症例別

脂漏性皮膚炎の長期管理について初診と1年後

2017.03.07

脂漏性マラセチア性皮膚炎の治療に力を入れている皮膚病治療専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。

最も有名なのはシーズーなのですが、その他の犬種でも起こりえます。

犬種によって若干質感がことなりますが、トイプードル、チワワ、マルチーズなど小型犬で多く認められます。

今日はマルチーズの症例で、治療直後だけでなく約1年経った今でも長期管理ができているわんちゃんを紹介します。

【症例】

 マルチーズ 3歳 女の子(避妊手術済)

 ※来院時の年齢

【経過】

 〇1歳の頃に発症し、その後改善なく今日まで通年性の発症

それでは初診時の状態、治療後(約1~2ヵ月後)、1年経過した現在の3つのタイミングでの比較でみてみましょう。

まず痒みの強かった口唇部分、初診時・拡大・治療後との比較・現在の順番で掲載します。

上の写真では口唇の状態がわからないので、毛をかきわけてみます。

毛をカットしたものではなく、かいて擦り切れている状態です。「

治療によりしっかりと毛が伸びるようになりました。

※脱毛疾患ではないため、痒みが取れると毛がのびてきます。

そして1年後の現在。

※最後の写真が1年経過している現在です。

非常にいい状態がキープできています。

続いて、右前腕(手首と肘の中間)です。

初診時、初診時の毛カット後、治療後との比較、現在の順番で掲載しています。

以下の写真が今の状態です。

続いて、右前肢端(甲の部分)です。

初診時、初診時の毛カット後、治療後との比較、現在の順番で掲載しています。

※比較写真は、初診時の毛をカットした状態と、治療直後の状態を比較したものです。

以下の写真が、初診時から約1年経過した今の状態です。

続いて、右後肢です。

初診時、初診時の毛カット後、治療後との比較、現在の順番で掲載しています。

以下の写真が初診時から1年経過した写真です。

※初診時の毛カット前が皮膚病にみえないのはカメラ性能と光の影響、そして毛が被っているためです。

遺伝的な素因があるため、完治するタイプではないのですが、継続治療をつづけることで徐々にぶり返しにくくすることはできると考えています。

現在は月1回の薬浴、投薬治療の併用で一定の維持管理ができています。

こういった脂漏性疾患ではスキンケア、アトピー管理には免疫調整のためのサプリメントが長期管理に重要になっています。

また、遠方にお住まいの方には遠隔診療を提供しています。

このタイプであれば遠隔診療でも十分に対応できると考えています。

 

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

アポキルの効果判定【ウェスティの皮膚病治療】

2017.03.04

「医療に万能薬はない」と考えて、さまざまなアプローチを行う皮膚病治療専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。

インターネットの影響もあり、ご存知の方もいるとは思いますが、昨年「アポキル」というお薬が登場しました。

皮膚病治療の世界では、この新しいお薬であるアポキルのおかげで治療成績が向上しています。

そして発売から半年、予測どおり当院には「アポキルを使っているのによくならない」という初診の方が増えています。

しかし多くの場合は、アポキルが効く・効かないという簡単な問題ではなく、複数の要因を同時に診極めていないがためにおきていると考えています。

今日はそんな「そもそも・・・」という症例報告です。

【症例】

 8歳 ウェストハイランド・ホワイト・テリア 男の子

【病歴】

 〇2年前が初発

 〇耳・内股・四肢端の痒み、慢性的で腹部は真っ黒になっている

 〇アポキル2ヶ月投与したが、痒み悪化、色素沈着悪化、範囲拡大

それでは初診時の状態をみてみましょう。

耳や四肢端はたいした皮膚炎ではありませんでしたので、ここでは腹部のみ掲載します。

 

ウェスティといえば重度の皮膚病になりやすい犬種の1つで、しかも改善させにくいことで有名です。

この腹部が真っ黒になるのもウェスティではよくあるシーンです。

ですが今回はそんなウェスティにありがちな全身脱毛・傷・色素沈着の・・・・・・・・・ではありませんでした。

ウェスティでよくある顔・頚部にはほとんど病変はなく、わき・腕・背中などもまったく問題ありませんでした。

確かに四肢端もなめていますが、写真を撮るほどでもない程度です。

この色素沈着は腹部のみです。

答えはこの初診時の一瞬です。

そして初診時に処方したのは「2ヶ月服用して効果ないどころか悪化した」と聞いているアポキルと、もう一つのお薬、耳用の点耳薬の合計3つを処方しました。

もちろんこれだけで解決するとは考えていなかったのですが、飼主さまにもどのお薬がどう効いていくのかを実感していただきたかったので順番にアプローチする方法を提案しました。

「〇〇〇が隠れていると思いますが、スタートはアポキルと〇〇〇(もう一つの薬)の2種類でアプローチです。」

そして初診時から2週間後。

「見た目は随分とよくなった!」

でしたが、

「内股をなめる頻度はまったくかわらない」

ということでした。

もちろん想定範囲でしたので、初診時に選択した「アポキル、もう一つのお薬」に加えてあるサプリメントを加えて3種類で内股にアプローチすることにしました。

再度2週間後(初診時から4週間後)の状態をご覧ください。

随分とよくなりましたね!

ただ、内股をなめる動作は残っていますし、四肢端もよく舐めているということで、追加のお薬を処方することにしました。

もちろん初診時に伝えた「〇〇〇」への追加処方ですので、初診時の想定の範囲内です。

そこから2週間後(初診時から6週間後)です。

わずかな色素沈着がありますが、ほぼ綺麗といって問題ないレベルでしょう。

なめる動作も元々10とすると、残りは1~1.5というレベルまで減りました。

今回の治療では「最初からわかっていた治療内容を、あえて小出しにする」という方針でしたが、飼主さまにとっても、何がどう効果を示したか、とてもわかりやすい診療内容だったと思います。

ポイントは、

①悪くなった皮膚を改善するのに何が効果的だったのか?

 ⇒初診時の2つのお薬 アポキルともう1つのお薬

※ただし、舐める頻度はまったく変わらずだったため、痒みの原因は別のところにある。

②そもそもなぜ腹部を舐めるのか?根本的なアプローチは?

 ⇒初診時に伝えた「〇〇〇」が診断名で、根本的にはサプリメントと最後に処方したお薬が治療薬

③初診時に処方した2種類なく、後半の2種類のお薬のみであったら?

⇒徐々によるなるとは思いますが、倍以上の時間がかかったと思います。

ですね。

では、アポキルはどうだったのか?

当院でも初診時から処方したように、アポキルそのものが今回の治療に不適切だったとは思いません。

皮膚を改善させるための選択肢の一つとしては有効だったと考えています。

ただ、「アポキルでなんとかなる」とは思えない皮膚病で、原因が別にあることに気づくことが最も重要だったのだと思います。

根本的な疾患を診極めでいる上で、「アポキルを併用すると早く治る」と判断して処方するのがベストだったのでしょう。

以上ののことから、次の治療のプランは「アポキルから減らしていく」となります。

残るのはサプリメントを中心にした治療でしょう。

診療というのは飼主さまを満足させてこそで不適切なかもしれませんが、個人的には思い描いたとおりに進んだ診療でとても晴れやかです(笑)
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今回の症例に併用したサプリメント&スキンケア商品は、当院オンラインショップで取り扱いをしています。

お勧めは掻く・舐めるといった痒み治療のために開発したスターターセットです。

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今年は当院のスキンケア・サプリメントなどの共有や遠隔診療のパートナー病院を募集し、動物病院同士で新しくグループをつくりたいと考えています。

また、スキンケア・食事療法などさまざまな情報共有をすることで、皮膚病全体の治療成績を高める活動をする予定です。

その活動の一つは参加していただいた動物病院での院内セミナー開催です。

主なテーマは

・スキンケア

・膿皮症へのアプローチ 

・正しい食事療法

・見落とされている皮膚疾患

などです。

このセミナーを受けていただければ当院の症例報告の内容のほとんどを理解できると思います。

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

【皮膚科専門外来】ミニピンの湿疹・フケ・毛並みの異常

2017.02.26

湿疹や脱毛だけでなく、フケ・毛並みといった些細な皮膚トラブルの治療にも力をいれている皮膚病治療専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。

今日はミニチュア・ピンシャーを紹介します。

動物病院を受診するミニチュア・ピンシャーの皮膚トラブルといえば、「痒みを伴うアトピー性皮膚炎」が最も多いかと思います。

しかしミニチュア・ピンシャーにはもう一つ特徴的な皮膚トラブルを抱えています。

しかしこの皮膚トラブルが適正に診断されていることは極めて稀です。

当院も5年前まではまったくアプローチできていませんでした。

しかし今は違います。

初診時、診た瞬間に判断できるようになりました。

今日はそんな症例です。

【症例】

トイマンチェスターテリア    4歳2ヶ月  女の子(避妊済み)

【症歴】

 〇2年前からフケが多い

 〇同じくして虫食いのような小さな脱毛が繰り返しおきる

それでは初診時の状態をみてみましょう。

続いて、頚部です。

続いて、身体側面。

胸部側面のフケの状態です。

続いて、胸部です。

続いて、腰~大腿部の右側面です。

続いて、腰背部のフケの状態です。

同じく腰背の拡大です。
※ピントが若干ずれています。

ミニチュアピンシャーでは非常に多いタイプの皮膚コンディションですね。

見た目の重症度でいうとかなり軽いため、ミニチュアピンシャーを飼育されていない方であれば「乾燥肌?」程度にしかみえないかもしれませんが、立派な皮膚トラブルです。

動物病院の獣医師からみると、「ミニチュアピンシャーではよく診る」というタイプかと思います。

それでは8週間後の状態を比較してみましょう。

※頚部、変化が乏しいようにみえるかもしれませんが、被毛が随分と増えています。

※黄色の点線のエリアで被毛が増えています。

※一過性の下痢があった直後のためやせているのですが、治療上のものではありません。

治療の改善としてみるべきものは、

・フケがなくなった

・虫食い脱毛・湿疹がなくなった

・毛並みがよくなり、被毛が増えた

・タン(顔の柄)が綺麗にでるようになった

です。

表面上の診断名は「膿皮症」なのですが、問題は「なぜ膿皮症になるのか?なぜ繰り返し起きているのか?」ですね。

膿皮症を治すために抗生物質を使うことは間違いではありませんが、抗生物質では「膿皮症になる原因」を治療することはできません。

「抗生物質を服用するとよくなるが、やめると再発する」が起きてしまいます。

またこのタイプのフケを「乾燥肌、ミニチュアピンシャーに多い体質」と片付けてはいけません。

スキンケアとサプリメントだけで治るタイプではありませんが、スキンケアは非常に重要だと思います。

またこのタイプは初診時での診極めが可能なタイプの一つですので、メールと写真で継続治療を遠隔診療でも十分に対応が可能だと思います。

 

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

アロペシアXと診断されたトイプードルの脱毛症

2017.02.25

ポメラニアンやトイプードルに非常に多いアロペシアX(毛周期停止)の治療に力を入れている皮膚病治療専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。

この1年、アロペシアXのポメラニアン、トイプードルのわんちゃんの受診が非常に増えてきています。

以前は数ヶ月に1件程度だったのですが、この1年は月1件以上のペースで来院されています。

アロペシアXの治療は非常にデリケートのため、「生える・生えない」だけではないさまざまな視点から診ることが必要ですが、当院では選択肢の1つとして積極的な治療を提案しています。

※治療しない選択肢も同時に提案します。

今日はそんなアロペシアXに関する症例報告です。

【症例】

 トイプードル    6歳10か月     男の子(去勢済み)

【症歴】

 〇2歳から毛が薄くなり、「アロペシアXの疑い」の仮診断

 〇遠方の病院を受診し、投薬治療により発毛を認める

 〇再び脱毛がはじまったが、以前の動物病院が閉院したことで当院受診

まずは初診時の状態をみてみましょう。

続いて、頚部。

続いて胸~腹部。

続いて、身体側面。

続いて、背中。

最後に後ろから。

それでは初診時から14週間後(治療期間12週間)の状態と比較してみましょう。

※画像をクリックすると大きくすることができます。

部分的に薄い部位も残っていますが、正常の70%くらいまで改善しています。

また、「脱毛の進行とともに生えている毛が薄くなってしまった」ということでしたが、元々の「濃い毛」が再生してきました。

今回の症例のポイントはいくつかあります。

①2才のころの脱毛はアロペシアXだったのか?

②一旦改善したが、そのときの処方内容はなんだったのか?

③初診時に何を疑ったのか?

④初診時に何を検査したのか?

⑤当院で行った12週間の投薬治療は何か?

⑥今後は?

です。

ではまず①の「2才の脱毛はアロペシアXだったのか?」について。

正直なところわかりません。

ですがアロペシアXの可能性が高いのでは?と思っています。

では②の「一旦改善したときの処方内容は?」です。

残念ながら色々なお薬を混ぜて処方されていたようで、飼主さまもわからないということでした。

今となっては確定できないことですが、有名な動物病院でもあったので、「おそらくこんな処方だったのでは?」とイメージするものはなくはありません。

では③の「初診時に何を疑ったのか?」です。

もちろんアロペシアXを疑います。

そして同時に甲状腺機能低下症、副腎皮質機能亢進症も十分に疑うべきです。

では④の「初診時に何の検査をしたか?」です。

甲状腺と副腎の評価を行いました。

では⑤の「12週間の投薬治療」についてです。

実は、

甲状腺ホルモン剤を処方しました。

もちろん甲状腺ホルモン濃度が明らかに低下していたためです。

しかし皮膚科や内分泌疾患の著名な先生たちはこのように注意されます。

『アロペシアXの症例に甲状腺ホルモン濃度測定を行い、ホルモン濃度のわずかな低下を甲状腺機能低下症と誤診して、長期間甲状腺ホルモン剤を処方されて脱毛したままの症例をみますが、いくら処方しても毛は生えませんからね。あれはユーサイロイド(偽甲状腺機能低下症)です。注意しましょう』

※偽甲状腺機能低下症・・・甲状腺ホルモン濃度は甲状腺機能低下症でなくとも下がる場合もあり、検査結果で「本当は甲状腺機能が正常であるのに、その他の要因でホルモン濃度が低下した状態であり、投薬の必要はない」

皮膚科や内分泌セミナーで「陥りがちな誤診」としてよくある話なのは重々承知した上で、飼主さまにも同様の説明した上で治療方針を決定しました。

最後に⑥、「今後は?」です。

確かに一気に被毛の再生が認められましたので、「甲状腺機能低下症の診断&治療があっている」という見方もできます。

しかし個人的にはアロペシアを強く疑い、今回の甲状腺の内服治療も「3~6ヶ月で改善がなければアロペシアXと考えましょう」として処方したので、正直なところ「生えたんだ!?」とちょっと驚きでした。

そして確かに生えたのですが、「アロペシアXではない」とまではいえません。

甲状腺機能低下症+アロペシアXの可能性もありますし、アロペシアX単独の可能性もなきにしもあらずです。

まだ3ヶ月なのでどちらともいえないでしょう。

被毛がほぼ100%まで改善し、それがずっと続けば甲状腺機能低下症単独を考えますし、今後再び脱毛がはじまればアロペシアXを疑うべきだと思っています。

診断・治療は時に紙一重です。

検査結果、一時的な治療結果ともに信用しすぎず、常に1歩さがって全体を見渡しておく必要がります。

また報告する機会を作りたいと考えています。

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

【シーズーのスキンケア】脂漏性マラセチア性皮膚炎の治療

2017.02.19

脂漏性マラセチア性皮膚炎になりやすいシーズーの皮膚病治療にスキンケアを取り入れいている皮膚病治療専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。

2016年の夏に新しいお薬が発売されてこのタイプの皮膚病がぐっと減るのではないか・・・と予測していたのですが、今のところあまり大きな変化はありません。

効かないわけではないのですが、1つのお薬単独で劇的な改善があるわけでもないので、やはりスキンケアがなければいいお薬も生かされないのだろうと思います。

【症例】

 シー・ズー  7歳  男の子(去勢済み)

【症歴】

 〇3年前から続く慢性的な皮膚病

 〇1年中発症しているが、特に梅雨~夏に悪化する

まずは初診時の状態をみてみましょう。

被毛が多いと皮膚コンディションが診え難いのと、スキンケアの効果メリットを考えて全身をカットさせていただきました。

それでは治療後の状態を、初診時及びカット後の状態と比較して見ましょう。

※画像をクリックすると大きくすることができます。

上記でも軽く触れましたが、こういったタイプでは投薬治療が有効なため、当院でもいろいろ組み合わせて処方するのですが、「スキンケアなくして改善なし」は共通です。

その理由は当院に特別なお薬があるわけではなく、処方するほぼすべてのお薬がどんな動物病院でも日常的に処方されているものだからです。

今回処方した内服も、どの動物病院でも処方されているタイプのものです。

そのため治療の差で「今までなかったもの」については、「スキンケア」と「サプリメント」くらいだと思います。

医療において魔法のようなお薬はありませんので、すべての治療パーツを組み合わせてはじめていい治療効果を生み出します。

内服の組み合わせやタイミングを変えることでコントロールしやすくなることもあるので、それは皮膚の経過・コンディションをみながら、経験を生かして変化をつけていきます。

当院で使用しているスキンケアとサプリメントは以下のオンラインショップからでもお買い求めいただけます。

適切な医療とともに併用することで相乗効果を生むことができると思います。

また、当院ではこのタイプのわんちゃんにも遠隔診療を提供しています。

 

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

【フレブルの皮膚科専門外来】足の腫れ、顔の痒み、湿疹

2017.02.17

フレンチブルドッグの皮膚病治療に力をいれている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。

冬の診察は暇なのですが、3月から11月まではフルスロットルで駆け抜けることになるため、最近は診察以外の仕事が忙しくなっています。

もうまもなく冬が終わりますので、徐々に身体と心のギアをあげていきます!

【症例】

 フレンチ・ブルドッグ 8歳 女の子(避妊手術済)

【経過】

 〇1歳から続く慢性的な皮膚病

 〇季節性はなく、ほぼ1年通した発症

 〇過去の治療は抗生物質、ステロイド、抗真菌剤、抗菌軟膏など。

それでは初診時の状態をみてみましょう。

まずは全体像。

続いて、顔の拡大です。

※ちょっとわかりにくいですが、皮膚炎が強く顔に傷が多数あり、硬くなっています。

続いて左右の前肢です。

続いて、腹部です。

それでは治療後と比較してみましょう。

※画像をクリックすると大きくすることができます。

※最後、腹部にちいさな湿疹が1つ残っていますが、このあと完全に消失しました。

完全に綺麗になってから最後撮影する予定を忘れていたようで・・・失礼しました。

今回のポイントは四肢端とお腹と顔の皮膚トラブルが1つの病気ではないことですね。

1つの診断名と1つのアプローチでは絶対にいいコントロールは不可能です。

この初期の治療は薬浴とサプリメントを主に行いました。

特に内股の湿疹にはサプリメントが非常に有効です。

四肢端・顔の改善には投薬治療が必須と考えています。

 

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

【遠隔診療の実際】メールと写真で治るのか?

2017.02.13

フレンチブルドッグの痒みを伴う皮膚病治療に力を入れて取り組んでいる皮膚病治療専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。

今回は当院受診のきっかけがちょっとだけいつもと異なる症例報告です。

きっかけは、当院のオンラインショップの無料相談(スターターセット購入の特典)からでした。

飼主さまからいただいた写真の状態は重度の皮膚病であり、過去の治療歴の経過もかんばしくなかったこともあったので、当院の遠隔診療を提案させていただきました。

もちろん写真をみて「遠隔診療で十分に対応できる」と判断したのもあります。

では、治療症例です。

【症例】

 フレンチ・ブルドッグ  3歳6ヵ月   男の子(去勢済み)

【症歴】

 〇1年半前からの皮膚病

 〇過去に2件の動物病院を受診

それでは初診時の状態から紹介します。

まずは正面から。

続いて、顔の皮膚炎。

続いて、頚部の湿疹。

続いて、胸部の湿疹。

続いて、わきの湿疹。

続いて、腹部・内股の湿疹。

続いて、側面です。

斜め後ろからみると湿疹の分布が非常にわかりやすいです。

実際に診たのはこの上記の初診1回のみで、この後はすべてメールと写真による遠隔診療としました。

治療後、飼主さまにご自宅で撮影していただいた写真を紹介します。
まずは、顔。

続いて、腹部。

続いて、背中全体。

続いて、左側面。

続いて、右側面。

続いて、右前肢。

もちろん湿疹は一つもなく、顔・身体・四肢端すべての痒みも改善されました。

よく「初診時の診極め」とお話しますが、現実はメールと写真でもほとんど診極めができるのが皮膚科です。

もちろん当院でも治療成績がかんばしくない場合もありますし、本当のマレな難治性もいるのですが、確率論で「一般的な体質」に入るのが現実です。

今回のフレンチブルドッグのわんちゃんも同様で、抑えるべきところを抑える治療を選択すれば治療は一瞬です。

もちろんこういった症例には当院のスキンケアとサプリメントは必要不可欠です。

メールと写真で行う遠隔診療の実例を紹介してみました。

同じようなわんちゃんであれば、遠隔診療でもかなりの高い精度で治療成績を劇的に向上することが可能と考えています。

もしお困りの飼主さまは、一度ご相談ください。

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

ステロイドの副作用で原型を留めない皮膚病になったら・・・

2017.02.10

フレンチブルドッグの皮膚病治療に力をいれている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。

ステロイド、この言葉にどう反応するのか・・・診察をしていると人それぞれですので、本当に奥の深い世界なのですが、みなさまはこのステロイドにどんなイメージをお持ちでしょうか?

世の中には「脱ステロイド」という魔法のような魅力的な言葉があり、限られた世界だけではありますが、まるで「正義の御旗」のような存在感すら感じさせます。

当院では「ステロイドは使いこなしてこそ」というスタンスで、ステロイドにしかない魅力を最大に生かす皮膚科診療を目指しているほど積極的に使用します。

しかし「脱ステロイド」という言葉が正義の御旗になってしまうには理由があります。

そう、ステロイドの副作用です。

当院でも数え切れないほどこのステロイドの副作用を見てきました。

今日はそんなステロイドの副作用で難治性皮膚病になったわんちゃんの治療症例です。

【症例】

 フレンチ・ブルドッグ 3歳 男の子(未去勢)

【経過】

 〇2年前からずっと皮膚トラブル

 〇2年間ステロイド外用薬を処方され続け、年に4~5本使用してきた

 〇28年2月に湿疹対策で背中の毛をカットしてから、ずっと生えてこない(半年以上)

 〇過去に使った内服薬は抗生物質、ステロイド(2種類)、抗アレルギーの痒み止め(新薬)

それでは初診時の状態をみてみましょう。

まずはお顔の正面から。


続いて、身体の右側面。

同じく右側面からみたやや背中にできている病変部の拡大です。

続いて、背中です。

続いて、上の写真のやや左側にある病変部を横から撮影しました。

続いて、腰背部の拡大です。

続いて、背中のやや右にある病変部の拡大です。

この初診時から5ヵ月後の状態と比較してみましょう。

※画像をクリックすると大きくすることができます。

非常に綺麗に再生してきました。

この症例では考えるポイントはいくつかあります。

Q1.なぜ生えなかったのか?

Ans.ステロイドの内服、外用薬の影響で被毛再生がストップしてしまった

続いて考えることは?

Q2.なぜ被毛が再生したのか?

Ans.ステロイドの服用と外用を中止して一定の時間が経ったため

非常にシンプルですね。

では

Q3.使っていたものをやめただけの治療なのか?

と思いませんか?

それにお答えする前にこうも考えられないでしょうか?

Q4.以前は何を目的にこんなにステロイドを使っていたのか?

もっと詳しくいうと、「最初にどんな病変があって、何に対してステロイドを使ったのか?本当はどうするべきだったのか?」を予測しなければいけません。

飼主さまは「昔の皮膚病はこうではなかった」ということで、特徴をお話してくださるのですが、何せ言葉だけですから、頭の中で想像するしかできません。

ですが初診時に「最初がどんな皮膚病だったのか?」はすぐにわかりました。

わかるというより、確信です。

そのため、「今から治療の中でステロイドをやめると、時間はかかりますが被毛は再生してくるでしょう。・・・・ただ、おそらく元々の皮膚病が再発しますから、再発したら元々のあった皮膚病に必要な治療を開始しましょう」と伝えました。

では、

Q5,元々の皮膚病はどんな病変だったのか?

予測どおり途中で再発したのはこのタイプでした。

再発するのをわかってて、あえて何もせずこのタイミングまで待ちました。

Q6.なぜ再発するのをわかっていて、それをまったのか?

Ans.フレンチブルドッグの場合は皮膚トラブルとは長いお付き合いになるため、なぜでるのか、どうすべきなのか、実際の診療をとして実感していただくのが何より飼主さまのためになるからです。

Q7.では元々あった皮膚病に対して、どうアプローチすればよかたのか?

さらにもう一つ追加があります。

Q8.なぜこの湿疹が再発しやすく、今でもこうやって再発するのか?そしてどうしたら再発しないのか?

当院から提供したのは2点です。

1点目は、「2年前の湿疹のとき、こうやっていれば治ったのですよ」という本来あるべき理想的な治療アプローチ、「ほら、綺麗に治るでしょう?」です。

2点目は、「なぜこんなに再発するのか? 〇〇〇〇が原因で、〇〇〇したらで再発しないんですよ。」という根本的再発防止アプローチ、「ほら、治ったあとも再発しないでしょう?」

すべて、初診時に用意していた通りです。

とても気さくで明るい飼主さまのおかげで、途中から診察室は爆笑の連続で、非常に楽しい診察をさせていただきました(笑)

僕の診療のパフォーマンスをすべて正面から受け止めていただけたので、獣医師冥利に尽きるとはまさにこのことですね。

受け入れていただけたことに感謝です。

そして最後の追加ですが、このわんちゃんには耳介辺縁皮膚症も治療途中に明確になり、

随分前にコツを掴んだとおり、ここも綺麗に改善さえることができました。

※アフターの写真を撮影するのを忘れました・・・

最後に、このタイプの皮膚トラブルにはスキンケアとサプリメントが非常に有効です。

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

【トイプーの皮膚病治療】退職される獣医師の紹介症例

2017.02.08

トイプードルのアトピー・アレルギー膿皮症・脂漏症・マラセチア性皮膚炎・脱毛症などの皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。

今日紹介するのは三重県の随分遠い南の方から受診されたトイプードルのわんちゃんです。

当院を受診するキッカケが印象的で・・・

来院された飼主さまは、この子が子犬のころからずっと同じ先生に診てもらっていたのですが、

その先生が動物病院を退職されるということで、最後に当院受診をお勧めされたそうです。

【症例】

 トイ・プードル 5歳 女の子(避妊手術済)

【経過】

 〇3年前から1度も改善するのことのない皮膚病

 〇アミノ酸系療法食による食事療法を継続中

 〇かかりつけ動物病院の先生からの紹介で当院受診

 〇過去に抗生物質を3種類変更しながら服用するも改善しない

それでは初診時の状態をみてみましょう。

まずは全体から。

続いて、左目。

続いて、口唇(左)。

続いて、右前腕(肘の屈曲部)。

続いて、腹部。

続いて、前肢の指の間。

続いて、左後肢先端。

わかりやすい写真ではなかたので掲載しませんでしたが、背中全体にも湿疹が認められました。

この初診時から3ヶ月少し、治療後の状態との比較をみてみましょう。

※画像をクリックすると大きくすることができます。

痒み、湿疹ともにほぼ消失しています。

もちろんこの3年間でベスト!と喜んでいただき、「もっと早くここに来ればよかった」とおっしゃっていただけました。

今回の皮膚病治療のポイントですが、全体を1つの皮膚病として捉えないことです。

「皮膚が弱い」という意味では一つですが、治療の上では大きくわけて2つあります。

そのため何か1つの特効薬、魔法のようなお薬で全身改善させることができるわけではありません。

パーツの組み合わせのように、同時に複数のパーツをピタッと合わせることでここまで改善することができます。

そして大事なことを追加しておきます。

当院が非常に重要視している食事療法ですが、このわんちゃんが継続していたアミノ酸系療法食は・・・・・

理由を丁寧に説明した上で変更していただくことにしました。

もちろん今食べているドッグフードは、普通にペットショップで販売されている一般食です。

そしておやつなどの食事制限はなく、何を食べてもかまいません(笑)

大事な大事な食事療法、本当の食事療法が飼主さまには伝わっていると思います。

投薬治療も重要ですが、治療と再発予防に必要なのがスキンケアとサプリメントです。

今回のわんちゃんにも処方して継続してもらっています。

また当院ではこのようなタイプのわんちゃんに遠隔診療に対応しています。

他の症例に比べてコントロールは非常に難しいタイプですが、遠方にお住まいの方でお困りの方はご相談ください。

今回は獣医師の先生から紹介されたということで、とてもプレッシャーのかかる診察でした。

もう退職されたということでご連絡はとれないのですが、ご期待に応えることができてよかったです。

ご紹介ありがとうございました。

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

【フレンチブルドッグの皮膚病治療】全身の重症症例

2017.02.06

フレンチブルドッグの湿疹・膿皮症・アトピーなどの皮膚病治療に力をいれている動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。

診療でよく実感することですが、「医療に魔法はない」です。

もちろん劇的な改善で、「うちの子に何をやったんですか!?」と喜んでいただくことは少なくないのですが、それでも医療に魔法はないのです。

大事なことの一つはピンポイントの診断・治療、そしてそれらを適切に生み合わせることです。

【症例】

 フレンチ・ブルドッグ  11歳3ヶ月  女の子(避妊済み)

【症歴】

 〇3ヶ月前から皮膚病

 〇かかりつけ動物病院で治療するも改善なし

それでは初診時の状態をみてみましょう。

まずは顔から。

続いて、頚部。

つづいて、前胸部。

続いて、左前肢(肩付近~前腕にかけて正面から撮影)。

続いて、右前肢の外側面。

続いて、左前肢先端です。

続いて、右側面の胸部付近。

続いて、右側面腹部~大腿部。

それでは初診時から9週間後の状態と比較してみてみましょう。

※写真をクリックすると大きくみることができます。

まだ治療途中ですが、出血・傷はもちろん、湿疹もほとんど消失しました。

ここまで到達すればもう安心です。

あとは「もっとよくなる」、そして「再発させない」が重要です。

もう一度フワフワ&サラサラの被毛に回復させ、お薬がなくても再発もない状態へ導きます。

今回の症例をスキンケアとサプリメントのみで改善させるのはさすがに無理なのですが、治療と「再発防止」として重要なのがスキンケアとサプリメントです。

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

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