2018.06.05
トイプードルに多くみられるアロペシアX(毛周期停止)、アトピー・アレルギー、癖やストレスなど精神的な要因を含ん心因性の痒い皮膚病治療に力をいれている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
トイプードルは皮膚病が多いわけではないと思うのですが、トイプードルがゆえの遺伝的体質から難治性の皮膚病になってしまうことがあります。
「難治性」と一言にいっても色々とあるのですが、本当の意味で治りが悪いことはほとんどありません。
多くは典型的な体質のため、1つずつ的確なアプローチをしていくと非常に綺麗に改善します。
「よくならない」ということで当院を受診する飼主さまから過去の治療歴を伺うと、このアプローチで躓く「陥りやすいポイント」が見えてきます。
〇アポキル
アポキルを使って痒みが止まらないと次の選択肢がない
〇抗生物質
抗生物質で改善が認められないときに「ずっと同じものを服用し続ける」「効かないため抗生物質を処方しない」「抗生物質を変更しつづける」
〇食事療法
食物アレルギーを疑い魚、ポテト、動物性蛋白なし、アミノ酸系・・・・色々試す
こういった点は陥りがちなポイントで、迷走する原因になります。
アポキルが効かないときはアポキルが効く痒みとは異なる痒み原因へのアプローチを考えるとうまくいきます。
抗生物質が効かないときは「抗生物質が効く病変なのか再検討」「抗生物質が効くのか検査」「そもそも菌が増える理由はどこにあるのか?」を考えていくとうまくいきます。
食事療法は「そもそも食物アレルギーなのか?」から考えていく必要があります。
要するに皮膚病が治らない原因は1つではなく複数、同時にすべてへのアプローチがそろわないと改善しないこともあります。
今回紹介する症例は、そんなわずかなズレの積み重ねでよって難治性になっていた症例です。
【症例】
トイプードル 4歳半 男の子
【経過】
〇4ヶ月前から皮膚トラブル(痒み&脱毛)
〇手舐め、足舐め、口唇をかく、繰り返す背中の湿疹
それでは初診時の状態をみてみましょう。
まずは顔の正面。
続いて、口唇(左)です。


続いて、右側。


続いて、頚部です。

続いて、胸部とその拡大です。


続いて、腹部です。

続いて、背中とその拡大です。



続いて、側面とその拡大です。



初診時から約3ヵ月後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
非常に綺麗に改善しました。
改善点①毛並み
全体的に薄毛でしたが、フワフワの状態にもどっています。
トイプードルの薄毛ではアロペシアX(毛周期停止)か、その他のホルモン異常かいくつかありますので各種検査が必要です。
時に難しい判断になる検査結果となり悩むことはありますが、それなりのアプローチ方法がありますので改善の余地は高いと考えています。
改善点②湿疹
特に薄毛の部分(胴体)に全体的に認められた湿疹(膿皮症)ですが、抗生物質をやめてもほぼコントロールできています。
※現在初診から半年以上経過しましたが、湿疹の再発はほぼなし
改善点③脂漏
口唇、四肢を中心に「かひ」を認めましたが、綺麗な状態を保っています。
改善点④手舐め・足舐め・痒み
基本はアトピーでいいのですが、アトピー単独であれば過去のシクロスポリンやステロイドで十分に緩和できていたはずです。
改善できなかった理由は心因性なのですが、心因性だけで痒かったわけではないため、アトピー対策と心因性対策の両方を行えばバランスが取れます。
しつこい手舐め・足舐めは心因性へのアプローチにより改善しました。
トイプードルは他の犬種に比較して薬の反応が非常にいいタイプの子が多いので、アプローチ方法さえ間違わなければかなりの確率で治療成績がよくなります。
トイプードルの皮膚病治療でお困りの方は当院を受診してみてください。
なお今回のトイプードルのアトピー、脂漏、心因性、湿疹には当院が開発したスキンケア&サプリメントは非常に効果的です。
当院が開発したスキンケア&サプリメントは以下のオンラインショップからお買い求めいただけます。
脱毛はスキンケア&サプリメントでは改善せず、アトピー・脂漏・湿疹の治療成績にも関わりますので、必ず適切な投薬治療を併用しましょう。
投稿者:
2018.05.11
ポメラニアンやトイプードルに多い脱毛症「毛周期停止(アロペシアX)」の治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
かつてはポメラニアンに圧倒的に多く「ポメハゲ」といわれていたこともあるアロペシアX(今では毛周期停止)についてです。
この毛周期停止(アロペシアX)ですが、「命に関わらないため無治療」という選択肢が浸透していることと、細かい原因が分かっていない、確実な治療方法の解明が不十分ということもあり、今の皮膚科医療ではあまり治療に力が入れられていません。
治療に関してはさまざまな価値観があることを十分に考えつつですが、当院ではかなり積極的に治療を行っています。
今回は近畿から来院されているトイプードルの毛周期停止(アロペシアX)の症例です。
実は大分前にも一度掲載しています。
まずはそのときのブログを紹介しますので、ぜひ目を通してください。
1回目の症例報告 平成29年2月25日 アロペシアXと診断されたトイプードルの脱毛症
このブログの後半でも解説した通りですが、その後順調に発毛し続け・・・とはいかず、急に脱毛が再発し初診時よりさらに毛が少なくなってしまいました。
もちろん想定がいではなく、初診時の想定の範囲内でしたので、改めて治療方針を組み直しました。
それが平成29年5月、当初の予定通り毛周期停止(アロペシアX)に対する積極的な治療に切り替えました。
まずは初診時の状態を改めてみてみましょう。
まずは症例の正面から。

続いて、頚部です。

続いて、胸部です。

続いて、腹部です。

続いて、右側面全体です。

この右側面の胸部拡大です。

同じく右側面の腰~大腿部の拡大です。

続いて、左側面とその拡大(胸部・腰背部)です。



続いて、背中全体です。

最後に、大腿部尾側です。

この初診時から1年半後、治療方針変更から11ヵ月後のつい先月の状態との比較をみてみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。

非常に美しい被毛が再生してきました。
この症例を解説していきます。
まず1点目、検査結果が甲状腺ホルモン濃度の低下(検出限界未満)があったことから仮診断した「甲状腺機能低下症」についてです。
この脱毛が甲状腺機能低下症によるものであれば、甲状腺ホルモン製剤の投与だけで完全によくなると考えています。
予測通りとはいえ結果的に一時的な発毛しかなかったため、この症例の脱毛は甲状腺機能低下症によるものではなかったと考えるのがベターと思います。
ただ「甲状腺機能低下症ではない」とまではいえませんし、ユーサイロイドの可能性もありますので、しばらく甲状腺に関してはグレーのままです。
今後は白黒はっきりつけてみたいな、とは思います。
続いて2点目、甲状腺ホルモン製剤による発毛について。
完全に発毛しなかったとはいえ、一時的にはかなり発毛が認められました。
これは甲状腺ホルモン製剤が発毛を促したことを示唆しています。
甲状腺機能低下症ではない健康なわんちゃんが甲状腺ホルモン剤を服用することはリスクがあるため安易に服用すべきではないのが医療ですが、モニターしながら治療の1つに入れ込むのは選択肢の1つだと思います。
最後に3つ目、アロペシアXへの積極的な治療について。
治療から11ヶ月という長い期間をおいての発毛でしたが、だいたいアロペシアXの治療結果は1年前後かかるため、今回の症例の脱毛もアロペシアXによるものだったと考えられます。
大事なことは甲状腺ホルモン濃度の低下をみて「甲状腺機能低下症」を最終診断とせず、初診時の目でみた第一印象(先入観)を検査結果より重要視することです。
検査が100%であれば検査前提ですすめればいいのですが、検査はときに関係ないことをさも関係しているかのような誤解をさせますので、自分の眼を信じる方がいいこともあります。
木をみて森をみずにならないよう、常に「この検査結果はこの症例の本当の姿を評価しているのか?」を診極めなければいけません。
獣医師は検査をするのが仕事ではなく、検査結果を予測して適切に治療に生かすことが仕事です。
今回は近畿からの通院でしたが、一度も欠かすことなく1年半継続して治療を続けた飼主さまには本当に感謝です。
ご期待に沿うことができて本当にうれしく思います。
この毛周期停止(アロペシアX)の治療ですが、当院ではしっかりとした診断と説明の上で積極的な治療も提供しています。
お困りの方は一度当院受診をご検討ください。
投稿者:
2018.05.06
ポメラニアンとトイプードルに多い脱毛症「毛周期停止(アロペシアX)」の診断・治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
毛周期停止(アロペシアX)は古くから知られた病気ですが、「命に関わらない」という理由で治療が十分に行われていません。
当院でもこういった点は十分に説明しつつ、治療にはかなり積極的に取り組んでいます。
今回紹介するわんちゃんはちょっと特殊な条件で当院を受診された脱毛症のトイプードルの症例です。
【症例】
トイプードル 11歳(初診時) 男の子(去勢済み)
【経過】
〇7才以降での脱毛発症
〇食欲増加・多飲・脱毛を認め、ALPなどの各種検査結果にて「副腎皮質機能亢進症(クッシング)」の診断を受け、トリロスタンにより治療を受けている(約7~8才から)
〇治療を続けるも年々脱毛が進行している
初診時の状態をお見せしたいのですが、手元のデータで見つけることができず・・・
当院受診から2年ほど経過して「脱毛がさらに進行した状態」の写真を飼主さまにいただきましたので紹介します。

当院受診時にはまだあったのですが、そこから脱毛進行は止まらず写真のように胴体の毛はほとんど抜け落ちてしまいました。
ただ治療は継続しつつ、初診時から2年3ヶ月経過したとき、はじめて毛の再生が始まりました。
再生が始まってから約半年、初診時から2年9ヵ月後の状態をみてみましょう。







初診時との比較ではないのですが、脱毛が進行した状態との比較を掲載しておきます。
14歳にしてここまで改善するとは思いませんでした!
さらに、慢性的に悩んでいた痒みも随分と改善しました。
やはりアロペシアは皮膚コンディションの低下を起こしますので、膿皮症や痒みなどの悪化因子になります。
当院では毛を生やすという意味だけに注目するのではなく、アロペシアによって低下した皮膚コンディションの改善を目標に、例え命に関わらなくても治療の意味はあると考えています。
ここで今回の症例を分析してみたいと思います。
当院を受診する前の病院ですでに「副腎皮質機能亢進症(クッシング)」と診断を受け、治療中という状態で当院の初診でした。
当院で考えたのは、
①クッシングは正しい診断か?
②アロペシアがあるのか?
です。
まず①のクッシングの有無ですが、過去の症状と検査結果を聞く限りでは十分にクッシングを支持する内容でしたので、当院で改めて「クッシングではない」とする理由は見つかりませんでした。
ただ、クッシングであればここまで脱毛することもそうないため、②のアロペシアを考慮して「クッシングがあるかどうかはわからないが、アロペシアも存在する」としました。
クッシングがあってもなくてもアロペシアの治療がクッシングの治療と重なるため詰めるのはやめて、治療内容をよりベターなものへと変更していきました。
治療結果としては「2年3ヶ月間は脱毛進行、2年4ヶ月目から発毛」でしたので、反応は非常に遅かったという分析です。
クッシングだけでアロペシアがなければここまで時間がかかることはないと思いますし、クッシングであれば年単位でみると徐々に減るため、脱毛に関してはアロペシアの要素が強かった脱毛疾患と判断できます。
当院受診までが長いアロペシアのわんちゃんほど発毛に時間がかかるため、この症例は発毛までに長くかかったと思われます。
逆にここまで発毛すると「クッシングは本当にあるのか?」という疑問も再び湧いてきますが、ここの判断は非常に難しいと思います。
ポメラニアンやトイプードルの毛周期停止(アロペシアX)の治療についてはデリケートなため色々考えることはあるのですが、当院ではこのように「飼主さまが希望を持つ限りあきらめない」を徹底しています。
ポメラニアン・トイプードルの脱毛疾患「毛周期停止(アロペシアX)」の治療でお困りの方は一度当院までご相談ください。
投稿者:
2018.04.21
ポメラニアンやトイプードルに多い毛周期停止(アロペシアX)の治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
ポメラニアンの脱毛症「アロペシアX(毛周期停止)」で治療に困っている方は多いと思います。
今日の症例はそんなポメラニアンの典型的な脱毛症の治療成績です。
【症例】
ポメラニアン 5才 去勢オス
【経過】
〇2~3年前からアロペシアXの診断済み
それでは約1年ちょっと前の初診時の状態をみてみましょう。


続いて、頚部。

続いて、胸部(腹側)です。

続いて、腹部です。

続いて、側面とその拡大(胸側・腹側)です。






続いて、背中です。
腰背部はほぼ脱毛しており、毛がほとんどありません(黒いのは色素沈着です)。


ポメラニアンに多いアロペシアX(毛周期停止)の典型的な脱毛所見ですね。
ここから治療開始したのですが、実は治療から約半年は「脱毛の進行」が認められました。
初診時に残っていた毛の大半が抜け落ちてしまい、「治療しているにも関わらず脱毛が進行している」という状況でした。
しかし飼主さまは治療に常に前向きに臨んでいただき、治療から約1年後からようやく発毛が認められました。
それでは治療から約1年後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
※この上の写真の「背中」ですが、皮膚の色素が黒くなっているため腰の辺りは「ツルツルに近い脱毛」でした。
結果的に初診時は「脱毛進行途中」であったため、その初診時との比較は少しわかりにくかったかもしれませんが、脱毛が進行しきったピークからは劇的な改善です。
今いいながれでどんどん発毛しているため、かなりフワフワになると思います。
四季の森どうぶつクリニックでのアロペシアX(毛周期停止)の発毛の治療結果はかなり高い確率だと思うのですが、問題は結果がでるのに必要な期間が読めないことです。
最低でも半年、長ければ1年以上必要です。
過去には約3年かけて発毛したわんちゃんもいます。
数多くみてきて思うことは、「脱毛期間が長いわんちゃん、当院受診までが長いわんちゃんほど発毛までに時間がかかる」と思っています。
今回のポメラニアンのわんちゃんも、当院受診間でに約3年要しているため、もし脱毛初期に当院受診をされていればもう少し早い改善があったと思います。
ポメラニアンのアロペシアX(毛周期停止)の治療に関しては飼主さまとの相談で勧めていくのですが、当院では飼主さまの「なんとかしたい」のために積極的な治療を行っています。
長期間かかる傾向はありますが、高い確率で発毛しているためお悩みの方は当院へご相談ください。
東京・千葉・神奈川・埼玉といった関東圏だけでなく、大阪・神戸・京都といった関西圏からのアロペシア治療も非常に多く、遠方の方でも継続治療ができるプランもあります。
投稿者:
2018.03.09
ポメラニアンやトイプードルに多く発症する脱毛疾患「毛周期停止(アロペシアX)」の発毛治療に力をいれている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
今日の症例報告は「痒みのない脱毛疾患」の典型症例、ポメラニアンの毛周期停止(アロぺシアX)です。
【症例】
ポメラニアン 初診時2歳3カ月 女の子(避妊手術済)
【経過】
〇1年前から脱毛があり、この1年で徐々に進行している
〇他院にてアロペシアXを疑われ、メラトニンとサプリメントを服用している
それでは初診時の状態をみてみましょう。









初診時から8か月後の状態との比較です。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
まずは左側面。
同じく左側面、胸部の拡大です。
続いて、左側面腹部~大腿部の拡大です。
続いて、右側面です。
同じく右側面、胸部の拡大です。
同じく右側面、頚部の拡大です。
続いて、背中です。
続いて、後ろから、
まだ不十分ですが、再生が認められています。
この比較写真を作成した後に治療10カ月後の写真を送っていただいて、8か月の時点より徐々に増えているのが確認できています。
写真を送ってもらっているというのは、今回の症例も前回同様に遠隔診療で治療継続しています。
8か月で生え始めて10カ月でもまだ不十分なのですが、アロペシアXの治療成績の中では十分早くから改善が認められた方に入ると思います。
やはり若く、経過が短いというのが治療結果がでやすいポイントだったかと思っています。
アロペシアXの治療でお悩みの方は一度ご相談ください。
投稿者:
2018.03.04
ポメラニアンやトイプードルに多く「アロペシアX」「毛周期停止」と呼ばれる脱毛症の発毛治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
アロペシアX(毛周期停止)に関しては色々な意見もあるのは十分承知していますが、当院では常に「治療しないプラン」と「積極的に治療するプラン」を提示するニュートラルなポジションでいます。
ただ、「なんとかしたい」という飼主様の想いに応えるのも一つの役割と思って、かなり積極的に治療を行うようにしています。
それでは今日はそんなポメラニアンの脱毛症「アロペシアX」の症例報告です。
まずは初診時から。

続いて、頚部です。

続いて、身体側面(左側)です。

同じく胸部~腹部の側面の開く第です。

続いて、身体の側面(右)と、その胸の拡大です。



続いて、ばんざいしたときの胸~お腹とその悪代です。



続いて、背中の尾っぽとその拡大です。



それでは初診時から約7~8ヵ月後のころだったかと思います。
全身ほぼフワフワのモコモコに再生しました。
今回はは治療後の写真が「自宅」になっているように、初診時を当院で診察して、継続診療を遠隔で行いました。
7~8ヶ月で再生したというのは比較的早いほうで、まだ軽度で若い状態だったからだとは思います。
最近はだいたい生えるのですが、1年くらいかかるわんちゃんが多いです。
問題なのは1年治療したら絶対はえるのか?といえば違いますし、2年治療してはえるわんちゃんもいて、治療に正解がないことでしょうか。
とりあえず当院は治療を諦めることはせず、基本としては「飼主さまが諦めるまで諦めません」です。
投稿者:
2018.02.19
ミニチュアダックスフンドのアトピー・アレルギーなど、フケや痒みを伴う皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
ダックスフンドは飼育頭数を考慮すると、皮膚病が特別多い犬種ではないのですが、柴犬・シーズー・フレンチブルドッグ系と比較するとかなりさまざまなタイプの皮膚病がでるため、広い範囲で疾患をみるようにしなければ難しいと感じることがあります。
【症例】
ミニチュアダックス 14歳 女の子
【経過】
〇1年半前からフケと脱毛と痒みを伴う皮膚病
〇かかりつけ動物病院で治療するも改善せず、当院を紹介されて受診
それでは初診時の状態を紹介します。
まずは正面から。

続いて、頚部。

続いて、胸部。

続いて、腹部と臍付近の拡大。


続いて内股とその拡大です。


続いて、右側面と拡大です。



続いて、背中とその拡大です。



続いて、左側面とその拡大です。


最後に尾です。

それでは初診時から治療約3ヶ月後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
フケはなくなり、毛並みも非常にきえいになりました。
当院の治療報告の中では3ヶ月という長い時間がかかりましたが、高齢なのと原因を考えるともっとかかるかと思っていたため十分な成績かと考えています。
今回の治療方針では、やはり投薬治療が必要なタイプですが、皮膚表面のフケを伴う皮膚炎にはスキンケアが必須です。
特に当院のクレンジングオイルが非常に重要で、このオイルの併用がなければ短期間での改善は見込めなかったと思います。
基礎疾患の的確な診断&治療とともにスキンケア、またはサプリメントを併用することで治療成績は大きく向上します。
当院の開発したスキンケア&サプリメントはオンラインショップでお買い求めいただけます。
スターターセットをご購入の方にだけ、後日当院から無料相談メールをお送りしています。
投稿者:
2017.11.13
ポメラニアンやトイプードルに非常に多く認められる脱毛症「アロペシアX(毛周期停止)」(通称ポメハゲ)の治療に力をいれている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
ポメラニアンに多いアロペシアX(毛周期停止、ポメハゲ)の治療は色々な意味でデリケートです。
治療するか、それともしないかという選択肢から始り、治療しても生えない子もいます。
生える子に関しても、どれだけの治療期間で生えるか予測できないという問題もあります。
また、処方するお薬の取り扱いもデリケートな部類に入ります。
今回紹介するポメラニアンの脱毛症例も、「いつ生えるのか?」ですごく悩みました。
【症例】
ポメラニアン 5歳 女の子(避妊済)
【経過】
〇1年前から脱毛
〇かかりつけ動物病院で「アロペシアXの疑い」といわれている。
それでは初診時の状態です。

ポメラニアンの脱毛が多いわんちゃんは圧倒的にタヌキ顔ですね。
個人的にはタヌキ顔が好きなタイプですが、僕が人目惚れしたポメラニアンがアロペシアXになって当院に来ているので、僕はポメラニアンを飼うことができません(^^;
獣医師がペットショップで一目惚れしたポメラニアンが、後日アロペシアXとなり治療した話
それではまずは頚部から。

続いて、右側面。

同じく右側面の腰のあたり。


続いて、背中の全体像。

特に腰に強く脱毛がでているため、腰の拡大。

アロペシアXで脱毛がめだつ大腿部尾側。

それでは治療後と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。

腰に強く脱毛がでていましたが、90%回復したと思います。
このようにブログにしてしまうと改善は一瞬かもしれませんが、実はかなりの期間を要しています。
実際に治療に要したのは・・・・・・・・・なんと、10ヶ月!
しかも10ヶ月かけて徐々にはえたのではなく、生え始めたかな?と思ったのは2ヶ月くらい前です。
おっ?と思ったのは1ヶ月前で、今回の受診で一気に生えてました。
治療初期の3~4ヶ月のころは初診時よりも減ったのでは?という時期もあり、治療側である僕としても非常に辛かったです。
痒みであれば1~3ヶ月でほぼ決着つくのですが、ポメラニアンの脱毛症「アロペシアX」はいつ治療結果がでるかわかりません。
1年たっても結果がでないこともあります。
治療に関しては絶対ではないので「いつやめてもいいですよ」ともお話しするのですが、僕が諦めたらそれで終了になってしまうので、僕が諦めることは絶対にしないようにしています。
・・・・そう、僕は自分の髪が薄くなっても絶対に諦めません(^^)
投稿者:
2017.10.07
チワワのアトピーや脂漏症の皮膚病治療に力をいれている皮膚科専門病院、四季の森どうぶつクリニックです。
チワワに起きやすい皮膚病といえば、アトピー、脂漏性皮膚炎、心因性皮膚病などがありますが、もう一つ大事な皮膚疾患があります。
それが脱毛症、珍しい皮膚病ではなく、かなりの症例数がいます。
当初は症状がなく生後数ヶ月から徐々に薄くなるため、飼主さま自身も異常に気づかないことが多く、相当数が見過ごされているのが現状です。
今日紹介するのは先日のチワワの脱毛症に続き、同じ脱毛症のわんちゃんです。
【症例】
チワワ 2歳 男の子(去勢済み)
【経過】
〇仔犬購入時から眉間に小さい円形脱毛があった。その円形脱毛が拡大していき初診時の状態に至る。
〇額は一部被毛再生のあるところもある。
〇耳介がガサガサしていて脱毛がみられる。
〇痒みはない。
〇過去の投薬歴:初診時の2ヵ月前から内服(カビのお薬)をスタートしている。
まずは全体からみていきましょう。

続いて、顔の右側。

続いて、右耳の耳介。

続いて、左耳の耳介。

続いて、後頭部。

続いて、頚部。

続いて、胸部。

それでは、この初診時から3ヶ月後の状態と比較してみましょう。
※画像をクリックすると拡大してみることができます。
頭部はまったく問題ないレベルまで改善しました。
頚部も初診時では地肌がみえるじょうたいでしたが、かなりフサフサの状態になってきました。
胸部はわかりにくいかもしれませんが、ほとんど無かった部位にも毛の再生がみとめられました。
写真にはありませんが、尾も太くなった(毛がふえた)ということです。
今回は頭部の脱毛症と、頚部・胸の脱毛症の原因がことなります。
また耳も少しだけ病態が異なります。
治療という側面ではある程度かぶるのですが、それぞれ「なぜ脱毛しているのか?」を把握していなければ綺麗な治療はできません。
初診時にゴールまでの軌跡を描いて治療プランを立てる必要があります。
今回の症例でも初診時に各部位での脱毛の原因を示し、予測どおりの治療結果をだすことができました。
四季の森どうぶつクリニック
平川
投稿者:
2017.10.06
チワワの痒み・脱毛疾患の治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
当院は主に「痒みを伴う」で皮膚病をみていますが、皮膚つながりで「脱毛」に関する疾患にもよく遭遇します。
今回紹介する症例は、「痒みを伴わない脱毛疾患」として来院されています。
【症例】
チワワ 1歳 男の子(去勢済み)
【経過】
〇生後半年くらいから眉間に脱毛がみられた。
〇ここ2~3か月耳介の裏三分の一エリアが脱毛。
〇被毛が全体的に薄くなった。
〇フケの量が増加。
それでは、全体からみていきましょう。

続いて、左耳。

続いて、頸部。

続いて、体の右側。

それでは、初診時から3ヶ月後の状態と比較してみましょう。
※画像をクリックすると拡大してみることができます。

かなり綺麗に再生しました。
飼主さまにも「フワフワ&フサフサ」とよろこんでいただけました。
この手のタイプも典型的な所見がならんでいるため、診断は一瞬です。
いくつの検査をして絞り込みますが、初診時にほぼ確定しています。
チワワの薄毛、脱毛、皮膚病でお困りの方は当院までご相談ください。
投稿者:
