2016.10.28
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
今日は肌寒い一日でしたね。
今日は以前から紹介しているリアルタイム診療です。
初診時の紹介 → リアルタイム診療①
2回目の診察 → リアルタイム診療②
そして本日10月28日が3回目の診察でしたので、早速報告します。
まずは初診時の状態です。
ここから3週間後の本日です。
色素沈着が強いのと、被毛の改善がまだまだですのでわかりにくいかもしれませんが、飼い主さまには劇的な改善といえます。
痒みの改善はもちろんですが、少しずつ被毛の再生し、皮膚も柔らかく、フケ・臭いも劇的に減っています。
ここまでは急性期に改善に必要なことを最優先に行いました。
この後はもっと踏み込んだ攻めの診療が必要になります。
今日までの短期的な改善に必要な治療内容と、根本的な治療はまた異なるということです。
何度もお伝えしていますが、最速の改善のために必要な治療が確定診断と根本治療とは関係ないことも多々あります。
初診時に「最優先の治療」と「確定診断と根本治療」が異なることに気づいていないと美しい治療結果は得ることができません。
ここが「皮膚病は教科書を読んでいても治らない」というところの所以ですね。
次回の報告はしばらく先になります。
投稿者:
2016.10.14
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
最近は涼しいより、肌寒さを感じることもあり、今年は秋の深まりが早いような気がしますね。
さて、今日は先週来院しリアルタイム診療として紹介した柴犬のわんちゃんお2回目の診察でした。
先週紹介した初診時の状態 → 【柴犬の皮膚科診療】リアルタイム診療記録①
まずは初診時の状態です。
初診時からちょうど1週間後、比較してみましょう。
まだ1週間ですのでよくみると改善というレベルですが、痒みは半分にまでへりました。
臭い、フケも少なくなり、皮膚の触った感じもやわらかくなっています。
予測どおり、このまま今の治療を継続していけば一定のラインまで改善すると思います。
確定診断はまだ十分ではなく、今後も検査を一つずつ積み重ねて確定していく予定です。
要するに、「治療は検査結果がなくても進められる」であり、「診断名と治療方針が必ずしもつながるわけではない」です。
以外かもしれませんが、こういうった症例では「検査結果にかかわらず、初期に必要な治療は決まっている」なんですね。
ただ基礎疾患を無視しては本当の改善は見込めませんので、検査を無視して治療をつづけるのはよくないと思います。
治療をしつつ、基礎疾患にアプローチしていくことが重要です。
投稿者:
2016.10.08
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
随分と涼しくなりましたね♪
今日は時々行う「リアルタイム診療報告」をします。
【症例】
柴犬 11歳 女の子
【経過】
○5年前からの痒みを伴う脱毛
昨日10月7日の初診時の状態を紹介します。
まずは顔の正面、側面です。
続いて、頚部の正面、そして側面です。
続いて、胸部側面(右)です。
同じく胸~お腹にかけてです。
続いて右後肢の側面です。
最後に尾です。
なぜこうなったのか、どの検査を行うべきか、どんな治療をするべきか・・・診療に必要なイメージは診た一瞬で決まります。
そのため治療スタートは検査結果が出揃わない当日から開始できますし、かなり短期間での症状の改善が期待できます。
今回の症例も確定診断はしばらく先ですが、初日から治療開始です。
あくまで短期間で改善をさせつつ、あとから確定診断をつけていきます。
またご報告できると思います。
投稿者:
2016.10.01
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックです。
※2017年6月追記
このページを読まれる方が非常に多く、いかにアポキルが多く処方されているか、そして飼主さまが期待した改善が得られないことに悩んでいるかがわかりました。
ブログ本文は過去のままですが、最下部に最近のアポキルの使い方を考えて作成した症例リンクを複数記載しています。
ご興味のある方は最後までお読みいただき、リンクもぜひご覧ください。
今年の夏に、「アポキル」という皮膚病治療薬として非常に新しいお薬がでました。
痒みを緩和させるための画期的なお薬で、非常にいいお薬のため当院でもよく使うのですが、どんな皮膚トラブルにも効く万能薬ではありません。
そのため発売前から予測していたのですが、早速「(他院で)アポキルを処方され飲んでいるのによくならない」という電話がかかってくるようになりました。
今日は少しめずらしい関西圏からの来院で、「アポキルでも改善しない」という主訴の転院症例報告です。
【症例】
柴犬 8歳 女の子
【病歴】
〇5年前からずっと皮膚病
〇免疫抑制剤で多少改善
〇この夏からアポキル1日2回服用開始したが、効果を感じられない
初診時の状態から。
柴犬の皮膚病として、「よくある典型的なパターン」といえると思います。
この初診から1ヵ月後の状態と比較してみましょう。
写真をクリックすると拡大してみることができます。
非常に綺麗になりました。
もちろん肝心の痒みも元々の10分の1まで落ちついてコントロールできています。
「アポキルを1日2回服用しているのに痒みが減らない」という主訴に対して、当院がアポキルをどうしたか?
実は、初診時から1日1回で継続処方しています。
アポキルだけにフォーカスを絞って考える点は2つ、
①この症例にアポキルは効果的かどうか?
②アポキルでなければ改善しない症例かどうか?
現実として「1日2回服用していたのに、効果がなかった」という状態で来院されているので、
アポキルが痒みを抑えなかったようにみえなくもないのですが、実は効果はあるのです。
正確な表現としては「効果はあるはず」がよりベターで、詳細に説明するなら
「アポキルを治療の柱にする判断は十分正しいが、その他の治療方針が不十分がゆえに効果がみられなかった」
と考えています。
アポキルが効かないのではなくて、アポキル以外の必要な治療に気づかなかったことがポイントになっています。
このアポキルがその他の薬でも同様のことが言えます。
実際にこのわんちゃんは以前に免疫抑制剤をつかっていますが抑えきれず、アポキルに変更になったという経過をたどっています。
今回は当院でもアポキルを選択しましたが、例えアポキルがなかった半年前であったとしても、今回の症例を「痒み10分の1」にすることは可能です。
ということで、①と②の結論・・・①は効果的、②は「そんなことはない」です。
医療に魔法の万能薬はありませんので、大事なことは「いいお薬を出す」ではなくて「使うシーンを診極めて処方する」、いい武器は使いこなしてこそですね。
2017年6月3日 追記
アポキルが発売されて約1年、当院には「アポキルを使っているのに痒い」という飼主さまばかりが来院されるようになりました。
症例報告でもアポキルについてなるべく書くようにしています。
以下にリンクを張っていますので、参考にしてください。
【痒み専門外来】アポキルは効く?効かない?
投稿者:
2016.08.04
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
今年度に入り症例をまとめる時間がほとんど作れなくなったため、新入社員に症例報告を手伝ってもらうことにしました。
写真の取り込み、フォルダー分け、写真加工、ブログへのUP作業・・・・・・・これがなくなるだけでも随分と楽!
では、早速症例報告です。
【症例】
4歳 柴犬 メス(避妊済み)
【経過】
〇3年前から痒み発症、アトピーの疑い
〇口唇、お腹、四肢端、耳、頚部、脇の痒み
〇毛並みが悪いのがこの数年続いている
〇過去の治療は抗生物質、痒みに応じたステロイド
それでは初診時の状態です。
まずは正面から。
頚部、とその拡大。
続いて胸部。
続いて腹部。
続いて大腿部を後ろから。
最後に尾を側面から。
初診時に3つの異なる問題点と対策をあげて、3ヶ月というプランを作って・・・3ヵ月後と比較してみましょう。
※写真をクリックすると拡大してみることができます。
すべて初診時の想定通り、綺麗になりました。
ポイントは3つのトラブルを初診時に診極めることです。
「腹部の皮膚炎」
「顔・頚部・四肢端・耳の痒み」
「毛並みの悪さ」
この3つの異常に気づくこと、3つの異常の原因が異なること、それぞれに治療が必要であること・・・・・そして何よりこれらを初診時に診て瞬間的に頭の中で判断できることです。
※判断は瞬間ですが、説明には1時間近くかけてます。
こういった診察ではよく「治療は検査結果がでてからですよね?」と聞かれますが、実はほとんど初診時から治療スタートです。
検査は必須ですが、検査結果で治療方針がブレることはほとんどありません。
1週間後、2週間後、4週間後、2ヵ月後・・・で多少変更することはあっても、それは初診時に想定している範囲内ばかりです。
近いうちに「検査結果で治療方針に悩む症例」を紹介しようと思いますが、基本は初診時にほぼ治療方針は決定できます。
当院には遠方から通院される方もめずらしくないのですが、今回はまた一段と遠くからの通院で、なんと静岡県(東京より)からの受診でした。
今でも継続的に通っていただいています。
ご夫婦での通院だったのですが、3ヶ月の時点で奥様から「すばらしい!先生の言うとおりちょうど3ヶ月でした!」、「こんなにフワフワになったのは3年ぶり!」と言っていただけてうれしかったです。
さらにご主人には
「先生がうれしそうに見てくれるから、その笑顔をみるためにこっちも診せにきたくなる」
とおしゃっていただけました。
あまりにのうれしさに言葉を失い、一瞬おくれて「ありがとうございます」としか言葉がでませんでした。
心では泣いてました(笑)
時代はモノもサービスも「ネットから」が常識になりつつあり、今後その流れが止まることもないのですが、本当は顔をみて話をして提供するのが一番なんだろうな~と心から思います。
ということで、僕はネットを使って色々サービス提供をしていますが、サービスを受ける側の顧客としてはできるだけネットは使わないように心がけています(笑)
投稿者:
2016.04.01
こんんちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
新年度になりましたね♪
今年は去年の続きですが、東京に行く頻度を増やしていこうと考えています。
昨年2回東京に行きましたが、今年は5月からスタートします。
平成28年 皮膚科診療(関東:東京・神奈川・埼玉・千葉)
【日時】 平成28年5月5日(木)
【場所】 東京都葛飾区動物病院
※東京駅から公共交通機関と徒歩で30分以内
詳細は申し込み後の入金確認後にお知らせします。
【対象】 痒みを伴う皮膚病
犬種:ブルドッグ犬種(フレンチブルドッグの皮膚病、イングリッシュブルドッグの皮膚病)
シーズーの皮膚病
※その他トイプードル、チワワ、柴犬などはご相談ください。
遠隔診療についてはメリット&デメリットの両方がありますが、参考例として直接診療後に遠隔診療で継続しているわんちゃんを紹介します。
柴犬の遠隔診療 平成27年11月5日に紹介した柴犬の皮膚病
この柴ちゃんの飼主さまは遠方に住まいのため、メールと写真で行う遠隔診療で継続治療しています。
先日(3月19日)に送っていただいた写真があるので、ご紹介します。
今までの皮膚病が嘘のようですね。
こちらの飼主さまからは、近所の人から
「一瞬、前の犬は、亡くなって、新しい犬だと、思ったー!」
といわれたそうで、多くの人から驚かれているそうです。
今まで遠くから来院されているわんちゃんの改善後は受診が遠のいてしまい、「その後の経過はわからない」が通常だったのですが、遠隔診療をすることで再発を抑えてこういったうれしい言葉もいただくことができるようになりました。
獣医師として「仕事していてよかったな~」と感慨深いものもあります。
投稿者:
2015.11.17
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
お久しぶりです。
つい最近のブログで「10月はブログを過去最高ペースで更新しました!」とお話していたばかりですが、また再発しました・・・
「燃え尽き症候群」
当院は春から夏にかけて忙しくなり、10月にピークがくるため自然と「10月までがんばろう!」と意識してしまうせいか、10月が終わるとスイッチきれてしまいます。
そう去年も、一昨年も11月は燃え尽きてました。
大好きな下町ロケットをみてもブログを書く気力が湧かず・・・(笑)
ですが、「追い込んでこそいい仕事ができる」が持論ですので、気持ちを入れ替えてがんばります。
今回は当院を受診されたのが2年くらい前からなのですが、治るのが遅く、再発しやすい柴犬の治療症例を紹介します。
ポイントは
〇痒みトラブルが多い
〇診断名は膿皮症(抗生物質に反応する)
〇血液検査などで主要な内分泌疾患は除外
〇アレルゲン特異的IgE検査で異常なし
〇毛並みが悪い
当院が移転する前から受診歴があるため、約2年前くらいの初診時の様子からみてみましょう。
柴犬で起きやすい口唇の皮膚炎が認められます。
続いて、体幹の毛並みをかきわけてみてみます。
柴犬の本来の毛並みは「地肌が見えない」ですので、全体的に被毛が少なく、毛並みが悪いという状態です。
問題としては2つ、「投薬治療で改善するが、再発が多い」、そして「毛並みが悪い」です。
1~2年前までは湿疹・痒みを改善させることはできるのですが、この「なぜ毛並みが悪いのか?なぜ再発するのか?」を明確にして改善させることができませんでした。
そして再発のため9月に来院されました。
そのときの状態です。
以前は湿疹を抑える治療しかできませんでしたが、今は違います。
「なぜ皮膚炎になるのか?なぜ毛並みが悪いのか?」を含めたアプローチができます。
飼主さまに「これ、最近になって原因がわかりました。昔はできませんでしたが、今なら新しい治療ができます。今回はフワフワにしてみせますよ!」とお伝えして・・・・・・1ヵ月半後です。
毛を掻き分けても地肌がみえないほどフワフワです。
もちろん皮膚コンディションも最高に良い状態がキープできています。
柴といえばアレルギー、特にアトピーが圧倒的に多いのが事実ですが、これをアレルギーと診断しては迷走してしまいます。
おそらくですが、アレルギーと考えてステロイド系を使用すると迷走の原因になると思われます。
今回の診断と治療は教科書には掲載されていません。
そもそも教科書にすべて答えが掲載されていれば、世の中のほとんどすべての皮膚疾患がどこの病院でも適切に治療ができるはずです。
そうでない理由は・・・・・・・・
病気を教科書の情報だけで分類してはいけないということです。
医療は5感すべてを使った感覚と、創造性が最も重要だと思っています。
なので教科書はたま~にしか読みません(笑)
投稿者:
2015.11.05
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
さて、今日は久しぶりに柴犬の皮膚病治療の
紹介をします。
常にエリザベスカラーと、洋服を着て傷を防止している柴犬のわんちゃんです。
まずは初診時の状態、まずは顔からみてみましょう。
続いて、頚部です。
つづいて、全体の右側です。
同じく右側の拡大、ちょうど胸の側面です。
続いて、背中(腰背部)です。
同じく、背中の拡大をやや斜めから。
今回の柴犬の皮膚病治療にはいつもよりも少し制限がありました。
それは、非常に遠方からの来院でしたので、通院間隔は極力長くする必要がありました。
こまめに診れないということは、治療の修正をするチャンスが少ないということで、もし判断や選択にミスやズレがあった場合にいたずらに時間だけが過ぎてしまう・・・という不安もあります。
ですが、そこは「初診時の診極め」です。
初診時に2ヶ月、3ヶ月後までの道を描きます。
初診時、再診、再診の3回の診察した後の状態(4回目の診察時)をみましょう。
普段は初診時の写真と並べますが、今回は並べる必要性すらないので全体像で掲載します。
初診時からわずか2ヵ月後、カラーもありませんし、洋服もありません。
痒みは10分の1まで減少しています。
初診時に描いた道筋どおり、一寸の狂いすらなく2ヶ月でたどり着きました。
ポイントは「柴犬を知る」ですね。
柴犬がどういう体質か、十分に把握することが重要です。
投稿者:
2015.10.22
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
今朝は出勤時にベルトをつけるのを忘れてしまい、ベルトをしていなくてもズボンの違和感がない(=体重が増えた)ことにショックを覚えつつ、お昼にケンタッキーにいき「またやってもうた・・・」と明日につながらない反省をしました(笑)
さて、今日は「従順になった柴犬」の報告です。
いえ、決して問題行動のわんちゃんに行動療法を行ったわけではありません。
あれこれ説明せず、写真をみてみましょう。
毎年皮膚病になる柴犬ちゃんで、今年は半年前からエリザベスカラーがないと血だらけになるまで掻いてしまうまで悪化したということで来院されました。
もちろん来院時もカラーがはずせず、自宅でも散歩中でも常時エリザベスカラーを装着しています。
柴犬に多いタイプの皮膚炎ですね。
この初診時から3週間後です。
※画像をクリックすると拡大してみることができます。
痒みは10分の1、もちろんエリザベスカラーは完全に外すことができ、普通のわんちゃんらしい生活ができています。
飼主さまから「とても従順になりました♪」を喜んでいただきました。
やはりエリザベスカラーはわんちゃんにとって予想以上に強いストレスになっているため、カラーは必ず外さなくてはいけません。
いえ、基本は「痒みのためにカラーをつけてはいけない」というスタンスが必要で、やむを得ず装着する場合は「責任もって必ず外すこと」を自分に課さなければいけないと考えています。
カラーを外す自信なくしてつけてはわんちゃんにツライ思いをさせてしまうかもしれません。
投稿者:
2014.02.18
こんにちは、四季の森どうぶつクリニック獣医師平川です。
柴犬の難治性皮膚疾患(当院受診前に治療歴があり改善しなかった症例)をまとめるために、さまざまなタイプの症例を紹介しています。
今回紹介する症例は今までの治療症例とは少し異質なものですが、「これだけ重症の皮膚病でも治る余地がある」と思っていただきたくて紹介します。
【症例】
柴犬 7歳 女の子(避妊手術済)
【過去の病歴】
〇4年前から通年性(1年中)の皮膚病
〇現在が最も悪い状態
〇最初の2年は近医(A動物病院)にてステロイドを使用しながら痒みを抑えていた
〇2年前に漢方療法を行う皮膚科動物病院(B動物病院)へ転院し、抗生物質・甲状腺モルモン剤・漢方薬など2年間服用
〇偽妊娠になりやすいことから、同じB動物病院で避妊手術(卵巣摘出)を受ける
〇B動物病院で漢方成分の入ったシャンプー(商品名なし)を使用
それでは初診時の状態をみてみましょう。
まずは、顔の左側から。
同じく目の下、頬の拡大です。
同じく左側、口唇~頚部にかけての拡大です。
続いて、頚部左側です。
続いて、頚部~左前肢肩付近です。
続いて、頚部。
同じく頚部の拡大です。
続いて、頚部~前胸部です、
続いて、右前肢内側、拡大をあわせています。
続いて、身体右側、ワキ~胸部側面です。
続いて、腹側全体です。
同じく、腹側の胸部拡大です。
続いて、右後肢の足首~甲の拡大です。
最後に尾側、会陰部周囲です。
この初診時から2カ月半後の状態と比較してみましょう。
初診時は過去に例がないほど重度の皮膚の肥厚、脂漏が認められました。
そしていつも通り初診時に数パターンの診断・治療方針を想定しましたが、最優先で疑ったのは「アトピー+ホルモン異常」でした。
ただ、でてきた検査結果は「アトピーはない、甲状腺も異常なし、クッシングの可能性も低い」という想定と異なるもので若干違和感を感じましたが、スキンケア療法に非常にいい反応がありました。
通常柴犬の皮膚病に院内で行うスキンケアを行うことはありませんが、今回の症例は初診時に「原因のいかんに関わらずスキンケアを併用しなければ改善はないだろう。むしろ原因のいかんに関わらずスキンケアでかなり改善させることができる。」と判断したため、改善に関しては当然の結果だと考えています。
ただ想定と異なる検査結果に感じた違和感が本当なのかを確認するために、いくつか詳しい検査を追加で受けていただいた結果、確信に近い検査結果を得ることができました。
しかし今回当院が下した診断は本来起こるべきではないことを前提にした診断名であるため、当院での診断をより確実に確定するために大学病院を受診することになっています。
今回の症例は治療を行いながら複雑な心境でした。
考えられる原因が原因なだけに、なぜこの子がこんなつらい思いをしなければいけないのか、と診察のたびに胸が痛みました。
そして「獣医師として代わりに責任持って診断・治療する」と思いました。
もちろん当院を受診される全ての診察に全力を!という想いを込めていますが、この子のスキンケア時には全スタッフがいつも以上に想いをこめていたと思います。
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