2018.05.28
柴犬のアトピー・アレルギーや、アポキルが効かない痒い皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
先日の柴犬の皮膚病ブログでは「原因が異なれど見た目が一緒になりやすいため、原因を分けるのが難しいこともある」ということをかきましたが、今回は見た目が特徴的なので診断&治療方針決定が非常に簡単という症例です。
ただ、柴犬の痒みに対して「アポキルを3ヶ月以上毎日服用しつづけているにもかかわらず良くならない」という症例のため、スタート時点での治療難易度はそれなりに高めです。
【症例】
柴犬 3歳4ヶ月 男の子
【経過】
〇1歳半のころに耳の痒み
〇2歳半から腕やスネの脱毛(痒みはなさそう)
〇胸の毛並みもわるくなってフケも多い(今はマシな方)
〇痒みは、耳を掻く&振る、お腹を掻く、腕~手首をかむ
※目・口は痒みほぼなし、四肢端は多少なめることはあるかも?
〇抗生物質とステロイドの併用でも改善なし
〇アミノ酸系療法食でも改善はなかった
それでは初診時の状態です。
続いて耳ですが、後ろからみてみましょう。
続いて、右耳を後ろからみたところです。
同じく右耳の後ろから、拡大です。
同じく右耳、横からなど角度を変えてみてみましょう。
続いて、腹部全体と、胸の拡大・臍の拡大です。
続いて、お腹と右内股の拡大です。
続いて、右後肢の内股~膝の内側です。
この初診時からちょうど2ヵ月後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
続いて、腹部より下です。
ここは赤みの改善もありますが、なにより毛並みがかわっています。
以下の写真は臍周りです。
続いて、お腹~内股です。
この上の写真では少しわかりにくいかもしれませんが、右内股の赤みがほぼなくなっています。
最後にこの内股でわかりやすい写真、右後肢の内側(膝の内側)ですが、非常に毛並みがよくなっているところに注目してください。
痒みは「たま~~にかゆい」くらいで、アポキルも毎日から減らして現在は週3日の服用ですが、痒みのぶり返しはありません。
以下、今回の症例の簡単な考察です。
今回は12月~3月までアポキルを毎日服用していても痒い柴犬の皮膚病でしたが、本来であれば12~3月は皮膚病の治療成績が最も悪化しにくく、むしろ4~5月にかけて悪化するのが普通です。
その4~5月にかけてアポキルを減らしても痒みはあまりないという改善なので、写真の見栄え異常に劇的な改善効果があったといえます。
治療の成功のために注目すべき点はいくつかあるのですが、
①目・口・四肢端に強い病変がない
②耳の重症度が高い
③アポキルが効いていない
この3点を考えると「柴犬に良く認められるシンプルなアトピーではない」というのがわかります。
シンプルなアトピーではなく、アポキルが効かない・・・・・非常に難しそうにみえますが、この病気の原因はこの初診時でほぼ判定できます。
初診時の検査結果がは1週間後くらいに出揃いましたが、初診時の確信があったため検査結果が出揃うまえに治療方針を決めて治療開始させていただきました。
初診時の治療方針からの変更はありません。
なお当院と診療提携を結んでいる先生には簡単な治療解説メールをお送りする予定です。
今回は初診時に飼主様から「柴犬のコンクールに出してあげたい」という願いを聞いており、「きっとでれますよ!」とお約束していたので、順調に改善して一安心です。
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