こんにちは、わんちゃんの皮膚科専門の動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
今回はアポキルが効かない痒みを持った柴犬の子の症例です。
【症例】柴犬 8歳11か月 男の子
【経過】
〇下顎、耳、お腹を過剰に掻いてしまう
〇3年前からアポキルを毎日服用し、多い時は1日2回服用しているが改善されない
それでは、初診時の様子をご覧下さい。
まずは横顔のお写真です。
目や口周りなど赤みがあり、掻いて傷になっているところもあります。毛もまばらに生えている状態です。
続いて首、胸、お腹のお写真です。
毛がほとんどなく、皮膚の状態もガサガサしているのが分かります。
次は前肢のお写真です。
最後に身体の側面と皮膚を拡大したお写真です。
毛が薄く、スカスカになっています。
それでは、初診時から約8ヶ月の写真と比べてみましょう。
比べて見ていただくとフサフサにに毛も生えて毛質も良くなりました。掻きすぎてできていた傷もなくなり、とてもきれいな皮膚になりました。飼い主様にお家での様子をお伺いすると、前より穏やかに過ごせてお散歩の足取りも軽くなったと仰っていました。柴犬はストレスに弱く、皮膚の状態が悪いと痒みストレスから行動異常が増えることがあります。
この子はアポキルを1日2回服用してもまったく改善されない重度の皮膚病ですが、柴犬の遺伝的体質が強く表れている典型的な皮膚疾患です。痒み止めであるアポキルが効かない理由「隠れた基礎疾患(遺伝)」が見落とされているため、そこにフォーカスして積極的な投薬治療を行いました。見違えるような治療結果で皮膚病があったことすらわからないまでに改善しました。
この子の場合、問題点は3つあります。
①痒み
「アトピー」の1つですが、単純なアトピーであればアポキルで痒みは十分すぎるくらいコントロールできるはずです。アポキルを毎日服用してコントロールでいない場合は、アポキルが効かないのではなく「別の原因が診落とされている」と考えた方がいいです。
柴犬はこのタイプが多く、診落としには「毛並み異常」「食事管理」「心因性」が挙げられます。
②毛並み異常
健康な柴犬は1年通してアンダーコートがあります。このアンダーコートをつくることができないタイプは皮膚病になりやすく、重症化すると今回の症例のような脂漏性皮膚炎につながります。
問題はこの毛並み異常を一般的な動物病院では診断・治療が難しいことです。
当てはまる場合は当院受診をお勧めします。
③心因性
柴犬はその独特な性格・気質から、痒みストレスに弱く、皮膚を傷めつけてしまうほど舐める・掻く・噛むが重症化することがあります。
この「性格・気質」に対する診断・治療も非常に難しく、当院でしかできない治療もあるため、当てはまる方は受診をお勧めします。
柴犬の皮膚病は「遺伝」に問題があります。
いかに理にかなっていることとはいえ、正直なところスキンケアやサプリや食事では改善させるのは難しいです。
「柴犬だから」というのはその通りですが、「仕方ない」と諦める必要はありません。
「柴犬だから仕方がない」ではなく、
「医療だからできることがある」が当院の皮膚科診療です。
治療に向き合うことはとても大変ですが、大半は劇的に改善すると思ってください。
完治はしないため継続が必要ですが、柴犬の90%以上は今回の症例のように「まるで完治したかのよう」まで改善することができると考えています。
ただ当院でしかできないことばかりですので、遠くても受診を推奨いたします。
当院では継続をオンライン診療で提供することもできますので、遠方の方もぜひご検討ください。
※症状によってはできないこともございます。
関東にお住いの方は、東京サテライトで初診をさせて頂くことも可能です。
インスタグラムでも症例や動画を配信しています。
ブログと違う症例もありますので、ぜひご覧ください。
【症例報告制作者】看護師 佐野