2017.12.16
シーズーのアトピー・アレルギー性皮膚炎、脂漏性マラセチア性皮膚炎の皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
当院には愛知県だけでなく、隣の三重県・岐阜県・静岡県からも来院があります。
もちろん隣の県にとどまらず、関西・関東圏からの受診も珍しくありません。
特に東京・神奈川・千葉・埼玉からの受診は非常に多いため、継続がしやすいようにメールと写真で継続する遠隔診療を提供しています。
遠隔診療というのは初診を実際に診て、2回目からの再診をメールと写真で代用し、お薬を発送する方法ですが、簡単にいうと実際に目でみるのは1回だけです。
1回診ただけで改善までもっていくだけの治療方針を立てなければいけません。
過去にさまざまな治療を行ってきて改善しない難治性皮膚病を1回の診察でどのように改善できるのか?というのは大きなポイントのため、先日このブログで遠隔診療でのフレンチブルドッグの治療成績を紹介しました。
今日は続きで、シーズーのわんちゃんでの治療成績を報告します。
【症例】
シーズー 約10歳 女の子(避妊手術済)
【経過】
〇5年前から1年を通した慢性的な皮膚病
〇梅雨~夏が最も悪くなる
〇アポキルを使い始めた最初の2週間は効果があったが、それ以降は効果を実感できなかった
〇インターフェロン注射でも改善なし
〇ステロイドを2日に1回で多少の改善あり
今回の初診は、静岡県静岡市のあん動物病院(大石先生)で行いました。
あらためて初診時の状態、そいて毛をカットしたあとの状態をみてみましょう。
まずは顔の正面から。
続いて、顔の左側(頬)の拡大です。
続いて、口唇~下顎(やや左側)を下から見た状態です。
続いて、左の頬の拡大です。
続いて、左の口唇~下顎の拡大です。
続いて、頚部とその拡大です。
毛が多いためわかりにくいのですが、全身を紹介したあと毛をカットするとわかりやすくなります。
続いて、右前肢とその拡大。
続いて、左前肢とその拡大です。
今後の治療成績をあげるため、薬浴を実施するために毛をカットしました。
毛をカットすることでかなり炎症が重度におきていたことがわかると思います。
それではこの初診から1か月後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくみることができます。
被毛の再生があるのですが、皮膚炎・腫れ・フケにおいて著しい改善が認められています。
もちろん肝心の「痒み」も10分の1まで改善しています。
常になめたり噛んだりして、パンパンに腫れていた前肢はまったくなめなくなったということでした。
今回の診療ではいくつかキーポイントがあります。
①アポキルが効かないタイプの皮膚炎か?
アポキルが効かないわけではないのですが、過去の治療結果が示したようにアポキルだけでよくなる皮膚病ではないと判断しています。
もちろん当院からはアポキルを処方しています。
②過去にアポキルで改善がなかった理由は?
診断名として足りないものが1つ、治療方針として足りないものが2つあったため。
③何が足りなかったのか?
1つは初回に実施した薬浴で、実は薬浴直後から劇的に改善していることからも足りない治療のピースの1つは薬浴だったと思います。
④「薬浴+アポキル」で改善するか?
薬浴の効果は一過性であり、ずっと長期間継続するようなことはないため、1回の薬浴でここまでよくするのは難しかったと考えています。
薬浴により皮膚コンディションを一気に改善させ、もう1つの大事な治療でケアしていくというイメージの方が適切です
もう一つの治療については、初診当日あん動物病院の大石先生に「なぜそう思うのか?」「皮膚のどこの部位をどう評価するのか?」についてお伝えしました。
もちろんシーズーの典型的な皮膚病ですので、当院のスキンケア&サプリメントが治療のサポートにかなり役立っています。
投薬治療があってこその治療成績ですが、体質にはかなりフィットしたアプローチになっています。
当院の診断&治療があればかなりの精度で治療結果がでることが期待できるため、遠方にお住いの方も遠隔診療をご検討ください。
なお、今回の初診のシーズーちゃんの治療方針ですが、初診前に送っていただいたメールと写真で想定した通りで、診察時の修正はありませんでした。
もちろん遠隔診療時の変更もありません。
今後はアポキルを減らしていくのですが、以前のような皮膚炎のぶり返しはおきないと考えています。
次回のブログは本日12月16日に初診として来院された柴犬の皮膚病の初診時状態を紹介します。
アポキル0.45㎎/kg1日2回でも痒みの改善がまったくないという主訴で来院しています。
もちろん診断は一瞬、診察台に乗る前に「なぜアポキルが効かないのか?」がわかる皮膚病です。
アポキルが便利すぎて「痒み=アポキル」となりがちな皮膚科診療ですが、当院では「アポキルが効かない痒みの治療」と「アポキルを減らすための治療」の両方に力を入れています。
◆◆◆ご案内◆◆◆
1月8日、10日に京都市の動物病院 「よこた動物診療室」で皮膚科診療のサポートを行います。
8日はすでに定員に達しましたが、10日はまだ受付可能です。
継続治療はよこた動物診療室での通院治療が基本ですが、京都への通院も困難な遠方の方には遠隔診療でサポートします。
京都市内にお住いの方で、皮膚炎治療にお困りの方は当院HPの遠隔診療の都市部開催お問い合わせフォームからご連絡ください。
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