2020.02.08
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックです。
今回はイタリアングレーハウンドの症例です。
【症例】
イタリアングレーハウンド 3歳 女の子(避妊手術済)
【経過】
〇1歳になる前から痒みが出てきた
〇アポキルを服用しても改善しない
〇へそ、腰、後肢、陰部、足先を舐める
〇頭~首を掻く
それでは、初診時の状態です。
まずは、体の正面です。
顔(右側)です。
頚部です。
体全体(右側)です。
頚部(側面)です。
右大腿部です。
足先です。
臀部です。
それでは、治療後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
口唇周囲の皮膚炎が改善されています。
続いて、頚部です。
元々皮膚炎が強かった部位ではないのですが、非常に重要な部分で、「毛並み」が改善しています。
遠目ではわかりにくいのですが、拡大することでよくわかります。
続いて、頚部の右側面の拡大です。
毛並みが非常によくなっているのが分かりますね。
続いて、右後肢側面(膝周辺)です。
膝の周囲の皮膚炎、脱毛(かじっていた)部分が非常に綺麗に改善しています。
続いて、肢端です。
かじっていたため地肌がみえていましたが、かなり綺麗に改善していますね。
続いて、左大腿部尾側(腰背部)です。
ここもかじっていたため毛が短くなって脱毛していましたが、綺麗に改善しました。
今回の症例のポイントです。
「アポキルが効かなかった」
純粋な痒みであればアポキルは非常によく効きます。
かといって掻く・こする・舐める・齧るといった掻痒症状が、すべて「痒い」から来ているとは限りません。
痒くなくても掻いたり齧ったりすることだってあります。
今回の症例では診た瞬間に「純粋な痒み」以外に2つの問題があることに気づかなければ治療がうまくいきません。
1つは「イライラしている」という心因性の問題です。
2つは「遺伝的な皮膚コンディション異常」によって起きている問題です。
この2つに同時にアプローチすればアポキルが効いてきます。
アポキルが効かないという表現ではなく、アポキルが効く痒み以外の問題点を見つければしっかり効くということです。
ということで、治療成功に必要なのは初診時にこの2つが判断できること、そして効果的な治療方針を立てれることになります。
アポキルを服用しているのに十分な効果が得られないと悩んでいる方は当院までご相談ください。
投稿者:
2019.10.27
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックです。
今回はトイプードルの症例です。
【症例】
トイプードル 13歳 女の子(避妊手術済)
【経過】
〇1~2歳頃からトリミング後に痒みが出ていた
〇半年前からは起きている時はずっと痒い状態
〇手足を舐めすぎて脱毛し、腫れている
〇首、耳を掻く
〇お尻を擦り付ける
それでは、初診時の状態です。
まずは、体の正面です。
顔(右側)です。
前肢です。
右前肢の足先です。
背中です。
それでは、初診時から約6週間後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
顔や手足の赤みや腫れが引き、毛が生えてきました。
痒みもほぼ無くなり、性格も大人しく穏やかになったそうです。
ポイントとしては治療の最初から院内薬浴を行ったことです。
初回の院内薬浴の次の診察時には
「劇的に変わりました!すごいです!」
「魔法のようなことがおこるのか、驚きです!」
とまで言っていただけました。
以後定期的に院内薬浴を受けていただき、痒みはほぼでていません。
トイプードルの典型症例の1つですが、こういった症例には適切な診断&投薬治療だけでなく、当院のスキンケア療法や体質改善のサプリメントが非常に有効です。
参考までに今回の症例はアトピー素因と心因性の混合型のため、投薬治療ではアトピー治療としてアポキルと心因性治療として向精神薬、自宅ケアとしてスキンケアシリーズ、体質改善としてスキンケアECプラスとヒーリングケアLFプラスを採用しています。
皮脂が多いタイプには当院のスキンケアセット、アトピー体質にはECプラス、心因性にはLFプラスという考え方で対応しました。
スキンケア&サプリメントのメリットですが、これほど重症の症例でもこの夏はアポキルを2日に1回という少ない量で長期間いい状態を維持できたほどです。
当院で開発したスキンケア&サプリメントは以下のオンラインショップでお買い求め頂けます。
投稿者:
2019.04.26
パピヨンの痒みを伴うアトピー・アレルギー・心因性の皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
パピヨンは湿疹・脂漏症の体質がひどくでないため、あまり難治性というイメージはないのですが、小型犬ゆえに「心因性」というのが起きやすく、アトピーと心因性が同時にあると難治性になる傾向があります。
【症例】
パピヨン 2歳半 女の子(避妊手術済)
【経過】
〇1歳前から皮膚コンディション&毛並みが悪い
〇1歳くらいから全体的に脂っぽい体質になり、痒み発症
〇顔・耳・お腹を掻く、手先をなめる、膝~スネを噛む
それでは初診時の状態をみてみましょう。
続いて、頚部です。
続いて、胸部です。
続いて、身体の右側面です。
続いて、右後足の側面です。
それでは初診時から2か月半後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
掻く・舐める・齧る・嚙むといった痒み症状はすべて消失しました。
毛並み全体がべたっと脂漏症になっていましたが、サラサラの毛並みに戻りました。
また齧り過ぎて毛がなくなっていた部分(右後足・外側)もきれいな毛並みがもどってきています。
こういった症例はアポキルやプレドニゾロンでは十分な改善に至らないため、積極的な心因性アプローチがお勧めです。
投薬治療もそうですが、ヒーリングケアLFプラスを併用することで少ないお薬で高い効果を導き出すことが期待できます。
長期続けることでお薬を減らすことも診察ではできているので、サプリメントを併用しながら治療するのがベターです。
また脂漏症にはクレンジング&シャンプーといったスキンケアも非常にいいのですが、根本的な体質改善にはサプリメント「スキンケアECプラス」が非常にいいです。
今回のパピヨンの症例には、
・クレンジングオイル
・シャンプー
・モイストクレンジングオイルジェル
・スキンケアECプラス(アトピー&脂漏体質の改善)
・ヒーリングケアLFプラス(心因性対策)
の5点を使っています。
投薬治療も併用していますが、一般的な痒み治療薬であるアポキルは3日に1回レベルで十分コントロールできています。
犬の皮膚病治療のために開発したスキンケアおよびサプリメントは以下のオンラインショップからお買い求めいただけます。
こういった心因性にはヒーリングケアLFプラス、パーソナルケアPⅡ+のどちらかがお勧めですが、パピヨンで軽症であればヒーリングケアLFプラスがいいかと考えています。
柴犬・フレンチブルドッグ・シーズーはパーソナルケアPⅡ+をお勧めしています。
投稿者:
2018.12.15
トイプードルのアトピー・アレルギーなど脂漏を伴う皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
今回の症例は以前紹介したトイプードルの脂漏症のその後です。
前回記事 ⇒ 【トイプードルの皮膚病】アポキルが効かない脂漏症
初診時の詳しい状態は前回記事をご覧ください。
改めてよくなった部位の比較を行います。
初診時の状態から。
まずは右前腕。
それでは初診時からわずか6週間後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
変化としては、
・痒み:ほぼなし
・脂漏:ほぼなし
・毛の再生
・エリザベスカラーを完全に外すことに成功
です。
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【獣医師の解説】
今回の症例のポイントは
①脂漏をどうコントロールするか?
②痒みをどうコントロールするか?
③エリザベスカラーを外せるか?
です。
①に関しては投薬とスキンケアが非常に重要ですが、アポキルでは抗脂漏が難しいためその他のプランが推奨されます。
②痒みは2種類の痒みがあるため、アプローチ方法を2~3つ用意して臨まなければいけません。
それこそアポキルで痒みをコントロールできない典型症例なのですが、その理由は最後の腰背部~臀部の病変ですね。
前腕の痒みも心因性が一部含まれていますが、腰背部~臀部の痒みはほぼ心因性といっても過言ではないです。
この心因性のアプローチがなければ③エリザベスカラーを外すは難しいでしょう。
投稿者:
2018.12.15
トイプードルのアトピー・アレルギーなど手舐め・足舐めなど痒みを伴う皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
今回はトイプードルの症例です。
【症例】
トイプードル 5歳5ヶ月 女の子(避妊手術済)
【経過】
〇1年半ほど前から突然痒がるようになった
〇季節性は無く、年中痒い
〇四肢端と足裏を舐める
〇口周りを掻く
それでは初診時の状態です。
まずは体の正面です。
左前肢の足裏とその拡大です。
それでは、初診時から約2週間後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
足裏の赤く荒れていた部分に綺麗に毛が生え、赤みも引きました。
このような症例にはアポキルと心因性のアプローチを同時に行うことが重要です。
アポキルを使いつつ、当院が開発したサプリメント「ヒーリングケアLFプラス」を使うことでアポキルを徐々に減らすことができます。
当院で開発したスキンケア&サプリメントは以下のオンラインショップでお買い求め頂けます。
投稿者:
2018.11.29
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックです。
今回はマルチーズの症例です。
【症例】
マルチーズ 7歳 男の子(去勢手術済)
【経過】
〇手足を舐める、爪をかじるのがひどい
〇季節性は無く1年中続く
〇2~3ヶ月前から口唇を痒がる
それでは、初診時の状態です。
まずは、体の正面です。
左側の口唇周りとその拡大です。
右側の口唇周りとその拡大です。
手舐めがひどいのですが、爪を執拗にかじっているため、写真でわかるほどの皮膚炎はありません。
それでは、初診時から約8週間後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
口唇の赤みや腫れも引き、痒がることも少なくなったそうです。
数年つづいた手舐めも「たま~に舐める程度」となり、爪をかじるのは一切なくなりました。
このような症例には当院が開発したサプリメントが非常に有効です。
当院で開発したスキンケア&サプリメントは以下のオンラインショップでお買い求め頂けます。
【症例報告制作者】 看護士 長尾
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【獣医師の解説】
数年単位で続く手舐め・足舐め・爪かじりと、ここ最近の口唇の痒みです。
口唇と四肢端の痒みであればアトピー・アレルギー関連を疑うのもありですが、今回は発症のタイミングにかなりズレがあります。
確かに口唇が極端に赤く腫れてはいますが、口唇の痒みは7歳手前からの発症のため、典型的なアトピーではないかと思います。
この発症のタイミングが違う点からも、手先の痒みと口唇の痒みのアプローチをまったく同じにしてはいけないことがわかります。
今回は、口唇には赤く腫れていることに対する積極的な痒み治療をメインとし、手先は心因性アプローチをメインとしています。
この症例ではアポキルがある程度効きますが、アポキルが最優先というわけではないため、最初だけしっかり使ってどんどん減らしていくことが可能というタイプです。
実際1日1回から始め、すでに3日に1回という頻度まで減っています。
初診時にアポキルがどの部位にどの程度効くのか、アポキル以外に必要な心因性治療がどのレベルで必要なのかを判定することが重要です。
投稿者:
2018.11.09
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックです。
今回は痒みが続くウェスティの症例です。
【症例】
ウェスティ 11歳6ヶ月 男の子(去勢手術済)
【経過】
〇アポキルを1年以上毎日服用したが治らない
〇食事療法を行ったが改善しなかった
〇昨年春から徐々に悪化、初診時(2018年8月)が一番悪い状態
それでは、初診時の状態です。
まずは体の正面です。
前胸部です。
前肢の足先です。
脇全体と、右脇の拡大です。
内股です。
それでは、初診時から約8週間後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
ボロボロとした部分が取れ、皮膚の黒ずみもだいぶ綺麗になっています。
痒みもだいぶ引いたそうです。
このような症例には当院が開発したスキンケアとサプリメントが非常に有効です。
当院で開発したスキンケア&サプリメントは以下のオンラインショップでお買い求め頂けます。
【症例報告作成者】 看護士 長尾
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【獣医師の解説】
アポキルを1日1回1年継続しての現状のため、相当な難治性に入ります。
ウェスティの脂漏症はアポキルがでる以前から治療が難しく、当院でも苦戦してきた過去がありますが最近はアプローチ方法を変えることで随分改善できるようになっています。
こういった症例の治療を成功させるポイントの1つは、「痒みを抑えるために痒み止め内服を使う」という認識をやめることかと思います。
仮に「痒みを抑える」という視点でアプローチすると、古くからあるのは「ステロイド」であり、今はアポキルという副作用が非常に少ない選択肢があります。
ステロイドが長期使用で副作用がでやすいことを考えると、今の皮膚科がアポキル一辺倒になるのはやむを得ないのかなと思います。
そしてこのステロイドやアポキル以外で痒みを抑えるとしたら同じく古くからある「抗ヒスタミン剤」や「免疫抑制剤」があります。
しかし抗ヒスタミン剤による痒みの軽減効果はかなり限定的で、実際このウェスティの症例も「アポキル+抗ヒスタミン剤」だったので重症例で明らかな改善は期待できません。
免疫抑制剤についてはアポキル登場以前はよくつかわれていたようですが、飲みにくさや痒みを直接的に止める作用が弱い&効果がでるまで時間がかかるなどの理由もあり、アポキルの登場により敬遠されがちで、当院に転院されるわんちゃんで免疫抑制剤を使っている症例はほとんど見かけなくなりました。
今回の症例は最も使えるアポキルで改善しないというのがスタートラインとなっています。
ではどうすればいいのか?
ここで「痒みを止める内服薬」という視点をメインにしないようにします。
次に目を向けるのは「重度の脂漏」です。
なぜこんなにひどい脂漏が起きているのか?、脂漏をどう抑えるか?を考えます。
原因が2つあるのですが、この原因は初診時にわかります。
抑える方法はアポキルではなく、別の方法を2つ使います。
そう、今回はステロイドもアポキルも使わず治療プランを組み立てています。
※厳密には初診時に胃腸炎+発熱があり新しい治療プランのスタートは2週目からとなりました。
それでもたった2ヵ月でここまで改善できるので、痒み治療はアポキルだけではなく、症例に合わせたアプローチが必要ということです。
以下まとめ。
今回の症例の大きなポイントの1つは、内服治療にアポキルもステロイドも使わずここまで改善する治療プランが存在することです。
2つめのポイントは、初診時に脂漏症の原因が2つわかり、それに対して治療プランを組み立てることができることですね。
投稿者:
2018.10.26
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックです。
今回はゴールデン・レトリーバーの症例です。
【症例】
ゴールデン・レトリーバー 6歳4ヶ月 女の子(避妊手術済)
【経過】
〇3年前から下顎を血がでるまで掻き壊す
〇腹部を舐める、噛む
〇足裏を真っ赤になるまで舐める
〇2年前からエリザベスカラーを使用
〇この2年間、アポキルを毎日服用しいてるが改善しない
〇食事療法を行ったが改善せず
それでは、初診時の状態です。
まずは下顎とその拡大です。
下顎全体的に痒いのではなく、毎回同じ部位を書き壊しています。
続いて、腹部です。
続いて、足裏です。
それでは、初診時から約7週間後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
舐める、掻くなどの行為も減り、エリザベスカラーも外すことができました。
腹部、足裏の赤みもだいぶ良くなったと思います。
このような症例には、当院が開発したヒーリングケアLFプラスが非常に有効です。
スキンケア&サプリメントは以下のオンラインショップでお買い求め頂けます。
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【獣医師の解説】
心因性による痒み行動(舐め壊し、掻き壊し)の割合が高い症例です。
初診時から心因性に対する積極的な治療が必要です。
心因性のためサプリメントは非常に理にかなったアプローチですが、程度が強いため投薬治療の併用が必須です。
お薬の種類の選択、お薬の投薬量の設定が非常に難しいため、治療に相当な慣れがなければ難しい症例でもあります。
食事療法やアポキルでの治療ではほとんど改善しないため、視点を変えたアプローチが重要です。
投稿者:
2018.10.15
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックです。
今回はしつこい手舐めが続いているフレンチブルドッグの症例です。
【症例】
フレンチブルドッグ 3歳 女の子(避妊手術済)
【経過】
○1年前から手を舐める
○寝ている時以外ずっと舐めている
○季節性あり(夏がひどい)
○胸部、腹部に湿疹が出やすい
それでは、初診時の状態です。
まずは体の正面です。
次に、右前肢の甲、指間、足裏です。
続いて、左前肢の甲、指間、足裏です。
それでは、初診時から約4週間後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
痒みも減り、寝ている時以外はずっと舐めていた手も舐めなくなりました。
犬の癖のような手舐め・足舐めといった心因性の痒みには、当院が開発したヒーリングケアLFプラスが非常に有効です。
当院で開発したスキンケア&サプリメントは以下のオンラインショップでお買い求め頂けます。
【症例報告制作者】 看護師 長尾
投稿者:
2018.09.03
ポメラニアンの脱毛・脂漏などの皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
ポメラニアンの脱毛というと毛周期停止(アロペシアX)が有名で、当院を受診されるポメラニアンも脱毛症(毛周期停止・アロペシアX)が多いのですが、その他の皮膚病もないわけではありません。
【症例】
ポメラニアン 1歳8カ月 女の子(不妊手術済)
【経過】
〇生後4か月のころから身体・四肢を掻く&噛むといった痒み症状を呈する
〇平成29年6月から当院受診5月までアポキル(オクラシチニブ)を毎日服用するも十分な改善はない
〇アポキルを1日2回服用を3カ月続けたが、1日1回と比較して痒みの軽減はない(今は1日1回)
〇過去の服用は、抗生物質として「メトロニダゾール・アモキシシリン・ドキシサイクリン・オフロキサシン・ホスホマイシン・エンロフロキサシン」、ステロイド、抗ヒスタミン剤
〇食事療法はアミノ酸系など2種類(おやつはなし)
〇外用ステロイドでの改善なし
〇季節性はなし
〇傷だらけになってしまうため、エリザベスカラーを常に装着している
それでは初診時の状態です。
まずは正面から。
続いて、右前腕と手先です。
続いて、左前腕とその拡大です。
続いて、胸部・腹部の順番です。
続いて、側面とその拡大です。
続いて、左後肢の側面(膝~カカト)です。
最後に、後ろからです。
それでは初診時から3カ月半の状態と比較してみましょう。
改善点を列挙していきます。
①エリザベスカラーを完全に外すことができました(初診時から2カ月半の時点)
②毛並みがよくなりました
③フケ・皮脂が劇的に減少しました
痒みがないというわけではありません。
かじったりもありますが、何よりエリザベスカラーがないという生活を取り戻すことができたのは大きなことだと思います。
今回のポメラニアンの症例はややイレギュラーな皮膚病で、途中治療初期には嘔吐・下痢・低血糖・高CRP値の問題点もでたりもしましたが、初診時から治療方針の変更はなく、順調に改善したと判断しています。
参考までに今回の3カ月半にアポキル(オクラシチニブ)は1度も使っていません。
使ってはいけないという意味ではなく、アポキルで改善は難しいと判断しています。
今の皮膚科では「掻く」「舐める」「噛む・かじる」といった痒み症状にアポキルという流れが定着しつつあり、いいこともあればそうでないこともあるように思います。
アポキルが効く皮膚病と、効きにくい皮膚病を診極めて処方することができればもっと皮膚病の治療成績は高くなると考えています。
今回の症例で改めて考えたことですが、
①エリザベスカラーを使うメリットはほぼない
やむを得ず装着する場合は、「あとで外せる」と判断できる場合に限り一時的につけてもいいと思っています。
②アポキルは魔法のような万能薬ではない
アポキルが抑えられる痒み症状は全体の一部です。
「痒い=アポキル」ではないので、アポキルを処方するときは「アポキルが効くのか効かないのか」の判断と「もしアポキルが効かなかったら」のプランニングをして処方する必要があると思います。
③病気の原因は1つではない
アトピー、膿皮症、食物アレルギー・・・・など有名な病気はさまざまありますが、病気が複数まざっていることも多いので、治療が1つにならないように組み合わせてアプローチする必要があります。
パズルのピースのように、1枚でも足りない・ズレあると完成しないので、「枠のないパズル」という感覚があってもいいと思います。
うまくいかないときは「足りない」か「ズレがある」です。
参考までに今回の症例でも院内薬浴(スキンケア)とヒーリングケアLFプラスを使っています。
ただ、今回の症例を検査なく、投薬治療もなく改善させるのは99%不可能だと思います。
的確な投薬治療をしながらスキンケア&サプリメントを併用するのが大事です。
一応当院で使っているスキンケア商品・サプリメントの紹介をしますが、適切な医療提供がなければ難しいことも多々あることをご理解ください。
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