2016.11.22
痒みを伴う皮膚病治療を専門に行う動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
1年のピークである10月が過ぎ去り、時間の余裕がでてきたので症例報告に力をいれていきます。
当院では圧倒的にフレンチブルドッグ、シーズー、柴犬の痒みを伴う皮膚病治療が多いのですが、この3犬種の中で最も治療しやすいのが「シーズー」です。
今日はそんな治療が簡単な、典型的なシーズーの難治性皮膚炎「脂漏性マラセチア性皮膚炎」の治療紹介です。
「診断は瞬間、治療は最速」でのぞみます。
【症例】
シーズー 7歳 男の子(去勢済み)
【経過】
〇2年前から発症
〇一年通じた痒みの継続(2年間改善したことがない)
〇過去に3件の動物病院を受診するも改善なし
まずは初診時の状態、毛が多かったため治療のためにも毛をカットさせていただきました。
つづいて、頚部。
つづいて、右前腕。
同じく右前肢の先端。
続いて、左前肢先端。
続いて、後ろ足。
同じく後ろ足の拡大、順番に左、右です。
重度の脂漏性皮膚炎で、足先はパンパンに腫れています。
この初診時からわずか17日後、初診時と比較してみましょう。
※画像をクリックすると大きくすることができます。
痒み・フケ・臭い・見た目、すべてにおいてパーフェクトだと思います。
飼主さまも「すごく良くなった!痒がるのが珍しい!」、「去年のこの時期は足がはれて痛くて歩けなかったくらい」と喜んでいただけました。
また治らなかった2年間、わんちゃんがずっと掻いている姿に「見てみぬフリをするしかなかった」というつらい過去を・・・でも笑顔でお話してくださいました。
本当によくなってよかったです。
シーズーの典型的なこの脂漏性マラセチア性皮膚炎では「やってみなければわからない」ではなく、確信をもって望んでいます。
「よくならないイメージが湧かない」
大事なポイントの一つがスキンケアとサプリメントです。
投稿者:
2016.11.14
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
晴れていると暖かく過ごしやすい1日ですが、日中に陽が当たらないと夜には寒さを感じますね。
さて、今日紹介するのは関西からの受診のわんちゃんです。
【症例】
シーズー 14歳 女の子(避妊手術済み)
初診時の状態をみてみましょう。
シーズーで治り難い特徴である、脂漏とマラセチアの典型症例です。
初診時に検査と処方、そして院内薬浴を行い24日後に再診に来ていただきました。
その比較を紹介します。
※画像をクリックすると大きくすることができます。
シーズーの皮膚病に多く認められる臭い、フケ、脂っぽさ、痒みの全てにおいて劇的な改善が認められました。
一般的に「脂漏性マラセチア性皮膚炎」といわれているシーズーの皮膚病の典型で、教科書的には「シャンプーをこまめに(3日に1回)」、マラセチア対策に抗真菌剤の内服と抗真菌剤入りシャンプー」と書かれていますが・・・・・・・そもそもそれで治れば苦労しないわけで、まったく異なるアプローチをします。
それでもこの典型的なタイプであれば「改善しなかった例がない」レベルまで治療成績が高くなっています。
薬を飲んでもよくならない、シャンプーしても数日後には臭いと大量のフケが・・・・でお困りの方は当院までご相談ください。
投稿者:
2016.11.13
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
ハロウィンが終わり、世間はクリスマスモードに切り替わっていますね♪
当院もクリスマスモード・・・というような趣向はないのですが、年内にある程度症例報告を積み重ねていこうと思います。
【症例】
ミニチュアダックスフンド 12歳 女の子(避妊手術済み)
【病歴】
〇1年前から一度もよくなっていない
〇皮膚病が治らないため、乳腺腫瘍の手術を受けることができない
初診時の状態です。
初診時から3週間後の状態と比較してみましょう。
※画像をクリックすると大きくすることができます。
非常に綺麗になりました。
3週間かかったというよりも、再診時(初診から1週間の時点)でかなり改善があり、治療終了もみえてきたため、「かかりつけ動物病院へ手術の相談に行きましょう」と伝えておきました。
ということで、この3週間後の写真から5日後に無事手術までたどり着くことができました。
よかったですね!
投稿者:
2016.10.01
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックです。
※2017年6月追記
このページを読まれる方が非常に多く、いかにアポキルが多く処方されているか、そして飼主さまが期待した改善が得られないことに悩んでいるかがわかりました。
ブログ本文は過去のままですが、最下部に最近のアポキルの使い方を考えて作成した症例リンクを複数記載しています。
ご興味のある方は最後までお読みいただき、リンクもぜひご覧ください。
今年の夏に、「アポキル」という皮膚病治療薬として非常に新しいお薬がでました。
痒みを緩和させるための画期的なお薬で、非常にいいお薬のため当院でもよく使うのですが、どんな皮膚トラブルにも効く万能薬ではありません。
そのため発売前から予測していたのですが、早速「(他院で)アポキルを処方され飲んでいるのによくならない」という電話がかかってくるようになりました。
今日は少しめずらしい関西圏からの来院で、「アポキルでも改善しない」という主訴の転院症例報告です。
【症例】
柴犬 8歳 女の子
【病歴】
〇5年前からずっと皮膚病
〇免疫抑制剤で多少改善
〇この夏からアポキル1日2回服用開始したが、効果を感じられない
初診時の状態から。
柴犬の皮膚病として、「よくある典型的なパターン」といえると思います。
この初診から1ヵ月後の状態と比較してみましょう。
写真をクリックすると拡大してみることができます。
非常に綺麗になりました。
もちろん肝心の痒みも元々の10分の1まで落ちついてコントロールできています。
「アポキルを1日2回服用しているのに痒みが減らない」という主訴に対して、当院がアポキルをどうしたか?
実は、初診時から1日1回で継続処方しています。
アポキルだけにフォーカスを絞って考える点は2つ、
①この症例にアポキルは効果的かどうか?
②アポキルでなければ改善しない症例かどうか?
現実として「1日2回服用していたのに、効果がなかった」という状態で来院されているので、
アポキルが痒みを抑えなかったようにみえなくもないのですが、実は効果はあるのです。
正確な表現としては「効果はあるはず」がよりベターで、詳細に説明するなら
「アポキルを治療の柱にする判断は十分正しいが、その他の治療方針が不十分がゆえに効果がみられなかった」
と考えています。
アポキルが効かないのではなくて、アポキル以外の必要な治療に気づかなかったことがポイントになっています。
このアポキルがその他の薬でも同様のことが言えます。
実際にこのわんちゃんは以前に免疫抑制剤をつかっていますが抑えきれず、アポキルに変更になったという経過をたどっています。
今回は当院でもアポキルを選択しましたが、例えアポキルがなかった半年前であったとしても、今回の症例を「痒み10分の1」にすることは可能です。
ということで、①と②の結論・・・①は効果的、②は「そんなことはない」です。
医療に魔法の万能薬はありませんので、大事なことは「いいお薬を出す」ではなくて「使うシーンを診極めて処方する」、いい武器は使いこなしてこそですね。
2017年6月3日 追記
アポキルが発売されて約1年、当院には「アポキルを使っているのに痒い」という飼主さまばかりが来院されるようになりました。
症例報告でもアポキルについてなるべく書くようにしています。
以下にリンクを張っていますので、参考にしてください。
【痒み専門外来】アポキルは効く?効かない?
投稿者:
2016.04.01
こんんちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
新年度になりましたね♪
今年は去年の続きですが、東京に行く頻度を増やしていこうと考えています。
昨年2回東京に行きましたが、今年は5月からスタートします。
平成28年 皮膚科診療(関東:東京・神奈川・埼玉・千葉)
【日時】 平成28年5月5日(木)
【場所】 東京都葛飾区動物病院
※東京駅から公共交通機関と徒歩で30分以内
詳細は申し込み後の入金確認後にお知らせします。
【対象】 痒みを伴う皮膚病
犬種:ブルドッグ犬種(フレンチブルドッグの皮膚病、イングリッシュブルドッグの皮膚病)
シーズーの皮膚病
※その他トイプードル、チワワ、柴犬などはご相談ください。
遠隔診療についてはメリット&デメリットの両方がありますが、参考例として直接診療後に遠隔診療で継続しているわんちゃんを紹介します。
柴犬の遠隔診療 平成27年11月5日に紹介した柴犬の皮膚病
この柴ちゃんの飼主さまは遠方に住まいのため、メールと写真で行う遠隔診療で継続治療しています。
先日(3月19日)に送っていただいた写真があるので、ご紹介します。
今までの皮膚病が嘘のようですね。
こちらの飼主さまからは、近所の人から
「一瞬、前の犬は、亡くなって、新しい犬だと、思ったー!」
といわれたそうで、多くの人から驚かれているそうです。
今まで遠くから来院されているわんちゃんの改善後は受診が遠のいてしまい、「その後の経過はわからない」が通常だったのですが、遠隔診療をすることで再発を抑えてこういったうれしい言葉もいただくことができるようになりました。
獣医師として「仕事していてよかったな~」と感慨深いものもあります。
投稿者:
2015.12.07
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
日曜日にセミナーのために名古屋駅まで行きましたが、街はクリスマスモードでとても華やかでした♪
今年のクリスマスの予定はまだ決まっていませんが、麻衣子先生となにかおいしいものでも食べようと思っています。
今日は先日紹介したチワワの皮膚病の症例報告とほぼ同じ内容です。
平成27年10月28日のブログで 【診極め】チワワの脂漏性マラセチア性皮膚炎 で紹介した黒のチワワの治療症例を紹介します。
※画像をクリックすると大きくすることができます。
それでは顔の左右から。
続いて、頚部。
続いて、身体側面左から。
続いて、頚部の左側。
同じく頚部の左側の拡大です。
続いて、身体側面を右から。
最後に後ろ足。
非常に綺麗に改善しました。
治用に要した期間は7週間です。
このタイプの皮膚病は診た瞬間に治療方針を決めることができ、1~2ヵ月後が頭の中にイメージできる疾患です。
もちろん先入観で診てはいけないため、必ず複数の病態パターンを想定し、必要な検査をしながら目標地点まで最短ルートを描くことが重要です。
今年は「診極め」と評して、「改善しました」という事後報告ではなく、受診直後の状態を紹介し「今から治療を開始します」という背水の陣のような症例報告を数多く取り組んできました。
その診極めも今年は今回の症例報告で一旦終了なのですが、今年紹介した全症例で想定どおり改善させることができました。
ただ1年通してみたときに、この「初診時に診極め」の精度は90~95%だと思いますので、残りの部分でまだまだ反省すべきことは多々あると感じています。
医療ですので100%は絶対にないというのことはわかっているのですが、、+1%を積み上げるのに膨大な努力と時間を費やしながら100%にどれだけ近づけることができるのか・・・
ここまで到達すると1%がとてつもなく大きく、未知の世界でもあり、1年後のプラス1%さえ僕にはわかりません。
来年は今年できなかったことが一つでもできるように、また色々と考えて診察に取り組もうと思います。
昨日より今日、今日より明日
昨日できなかったことが今日できるように、今日できなくても明日できるように
がんばります。
投稿者:
2015.12.05
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
1年最後の12月、月日が経つのが早いと感じますね。
去年の自分に今の自分が想像できたのか?と考えると、来年の自分のポジションすらわかりません。
この数年はこの「社会におけるポジション」という言葉に振り回されて走り続けている自分がいます。
日々悩みはつきませんが、走り続けるための症例報告をします。
平成27年10月28日のブログ 【診極め】チワワの脂漏性マラセチア性皮膚炎 で紹介した症例の治療経過です。
本日平成27年12月5日に受診されたので、比較してみたいと思います。
初診時の状態は比較写真だけでなく、前回の記事もご参考にしてください。
当院受診までの経過は数年間に及び、当院は4件目の動物病院でした。
※画像をクリックすると大きくすることができます。
まずは顔の正面から。
続いて、下顎~頚部です。
若干小さいので、下顎の部分だけ単独で拡大してみましょう。
続いて、前肢です。
続いて身体の側面と、その拡大です。
赤み、痒み、臭いすべてクリアでほぼ症状はありません。
治療にかかった期間はわずか6週間、初診時に提案した検査項目・治療方針以外の追加・修正はなく、一寸の狂いもありませんでした。
前回の記事で黒チワワちゃんの症例も紹介したのですが、同じく痒みのコントロールができており順調です。
ただ被毛がまだ十分に再生していないので、もう少し先に紹介しようと思っています。
適切な医療に併用する大事なポイントはスキンケアとサプリメントです。
投稿者:
2015.11.19
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
今年も学会&セミナーシーズンがやってきました。
今週末は大阪での大きな学会「動物臨床医学研究会 年次大会」に参加し、29日、12月6日、12月13日はすべて名古屋でのセミナー参加です。
2015年のアップデートもラストスパートです♪
では、今日は恒例の「診極め」の症例報告です。
ちょうど1ヶ月前の10月17日に来院されたわんちゃんをその日のうちに紹介しました。
診た当日のブログで「1~2ヵ月後には綺麗になる」とお伝えして、今日がちょうど1ヵ月後の再診でしたので比較を紹介したいと思います。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
毛並みは非常に綺麗になりました。
以前の記事を読んでいただきたいのですが、このわんちゃんは2年間ずっとステロイドを投薬していました。
診断名は細菌性膿皮症であり、一般的にはステロイドではなく抗生物質での治療が必要な病気です。
そのため初診時はそのステロイドを止めることができるのか?という検査を行いました。
シンプルに休薬せず、検査を行った理由は「長期間ステロイドを服用していると、急に休薬することで命に関わる体調不良に陥ることがあるから」です。
予測どおり検査結果から「急な休薬はできない」と判断されたため、、初診時から2~3週間かけて徐々に減量してステロイドをゼロにしました。
そして一般的に治療の最優先事項である「抗生物質」は・・・・・・・・・・処方していません。
では何をしたかというと・・・・もちろん当院のスキンケア&サプリメントです。
メディケア スキンクリーニングオイル
メディケア シャンプー
メディケア ローション
スキンケアECプラス(サプリメント)
初診時だけ院内薬浴をしたのですが、オイルクレンジング後の湿疹をみてみましょう。
診た目が痛々しいくらいですが、スキンケアではここまでする必要性があります。
またスキンケアも非常に重要ですが、この湿疹を根本的にコントロールするにはサプリメントが最も重要だと考えています。
初診時の時点で即ステロイドを休薬できればもう1~2週間早く改善したと思うのですが、ステロイドを服用していても1ヶ月でここまで綺麗にすることができます。
参考までに皮膚全体のトラブルが改善しているわけではありません。
ステロイドを休薬したことで数日前から顔・四肢端・耳の痒みが認められるようになりましたが、これも想定の範囲内で初診時に「おそらく顔・四肢端の痒みがでるでしょう」とお伝えしていました。
もちろん今日からこの顔・四肢端・耳の治療が始めています。
皮膚の診断名と治療が1つであることはあまりありません。
病変に応じて治療方針を変えることが重要です。
顔・耳・四肢端すべて、おそらく2~4週間後には綺麗になっているでしょう。
投稿者:
2015.11.05
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
さて、今日は久しぶりに柴犬の皮膚病治療の
紹介をします。
常にエリザベスカラーと、洋服を着て傷を防止している柴犬のわんちゃんです。
まずは初診時の状態、まずは顔からみてみましょう。
続いて、頚部です。
つづいて、全体の右側です。
同じく右側の拡大、ちょうど胸の側面です。
続いて、背中(腰背部)です。
同じく、背中の拡大をやや斜めから。
今回の柴犬の皮膚病治療にはいつもよりも少し制限がありました。
それは、非常に遠方からの来院でしたので、通院間隔は極力長くする必要がありました。
こまめに診れないということは、治療の修正をするチャンスが少ないということで、もし判断や選択にミスやズレがあった場合にいたずらに時間だけが過ぎてしまう・・・という不安もあります。
ですが、そこは「初診時の診極め」です。
初診時に2ヶ月、3ヶ月後までの道を描きます。
初診時、再診、再診の3回の診察した後の状態(4回目の診察時)をみましょう。
普段は初診時の写真と並べますが、今回は並べる必要性すらないので全体像で掲載します。
初診時からわずか2ヵ月後、カラーもありませんし、洋服もありません。
痒みは10分の1まで減少しています。
初診時に描いた道筋どおり、一寸の狂いすらなく2ヶ月でたどり着きました。
ポイントは「柴犬を知る」ですね。
柴犬がどういう体質か、十分に把握することが重要です。
投稿者:
2015.10.31
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
明日はいよいよ下町ロケットですね!
楽しみな反面、なんだか内容が苦手な方向に向かっていきそうな気もしなくもありません。
というのも予告CMで「諦めていた夢をもう一度・・・」な流れがあり、従業員が辞める?(帝国重工の引き抜き?)みたいな
流れが紹介されていました。
従業員の同意の得られない事業計画を推し進めて従業員が辞める・・・なんてストーリーになるのでしょうか?
零細企業とはいえ従業員を雇用している立場として、同じ思いになれるのだろうか?・・・なんて一人で勝手に悶々としています。
人生でこんなにドラマに夢中になったの初めてです(笑)
さて、今日紹介するのは・・・
第1回 ⇒ 初診時のブログ9月12日来院
第2回 ⇒ 1週間後のブログ9月19日来院
第3回 ⇒ 2週間後のブログ9月27日来院
と過去に3回掲載しているミニチュアダックスの重症皮膚炎の治療経過です。
それでは本日10月31日に来院されたので、初診時の状態と比較してみましょう。
初診時から7週間後、わずか2ヶ月弱です。
※画像をクリックすると大きくすることができます。
サラサラの美しい被毛が再生しています。
初診時から積極的な治療を開始し、わずかな修正もなく想定どおりの最短ルートで改善しました。
治療成績がよく通院頻度も4週間に1度まで減っていますので、ここで一旦区切りとして症例報告は終了です。
継続さえしていれば、もう初診時のようなことになることはないでしょう。
「アグレッシブに美しく」、初診時の診極めが重要です。
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