柴犬の症例報告

犬の皮膚病|柴犬のアレルギー性皮膚炎

2011.04.06

     柴犬のアレルギー性皮膚炎
【症例】

    柴犬 女の子

【症状】

    痒み:口唇、目、耳、指間、内股

今回の症例は、ステロイドを積極的に使用していき、低用量のステロイドで副作用もなくコントロール可能になったアレルギー性皮膚炎の症例です。


 

【治療経過】 
        ステロイド使用前の状態
 
 

 

治療後(ステロイドを可能な限り低用量まで減らすことができた状態)
 
 

【結果】

柴犬に多く認められる典型的なアレルギー性皮膚炎です。ステロイドは対症療法(根本的な完治を目指せない)ではありますが、飼主さまとの相談で積極的にステロイドを使用した治療方針を選択しました。投薬以外の治療も併用し、ステロイドを減らしていきながらほぼ副作用をださずにコントロールできています。

【コメント】

ステロイドは皮膚への悪影響もあるため、使い方を間違えると皮膚病の悪化を引き起こしてしまいます。ですが、今回の症例のようにテクニック次第では非常に有効な治療法でもあります。よくある「痒みをとめるためのステロイド」という使い方では「飲むと痒みがとまり、飲まない日は痒みが再発する」となり痒みを抑えるためのステロイドが多くなってしまいますが、過剰な炎症をおさえ皮膚の機能を回復させる余地をもたせる目的にステロイドを使うとこのようにいい治療成績につながります。

もちろん完治ではありませんし、継続治療も必要ですし、長い目でみると悪化の時期もあるかもしれませんが、これも治療の一つです。

 

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

犬の皮膚病|柴犬のホルモン性脱毛

2011.02.21

柴犬のホルモン性脱毛        

【症例】

    柴犬  13歳  女の子

【過去の病歴】

    1年前から後肢を中心に脱毛
    2カ月前に乳腺腫瘍&卵巣・子宮摘出術実施
    他院にて抗生物質とステロイドによる治療で改善なし

【来院時の状態】

    痒み・・・時々掻く?程度
    脱毛・・・腹部(手術後被毛再生が認められない)、後肢など


【治療経過】

治療前
             

         

治療後

     

      

 


【結果】

過去の病歴、各種検査、病変部から「ホルモン性皮膚疾患」と仮診断しました。
これは予測ではありますが、以前の病院で受けられた「乳腺腫瘍&卵巣子宮摘出術」の病理検査結果が「卵胞嚢腫」であったため、卵巣から持続的なエストロゲン分泌が起こり、エストロゲンの過剰により脱毛および色素沈着を起こしたと考えられます。

治療はステロイドによる2次感染と考えられる細菌&真菌感染の治療のみとしました。

【治療のポイント】

☆不必要なステロイドの中止
☆2次感染の治療
☆特徴的な病変部から「ホルモン性」を疑うこと
☆手術の病理結果「卵胞嚢腫」からエストロゲン過剰があったことを見つけること

【コメント】

今回の症例では、前の動物病院で受けられた手術の検査結果(病理検査)が重要なポイントとなりました。そしてこの特徴的な皮膚病変を診て「ホルモン性」を疑うことができれば、スムーズな診察が可能になったのではと思います。結果として、「時間が解決する」ものですので、ステロイドなど副作用のある投薬を行わなければ悪化することなく、被毛の再生が認められたことでしょう。
実際今回の症例に、特別な治療はまったく行っておりません。

 

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

犬の皮膚病 | 柴犬のアトピー性皮膚炎

2010.09.26

  柴犬のアトピー性皮膚炎

【症例】

      柴犬

【過去の病歴】

      過去にも梅雨時期~秋にかけて皮膚病治療歴あり
      冬は改善して、治療終了したが、春から痒みの再発

【来院時の状態】

      痒みの部位:眼周囲、額、鼻周囲、口唇、指間
      脱毛の部位:眼周囲、額、鼻周囲


【治療経過】

治療前

治療6週間後

     


【結果】

アレルギー検査(特異的IgE検査、リンパ球反応検査)、内分泌検査、各種皮膚検査から、「アトピー性皮膚炎」と診断しました。

治療6週間で、痒みは少なく、脱毛もほとんど改善しました。ステロイドを症状(痒み)の改善のためではなく、治療として使用したことにより早期に改善が認められました1例です。

【治療のポイント】

☆「痒み止め」だけのためではない、治療のための上手なステロイドの使用
☆適切な薬物療法
☆環境アレルゲン対策としての、スキンケアを実施

【コメント】

来院時、アトピー性皮膚炎で多く認められる「皮膚糸状菌症」の併発がありました。一般的にステロイドの使用は、免疫を抑制するため健常な症例にも皮膚糸状菌症の発症の原因になったり、皮膚糸状菌症の悪化を引き起こす危険性があります。そのため、今回の症例にステロイドを使用することは「皮膚糸状菌症の悪化」も考えられるため要注意ですが、アトピーのコントロールと糸状菌の治療を兼ねて必要と判断し使用しました。

糸状菌症の治療にステロイドが必要と解釈した理由は、糸状菌症がアトピー性皮膚炎に起因するものであり、アトピーの早期のコントロールが糸状菌症の治療に必要と考えられたためです。環境アレルゲンによるアトピー性皮膚炎では、環境アレルゲンが皮膚に炎症を起こし、炎症がバリア機能を低下させ、さらに環境アレルゲンが皮膚に侵入しやすくなり、常在菌や糸状菌の2次感染を引き起こし、さらに炎症が悪化・・・という悪循環が起きています。その悪循環を止めるために、2次感染治療のための薬物療法と、環境アレルゲン対策としてのスキンケア療法をしっかりと実施しつつ、皮膚バリア機能の低下の原因になっている「炎症」を少量のステロイドで抑えていくことが治療になると考えました。この際のステロイドの量は短期間で少量まで減量し、免疫が抑制され糸状菌症が悪化しないようにします。

理想的なステロイドの使い方になりますが、ステロイドにより痒みを早期から抑えつつ、ステロイドによる2次感染や糸状菌症の悪化も引き起こさず、アトピーにより低下した皮膚バリア機能も回復させることができれば「上手なステロイドテクニック」といえると思います。

ステロイドを痒み止めのためではなく、皮膚病の治療として使用することが大切です。

※ステロイドの使用量・・・週に2回 0.5mg/㎏


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投稿者:四季の森どうぶつクリニック

犬の皮膚病 | 柴犬のアトピー性皮膚炎

2010.09.26

  柴犬のアトピー性皮膚炎

【症例】

柴犬 6歳

【過去の病歴】

1歳のころから皮膚病で定期的に通院歴あり。5歳の夏から明らかな悪化、6歳の年は梅雨の時期からほぼ全身の強い痒みと脱毛が始まった。秋・冬は調子がよかったが、今年はよくならない。以前の動物病院から「痒み止め(ステロイド?)」を含む内服薬処方あり。

【来院時の状態】

痒みの部位:眼周囲、口唇、耳、頚部、背中、内股、指間
脱毛:顔、体躯(頚部、胸背側、腰背側)、指間、内股


【治療経過】

指間全体像

指間の拡大

内股

背側の被毛

※写真の左側が初診時、右側が治療79日目


【結果】

診断はアレルギー検査、内分泌検査、各種皮膚検査から『ハウスダストに対するアトピー性皮膚炎』としました。

同じくステロイドを使用しましたが、スキンケアと適切な薬物療法の併用により、少ないステロイドで痒みをコントロールしながら治療できた1例です。

【治療のポイント】

☆アトピー性皮膚炎のため、上手にステロイドを使用することが大切
☆糸状菌症などの2次感染を抑えるため薬物療法、スキンケアを実施
☆環境アレルゲン対策としての適切なスキンケアを実施

【コメント】

過去にステロイドに頼った治療を継続したため、皮膚糸状菌症を発症し、全身に症状が出たものと考えられました。このアトピー性皮膚炎をステロイドなしで管理することは困難でありますが、皮膚糸状菌症はアトピーで弱った皮膚にステロイドの免疫抑制がかかったことが原因で発症したと考えられるため、「ステロイドを使わなければいけないが、使うと糸状菌症が治りにくい」という状況でした。感染症とアレルゲンに対する適切なスキンケアと薬物療法を併用し、ステロイドの使う量とタイミングを工夫したことで、糸状菌症が悪化させず治療の初期から痒みを抑えて、うまく治療できた1例です。

原因がハウスダストに対するアトピー性皮膚炎であるため、ほぼ通年発症する可能性が高く、再発は避けきれないと思われます。


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投稿者:四季の森どうぶつクリニック

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