症例別

【シーズーの皮膚科専門外来】マラセチアに惑わされない

2016.12.02

名古屋・愛知で皮膚病治療を専門に行っている動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。

シーズーといえば難治性皮膚病が多くで、原因にはマラセチアと脂漏症・・・・・・・教科書的に書くとこうなります。

間違いではなく、マラセチアが関連した皮膚病ですし、脂漏症が起きやすいことで悪化しやすく、治りにくくなっています。

しかしマラセチアをなんとかすることが治療ではありません。

脂漏性マラセチア性皮膚炎という理由で治療が「抗脂漏シャンプー」と「抗真菌剤シャンプー」と「抗真菌剤」に・・・一見理にかなっているようですが、こう考えるからまったく改善しない症例がいます。

そのため難治性といわれていますが、実は治療はいたってシンプルです。

今日はそんな典型的な症例報告です。

【症例】

シーズー  7歳3ヶ月  男の子(去勢手術済み)  

【症歴】

 〇5年前(2歳)に痒み、赤みが発症

 〇他院で抗生物質、ステロイド、ステロイドスプレーをもらったが治らない

それでは初診時の状態そのままの姿です。

まずは正面から。

続いて頚部。

同じく頚部の拡大。

続いて胸部です。

続いて、右前肢です。

続いて、右前肢(手首あたり)の拡大です。

続いて、膝~足先です。

続いて後肢の甲の部分拡大です。

続いて右後肢の甲の拡大です。

この初診時からわずか5週間後、比較してみましょう。

※画像をクリックすると大きくみることができます。

飼主さまからは「赤みも痒みも極端に減った」と喜んでいただけました。

スキンケアも重要で、当院から免疫のためのサプリメントも併用しています。

もちろん投薬治療、当院での薬浴もとても改善に役に立ったと思います。

1つも欠けてはいけない治療の組み合わせです

 

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

【シーズーの皮膚科専門外来】脂漏とマラセチアの最速治療法

2016.11.14

こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。

晴れていると暖かく過ごしやすい1日ですが、日中に陽が当たらないと夜には寒さを感じますね。

さて、今日紹介するのは関西からの受診のわんちゃんです。

【症例】

 シーズー 14歳 女の子(避妊手術済み)

初診時の状態をみてみましょう。

シーズーで治り難い特徴である、脂漏とマラセチアの典型症例です。

初診時に検査と処方、そして院内薬浴を行い24日後に再診に来ていただきました。

その比較を紹介します。

※画像をクリックすると大きくすることができます。

シーズーの皮膚病に多く認められる臭い、フケ、脂っぽさ、痒みの全てにおいて劇的な改善が認められました。

一般的に「脂漏性マラセチア性皮膚炎」といわれているシーズーの皮膚病の典型で、教科書的には「シャンプーをこまめに(3日に1回)」、マラセチア対策に抗真菌剤の内服と抗真菌剤入りシャンプー」と書かれていますが・・・・・・・そもそもそれで治れば苦労しないわけで、まったく異なるアプローチをします。

それでもこの典型的なタイプであれば「改善しなかった例がない」レベルまで治療成績が高くなっています。

薬を飲んでもよくならない、シャンプーしても数日後には臭いと大量のフケが・・・・でお困りの方は当院までご相談ください。

 

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

【柴犬の皮膚科診療】リアルタイム診療記録③

2016.10.28

こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。

今日は肌寒い一日でしたね。

今日は以前から紹介しているリアルタイム診療です。

   初診時の紹介 → リアルタイム診療①

   2回目の診察 → リアルタイム診療②

そして本日10月28日が3回目の診察でしたので、早速報告します。

まずは初診時の状態です。

ここから3週間後の本日です。

色素沈着が強いのと、被毛の改善がまだまだですのでわかりにくいかもしれませんが、飼い主さまには劇的な改善といえます。

痒みの改善はもちろんですが、少しずつ被毛の再生し、皮膚も柔らかく、フケ・臭いも劇的に減っています。

ここまでは急性期に改善に必要なことを最優先に行いました。

この後はもっと踏み込んだ攻めの診療が必要になります。

今日までの短期的な改善に必要な治療内容と、根本的な治療はまた異なるということです。

何度もお伝えしていますが、最速の改善のために必要な治療が確定診断と根本治療とは関係ないことも多々あります。

初診時に「最優先の治療」と「確定診断と根本治療」が異なることに気づいていないと美しい治療結果は得ることができません。

ここが「皮膚病は教科書を読んでいても治らない」というところの所以ですね。

次回の報告はしばらく先になります。

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

【チワワの皮膚科専門外来】1度の診療で遠隔治療が可能

2016.10.25

こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。

随分と涼しく、夜は肌寒さも感じるようになりましたね。

来月の予定ですが、11月3日(木)に東京都葛飾区内の動物病院で皮膚科診療を行います。

東京・神奈川・千葉・埼玉にお住まいの方で、当院まで通院が困難な方への初診を行います。

ブログでその受付を告知しなければ・・・と思っているうちに、問い合わせへのメールに終われ・・・・・定員に達したため受付を終了しました。

ブログでの初のお知らせが受付終了のお知らせになってしまい、申し訳ありません。

そんな当院の遠隔診療ですが、原則直接診療は初診の1回きりです。

この1回の診療で改善まで導くのが遠隔診療の最大のポイントです。

今回紹介するわんちゃんも7月に埼玉の動物病院で開催した皮膚科診療を受診されたチワワちゃんです。

【症例】

 チワワ 6歳

それでは初診時の状態をみてみましょう。

この初診から1ヵ月半後、飼い主さまにご自宅で撮影していただいた写真を見てください。

まずは脇~肘(左)の内側です。

つづいて、右腕の肘付近です。

つづいて、頚部~胸部です。

まったく同じ視点での比較ではありませんが、かなりきれいになっているのがわかると思います。

ポイントはメールと写真で改善までのイメージができることです。

実際に診察を行いますが、その診察時に治療を悩むことはありません。

もちろん顕微鏡検査・血液検査・超音波画像診断なども行いますが、確認作業であり、検査結果が出揃う前から治療内容がほぼ確定できるほどぶれることはありません。

すべての皮膚科疾患が遠隔診療の適応になるわけではないのですが、典型例であれば10中8,9改善可能です。

この夏に関東・関西圏で20頭以上のわんちゃんを診察しましたが、全頭十分な改善が確認できました。

遠方にお住まいで通院が困難な方でも、当院の遠隔診療で高い治療成績が見込めるわんちゃんもいますので、お困りの方は一度ご相談ください。

東京で開催している皮膚科診療を受診されたい方は、

直接受診後の遠隔診療、またはご自宅までの往診をご希望の方は、

あくまで経験からの判断ですが、遠隔診療での改善の見込みがあるかの判定を行います。

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

【柴犬の皮膚科診療】リアルタイム診療記録②

2016.10.14

こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。

最近は涼しいより、肌寒さを感じることもあり、今年は秋の深まりが早いような気がしますね。

さて、今日は先週来院しリアルタイム診療として紹介した柴犬のわんちゃんお2回目の診察でした。

 先週紹介した初診時の状態 → 【柴犬の皮膚科診療】リアルタイム診療記録①

まずは初診時の状態です。

初診時からちょうど1週間後、比較してみましょう。

まだ1週間ですのでよくみると改善というレベルですが、痒みは半分にまでへりました。

臭い、フケも少なくなり、皮膚の触った感じもやわらかくなっています。

予測どおり、このまま今の治療を継続していけば一定のラインまで改善すると思います。

確定診断はまだ十分ではなく、今後も検査を一つずつ積み重ねて確定していく予定です。

要するに、「治療は検査結果がなくても進められる」であり、「診断名と治療方針が必ずしもつながるわけではない」です。

以外かもしれませんが、こういうった症例では「検査結果にかかわらず、初期に必要な治療は決まっている」なんですね。

ただ基礎疾患を無視しては本当の改善は見込めませんので、検査を無視して治療をつづけるのはよくないと思います。

治療をしつつ、基礎疾患にアプローチしていくことが重要です。

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

【柴犬の皮膚科診療】リアルタイム診療記録① 

2016.10.08

こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。

随分と涼しくなりましたね♪

今日は時々行う「リアルタイム診療報告」をします。

【症例】

 柴犬 11歳 女の子

【経過】

 ○5年前からの痒みを伴う脱毛

昨日10月7日の初診時の状態を紹介します。

まずは顔の正面、側面です。

続いて、頚部の正面、そして側面です。

続いて、胸部側面(右)です。

同じく胸~お腹にかけてです。

続いて右後肢の側面です。


最後に尾です。

なぜこうなったのか、どの検査を行うべきか、どんな治療をするべきか・・・診療に必要なイメージは診た一瞬で決まります。

そのため治療スタートは検査結果が出揃わない当日から開始できますし、かなり短期間での症状の改善が期待できます。

今回の症例も確定診断はしばらく先ですが、初日から治療開始です。

あくまで短期間で改善をさせつつ、あとから確定診断をつけていきます。

またご報告できると思います。

 

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

チワワの皮膚病治療の進め方②

2016.08.29

こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。

夜は随分と涼しくなりましたね♪

先日のブログで「チワワの皮膚病治療の進め方(初診時)」を掲載しました。

本日はその続きです。

改めて全体像を紹介します。

治療は2つに分かれます。

まず1つめは「痒みのコントロール」です。

9日後の状態と比較しましょう。

最もひどかった首の傷をみていただきたいと思います。

治療前の痒みレベルを10として、9日後は「4」まで改善しました。

傷も消失しました。

しかしまだ全体的に皮膚・毛並みで正常になったという感じはありませんね(まだ9日ですから)。

もう一押し、痒みの治療に集中していきます。

その後次の治療ステップに入ります。

そこから2~3ヶ月できっと変わると予測しています。

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

ヨーキーの慢性皮膚炎の治療報告

2016.08.29

こんにちは、メディカルスキンケアセンター(四季の森どうぶつクリニック)の平川です。

まだまだ日中は日差しも強く暑いですが、夜は随分と涼しくなってきましたね♪

それでは症例報告です。

【症例】

 ヨークシャー・テリア 6歳 男の子(去勢済み)

【経過】

 〇3年前から通年性の痒みを伴う重度の皮膚病
 〇月2回の薬浴、注射、免疫抑制剤、ステロイド、抗生物質・・・
 〇当院で4件目の動物病院受診

初診時の状態とあわせてわかりやすいように、被毛のカットを行いました。

重症の慢性皮膚病で、痛々しいです。

初診時から約3ヵ月後の状態と比較してみましょう。

※写真をクリックすると拡大してみることができます。

局所的に治りにくい部分も残っているのですが、全体でみると随分と綺麗になりました。

痒みは当院受診前の最もわるいときを10とすると、1くらいまで減ってきたということです。

こういった症例にはお薬が必要不可欠ですが、お薬以外でもスキンケアとしてオイルクレンジングとシャンプーで過剰な皮脂を落としきることが重要です。

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

チワワの皮膚病治療の進め方(初診時の紹介)

2016.08.21

こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。

お盆休みも終わり、夏も終盤ですがまだまだ暑い時期が続いていますね。

今日は昨日初診で来院されたチワワの皮膚病を紹介します。

【症例】 

  チワワ 約3歳 女の子(未避妊)

【病歴】

 〇2年前の保護引取り時から継続する慢性皮膚病
 〇通年性の痒み
 〇ステロイドで痒みの改善があるが、服用をやめると痒みがぶり返す

初診時の状態です。

慢性的な痒みを伴う皮膚病で、フケ・皮脂が多く、独特の臭いもあるため、パッと見た目で「チワワの慢性皮膚炎のよくあるパターン」に見えます。

きっとその判定で間違いないと思うのですが、このわんちゃんには「チワワによくある皮膚炎」意外にもう一つ隠れた基礎疾患があると予測しています。

アトピー、アレルギー系の治療やスキンケアだけでは改善しない基礎疾患です。

初診時の診極めで重要なのはそこまで想定してこの後の治療方針を立てることだと思います。

まずは1ヶ月で痒みの改善を、そしてそのあと3ヶ月で毛並みの改善を目指します。

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

【診極め】診断は瞬間に、治療は一寸の狂いなく②

2015.12.07

こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。

日曜日にセミナーのために名古屋駅まで行きましたが、街はクリスマスモードでとても華やかでした♪

今年のクリスマスの予定はまだ決まっていませんが、麻衣子先生となにかおいしいものでも食べようと思っています。

今日は先日紹介したチワワの皮膚病の症例報告とほぼ同じ内容です。

平成27年10月28日のブログで 【診極め】チワワの脂漏性マラセチア性皮膚炎 で紹介した黒のチワワの治療症例を紹介します。

※画像をクリックすると大きくすることができます。

それでは顔の左右から。


続いて、頚部。

続いて、身体側面左から。

続いて、頚部の左側。

同じく頚部の左側の拡大です。

続いて、身体側面を右から。


頚部の右から。

続いて、腹部側面の右から。

最後に後ろ足。

非常に綺麗に改善しました。

治用に要した期間は7週間です。

このタイプの皮膚病は診た瞬間に治療方針を決めることができ、1~2ヵ月後が頭の中にイメージできる疾患です。

もちろん先入観で診てはいけないため、必ず複数の病態パターンを想定し、必要な検査をしながら目標地点まで最短ルートを描くことが重要です。

今年は「診極め」と評して、「改善しました」という事後報告ではなく、受診直後の状態を紹介し「今から治療を開始します」という背水の陣のような症例報告を数多く取り組んできました。

その診極めも今年は今回の症例報告で一旦終了なのですが、今年紹介した全症例で想定どおり改善させることができました。

ただ1年通してみたときに、この「初診時に診極め」の精度は90~95%だと思いますので、残りの部分でまだまだ反省すべきことは多々あると感じています。

医療ですので100%は絶対にないというのことはわかっているのですが、、+1%を積み上げるのに膨大な努力と時間を費やしながら100%にどれだけ近づけることができるのか・・・

ここまで到達すると1%がとてつもなく大きく、未知の世界でもあり、1年後のプラス1%さえ僕にはわかりません。

来年は今年できなかったことが一つでもできるように、また色々と考えて診察に取り組もうと思います。

昨日より今日、今日より明日

昨日できなかったことが今日できるように、今日できなくても明日できるように

がんばります。

 

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

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