2017.06.22
柴犬の痒みを伴う皮膚病治療に力をいれている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
先日待合室でまっている柴犬をみて違和感を覚えました・・・
「誰だろう?診たことあったかな?」
この違和感の原因はそのあとの診察で解決できました。
今日はそんな症例報告です。
【症例】
柴犬 4歳 女の子(避妊手術済)
【経過】
〇去年の夏からつづく痒みを伴う皮膚病
〇冬もよくならず、春から脱毛が進む
〇痒みの部位:頚部、お腹、四肢端
〇過去の投薬歴:痒み止め
まずは顔の左側から。
続いて、頚部。
同じく、頚部のやや左から。
続いて、右前腕。
続いて、身体の左側。
同じく、左側の胸部拡大。
続いて、身体の右側。
同じく左側、腹部の拡大。
続いて、前胸部。
続いて、腹部。
続いて、内股~後肢。
続いて、左後肢の側面から。
それでは、この初診時から7週間後の状態と比較してみてみましょう。
※画像をクリックすると、拡大してみることができます。
まさに「見違えるように」とはこのことですね。
毛並みはほぼ元に戻りましたし、肝心な痒みも元の10分の1までへりました。
もちろん初診時に「まずよくなる」と思ってアプローチしましたが、たった7週間でここまでよくなるとは思いませんでした(笑)
診たのは初診と再診2回の合計3回でここまでよくなるとは・・・自分でもちょっとびっくりしました。
先週の北海道往診から1週間たっても疲れがとれない僕にはまぶしく見えるこの回復力・・・・これが世に言う「若さ」というものでしょうか(笑)
治療のポイントは特になく、診た瞬間に治療方針は決定です。
初診時から治療方針の変更はありませんでした。
投稿者:
2017.06.14
こんにちは、メールと写真で継続治療を行う遠隔診療にも対応している皮膚病専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
当院ではオフィシャルHPに掲載しているように、ご自宅までの往診にも対応しています。
※写真で改善の見込みあり、と判断できる場合に限ります。
過去にも関西・関東での往診を何度か行ってきましたが、今日は名古屋から飛行機に乗り、北海道まで往診に行きました。
1件の診察+ご自宅薬浴で総14時間コースです。
「北海道でリフレッシュ?」と言われそうですが、明日から通常診療なので、観光・グルメなしで、離陸時刻23分前に空港駅につくという「路線検索」でも出てこないウルトラ乗り継ぎプランをつくり、空港を全力ダッシュして帰ってきました(笑)
こういったご自宅往診では1日1件しか診ることはできませんが、「呼んでいただけたら行きます」という気持ちで受けています。
今日は10歳のパグちゃんでした。
1歳のころから背中にフケ、5歳のころから頚部・四肢にフケがでるようになったということです。
最近は夜も痒くて寝れない、オシッコ中も痒くて途中でオシッコをやめてしまう・・・というかなり強い痒みを感じているようです。
まずは全体像。
続いて右前腕の内側。
同じく右前腕の正面から。
続いて、左前腕のやや外側から。
続いて、左後肢のカカト~甲の部分です。
最後に背中のフケです。
今日ご自宅でスキンケア治療の指導を兼ねて薬浴して、投薬開始です。
今戻ってきたばかりで、明日顕微鏡検査・血液検査を行う予定のため、「何1つ検査をしていない」という状態です。
おそらく今晩から眠れると思います。
そして1週間後にはフケも臭いも随分とすっきりしていると考えています。
検査結果から診断名をつけることと、治療方針をたてることは別、これも「診極め」です。
またご報告します。
投稿者:
2017.06.03
フレンチブルドッグの痒みを伴う皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
春の膨大な仕事も終わり、落ち着いてきたので溜まっていた症例報告を続けていこうと思います。
テーマは引き続き「アポキルが効かないとき、どうするのか?」についてです。
今日は「アポキルを服用しているのに痒みが改善されない」ではないのですが、「アポキルだけではコントロールが難しかった」という症例です。
【症例】
フレンチブルドッグ 8歳 去勢雄
【病歴】
〇4年前からの慢性的な痒み
〇季節性があり、夏の方が悪化しやすり
〇過去の投薬治療は主にステロイドで、一時的にシクロスポリン
〇痒みで身体を傷つけるほど掻くため、1年以上エリザベスカラーを装着している
〇床がぬれてしまうほど手先をよく舐める
それでは初診時の状態です。
づづいて、かなり痒みの強い部位の一つ、胸部の側面です。
胸部の側面を拡大してみましょう。
これは脱毛疾患ではなく、掻き壊しといって強く書くことで毛が引きちぎれいているため引き起こっているものです。
続いて、左側面です。
膝~スネにかけて噛んでいることで傷が認められます。
続いて大腿部の尾側、全身での発症ではありませんが赤い湿疹が認められます。
この初診時で初期治療としては湿疹(膿皮症)に対して抗生物質、季節性の痒みに対してアトピーを疑いアポキルを併用しました。
この2つの投薬治療である程度の改善が得られましたが、「エリザベスカラーをはずせない」「アポキルを1日2回服用しないと抑えきれない日が多い」であり、十分に痒みをコントロールできているという状況ではありませんでした。
また膿皮膚症も抗生物質の服用により数を減らすことができたのですが、やはり服用しながらも新しい湿疹が週に1~2箇所できる・・・という状態でしたので、胃腸免疫サプリ「スキンケアECプラス」を併用しました。
さらに「掻き壊し」が心因性によるものと疑い、心因性に対するサプリメントでのアプローチを開始しました。
お薬はあえて変更せず、初診時に採用した抗生物質とアポキルの2種類のままで、追加は2つのサプリメントのみとしました。
併用後から激しく掻き壊すシーンが減り、アポキルを1日2回必要とする日もどんどん少なくなり、エリザベスカラーも完全にはずすことができるようになりました。
湿疹はスキンケアECプラスを併用して以降、抗生物質を必要とするような再発がないくらい綺麗な状態を保っています。
そして最も悪化しやすい季節になりましたが、エリザベスカラーを装着することはありません。
それでは、治療後の比較画像です。
※画像をクリックすると拡大することができます。
派手さはありませんが、毛並みが綺麗になっているのがわかると思います。
今回は投薬治療とサプリメントの相性が非常によく、アポキルを減らすことができた症例です。
湿疹タイプの膿皮症にはスキンケアECプラスがおすすめで、心因性にはヒーリングケアLFプラスを使うようにしています。
スキンケア単独で改善するタイプではないのですが、湿疹のケアには非常に有効だと思います。
初めてのご利用の方は写真を用いた無料相談ができる痒みケアスターターセットをお勧めします。
投稿者:
2017.06.01
痒みの皮膚病治療のみを専門に行う動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
先日のアポキルセミナーでも話題になりましたが、「アポキルが効かない時」というのは今後の皮膚科の一つのテーマだと思います。
かといって医療に魔法の薬がないように、「アポキルが効かない」というときの原因も1つではないのが、すぐに答えにたどり着けなさそうな医療の難しいところですね
もちろんアポキルが効いていても、「まだ痒い」や「減らすと痒がる」であれば、何をもって効いているというのか・・・細かい考えたらきりがないのですが、とりあえず「アポキルで期待していた効果を得られなかった」という場合にどうするか?について部分的にお話してみようと思います。
そもそも診断が間違っていて・・・という数歩下がったところから掘り返すと何時間もかかりそうな話になるので、そこは割愛させていただき、今回は「心因性」というテーマにしぼっていきたいと思います。
アポキルが登場して約1年、かなりの症例に処方してきましたが、すごく効くわんちゃんと、「あれ?」というわんちゃんがいます。
痒がる場所はそっくりなのに、お薬の反応に差がでる・・・・そうなると「その差は何か?」ということになりますよね。
その差を生めることができれば一つ上の治療ができるので、この1年いろいろ試してきました。
その中の一つのパーツが「心因性」です。
心因性の痒みにはアポキルが効き難い傾向があります。
そのため治療に心因性のアプローチを追加すると、改善がみとめられたり、アポキルの投与回数を減らすことができたり・・・という変化が生まれます。
おそらくアポキルとの相乗効果も十分期待できるとは考えています。
どんなわんちゃんに心因性を疑うか・・・というと、
□ 手先・足先をよく舐める
□ 腕、手首、膝、スネをよく噛む&毛をむしる
□ 湿疹はないけど、お腹をよく舐める&噛む
□ お薬が効き難い ※特にアポキルの効きが悪い
□ お散歩やお出かけ中は痒がらない
□ 食事療法で改善がない
□ アレルギー対策はしている
こういったわんちゃんでしょうか。
痒み=心因性ではないのですが、心因性の評価が不十分がゆえに治療がうまくいっていないケースはかなり多くあると思っています。
※心因性という診断が正しくても、心因性のアプローチが必ずしも改善につながるわけではないです。やはり条件、組み合わせなどさまざまな要因が関係します。
当院ではそんな投薬治療だけではカバーしきれていない心因性の痒み部分をサプリメントでサポートする治療プランを提案しています。
それがこの1年以上、膨大な治療チャレンジを経て導き出し、開発したのが「ヒーリングケアLFプラス」です。
成分はラクティウム100mgとラクトフェリン100mgです。
ラクティウムは「あかちゃんは母乳を飲むとなぜぐっすり安らぐのか?」という経緯から見つけられた成分で、リラックス作用が認められています。
ラクトフェリンも母乳に含まれる成分の一つでリラックス作用だけでなく、抗菌作用や胃腸免疫改善作用、そしてアトピーなどのアレルギー対策として非常に期待できる成分です。
両成分ともかなり高価であり、人のサプリメントでもラクティウムとラクトフェリンがともに100mg含有しているサプリメントはありません。
そしてこのヒーリングケアLFプラスの開発により、当院のスキンケア商品と、胃腸免疫サプリメントのスキンケアECプラスと合わせて、医療に足りない部分のかなりの範囲をカバーできるようになりました。
セット内容 Medicareクレンジングオイル
Medicareシャンプー
Medicareローション
スキンケアECプラス
ヒーリングケアLFプラス
当院のオンラインショップでお求めいただけます。
今回のヒーリングケアLFプラスですが、人が服用できる基準で製作しています。
僕に皮膚病はないのですが、ストレスが多い社会を生き抜くためにこのLFプラスを毎日服用しています(笑)
※もちろんスキンケアECプラスも毎日服用しています。
投稿者:
2017.05.22
こんにちは、フレンチブルドッグの痒みを伴う皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院四季の森どうぶつクリニックです。
暑い日が続いており、わんちゃんの皮膚トラブルも増えてきました。
今からケアを欠かさずつづけることで、いいシーズンにすることができますので、がんばっていきましょう。
それでは今日の症例です。
【症例】
10歳 フレンチブルドッグ
【病歴】
〇3年異常前から手先~腕を舐める皮膚病
〇その他、お腹の皮膚炎、頚部~胸の皮膚炎
〇過去の治療歴はステロイドの内服と外用薬
※ステロイド内服、1年365日のうち100日以上服用、3年以上継続
それでは初診時の状態をみてみましょう。
まずは正面から。
続いて、頚部~前胸部。
同じく前胸部の拡大、黄色の皮脂がびっしりと付着しているのがわかるでしょうか?
続いて、胸部、円形脱毛があり、湿疹があることがわります。
続いて、右前肢。
続いて、左前肢。
同じ部位の拡大をみてみましょう。
同じく左前肢の指先です。
それでは治療後と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
非常に綺麗になりました。
今回の治療にはアポキルを併用しましたが、腕を舐める症状と足先を舐める症状は改善しませんでした。
そのためアポキルに当院のサプリメントを併用したところ、写真のように非常にきれいな改善を認めました。
確かにアポキルは安全性も高く、非常に強力な痒みを抑える作用がありますが、すべての痒みを押さえるわけではありません。
当院のサプリメント、ヒーリングケアLFプラスはこういったアポキルが聞きにくい、特に四肢端や腕を舐めるわんちゃんの体質ケアに非常にお勧めです。
いくつかの商品がありますが、フレンチブルドッグのわんちゃんであれば、掻く・舐めるといった痒み治療のために開発されたスターターセットをお勧めします。
今回のわんちゃんでも、脂漏にはスキンケア、湿疹にはスキンケアECプラス、四肢端の舐める痒みにはヒーリングケアLFプラスと症状に適したケアを行って治療を成功に導くことができました。
投稿者:
2017.03.24
トイプードルの皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
梅雨・・・・・・・昨年同様に雨の降らない梅雨ですね。
ただ気温があがってきて、湿疹の出やすい季節になっています。
さて、今日はそんな梅雨~夏に多くなる湿疹タイプの皮膚病、『膿皮症』の症例報告です。
【症例】
トイ・プードル 7歳6ヵ月 男の子(去勢済)
【症歴】
〇1年前から発症
〇過去2件の動物病院で膿皮症と診断されるも改善されず
それでは初診時の状態をみてみましょう。
続いて、頚部です。
同じく頚部の湿疹の拡大です。
続いて、胸~腹部です。
同じく胸の湿疹の拡大です。
続いて、背中です。
同じく、背中の湿疹の拡大です。
同じく背中の湿疹の拡大です。
ほぼ全身に無数の湿疹がありました。
それでは8週間後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
湿疹はなくなり、非常に綺麗になりました。
当院での診断ですが、過去の2件の動物病院の診断と同じく「膿皮症」という診断です。
このタイプの場合は大きく分けて2つのことを考えます。
「できた湿疹を治す」ための治療法と、「できないようにする」ための治療です。
というのも、できた湿疹を治すための治療である抗生物質は、「湿疹ができる原因は治さない」からです。
簡単にいうと、「抗生物質を止めると再発する」です。
当院では治療と、再発予防の両方にアプローチできるようにしています。
投稿者:
2017.03.10
犬の皮膚病の中でも比較的難治性になりやすい脂漏性マラセチア性皮膚炎の治療に力をいれている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
マラセチアと脂漏を伴う皮膚炎といえばシーズーが最も有名で、人気犬種の中ではトイプードル・チワワなどでもよく来院があります。
もちろん独特の体質としてコッカーやウェスティなどでもありますし、柴犬でもめずらしくありません。
そして今回紹介するのはミニチュアダックスフンドですが、ダックスでも珍しくはありません。
【症例】
ミニチュアダックスフンド 7歳 男の子(去勢済み)
【病歴】
〇1才のころからフケ・乾燥、痒みを伴う皮膚トラブル(軽度)
〇昨年の夏から悪化
初診時の状態を紹介します。
顔の側面、左からです。
頭部の拡大です。
続いて、顔の右側から。
続いて、頚部です。
同じく頚部の拡大です。
続いて、腹部全体像。
続いて、前胸部~わきにかけて。
続いて、右前腕です。
同じく、右前腕の拡大です。
同じく、右前肢端の拡大です。
続いて、後肢です。
続いて、右側面。
続いて、右後肢の側面です。
それでは、約1ヶ月後の状態との比較です。
※画像をクリックすると大きく見ることができます。
]
まだ1ヶ月という非常に短期間ですが、見違えるほど綺麗に改善しています。
飼主さまも「夜にぐっすり眠れるようになった」と喜んでいただけました。
ただ、治療はまだ前半であり、本当の治療はここから新しくはじめます。
どういうことかというと、ここまで前半の治療は「重度の皮膚炎、脂漏を抑える」という治療でしたが、これからは「皮膚コンディションを改善させる」という、より根本的なところへアプローチします。
「???」と思われるかもしれませんが、ここが「木をみて森をみず」にならない一つ上の医療を目指すポイントです。
脂漏性マラセチア性皮膚炎という診断名に間違いはありませんが、大事なのは「なぜなるのか?」「なぜこれほど悪化するのか?」を考えていくことが医療だと思います。
「診断名が原因をあらわしているとは限らない」、「症状の改善方法と、根本的な治療が同じとは限らない」とは今までの症例報告で伝えてきたとおりであり、今回のミニチュアダックスフンドの脂漏性マラセチア性皮膚炎でも「ある疾患」が隠れています。
今回の症例もこの「ある疾患」に気づかなければ、比較写真の「随分よくなりましたね~」の途中で終わってしまいます。
症状の改善がみとめられたら、治療も次のステップへ移ります。
半年後くらいが楽しみです。
また、今回の治療症例には院内薬浴を行いました。
スキンケアだけで改善するほど甘くありませんが、「スキンケアなくして改善なし」があてはまる症例でもあります。
非常に多くの方にご利用いただいていますが、必ず適切な医療(診断&治療)とともに併用してほしいと思います。
遠方にお住まいで当院に継続的な通院ができない場合でも、メールと写真で継続治療が可能な場合もありますので、一度ご相談ください。
投稿者:
2017.02.17
フレンチブルドッグの皮膚病治療に力をいれている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
冬の診察は暇なのですが、3月から11月まではフルスロットルで駆け抜けることになるため、最近は診察以外の仕事が忙しくなっています。
もうまもなく冬が終わりますので、徐々に身体と心のギアをあげていきます!
【症例】
フレンチ・ブルドッグ 8歳 女の子(避妊手術済)
【経過】
〇1歳から続く慢性的な皮膚病
〇季節性はなく、ほぼ1年通した発症
〇過去の治療は抗生物質、ステロイド、抗真菌剤、抗菌軟膏など。
それでは初診時の状態をみてみましょう。
まずは全体像。
続いて、顔の拡大です。
※ちょっとわかりにくいですが、皮膚炎が強く顔に傷が多数あり、硬くなっています。
続いて左右の前肢です。
続いて、腹部です。
それでは治療後と比較してみましょう。
※画像をクリックすると大きくすることができます。
※最後、腹部にちいさな湿疹が1つ残っていますが、このあと完全に消失しました。
完全に綺麗になってから最後撮影する予定を忘れていたようで・・・失礼しました。
今回のポイントは四肢端とお腹と顔の皮膚トラブルが1つの病気ではないことですね。
1つの診断名と1つのアプローチでは絶対にいいコントロールは不可能です。
この初期の治療は薬浴とサプリメントを主に行いました。
特に内股の湿疹にはサプリメントが非常に有効です。
四肢端・顔の改善には投薬治療が必須と考えています。
投稿者:
2017.02.13
フレンチブルドッグの痒みを伴う皮膚病治療に力を入れて取り組んでいる皮膚病治療専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
今回は当院受診のきっかけがちょっとだけいつもと異なる症例報告です。
きっかけは、当院のオンラインショップの無料相談(スターターセット購入の特典)からでした。
飼主さまからいただいた写真の状態は重度の皮膚病であり、過去の治療歴の経過もかんばしくなかったこともあったので、当院の遠隔診療を提案させていただきました。
もちろん写真をみて「遠隔診療で十分に対応できる」と判断したのもあります。
では、治療症例です。
【症例】
フレンチ・ブルドッグ 3歳6ヵ月 男の子(去勢済み)
【症歴】
〇1年半前からの皮膚病
〇過去に2件の動物病院を受診
それでは初診時の状態から紹介します。
まずは正面から。
続いて、顔の皮膚炎。
続いて、頚部の湿疹。
続いて、胸部の湿疹。
続いて、わきの湿疹。
続いて、腹部・内股の湿疹。
続いて、側面です。
斜め後ろからみると湿疹の分布が非常にわかりやすいです。
実際に診たのはこの上記の初診1回のみで、この後はすべてメールと写真による遠隔診療としました。
治療後、飼主さまにご自宅で撮影していただいた写真を紹介します。
まずは、顔。
続いて、腹部。
続いて、背中全体。
続いて、左側面。
続いて、右側面。
続いて、右前肢。
もちろん湿疹は一つもなく、顔・身体・四肢端すべての痒みも改善されました。
よく「初診時の診極め」とお話しますが、現実はメールと写真でもほとんど診極めができるのが皮膚科です。
もちろん当院でも治療成績がかんばしくない場合もありますし、本当のマレな難治性もいるのですが、確率論で「一般的な体質」に入るのが現実です。
今回のフレンチブルドッグのわんちゃんも同様で、抑えるべきところを抑える治療を選択すれば治療は一瞬です。
もちろんこういった症例には当院のスキンケアとサプリメントは必要不可欠です。
メールと写真で行う遠隔診療の実例を紹介してみました。
同じようなわんちゃんであれば、遠隔診療でもかなりの高い精度で治療成績を劇的に向上することが可能と考えています。
もしお困りの飼主さまは、一度ご相談ください。
投稿者:
2017.02.10
フレンチブルドッグの皮膚病治療に力をいれている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
ステロイド、この言葉にどう反応するのか・・・診察をしていると人それぞれですので、本当に奥の深い世界なのですが、みなさまはこのステロイドにどんなイメージをお持ちでしょうか?
世の中には「脱ステロイド」という魔法のような魅力的な言葉があり、限られた世界だけではありますが、まるで「正義の御旗」のような存在感すら感じさせます。
当院では「ステロイドは使いこなしてこそ」というスタンスで、ステロイドにしかない魅力を最大に生かす皮膚科診療を目指しているほど積極的に使用します。
しかし「脱ステロイド」という言葉が正義の御旗になってしまうには理由があります。
そう、ステロイドの副作用です。
当院でも数え切れないほどこのステロイドの副作用を見てきました。
今日はそんなステロイドの副作用で難治性皮膚病になったわんちゃんの治療症例です。
【症例】
フレンチ・ブルドッグ 3歳 男の子(未去勢)
【経過】
〇2年前からずっと皮膚トラブル
〇2年間ステロイド外用薬を処方され続け、年に4~5本使用してきた
〇28年2月に湿疹対策で背中の毛をカットしてから、ずっと生えてこない(半年以上)
〇過去に使った内服薬は抗生物質、ステロイド(2種類)、抗アレルギーの痒み止め(新薬)
それでは初診時の状態をみてみましょう。
まずはお顔の正面から。
続いて、身体の右側面。
同じく右側面からみたやや背中にできている病変部の拡大です。
続いて、背中です。
続いて、上の写真のやや左側にある病変部を横から撮影しました。
続いて、腰背部の拡大です。
続いて、背中のやや右にある病変部の拡大です。
この初診時から5ヵ月後の状態と比較してみましょう。
※画像をクリックすると大きくすることができます。
非常に綺麗に再生してきました。
この症例では考えるポイントはいくつかあります。
Q1.なぜ生えなかったのか?
Ans.ステロイドの内服、外用薬の影響で被毛再生がストップしてしまった
続いて考えることは?
Q2.なぜ被毛が再生したのか?
Ans.ステロイドの服用と外用を中止して一定の時間が経ったため
非常にシンプルですね。
では
Q3.使っていたものをやめただけの治療なのか?
と思いませんか?
それにお答えする前にこうも考えられないでしょうか?
Q4.以前は何を目的にこんなにステロイドを使っていたのか?
もっと詳しくいうと、「最初にどんな病変があって、何に対してステロイドを使ったのか?本当はどうするべきだったのか?」を予測しなければいけません。
飼主さまは「昔の皮膚病はこうではなかった」ということで、特徴をお話してくださるのですが、何せ言葉だけですから、頭の中で想像するしかできません。
ですが初診時に「最初がどんな皮膚病だったのか?」はすぐにわかりました。
わかるというより、確信です。
そのため、「今から治療の中でステロイドをやめると、時間はかかりますが被毛は再生してくるでしょう。・・・・ただ、おそらく元々の皮膚病が再発しますから、再発したら元々のあった皮膚病に必要な治療を開始しましょう」と伝えました。
では、
Q5,元々の皮膚病はどんな病変だったのか?
予測どおり途中で再発したのはこのタイプでした。
再発するのをわかってて、あえて何もせずこのタイミングまで待ちました。
Q6.なぜ再発するのをわかっていて、それをまったのか?
Ans.フレンチブルドッグの場合は皮膚トラブルとは長いお付き合いになるため、なぜでるのか、どうすべきなのか、実際の診療をとして実感していただくのが何より飼主さまのためになるからです。
Q7.では元々あった皮膚病に対して、どうアプローチすればよかたのか?
さらにもう一つ追加があります。
Q8.なぜこの湿疹が再発しやすく、今でもこうやって再発するのか?そしてどうしたら再発しないのか?
当院から提供したのは2点です。
1点目は、「2年前の湿疹のとき、こうやっていれば治ったのですよ」という本来あるべき理想的な治療アプローチ、「ほら、綺麗に治るでしょう?」です。
2点目は、「なぜこんなに再発するのか? 〇〇〇〇が原因で、〇〇〇したらで再発しないんですよ。」という根本的再発防止アプローチ、「ほら、治ったあとも再発しないでしょう?」
すべて、初診時に用意していた通りです。
とても気さくで明るい飼主さまのおかげで、途中から診察室は爆笑の連続で、非常に楽しい診察をさせていただきました(笑)
僕の診療のパフォーマンスをすべて正面から受け止めていただけたので、獣医師冥利に尽きるとはまさにこのことですね。
受け入れていただけたことに感謝です。
そして最後の追加ですが、このわんちゃんには耳介辺縁皮膚症も治療途中に明確になり、
随分前にコツを掴んだとおり、ここも綺麗に改善さえることができました。
※アフターの写真を撮影するのを忘れました・・・
最後に、このタイプの皮膚トラブルにはスキンケアとサプリメントが非常に有効です。
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