シュナウザーの症例報告

【ミニチュアシュナウザーの皮膚科治療】ステロイド、抗生物質が効かない舐め癖と脱毛

2021.12.07

皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。

 

今回は、ミニチュアシュナウザーの症例をご紹介します。

 

 

 

【症例】

ミニチュアシュナウザー  5歳  男の子(去勢済)

 

【経過】

〇1歳から膿皮症

〇抗生剤で一時良くなるが、その後4年間ずっと良くなったり悪くなったりを繰り返している

〇たまにステロイドも服用するが改善しない

〇舐め癖あり

 

 

では、初診時の様子からご覧下さい。

 

 

まずは首~股の写真です。

まず全体的に薄毛です。お腹や股は皮膚の状態も悪く、赤みや色素沈着が見られます。

 

 

 

 

次は腕の写真です。

こちらも薄毛と色素沈着が見られ、皮膚はごわごわしています。

 

最後に全体の写真と、背中の部分の毛をかき分けた写真です。

本来シュナウザーは柔らかいアンダーコートとやや硬いオーバーコートの二層構造になっているのですが、写真でもお分かり頂けるようにアンダーコートが正常に生えていません。そしてフケも見られます。

 

 

 

 

それでは2ヶ月後の写真をご覧下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

約1週間後の再診の時には既に舐めることが減りました。

当院の治療では抗生物質は服用していません。この子の原因を見極め、基礎疾患に対してのアプローチを行いました。そして同時に、腸内環境を整え、ご自宅でのスキンケアを行って頂きました。

適切なアプローチが行えたこともあり、2ヶ月と言う短い期間でこれだけの改善が見られました。

舐めることも減り、毛の再生だけではなく色素沈着も改善されています。毛もかなり再生され、特に胸~股の毛量が増えたのがお分かり頂けると思います。

 

このように、中々改善しない、良くなってもまた悪くなる、毛並みが悪いなど、わんちゃんの事でお困りの方は是非当院へご相談下さい。

今回、腸内環境を整える為に使用した当院オリジナルのサプリメント(スキンケアECプラス)、ご自宅で行って頂いたスキンケア製品はホームページからご覧頂けます。⇒サプリメント&スキンケア製品

 

また、関東にお住まいの方、関東の方が近い方は、東京サテライトで当院の獣医師が初診をさせて頂き、その後の診察をオンライン診療で行うことも可能です。

※疾患によっては適応できないこともありますので、ご了承下さい。

詳しくはこちらのホームページでご覧いただけます。⇒東京サテライト

 

 

【症例報告制作者】  看護師 森

 

 

 

 

 

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

膿皮症を薬を使わずに治療・再発させない方法

2019.02.06

犬の皮膚病でも最も多い細菌性皮膚炎「膿皮症」の根本的な治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。

 

よく「膿皮症の原因って何ですか?」と聞かれますが、そのときはこう答えています。

「人の風邪のようなもので、生物学的な免疫の弱点からくる病気です」

人で最も多い病気とえ言えば「風邪」だと思うのですが、風邪は治しても「2度とならない」ということはない病気ですよね。

逆に犬で風邪があるか?というと、個人的な意見としては「犬に風邪はない」と考えています。

では人は風邪をひくのに、犬に風邪がない理由は・・・?

それは免疫だと思っています。

人は呼吸器の免疫が弱く、犬は呼吸器の免疫が強いというだけです。

でも代わりに犬は皮膚免疫が弱いのでしょうね。

人の「風邪」と同じように絶対に根絶されることのない病気が「犬の膿皮症」と思っています。

そのため体質によっては治しても治しても再発するのだと思います。

 

今回はそんな「繰り返す(治らない)膿皮症の根本的な治療に成功した症例」です。

【症例】

 ミニチュアシュナウザー 女の子

【経過】

〇内股の湿疹が治らず繰り返される

それでは初診時の状態です。









それでは治療後の状態と比較してみましょう。

※写真をクリックすると大きくすることができます。


綺麗に改善しました。

今回の症例では初診時に7日間の抗生物質を処方しましたが、初診時に行った細菌培養感受性検査(どの抗生物質が効くか調べる検査)で耐性菌という結果がでて、処方した抗生物質が無効であったことがわかりました。

こういった場合は再診時(2回目診察日)に感受性(効果)のある抗生物質に変更して処方しなおすプランが定法ですが、あえて抗生物質を使わない方法へと切り替え「スキンケア&サプリメント」だけで治療することにしました。

もちろんスキンケア&サプリメントはもちろん当院のMedicareシリーズとスキンケアECプラスです。

こういったタイプにはスキンケアECプラスが非常に効果的です。

以下のオンラインショップからお買い求めいただけます。

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

【皮膚科専門外来】Mシュナウザーの皮膚病治療

2018.03.29

脂漏症や内分泌疾患が多いミニチュアシュナウザーの皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。

飼育頭数が多くないため目立ちませんが、シュナウザーも皮膚病がでやすい犬種です。

若くして脂漏症になるパターンと、中年齢~高齢期でホルモン異常(内分泌疾患)を起こしやすい2パターンがありますね。

今回紹介するのはその2パターンにしっくりと当てはまらない、非常に稀なパターンの皮膚病です。

他の犬種ではこのタイプの皮膚疾患を数えきれないほど診断してきたのですが、シュナウザーでは初めてです。

【症例】

 ミニチュアシュナウザー 9歳 男の子(去勢済)

【経過】

 〇5歳のころから痒みを伴う皮膚病

 〇去年までは夏だけの皮膚トラブルで、冬になるとまったく問題なかった

 〇今年は冬になっても改善せず、ずっと痒い

 〇過去2件の動物病院で改善なし

それでは初診時の状態をみてみましょう。

まずは正面から。

続いて、右耳です。

続いて、頚部~前胸部とその拡大です。

続いて、右前腕を上から、内側から、外側からみてみましょう。

続いて、左前腕です。

続いて、胸部~腹部です。

続いて、後ろ脚です。

同じく右後肢のスネ~足首の拡大です。

同じく、左後肢のスネ~足首の拡大です。

続いて、右側面とその部分的な拡大です。

続いて、背中とその拡大です。

それではこの初診時から約11週間後の状態と比較してみましょう。

※写真をクリックすると大きくすることができます。

痒みの改善は当然ですが、特に見た目の毛並み毛質が非常に綺麗に改善したのがおわかりいただけるかと思います。

特に一番最後の背中の拡大ですが、毛質が抜群によくなっているのがわかると思います。

飼主さまにも随分と若返った!とおっしゃっていただけました。

内服治療はアポキル1日1回投与とし、改善に合わせて減量して、今ではアポキルを週2回までへらしていますが、痒みはわずかしか残っていません。

当院での治療前まではかなり痒みが強く、皮膚コンディションも悪かくフケ・皮脂の多かったのですが、アポキルをここまで減らすことができたのには理由があります。

それは治療を2段階に分け、前半は痒み改善のための治療期間とし、痒みのコントロールが十分にできた時点(初診から3週間後)で2段階目として追加治療を行うことにしました。

この追加治療によりアポキルを減らすことができ、痒みがでる皮膚病になる前の状態(5歳)のときよりさらに毛並みがよくなるという結果もだすことができたと考えています。

この隠された基礎疾患に初診時にきづけるかどうかがいい治療成績のポイントだと思います。

この隠された基礎疾患ですが、おそらくシュナウザーではかなりレアなタイプだと思います。

今回も「え?シュナウザーで起きるのか?」って思いましたが、治療結果をみれば納得です。

皮膚病で最も重要なのは初診時の「診極め」です。

検査結果とは関係なく、初診時のパッとみた瞬間に改善の道筋がイメージできれば治療も成功すると思います。

 

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

【シュナウザーの皮膚科専門外来】甲状腺か?クッシングか?

2014.10.15

☆シュナウザーの難治性皮膚疾患~甲状腺か?クッシングか?~☆

こんにちは、四季の森どうぶつクリニック院長平川です。


診療に必要なことは何だと思いますか?

たくさん勉強して知識を多くもつこと?

多くの症例を診て経験を積むこと?

たくさん検査をして病気をしらべること?

どれも重要で答えなどありませんが、個人的に重要視しているのは『感覚』です。

以前どこかで書いたことがありますが、教科書をたくさん読んで知識をつけてもいい診療はできません。

「生命の神秘」ともいわれる医学領域で、既存の検査と言葉で分類されるほど病気が単純なはずありません。

教科書だけではわからないものがあってもおかしくありません。

今日はそんな「教科書ではわからない・・・ギリギリの攻めの診療報告」です。



【症例】

 ミニチュア・シュナウザー 13歳 女の子(避妊手術済)

【経過】

 〇9歳までは皮膚病もなく、10歳前に子宮蓄膿症になり子宮・卵巣摘出術を受ける
 〇その後から前肢、下顎、目の周りなどの皮膚病
 〇1件目、2件目で診断がつかず、3件目で毛包虫(ニキビダニ)症と診断され、注射による治療開始
 〇1カ月半ほどで改善するが、中止すると再発、治療で改善、中止で再発・・・を繰り返す
 〇現在4件目の動物病院でニキビダニに対する内服(2日に1回)、9カ月前から甲状腺ホルモン剤(1日2回)を服用中
 〇それでも毎年1月に悪化する
 〇2カ月後に迫った1月の悪化に備え、今(来院時は10月末)からなんとかしたいという主訴で来院



それでは来院時の状態をみてみましょう。

まずは全体を左側から。



胸部の側面の拡大。




続いて、頚部~前胸部と、前胸部の拡大です。







続いて、全体を上から。





続いて、内股とその拡大(やや左)。


※クリックすると大きくすることができます。




最後に後ろからと、その左大腿部の拡大です。







来院時のコンディションは「ここ数年の中でも落ち着いているいい状態」ということで、飼主さまの中で治療成績が悪いという認識はありませんでした。

ただ、必ず1月に悪化するため「次はそれを避けたい」という思いで来院されており、転院理由としては非常にめずらしい診察スタートでした。

実際に来院時にはニキビダニは認められず、ニキビダニによる皮膚炎を疑う所見も認められませんでした。

※初診時の被毛はトリミングで短くカットされた状態です。

それでは来院時から約5か月後をみてみましょう。

まずは頚部から。


※画像をクリックすると大きくすることができます。

上の写真の前胸部部分を拡大してみます。


※画像をクリックすると大きくすることができます。



続いて、全身左側から。


※画像をクリックすると大きくすることができます。

同じく左側の胸部の拡大です。


※画像をクリックすると大きくすることができます。


続いて、全身を上から。


※画像をクリックすると大きくすることができます。


続いて、内股。


※画像をクリックすると大きくすることができます。

同じく内股の左側を拡大してみます。


※画像をクリックすると大きくすることができます。


続いて、後ろから。


※画像をクリックすると大きくすることができます。

同じ後ろから、左大腿部の尾側を拡大してみます。


※画像をクリックすると大きくすることができます。



初診時の状態に「赤み」がないため、若干伝わりにくい写真構成かと思いますが、非常にきれいに改善しています。

まず「毎年必ずある1月の悪化はなかった」、「臭いが格段に減った」、「トリマーさんから『とてもきれいな毛並みになった』と言われました」と飼主さまは改善を強く感じられていました。




ブログで毎回お話していることですが、初診時に重要なことは「改善までのストーリーを描く」ということです。

この症例でも今までの経過を伺いつつ、頭の中で色々と整理して、「おそらく・・・・・・・・・・」という流れをつくっていきます。

あとはそれを証明するのが検査になるのですが、初診時に考えるべき大事なポイントを一つずつまとめていきましょう。

  ※ここから先は獣医師向けです。

〇9歳までは皮膚病はなく、子宮蓄膿症で子宮・卵巣摘出術後から皮膚病になった
〇すでにニキビダニの診断済、投薬である程度の改善が認められた
〇現在は落ち着いている状態
〇それでも必ず悪化する時期がある(毎年1月)
〇甲状腺ホルモン剤を半年以上継続中

初診時の病変をみて、飼主さまからのお話にあったこの5点からでもほぼ診断名が浮かび上がってきます。

それは「副腎皮質機能亢進症(通称クッシング)」です。

クッシングがあると子宮蓄膿症になりやすく、飼主さまから聞いた「子宮蓄膿症の手術(卵巣・子宮摘出術)後から皮膚病になった」という言葉も正確に表現しなおすと「元々クッシングがあり、クッシングにより子宮蓄膿症になり、手術後にちょうどクッシングらしい皮膚病が発症しはじめた」と考えることもでき、むしろその方がしっくりきます。

また毛包虫(ニキビダニ)について前回の記事でも書きましたが、中高齢期の毛包虫発症には何か今までにない基礎疾患を探すべきで、特に内分泌疾患(一般的には甲状腺機能低下症やクッシング)が疑われます。

そして当院受診まで治療を受けていた病院で「甲状腺ホルモン濃度が低いため、甲状腺機能低下症と診断され、甲状腺ホルモン剤を服用」というのはクッシングによるユーサイロイドの可能性を考えました。

もちろん「クッシングはなく、本当に甲状腺機能低下症の可能性」も十分にあるのですが、甲状腺機能低下症であれば甲状腺ホルモン剤を服用すれば皮膚コンディションが綺麗に改善するはずですから、今回の症例のように9カ月間甲状腺ホルモン剤を服用した状態でこの診た目は・・・「服用してこの皮膚であれば、そもそも甲状腺機能低下症ではないのでは?」と考えて基礎疾患の再評価が妥当だと思います。


以上のストーリーを描き、最初に行う検査は、

〇一般血球検査、生化学検査
〇副腎・甲状腺の超音波画像検査
〇ACTH刺激試験
〇尿コルチゾール/尿クレアチニン比測定
〇細菌培養感受性検査

としました。
※うちACTHは午前に行うため、別の日に実施しました。

得られた検査結果は、

〇Hct:35.3、ALP:537、T-chol及びTGは正常値
〇ACTH刺激試験 Pre:3.7 Post:15.1
〇尿コルチゾール/尿クレアチニン比 8.45  尿比重:1.040以上
〇一部の抗生物質に耐性を示す細菌感染

副腎の超音波画像は、






続いて、甲状腺の超音波画像は、









右の副腎はサイズ・形ともにノーマルに見えますが、左の副腎はやや大きく(6.9mm)で形も若干いびつですね。

甲状腺は左右両方ほぼ正常に見えます。


クッシングを疑ってACTH刺激試験を行いましたが、結果としてクッシングを支持する所見を得ることはできませんでした。

この時点でどうすべきか?

教科書にない診療というのはこういうところですね。

答えもベストもありませんが、僕は攻めます。

次に行うべき検査は・・・残念ながらこれまた絶対の評価とは言えませんが、LDDS試験です。

得られた検査結果は、

 Pre:3.6 4時間後:1.8 8時間後:1.2


多飲・多尿もなく、ALPの顕著な上昇もなく(再測定時446)、ACTHは白、LDDSは典型例に当てはまらず・・・これは相当悩みました。

ですが、臨床医として出した答えは「副腎皮質機能亢進症(クッシング)」でした。

あくまで「教科書上の典型的な検査結果例の枠組みに入らなかったが」という説明をした上で、治療方針はクッシングの内科療法を選択しました。


結果はご覧の通りで、皮膚は非常にきれいになりました。

「皮膚が綺麗に改善したらやっぱりクッシング」ではないのですが、教科書だけで診療を行うと「クッシングとは言い切れない治りにくい皮膚病」という枠組みに入り、「治らないのは別問題」となっていた症例でもあると思います。

そもそも副腎皮質機能亢進症を確定する絶対的な検査が存在しない以上、臨床症状&各検査所見の総合評価であるため、クッシングの判定は時に難しい問題になるとは思っています。



教科書上の分類や、エビデンスという言葉で「証拠」が重要視される時代ですが、教科書だけで診療していたら治るものも治らないので、大事にすべきは感覚かな?と思います。

四季の森どうぶつクリニック
獣医師  平川将人

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

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