プードルの症例報告

【トイプードルの皮膚科専門外来】原因不明の脱毛症

2017.09.12

愛知・名古屋エリアで皮膚病治療に力を入れている皮膚病治療専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。

当院では痒みを伴う皮膚病治療に力を入れていますが、ときに「痒みを伴わない脱毛症」のわんちゃんも来院されます。

ただ脱毛症は痒み疾患と異なり、原因が特定できないことも珍しくありませんし、結果(発毛)がでるかどうかも予測できないこともあり、診療としては難しいジャンルです。

今日はそんな難しい脱毛症の中でも非常に興味深かった症例を報告します。

【症例】

 トイプードル 約1歳

まずは初診時の状態を紹介します。

一見全く問題ないトイプードルちゃんにみえますね。

それでは脱毛部位を順次みていきましょう。

まずは右耳とその拡大(合計3枚)。

続いて、左耳です。

続いて、右後ろ足です。

続いて、左後ろ足です。

最後に、尾です。

治療後の状態と比較してみましょう。

※画像をクリックすると大きくすることができます。

非常に綺麗になりましたね。

100%回復といっていいと思います。

今回のポイントは

①原因がわかったこと(確定は不可能ですが、まず間違いなくそうと判断できた)
②改善が十分に見込めた
③改善が早かった

です。

こういったタイプの脱毛症、トイプードルに非常に多く認められます。

そして原因不明のことが多いのですが、原因不明でも打つ手はあります。

前回の記事で紹介した柴犬の耳の脱毛も同様です。

当院ではスキンケア商品・サプリメントの使用を含めた業務提携をしている病院にはこういった症例の治療アプローチについて解説しています。

興味のある方は専用フォームからお問い合わせください。

※皮膚科のない個人動物病院向け

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

【トイプードルの皮膚病治療】スキンケアとサプリメントが重要な脂漏性皮膚炎

2017.05.21

トイプードルの脂漏性皮膚炎の治療に力を入れている皮膚科治療専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。

春のピークも過ぎ去り、通常モードになってきましたので、症例報告を再開していきます。

それでは今日はトイプードルの典型的な皮膚病の一つ、脂漏症の症例報告です。

【症例】
 トイプードル    9歳2ヵ月    女の子(避妊済)

【症歴】

 〇1歳から発症

 〇過去の治療はステロイド、クロルヘキシジンシャンプー、ケトコナゾールなど

それでは初診時の状態をみてみましょう。

続いて、身体を右側面からみてみましょう。

続いて、頚部です。

同じく頚部をやや右側からみてみましょう。

続いて、左の耳です。

続いて、右前肢です。

続いて、左前肢です。

続いて、身体の左側面、腹部~大腿部にかけてです。

同じく太もも外側の拡大です。

続いて、右後肢の内側です。

同じく、右後肢の膝~スネにかけての写真です。

同じく右後肢の甲~足首の部分です。

かなり重度の脂漏性皮膚炎ですが、トイプードルでよくある典型的な状態でもあります。

病気としては特別なものではなく、治療は非常にシンプルです。

それでは治療後との比較をみていみましょう。

※画像をクリックすると大きくすることができます。

まずは頚部です。

毛がのびていて、皮膚がみえにくいため、まだ被毛が伸びきっていない状態の比較もだしてみます。

続いて、左耳です。

続いて、右前肢です。

続いて、左前肢です。

続いて、身体の右側面です。

続いて、右後肢の内側です。

同じく右後肢の膝~スネの部位です。

このスネの部分ですが、被毛が長くなって、皮膚コンディションが見えにくいため、治療途中をお見せします。

かなり綺麗になっているのが伝わると思います。

続いて、右後肢の足首~甲にかけての部位です。

同じく治療途中の状態をみてみましょう。

かなり皮膚コンディションが改善しているのがわかると思います。

トイプードルの痒み・皮膚トラブルにはさまざまな要因があり、どこに力をいれて治療すべきかは症例によって異なります。

投薬メインの場合もありますし、スキンケアメイン、サプリメントが重要なこともあります。

当院ではありとあらゆる角度からのアプローチで高い治療成績をだしています。

差のつく治療成績のポイントがスキンケアとサプリメントです。

遠方の飼主さまでもご利用いただけるようにオンラインショップでも取り寄せることができますので、お困りの方は一度ご検討ください。

さまざまな商品がありますが、トイプードルであればヒーリングケアLFプラスが含まれた「掻く・舐めるといった痒み治療のために開発されたスターターセット」が最も適していると思います。

投薬治療と併用することで、今まで以上に高い治療成績をだすことが可能です。

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

トイプードルの膿皮症治療

2017.03.24

トイプードルの皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。

梅雨・・・・・・・昨年同様に雨の降らない梅雨ですね。

ただ気温があがってきて、湿疹の出やすい季節になっています。

さて、今日はそんな梅雨~夏に多くなる湿疹タイプの皮膚病、『膿皮症』の症例報告です。

【症例】

 トイ・プードル   7歳6ヵ月   男の子(去勢済)

【症歴】

 〇1年前から発症

 〇過去2件の動物病院で膿皮症と診断されるも改善されず

それでは初診時の状態をみてみましょう。

続いて、頚部です。

同じく頚部の湿疹の拡大です。

続いて、胸~腹部です。

同じく胸の湿疹の拡大です。

続いて、背中です。

同じく、背中の湿疹の拡大です。


同じく背中の湿疹の拡大です。

ほぼ全身に無数の湿疹がありました。

それでは8週間後の状態と比較してみましょう。

※写真をクリックすると大きくすることができます。

湿疹はなくなり、非常に綺麗になりました。

当院での診断ですが、過去の2件の動物病院の診断と同じく「膿皮症」という診断です。

このタイプの場合は大きく分けて2つのことを考えます。

「できた湿疹を治す」ための治療法と、「できないようにする」ための治療です。

というのも、できた湿疹を治すための治療である抗生物質は、「湿疹ができる原因は治さない」からです。

簡単にいうと、「抗生物質を止めると再発する」です。

当院では治療と、再発予防の両方にアプローチできるようにしています。

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

アロペシアXと診断されたトイプードルの脱毛症

2017.02.25

ポメラニアンやトイプードルに非常に多いアロペシアX(毛周期停止)の治療に力を入れている皮膚病治療専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。

この1年、アロペシアXのポメラニアン、トイプードルのわんちゃんの受診が非常に増えてきています。

以前は数ヶ月に1件程度だったのですが、この1年は月1件以上のペースで来院されています。

アロペシアXの治療は非常にデリケートのため、「生える・生えない」だけではないさまざまな視点から診ることが必要ですが、当院では選択肢の1つとして積極的な治療を提案しています。

※治療しない選択肢も同時に提案します。

今日はそんなアロペシアXに関する症例報告です。

【症例】

 トイプードル    6歳10か月     男の子(去勢済み)

【症歴】

 〇2歳から毛が薄くなり、「アロペシアXの疑い」の仮診断

 〇遠方の病院を受診し、投薬治療により発毛を認める

 〇再び脱毛がはじまったが、以前の動物病院が閉院したことで当院受診

まずは初診時の状態をみてみましょう。

続いて、頚部。

続いて胸~腹部。

続いて、身体側面。

続いて、背中。

最後に後ろから。

それでは初診時から14週間後(治療期間12週間)の状態と比較してみましょう。

※画像をクリックすると大きくすることができます。

部分的に薄い部位も残っていますが、正常の70%くらいまで改善しています。

また、「脱毛の進行とともに生えている毛が薄くなってしまった」ということでしたが、元々の「濃い毛」が再生してきました。

今回の症例のポイントはいくつかあります。

①2才のころの脱毛はアロペシアXだったのか?

②一旦改善したが、そのときの処方内容はなんだったのか?

③初診時に何を疑ったのか?

④初診時に何を検査したのか?

⑤当院で行った12週間の投薬治療は何か?

⑥今後は?

です。

ではまず①の「2才の脱毛はアロペシアXだったのか?」について。

正直なところわかりません。

ですがアロペシアXの可能性が高いのでは?と思っています。

では②の「一旦改善したときの処方内容は?」です。

残念ながら色々なお薬を混ぜて処方されていたようで、飼主さまもわからないということでした。

今となっては確定できないことですが、有名な動物病院でもあったので、「おそらくこんな処方だったのでは?」とイメージするものはなくはありません。

では③の「初診時に何を疑ったのか?」です。

もちろんアロペシアXを疑います。

そして同時に甲状腺機能低下症、副腎皮質機能亢進症も十分に疑うべきです。

では④の「初診時に何の検査をしたか?」です。

甲状腺と副腎の評価を行いました。

では⑤の「12週間の投薬治療」についてです。

実は、

甲状腺ホルモン剤を処方しました。

もちろん甲状腺ホルモン濃度が明らかに低下していたためです。

しかし皮膚科や内分泌疾患の著名な先生たちはこのように注意されます。

『アロペシアXの症例に甲状腺ホルモン濃度測定を行い、ホルモン濃度のわずかな低下を甲状腺機能低下症と誤診して、長期間甲状腺ホルモン剤を処方されて脱毛したままの症例をみますが、いくら処方しても毛は生えませんからね。あれはユーサイロイド(偽甲状腺機能低下症)です。注意しましょう』

※偽甲状腺機能低下症・・・甲状腺ホルモン濃度は甲状腺機能低下症でなくとも下がる場合もあり、検査結果で「本当は甲状腺機能が正常であるのに、その他の要因でホルモン濃度が低下した状態であり、投薬の必要はない」

皮膚科や内分泌セミナーで「陥りがちな誤診」としてよくある話なのは重々承知した上で、飼主さまにも同様の説明した上で治療方針を決定しました。

最後に⑥、「今後は?」です。

確かに一気に被毛の再生が認められましたので、「甲状腺機能低下症の診断&治療があっている」という見方もできます。

しかし個人的にはアロペシアを強く疑い、今回の甲状腺の内服治療も「3~6ヶ月で改善がなければアロペシアXと考えましょう」として処方したので、正直なところ「生えたんだ!?」とちょっと驚きでした。

そして確かに生えたのですが、「アロペシアXではない」とまではいえません。

甲状腺機能低下症+アロペシアXの可能性もありますし、アロペシアX単独の可能性もなきにしもあらずです。

まだ3ヶ月なのでどちらともいえないでしょう。

被毛がほぼ100%まで改善し、それがずっと続けば甲状腺機能低下症単独を考えますし、今後再び脱毛がはじまればアロペシアXを疑うべきだと思っています。

診断・治療は時に紙一重です。

検査結果、一時的な治療結果ともに信用しすぎず、常に1歩さがって全体を見渡しておく必要がります。

また報告する機会を作りたいと考えています。

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

【トイプーの皮膚病治療】退職される獣医師の紹介症例

2017.02.08

トイプードルのアトピー・アレルギー膿皮症・脂漏症・マラセチア性皮膚炎・脱毛症などの皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。

今日紹介するのは三重県の随分遠い南の方から受診されたトイプードルのわんちゃんです。

当院を受診するキッカケが印象的で・・・

来院された飼主さまは、この子が子犬のころからずっと同じ先生に診てもらっていたのですが、

その先生が動物病院を退職されるということで、最後に当院受診をお勧めされたそうです。

【症例】

 トイ・プードル 5歳 女の子(避妊手術済)

【経過】

 〇3年前から1度も改善するのことのない皮膚病

 〇アミノ酸系療法食による食事療法を継続中

 〇かかりつけ動物病院の先生からの紹介で当院受診

 〇過去に抗生物質を3種類変更しながら服用するも改善しない

それでは初診時の状態をみてみましょう。

まずは全体から。

続いて、左目。

続いて、口唇(左)。

続いて、右前腕(肘の屈曲部)。

続いて、腹部。

続いて、前肢の指の間。

続いて、左後肢先端。

わかりやすい写真ではなかたので掲載しませんでしたが、背中全体にも湿疹が認められました。

この初診時から3ヶ月少し、治療後の状態との比較をみてみましょう。

※画像をクリックすると大きくすることができます。

痒み、湿疹ともにほぼ消失しています。

もちろんこの3年間でベスト!と喜んでいただき、「もっと早くここに来ればよかった」とおっしゃっていただけました。

今回の皮膚病治療のポイントですが、全体を1つの皮膚病として捉えないことです。

「皮膚が弱い」という意味では一つですが、治療の上では大きくわけて2つあります。

そのため何か1つの特効薬、魔法のようなお薬で全身改善させることができるわけではありません。

パーツの組み合わせのように、同時に複数のパーツをピタッと合わせることでここまで改善することができます。

そして大事なことを追加しておきます。

当院が非常に重要視している食事療法ですが、このわんちゃんが継続していたアミノ酸系療法食は・・・・・

理由を丁寧に説明した上で変更していただくことにしました。

もちろん今食べているドッグフードは、普通にペットショップで販売されている一般食です。

そしておやつなどの食事制限はなく、何を食べてもかまいません(笑)

大事な大事な食事療法、本当の食事療法が飼主さまには伝わっていると思います。

投薬治療も重要ですが、治療と再発予防に必要なのがスキンケアとサプリメントです。

今回のわんちゃんにも処方して継続してもらっています。

また当院ではこのようなタイプのわんちゃんに遠隔診療に対応しています。

他の症例に比べてコントロールは非常に難しいタイプですが、遠方にお住まいの方でお困りの方はご相談ください。

今回は獣医師の先生から紹介されたということで、とてもプレッシャーのかかる診察でした。

もう退職されたということでご連絡はとれないのですが、ご期待に応えることができてよかったです。

ご紹介ありがとうございました。

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

トイプードルのアロペシアX(毛周期停止)の改善症例

2016.10.06

こんにちは、四季の森どうぶつクリニックです。

今日はトイプードルの代表的な脱毛症、アロペシアX(毛周期停止)の治療症例報告です。

実は昨年にも紹介したわんちゃんですが、その後の経過です。

   平成27年10月に紹介したときの記事

【症例】

 トイプードル 5歳 女の子(避妊済み)

【経過】

 〇2年前からの脱毛

それでは初診時の状態です。

去年の記事では「あと半年後には・・・」とかきましたが、実際はあれから1年です。

※写真をクリックすると拡大してみることができます。

かなり時間がかかっていますし、まだまだ少ない部分もあるのですが、これでも随分と改善してきました。

そもそもアロペシアX(毛周期停止)は治療困難な病気の一つで、さまざまな治療方針がありますが、簡単に生える治療はありません。

その中でここ数年は治療成績が高くなってきて、かなりの確立で被毛の再生ができるようになってきたのですが・・・やはり脱毛症の中でもアロペシアXは治療成績が読めない部分がありますね。

今回も比較的初期に「おっ!いけるか!?」と思ったのが昨年の10月だったのですが、そこから低迷期に入り・・・・・・・・この3ヶ月くらいでようやく生えてきました。

初診時が昨年の夏なので、1年かけてようやくです。

このアロペシアXという脱毛症は古くからポメラニアンで時々発症する有名な病気で、最近ではトイプードルでも発症しやすい脱毛症です。

治療の必要性については人それぞれ意見があると思うのですが、個人的には

「ここ(当院)で治療しなければこの子の毛並みが戻るチャンスは2度とない。自分がやらねば誰がやる?」

という最後のクリニックの使命感で治療の希望に全力でこたえるようにしています。

僕も加齢とともに薄くなったら全力で抵抗する予定です(笑)

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

トイプードルの脱毛症~アロペシアX~

2015.10.23

こんにちは、四季の森どうぶつクリニックです。

秋が深まっているのですが、晴れた日の日中の車の中はまだまだ暑さも感じますね。

では今日は当院の症例報告にはあまり出てこない「脱毛症」についてです。

脱毛症と一言にいっても原因はさまざまなのですが、一般的に治療成績がでにくい脱毛症として「毛周期停止(少し前までアロペシアX)」という病気があります。

今回はそのアロペシアXの中でもさらに「治療反応が悪い」と評されているトイプードルのアロペシアの症例を紹介します。

地肌も見えますし、横から背中のラインがすけてみえるほど被毛が薄いのがわかります。

治療開始から2ヵ月後です。

非常に綺麗な被毛が再生してきました。

まだ局所ですが、まずこれでうまくいくと思います。

治療成績がでにくいアロペシアXですが、最近はかなり治療成績が高くなってきました。

選択肢としてはかなり積極的な治療と、やや消極的な治療の2パターンあるのですが、ある組み合わせの相性がいいことに最近気づきました。

根拠はないんですけど、いけそうな感触です。

半年後にはいい結果がだせていると思います。

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

1度の診察でゴールまでの道を描けるか?~遠隔診療~

2015.10.03

こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。

やはり普段慣れていない仕事をすると体力の消耗が大きいようで、9月23日の東京での遠隔診療後はしばらく疲労困憊で日常の診療をこなすことが精一杯でした。

しかしようやく回復してきたので、ブログも再開です。

今日は、この夏から取り組み始めた遠隔診療についてご紹介します。

遠隔診療というのは当院に通院が難しい遠方にお住まいの方に向けた当院の医療のサービスの一つです。

初診を実際の診療として行い、継続をメールと写真で行います。

通院にかかる時間がなくなるため、遠方からでも当院の医療サービスが可能になります。

もちろんメリットばかりではなく、「診る」ことに点で通常診療に比較してかなりの制限があるため、通院治療より治療成績が落ちる可能性も十分にあります。

むしろかなり危険なチャレンジで、お勧めしたいわけではありません。

ただ、それでも典型例であれば困っている飼主さまのご期待に沿いたいと考えてチャレンジしています。

今日紹介する症例は石川県にお住まいで、8月1日に初診として診察し、約7週間メールと写真のみで継続治療したトイプードルのわんちゃんです。

【症例】
 犬 トイプードル 3歳10カ月 女の子

【経過】
 〇2年前から痒みを伴う全身の皮膚病
 〇当院受診までの治療
   インターフェロン注射、 コルタバンススプレー、ステロイド錠剤、抗生物質
   エピスースー、アルミデルシャンプー

それでは初診時の写真、そして毛をカットした後の状態も合わせてみてみましょう。

まずは顔。

続いて左耳。

続いて、頚部とその拡大。

わかり難いので、毛をカットした状態とその拡大です。

続いて、頚部の左側面です。

同じく頚部左側面の毛をカットした状態です。

続いて、右前肢です。

肘~上腕

左前肢の甲。

甲の拡大です。

右前肢の毛をカットしてみましょう。

続いて、胸部とその拡大です。

さて、初診時に最も大事なことは・・・・・・なんでしょうか?

検査をすることでしょうか?

検査をしないわけではありませんが、最も大事なこととは違います。

そう、「診極め」でしたね。

検査結果のいかんにかかわらず1~3ヵ月後までの軌跡を描きます。

もちろん検査は重要ですが、診るチャンスは1度きり、初診こそが最も重要です。

初診時にたてた治療計画で修正することなく迎えた7週間後の2回目の受診のときと比較しましょう。

非常に綺麗に改善しています。

完治するタイプではないので治療は継続です。

飼主さまからは、

「1ヶ月で劇的に皮膚の状態は良くなり、性格も明るくなりました

とても嬉しく思います。」

というメールをいただきました。

この数年の僕のテーマでもある「初診時の診極め」の究極の形だと思います。

※遠隔診療の問題点

すべての症例を改善させることができるというわけではありません。

やはり情報を収集する機会が非常に少ないため、修正することが難しいため、後手後手になることもあります。

ただ純粋にお役に立てるチャンスがあれば役に立ちたいという思いで行っています。

 

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

診断が難しい?プードルの痒みと脱毛

2015.09.01

こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。

今日は晴れたり大雨だったり・・・天候の急変が多い1日でしたね。

最近はかなりこまめにブログを書いていますので、ぜひ以前の記事もみてください。

さて、今日は「名前は知っているけど診断し難い&治し難い」という皮膚病です。

症例はトイ・プードルです。

痒みとして目立つ部位の一つは背中です。

少しわかり難いので、赤い枠で記します。

拡大してみましょう。

この部位だけ被毛が短くなっているのがわかると思います。

何度もかじることでその部位だけ毛が短くなっています(毛が抜けているわけではない)。

続いて、右側です。

同じように赤い枠で記します。

2箇所をそれぞれ拡大しましょう。

続いて、左側です。

少し拡大してみます。

痒い部位を記してみます。

それでは初診時から1ヵ月後です。

それぞれ画像をクリックすると拡大することができます。

痒みもほとんどなくなり、均一な毛並みにもどっています。

さて、初診時に僕が下した答えは・・・・・・・・・・・「心因性皮膚病」です。

心因性皮膚病、これは精神的な問題で痒み行動を引き起こすという皮膚病です。

アレルギーでもなく、菌でもなく、寄生虫でもなく、ホルモン疾患でもありません。

客観的な検査方法もなく、明確な診断基準もありません。

また、心因性にはホルモン疾患、寄生虫疾患、細菌性皮膚炎などのように、皮膚そのもに特徴的な診た目があるわけでもありません。

典型的な場所であればまだわかりやすいこともなるのですが、今回の症例は典型的な場所ではありませんでした。

ではどのように診断するのか?

基本的なことですが、話を聞く、わんちゃんの行動をよくみる、皮膚をよくみる・・・・・たったこれだけです。

診察室に入り話をききながら、わんちゃんの動作を見る、皮膚をみる・・・15分くらいあれば頭の中には「心因性」という言葉が最上位にきます。

あとはその他の疾患を除外しながらアプローチします。

実は心因性皮膚病を診断するために、あと一つ大事なポイントがあります。

それは検査でも、診た目でもなく・・・・・・積極的な診療をしていくとだんだんとつかめてくることです。

逆に消極的な診療ばかりしていると、なんとなく診落とされがちで「癖?」とされていたりします。

「アグレッシブに美しく」

皮膚病は初診時の診極めが最も重要で、今回も確信をもってアプローチできました。

 

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

【犬の皮膚科専門外来】トイプードルの心因性皮膚病

2015.03.01

こんにちは、四季の森どうぶつクリニックです。

3月、暖かくなってきて春を感じさせる日々ですね!

今日は「犬にも精神的な皮膚病がある」というお話です。

あらかじめお話しておきますが、一概に「ストレスが原因です」というわけではありません。

わんこにはわんこなりに考えることもあるでしょうから、こういった皮膚病が実際にあります。

【症例】

 トイプードル

【病歴】

 〇今までステロイドで2~3ヶ月かけて痒みを抑えていたが、何度も再発していた
 〇今回は治りが悪い

一見皮膚病があるようには見えませんね。

痒みがある部位をみてみましょう。

まずは右前肢、全体的になめるということでした。

続いて、左前肢の状態です。

赤みが少ないため皮膚病っぽさがありませんが、わんちゃんが頻繁にかじっているため被毛が短く毛並みが悪くなっています。

ここから2~3ヵ月後と比較してみましょう。


左が初診時、右が治療後
※画像をクリックすると拡大できます。


左が初診時、右が治療後
※画像をクリックすると拡大できます。

自分でかじってしまう症状が改善されたため、毛並みがとてもきれいになっています。

大事なポイントは「初診時に心因性であることに気づくこと」です。

言葉も通じない犬の心因性の皮膚病は何を根拠に診断するのか?という疑問は僕もなくはありませんが、答えは「直感」です。

今回も初診時の飼主さまとの会話で10~15分くらいでなんとなく「心因性かな?」という感じがしました。

もちろんそうではないことも考えるので、さまざまなパターンを候補に頭に描きつつ・・・ですが、「まず心因性だろう」というイメージをもって治療計画をたてます。

治療薬としては数種類選択肢があり、どのわんちゃんがどの薬に反応するかはわからないので2週間後に変えることもあるのですが、今回は最初に選んだサプリメントで著しい改善が認められました。

もちろん当院受診まで使用していたステロイドは一切服用せず、長期間のステロイドで認められた血液検査の肝臓の異常値もほぼ綺麗に改善しました。

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

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