2017.06.05
犬の痒みを伴う皮膚病治療を専門に行う皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
最近、仕事が終わって病院からでるときに違和感を感じます。
・・・・そう!外が明るい!
1年のほとんどを真っ暗の時間帯に帰宅するのですが、6月だけは外がちょっと明るいのがとても嬉しいです!
勤務医時代は「今日中(24時まで)に帰れるのか?」という毎日だったことを考えれば、外が明るいなんてびっくり(笑)
さて、今日も「アポキルを服用しているのに痒みが改善しない」という症例の治療報告です。
【症例】
ウエスティ 6歳 去勢雄
【病歴】
〇2才からつづく痒みトラブル
〇昨年8月(初診時から8ヶ月前)からアポキルを服用、最初1日2回のときはよく効いたが、その後1日1回にして徐々にぶり返す。
〇痒みの部位は、口唇、頚部、腕、手先&足先(舐める)、お腹を舐める、膝~かかとを噛む
〇痒みが強いため、日常時にエリザベスカラー(ドーナツ型)を着用している。
〇背中が脂っぽくべったりしている
〇背中にブツブツ、お腹に赤い湿疹が複数ある
それでは初診時の状態です。
※毛をカットしたわけではありません。
続いて、右前腕です。
続いて、前肢端の指の間です。
ちょっと毛が多いので見えにくいのですが、黒いフケのようなものが皮膚炎で過剰になった皮脂です。
続いて、右後肢の膝~スネの部位です。
続いて、左後足の膝~スネのあたりです。
それでは約1ヶ月半の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
口唇、頚部、腕、四肢、お腹、膝~カカトの全ての痒みがほぼ消失しました。
痒みもコントロールされ、被毛の回復が認められています。
※比較がしずらい写真でしたので、腹部・膝付近の治療後は掲載しませんでした。
もちろんエリザベスカラー(ドーナツ型)も完全にはずして落ち着いた生活に戻れています。
改善後、診察時に飼主さまから驚きの質問がでました。
「どうしてよくなったんですか!?」
・・・・・・一瞬どう答えていいのか思わず言葉がつまって汗ってしまいました・・
昔、大阪にいたときなら「腕がいいから♪」ってボケでましたが、名古屋ではツッコまれることがないので言えません(笑)
では、ちょっとまじめな話に戻って・・・毎回お話していますが、アポキルは万能薬ではありません。
非常にいいお薬で、今回の症例でも結局はアポキルを処方していますが、2日に1回まで減らして上記のいい状態です。
元々1日2回で効果あり、1日1回に減らしてぶり返して・・・・・・当院で2日に1回まで減らしてコントロール良好という状態です。
アポキルを服用して痒みがコントロールできないとき、「アポキルが効かない」ではないこともあります。
多くはアポキル以外のパーツが足りないということが圧倒的に多いです。
大事なことは皮膚全体をみて、「アポキルだけでは効かない。アポキル以外に何が必要か?」という詳細な判定ができることですね。
今回も初診時の処方でほぼコントロールまでもっていくことができました。
こういった症例では改善のために必要な治療プランと、再発させないようにするための治療プランにわずかな違いがあります。
より根本的で、再発させない治療プランには当院のスキンケアとサプリメントが非常に合うと思います。
皮膚科専門の動物病院で、治療のために開発した「差のつくスキンケア&サプリ」です。
四肢端や腕、膝~カカトの病変にはスキンケアだけではなく、心因性も疑われるのでヒーリングケアLFプラスがおすすめでしょう。
お薬を減らすための「医療にプラス」のケアにぜひご利用ください。
投稿者:
2017.06.03
フレンチブルドッグの痒みを伴う皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
春の膨大な仕事も終わり、落ち着いてきたので溜まっていた症例報告を続けていこうと思います。
テーマは引き続き「アポキルが効かないとき、どうするのか?」についてです。
今日は「アポキルを服用しているのに痒みが改善されない」ではないのですが、「アポキルだけではコントロールが難しかった」という症例です。
【症例】
フレンチブルドッグ 8歳 去勢雄
【病歴】
〇4年前からの慢性的な痒み
〇季節性があり、夏の方が悪化しやすり
〇過去の投薬治療は主にステロイドで、一時的にシクロスポリン
〇痒みで身体を傷つけるほど掻くため、1年以上エリザベスカラーを装着している
〇床がぬれてしまうほど手先をよく舐める
それでは初診時の状態です。
づづいて、かなり痒みの強い部位の一つ、胸部の側面です。
胸部の側面を拡大してみましょう。
これは脱毛疾患ではなく、掻き壊しといって強く書くことで毛が引きちぎれいているため引き起こっているものです。
続いて、左側面です。
膝~スネにかけて噛んでいることで傷が認められます。
続いて大腿部の尾側、全身での発症ではありませんが赤い湿疹が認められます。
この初診時で初期治療としては湿疹(膿皮症)に対して抗生物質、季節性の痒みに対してアトピーを疑いアポキルを併用しました。
この2つの投薬治療である程度の改善が得られましたが、「エリザベスカラーをはずせない」「アポキルを1日2回服用しないと抑えきれない日が多い」であり、十分に痒みをコントロールできているという状況ではありませんでした。
また膿皮膚症も抗生物質の服用により数を減らすことができたのですが、やはり服用しながらも新しい湿疹が週に1~2箇所できる・・・という状態でしたので、胃腸免疫サプリ「スキンケアECプラス」を併用しました。
さらに「掻き壊し」が心因性によるものと疑い、心因性に対するサプリメントでのアプローチを開始しました。
お薬はあえて変更せず、初診時に採用した抗生物質とアポキルの2種類のままで、追加は2つのサプリメントのみとしました。
併用後から激しく掻き壊すシーンが減り、アポキルを1日2回必要とする日もどんどん少なくなり、エリザベスカラーも完全にはずすことができるようになりました。
湿疹はスキンケアECプラスを併用して以降、抗生物質を必要とするような再発がないくらい綺麗な状態を保っています。
そして最も悪化しやすい季節になりましたが、エリザベスカラーを装着することはありません。
それでは、治療後の比較画像です。
※画像をクリックすると拡大することができます。
派手さはありませんが、毛並みが綺麗になっているのがわかると思います。
今回は投薬治療とサプリメントの相性が非常によく、アポキルを減らすことができた症例です。
湿疹タイプの膿皮症にはスキンケアECプラスがおすすめで、心因性にはヒーリングケアLFプラスを使うようにしています。
スキンケア単独で改善するタイプではないのですが、湿疹のケアには非常に有効だと思います。
初めてのご利用の方は写真を用いた無料相談ができる痒みケアスターターセットをお勧めします。
投稿者:
2017.06.01
痒みの皮膚病治療のみを専門に行う動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
先日のアポキルセミナーでも話題になりましたが、「アポキルが効かない時」というのは今後の皮膚科の一つのテーマだと思います。
かといって医療に魔法の薬がないように、「アポキルが効かない」というときの原因も1つではないのが、すぐに答えにたどり着けなさそうな医療の難しいところですね
もちろんアポキルが効いていても、「まだ痒い」や「減らすと痒がる」であれば、何をもって効いているというのか・・・細かい考えたらきりがないのですが、とりあえず「アポキルで期待していた効果を得られなかった」という場合にどうするか?について部分的にお話してみようと思います。
そもそも診断が間違っていて・・・という数歩下がったところから掘り返すと何時間もかかりそうな話になるので、そこは割愛させていただき、今回は「心因性」というテーマにしぼっていきたいと思います。
アポキルが登場して約1年、かなりの症例に処方してきましたが、すごく効くわんちゃんと、「あれ?」というわんちゃんがいます。
痒がる場所はそっくりなのに、お薬の反応に差がでる・・・・そうなると「その差は何か?」ということになりますよね。
その差を生めることができれば一つ上の治療ができるので、この1年いろいろ試してきました。
その中の一つのパーツが「心因性」です。
心因性の痒みにはアポキルが効き難い傾向があります。
そのため治療に心因性のアプローチを追加すると、改善がみとめられたり、アポキルの投与回数を減らすことができたり・・・という変化が生まれます。
おそらくアポキルとの相乗効果も十分期待できるとは考えています。
どんなわんちゃんに心因性を疑うか・・・というと、
□ 手先・足先をよく舐める
□ 腕、手首、膝、スネをよく噛む&毛をむしる
□ 湿疹はないけど、お腹をよく舐める&噛む
□ お薬が効き難い ※特にアポキルの効きが悪い
□ お散歩やお出かけ中は痒がらない
□ 食事療法で改善がない
□ アレルギー対策はしている
こういったわんちゃんでしょうか。
痒み=心因性ではないのですが、心因性の評価が不十分がゆえに治療がうまくいっていないケースはかなり多くあると思っています。
※心因性という診断が正しくても、心因性のアプローチが必ずしも改善につながるわけではないです。やはり条件、組み合わせなどさまざまな要因が関係します。
当院ではそんな投薬治療だけではカバーしきれていない心因性の痒み部分をサプリメントでサポートする治療プランを提案しています。
それがこの1年以上、膨大な治療チャレンジを経て導き出し、開発したのが「ヒーリングケアLFプラス」です。
成分はラクティウム100mgとラクトフェリン100mgです。
ラクティウムは「あかちゃんは母乳を飲むとなぜぐっすり安らぐのか?」という経緯から見つけられた成分で、リラックス作用が認められています。
ラクトフェリンも母乳に含まれる成分の一つでリラックス作用だけでなく、抗菌作用や胃腸免疫改善作用、そしてアトピーなどのアレルギー対策として非常に期待できる成分です。
両成分ともかなり高価であり、人のサプリメントでもラクティウムとラクトフェリンがともに100mg含有しているサプリメントはありません。
そしてこのヒーリングケアLFプラスの開発により、当院のスキンケア商品と、胃腸免疫サプリメントのスキンケアECプラスと合わせて、医療に足りない部分のかなりの範囲をカバーできるようになりました。
セット内容 Medicareクレンジングオイル
Medicareシャンプー
Medicareローション
スキンケアECプラス
ヒーリングケアLFプラス
当院のオンラインショップでお求めいただけます。
今回のヒーリングケアLFプラスですが、人が服用できる基準で製作しています。
僕に皮膚病はないのですが、ストレスが多い社会を生き抜くためにこのLFプラスを毎日服用しています(笑)
※もちろんスキンケアECプラスも毎日服用しています。
投稿者:
2017.05.22
こんにちは、フレンチブルドッグの痒みを伴う皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院四季の森どうぶつクリニックです。
暑い日が続いており、わんちゃんの皮膚トラブルも増えてきました。
今からケアを欠かさずつづけることで、いいシーズンにすることができますので、がんばっていきましょう。
それでは今日の症例です。
【症例】
10歳 フレンチブルドッグ
【病歴】
〇3年異常前から手先~腕を舐める皮膚病
〇その他、お腹の皮膚炎、頚部~胸の皮膚炎
〇過去の治療歴はステロイドの内服と外用薬
※ステロイド内服、1年365日のうち100日以上服用、3年以上継続
それでは初診時の状態をみてみましょう。
まずは正面から。
続いて、頚部~前胸部。
同じく前胸部の拡大、黄色の皮脂がびっしりと付着しているのがわかるでしょうか?
続いて、胸部、円形脱毛があり、湿疹があることがわります。
続いて、右前肢。
続いて、左前肢。
同じ部位の拡大をみてみましょう。
同じく左前肢の指先です。
それでは治療後と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
非常に綺麗になりました。
今回の治療にはアポキルを併用しましたが、腕を舐める症状と足先を舐める症状は改善しませんでした。
そのためアポキルに当院のサプリメントを併用したところ、写真のように非常にきれいな改善を認めました。
確かにアポキルは安全性も高く、非常に強力な痒みを抑える作用がありますが、すべての痒みを押さえるわけではありません。
当院のサプリメント、ヒーリングケアLFプラスはこういったアポキルが聞きにくい、特に四肢端や腕を舐めるわんちゃんの体質ケアに非常にお勧めです。
いくつかの商品がありますが、フレンチブルドッグのわんちゃんであれば、掻く・舐めるといった痒み治療のために開発されたスターターセットをお勧めします。
今回のわんちゃんでも、脂漏にはスキンケア、湿疹にはスキンケアECプラス、四肢端の舐める痒みにはヒーリングケアLFプラスと症状に適したケアを行って治療を成功に導くことができました。
投稿者:
2017.05.21
トイプードルの脂漏性皮膚炎の治療に力を入れている皮膚科治療専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
春のピークも過ぎ去り、通常モードになってきましたので、症例報告を再開していきます。
それでは今日はトイプードルの典型的な皮膚病の一つ、脂漏症の症例報告です。
【症例】
トイプードル 9歳2ヵ月 女の子(避妊済)
【症歴】
〇1歳から発症
〇過去の治療はステロイド、クロルヘキシジンシャンプー、ケトコナゾールなど
それでは初診時の状態をみてみましょう。
続いて、身体を右側面からみてみましょう。
続いて、頚部です。
同じく頚部をやや右側からみてみましょう。
続いて、左の耳です。
続いて、右前肢です。
続いて、左前肢です。
続いて、身体の左側面、腹部~大腿部にかけてです。
同じく太もも外側の拡大です。
続いて、右後肢の内側です。
同じく、右後肢の膝~スネにかけての写真です。
同じく右後肢の甲~足首の部分です。
かなり重度の脂漏性皮膚炎ですが、トイプードルでよくある典型的な状態でもあります。
病気としては特別なものではなく、治療は非常にシンプルです。
それでは治療後との比較をみていみましょう。
※画像をクリックすると大きくすることができます。
まずは頚部です。
毛がのびていて、皮膚がみえにくいため、まだ被毛が伸びきっていない状態の比較もだしてみます。
続いて、左耳です。
続いて、右前肢です。
続いて、左前肢です。
続いて、身体の右側面です。
続いて、右後肢の内側です。
同じく右後肢の膝~スネの部位です。
このスネの部分ですが、被毛が長くなって、皮膚コンディションが見えにくいため、治療途中をお見せします。
かなり綺麗になっているのが伝わると思います。
続いて、右後肢の足首~甲にかけての部位です。
同じく治療途中の状態をみてみましょう。
かなり皮膚コンディションが改善しているのがわかると思います。
トイプードルの痒み・皮膚トラブルにはさまざまな要因があり、どこに力をいれて治療すべきかは症例によって異なります。
投薬メインの場合もありますし、スキンケアメイン、サプリメントが重要なこともあります。
当院ではありとあらゆる角度からのアプローチで高い治療成績をだしています。
差のつく治療成績のポイントがスキンケアとサプリメントです。
遠方の飼主さまでもご利用いただけるようにオンラインショップでも取り寄せることができますので、お困りの方は一度ご検討ください。
さまざまな商品がありますが、トイプードルであればヒーリングケアLFプラスが含まれた「掻く・舐めるといった痒み治療のために開発されたスターターセット」が最も適していると思います。
投薬治療と併用することで、今まで以上に高い治療成績をだすことが可能です。
投稿者:
2017.05.20
柴犬の皮膚病治療に力をいれている、皮膚科専門動物病院の四季の森どうぶつクリニックです。
随分と暑くなってきましたね♪
昨年、皮膚科の画期的な新薬「アポキル」が発売されて、そろそろ1年が経とうとしています。
1年前に使い始めたときは「先生!うちの子に何を使ったの!(笑)」と言われるほどの劇的な治療効果に驚き、同時に「自分の仕事は無くなるのではないか!?」と恐怖さえ抱いたことを覚えています。
・・・・・・あれから約1年、そんなアポキルをもってしても、当院を受診される飼主さまは減りませんでした。
変わったのは、
「アポキルを飲んでいるのによくならない」
「アポキルが効かなかったらしょうがない、と言われた」
と頻繁に聞くようになったことでしょうか。
しかし当院では「アポキルが効かなければ次はない」というような最終兵器とは思っていません。
アポキルが効きにくい症例は珍しくないのですが、本当の意味で効かないわけではありません。
効かないには効かないなりの理由があり、「効かせる」ことができるのです。
今日はそんな「ある工夫でアポキルを効かせた」症例報告です。
【症例】
柴犬 4歳 去勢雄
【病歴】
〇生後6ヶ月から続く、季節性のない通年性の痒み
〇当院で4件目の受診
それでは初診時の状態です。
まずは顔の側面から。
つづいて、体幹の側面(右側)です。
腹~胸部の側面の毛をかきあげて、どれほど掻いて毛がなくなっているかを撮影してみると、
地肌がみえているため、かなり強く掻いているのがわかります。
続いて、後足側面です。
こういったわんちゃんにアポキルを処方すると・・・
※写真をクリックすると拡大してみることができます。
随分とよくなります。
しかし・・・
十分に効かない部位が残っているのがわかります。
アポキルを毎日3ヶ月以上服用しても「痒みが強い」という症状のままです。
実は原因はわかっています。
そのため「〇〇〇すれば効くようになりますよ!」とあることをします。
すると、4週間後・・・
かきむしっていたのが随分と落ち着き、掻き壊すこともなくなってきました。
アポキルの投与量や、投与回数は一切変更せず痒みの改善が認められました。
今回の治療症例のポイントは、
①アポキルの投与により痒みが激減した部位は確かにある(顔)
②アポキルでまったく効いていない部位もある(胸・お腹)
③アポキルが効かないわけではない(顔は効いている)
④痒みのすべてが1つの原因で起きているとは限らない
⑤別の問題点が隠されていることに気づかなければいけない
⑥アポキルの量や回数の問題ではない
でしょうか。
そして最も大事なことは、「診た瞬間に、アポキルが効くけど、アポキルだけでは無理。工夫が必要。」と判断できることですね。
※では今回の症例でなぜ3ヶ月やらなかったのか?ですが、実はこのわんちゃんの痒みは再発です。
初回の治療ではアポキルと工夫の治療をやって効いたのですが、飼主さまの強い強い希望で工夫治療は終了になりました。
「再発しますよ」とはお伝えしたのですが、やはり「完治した」と思うほどの結果でしたので、終了になってしまうことはゼロではありません。
そして再発時の初期治療にはその工夫は含まれず、しばらく苦戦し・・・・という流れでした。
しかし今回の件により、飼主さまにも「本当に何が必要になっているのか」はよく伝わったかと思います。
そういう意味では「小出しにする」という治療プランは価値があると思います。
※※※※※※※※※
当院では今年から新しい活動として、専門分野を持たない個人動物病院向けに診療サポートを行っています。
スキンケア商品、サプリメントの共用や、症例報告からの治療成績向上を目的としています。
業務提携にご興味のある方はお問い合わせください。
四季の森どうぶつクリニック
平川
投稿者:
2017.05.06
柴犬のアレルギー・アトピーなどの痒みを伴う慢性難治性皮膚病の治療に力をいれている動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
以前のブログ記事で、「今年の新しい取り組み」を紹介したのを覚えている方はいますか?
この記事の最後に、今年は他の動物病院とグループをつくって新しい医療提供につなげていく活動について書いてみました。
もちろん複線があってのことでしたが、実は今年の1月に遠方で開業されている先生からメールで治療についての相談を受けました。
【症例】
4歳 柴犬
【経過】
〇1歳からの全身の痒み
〇過去の複数の動物病院の治療歴は
・ステロイド内服、ステロイド外用(スプレー)
・シクロスポリン(半年以上継続)
・インタードッグ(2日に1回で半年以上)
・試験的駆虫(毛包虫対策)
・アレルギー検査(IgE&リンパ球検査済)
・食事療法2種類実施済み
〇現在の内服はアポキル
アポキルを1日2回の服用することである程度はの効果をみとめたが、写真のレベルであり痒みは抑えきれない。
ステロイド1mg/kgの方がよく効く。
ということでした。(写真もおくっていただきました)
実際に診てみないと・・・が基本ではありますが、病歴と写真でだいたいわかります。
ただ説明も難しくなるため、その先生の病院まで1度だけの往診をすることにしました。
僕の休診日と、先生と飼主さまとの予定を合わせて1件1日がかりの往診です!
それが1月末でした。
現地では診るだけ、念のための血液検査(結果は後日わかる)だけで、診る&聞くだけの診察で治療方針を先生と飼主さまにお伝えし、1回限りの往診を終了としました。
それから・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2ヵ月~2ヶ月半で随分とよくなったそうです♪
具体的には1日2回のアポキル投与でも十分に抑えられなかった痒みが、1日1回投与でもかなり抑えられるようになったようです。
過去の治療歴をみて「いったい何が効くのか?何がたりないのか?」と思われる方も多いと思いますが、今でも知られていない病気と治療薬もあるということです。
これからこういった形で遠方の動物病院での医療サポートを行っていこうと思います。
投稿者:
2017.03.25
愛知・名古屋で犬の皮膚病治療のみを行う動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
春になりましたが、まだ少し寒さを感じます。
一時期ストレスから口内炎・吹き出物が多発し、寝不足も重なって絶不調でしたが、今はいいスパイラルに入り絶好調です♪
今日紹介するのは脱毛症のわんちゃんです。
普段は「痒みを伴う皮膚病」を診る機会が圧倒的なのですが、今回は「痒みを伴わない脱毛症」です。
【症例】
犬 シェルティ
それでは初診時の状態をみてみましょう。
まずは全体像です。
綺麗な毛並みで、一見脱毛症があるようにはみえません。
今回の病変は1箇所だけ・・・
この左耳の裏側の脱毛です。
脱毛している部分と、正常な被毛がある境の部位を拡大してみましょう。
白くめくれたようなフケが大量に付着しています。
診断はここで決まります。
初診時から約2ヵ月後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
非常に綺麗な毛並みが再生しました。
このタイプは「完治」といえます。
原因は非常にシンプルで、「ステロイド外用薬の塗りすぎによる副作用」です。
当院としては「脱ステロイド」を正義の御旗のように謳うことはなく、積極的にステロイドを使う方なのですが、「使いこなすこと」がとても大事だと考えています。
ステロイドを使いこなすというのは、ステロイドを使っていいシーンと使わない方がいいシーンの診極めであり、使うべきときにしっかりと使う、使ってはいけないシーンを間違えないことです。
そして「使いすぎに早く気づくこと」、ですね。
今回のわんちゃんがステロイドを使うキッカケになった皮膚病をみていないため、「使うべきだったのかどうか?」に関してはわからないのですが、使いすぎに気づかなかったのが原因だと思います。
投稿者:
2017.03.24
トイプードルの皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
梅雨・・・・・・・昨年同様に雨の降らない梅雨ですね。
ただ気温があがってきて、湿疹の出やすい季節になっています。
さて、今日はそんな梅雨~夏に多くなる湿疹タイプの皮膚病、『膿皮症』の症例報告です。
【症例】
トイ・プードル 7歳6ヵ月 男の子(去勢済)
【症歴】
〇1年前から発症
〇過去2件の動物病院で膿皮症と診断されるも改善されず
それでは初診時の状態をみてみましょう。
続いて、頚部です。
同じく頚部の湿疹の拡大です。
続いて、胸~腹部です。
同じく胸の湿疹の拡大です。
続いて、背中です。
同じく、背中の湿疹の拡大です。
同じく背中の湿疹の拡大です。
ほぼ全身に無数の湿疹がありました。
それでは8週間後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
湿疹はなくなり、非常に綺麗になりました。
当院での診断ですが、過去の2件の動物病院の診断と同じく「膿皮症」という診断です。
このタイプの場合は大きく分けて2つのことを考えます。
「できた湿疹を治す」ための治療法と、「できないようにする」ための治療です。
というのも、できた湿疹を治すための治療である抗生物質は、「湿疹ができる原因は治さない」からです。
簡単にいうと、「抗生物質を止めると再発する」です。
当院では治療と、再発予防の両方にアプローチできるようにしています。
投稿者:
2017.03.10
犬の皮膚病の中でも比較的難治性になりやすい脂漏性マラセチア性皮膚炎の治療に力をいれている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
マラセチアと脂漏を伴う皮膚炎といえばシーズーが最も有名で、人気犬種の中ではトイプードル・チワワなどでもよく来院があります。
もちろん独特の体質としてコッカーやウェスティなどでもありますし、柴犬でもめずらしくありません。
そして今回紹介するのはミニチュアダックスフンドですが、ダックスでも珍しくはありません。
【症例】
ミニチュアダックスフンド 7歳 男の子(去勢済み)
【病歴】
〇1才のころからフケ・乾燥、痒みを伴う皮膚トラブル(軽度)
〇昨年の夏から悪化
初診時の状態を紹介します。
顔の側面、左からです。
頭部の拡大です。
続いて、顔の右側から。
続いて、頚部です。
同じく頚部の拡大です。
続いて、腹部全体像。
続いて、前胸部~わきにかけて。
続いて、右前腕です。
同じく、右前腕の拡大です。
同じく、右前肢端の拡大です。
続いて、後肢です。
続いて、右側面。
続いて、右後肢の側面です。
それでは、約1ヶ月後の状態との比較です。
※画像をクリックすると大きく見ることができます。
]
まだ1ヶ月という非常に短期間ですが、見違えるほど綺麗に改善しています。
飼主さまも「夜にぐっすり眠れるようになった」と喜んでいただけました。
ただ、治療はまだ前半であり、本当の治療はここから新しくはじめます。
どういうことかというと、ここまで前半の治療は「重度の皮膚炎、脂漏を抑える」という治療でしたが、これからは「皮膚コンディションを改善させる」という、より根本的なところへアプローチします。
「???」と思われるかもしれませんが、ここが「木をみて森をみず」にならない一つ上の医療を目指すポイントです。
脂漏性マラセチア性皮膚炎という診断名に間違いはありませんが、大事なのは「なぜなるのか?」「なぜこれほど悪化するのか?」を考えていくことが医療だと思います。
「診断名が原因をあらわしているとは限らない」、「症状の改善方法と、根本的な治療が同じとは限らない」とは今までの症例報告で伝えてきたとおりであり、今回のミニチュアダックスフンドの脂漏性マラセチア性皮膚炎でも「ある疾患」が隠れています。
今回の症例もこの「ある疾患」に気づかなければ、比較写真の「随分よくなりましたね~」の途中で終わってしまいます。
症状の改善がみとめられたら、治療も次のステップへ移ります。
半年後くらいが楽しみです。
また、今回の治療症例には院内薬浴を行いました。
スキンケアだけで改善するほど甘くありませんが、「スキンケアなくして改善なし」があてはまる症例でもあります。
非常に多くの方にご利用いただいていますが、必ず適切な医療(診断&治療)とともに併用してほしいと思います。
遠方にお住まいで当院に継続的な通院ができない場合でも、メールと写真で継続治療が可能な場合もありますので、一度ご相談ください。
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