2021.09.07
毛並みの治療も行っている皮膚科専門の動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
今回はMIX犬の症例です。
【症例】
MIX(ポメラニアン×スピッツ) 6ヶ月 女の子
【経過】
〇お迎えしてすぐに痒みと脱毛
〇全身の痒み
〇手足などを噛んだり舐めたりすることもある
それでは初診時の様子をご覧ください。
まずは全体の写真です。
続いては首から胸の写真です。
地肌の色が見えています。
続いては脇~足の写真です。
毛が薄くなっているのがお分かり頂けると思います。
そしてお腹側の全体と、お腹~足の写真です。
全体的に毛が薄く、お腹に至ってはほとんど毛がありません。
こちらは側面の様子です。
側面や背中も薄毛になっています。
これは側面の毛をめくったところです。
アンダーコートも見られず、脂漏症の症状もみられます。
それでは治療開始から3ヶ月後の写真をご覧下さい。
かなり毛の量が増えました。
毛並みも以前とは違いふわふわしています。
今回の治療にはアポキルはほとんど使用していません。
基礎疾患である免疫やホルモン異常への治療を行いました。並行して腸内環境を整える為のサプリメントも使っています。
治療スタートから、1ヶ月後には毛並みが良くなってきて、痒みも減りました。
最後の写真(3ヶ月後)でもお分かり頂けるように、アンダーコートが再生し、毛並みも変わり、脂漏症の症状も無くなりました。
このように、なぜ痒みや毛並みの異常が起こっているかの原因を見極めて、適切な治療を行うことで毛並みをも改善させることができます。
皮膚病が良くならない、原因が分からないなど、わんちゃんの皮膚病の事でお困りのことがあれば是非、当院までご相談下さい。
尚、関東にお住いの方は東京サテライトで初診を診させて頂き、再診をオンライン診療で行う継続治療を受けることもできます。
疾患によっては適応外になることもありますが、ご希望の方はご相談ください。
詳しくはこちらからご覧頂けます。⇒東京サテライト
今回の治療でも使用したサプリメント(スキンケアECプラス)はこちらからご覧頂けます。⇒サプリメント
【症例報告制作者】 看護師 森
投稿者:
2021.06.15
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックです。
今回は、パピヨンの脱毛症「アロペシアX(毛周期停止)」の治療症例です。
【症例】
パピヨン 6歳 男の子
【経過】
〇2年前から毛並みが悪くなり、一時期良くなったが再び脱毛してしまう。
〇頚部・胴体・臀部に脱毛が顕著に出ており、痒がる。
それでは、初診時の状態です。
まずは、身体の正面です。
続いて身体の側面とその拡大です。
続いて頚部とその拡大です。
続いて胸部です。
続いて腹部です。
続いて背中全体です。
最後に臀部です。
それでは、治療後の状態と比較してみましょう。
初診時と比べると、明らかに毛量が増え毛が生えそろってきました。
脱毛で皮膚が丸見えになってしまっていた部分にも、見違えるほどきれいな被毛が再生しています。
治療前のゴワゴワして硬くなっていた毛も、パピヨンらしい柔らかな毛になり、毛ツヤもアップしました。
【症例報告制作者】 看護師 山崎
投稿者:
2021.01.16
アトピー・アレルギーなど痒い皮膚病の治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
今回はイタリアン・グレーハウンド(通称イタグレ)の皮膚病治療です。
特徴的な見た目で有名なイタグレですが、数が多くないのでトイプードル・チワワ・ダックス・柴などの犬種と異なり、そう頻繁に診ることはないかもしれません。
ただ、このイタグレですが皮膚が弱いです。
「アポキルが効かない」という主訴をよく聞きます。
アトピー?
アレルギー?
体質?
イタグレの皮膚が弱い根本的な理由がわかっていれば治療は簡単です。
今日はそんな症例報告です。
【症例】
イタリアングレーハウンド
【経過】
〇痒い(掻く、噛む)
〇アポキルを毎日飲んでもすっきり治らない
それでは初診時の状態です。
ここから治療後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
結果は劇的です。
何が違うかわかりますか?
大事なのは、
毛並み
です。
モコモコ&フワフワです。
飼主さまも「こんなのみたことない」と衝撃を受けていました。
イタグレって毛が少なくで、地肌が見えるのが普通だと思われているのですが・・・
本当は、
「それ、病気です」
なんですね。
治療しなければ命に関わるではないとは思うのですが、皮膚が弱い原因になります。
「毛並みがよくなる=皮膚コンディションがよくなる」
なので、治療の価値は高いです。
問題なのはこのイタグレの毛並みの異常が、「イタグレはこんなもの(正常)」と勘違いされていることです。
僕も3年前までそう思っていました(反省)。
理由は簡単、「教科書に掲載されていない」からですね。
治療法がないどころか、病名もないので「病気として認識されていない」という状態です。
今は違います。
診た瞬間に「治せる」と確信できる判断力と治療法があります。
イタリアングレーハウンドだけではなく、その他のハウンド系・ピンシャー系も同様なので、もしお困りの方がいれば当院までご相談ください。
投稿者:
2019.12.20
こんにちは、ポメラニアンの脱毛症(アロペシアX、毛周期停止)の治療に力を入れている皮膚病治療専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
今回はポメラニアンの症例です。
【症例】
ポメラニアン 6歳 女の子(避妊手術済)
【経過】
〇急に毛量が減り、頚部、体の側面、臀部がスカスカに
〇腹部~内股に湿疹あり
〇痒がっている
それでは、初診時の状態です。
まずは、体の正面です。
頚部です。
脇~胸です。
腹部~内股です。
体の側面(右側)とその拡大です。
臀部です。
それでは、治療後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
スカスカだった部分に毛が生え、毛量が増えました。
腹部の湿疹があった所も綺麗になっています。
アロペシアX、毛周期停止といった脱毛系の治療は非常にデリケートです。
何がデリケートかというと、
①診断
血液検査での確定診断は不可能
②治療
専用の治療薬はなく、報告がある治療薬の取り扱いが繊細
③結果
一般的には治療結果がでるのに最短でも6カ月、平均1年越え・・・と時期だけでなく結果がでるかどうか不確定要素が強い
治療方針は色々とありますので、色々と組み合わせを変えながらご提案をしていきます。
毛並みの再生をお約束できるものではありませんが、お悩みの方はご相談ください。
投稿者:
2019.11.23
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックです。
今回は治療依頼が非常に多いトイプードルの脱毛症「アロペシアX」、別名「毛周期停止」の治療症例です。
【症例】
トイプードル 7歳 女の子(避妊手術済)
【経過】
〇元々薄毛ぎみだった
〇約1年前に頚部が脱毛、そこから広がっていった
〇エリザベスカラーを着用している
それでは、初診時の状態です。
まずは、体の正面です。
右耳です。
頚部です。
脇~腹部です。
内股です。
体の右側面と頚部の拡大です。
それでは、初診時から約8ヶ月後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
トイプードルの毛並み異常は非常に多く、難治性皮膚病の原因になっています。
難しい理由は、
①評価ができない
毛並みは数値ができないため、毛並みが悪いという状態をしっかり評価できていないケースが多く認められます。
顕著に脱毛していればまだ「脱毛」とわかるのでいいのですが、なんとなく悪いだけであれば気づかれにくく放置されてしまうこともあります。
そういった症例で湿疹やアトピーが混在していると、毛並み異常の病気が隠されてしまい「アトピーだから」「皮膚病だから」で済まされてしまうこともよく起きています。
何事もそうですが、「正常を知る」というのがとても重要で、正常を知っていることで「おかしい(異常)」を的確に評価することができます。。
②診断が難しい
診療の基本は証拠(わかりやすいのは数値化)を得て診断名(病気の枠組み)をつけることなのですが、脱毛・毛並み異常の原因が必ずしも数値化できる病気ばかりではありませんし、既存の診断名の中に綺麗に収まる病気ばかりではありません。
数値化で診断しやすい疾患(甲状腺機能低下症、副腎皮質機能亢進症)もあるのですが、そうではないものを把握しておく必要があります。
もちろん診断がない毛並み異常に対しても治療プランをもっているとより医療の質は高くなります。
③治療が難しい
よくある病気に当てはまらないと治療プランを立てることがむずかしくなります。
というのも診断名があり特定の治療法がある疾患であれば悩むことはないのですが、原因が特定されておらず漠然とした疾患で、治療法にもさまざまな選択肢があると「よりベターは選択は?」となるため、高度な判断力が必要となります。
④トイプードルならではも難しさ
トイプードルの脱毛症は他の犬種とことなる特徴があるため、その特徴を知っていないと意外なところで躓きます。
トイプードルの脱毛症、特にこのアロペシアX(毛周期停止)はこういった条件がそろっているため、治療は難しくなっています。
今回はその中でかなりいい治療結果が出た方だと思います。
本当に難しいのはこの治療結果がでるのかでないのか、事前に予測するのが非常に難しいところですね。
投稿者:
2018.11.05
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックです。
今回は急に脱毛したボストンテリアの症例です。
【症例】
ボストンテリア 13歳 女の子(避妊手術済)
【経過】
〇今年の4月から毛が薄くなってきた
それでは、初診時の状態です。
まずは体の正面です。
続いて、頚部です。
続いて、胸部です。
続いて、腹部から内股です。
続いて、右後肢の拡大です。
続いて、右側面の全体です。
続いて、背中とその拡大です。
それでは、それでは、初診時から約4ヶ月後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
一目で分かるくらい、体全体の毛量がぐんと増えました。
特に、ツルツルだった内股はフサフサになりました。
見違えるほど綺麗になり、飼主様にも喜んで頂けて良かったです。
【症例報告制作者】 看護士 長尾
・・・・・・・・・・・・・・・
【獣医師の解説】
一目でわかる「典型的なクッシング(副腎皮質機能亢進症)」です。
多飲多尿:水をよくのむ、オシッコが多くなる
薄毛:背中、腹部、大腿部など胴体を中心に毛が薄くなります。局所の脱毛が起きる場合もあります。
検査所見:ALP高値、超音波検査での副腎腫大など
非常に興味深かったのは、飼主さまから「病気になる前より毛が生えた!」と言われたことです。
この半年くらい「もしかしたら〇〇〇なんじゃないか?」とずっと考えていたことが目の前で確認することができました。
かなり大きな発見なので、今後の治療に生かせると思います。
投稿者:
2018.06.05
トイプードルに多くみられるアロペシアX(毛周期停止)、アトピー・アレルギー、癖やストレスなど精神的な要因を含ん心因性の痒い皮膚病治療に力をいれている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
トイプードルは皮膚病が多いわけではないと思うのですが、トイプードルがゆえの遺伝的体質から難治性の皮膚病になってしまうことがあります。
「難治性」と一言にいっても色々とあるのですが、本当の意味で治りが悪いことはほとんどありません。
多くは典型的な体質のため、1つずつ的確なアプローチをしていくと非常に綺麗に改善します。
「よくならない」ということで当院を受診する飼主さまから過去の治療歴を伺うと、このアプローチで躓く「陥りやすいポイント」が見えてきます。
〇アポキル
アポキルを使って痒みが止まらないと次の選択肢がない
〇抗生物質
抗生物質で改善が認められないときに「ずっと同じものを服用し続ける」「効かないため抗生物質を処方しない」「抗生物質を変更しつづける」
〇食事療法
食物アレルギーを疑い魚、ポテト、動物性蛋白なし、アミノ酸系・・・・色々試す
こういった点は陥りがちなポイントで、迷走する原因になります。
アポキルが効かないときはアポキルが効く痒みとは異なる痒み原因へのアプローチを考えるとうまくいきます。
抗生物質が効かないときは「抗生物質が効く病変なのか再検討」「抗生物質が効くのか検査」「そもそも菌が増える理由はどこにあるのか?」を考えていくとうまくいきます。
食事療法は「そもそも食物アレルギーなのか?」から考えていく必要があります。
要するに皮膚病が治らない原因は1つではなく複数、同時にすべてへのアプローチがそろわないと改善しないこともあります。
今回紹介する症例は、そんなわずかなズレの積み重ねでよって難治性になっていた症例です。
【症例】
トイプードル 4歳半 男の子
【経過】
〇4ヶ月前から皮膚トラブル(痒み&脱毛)
〇手舐め、足舐め、口唇をかく、繰り返す背中の湿疹
それでは初診時の状態をみてみましょう。
まずは顔の正面。
続いて、口唇(左)です。
続いて、右側。
続いて、頚部です。
続いて、胸部とその拡大です。
続いて、腹部です。
続いて、背中とその拡大です。
続いて、側面とその拡大です。
初診時から約3ヵ月後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
非常に綺麗に改善しました。
改善点①毛並み
全体的に薄毛でしたが、フワフワの状態にもどっています。
トイプードルの薄毛ではアロペシアX(毛周期停止)か、その他のホルモン異常かいくつかありますので各種検査が必要です。
時に難しい判断になる検査結果となり悩むことはありますが、それなりのアプローチ方法がありますので改善の余地は高いと考えています。
改善点②湿疹
特に薄毛の部分(胴体)に全体的に認められた湿疹(膿皮症)ですが、抗生物質をやめてもほぼコントロールできています。
※現在初診から半年以上経過しましたが、湿疹の再発はほぼなし
改善点③脂漏
口唇、四肢を中心に「かひ」を認めましたが、綺麗な状態を保っています。
改善点④手舐め・足舐め・痒み
基本はアトピーでいいのですが、アトピー単独であれば過去のシクロスポリンやステロイドで十分に緩和できていたはずです。
改善できなかった理由は心因性なのですが、心因性だけで痒かったわけではないため、アトピー対策と心因性対策の両方を行えばバランスが取れます。
しつこい手舐め・足舐めは心因性へのアプローチにより改善しました。
トイプードルは他の犬種に比較して薬の反応が非常にいいタイプの子が多いので、アプローチ方法さえ間違わなければかなりの確率で治療成績がよくなります。
トイプードルの皮膚病治療でお困りの方は当院を受診してみてください。
なお今回のトイプードルのアトピー、脂漏、心因性、湿疹には当院が開発したスキンケア&サプリメントは非常に効果的です。
当院が開発したスキンケア&サプリメントは以下のオンラインショップからお買い求めいただけます。
脱毛はスキンケア&サプリメントでは改善せず、アトピー・脂漏・湿疹の治療成績にも関わりますので、必ず適切な投薬治療を併用しましょう。
投稿者:
2018.05.11
ポメラニアンやトイプードルに多い脱毛症「毛周期停止(アロペシアX)」の治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
かつてはポメラニアンに圧倒的に多く「ポメハゲ」といわれていたこともあるアロペシアX(今では毛周期停止)についてです。
この毛周期停止(アロペシアX)ですが、「命に関わらないため無治療」という選択肢が浸透していることと、細かい原因が分かっていない、確実な治療方法の解明が不十分ということもあり、今の皮膚科医療ではあまり治療に力が入れられていません。
治療に関してはさまざまな価値観があることを十分に考えつつですが、当院ではかなり積極的に治療を行っています。
今回は近畿から来院されているトイプードルの毛周期停止(アロペシアX)の症例です。
実は大分前にも一度掲載しています。
まずはそのときのブログを紹介しますので、ぜひ目を通してください。
1回目の症例報告 平成29年2月25日 アロペシアXと診断されたトイプードルの脱毛症
このブログの後半でも解説した通りですが、その後順調に発毛し続け・・・とはいかず、急に脱毛が再発し初診時よりさらに毛が少なくなってしまいました。
もちろん想定がいではなく、初診時の想定の範囲内でしたので、改めて治療方針を組み直しました。
それが平成29年5月、当初の予定通り毛周期停止(アロペシアX)に対する積極的な治療に切り替えました。
まずは初診時の状態を改めてみてみましょう。
まずは症例の正面から。
続いて、頚部です。
続いて、胸部です。
続いて、腹部です。
続いて、右側面全体です。
この右側面の胸部拡大です。
同じく右側面の腰~大腿部の拡大です。
続いて、左側面とその拡大(胸部・腰背部)です。
続いて、背中全体です。
最後に、大腿部尾側です。
この初診時から1年半後、治療方針変更から11ヵ月後のつい先月の状態との比較をみてみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
非常に美しい被毛が再生してきました。
この症例を解説していきます。
まず1点目、検査結果が甲状腺ホルモン濃度の低下(検出限界未満)があったことから仮診断した「甲状腺機能低下症」についてです。
この脱毛が甲状腺機能低下症によるものであれば、甲状腺ホルモン製剤の投与だけで完全によくなると考えています。
予測通りとはいえ結果的に一時的な発毛しかなかったため、この症例の脱毛は甲状腺機能低下症によるものではなかったと考えるのがベターと思います。
ただ「甲状腺機能低下症ではない」とまではいえませんし、ユーサイロイドの可能性もありますので、しばらく甲状腺に関してはグレーのままです。
今後は白黒はっきりつけてみたいな、とは思います。
続いて2点目、甲状腺ホルモン製剤による発毛について。
完全に発毛しなかったとはいえ、一時的にはかなり発毛が認められました。
これは甲状腺ホルモン製剤が発毛を促したことを示唆しています。
甲状腺機能低下症ではない健康なわんちゃんが甲状腺ホルモン剤を服用することはリスクがあるため安易に服用すべきではないのが医療ですが、モニターしながら治療の1つに入れ込むのは選択肢の1つだと思います。
最後に3つ目、アロペシアXへの積極的な治療について。
治療から11ヶ月という長い期間をおいての発毛でしたが、だいたいアロペシアXの治療結果は1年前後かかるため、今回の症例の脱毛もアロペシアXによるものだったと考えられます。
大事なことは甲状腺ホルモン濃度の低下をみて「甲状腺機能低下症」を最終診断とせず、初診時の目でみた第一印象(先入観)を検査結果より重要視することです。
検査が100%であれば検査前提ですすめればいいのですが、検査はときに関係ないことをさも関係しているかのような誤解をさせますので、自分の眼を信じる方がいいこともあります。
木をみて森をみずにならないよう、常に「この検査結果はこの症例の本当の姿を評価しているのか?」を診極めなければいけません。
獣医師は検査をするのが仕事ではなく、検査結果を予測して適切に治療に生かすことが仕事です。
今回は近畿からの通院でしたが、一度も欠かすことなく1年半継続して治療を続けた飼主さまには本当に感謝です。
ご期待に沿うことができて本当にうれしく思います。
この毛周期停止(アロペシアX)の治療ですが、当院ではしっかりとした診断と説明の上で積極的な治療も提供しています。
お困りの方は一度当院受診をご検討ください。
投稿者:
2018.05.06
ポメラニアンとトイプードルに多い脱毛症「毛周期停止(アロペシアX)」の診断・治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
毛周期停止(アロペシアX)は古くから知られた病気ですが、「命に関わらない」という理由で治療が十分に行われていません。
当院でもこういった点は十分に説明しつつ、治療にはかなり積極的に取り組んでいます。
今回紹介するわんちゃんはちょっと特殊な条件で当院を受診された脱毛症のトイプードルの症例です。
【症例】
トイプードル 11歳(初診時) 男の子(去勢済み)
【経過】
〇7才以降での脱毛発症
〇食欲増加・多飲・脱毛を認め、ALPなどの各種検査結果にて「副腎皮質機能亢進症(クッシング)」の診断を受け、トリロスタンにより治療を受けている(約7~8才から)
〇治療を続けるも年々脱毛が進行している
初診時の状態をお見せしたいのですが、手元のデータで見つけることができず・・・
当院受診から2年ほど経過して「脱毛がさらに進行した状態」の写真を飼主さまにいただきましたので紹介します。
当院受診時にはまだあったのですが、そこから脱毛進行は止まらず写真のように胴体の毛はほとんど抜け落ちてしまいました。
ただ治療は継続しつつ、初診時から2年3ヶ月経過したとき、はじめて毛の再生が始まりました。
再生が始まってから約半年、初診時から2年9ヵ月後の状態をみてみましょう。
初診時との比較ではないのですが、脱毛が進行した状態との比較を掲載しておきます。
14歳にしてここまで改善するとは思いませんでした!
さらに、慢性的に悩んでいた痒みも随分と改善しました。
やはりアロペシアは皮膚コンディションの低下を起こしますので、膿皮症や痒みなどの悪化因子になります。
当院では毛を生やすという意味だけに注目するのではなく、アロペシアによって低下した皮膚コンディションの改善を目標に、例え命に関わらなくても治療の意味はあると考えています。
ここで今回の症例を分析してみたいと思います。
当院を受診する前の病院ですでに「副腎皮質機能亢進症(クッシング)」と診断を受け、治療中という状態で当院の初診でした。
当院で考えたのは、
①クッシングは正しい診断か?
②アロペシアがあるのか?
です。
まず①のクッシングの有無ですが、過去の症状と検査結果を聞く限りでは十分にクッシングを支持する内容でしたので、当院で改めて「クッシングではない」とする理由は見つかりませんでした。
ただ、クッシングであればここまで脱毛することもそうないため、②のアロペシアを考慮して「クッシングがあるかどうかはわからないが、アロペシアも存在する」としました。
クッシングがあってもなくてもアロペシアの治療がクッシングの治療と重なるため詰めるのはやめて、治療内容をよりベターなものへと変更していきました。
治療結果としては「2年3ヶ月間は脱毛進行、2年4ヶ月目から発毛」でしたので、反応は非常に遅かったという分析です。
クッシングだけでアロペシアがなければここまで時間がかかることはないと思いますし、クッシングであれば年単位でみると徐々に減るため、脱毛に関してはアロペシアの要素が強かった脱毛疾患と判断できます。
当院受診までが長いアロペシアのわんちゃんほど発毛に時間がかかるため、この症例は発毛までに長くかかったと思われます。
逆にここまで発毛すると「クッシングは本当にあるのか?」という疑問も再び湧いてきますが、ここの判断は非常に難しいと思います。
ポメラニアンやトイプードルの毛周期停止(アロペシアX)の治療についてはデリケートなため色々考えることはあるのですが、当院ではこのように「飼主さまが希望を持つ限りあきらめない」を徹底しています。
ポメラニアン・トイプードルの脱毛疾患「毛周期停止(アロペシアX)」の治療でお困りの方は一度当院までご相談ください。
投稿者:
2018.04.21
ポメラニアンやトイプードルに多い毛周期停止(アロペシアX)の治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
ポメラニアンの脱毛症「アロペシアX(毛周期停止)」で治療に困っている方は多いと思います。
今日の症例はそんなポメラニアンの典型的な脱毛症の治療成績です。
【症例】
ポメラニアン 5才 去勢オス
【経過】
〇2~3年前からアロペシアXの診断済み
それでは約1年ちょっと前の初診時の状態をみてみましょう。
続いて、頚部。
続いて、胸部(腹側)です。
続いて、腹部です。
続いて、側面とその拡大(胸側・腹側)です。
続いて、背中です。
腰背部はほぼ脱毛しており、毛がほとんどありません(黒いのは色素沈着です)。
ポメラニアンに多いアロペシアX(毛周期停止)の典型的な脱毛所見ですね。
ここから治療開始したのですが、実は治療から約半年は「脱毛の進行」が認められました。
初診時に残っていた毛の大半が抜け落ちてしまい、「治療しているにも関わらず脱毛が進行している」という状況でした。
しかし飼主さまは治療に常に前向きに臨んでいただき、治療から約1年後からようやく発毛が認められました。
それでは治療から約1年後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
※この上の写真の「背中」ですが、皮膚の色素が黒くなっているため腰の辺りは「ツルツルに近い脱毛」でした。
結果的に初診時は「脱毛進行途中」であったため、その初診時との比較は少しわかりにくかったかもしれませんが、脱毛が進行しきったピークからは劇的な改善です。
今いいながれでどんどん発毛しているため、かなりフワフワになると思います。
四季の森どうぶつクリニックでのアロペシアX(毛周期停止)の発毛の治療結果はかなり高い確率だと思うのですが、問題は結果がでるのに必要な期間が読めないことです。
最低でも半年、長ければ1年以上必要です。
過去には約3年かけて発毛したわんちゃんもいます。
数多くみてきて思うことは、「脱毛期間が長いわんちゃん、当院受診までが長いわんちゃんほど発毛までに時間がかかる」と思っています。
今回のポメラニアンのわんちゃんも、当院受診間でに約3年要しているため、もし脱毛初期に当院受診をされていればもう少し早い改善があったと思います。
ポメラニアンのアロペシアX(毛周期停止)の治療に関しては飼主さまとの相談で勧めていくのですが、当院では飼主さまの「なんとかしたい」のために積極的な治療を行っています。
長期間かかる傾向はありますが、高い確率で発毛しているためお悩みの方は当院へご相談ください。
東京・千葉・神奈川・埼玉といった関東圏だけでなく、大阪・神戸・京都といった関西圏からのアロペシア治療も非常に多く、遠方の方でも継続治療ができるプランもあります。
投稿者: