも同様の劇的な改善があったと思われます。
投稿者:
2019.01.31
アポキルの効かない柴犬のアトピー・アレルギーなどの皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
柴犬の痒みにアポキルが効かないというのは本当に多くありますね。
当院では基本「アポキルを飲んでいるのに痒みが減らない」という主訴で来院されます。
【症例】
柴犬 2歳 女の子(不妊手術済)
【経過】
〇生後3~4か月から皮膚トラブル
〇季節性はなく通年発症
〇1年以上前からアポキルを毎日(一時期1日2回)服用しているが改善しない
〇減感作療法(週1回×6、以後月1回)を1年実施するも改善なし
〇下顎の痒み、手を舐める、お腹をかく
それでは初診時の状態です。
まずは正面から。
治療後0~2ヵ月はやや治療成績が悪く、アポキルと併用するお薬を徐々にかえていき3カ月目からは劇的に改善しました。
現在はアポキルを減らして、中3日服用しない状態でも気になる痒みはないという状態です。
当院でも最初はアポキル1日1回を継続しました。
問題はアポキルで抑えきれない痒みの原因をどう診断するかだと思います。
もちろん初診時に判定できますので、初診時から「アポキルと併用すべき投薬治療」は確定することができます。
では、なぜそれが以前にアプローチ(治療)されていなかったか?
その理由は簡単です。
「数値化できないから」
今の皮膚科医療の弱点の1つですが、数値化できないということは検査できないということでもあり、イコール診断できず治療にたどり着くことができません。
どんな病気もそうですが、すべて数値化できるとは限らないため、数値化できない疾患をどう診極めるかが治療成績に大きな差を生み出すのだと思います。
投稿者:
2019.01.10
ステロイドやアポキルでよくならない柴犬のアトピー・アレルギーなどの痒い皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
柴犬の症例報告も相当数になっていますが、ほぼ「ステロイドが効かない」「アポキルが効かない」のどちらかか両方の受診ばかりになってきたのがわかります。
今回の症例も「ステロイド・アポキルで1年間投薬治療するも改善しないという症例です。
【症例】
柴犬 2歳半 男の子
【経過】
〇1歳の春から痒み
〇冬は改善するが、1年中発症する
〇顔(鼻・口)をかく
〇腕、指先をかじる
〇耳・脇・太もも・
〇アポキル・ステロイドで治療するも改善なし
それでは初診時の状態です。
まずは正面から。
続いて、前胸部です。
続いて、左前腕のやや内側の拡大です。
続いて、胸部です。
続いて、腹部です。
続いて、内股です。
続いて、右前腕の外側です。
初診時からちょうど2か月後の状態と比較してみましょう。
非常に綺麗に改善しました。
痒みもアポキルを2日に1回まで減らしてもまったく問題なしの状態です。
ここから先は「アポキル頓服(週1~2回レベル)」でのコントロール予定です。
柴犬には柴犬なりの治療方針が必要で、今回の症例も「アポキルが効かない理由」をピンポイントで治療すればここまで改善可能です。
そしてそのポイントは「初診時にわかる」です。
今回も初診時に「正直、よくなりますか?」と聞かれましたので、
「劇的によくなると思いますよ」
とお伝えできました。
遺伝体質にあった治療があればアポキルを減らすことは可能ということです。
遠隔診療(初診は要直接受診)での対応可能なため、遠方にお住いの方でも柴犬の皮膚病でお困りであれば当院までご相談ください。
投稿者:
2018.11.29
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックです。
今回は柴の症例です。
【症例】
柴 5歳3ヶ月 女の子(避妊手術未)
【経過】
〇1歳から口唇の痒み
〇今年の春から全体的に痒みがひどくなった
〇前肢の肉球をしつように舐める
〇陰部から内股にかけて舐める
〇腕・膝を噛む
〇抗ヒスタミン剤+ステロイドで痒みが抑えられず、現在エリザベスカラー着用
それでは、初診時の状態です。
まずは、体の正面です。
顔の右側です。
足裏とその拡大です。
それでは、初診時から約4週間後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
足裏を舐めなくなったので赤みが引いているのがわかります。
エリザベスカラーも外すことができました。
【症例報告制作者】 看護士 長尾
・・・・・・・・・・
【獣医師の解説】
顔の痒み、四肢をしつようになめる、腕・膝を噛む・・・柴犬の典型です。
この典型タイプは一般的に「柴犬だからアレルギー」、「顔と四肢端はアレルギーがでやすい」という先入観からアレルギー治療がメインになりがちですが、アレルギーという視点でアプローチすると治療失敗の原因になりやすいと考えています。
ではどうですればいいか?
それは心因性です。
心因性に対するアプローチをすると、エリザベスカラーが必要だった痒みもおさまってきます。
アポキルも2日に1回という控え目な量でも、痒みを抑えるには十分というレベルです。
当院ではどういった症例に心因性アプローチをするのか、どのお薬をどの程度つかうのか、何を併用するのか?・・・など、獣医師向けの心因性皮膚病セミナーを開催しています。
ご興味のある方は診療提携希望として当院までお問い合わせください。
投稿者:
2018.09.30
当院を受診できない遠方にお住いの方にメールと写真で継続する遠隔診療を提供している皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
以前にも報告した通り、今年の夏は「山口県」と「北海道」に往診に行きました。
原則として「直接診るのは1回だけ」という背水の陣で臨みますので、往診に行くからには改善の確信を持って伺っています。
もちろん今回の2件とも「いける」という確信をもって伺いました。
そしてその2件のその後ですが、まだ治療中とはいえ十分な改善が認められたようです。
1件は心因性の掻き壊し・舐め壊しのチワワちゃんで、掻き壊しを防ぐために誰かが家にいなければならず、1人では買い物にも行けないというものでした。
もちろん治療の目標は掻き壊しをなくすのは当然で、「わんちゃんが留守番して買い物ができるように」ということも目標にいれました。
まだ治療して1カ月ですが、十分に改善が認められたようで、①一番の問題だった口唇の痒みはほとんどなくなり、②短時間でも留守番ができるようになったということでした。
2件目のわんちゃんは写真を見るのがいいと思いますので、紹介させていただきます。
【症例】
柴犬
【経過】
〇アポキルを1日1回をずっと継続しているにも関わらずよくならない
〇過去には心因性の治療として抗不安薬の投与もしたことがある
〇甲状腺ホルモン剤も服用中
最初に相談メールをいただいたときのお写真がこちら。
柴犬のよくあるタイプの1つです。
もちろんこの時点で「今まで治らなかった理由」と「どうやったら治るのか」はわかるのですが、追加でいただいた昔の写真をみて確信を得ることができました。
これは「アポキルでよくならない決定的証拠写真」です。
実際に往診に伺うときには治療方針は決まっていたので、お薬をもって出発です。
そこから約1か月後。
痒みも随分と落ち着き、毛も再生してきました。
また心因性の痒みもあるため、心因性の投薬治療を追加したのですが、「改善あり」という判定でした。
今回の症例にはいくつか評価ポイントがあります。
1つは、「なぜアポキルが効かないのか?」ですね。
2つは、「なぜ心因性の治療に効果がでたのか?」です。
2つ目の理由は非常にシンプルで、「その他の治療方針がパーフェクトだから」です。
心因性の治療はその他の治療方針にわずかでもズレがあると、まったく改善しなくなることがあるため、心因性以外の皮膚トラブルの診断・治療が上手くいっているときに実施しなければ評価が難しいです。
あとは順調に回復するのを待つだけです。
年末にはフワフワ&サラサラを期待しています♪
1つめの「アポキルが効かない理由」は当院で実施している個別セミナーで紹介しています。
診療提携をご希望される動物病院はお問い合わせください。
投稿者: