進化し続ける医療分野において、注目されるのは「新しい検査」と「新しい治療薬」ですが、検査と治療薬では十分に対応できない病気もあります。病気によっては「検査方法がない」という理由で見過ごされていたり、教科書に掲載されずに治療もされていない病気がまだまだ数多くあるためです。この問題点に唯一対応できるのは医療の進化ではなく、獣医師の「経験」でしかありません。当院では全国から来院する難治性症例の治療データを元に、「医療の進化 × 経験」から新しい医療を提供しています。
現在の医療の問題点の一つは検査への依存で、「検査してから治療」という流れがあります。もちろん医療には根拠が必要になるため検査はとても重要なことですが、「検査しなければ治療法が決定できない」ということではありません。大事なのことは初診時に治療方法を確定できる診断力で、検査結果は治療方針を決定づけるものではなく、修正するための補完的なものと考えています。そのため当院では検査結果が出揃う前の初診時に治療方法をほぼ確定させ、検査結果がでるころには大半の症例に明らかな改善が認められています。この検査に頼らない診断力が重要となる理由は、「検査できない病気を治療できる」ことでもあり、特に数値化できない異常(心因性・皮膚バリア異常など)が見過ごされている今の皮膚科医療の問題解決に必要なことだと考えています。
当院を受診する症例のほぼすべてが転院症例で、中には5年10年治療している症例や4~5件の動物病院を受診している症例も珍しくありません。当院ではこれら難治性症例の数多くを治療実績として紹介しており、多くは3カ月での劇的な改善を標準治療実績としています。
世の中には「検査ができない」という理由で見過ごされていたり、教科書に掲載されずに治療もされていない病気がまだまだ数多くあります。しかし医療は常に進化し続けていおり、今存在する治療法がなかった時代のことを考えると、5年後10年後は新しい治療法が確立されています。当院では常に未来を見据えて「既知にとらわれない医療」を積極的に行い、未来の医療を先取りした新しい治療を飼主さまに提供しています。
当院の皮膚科診療では診療の方向性を3つのテーマを分けて医療を提供しています。
3つに分ける理由は、初期に必要な治療(症状の緩和)と皮膚病の根本的対策が異なることによるもので、「検査してから治療」という診療方針では難治性疾患に的確な治療ができません。当院ではまず初診時に症状の緩和のために必要な初期治療の方向性を提案し、症状を改善させながら根本的治療・再発予防・体質改善を組み込むことで高い治療成績を残しています。
難治性皮膚疾患のケースでは症状・原因ともに複数となり、単一の投薬治療で症状を緩和することが難しく数種類の投薬治療を併用することが基本になります。一般的には抗菌薬、抗アレルギー薬、抗不安薬、外用療法、スキンケア、サプリメント、食事療法があり、すでに治療を受けられた経験があるケースが多くありますが、薬の種類・投与量・組み合わせによって治療成績が異なります。特に組み合わせは重要で、治療プランから1つでも欠けると症状が全く改善しないこともあり、初期治療には「正しい組み合わせ」、「正しい選択」、「正しい投与量」が必要になります。
症状の緩和を行いつつ、原因疾患を突き止め根本的な治療を行います。症状の緩和と根本的治療は異なることが多く、どちらが欠けても治療成績が向上しないため、同時進行で行うことが重要です。
投薬治療により改善することは当然として、将来的には再発を抑えるための体質改善も重要です。医療では治すことばかりに注目されていますが、当院では治した後の再発予防のための研究も行っており、「効果を実感できるアプローチ」を提供しています。
当院が初診時に行う主な皮膚科検査をご紹介します。
肝臓・腎臓・貧血など 主に内分泌(ホルモン異常)疾患の評価、投薬治療前の健康診断、投薬治療後のモニタリングのために行いますが、一般血液検査結果で診断できる病気はないため、必ず他の検査と併用して行います。
甲状腺機能低下症 副腎皮質機能亢進症、性ホルモン異常など 再発性・難治性皮膚疾患の原因の一つで、この内分泌疾患が診過ごされてしまうと、まったく治療成績が向上しないため、非常に重要な検査として初診時に優先的に行います。しかし検査の正確性の低さから、誤診につながりやすいことと、的確な検査法がない内分泌疾患もあるため、検査以上に経験と判断力が重要になります。
アレルゲン特異的IgE検査 食物アレルギー検査
繰り返す痒みの原因として非常に多いアトピー性皮膚炎では、原因特定と治療の選択肢を広げるためにアレルゲン特異的IgE検査の実施を推奨しています。ただ今の皮膚科医療の課題の1つはこの「アレルギー検査」にあり、アレルギー性皮膚炎でないにも関わらず、アレルギー検査の異常値に即した治療方針で方向性を誤り、難治性になっていることが多々あります。そのため当院では検査結果をどう生かすのかを想定した上で検査を実施しています。
病原菌同定・薬剤感受性試験 犬の皮膚病で最も多い膿皮症で重要となる検査の1つです。特に抗生物質の選択は治療成績に大きく影響するため、感受性試験の結果を重要視します。再発のたびに感受性が変化する場合があるため、治療成績を見ながら何度も行うことがあります。
難治性皮膚炎、自己免疫性疾患、皮膚腫瘍、脱毛症などでは非常に重要になる特殊検査の1つです。検査手技も熟練度を必要とし、検査結果の読解にも経験を必要とするため最も難しい検査と言われています。当院ではこの組織検査の実施が非常に多く、検査の必要性の判断、検査結果の予測、治療方針への反映の3点で精度の高い検査を実施しています。
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Contact当院は犬の皮膚病だけに特化した動物病院です。