2017.03.10
犬の皮膚病の中でも比較的難治性になりやすい脂漏性マラセチア性皮膚炎の治療に力をいれている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
マラセチアと脂漏を伴う皮膚炎といえばシーズーが最も有名で、人気犬種の中ではトイプードル・チワワなどでもよく来院があります。
もちろん独特の体質としてコッカーやウェスティなどでもありますし、柴犬でもめずらしくありません。
そして今回紹介するのはミニチュアダックスフンドですが、ダックスでも珍しくはありません。
【症例】
ミニチュアダックスフンド 7歳 男の子(去勢済み)
【病歴】
〇1才のころからフケ・乾燥、痒みを伴う皮膚トラブル(軽度)
〇昨年の夏から悪化
初診時の状態を紹介します。
顔の側面、左からです。
頭部の拡大です。
続いて、顔の右側から。
続いて、頚部です。
同じく頚部の拡大です。
続いて、腹部全体像。
続いて、前胸部~わきにかけて。
続いて、右前腕です。
同じく、右前腕の拡大です。
同じく、右前肢端の拡大です。
続いて、後肢です。
続いて、右側面。
続いて、右後肢の側面です。
それでは、約1ヶ月後の状態との比較です。
※画像をクリックすると大きく見ることができます。
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まだ1ヶ月という非常に短期間ですが、見違えるほど綺麗に改善しています。
飼主さまも「夜にぐっすり眠れるようになった」と喜んでいただけました。
ただ、治療はまだ前半であり、本当の治療はここから新しくはじめます。
どういうことかというと、ここまで前半の治療は「重度の皮膚炎、脂漏を抑える」という治療でしたが、これからは「皮膚コンディションを改善させる」という、より根本的なところへアプローチします。
「???」と思われるかもしれませんが、ここが「木をみて森をみず」にならない一つ上の医療を目指すポイントです。
脂漏性マラセチア性皮膚炎という診断名に間違いはありませんが、大事なのは「なぜなるのか?」「なぜこれほど悪化するのか?」を考えていくことが医療だと思います。
「診断名が原因をあらわしているとは限らない」、「症状の改善方法と、根本的な治療が同じとは限らない」とは今までの症例報告で伝えてきたとおりであり、今回のミニチュアダックスフンドの脂漏性マラセチア性皮膚炎でも「ある疾患」が隠れています。
今回の症例もこの「ある疾患」に気づかなければ、比較写真の「随分よくなりましたね~」の途中で終わってしまいます。
症状の改善がみとめられたら、治療も次のステップへ移ります。
半年後くらいが楽しみです。
また、今回の治療症例には院内薬浴を行いました。
スキンケアだけで改善するほど甘くありませんが、「スキンケアなくして改善なし」があてはまる症例でもあります。
非常に多くの方にご利用いただいていますが、必ず適切な医療(診断&治療)とともに併用してほしいと思います。
遠方にお住まいで当院に継続的な通院ができない場合でも、メールと写真で継続治療が可能な場合もありますので、一度ご相談ください。
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