皮膚科ブログ

【保湿・抗炎症・クレンジング】犬の新しいスキンケア商品開発

2018.04.16

犬の皮膚病治療において重要なファクターの一つスキンケアに力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。


2年前から新しいスキンケアに取り組んでいたのですが、ようやくみなさまのお手元に届けられる目途が立ちましのでご紹介します。

Medicareシリーズ

Moist Cleansing Oilgel





※今はデザインを決めて印刷データ作成中なので、写真は見本のボトルにプリントした紙を巻いただけの完成イメージです(^^;



実は今のラインラップでは「クレンジングオイル」「シャンプー」「ローション」の3本があるのですが、基本的には膿皮症のケアのために開発したため、皮膚コンディションによっては向いていないケースもあることは従来からの課題として悩みの種でした。

特に油っぽい皮脂が多いタイプのわんちゃんや、乾燥タイプの細かいフケがでるわんちゃん、フケを伴わない皮膚炎のわんちゃんには今のローションのような水溶性のタイプではない皮脂に馴染むタイプが必要でした。

人ではクリームタイプ、乳液タイプなどが当てはまるのですが、毛が多いわんちゃんでは非常に使いにくく、正直かなり悩みました。

色々検討した結果、新しく採用したのが「オイルジェル」です。

ポイントは、

①油性であるため、皮脂汚れへのクレンジング効果が高い 

②ジェルタイプのため、伸ばしやすく皮膚へのなじみがよい

③油性ジェルであるが、ドライ(乾燥)に影響を与えないため、長毛でもシャンプー後であれば均等に全身に浸透させることができる

④抗炎症&保湿効果が高い

これらの特徴から、シャンプー後の全身使用もできますし、シャンプーをしないときの局所のデイリーケアにも対応できます。

ローションでは十分にカバーできていなかったタイプの皮膚・被毛のことを配慮して開発したスキンケア商品です。

現在のローションは膿皮症・皺のケアに使っていただき、その他のタイプにはこちらのオイルジェルをお勧めしていきます。

女性のヘアケア商品をイメージして開発したため、特にドライ後の毛並みの仕上がりがよいです!


企画から開発・商品化までに2年かけましたので、僕が待ち遠しいです(笑)

6月完成予定です♪

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

実際に診療せずに的確な治療方針を組み立てることができるか?

2018.04.04

痒みを伴う皮膚病治療のみを行う皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。

1ヶ月前からまた新しいことにチャレンジしていたところ、いい結果が出たので報告します。

約1ヶ月前のことですが、当院オンラインショップを通じてある動物病院の先生から当院のサプリメントにご興味をもっていただき、メールで簡単な情報交換をする機会を得ることができました。

痒みを伴うトイプードルのわんちゃんの治療で困っていて、食物アレルギー対策としてアミノペプチドフォーミュラと、痒み対策としてアポキルを1日1回服用するもいい改善が認められないということで、当院から痒み改善のために必要な治療プランを立てさせていただくことにしました。

幸いそのトイプードルのわんちゃんは、その動物病院の院長先生が飼育しているトイプードルちゃんということで、大きな病気の除外はできていますし、改善の評価も的確にできるということで、当院の治療方針の良し悪しの判定にはうってつけともいえました。

ここで治療の条件を列挙します。

・面識のない動物病院の院長先生 → お世辞などはなく、客観的にかつ最も厳しい目線で評価していただけます
・遠方の動物病院 → もちろん僕がこの目で実際に診ることはありません
・すでにアポキル1日1回と、アミノペプチドフォーミュラを食べています。(その前はZ/ D) → 今の皮膚科医療で考えられるベストに近い組み合わせです。
・痒みは四肢端の手足舐めを中心に、口唇や目や体幹などあちこち → アポキルと食事療法で改善がなければお手上げになりがちな「あるある」です。

加えて

・1ヵ月後にその動物病院にご挨拶に伺う約束をしたため、それまでに改善させるのが目標
・もちろんメールでの情報だけで狂いなく改善までの道筋をつくらなければいけません

という条件です。

あとはメールで簡単な情報をお聞きして、写真をおくっていただき、こちらから治療方針をメールでお伝えしました。

そしてご挨拶に伺ったのが今日・・・・

もちろん十分すぎるほど劇的に改善したということです。

※1ヶ月も必要なく、2週間の時点で十分に改善していたのをメールでお聞きしていたので予測通りの順調さでした。

今回のチャレンジには院長先生と、ケアの担当の看護師さんの2人で取り組んでいただいたのですが、「だまされたと思ってやってみることにしたらビックリ」という評価で、うれしいやら複雑やら・・・ですね(笑)

まぁ、おどろきのアプローチでびっくりするのも致し方ないと思います。

どうしてこのアプローチなのか、どう考えたのかなどと色々質問をいただきまして・・・・

なんと、その動物病院と当院で皮膚科の診療提携を結ぶことになりました!!

僕よりはるかに年上の先生で、どこの馬の骨ともわからない僕のお話を聞いてくれるのか?と不安でしたが、「結果(改善)がすべて。同じ獣医師だから、年齢は関係ないよ」とおしゃっていただけました。

近いうちにプライベートセミナーで当院の治療方針を共有することができればと思います。

またご紹介したいと思います。

※診療提携

スキンケア商品、サプリメント、治療方針などを当院と共有する新しい医療サービスです。

ご希望の方はご説明に伺いますので、ご連絡いただけると幸いです。

今後、提携動物病院が増えると制限を行う予定ですのでご興味のある方はお早めにご連絡ください。

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

IBD(慢性腸症)に新薬アポキルが効く?

2018.03.26

四季の森どうぶつクリニックの平川です。


以前も紹介した「学術活動」の続きです。

今回は消化器疾患として

「慢性腸症」


をテーマにした症例報告です。

慢性腸症とは、以前はIBD(炎症性腸疾患)といわれていた疾患です。

たんぱく漏出性腸症という病名も含まれるかなり一般的な消化器疾患です。

この慢性腸症の問題点は2つあり、1つは確定診断が全身麻酔下での内視鏡検査であること、2つめはステロイドにより長期治療が必要という点です。

この2つの難点を解決するかもしれない新しい治療法について記載しています。






そう、あのアポキルが効く・・・・と思います。

いや、思いますというより効くと確信しています。

5年後10年後には標準治療の1つに入るでしょう。

その第1歩です。

治りにくい嘔吐&下痢にアポキルという選択肢です。

アポキルがどんな痒みも抑えるというわけではないように、消化器症状=アポキルではないので、ここは獣医師の腕の見せどことです。

当院では「この消化器症状にアポキル効きそう」と思った症例には、100%期待通りの効果を発揮していますので、ぜひ雑誌を購入して読んでください。

掲載は、インターズーさんのクリニックノート4月号(153号)です。

なお妄想から生まれた症例報告のため、参考文献はありません(笑)

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

皮膚科病院の久しぶりの学術活動が「消化器系疾患」

2018.03.14

こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。


今日は皮膚科モードではなく、普通の一般獣医師としてブログを書いています。

動物病院で働く獣医師を一般的に臨床獣医師と呼ぶのですが、臨床獣医師の仕事にはメインとなる診察以外にも学術という仕事があります。

飼主さまにも伝わりやすい学術活動としては、「新しい治療法の発見」「新しい病気の発見」「新しい診断法について」などなどがあります。

臨床獣医師の全員が取り組んでいるわけではないのですが、先生によってはこの学術活動に力を入れている先生もいて、こういった学術活動の成果で日々医療は変化していると思います。

相当な努力の積み重ねの活動なので本当に尊敬できる先生ばかりです。

僕個人としては新しい治療を色々するにも関わらずほとんど学術活動をしない変わった獣医師ですが、今回かなり久しぶりに学術活動をすることになりました。

内容は「新しい治療法」の紹介です。

しかも症例の多い皮膚科ではなく、「消化器疾患」です。

内視鏡ももっていない皮膚科の動物病院が消化器疾患の新しい治療法?というのに驚きかと思いますが、皮膚科みていると色々な病気を診る機会がありますし、なにより消化器疾患はホルモン異常と並んでとても皮膚科に関連がありますので、とても重要視しています。




今回みつけた新しい治療ですが、この治療法に気づいたのはほんの一瞬の閃きで、かつての閃きと一緒のような感じでした。

  参考ブログ 2014年10月27日  5年ぶりの閃き?

        2014年11月13日  閃きの続き

        2014年11月27日  閃きは確信へ


あの閃きも当初想定していたことの発展ではなく瞬間的な発見で、今回も診察しながら突然頭に閃きました。


「あれ?〇〇〇、△△△に効くんやない?」

〇〇〇はあるお薬で、△△△は病気のことです。そして〇〇〇の本来の効能に△△△のことはまったく書かれていません。

そして△△△の治療法に、〇〇〇の記載があったことは一度もありません。

そして実際に予測通りの治療結果がでたとき、頭の中はお花畑だったのですが、この大発見のことをよくよく調べたら・・・・・・

人の医療では将来的にそうなる方向らしいので、5年後10年後には動物医療でも誰かが気づいて自然とそうなった可能性はあると思います。

ただ動物医療では当院の発表が最も早いと思いますし、おそらく5年後10年後にはスタンダードな治療の1つに組み込まれると思います。

きっと全国の先生のお役に立てる内容で、消化器疾患専門の先生が後に続いて確立されていくと思います。


この新しい治療法はインタズー出版のクリニックノート4月号で掲載される予定です。

きっと大半の先生が驚くことだと思いますし、ほとんどの先生が即使える治療法なのでご期待ください♪

ちなみに参考文献の記載は僕らしくゼロ、すべて妄想の世界から生まれたものです(笑)

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

アポキルが効かない精神的な痒み治療

2018.02.20

アトピー・アレルギーなど犬の痒みを伴う皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。

つい先日「アポキルが効かないとき」という内容でブログを書きましたが、結論としては

「心因性」 「食物有害反応」  「内分泌疾患」

の3つの診断精度をあげていくこと、としました。

もちろんその他にもたくさんあるのは事実ですが、今の動物皮膚科診療で圧倒的に不足しているのがこの3つです。

不足の根拠は当院への症例の分析で、この3点で無治療ないし治療のズレがある症例が圧倒的だからです。

ペット医療とはいえ、がん治療、透析、心臓外科・・・などこれほど医療が進んでいるにも関わらず、なぜこの3点に不足があるのでしょうか?

理由はとても簡単です。

①目に見えない

 皮膚にできる出来物などを異なり、大きさ・形の異常がないため、わかりづらいのは事実です。

 ※目でわかる毛並みの異常もあるため、全部が見えないわけではないです。

②数値化できない

 心因性は数値化できません。血液検査もできません。

 食物有害反応も数値ができませんし、検査もありません。

③モノで治せない

 医療機器では絶対に治りません。

④情報が足りない

 教科書に書いていない、誰も教えてくれない

おそらくですが、血液検査で数値化さえできれば、また超音波や内視鏡のようなもので見えれば、またレーザーなどの医療機器で治せるものであれば、瞬く間に周知されてどこでも的確な診断&治療にが可能になると思います。

では当院ではどうしているのか?

まずは心因性からお話してみたいと思います。

・・・・・・・・・・・長くなるのでまた時間あるときにまとめます(笑)

とりあえずですが、もしわんちゃんの痒みが精神的、心因性、ストレス?などの原因を疑う場合は当院のヒーリングケアLFプラスをお勧めします。

写真をクリックすると専用のオンラインショップに移動することができます。

当院ではこれなしでは診療が成り立ちません。

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

犬の痒み治療にアポキルが効かない場合の考察

2018.02.17

犬のアトピー・アレルギーなどの痒い皮膚病治療に力をいれている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。


アポキルが発売されて1年半が立ちました。

アポキルによる痒みの緩和作用と長期服用に対する安全性を考慮すると、「アポキルが皮膚科診療を変えた」と言って過言ではないと思います。

ただ高い効果と安全性がゆえに「とりあえずアポキル」という状態がつくられ、「アポキルが効かなければしょうがない」となっているシーンが多いのも否めません。

実際に当院に転院してくるわんちゃんでもすでにアポキルを服用している割合が高く、大半の初診が「アポキルを服用しているのに痒い。アポキル以外ないといわれている。」という状態で診療をスタートています。

ではアポキルが効かないときにどう診察を進めていくのか?が皮膚科の仕事ですね。



少し厳しい表現にはなるかもしれませんが、皮膚科に限らずどんな病気治療であっても治療がうまくいかないときに考えるのは、

「診断が間違っている」

だと思います。

ただ皮膚病に関しては原因が複数あることが多いため、個人的には「診断のズレ、診断不足」と考えることが多いです。



例えば、アトピー&心因性&食物有害反応という3つの組み合わせをもっている皮膚病のわんちゃんがいるとします。

アポキルはアトピーの部分にはよく効きますが、心因性や食物有害反応にはあまり効果的とはいえません。

そのため、もしアトピーによる痒みが90%で心因性と食物有害反応による皮膚炎が10%であれば、アポキル単独で十分に改善が見込めると思います。

逆にアトピーが20%で、心因性70%、食物有害反応10%という症例に対してアポキル単独でアプローチすると、「たしかに少しよくなったけど・・・十分ではない」という結果になると思います。

この心因性の割合が高いわんちゃんに「アトピー性皮膚炎がありますので、アポキルを使いましょう」と診断することは間違いではありません。

この場合は診断&治療のピースが足りないだけで、的確な診断&治療を足すことで十分に改善します。

決して「アポキルが効かない」ではなく、効く部分(アトピー)には確実に効いていて、痒みの原因が異なる部分には別の診断&治療が必要ということです。

参考までに当院の診断で多いのは、

・犬アトピー性皮膚炎
・膿皮症
・食物有害反応
・心因性掻痒症
・脂漏性マラセチア性皮膚炎

この5つです。

他に、上記の5つほど多くないが、絶対に見落とせないのが、

・内分泌疾患
・寄生虫疾患

この2点です。

以外かもしれませんが、症例が稀のため初診でまず考えないのが

・食物アレルギー

です。

初診時にはこの8つの疾患であてはまるものをピックアップし、それぞれの影響の割合を評価しながら治療プランをたてるいい結果が得られます。

難しいのは明確な診断基準がなく、客観的評価ができない食物有害反応と心因性、意外と見落とされている内分泌疾患です。

食物アレルギーも診断が難しいのですが、食物アレルギーで皮膚病治療に困るわんちゃんがほとんどいないという理由もあり、個人的には「ない(はず)」として無視しています。


アトピーにはアポキルが非常に効果的ですし、膿皮症や脂漏&マラセチアの診断&治療が簡単とまではいきませんが、

治療成績を向上させるポイントは、

①心因性の診断&治療

②食物有害反応の診断&治療

③内分泌疾患の診断&治療

の精度だと考えています。

この3つのポイントを初診で的確に評価できれば、初診の判断通りの治療成績がだせるようになります。

ただ、これら3つの病気は一般的な検査で診断できないため、昔も今もきっとこれからも、フォーカスがあたることはなさそうです。



当院が開催している皮膚科セミナーでは、①の心因性、②の食物有害反応、③の内分泌疾患など今の皮膚科で触れられていないポイントにもフォーカスをあてています。

皮膚科セミナーと診療提携をご希望の方はHPからお問い合わせください。



投稿者:四季の森どうぶつクリニック

【犬の皮膚病治療】治らない理由~食物アレルギー~

2018.02.13

犬の痒みを伴うアトピー・アレルギー疾患などの皮膚病治療における食事療法に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。


当院では動物病院の獣医師向けに個別の皮膚科セミナーを開催しています。

その内容で非常に好評を得ているのが「食事療法」のお話です。

当院が開催する皮膚科セミナーには「スキンケア」、「アポキルが効かない場合」、「心因性」、「サプリメント」・・・・多くのテーマがありますが、意外と衝撃度が大きいのが食事療法についてです。

衝撃的な理由は非常にシンプルで、今の動物医療で最もいいとされている食事療法をやめることが何より大事だからです。

一般的に広く浸透している食事療法はアレルゲン対策がされている療法食のみをたべることですが、このタイプが奏功するのは純粋な食物アレルギーをもっているわんちゃんです。

しかし犬の皮膚病で食物アレルギーで治っていないわんちゃんがどれほどいるか?というと、実は「稀」です。

過去の文献データにもよりますが、本当に少なくて・・・・皮膚科症例を年間200例ほど受け付ける当院でも「稀すぎて年に1例も見つけられないくらい」と表現しています。

もちろん食物アレルギーの確定診断が難しいため、軽度の食物アレルギーを診断できずに見過ごしている可能性も十分あるのですが、そういったわんちゃんでもその他の治療でよくなっているため「その食物アレルギーの体質は、皮膚病の原因としてはわずかしか影響していない」ともいえるため、考慮の必要さえないとみなしています。

実際に当院ではお薬の服用のために、「牛乳」「ヨーグルト」「チーズ」「パン」・・・・なんでもOKとして、おやつも含めてほとんど食事制限をしていません。



確かに確率論で稀とはいえ、食物アレルギーをもっているわんちゃんでは食事療法が必須になるためとても重要なジャンルというのはわかっています。

また、食物アレルギーでなくても食事療法が奏功することもあるため、個人的にはアレルギーの有無関係なく食事療法は重要視しています。

それでもわざわざ稀な食物アレルギーから疑う必要はありませんので。基本は「食事療法も重要なので、ある程度改善したらやっていきましょう」と後回しにします。

唯一最優先にするのは、間違った食事療法をしている方には初診時に「今日からその食事療法を変えましょう」とお話します。

ポイントはここ、初診時のその日から変えなければいけない食事療法なのかどうかの診極めが大事です。

当院の皮膚科セミナーではそんな「大事な食事療法のポイント」をお伝えしています。

皮膚科セミナーにご興味のある方はHPからお問い合わせください。

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

ホームページが新しくなりました。

2018.01.20

宜しくお願い致します。

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

第2回反省会「私、失敗し・・・ました」

2017.12.28

痒みを伴う犬の皮膚病治療を専門的に行う皮膚科動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。

今年のドクターXも人気でしたね~。

「失敗しないので」といえるように・・・・・の前に、年末恒例の反省会です

前回のブログで第1回反省会を開催しましたが、今晩も第2回反省会です。

普段成功症例しか掲載していませんが、反省すべき症例がないわけではありません。

最近も「あぁ、なぜあのときこれができなかったのか」と反省した症例がありました。

それは2年位まえから通院しているトイプードルの症例です。

2年間ずっと改善していないわけではなく、ある程度の改善効果をだしつつ、治療内容の微調整をしていました。

そして2ヶ月くらい前から心因性に対するある治療を追加したところ、今までになく改善が認められました。

約2年前の初診時の診断と、現在の診断・治療方針が異なるわけではないので、「もっと前からこれをやっていれば・・・」というのはなくはありません。

では初診時にその心因性のアプローチが思いつかなかったのか?というと、そうではないのです。

実は、初診時の時点で「心因性あり」判断して、初期治療の中に今回処方した投薬治療は入っていました

ただ、約2年前は期待した効果を出すことができず、飼主さまからの評価もかんばしくなく(あまりよくならない)、処方から一旦撤回となったのです。

そしてそれから1年以上経過して、「やっぱりもう1度」となって再処方するという流れでした。

上記の通り、治療結果は良好で飼主さまからも「よくなっている」と評価をしていただけました。

さて、ここで問題です。

なぜ初期治療のときに効果がでず、今効果がでているのか?

やはりそこは「パズルのピース」と一緒です。

1つのピースの位置が正しくても、周りのピースが間違っていると完成しないのがパズルです。

皮膚病の投薬治療も同じくで、選択したお薬(ピース)が正しくても併用している薬(周りのピース)にズレがあるとまったく治療成績がでないことがあります。

このわんちゃんでも同様でした。

1年以上前に処方したときに併用していた治療内容にわずかなズレがあったがゆえ、期待した結果がでなかったのだと思います。

そして、そこから微調整を重ねた今だからこそ、フィットしてよい結果につながったのだと思います。

今日も足りない隙間を埋めるピースをはめる微調整をしましたので、来年の再診が楽しみです。

心因性の治療はタイミングが大事です。

心因性の痒みだけが浮き出るような前治療を行ってからピンポイントで追加治療しなければ純粋な評価ができません。

その処方のタイミング、事前準備が難しいのです。

さらに、効果を引き出すための適切な投薬量がわんちゃんによってまったく違うので、薬用量に相当悩みます。

悩んでも適切な投薬量がわかるわけではないので、結局段階的に増やすしかないのですが、少ない量で効果がでなくても撤回しないことが重要です。

①心因性の診断をして、②薬(心因性)の処方にも関わらず、③効果なしであっても撤回せず、④薬の増量に向かう。

当たり前のようで、実はこの④が難しいのです。

④を選択して改善したらまぁいいのですが、改善しなければ「ヤブ」と怒られても仕方のない状況です。

ただ、大事なのは④で改善がなくても心因性の撤回は絶対にしません。

なぜなら記の症例のように効果がなくても、あとから再度「やっぱり処方します」で改善するケースもあるためです。

もちろんこの精度をあげていくのが診療なのですが、毎回パーフェクトなわけではありません。

心因性は本当に難しいですね。

来年は治療の「一旦撤回」、「再開」がないように精度をあげていきたいと思います。

また、この心因性の治療成績をあげるために、新しい改良版「ヒーリングケアLFプラス」を来年から登場させる予定です。

予定は1月中に以下のオンラインショップに登録する予定です。

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

治らないときは診断(自分)が間違えている

2017.12.25

メリークリスマス♪

痒い皮膚病治療を専門に行う皮膚科動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。

今年もいよいよカウントダウンであと7日、診療日はあと1日半で終了です。

イブの夜は年賀状の住所書きで日付をまたぎ、25日クリスマスは反省会です。

さて、今年もあとわずかですので、毎年恒例のとしている1年の振り返りとして反省会を開きたいと思います。

今年の反省もいつもどおり、「十分な治療成績がでていない症例」からはじめなければいけません。

複数頭いるのですが、その筆頭が「3年前から治療継続しているフレンチブルドッグ」の症例です。

ただ、3年前から治っていないわけではありません。

3年前の初診時はたしか約3ヶ月で随分とよくなり、その後も年単位で徐々によくなって今年を過ごしていたところ・・・・・・夏ごろから急にコントロール不能になりました。

初期治療にもどっても改善が認められず、あれこれやってもうまくいかないため、苦肉の策で「ステロイド」を併用したところスッキリ改善・・・・「これでいいとは思わない」と伝えつつステロイドを減らすことにしました。

ところが今日、「ステロイド減らしたらやっぱり痒みが強くなった!」というので受診してもらったところ、確かに全身真っ赤!!

ここ数ヶ月で顕微鏡検査、培養検査、血液検査、食事変更・・・・・思いつくことを色々やったあとなので頭の中ではほぼ追い詰められた状態でした。

「再びステロイドか?」

と思いましたが、

「フレンチにステロイドを使っている症例がどれだけいる?これだけフレブルがいても、ステロイド使っている症例が1例もいないにも関わらずいまさらステロイドか?」

と考え直し、

「何か見落としているのかもしれない」

と、何度も行った顕微鏡検査から再検査することにしました。

すると・・・

いた!!

・・・・・・・寄生(ダニ)でした。

いいわけですが、今までもなんども探したんです(^^;

ただ、このダニは見つかりにくいのが特徴です。

良くも悪くも、ステロイドを使ったことにより増えて、見つかったのかもしれません。

年間200頭近くの皮膚疾患をみていますが、継続治療中にダニをもらったわんちゃんははじめてみました。

決して起こらないことではないのですが、なにせ稀なので盲点でした。

それでも基本に忠実に検査を繰り返したのでよかったです。

普段は「診断は一瞬」といい、経験を積むことで瞬間的な判断を重視していますが、いつになっても初心・基本を忘れてはいけないな、と改めて思いました。

また時間があるときに1年の振り返り第2弾を書きたいと思います。

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

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