2018.05.26
柴犬のアトピーやアレルギーなど痒い皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
皮膚病の難しいところの一つ、「見た目」をどう評価するか?です。
皮膚病は目で見えるからわかりやすいという側面もありますが、目で見えてしまうがゆえに難しいところがあります。
「目で見えるから難しい」の理由ですが、皮膚の変化のバリエーションには限りがあり、原因が異なっても見た目が一緒になることが多々あるということです。
特に柴犬で顕著ですが、原因が1つで程度が軽度であれば、その原因の特徴を見た目で分類することもしやすいのですが、複数の原因が重なり合って重症化すると、それぞれの特徴が消えて同じような皮膚病にみえてしまいことがあるのです。
例えばA疾患、B疾患、C疾患、D疾患と4つの病気の原因があるわんちゃんがいるといて、病状を分析(予測)するとA疾患25%、B疾患50%、C疾患15%、D疾患10%のという配分だったとします。
すると見た目はB疾患とA疾患の重症化というようにはみえますが、C疾患とD疾患まではわかりません。
疾患AとBに対する治療である程度緩和したときに、ようやく疾患CとDの特徴がみえることもあります。
もちろん予測できるところもあるので、ある程度想定はしますが、あとから「実は〇〇〇という病気もありそう」となることもあります。
今日はそんな複雑な要因が重なっている病気です。
【症例】
柴犬 9歳 男の子
【経過】
〇初発は生後4歳から
〇7歳(2年前)のとき、頚部の皮膚炎から悪化
〇この2年のうち一時期だけ無治療で改善したが、基本は通年発症
〇食事療法は色々したが、よくならず
それでは初診時の状態をみてみましょう。
続いて、頚部です。
続いて、胸部です。
続いて、腹部です。
続いて、右側面です。
右側面の胸部拡大です。
同じく右側面の腹部拡大です。
続いて、右後肢のカカト付近です。
それでは初診時から3カ月半後の状態と比較してみましょう。
短期間のうちに劇的に改善しましたが、部分的にまだ残っていますね。
この残っているところが「今までの継続」でよくなるのか、別のアプローチが必要になるのかの判断が大事で、個人的には異なるアプローチが必要と考えています。
ここが前半でお話した別の要因があとから見えてくるという点です。
まだ改善の余地ものこっているので、飼主さまと相談しながら追加アプローチのタイミングは決めていこうと思います。
柴犬の皮膚病が重症化すると原因が異なれど、見た目は一緒になりやすく、見た目の判断が難しくなります。
アポキルが発売されてから、痒みに対してはアポキル一辺倒のような風潮があるのですが、こういった症例に対して画一的な治療ではうまくいかないため、病状に合わせた治療方針の変更が必要です。
※アポキルはとても使いやすい便利なお薬で、困ったら「とりあえずアポキル」でもいいのがメリットです。
アポキルを飲んでいるのに良くならない、柴犬の皮膚病で慢性・重症化して治療に困っている方はぜひ当院までご相談ください。
柴犬のこういった重症化であればほぼ改善します。
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