2018.05.14
フレンチブルドッグのアトピー・アレルギーなど脂漏性皮膚炎の治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
フレンチブルドッグの皮膚病は扱いにくく、こじれやすいです。
昨日は東京・品川の遠隔診療で5頭のわんちゃんを診ましたが、そのうち2頭がフレンチブルドッグでした。
たしかに難しい体質だと思いますが、うまくいかない理由は案外基本にあり、今の皮膚科医療のスタンダードである「アレルギー」と「痒み止め」に縛られてしまっていることだと思いました。
「フレンチブルドッグの皮膚病はアレルギーではない」「皮膚に痒みの異常があるわけではない」という目線でアプローチしなければうまくいかないと思います。
今日は以前にも2回紹介したわんちゃんの経過報告です。
1回目は、
3月23日UP 過去最高のフレンチブルドッグの脂漏性皮膚炎治療 (初診)
2回目は、
3月30日UP 過去最高のフレンチブルドッグの脂漏性皮膚炎治療② (2回目再診時)
今日紹介するのは初診から約6週間後のつい先日の症例報告です。
まずは1回目、2回目と順番医お読みください。
それでは初診時から6週間後との比較をご覧ください。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
顔のシワの皮膚炎がまだ十分とはいえませんが、全体的には劇的な改善ができたいと思います。
この方向性でいけばもう2度と元の状態にもどることはないでしょう。
このタイプの症例には院内薬浴を実施して、サプリメント2種類を併用しています。
当院の薬浴で使用しているスキンケアと、サプリメントは以下のオンラインショップからご購入できます。
適切な診断・治療とともにご使用ください。
投稿者:
2018.04.08
フレンチブルドッグのアトピー・アレルギー・膿皮症といった痒い皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
フレンチブルドッグの皮膚病のキーワードは
①アトピー
②アレルギー
③膿皮症
④食事療法
⑤痒い(掻く&舐める)
⑥癖(心因性)
⑦脂漏症
が代表的かと思います。
今回紹介するのはこの7つのうち6つが当てはまる「典型的なフレンチブルドッグの皮膚病」です。
一目診た瞬間に治療法が決まり、「絶対に良くなる」という典型例です。
それでは初診時の状態をみてみましょう。
まずは顔正面から。
続いて、右前肢端です。
続いて、腹部です。
続いて、背中です。
治療後(約2ヶ月後くらい)と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
フレンチブルドッグで最も手ごわい足を舐める痒みですら元々10として残りは1~2程度です。
ずっと繰り返しでていた湿疹は完全に消失、今は再発すらしなくなりました。
このタイプは投薬治療とスキンケアが非常に早い改善をもたらしますが、当院のスキンケアECプラスとヒーリングケアLFプラスが再発防止やお薬の減量に非常に役立ちます。
この症例も「アポキルを服用していても痒い!」という状態でしたが、いまは「痒くなったら時々アポキルを服用するだけで十分維持できる」という改善具合です。
フレンチブルドッグの皮膚病に必要なシャンプー(スキンケア)、根本的な体質改善に必要なサプリメントは以下のオンラインショップでお買い求めいただけます。
※適切な診断&投薬治療があれば最高の治療成績がでます。
当院では関東にお住まいの方に向けて、5月13日(日)の夕方に品川区で遠隔診療を行います。
ご希望の方は当院HPからお申し込みください。
投稿者:
2018.03.22
アトピーやアレルギーなど難治性皮膚病の筆頭にあがるフレンチブルドッグの治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、愛知県四季の森どうぶつクリニックです。
フレンチブルドッグの皮膚病の基本は「体質を診極める」です。
例えみためが違えど、遺伝的な背景はほぼ似ており、必要な治療アプローチの根本的な考え方に差はありません。
見た目の違いは「表現系の違い」と認識しており、特別な理由はないと思っています。
いくつかの治療パターンの中から、どこの部位にどの治療をすればいいのか、そして治療の力を入れ具合の優先順位をつけることができれば大半の皮膚病は改善に向かいます。
今日紹介する症例は、先日の3月22日に当院をはじめて受信されたわんちゃんです。
まだ1回しか診察していないため、まだ治療後の写真は1枚もありません。
【症例】
フレンチブルドッグ 2歳 男の子(去勢済)
【経過】
〇1歳のときにはじめて皮膚病(背中の複数できる円形脱毛)
〇胸~お腹~内股・・・と拡大し、皮膚はゴワゴワになる
〇アポキルを毎日服用するも改善は初期の一過性で、ここ数か月は悪くなっている
〇約6か月前からアミノ酸系のアレルギー対応療法食を継続中
それでは初診時の状態です。
まずはお顔、さまざまな角度からみてみましょう。
続いて、頚部です。
今回のわんちゃんでは頚部のダメージはかなり小さいですね。
続いて、右前腕とその拡大です。
続いて、左前腕とその拡大です。
続いて、胸部~腹部です。
続いて、内股~後肢です。
かなり重度ですが、治療方針は一瞬で決まります。
そう、最優先なのは薬浴ですね。
投薬治療が欠かせない症例ですが、薬浴して帰ることで初期の治療成績がかなり高く、そして早期に劇的な改善が認められると思います。
ただ薬浴そのものでは「皮膚病の原因」には対処できていないため、根本的にはことなるアプローチをしなければいけません。
その根本的なアプローチというのは、スキンケアECプラスであり、ヒーリングケアLFプラスであり、食事療法だと思います。
今回は薬浴実施と食事療法の処方とし、次回改善していることを確認してスキンケアECプラス、ヒーリングケアLFプラスを処方する予定です。
特に今回の症例は「初診日から食事変更で、新しい食事療法開始」としたのですが、これは非常に重要なポイントです。
当院に受診していた当日まで食べていた療法食はアミノ酸系アレルギー対応療法食でした。
アミノ酸系療法食を食べていればよくなるというのはないので、即刻中止です。
参考までに当院の薬浴で使用しているスキンケア商品、このタイプのわんちゃんの体質ケアに必要なスキンケアECプラスとヒーリングケアLFプラスは以下のオンラインショップからお買い求めいただめます。
追記)3月30日
初診から8日後の3月30日に2回目に来院されたときの状態を紹介しています。
投稿者:
2018.03.16
犬の痒い皮膚病治療における食事療法に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
当院には愛知県内全域だけでなく、隣の岐阜県・三重県・静岡県からの来院もよくあります。
ここ数年は関東・関西圏からの受診も珍しくなく、特に東京・神奈川からの受診は年々増えていっています。
北海道は往診依頼があったのでカルテもありますし、以前は宮崎県からフェリーにのっての受診もありました。
そして今回はついに、四国から橋を渡って受診がありました。
※平成30年5月21日追記 この症例のさらに2ヵ月後
【症例】
プロットハウンド 2歳半 女の子
【経過】
〇1才になる前からの皮膚病
〇背中の湿疹&脱毛(全体的)
〇この1年ずっとアポキルを服用している
〇わき、お腹、目の上、耳、目、口唇、背中など身体全体が痒い
〇アポキルを服用していても痒みが強く、やめるともっと痒くなる
〇アミノ酸系の食事療法を継続している
〇2週間に1回マラセブシャンプー
それでは初診時の状態をみてみましょう。
写真はありませんが、背中にも円形の膿皮症である湿疹&虫食い脱毛が認められました。
この初診時から14日後の状態とひかくしてみましょう。
痒みが劇的に減少し、この1年で最も良い状態になったということです。
具体的には元々の痒みを10とすると、2週間で3まで改善しています。
内服薬の処方としてはアポキルのみで、今までとまったく変わらない処方です。
背中の膿皮症に関しては本来抗生物質を処方するのが定法なのですが、「あること」を考えて抗生物質をあえて処方せずに2週間すごしてもらいました。
背中の膿皮症に対して考えた「あること」とは、
①耐性菌による膿皮症の可能性を強く疑うため、処方の前に細菌培養&感受性試験を行い、感受性(効果)のある抗生物質を調べてから処方
②この症例の体質であれば、今のアミノ酸系療法食は体質に合っておらず、背中の膿皮症は別の食事療法とスキンケアECプラスとMedicareクレンジングオイル&シャンプーの4点セットで良くなるはず
の2点です。
初診時から2週間の治療の中で、内服薬の処方としてはアポキルの継続服用のみとしたのですが、アポキル以外にお渡ししたのは
〇スキンケアECプラス1回1包 1日2回服用
〇Medicareクレンジングオイル&シャンプー 週1~2回
〇病院推奨の食事療法 ※アミノ酸系療法食は即刻中止
でした。
この初診時の指示&処方により、背中の膿皮症は抗生物質を服用することなく、ほぼ完全に消失しました。
実際に2回目の診察時(初診から14日後)には、細菌培養&感受性試験の結果がでて「効果がでる抗生物質」が特定できたのですが、服用しなくてもいい状態になっていたため、結局処方はしていません。
食事管理を間違わず、このまま膿皮症のために開発したサプリメントであるスキンケアECプラスがあれば、今後も膿皮症がでることはほぼないでしょう。
ここで大事なポイントは、1年間にわたって出続けていた背中の膿皮症の原因がどこにあって、どうすれば根本的(抗生物質を使わず)に改善するかを初診時に確定できたことですね。
すわなち、アミノ酸系療法食がこのわんちゃんの体質に合っていないという判断ができたこと、体質に合う食事療法の指示ができたこと、そしてスキンケアECプラスが膿皮症に効くと判定できたことです。
続いて目のまわり、口唇~下顎、うで&わき、腹部などの皮膚炎も十分に改善しています。
もうここから悪くなることはないと思います。
参考までに今回の診断はアトピー&膿皮症です。
食物アレルギーは稀なため現在は特別食事制限を考えておらず、今後はいろいろ食べていいという方向性になっています。
このわんちゃんの膿皮症は、スキンケア&サプリメント&食事療法だけで改善するものです。
アトピーもある程度改善が期待できるとは思うのですが、投薬治療があった方が絶対的にいいと思います。
当院で推奨しているスキンケア&サプリメントは専用オンラインショップでお買い求めいただけます。
当院における膿皮症の治療成績がよい理由は「いいお薬」を使うからではなく、膿皮症ができる原因(体質)を高い精度で、かつ初診時に特定することができるためです。
今の皮膚科医療には、膿皮症を治すための抗菌薬(抗生物質や殺菌系消毒薬)はあるのですが、「膿皮症が再発する理由」を特定できる検査はありません。
しかし問診&視診である条件を満たす症例であれば、どうすればできなくなるかが大体わかるようになります。
今回はそんな典型的な症例でした。
平成30年5月21日 追記 この症例のその後
投稿者:
2018.02.11
シーズーのアトピー・アレルギーによって難治性になりやすい脂漏性マラセチア性皮膚炎の治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
シーズーの脂漏症は原因・体質・程度がわんちゃんによって随分と異なるので、どの原因にどのくらい力をいれてアプローチするか?がとても重要です。
今はアポキルがあるため「とりあえずアポキル」というプランで改善があるわんちゃんはそれでいいのですが、アポキル単独で改善がない場合、次の手を複数もっていなければお手上げになり詰んでしまいます。
今回はそんな「アポキル単独ではきびしい」という典型的なシーズーの脂漏症です。
【症例】
シーズー 5歳 男の子(去勢済)
【経過】
〇2年半前から皮膚病
〇1年通して改善なく、梅雨が最も悪化する
〇過去にかかりつけ動物病院以外に皮膚病のために3件の動物病院を受診し、漢方治療、ホルモン治療、食事療法などを行うも改善なし
〇今回5件目の動物病院として当院受診
それでは初診の状態です。
まずは頚部とその拡大。
続いて、右前腕です。
続いて、胸部とその拡大です。
続いて、左の脇の拡大です。
続いて、腹部の臍周囲の拡大です。
続いて、腹部~内股です。
毛をカットしてみました。
まずは頚部です。
続いて、臍周囲の拡大です。
治療から3か月後の状態と比較してみましょう。
90%の部位で皮膚がかたい、フケがでる、べたつくといった脂漏症の症状をおさえることができました。
部分的にのこっているとこもありますが、かなりの改善と判断できます。
ただ、今回の症例ではこの「脂漏」の体質がかなり強く、通常の治療では抑えきれませんでした。
・アポキル
・院内薬浴(2週間に1回)
がメインではあるのですが、この2点ではむずかしかったため、さらに4つの治療を併用しようやくここまで改善しています。
現在は3週間に1回になりましたので、今後は4週に1回まで間隔をあけることが目標です。
その状態で今年の梅雨~夏を乗り切るのが次のの目標となるでしょう。
今回の症例では投薬治療が絶対的に必要な状態でしたが、もちろんスキンケア&サプリメントもかなり重要なポイントになっています。
遠方にお住いの方でも遠隔診療が適応になる病気でもありますので、お困りの方は一度受診をご検討ください。
今回のわんちゃんのような体質に向いているスキンケアとサプリメントは下記のオンラインショップでお買い求めいただけます。
投稿者:
2018.02.03
シーズーのアトピー・アレルギー・脂漏・マラセチアといった痒い皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
シーズーの皮膚病治療で重要な要素の1つはスキンケアであり、当院では昔からシーズーのスキンケアに力を入れていますが、スキンケアで何でも治ると思っているわけではありません。
また最近ではアポキルという非常にいいお薬がでて治療成績を向上させていますが、アポキルがどんな痒みも抑えることができるわけではありません。
今回紹介するのはそんな「スキンケアやアポキルでも抑えきれない痒み」についての症例報告です。
【症例】
シーズー 2歳9カ月 男の子(去勢済)
【経過】
〇1歳になる前からの痒みを伴う皮膚病
〇9カ月前からアポキルを服用継続しているが、明らかな改善が認められない
〇食事療法として複数試しているがよくならない
〇当院で3件目の動物病院
それでは初診時の状態です。
まずは正面から。
続いて、右耳。
続いて、左耳と拡大。
続いて、頚部とその拡大。
続いて、右前腕と脇部分の拡大。
続いて、左腕とその拡大。
続いて、胸部と左右の脇の拡大です。
続いて、腹部とその拡大です。
同じく右内股、膝のやや上あたりの拡大です。
続いて、左膝の拡大です。
続いて、右膝~右すねの拡大です。
最後に四肢端として、右前肢の指の間と足裏をみてみましょう。
こういった症例の場合、院内薬浴が非常に奏功するためカットさせていただきました。
以上が初診時の状態の紹介です。
それでは初診時の薬浴の次の診察(わずか12日後)の状態をみてみましょう。
皮膚の発赤がほぼ消失、もちろん痒み・臭い・フケ・べたつきもほとんどありません。
アポキルを服用する、抗真菌剤を服用する、こまめにシャンプーする、食事療法をする・・・・どれも間違っていませんし、特に問題となる治療プランではありません。
ここで重要なのは「パズルのピース」です。
もう一つピースを足せばうまくいくのです。
そのピースの不足に気づくことが重要ですね。
参考までにこまめにシャンプーすることが悪いわけではないのですが、上記の12日間は一度もシャンプーしていません。
そして治療後の改善写真も「薬浴前」の状態ですので、こまめにシャンプーしなくてもここまで改善します。
よくシーズーの脂漏・マラセチアでは「こまめにシャンプー」と言われていますが、シャンプーで治る皮膚病と治らない皮膚病があり、今回の症例では「シャンプーの回数が問題ではない」ということです。
スキンケアに力を入れてこだわりにこだわった自分が言うのもおかしな話ですが、個人的には「シーズーの脂漏・マラセチアにスキンケアは必須だけれども、シャンプーでは治らない」が行き着いた答えです。
シーズーの皮膚病でお困りの方は当院の治療&薬浴をぜひ受けてみてください。
典型的であればあるほど劇的に改善が見込めます。
投稿者:
2018.01.11
ミニチュアダックスの皮膚病治療に力を入れ、多くの症例報告を紹介している皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
あまりにも寒く、挨拶の代わりの一言目が「寒いですね」よりも、独り言の「寒い!」が増えたような気がしています。
まだまだ正月ボケが抜けていない状況ですが、今年もしっかりと症例報告を行っていきたいと思います。
【症例】
ミニチュアダックスフンド 女の子 9歳
【経過】
〇1歳過ぎから皮膚トラブル(膿皮症)
〇1歳以降ずっと改善しない慢性的な皮膚病
〇季節性の悪化はない
それでは初診時の状態です。
まずは全体像。
続いて、顔の正面、左から、右からと続きます。
続いて、頚部とその拡大です。
続いて、胸部と腹部です。
続いて、内股~後ろ足の拡大です。
続いて、右側面とその拡大です。
続いて、背中とその拡大です。
続いて、尾の根元と肛門周りです。
この初診時から9週間後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくみることができます。
まだ目の周りの毛が生えていませんが、かなりよくなりました。
この一つまえの状態では目の周りももっと改善していたのですが、よくなったことで「治った!」と治療がおろそかになってしまい、目だけややぶり返してしまいました。
おろそかになるくらい改善したという意味ではいいのですが、改善と完治は違うため、継続が重要です。
今回のような症例では投薬治療も必要ですが、同時にスキンケアも重要になってきます。
特に当院のクレンジングオイルとシャンプーが非常にいい組み合わせだと思います。
投薬治療の内容がただしくても、この適切なスキンケアがなければこれだけの改善はなかったと思います。
当院のスキンケア商品は以下のオンラインショップからお買い求めいただけます。
投稿者:
2017.12.16
シーズーのアトピー・アレルギー性皮膚炎、脂漏性マラセチア性皮膚炎の皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
当院には愛知県だけでなく、隣の三重県・岐阜県・静岡県からも来院があります。
もちろん隣の県にとどまらず、関西・関東圏からの受診も珍しくありません。
特に東京・神奈川・千葉・埼玉からの受診は非常に多いため、継続がしやすいようにメールと写真で継続する遠隔診療を提供しています。
遠隔診療というのは初診を実際に診て、2回目からの再診をメールと写真で代用し、お薬を発送する方法ですが、簡単にいうと実際に目でみるのは1回だけです。
1回診ただけで改善までもっていくだけの治療方針を立てなければいけません。
過去にさまざまな治療を行ってきて改善しない難治性皮膚病を1回の診察でどのように改善できるのか?というのは大きなポイントのため、先日このブログで遠隔診療でのフレンチブルドッグの治療成績を紹介しました。
今日は続きで、シーズーのわんちゃんでの治療成績を報告します。
【症例】
シーズー 約10歳 女の子(避妊手術済)
【経過】
〇5年前から1年を通した慢性的な皮膚病
〇梅雨~夏が最も悪くなる
〇アポキルを使い始めた最初の2週間は効果があったが、それ以降は効果を実感できなかった
〇インターフェロン注射でも改善なし
〇ステロイドを2日に1回で多少の改善あり
今回の初診は、静岡県静岡市のあん動物病院(大石先生)で行いました。
あらためて初診時の状態、そいて毛をカットしたあとの状態をみてみましょう。
まずは顔の正面から。
続いて、顔の左側(頬)の拡大です。
続いて、口唇~下顎(やや左側)を下から見た状態です。
続いて、左の頬の拡大です。
続いて、左の口唇~下顎の拡大です。
続いて、頚部とその拡大です。
毛が多いためわかりにくいのですが、全身を紹介したあと毛をカットするとわかりやすくなります。
続いて、右前肢とその拡大。
続いて、左前肢とその拡大です。
今後の治療成績をあげるため、薬浴を実施するために毛をカットしました。
毛をカットすることでかなり炎症が重度におきていたことがわかると思います。
それではこの初診から1か月後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくみることができます。
被毛の再生があるのですが、皮膚炎・腫れ・フケにおいて著しい改善が認められています。
もちろん肝心の「痒み」も10分の1まで改善しています。
常になめたり噛んだりして、パンパンに腫れていた前肢はまったくなめなくなったということでした。
今回の診療ではいくつかキーポイントがあります。
①アポキルが効かないタイプの皮膚炎か?
アポキルが効かないわけではないのですが、過去の治療結果が示したようにアポキルだけでよくなる皮膚病ではないと判断しています。
もちろん当院からはアポキルを処方しています。
②過去にアポキルで改善がなかった理由は?
診断名として足りないものが1つ、治療方針として足りないものが2つあったため。
③何が足りなかったのか?
1つは初回に実施した薬浴で、実は薬浴直後から劇的に改善していることからも足りない治療のピースの1つは薬浴だったと思います。
④「薬浴+アポキル」で改善するか?
薬浴の効果は一過性であり、ずっと長期間継続するようなことはないため、1回の薬浴でここまでよくするのは難しかったと考えています。
薬浴により皮膚コンディションを一気に改善させ、もう1つの大事な治療でケアしていくというイメージの方が適切です
もう一つの治療については、初診当日あん動物病院の大石先生に「なぜそう思うのか?」「皮膚のどこの部位をどう評価するのか?」についてお伝えしました。
もちろんシーズーの典型的な皮膚病ですので、当院のスキンケア&サプリメントが治療のサポートにかなり役立っています。
投薬治療があってこその治療成績ですが、体質にはかなりフィットしたアプローチになっています。
当院の診断&治療があればかなりの精度で治療結果がでることが期待できるため、遠方にお住いの方も遠隔診療をご検討ください。
なお、今回の初診のシーズーちゃんの治療方針ですが、初診前に送っていただいたメールと写真で想定した通りで、診察時の修正はありませんでした。
もちろん遠隔診療時の変更もありません。
今後はアポキルを減らしていくのですが、以前のような皮膚炎のぶり返しはおきないと考えています。
次回のブログは本日12月16日に初診として来院された柴犬の皮膚病の初診時状態を紹介します。
アポキル0.45㎎/kg1日2回でも痒みの改善がまったくないという主訴で来院しています。
もちろん診断は一瞬、診察台に乗る前に「なぜアポキルが効かないのか?」がわかる皮膚病です。
アポキルが便利すぎて「痒み=アポキル」となりがちな皮膚科診療ですが、当院では「アポキルが効かない痒みの治療」と「アポキルを減らすための治療」の両方に力を入れています。
◆◆◆ご案内◆◆◆
1月8日、10日に京都市の動物病院 「よこた動物診療室」で皮膚科診療のサポートを行います。
8日はすでに定員に達しましたが、10日はまだ受付可能です。
継続治療はよこた動物診療室での通院治療が基本ですが、京都への通院も困難な遠方の方には遠隔診療でサポートします。
京都市内にお住いの方で、皮膚炎治療にお困りの方は当院HPの遠隔診療の都市部開催お問い合わせフォームからご連絡ください。
投稿者:
2017.12.07
シーズーのアトピー・アレルギー性皮膚炎、脂漏症を伴うマラセチア性皮膚炎の治療に力を入れている皮膚病治療専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
シーズーの皮膚病治療、特にシャンプー療法(スキンケア)に力をいれている当院ですが、スキンケアだけで皮膚病がなんでもよくなると思っているわけではありません。
サプリメントもしかり、当院ではスキンケア&サプリメントを推奨していますが、このスキンケア&サプリメントで皮膚病が治ると思っていたら病院を閉めています。
今でもクリニックとして皮膚科治療を行っているのには理由があります。
今日はそんな医療(治療)がなければ改善しない、というシーズーの症例報告です。
【症例】
8歳 シーズー 避妊雌
【経過】
〇約5年前から慢性的な皮膚病
〇1年前までステロイドを1日1回投与(約3年間継続投与)
〇9か月前からアポキルを1日2回投与開始
〇1か月前からアポキル1日2回に加えて、シクロスポリン1日1回投与併用開始
それでは初診時の状態を紹介します。
今回は来院時の状態のまま、毛をカットする前のコンディションを紹介します。
まずは正面から。
続いて、頚部とその拡大。
続いて、胸部~腹部とその拡大。
身体全体の右側面。
続いて、身体全体の左側面。
続いて、右後肢。
続いて、左後肢の膝~脛の付近。
同じく左後肢の側面拡大。
初診時から約5か月後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックするとおおきくすることができます。
5か月というのは当院の中でもやや長めですが、見違えるような劇的な改善です。
今回も「スキンケアとサプリメントが重要で・・・」と言いたいところですが、このレベルの皮膚疾患をスキンケア&サプリメントだけ改善するのは正直かなり困難です。
今回の症例では投薬治療を含めて、全総力をあげての治療となりました。
院内薬浴も初期は週1回、その後も2~3週間に1回、投薬治療も同様です。
確かにスキンケア&サプリメントも非常に重要ですが、初期治療にはお薬の力がかかせません。
なにせ1年間アポキルを1日2回も服用して、さらにシクロスポリンを併用して改善しなかった症例ですので、相当な体質なのはご理解いただけるかと思います。
参考までに当院でこういった脂漏症のシーズーちゃんに推奨しているスキンケアとサプリメントは以下のオンラインショップでお求めいただけます。
あくまで適切な診断・治療の上でご利用ください。
では何が足りなかったのか?
当院ではどのような投薬内容を行ったのか?
1年間1日2回投与したアポキルをどう考えるべきか・・・?
ステロイドの副作用と考えらえる脱毛はなぜ投薬中止後1年たっても改善しなかったのか?
当院ではこういった難治性皮膚病の症例をどうみていくのか、定期的に勉強会を開催したり獣医師向けの診療レポートを作成しています。
今回の症例でも診療レポートを作成して配信する予定です。
スキンケアとサプリメントを含めて提携をご希望の方はお問い合わせください。
※皮膚科のない動物病院に限ります。
投稿者:
2017.12.04
シーズーのアトピー・アレルギー、マラセチア性脂漏性皮膚炎の治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
12月に入り、病院も随分と落ち着いてきました。
この余裕のある時期を利用して症例報告、執筆などいろいろやっていこうと思います。
【症例】
シーズー 7歳4ヶ月 女の子(避妊済)
【経過】
〇2歳頃から痒み
〇季節性があり、夏が最も悪化する
〇アポキルを1日1回ないし2回服用しているがよくならない
それでは初診時の状態、毛をカットしました。
続いて、頸部とその拡大です。
続いて、右前肢
続いて左前肢。
続いて、胸部。
続いて、左脇の拡大。
続いて、内股。
続いて、膝周囲(右と左)。
初診時から6週間後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
痒みは元々の10分の1までへりました。
赤み、フケ、臭いほぼありません。
参考までにアポキルは当院でも処方したので、アポキルが効かないわけではありません。
治療に必要なのはアポキルだけではない、がより適切な答えですね。
不足していた治療は大きく3つです。
まずは当院のヒーリングケアLFプラス、そしてスキンケア、残りは・・・院内薬浴です。
薬用=スキンケアではないのもポイントの一つです。
あくまで投薬治療が必要なタイプではありますが、投薬治療に足りない分は当院のスキンケア&サプリメントが非常に相性がいいと思います。
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