皮膚科ブログ

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【柴犬の皮膚病学】食事・薬・心因性・スキンケア

2019.03.02

柴犬のアトピー・アレルギーなど痒い皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。

 

数年前から比較すると柴犬の来院が増えたように思います。

もちろんシーズー、フレンチブルドッグもまだまだ多く減っているわけではないのですが、柴犬のわんちゃんの転院の方が多くなってきた印象です。

これは痒み止めの治療薬「アポキル」の影響で、シーズーやフレンチブルドッグに比較して柴犬にアポキルが効きにくいことが原因だと思います。

シーズーとフレンチブルドッグの軽度皮膚炎であればアポキル単独でなんとか緩和させることができる症例もいるからです。

もちろん柴犬でも軽度であればアポキル単独でコントロール可能なんですが、アポキルが効かない原因を持っている柴犬はシーズーとフレンチブルドッグより多いと思います。

この点に関して、改善した柴犬の飼主さまからも「どうして今まで治らなかったのか?」と聞かれますが、答えは簡単です。

「柴犬だから」

です。

医学的に解説すると「柴犬の皮膚病の原因は検査で判明しない。だから今の皮膚科医療ではよくならない。」になると思います。

今日の症例はそんな「検査では何も異常が見つからないけど、柴犬の体質に合った治療をすると劇的に改善する柴犬」です。

【症例】

 柴犬 約9歳 女の子(不妊手術済)

【経過】

 〇子犬のころにニキビダニ

 〇3歳までは一切皮膚トラブルなし

 〇5歳くらいから皮膚病

 〇この4年間季節性はなく1年通じてずっと皮膚が悪い

 〇ステロイドで多少緩和できるがすっきりよくならない

 〇分子量の低いアレルギー対応食事療法継続するもよくならない

 〇痒みは「腹部を掻く&噛む&舐める」「口唇を掻く」「四肢端(指間・足裏)を舐める」「耳を掻く」

それでは初診時の状態です。

まずは正面と顔です。

 


続いて、前胸部と上腕です。

続いて胸部~臍~内股です。



続いて、腹部の側面(右から)です。  

初診時から約6週間後の状態と比較してみましょう。

※写真をクリックすると大きくすることができます。

口唇だけでなく、目の周りの綺麗になっているのがわかると思います。








  痒み止め「アポキル」も併用しましたが、6週間後の時点で「頓服で服用」となりました。

この柴犬のポイントは4つ、

①アトピーが悪化する要因(アポキルが効かない要因)に対する治療

②食事が体質に合っていない

③心因性

④スキンケア

です。

この4つの共通項は「検査でいい・悪いがわからない」であり、教科書通りの治療では確かに改善しにくいです。

逆に言うと「柴犬の体質をよく理解すれば非常に簡単」で、一定の病気を除外すれば初診時にほぼ治療方針は確定可能です。

 

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

アポキルとステロイドが効かない柴犬の皮膚病治療の実際③

2019.03.01

柴犬のアトピー・アレルギーなど痒い皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。

 

柴犬の症例は非常に多いですね。

キーワードは「柴犬」「痒い」「掻く」「舐める」「アポキルが効かない(ステロイドが効かない)」です。

今回の症例も「3年間綺麗になったことがない」「アポキル1日2回服用しても効果がない」「ステロイドも効果なし」という症例です。

以前にも紹介していますので、以前の記事も参考にしてください。

2019.11.23  アポキルとステロイドが効かない柴犬の皮膚病治療の実際

2019.12.23  アポキルとステロイドが効かない柴犬の皮膚病治療の実際②

【症例】

 柴犬 約10歳 女の子(不妊手術済)

【経過】

 〇~5、6歳までは異常なし

 〇3年前から続く皮膚病

 〇アポキル(1日2回)効果なし、ステロイド効果なし

 〇食事療法効果なし

 〇掻き壊し防止のために洋服を着せている

 

それでは初診時の状態です。

まずは正面から。

続いて、頚部とその拡大です。


続いて、前胸部~上腕と上腕の拡大です。


続いて、右側面とその拡大です。


続いて、胸部です。

続いて腹部です。

 

それでは初診時からちょうど3か月後の状態と比較してみましょう。

※写真をクリックすると大きくすることができます。









アポキルは一時的に併用しましたが、治療2ヵ月の時点で週1回以下までへり、3か月後の時点では「ずっとアポキルを服用していないけど、痒みはない」というレベルまで改善しました。

皮膚炎・フケ・脂漏・円形脱毛はすべて改善しました。

治療方針は初診時に決定してから軽度な変更すらなく、順調そのものでした。

わずかな予測違いとあげるとすれば膿皮症の治療経過です。

抗生物質を使わずとも自然のよくなるかと期待して「あえて抗生物質なし」で治療していましたが、最後の最後に内股のだけに湿疹が残ったためやむを得ず使いました。

それ以外は特に問題なしですね。

このタイプの皮膚病治療には投薬治療が必須です。

もちろん投薬治療だけでうまくいくわけではなく、脂漏症には当院が開発したスキンケア(オイル&シャンプー&保湿ジェル)が非常に相性がいいと思います。

またアトピー&脂漏症と膿皮症の体質改善のためにスキンケアECプラスが必須で、アポキルをここまで減らすことができたのは投薬治療以外にも免疫の改善(スキンケアECプラス)がとても役に立ったと思います。

このタイプの遺伝的体質の評価は確定できるため、当院の治療方針に沿っていれば2度と悪い状態に戻ることはありません。

膿皮症や脂漏症の改善に必要なスキンケア・サプリメントは当院のオンラインショップでお求めいただけます。

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

遠隔診療のその後

2018.09.30

当院を受診できない遠方にお住いの方にメールと写真で継続する遠隔診療を提供している皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。

 

以前にも報告した通り、今年の夏は「山口県」と「北海道」に往診に行きました。

原則として「直接診るのは1回だけ」という背水の陣で臨みますので、往診に行くからには改善の確信を持って伺っています。

もちろん今回の2件とも「いける」という確信をもって伺いました。

そしてその2件のその後ですが、まだ治療中とはいえ十分な改善が認められたようです。

1件は心因性の掻き壊し・舐め壊しのチワワちゃんで、掻き壊しを防ぐために誰かが家にいなければならず、1人では買い物にも行けないというものでした。

もちろん治療の目標は掻き壊しをなくすのは当然で、「わんちゃんが留守番して買い物ができるように」ということも目標にいれました。

まだ治療して1カ月ですが、十分に改善が認められたようで、①一番の問題だった口唇の痒みはほとんどなくなり、②短時間でも留守番ができるようになったということでした。

 

2件目のわんちゃんは写真を見るのがいいと思いますので、紹介させていただきます。

【症例】

 柴犬

【経過】

 〇アポキルを1日1回をずっと継続しているにも関わらずよくならない

 〇過去には心因性の治療として抗不安薬の投与もしたことがある

 〇甲状腺ホルモン剤も服用中

 

最初に相談メールをいただいたときのお写真がこちら。

柴犬のよくあるタイプの1つです。

もちろんこの時点で「今まで治らなかった理由」と「どうやったら治るのか」はわかるのですが、追加でいただいた昔の写真をみて確信を得ることができました。

これは「アポキルでよくならない決定的証拠写真」です。

実際に往診に伺うときには治療方針は決まっていたので、お薬をもって出発です。

そこから約1か月後。

 

痒みも随分と落ち着き、毛も再生してきました。

また心因性の痒みもあるため、心因性の投薬治療を追加したのですが、「改善あり」という判定でした。

今回の症例にはいくつか評価ポイントがあります。

1つは、「なぜアポキルが効かないのか?」ですね。

2つは、「なぜ心因性の治療に効果がでたのか?」です。

2つ目の理由は非常にシンプルで、「その他の治療方針がパーフェクトだから」です。

心因性の治療はその他の治療方針にわずかでもズレがあると、まったく改善しなくなることがあるため、心因性以外の皮膚トラブルの診断・治療が上手くいっているときに実施しなければ評価が難しいです。

 

あとは順調に回復するのを待つだけです。

年末にはフワフワ&サラサラを期待しています♪

 

1つめの「アポキルが効かない理由」は当院で実施している個別セミナーで紹介しています。

診療提携をご希望される動物病院はお問い合わせください。

 

 

 

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

【新しい治療法】柴犬のアトピー風の脂漏症

2018.06.08

柴犬のアトピー・アレルギーなど痒い皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。

柴犬の皮膚病が重度になるとよく見かける脂漏症ですが、なかなかの難治性で当院でも苦労することがあります。

最近ですが、この脂漏症にある新しい治療を組み込んだところ、劇的に改善する症例がいるのがわかりました。

「脂漏症すべてにこの新しい治療法が効く」ではないのですが、今まで足りなかった治療のピースが揃った感じがします。

従来から言われていた脂漏の原因、治療法とはまったくかぶらない新しい病態です。

【症例】

 柴犬 10歳4か月 去勢雄

この症例は5月12日に一度ブログで紹介していますので、先に以前のブログを読んでみてください。

   【柴犬の皮膚病治療】7年間難治性を3週間で改善

この症例のさらに4週間後、初診時から7週間後の状態を紹介します。

※写真をクリックすると大きくすることができます。

まずは頚部。

続いて、腹部(臍周囲)です。

続いて、内股です。

皮脂は10分の1以下、硬い皮膚は柔らかくなり、軟らかい毛が生え揃っています。

なお抗脂漏効果のあるとされるステロイドやシクロスポリンの内服は使っていません。

もちろん良くなることは十分に想定していたのですが、ここまで短期間で見違えるほど脂漏を抑えるとは思っていませんでした。

併用して行ったある治療法が奏功したのだと思います。

当院の相当数の症例の中でもここまで脂漏を押さえ込めるというのはそうないため、治療法の1つに大事なポイントがあったのだと考えています。

というのももう1頭同じような症例でうまくいっている症例がいます。

その子も数年苦戦していた脂漏が新しい治療法で見違えるようによくなってきています。

次来院するときには「確信」に変わると思います。

問題は「どう証明するか」なのですが、予測通りの治療結果がだせることと、学術的な証明はまだ別問題なので、今の医学では証明は難しそうです(涙)

あと10年、20年くらいあれば証明される日くる・・・かも?とは思います。

コピー君がいたら大学にもどって研究してみたいな、なんて思ったりします(^^;

今回の治療法方ですが、当院と診療提携している先生方には解説メールをお送りします。

アポキルでもない、シクロスポリンでもない、ステロイドでもない、スキンケアでもない脂漏症の改善方法の選択肢の1つです。

当院との診療提携を希望の方は問い合わせフォームよりご連絡ください。

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

毎日アポキルを服用していても改善しない柴犬の皮膚病

2018.05.28

柴犬のアトピー・アレルギーや、アポキルが効かない痒い皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。

先日の柴犬の皮膚病ブログでは「原因が異なれど見た目が一緒になりやすいため、原因を分けるのが難しいこともある」ということをかきましたが、今回は見た目が特徴的なので診断&治療方針決定が非常に簡単という症例です。

ただ、柴犬の痒みに対して「アポキルを3ヶ月以上毎日服用しつづけているにもかかわらず良くならない」という症例のため、スタート時点での治療難易度はそれなりに高めです。

【症例】

 柴犬 3歳4ヶ月 男の子

【経過】

 〇1歳半のころに耳の痒み

 〇2歳半から腕やスネの脱毛(痒みはなさそう)

 〇胸の毛並みもわるくなってフケも多い(今はマシな方)

 〇痒みは、耳を掻く&振る、お腹を掻く、腕~手首をかむ
  ※目・口は痒みほぼなし、四肢端は多少なめることはあるかも?

 〇抗生物質とステロイドの併用でも改善なし

 〇アミノ酸系療法食でも改善はなかった

それでは初診時の状態です。

続いて耳ですが、後ろからみてみましょう。

続いて、右耳を後ろからみたところです。

同じく右耳の後ろから、拡大です。

同じく右耳、横からなど角度を変えてみてみましょう。

続いて、腹部全体と、胸の拡大・臍の拡大です。

続いて、お腹と右内股の拡大です。

続いて、右後肢の内股~膝の内側です。

この初診時からちょうど2ヵ月後の状態と比較してみましょう。

※写真をクリックすると大きくすることができます。

続いて、腹部より下です。

ここは赤みの改善もありますが、なにより毛並みがかわっています。

以下の写真は臍周りです。

続いて、お腹~内股です。

この上の写真では少しわかりにくいかもしれませんが、右内股の赤みがほぼなくなっています。

最後にこの内股でわかりやすい写真、右後肢の内側(膝の内側)ですが、非常に毛並みがよくなっているところに注目してください。

痒みは「たま~~にかゆい」くらいで、アポキルも毎日から減らして現在は週3日の服用ですが、痒みのぶり返しはありません。

以下、今回の症例の簡単な考察です。

今回は12月~3月までアポキルを毎日服用していても痒い柴犬の皮膚病でしたが、本来であれば12~3月は皮膚病の治療成績が最も悪化しにくく、むしろ4~5月にかけて悪化するのが普通です。

その4~5月にかけてアポキルを減らしても痒みはあまりないという改善なので、写真の見栄え異常に劇的な改善効果があったといえます。

治療の成功のために注目すべき点はいくつかあるのですが、

①目・口・四肢端に強い病変がない

②耳の重症度が高い

③アポキルが効いていない

この3点を考えると「柴犬に良く認められるシンプルなアトピーではない」というのがわかります。

シンプルなアトピーではなく、アポキルが効かない・・・・・非常に難しそうにみえますが、この病気の原因はこの初診時でほぼ判定できます。

初診時の検査結果がは1週間後くらいに出揃いましたが、初診時の確信があったため検査結果が出揃うまえに治療方針を決めて治療開始させていただきました。

初診時の治療方針からの変更はありません。

なお当院と診療提携を結んでいる先生には簡単な治療解説メールをお送りする予定です。

今回は初診時に飼主様から「柴犬のコンクールに出してあげたい」という願いを聞いており、「きっとでれますよ!」とお約束していたので、順調に改善して一安心です。

 

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

【柴犬の脂漏症】見た目は一緒でも原因は異なるものが複数ある

2018.05.26

柴犬のアトピーやアレルギーなど痒い皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。

皮膚病の難しいところの一つ、「見た目」をどう評価するか?です。

皮膚病は目で見えるからわかりやすいという側面もありますが、目で見えてしまうがゆえに難しいところがあります。

「目で見えるから難しい」の理由ですが、皮膚の変化のバリエーションには限りがあり、原因が異なっても見た目が一緒になることが多々あるということです。

特に柴犬で顕著ですが、原因が1つで程度が軽度であれば、その原因の特徴を見た目で分類することもしやすいのですが、複数の原因が重なり合って重症化すると、それぞれの特徴が消えて同じような皮膚病にみえてしまいことがあるのです。

例えばA疾患、B疾患、C疾患、D疾患と4つの病気の原因があるわんちゃんがいるといて、病状を分析(予測)するとA疾患25%、B疾患50%、C疾患15%、D疾患10%のという配分だったとします。

すると見た目はB疾患とA疾患の重症化というようにはみえますが、C疾患とD疾患まではわかりません。

疾患AとBに対する治療である程度緩和したときに、ようやく疾患CとDの特徴がみえることもあります。

もちろん予測できるところもあるので、ある程度想定はしますが、あとから「実は〇〇〇という病気もありそう」となることもあります。

今日はそんな複雑な要因が重なっている病気です。

【症例】

 柴犬 9歳 男の子

【経過】

 〇初発は生後4歳から

 〇7歳(2年前)のとき、頚部の皮膚炎から悪化

 〇この2年のうち一時期だけ無治療で改善したが、基本は通年発症

 〇食事療法は色々したが、よくならず

それでは初診時の状態をみてみましょう。

続いて、頚部です。

続いて、胸部です。

続いて、腹部です。

続いて、右側面です。

右側面の胸部拡大です。

同じく右側面の腹部拡大です。

続いて、右後肢のカカト付近です。

それでは初診時から3カ月半後の状態と比較してみましょう。

短期間のうちに劇的に改善しましたが、部分的にまだ残っていますね。

この残っているところが「今までの継続」でよくなるのか、別のアプローチが必要になるのかの判断が大事で、個人的には異なるアプローチが必要と考えています。

ここが前半でお話した別の要因があとから見えてくるという点です。

まだ改善の余地ものこっているので、飼主さまと相談しながら追加アプローチのタイミングは決めていこうと思います。

柴犬の皮膚病が重症化すると原因が異なれど、見た目は一緒になりやすく、見た目の判断が難しくなります。

アポキルが発売されてから、痒みに対してはアポキル一辺倒のような風潮があるのですが、こういった症例に対して画一的な治療ではうまくいかないため、病状に合わせた治療方針の変更が必要です。

※アポキルはとても使いやすい便利なお薬で、困ったら「とりあえずアポキル」でもいいのがメリットです。

アポキルを飲んでいるのに良くならない、柴犬の皮膚病で慢性・重症化して治療に困っている方はぜひ当院までご相談ください。

柴犬のこういった重症化であればほぼ改善します。

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

【柴犬の皮膚病治療】7年間難治性を3週間で改善へ

2018.05.12

柴犬のアトピー・アレルギーなど強い痒みを示す難治性皮膚炎の治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。

柴犬の皮膚病は非常に多いですね。

アポキルが使えるようになって簡単にいい治療結果がだせるようになった症例もいますが、それは一部のわんちゃんで、基本的には柴犬ならではの難治性がいるのはあまりかわっていないと思います。

その理由はアポキルが効かないのではなく、アポキルが効果を示す痒み以外の部分に対して十分な治療アプローチがされていないからです。

今日はそんなアポキル以外の治療が必要な柴犬の症例報告です

なお、この症例が初診時で来院された日は、以前のブログで紹介した京都市山科区のマックスドッグ&キャットクリニックの羽立先生と後輩の山崎先生が見学に来院されたときの初診です。

両名の先生にはどの部位をどう評価したら病気を診断できるか、どう治療すればいいのかを説明させていただきました。

【症例】

 柴犬 10歳 男の子(去勢済み)

【経過)

 〇3才から続く痒み

 〇季節性はない

 〇今までよくなったことはない

 〇春になると花粉症のような症状もでる

 〇最初のころは前足の裏をよくなめていた

 〇痒みは腹側面、わき、頚部、下顎、耳、胸、カカト、腕をなめる、前肢をなめる、背中をかむ、口唇をかく (眼は異常なし)

それでは初診時の状態を紹介します。

まずは正面から。

続いて、頚部とその拡大です。

続いて、右前腕正面からと内側からです。

続いて、前胸部です。

続いて、胸部と脇の拡大です。

続いて、胸の拡大、臍付近の拡大、内股の拡大です。

続いて、身体側面とその拡大です。

続いて、わきを右側面から、そしてその拡大です。

続いて、右側面の腹部とその拡大です。

続いて、右後肢の付け根~膝付近です。

続いて、右後肢の側面です。

続いて、右内股と左内股です。

この初診時からわずか3週間後の状態とひくらべてみましょう。

なお初診時に薬浴のため一度全身のカットを行いました。

※写真をクリックすると大きくみることができます。

まずは頚部、ゴワゴワはほとんどとれ、皮膚がやわらかくなり、毛も再生しています。

胸部ですが、強い脂漏がみとめられましたが、かなり強い改善であることがあります。

胸~わきも皮膚の硬さがなくなり、毛の再生もかなりのスピードで解決しています。

胸~お腹も皮膚のかたさはなくなり、今まで生えていなかった毛が密に再生しているのがわかります。

わき~胸部側面ですが、初診時にはゴワゴワだった皮膚がほぼ正常にもどっています。

腹部の皮膚の硬さも正常にもどっていのがわかります。

内股も初診時には真っ黒でしたが、かなりピンクにもどっているのがわかります。

肝心な痒みですが、耳をちょっとかくくらいで、身体全体の痒みはほぼ消失しています。

なお抗生物質は服用しておりません。

特に胸のあたりは4~5年ぶりに密な毛が生えてきたというこです。

この初診の診察を見学していただいた羽立先生には当院から各種検査結果と治療方針の解説をおくっています。

まだたった3週間ですが、初診時の治療方針でこのままいい治療結果がでていますので2~3ヵ月後には見違えるほどの柴犬にもどっていることでしょう。

大事なことは、初診時に各種検査結果がなくとも診た瞬間に皮膚病の原因がわかるタイプですので、同時に治療方針を決定できる診断力をつけることです。

また追って紹介する予定です。

【追記】

    平成30年6月8日 初診時から7週間後の治療経過 

想像以上の速さで劇的に改善しています。

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

3年ぶりの急激な悪化で治療方針変更 2ヶ月後に・・・

2018.04.11

柴犬のアトピー・アレルギー・脂漏症・マラセチアといった痒みを伴う皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。

今回の柴犬の皮膚病の症例報告ですが、いつもと違います。

いつもは「初診から2~3ヵ月後、これだけ改善しています」ですが、今回は「初診から3~4年後、治療方針を変えたら劇的によくなった」です。

初診時(3年以上前)に設定した治療方針で、確かに一定のレベルまで改善&長期コントロールできていたのですが、あるとき予測せず急激に悪化したため「これを機に治療方針を見直しましょう」と提案したという流れです。

元々採用していた治療方針は、

 〇院内薬浴(4週間に1回)
 〇食事療法
 〇アポキル(アポキル発売前はシクロスポリン)

でした。

この治療方針であるとき急激に悪化した状態を治療前として紹介します。

この状態で治療方針を一部変更して2ヵ月後の状態と比較してみましょう。

※写真をクリックすると大きくすることができます。

飼主さまから「今まで以上によくなった!すごくいい!」と、と評価していただけました。

加えて

「くやしい!!」

ともおっしゃったので、その理由を伺うと・・・

「お薬が効いたから、これからもこれを飲まないといけないので(笑)」

ということでした(笑)

僕からは、

「この治療成績を最初の時点で出すことができず申し訳ありませんでした」

と反省の言葉をお返ししました。

以下、僕の言い訳です。

以前から今回採用した治療法が適応になるのではないかと思っていたのですが、なにせ初診時から一定ラインまで順調によくなっていたため「これだけよくなっていれば、いらないということなのかな?」と思っていたのです。

そのため今回の悪化した皮膚をみて思ったことは

「ずっと維持できていたのに、想定外だ・・・新しい病気になったのか?」

ではなく、

「この皮膚は・・・やっぱり〇〇〇〇だ。これを機に治療を変更しなければいけない。過去の治療を否定することはやむをえない。」

でした。

そのため数年ぶりに悪化した今回に、改めて検査した項目はなく、治療方針の変更は悩みなく一瞬で決定できました。

しかし若干複雑です。

複雑な理由は、初診時にできなくはなかった・・という意味もありますが、それとは別のことです。

 ①初診時(3年前)は、確かにこの治療をせずに一定レベルまで改善した

 ②初診時には、この異常と思える決定的証拠なしだった

この2点であり、この異常は明確な白か黒の判定ができないグレーが存在し、状態によっては的確な治療がなくても改善しうることもあれば、不規則に悪化することもあるということです。

難しいですよね。

この異常はまだ教科書に掲載されていない皮膚疾患のため、今後はこの病気を色々な角度から切り込んでいこうと思います。

参考までにこの疾患に薬浴は非常に重要ですが、スキンケアやサプリメントでは根本的な解決はできません。

投薬治療が不可欠です。

ここで今の皮膚科の問題点について簡単にお話しておきます。

皮膚科の教科書が間違いというわけではなく、学術的には選ばれた情報の羅列でしかありません。

もし教科書が正しければ、今の皮膚病は全国どこでも簡単に改善するはずです。

治療が完成しない理由はパズルと一緒、「ズレているピースがないか、足りないピースはないか」の2つです。

なお治療のパズルに「枠」はないため、「ピースが足りない」と感じられるかどうかも獣医師の力量にかかっています。

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

アポキルが効かない柴犬の痒い皮膚病の症例

2018.03.15

柴犬のアトピー・アレルギーなどの痒い皮膚病だけでなく、アポキルが効かない難治性皮膚病の治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。

アポキルが発売されたことで柴犬の皮膚病の治療は随分と楽になったと思うのですが、アポキルはどんな痒みにも効くわけではありません。

「効く」と思って使ったのに効かない、1日2回服用しているのに効かない・・・柴犬の皮膚病のあるあるではないでしょうか。

今日紹介する症例も、柴犬のよくあるアトピーにもかかわらず1日に2回アポキルを服用しているのに痒みがとれないというわんちゃんです。

【症例】

 柴犬 10カ月 女の子

【経過】

 〇生後4か月のころからずっと痒い!

 〇腕を掻く&噛む、口唇を掻く、目を腕で掻く、お腹の側面を後ろ脚で掻く

 〇アレルギー対応療法食を色々試すも、何を食べても改善しない

 〇アポキルを1日2回服用しているにも関わらず痒い

それでは初診時の状態を紹介します。

まずは正面から。

続いて、顔を色々な角度からみてみましょう。

続いて、頚部とその拡大です。

続いて、胸部とその拡大です。

続いて、腹部です。

続いて、体幹の左側面とその拡大です。

続いて、左前腕(やや後ろから)とその拡大です。

続いて、右前腕の内側とその拡大です。

同じく右前腕の外~尾側の拡大です。

それでは初診時から2か月後の状態と比較してみましょう。

※写真をクリックすると大きくすることができます。

元々の痒みを10として、今は0~1程度です。

掻き壊して毛並みが悪くなっていた部位も随分と生えそろってきました。

顔・腕などの赤みもほぼなくなりました。

アポキルは1日2回だったものが、「ここ1週間飲んでないけど、痒くない」という改善です。

診断はいつものように一瞬で、柴犬にアポキルが効かないパターンの典型症例ですね。

柴犬の正常をしれば、この治療が可能です。

柴犬の痒い皮膚病でお悩みの方は、当院を受診してください。

 

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

【柴犬の痒み専門外来】ステロイドが効かない~再診~

2018.02.27

柴犬のアトピー・アレルギーなど、痒い皮膚病でステロイドやアポキルが効かない難治性皮膚病の治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。

僕に花粉症はないのですが、くしゃみや目の痒みを訴えるわんちゃんが来るようになったので、春の訪れを感じる今日このごろです。

一般的に冬は皮膚病が少なくなるため、病院もゆっくりとした時間が流れるのですが、この冬は溜まっている症例報告をたくさんやる時期でもあります。

それでは今日の症例報告は、今年の1月中旬に初診で来院されたわんちゃんで、以前のブログで初診の写真を紹介したわんちゃんのその後です。

  1月19日にUPしたブログ → 【柴犬の痒み専門外来】ステロイドが効かない理由

【症例】

 柴犬 1歳10ヶ月 女の子(避妊済み)

【経過】

 〇生後5か月から続く痒み

 〇口・耳・目、わき、お腹、四肢端なめる&かむ、腕をかむ、膝をかむ

 〇動物病院からの食事療法を約1年(2種類)継続するも改善なし

 〇抗生物質を1年間継続中

 〇痒み止めとしてステロイドを1年間(約200日くらい?)服用

 〇痒みのコントロールができていない

 〇季節性はなく、1年通してずっと痒い

それでは改めて初診時の写真を紹介します。

一見重度な感じはしませんが、痒いものは痒いのです。

100件どころか数百件の動物病院を超えて当院を受診するほど痒いのです。

普通の柴犬に見えた方がほとんどだと思います。

もし散歩でこのわんちゃんに出会っても、まさか県を越えて通院するほどの痒い皮膚病で悩んでいる柴犬には見えないと思います。

そんな見た目ですが、明らかに異常です。

前回のブログで書いたように診断は一瞬です。

それでは初診から6週間後の状態との比較です。

※写真をクリックすると大きく見ることができます。

いつも当院が紹介している重症からの改善ほどの大きな差がみえないかもしれませんが、非常に大きな改善が認められています。

痒みは元々10として、今は4くらいです。

写真をよくみたらわかると思いますが、毛並みもよくなり、フワフワになってきました。

飼主さまもこんなに毛並みがよくなったのは初めてと実感していただけました。

治療はステロイドではなく、2つのお薬を使いましたが1つはアポキルです。

アポキルがステロイドを上回ることはないと考えていますので、アポキル単独で効いたとは考えられません。

次は初回の治療方針で残った4の痒みですが、もちろん初期治療で痒みが残るのは想定範囲内であり、これも予定通り次の手をうつことにしました。

次の目標は4の痒みがある程度(完全ではない)緩和できること、もう少し先はアポキルを若干減らしても大きなぶり返しがないこと、です。

そのころにちょうどアトピーの痒みが出やすくなる花粉の多き季節、梅雨、夏・・・となるため、若干季節による悪化があるかもしれませんが、以前のように「効かない!」となることはもうないと考えています。

ここ最近の口癖の1つですが、「柴犬の正常を知れば異常がわかる」につきます。

ただ僕もこの柴犬の正常を把握するのに獣医師になって約10年かかったので、今は昔の自分を思い出しては反省する毎日です。

 

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

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