皮膚科ブログ

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【柴犬の脂漏症】見た目は一緒でも原因は異なるものが複数ある

2018.05.26

柴犬のアトピーやアレルギーなど痒い皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。

皮膚病の難しいところの一つ、「見た目」をどう評価するか?です。

皮膚病は目で見えるからわかりやすいという側面もありますが、目で見えてしまうがゆえに難しいところがあります。

「目で見えるから難しい」の理由ですが、皮膚の変化のバリエーションには限りがあり、原因が異なっても見た目が一緒になることが多々あるということです。

特に柴犬で顕著ですが、原因が1つで程度が軽度であれば、その原因の特徴を見た目で分類することもしやすいのですが、複数の原因が重なり合って重症化すると、それぞれの特徴が消えて同じような皮膚病にみえてしまいことがあるのです。

例えばA疾患、B疾患、C疾患、D疾患と4つの病気の原因があるわんちゃんがいるといて、病状を分析(予測)するとA疾患25%、B疾患50%、C疾患15%、D疾患10%のという配分だったとします。

すると見た目はB疾患とA疾患の重症化というようにはみえますが、C疾患とD疾患まではわかりません。

疾患AとBに対する治療である程度緩和したときに、ようやく疾患CとDの特徴がみえることもあります。

もちろん予測できるところもあるので、ある程度想定はしますが、あとから「実は〇〇〇という病気もありそう」となることもあります。

今日はそんな複雑な要因が重なっている病気です。

【症例】

 柴犬 9歳 男の子

【経過】

 〇初発は生後4歳から

 〇7歳(2年前)のとき、頚部の皮膚炎から悪化

 〇この2年のうち一時期だけ無治療で改善したが、基本は通年発症

 〇食事療法は色々したが、よくならず

それでは初診時の状態をみてみましょう。

続いて、頚部です。

続いて、胸部です。

続いて、腹部です。

続いて、右側面です。

右側面の胸部拡大です。

同じく右側面の腹部拡大です。

続いて、右後肢のカカト付近です。

それでは初診時から3カ月半後の状態と比較してみましょう。

短期間のうちに劇的に改善しましたが、部分的にまだ残っていますね。

この残っているところが「今までの継続」でよくなるのか、別のアプローチが必要になるのかの判断が大事で、個人的には異なるアプローチが必要と考えています。

ここが前半でお話した別の要因があとから見えてくるという点です。

まだ改善の余地ものこっているので、飼主さまと相談しながら追加アプローチのタイミングは決めていこうと思います。

柴犬の皮膚病が重症化すると原因が異なれど、見た目は一緒になりやすく、見た目の判断が難しくなります。

アポキルが発売されてから、痒みに対してはアポキル一辺倒のような風潮があるのですが、こういった症例に対して画一的な治療ではうまくいかないため、病状に合わせた治療方針の変更が必要です。

※アポキルはとても使いやすい便利なお薬で、困ったら「とりあえずアポキル」でもいいのがメリットです。

アポキルを飲んでいるのに良くならない、柴犬の皮膚病で慢性・重症化して治療に困っている方はぜひ当院までご相談ください。

柴犬のこういった重症化であればほぼ改善します。

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

【初診時の診極め】アポキルが効かない痒みの原因は?

2018.03.24

柴犬のアトピー・アレルギーなど、ステロイドやアポキルが効かない痒みの皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、愛知県四季の森どうぶつクリニックです。

今日は、今年の1月に初診で来院された直後に1回目のブログを掲載し、6週間後の比較を2月のブログで紹介した症例の続きです。

 1月19日UP 柴犬の皮膚科専門外来 ~ステロイドが効かない理由~

 2月27日UP   柴犬の皮膚科専門外来 ~ステロイドが効かない~ 再診

ステロイドで抑え切れなかった痒みをステロイドを使わずに抑えたという症例報告です。

たった6週間で劇的に(元々の痒み10痒として、4まで)改善したという症例報告でしたが、逆にいうと「まだ4残っている」ということで、これも初診時の想定どおりでしたので、これまた初診時に予め伝えていた「新しい手」を打つことにしました、というところで止まっていた症例です。

前回2月27日にUPしたときに次の1手をうった再診が本日でしたので、早速報告します。

残る痒みは脇をかく、腕・手首・膝・スネ・四肢端を噛むという症状でしたが、追加治療により「ほぼ痒みなし」というレベルまで改善しました。

前回の時点でかなり綺麗に改善していたため、治療前の写真は掲載していません。

ポイントはアポキルに6週間でのこってしまった痒みをどう抑えたのか?ですね。

もちろんこれは「初診時に決まっていたこと」を追加治療として採用することで解決しました。

それが「心因性掻痒症」です。

初診時の時点で、「初期治療である程度改善できると思います。ただ腕や四肢を噛む症状が残ると思うのですが、それは心因性です。その残った痒みには心因性のアプローチをしましょう」と伝えていたので、前回の治療追加とさせていただきました。

想定どおりほぼ痒みが皆無になりましたので、次はアポキルを2日に1回(または3日に1回)へ減らすことにしています。

おそらく2日に1回でも十分にコントロールできる皮膚コンディションだと思います。

アポキルを服用して抑えきれない痒みに心因性を疑うのですが、このときに最も役に立つのが当院で開発したヒーリングケアLFプラスです。

こちらの商品は以下のオンラインショップでお買い求めいただけます。

アポキルを使いながら併用することで残った痒みを緩和させる、アポキルの服用量(服用回数)を減らすなど、併用の相性が非常にいいですね。

もちろん診断が確実で、心因性以外の治療がそろっていることがなにより重要です。

心因性以外の治療方針にズレがあると、「そもそも・・・」となってしまいますので的確な診断がなにより重要です。

柴犬でも十分使えますが、個人的にもっと高い精度で相性がいいと思うのがトイプードル、シーズー、ヨーキーなどの小型犬です。

その他、猫の「お腹の毛が薄い」「腕をなめる」など、部分的な脱毛の原因である心因性に非常に相性がいいため、とてもお勧めです。

初診時に使わなかった理由は、心因性の痒みの割合が全体の半分以下で最優先ではないと判断できたことと、あえてアポキルで改善しない痒みを残すことで、心因性の痒みがあることを飼主さまに実感していただきたかったからです。

こうすることで、痒みの原因が複数あることが確実に伝わり、今後の痒みの再燃時にどの痒みがどの治療でよくなるか、獣医師も飼主さまも把握して対策を取れるためです。

痒みはとりあえず抑えればいいというものではなく、原因を細かく分析して将来の治療に生かすことも重要だと考えています。

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

1日2回のアポキルが効かない柴犬の皮膚病

2018.03.22

アトピー・アレルギー疾患が多いといわれる柴犬の痒い皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。

アポキルが発売されてそろそろ2年が経とうとしています。

アポキルの発売半年ごから「アポキルが効かない」というわんちゃんの問い合わせが多くなり、最近では新しい初診のわんちゃんのほとんどが「アポキルを服用しているのに痒い」という状態です。

あらかじめ伝えておきますが、アポキルは非常にいいお薬です。

いいお薬すぎて、効く効かない関係なく「とりあえずアポキル飲んでおこうか」でもいいと思うくらいです。

もちろんアポキルがよく効く痒みと、効かない痒みがあるため区別して治療すべきなのですが、安全性の高さから「こまったらアポキル」というプランができるのがアポキルのいいところだと思っています。

そのため当院にはアポキルを服用しているのに痒みが改善しないというわんちゃんばかりが来院するので、アポキルが効く痒みとアポキルが効かない痒みをだいたい区別できるようになりました。

もちろんアポキルが効かないときにどうしたらいいのかも大体把握できるようになりました。

たまには外しますが、たまにです。

今日紹介する症例もそんな「アポキルが効かない」という柴犬の皮膚病のわんちゃんです。

【症例】

 柴犬 5歳 女の子(避妊手術済)

【経過】

 〇1歳すぎてから痒み発症

 〇毎年明確な季節性があり、2月~5月の花粉の時期だけ

 〇夏は一切発症しない

 〇昨年(平成29年)、初めて秋に春と同様の目ヤニの症状がでる さらに身体のべたつきあり

 〇基本は涙目、目ヤニ、目の痒み

 〇平成29年11月からアポキルを1日2回服用しつづける(1日2回を4か月)も、今年の2月に例年どおりの目の痒み発症

 〇今はわき、お腹の痒み

 〇飼主さま曰く「今年はアポキルを服用しているので、花粉症を乗り切れると思っていた。いつも通り発症しているのでアポキルの効果を実感できていない」

 〇エリザベスカラーと洋服で傷防止

それでは初診時の状態です。

3月17日が初診です。

まずは全体像です。

続いて、顔。

続いて、頚部とその拡大。

続いて、胸部とその拡大です。

右脇の拡大です。

胸部中央の拡大です。

左わきの拡大です。

続いて、腹部とその拡大です。

この症例で何を考えるか?

考えるポイントは

①明確な季節性がありアトピーを疑うにも関わらずアポキルが効かない理由は?

②今の痒みをコントロールするために必要な治療は?

この2つですね。

ただ痒みをコントロールするためには目の痒みと身体の痒みの原因と治療を変えた方がいいです。

今回は関東圏からの受診でしたので、次の再診は遠隔診療になります。

そのため診断と方向性はこの初診で確定しなければいけません。

あとは微調整のみ、毎年6月にはかゆみがなくなるため、今日からの治療結果をどう判断するかの問題はなきにしもあらずですが、おそらく飼い主様が「今までと違う!」と実感できる結果をだせると確信しています。

このタイプの皮膚病は当院と診療提携を行っている病院※であれば対応することが可能です。

※診療提携病院

 京都市 よこた動物診療室

 静岡市 あん動物病院

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

【柴犬の痒み専門外来】ステロイドが効かない~再診~

2018.02.27

柴犬のアトピー・アレルギーなど、痒い皮膚病でステロイドやアポキルが効かない難治性皮膚病の治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。

僕に花粉症はないのですが、くしゃみや目の痒みを訴えるわんちゃんが来るようになったので、春の訪れを感じる今日このごろです。

一般的に冬は皮膚病が少なくなるため、病院もゆっくりとした時間が流れるのですが、この冬は溜まっている症例報告をたくさんやる時期でもあります。

それでは今日の症例報告は、今年の1月中旬に初診で来院されたわんちゃんで、以前のブログで初診の写真を紹介したわんちゃんのその後です。

  1月19日にUPしたブログ → 【柴犬の痒み専門外来】ステロイドが効かない理由

【症例】

 柴犬 1歳10ヶ月 女の子(避妊済み)

【経過】

 〇生後5か月から続く痒み

 〇口・耳・目、わき、お腹、四肢端なめる&かむ、腕をかむ、膝をかむ

 〇動物病院からの食事療法を約1年(2種類)継続するも改善なし

 〇抗生物質を1年間継続中

 〇痒み止めとしてステロイドを1年間(約200日くらい?)服用

 〇痒みのコントロールができていない

 〇季節性はなく、1年通してずっと痒い

それでは改めて初診時の写真を紹介します。

一見重度な感じはしませんが、痒いものは痒いのです。

100件どころか数百件の動物病院を超えて当院を受診するほど痒いのです。

普通の柴犬に見えた方がほとんどだと思います。

もし散歩でこのわんちゃんに出会っても、まさか県を越えて通院するほどの痒い皮膚病で悩んでいる柴犬には見えないと思います。

そんな見た目ですが、明らかに異常です。

前回のブログで書いたように診断は一瞬です。

それでは初診から6週間後の状態との比較です。

※写真をクリックすると大きく見ることができます。

いつも当院が紹介している重症からの改善ほどの大きな差がみえないかもしれませんが、非常に大きな改善が認められています。

痒みは元々10として、今は4くらいです。

写真をよくみたらわかると思いますが、毛並みもよくなり、フワフワになってきました。

飼主さまもこんなに毛並みがよくなったのは初めてと実感していただけました。

治療はステロイドではなく、2つのお薬を使いましたが1つはアポキルです。

アポキルがステロイドを上回ることはないと考えていますので、アポキル単独で効いたとは考えられません。

次は初回の治療方針で残った4の痒みですが、もちろん初期治療で痒みが残るのは想定範囲内であり、これも予定通り次の手をうつことにしました。

次の目標は4の痒みがある程度(完全ではない)緩和できること、もう少し先はアポキルを若干減らしても大きなぶり返しがないこと、です。

そのころにちょうどアトピーの痒みが出やすくなる花粉の多き季節、梅雨、夏・・・となるため、若干季節による悪化があるかもしれませんが、以前のように「効かない!」となることはもうないと考えています。

ここ最近の口癖の1つですが、「柴犬の正常を知れば異常がわかる」につきます。

ただ僕もこの柴犬の正常を把握するのに獣医師になって約10年かかったので、今は昔の自分を思い出しては反省する毎日です。

 

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

【一瞬の診極め】アポキルが効かない柴犬の皮膚病治療

2018.02.23

柴犬のアトピーやアレルギー、アポキルが効かない痒い難治性皮膚病の治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。

一般的に動物病院の皮膚科で治療が難しい犬種の筆頭に上がってくる一つが柴犬ですね。

その独特の体質からシーズーやフレンチより扱いづらく、治療難易度としては最高クラスと思います。

わかりやすい例えが良くも悪くもアポキルの反応で、アポキルが非常に効く症例もいるのですが、全然効かない症例もいます。

もちろんアポキルが万能ではなく効かない痒みがあるのはわかるのですが、このアポキルが効く症例と効かない症例の区別がつかないケースがあるから困るのだと思います。

だれしも

「なぜ効かない?」

と考えるのだと思うのですが、本当の意味でアポキルが気かない痒みであるわけではないですし、アポキルが効く柴犬と見た目の違いが全くないわけではありません。

柴犬の正常を知っていれば、アポキルが効かない痒みを呈している柴犬を事前に把握することができます。

「この症例には効きが悪い」

そして効くための治療手段を把握していれば「時期にアポキルが効くようになりますよ」と伝えることができるので、効かないアポキルを使い続けることにも何の後ろめたさも感じることはありません。

当院でも「最初は効きが悪いようにみえるかもしれませんが、1~2ヵ月後には効いてきますよ。」と伝えて治療開始しています。

今回はそんな「アポキルが全然効かない!」という柴犬の皮膚病です。

【症例】

 柴犬 4歳半 男の子(去勢済み)

【経過】

 〇1才半から続く皮膚の痒み

 〇顔(目・口・耳)、お腹、腕、四肢・・・・背中以外すべてが痒い

 〇アレルギーといわれ、食事をかえても、おやつを変えても改善しない

 〇1年前からアポキル1日2回服用しても痒い

柴犬でよくある「アポキルが効かない」という典型的な症例です。

診断は診察室でチラッとみた一瞬、アポキルが効かない理由と効くための治療方針の確定もほぼ一瞬です。

それでは初診時の状態です。

まずは全体、一見重度な感じはしません。

続いて、顔の左側で、目の回りも口周りもあちこち痒いです。

本来この顔周りの痒みにはアポキルが効果を示しやすいのですが、効きにくい柴犬もちょくちょくいます。

こういったタイプにはちょっとアプローチを変えると簡単に痒みのコントロールが可能になります。

続いて、右前腕で、柴犬に多い「腕を噛む」という症状が強くでいているため毛並みが悪くなっています。

このタイプの痒みにアポキルは効きにくいですね。

同じく右前腕の外側面です。

続いて、左前腕の内側。

続いて、胸部です。

胸を後ろ足で掻くというアトピーでよく認められる症状です。

腕とことなり、この部位の痒みにはアポキルが非常に効くことが多いのですが、柴犬では効きにくいことがありますね。

続いて、腹部とその拡大です。

お腹が真っ黒になっています。

診療で診る大事なポイントは痒くて黒くなってしまったお腹ではありません。

別のところに診断のヒントが隠されています。

最後に右胸部の側面の拡大です。

掻きすぎて傷になっています。

それでは治療後5ヶ月半後の状態と比較します。

※写真をクリックすると大きくすることができます。

初診の治療スタートの時点でアポキルを1日2回服用している影響もあってか、見た目が重度でないため当院の症例方向の中では差の小さなものかもしれませんが、大分きれいになりました。

比較写真が約5ヵ月半と長期になったのは途中で悪化したためです。

悪化の理由は簡単で、初診から1~2ヶ月で順調によくなったのですが、飼主さま判断で投薬治療が減ったためです。

これは「のど元過ぎれば熱くない」という心理的にもやむをえないことで、よくなると「薬がなくても良くなったんじゃないか?」「いくつかあるお薬のうち、〇〇はもういらないんじゃないか?」と考えてしまうためかと思います。

投薬治療を無理強いすることはできないため希望に合わせるのですが、やはりおまかせ治療がベストであってそのおまかせからズレると振り出しに戻ってしまうことがあります。

という理由で比較写真が5ヵ月半になっています。

おまかせであれば3ヶ月でこの状態だったと思います。

肝心のアポキルですが、受診前は1日2回服用でも痒かったのですが、今は1日半に1回(痒みが強いときは1日1回)でコントロールしています。

もちろん1日1回の方が効きはいいのですが、お薬は少ないにこしたことはないので1.5日が許容範囲であればそれも選択肢の1つかと思っています。

もし柴犬の痒い皮膚病治療でアポキルが効かない場合は、最低限2つの病気のことを考えるのがいいと思います。

治療は2つの病気以外のあるため、かなり多くの種類を駆使しますが、それぞれが重要な働きをします。

「痒い=アポキル」ではありません。

なお今回の症例はスキンケアやサプリメントメインではさすがによくなりません。

ヒーリングケアLFプラスは適応ですが、単独使用では改善は難しいでしょう。

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

【柴犬の痒み専門外来】ステロイドが効かない理由は?

2018.01.19

柴犬のアトピーやアレルギーなど、痒みと伴う皮膚病治療に力をいれている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。

柴犬の痒みトラブルは非常に多いですね。

痒みを抑えることができる「アポキル」が発売されて、一定の症例はこのアポキルによってかなりの改善を認めていると思われます。

しかしアポキルが高い効果を示す症例と、そうでない症例がいますが、その違いはどこにあるのでしょうか?

これはアポキルだけに限ったものではなく、ステロイドや免疫抑制剤などの痒みに関するお薬全般にいえることです。

「服用しているのによくならない」

当院を受診しているわんちゃんのスタートラインはここです。

今日はそんな「痒み止めの効果がでない」という柴犬についてです。

【症例】

 柴犬 1歳10カ月 女の子(避妊手術済)

【経過】

 〇生後5か月から続く痒み

 〇口・耳・目、わき、お腹、四肢端なめる&かむ、腕をかむ、膝をかむ

 〇動物病院からの食事療法を約1年(2種類)継続するも改善なし

 〇抗生物質を1年間継続中

 〇痒み止めとしてステロイドを1年間(約200日くらい?)服用

 〇痒みのコントロールができていない

 〇季節性はなく、1年通してずっと痒い

それでは初診時の状態です。

6日前に初診のために当院を受診されたので、治療後の写真はまだありません。

初診時の検査では、ニキビダニ陰性、マラセチアわずかに検出、膿皮症なしでした。

診断は一瞬です。

いや、実は看護師が受けた電話の問診メモをみるだけでわかりました。

※先入観はときに痛い目をみるので本当はよくありません。

あとは当日パッとみて&お話聞いて確信へ、各種検査は似ている疾患を除外するために実施します。

簡単な特徴としては、

 〇柴犬

 〇若い発症

 〇季節性のない痒み

 〇痒み止め(一般的にはアポキルとステロイド)が効かない

 〇寄生虫(ニキビダニ、疥癬)ではない ※なさそうでも可

この条件であれば「柴犬のあるある」かもしれませんが、シンプルなアトピーであればアポキルなりステロイドが効きますし、季節性もあると思いますのでそのグループには入らないちょっと難しいタイプに分類できます。

おもしろいのは、飼い主さまからの主訴には決して入ってこないあることに関する情報を聞き出すことで、この病気の診断に近づくことができます。

今回も一通り飼主さまのお話を聞いて、簡単な顕微鏡検査をして、改めて飼主さまに質問をしてみました。

「お近くで柴犬のわんちゃん見る機会もあると思いますが、他の柴ちゃんとこの子で何が違うと思いますか?」

飼主さまはこの質問に的確に、かつ僕の期待通りの答えを返してくださいました。

病気の原因はそこだったんですね。

ただ、飼主さまはそれを僕に伝えることはできなかったのです。

認識できていることと、今の病気と関係していると思うことは別で、獣医師に伝える症状には入っていませんでした。

診断には検査だけでなく、飼い主様から必要な情報を聞き出す質問ができることも重要と思います。

参考までにこの子はアトピーの範疇でいいと思います。

問題はなぜこの子のアトピーにステロイドが効かないのか?ですね。

仮にアポキルでも同様ですが、効くはずのものが効かないのは「効かない理由」があるのです。

効かない理由の診断をつけて治療さえすれば、この症例のアトピー部分には他の症例同様にアポキルやステロイドが効くようになります。

この症例に必要なのは痒みを抑える治療ではなく、アトピーにステロイド(同様にアポキルも)が効かないある疾患を治療してアポキルが効くようにすることです。

3か月後にはアポキル(ないしステロイド)を毎日飲まなくても痒みがコントロールできるようになると思います。

次回は今回紹介した症例とまったく同じような柴犬で、「アポキルを服用しているのにまったくよくならない」という症例の改善経過を紹介します。

おもしろいは東京で開催した遠隔診療での症例です。

要するにメールと写真で目途をつけ、実際に診るのは1回だけで診断・治療方針を組み立てるという医療です。

また、当院では動物病院向けにこのような今の皮膚科で不足している大事なことについて、個別で皮膚科セミナーを開催していますので、ご希望の方はHPからお問い合わせください。

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

【柴犬の痒い皮膚病】アポキルが効かない!?どうする?

2017.12.18

柴犬のアトピー・アレルギーなどの痒い皮膚病治療に力をいれている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。

クリスマスまで1週間を切り、クリスマスが終わればもう今年もカウントダウンで新年ですね。

クリスマスの飾りつけをしながらお正月の飾り付けも選び、クリスマスプレゼントを準備しながら年賀状を書くというイベント大好き日本人の性を実感する毎日です(笑)

今日の症例報告は先日の柴犬の記事で伝えておいたわんちゃんです。

  12月16日に初診で来院されたわんちゃんをその日のうちに紹介しています。

【症例】

 柴犬 1歳 男の子

【経過】

 〇生後7ヶ月に痒み発症

 〇徐々に拡大して悪化

 〇地元動物病院にて「アトピー?アレルギー?」

 〇抗生物質と消炎剤の内服で改善なし

 〇11ヶ月からさらに悪化し、拡大

 〇四肢の痒み、顔(目・口・頬)の痒み、目の脱毛など

それでは初診時の状態です。

続いて、顔正面の拡大。

続いて、顔の左側。

同じく顔の左側。

続いて、身体側面の右側から。

続いて、右前肢の内側、とその拡大。

同じく右前肢の外側と、その拡大。

続いて、左側面。

腹部の左側とその拡大。

左後肢の側面。

同じく左後肢のかかと付近を外側から。

同じく左後肢の甲、外側から。

背中以外傷だらけで来院されました。

噛みすぎて毛もありません。

それでは10週後の状態と比較してみましょう。

※画像をクリックすると大きくみることができます。

まずは顔の正面、右、左の順番です。

続いて、左側面。

続いて、右前腕。

続いて、右後肢。

続いて、左側面。

続いて、左前肢。

続いて、左腹部とその拡大。

続いて、左後肢の側面。

非常に綺麗に改善しました。

傷ひとつなく、毛並みは100%回復です。

症状も改善し、10週間後の状態ではほぼ痒みなしです。

念のためアポキルを渡しておきましたが、治療9~10週目の2週間で服用したのは2~3回のみ、それでも痒くないという回復ぶりです。

もちろんステロイドの1度も処方していません。

今回の症例の特徴の一つは、「アポキルが効かないタイプの痒みである」ということです。

まったく効かない、絶対にきかない・・・というほどではないので、併用するのはありなのですが、「アポキルで抑えきれない」とわかった上で処方しなければ後が困ります。

再診時に「痒みがあまり改善していない」という状態を予測して、再診時に次の治療に踏み込める準備を初診時にしておく必要があります。

今回の症例でも初診時に「とりあえずアポキル」という処方をしましたが、予測どおりあまり改善なし・・・という結果でした。

想定どおりですので、再診時から初診時の時点ですでにお伝えしていた治療第2弾を併用して、最終的にはアポキルがなくてもかかない、という状況に改善したという流れです。

ブログにしてしまうと治療は一瞬にみえるかもしれませんが、柴犬の皮膚病治療は難しいと思います。

アポキル単独でかなり痒みを抑えられる症例もいるのですが、そうでない症例もそこそこいます。

そしてアポキルで痒みを抑えきれないときに次の手が中々ない、というのが今の皮膚科の現状です。

当院ではアポキルが効かないという診療が大半を占めるので、それ以外の手をいくつか持って診療に臨んでいます。

ただ、打つ手が正しくてもそのタイミングが悪ければ十分な評価ができなかったりしますし、いいタイミングで手を打っても「それがいつ効くのか?効いているのか?」を判断できないといけません。

こういった「アポキルが効かない痒み」について、個別でセミナーを開催していますので、診療提携をご希望の方はご連絡ください。

参考までに前回初診時のみを紹介した柴犬のわんちゃんと原因は一緒です。

前回紹介した柴犬のわんちゃんもアポキルを1日2回服用して改善しない皮膚病です。

3ヵ月後までには綺麗になるでしょう。

 

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

【柴犬の皮膚病治療】アポキルが効かない?アトピー?アレルギー?

2017.10.02

柴犬の痒みを伴うアトピー・アレルギー性皮膚炎の治療に力を入れている皮膚病治療専門病院、四季の森どうぶつクリニックです。

今日紹介するのはここ最近の中で最も「会心」だった症例です。

【症例】

 柴犬 4歳 去勢オス

【経過】

 〇1才のころから皮膚病

 〇最初は季節性の痒み発症であったが、この2年は通年性

 〇シクロスポリンで改善なし

 〇アポキルでも改善なし

 〇シクロスポリン+アポキルの同時併用3ヶ月でも改善なし

 〇最近はステロイドでも改善なし

 〇食事療法は、低アレルゲン、アトピーフード、グレインフリーと変えるも改善なし

さて、初診時の状態です。

正面全体から。

続いて、右側面から。

続いて、顔~頚部(右)。

同じく頚部の右、拡大。

同じく右頚部、さらに拡大。

頚部、正面から。

同じく頚部正面、拡大。

続いて、前胸部。

続いて、右前肢の屈曲部(肘)。

続いて、右前腕内側。

続いて、右前肢外側。

続いて、右胸部側面。

続いて、右肩の側面拡大。

右胸部側面の拡大。

同じく右胸部側面の拡大2箇所目。

同じく右胸部側面、3箇所目。

続いて、右腹部側面。

続いて、右後肢膝~カカトの側面。

続いて、左側面。

左側面をやや斜め後ろから。

右側面の炎症部位の拡大。

右腹部側面の拡大。

続いて、右後肢側面。

かなり重度ですが、この見た目は特徴的なので診断は一瞬です。

万が一のことを考えて、似ている疾患を除外するためにいくつか検査をしますが、頭の中で答えは決まっています。

綺麗に治るまでの軌跡を描いてからゆっくり検査、説明をします。

※検査結果は確認のためで、治療方針を立てるためではありません。

それでは初診時からちょうど12週間後との比較です。

※写真をクリックすると大きくすることができます。

参考までに

 〇甲状腺機能低下症はなし

 〇ステロイドの副作用でもない

 〇疥癬でもない

 〇アポキルは効かない

 〇上記の写真で紹介した病変に、抗生物質を必要とするものはない

当院でも初診時に「アポキル」を処方しましたが効果はゼロで、飼主さまから「痒みはまったくかわらない」といわれました。

もちろん現状でアポキルがほとんど効かないだろうというのはわかってたのですが、「副作用はほとんどないし、多少効果があればOK」というつもりで処方しています。

それだけではなく2回目~7回目までの再診時もずっと「よくならない。かわらず痒い」といわれ続けており、9週間後の7回目の再診時でも「痒みはあまり変わらず、元々を10とすると今8くらい」という低調な評価でした。

ただ!改善する自信があったので「治療方針は変えません。よくなります。」と言い続けて初診時の診断は変えませんでした。

そしていよいよ12週間後の8回目の診察時、飼主さまにはじめてうれしい言葉が・・・

 「おかげさまで随分良くなりました。散歩でも『別人みたい!』と声をかえてもらえました♪」

痒みも足先をちょっとなめる、口を時々掻く・・・というくらいです。

毛並みも非常によく、ツヤツヤです。

柴犬のこのタイプの皮膚炎はときどき診る事があり、だいたいアトピー、アレルギーといわれて難治性皮膚病になっています。

「アトピーではない」「アレルギーではない」と言うことは難しいのですが、「アトピー」「アレルギー」といっていると絶対治りません。

このタイプはアポキル単独では改善しませんし、食事療法なんてほぼ無意味ですし、スキンケアで改善するわけでもありません。

あることをし続けなければ結果がでません。

結果がでるまでの数ヶ月も痒みが続くのですが、飼主さまの「痒みが改善しない」という返事に対して、自信をもって「このままでよくなります。」とブレずに継続する力が必要です。

この「痒いといわれてもブレない」というのがかなり難しいと思います。

もう1点、これが難しいといわれる理由は「教科書に掲載されていない」ということでしょうか。

また、セミナーで解説されているのも聞いたことがありません。

近い記載はわずかにあるのですが、おそらく誰も気づいていないのが現状です。

当院と皮膚科に関する診療提携を行っている病院の先生には詳しく解説する予定です。

今回の症例でも初診時の診極めで、治療方針を変更することなく改善することができました。

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

【柴犬の皮膚科専門外来】 診たことない柴犬が・・・

2017.06.22

柴犬の痒みを伴う皮膚病治療に力をいれている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。

先日待合室でまっている柴犬をみて違和感を覚えました・・・

「誰だろう?診たことあったかな?」

この違和感の原因はそのあとの診察で解決できました。

今日はそんな症例報告です。

【症例】

 柴犬 4歳 女の子(避妊手術済)

【経過】

 〇去年の夏からつづく痒みを伴う皮膚病

 〇冬もよくならず、春から脱毛が進む

 〇痒みの部位:頚部、お腹、四肢端

 〇過去の投薬歴:痒み止め

まずは顔の左側から。

続いて、頚部。

同じく、頚部のやや左から。

続いて、右前腕。

続いて、身体の左側。

同じく、左側の胸部拡大。

続いて、身体の右側。

同じく左側、腹部の拡大。

続いて、前胸部。

続いて、腹部。

続いて、内股~後肢。

続いて、左後肢の側面から。

それでは、この初診時から7週間後の状態と比較してみてみましょう。

※画像をクリックすると、拡大してみることができます。

まさに「見違えるように」とはこのことですね。

毛並みはほぼ元に戻りましたし、肝心な痒みも元の10分の1までへりました。

もちろん初診時に「まずよくなる」と思ってアプローチしましたが、たった7週間でここまでよくなるとは思いませんでした(笑)

診たのは初診と再診2回の合計3回でここまでよくなるとは・・・自分でもちょっとびっくりしました。

先週の北海道往診から1週間たっても疲れがとれない僕にはまぶしく見えるこの回復力・・・・これが世に言う「若さ」というものでしょうか(笑)

治療のポイントは特になく、診た瞬間に治療方針は決定です。

初診時から治療方針の変更はありませんでした。

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

【名古屋・愛知の皮膚科専門外来】柴犬のスキンケア療法

2014.02.18

こんにちは、四季の森どうぶつクリニック獣医師平川です。

柴犬の難治性皮膚疾患(当院受診前に治療歴があり改善しなかった症例)をまとめるために、さまざまなタイプの症例を紹介しています。

今回紹介する症例は今までの治療症例とは少し異質なものですが、「これだけ重症の皮膚病でも治る余地がある」と思っていただきたくて紹介します。

【症例】

 柴犬 7歳 女の子(避妊手術済)

【過去の病歴】

 〇4年前から通年性(1年中)の皮膚病
 〇現在が最も悪い状態
 〇最初の2年は近医(A動物病院)にてステロイドを使用しながら痒みを抑えていた
 〇2年前に漢方療法を行う皮膚科動物病院(B動物病院)へ転院し、抗生物質・甲状腺モルモン剤・漢方薬など2年間服用
 〇偽妊娠になりやすいことから、同じB動物病院で避妊手術(卵巣摘出)を受ける
 〇B動物病院で漢方成分の入ったシャンプー(商品名なし)を使用

それでは初診時の状態をみてみましょう。


※画像をクリックすると拡大できます。

まずは、顔の左側から。

同じく目の下、頬の拡大です。

同じく左側、口唇~頚部にかけての拡大です。

続いて、頚部左側です。

続いて、頚部~左前肢肩付近です。

続いて、頚部。

同じく頚部の拡大です。

続いて、頚部~前胸部です、

続いて、右前肢内側、拡大をあわせています。

続いて、身体右側、ワキ~胸部側面です。

続いて、腹側全体です。

同じく、腹側の胸部拡大です。

続いて、右後肢の足首~甲の拡大です。

最後に尾側、会陰部周囲です。

この初診時から2カ月半後の状態と比較してみましょう。


※画像をクリックすると拡大できます。


※画像をクリックすると拡大できます。


※画像をクリックすると拡大できます。


※画像をクリックすると拡大できます。


※画像をクリックすると拡大できます。


※画像をクリックすると拡大できます。


※画像をクリックすると拡大できます。


※画像をクリックすると拡大できます。


※画像をクリックすると拡大できます。


※画像をクリックすると拡大できます。


※画像をクリックすると拡大できます。


※画像をクリックすると拡大できます。


※画像をクリックすると拡大できます。

初診時は過去に例がないほど重度の皮膚の肥厚、脂漏が認められました。

そしていつも通り初診時に数パターンの診断・治療方針を想定しましたが、最優先で疑ったのは「アトピー+ホルモン異常」でした。

ただ、でてきた検査結果は「アトピーはない、甲状腺も異常なし、クッシングの可能性も低い」という想定と異なるもので若干違和感を感じましたが、スキンケア療法に非常にいい反応がありました。

通常柴犬の皮膚病に院内で行うスキンケアを行うことはありませんが、今回の症例は初診時に「原因のいかんに関わらずスキンケアを併用しなければ改善はないだろう。むしろ原因のいかんに関わらずスキンケアでかなり改善させることができる。」と判断したため、改善に関しては当然の結果だと考えています。

ただ想定と異なる検査結果に感じた違和感が本当なのかを確認するために、いくつか詳しい検査を追加で受けていただいた結果、確信に近い検査結果を得ることができました。

しかし今回当院が下した診断は本来起こるべきではないことを前提にした診断名であるため、当院での診断をより確実に確定するために大学病院を受診することになっています。

今回の症例は治療を行いながら複雑な心境でした。

考えられる原因が原因なだけに、なぜこの子がこんなつらい思いをしなければいけないのか、と診察のたびに胸が痛みました。

そして「獣医師として代わりに責任持って診断・治療する」と思いました。

もちろん当院を受診される全ての診察に全力を!という想いを込めていますが、この子のスキンケア時には全スタッフがいつも以上に想いをこめていたと思います。

 

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

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