2017.06.22
柴犬の痒みを伴う皮膚病治療に力をいれている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
先日待合室でまっている柴犬をみて違和感を覚えました・・・
「誰だろう?診たことあったかな?」
この違和感の原因はそのあとの診察で解決できました。
今日はそんな症例報告です。
【症例】
柴犬 4歳 女の子(避妊手術済)
【経過】
〇去年の夏からつづく痒みを伴う皮膚病
〇冬もよくならず、春から脱毛が進む
〇痒みの部位:頚部、お腹、四肢端
〇過去の投薬歴:痒み止め
まずは顔の左側から。
続いて、頚部。
同じく、頚部のやや左から。
続いて、右前腕。
続いて、身体の左側。
同じく、左側の胸部拡大。
続いて、身体の右側。
同じく左側、腹部の拡大。
続いて、前胸部。
続いて、腹部。
続いて、内股~後肢。
続いて、左後肢の側面から。
それでは、この初診時から7週間後の状態と比較してみてみましょう。
※画像をクリックすると、拡大してみることができます。
まさに「見違えるように」とはこのことですね。
毛並みはほぼ元に戻りましたし、肝心な痒みも元の10分の1までへりました。
もちろん初診時に「まずよくなる」と思ってアプローチしましたが、たった7週間でここまでよくなるとは思いませんでした(笑)
診たのは初診と再診2回の合計3回でここまでよくなるとは・・・自分でもちょっとびっくりしました。
先週の北海道往診から1週間たっても疲れがとれない僕にはまぶしく見えるこの回復力・・・・これが世に言う「若さ」というものでしょうか(笑)
治療のポイントは特になく、診た瞬間に治療方針は決定です。
初診時から治療方針の変更はありませんでした。
投稿者:
2017.05.22
こんにちは、フレンチブルドッグの痒みを伴う皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院四季の森どうぶつクリニックです。
暑い日が続いており、わんちゃんの皮膚トラブルも増えてきました。
今からケアを欠かさずつづけることで、いいシーズンにすることができますので、がんばっていきましょう。
それでは今日の症例です。
【症例】
10歳 フレンチブルドッグ
【病歴】
〇3年異常前から手先~腕を舐める皮膚病
〇その他、お腹の皮膚炎、頚部~胸の皮膚炎
〇過去の治療歴はステロイドの内服と外用薬
※ステロイド内服、1年365日のうち100日以上服用、3年以上継続
それでは初診時の状態をみてみましょう。
まずは正面から。
続いて、頚部~前胸部。
同じく前胸部の拡大、黄色の皮脂がびっしりと付着しているのがわかるでしょうか?
続いて、胸部、円形脱毛があり、湿疹があることがわります。
続いて、右前肢。
続いて、左前肢。
同じ部位の拡大をみてみましょう。
同じく左前肢の指先です。
それでは治療後と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
非常に綺麗になりました。
今回の治療にはアポキルを併用しましたが、腕を舐める症状と足先を舐める症状は改善しませんでした。
そのためアポキルに当院のサプリメントを併用したところ、写真のように非常にきれいな改善を認めました。
確かにアポキルは安全性も高く、非常に強力な痒みを抑える作用がありますが、すべての痒みを押さえるわけではありません。
当院のサプリメント、ヒーリングケアLFプラスはこういったアポキルが聞きにくい、特に四肢端や腕を舐めるわんちゃんの体質ケアに非常にお勧めです。
いくつかの商品がありますが、フレンチブルドッグのわんちゃんであれば、掻く・舐めるといった痒み治療のために開発されたスターターセットをお勧めします。
今回のわんちゃんでも、脂漏にはスキンケア、湿疹にはスキンケアECプラス、四肢端の舐める痒みにはヒーリングケアLFプラスと症状に適したケアを行って治療を成功に導くことができました。
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2017.03.10
犬の皮膚病の中でも比較的難治性になりやすい脂漏性マラセチア性皮膚炎の治療に力をいれている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
マラセチアと脂漏を伴う皮膚炎といえばシーズーが最も有名で、人気犬種の中ではトイプードル・チワワなどでもよく来院があります。
もちろん独特の体質としてコッカーやウェスティなどでもありますし、柴犬でもめずらしくありません。
そして今回紹介するのはミニチュアダックスフンドですが、ダックスでも珍しくはありません。
【症例】
ミニチュアダックスフンド 7歳 男の子(去勢済み)
【病歴】
〇1才のころからフケ・乾燥、痒みを伴う皮膚トラブル(軽度)
〇昨年の夏から悪化
初診時の状態を紹介します。
顔の側面、左からです。
頭部の拡大です。
続いて、顔の右側から。
続いて、頚部です。
同じく頚部の拡大です。
続いて、腹部全体像。
続いて、前胸部~わきにかけて。
続いて、右前腕です。
同じく、右前腕の拡大です。
同じく、右前肢端の拡大です。
続いて、後肢です。
続いて、右側面。
続いて、右後肢の側面です。
それでは、約1ヶ月後の状態との比較です。
※画像をクリックすると大きく見ることができます。
]
まだ1ヶ月という非常に短期間ですが、見違えるほど綺麗に改善しています。
飼主さまも「夜にぐっすり眠れるようになった」と喜んでいただけました。
ただ、治療はまだ前半であり、本当の治療はここから新しくはじめます。
どういうことかというと、ここまで前半の治療は「重度の皮膚炎、脂漏を抑える」という治療でしたが、これからは「皮膚コンディションを改善させる」という、より根本的なところへアプローチします。
「???」と思われるかもしれませんが、ここが「木をみて森をみず」にならない一つ上の医療を目指すポイントです。
脂漏性マラセチア性皮膚炎という診断名に間違いはありませんが、大事なのは「なぜなるのか?」「なぜこれほど悪化するのか?」を考えていくことが医療だと思います。
「診断名が原因をあらわしているとは限らない」、「症状の改善方法と、根本的な治療が同じとは限らない」とは今までの症例報告で伝えてきたとおりであり、今回のミニチュアダックスフンドの脂漏性マラセチア性皮膚炎でも「ある疾患」が隠れています。
今回の症例もこの「ある疾患」に気づかなければ、比較写真の「随分よくなりましたね~」の途中で終わってしまいます。
症状の改善がみとめられたら、治療も次のステップへ移ります。
半年後くらいが楽しみです。
また、今回の治療症例には院内薬浴を行いました。
スキンケアだけで改善するほど甘くありませんが、「スキンケアなくして改善なし」があてはまる症例でもあります。
非常に多くの方にご利用いただいていますが、必ず適切な医療(診断&治療)とともに併用してほしいと思います。
遠方にお住まいで当院に継続的な通院ができない場合でも、メールと写真で継続治療が可能な場合もありますので、一度ご相談ください。
投稿者:
2017.02.13
フレンチブルドッグの痒みを伴う皮膚病治療に力を入れて取り組んでいる皮膚病治療専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
今回は当院受診のきっかけがちょっとだけいつもと異なる症例報告です。
きっかけは、当院のオンラインショップの無料相談(スターターセット購入の特典)からでした。
飼主さまからいただいた写真の状態は重度の皮膚病であり、過去の治療歴の経過もかんばしくなかったこともあったので、当院の遠隔診療を提案させていただきました。
もちろん写真をみて「遠隔診療で十分に対応できる」と判断したのもあります。
では、治療症例です。
【症例】
フレンチ・ブルドッグ 3歳6ヵ月 男の子(去勢済み)
【症歴】
〇1年半前からの皮膚病
〇過去に2件の動物病院を受診
それでは初診時の状態から紹介します。
まずは正面から。
続いて、顔の皮膚炎。
続いて、頚部の湿疹。
続いて、胸部の湿疹。
続いて、わきの湿疹。
続いて、腹部・内股の湿疹。
続いて、側面です。
斜め後ろからみると湿疹の分布が非常にわかりやすいです。
実際に診たのはこの上記の初診1回のみで、この後はすべてメールと写真による遠隔診療としました。
治療後、飼主さまにご自宅で撮影していただいた写真を紹介します。
まずは、顔。
続いて、腹部。
続いて、背中全体。
続いて、左側面。
続いて、右側面。
続いて、右前肢。
もちろん湿疹は一つもなく、顔・身体・四肢端すべての痒みも改善されました。
よく「初診時の診極め」とお話しますが、現実はメールと写真でもほとんど診極めができるのが皮膚科です。
もちろん当院でも治療成績がかんばしくない場合もありますし、本当のマレな難治性もいるのですが、確率論で「一般的な体質」に入るのが現実です。
今回のフレンチブルドッグのわんちゃんも同様で、抑えるべきところを抑える治療を選択すれば治療は一瞬です。
もちろんこういった症例には当院のスキンケアとサプリメントは必要不可欠です。
メールと写真で行う遠隔診療の実例を紹介してみました。
同じようなわんちゃんであれば、遠隔診療でもかなりの高い精度で治療成績を劇的に向上することが可能と考えています。
もしお困りの飼主さまは、一度ご相談ください。
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2017.02.10
フレンチブルドッグの皮膚病治療に力をいれている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
ステロイド、この言葉にどう反応するのか・・・診察をしていると人それぞれですので、本当に奥の深い世界なのですが、みなさまはこのステロイドにどんなイメージをお持ちでしょうか?
世の中には「脱ステロイド」という魔法のような魅力的な言葉があり、限られた世界だけではありますが、まるで「正義の御旗」のような存在感すら感じさせます。
当院では「ステロイドは使いこなしてこそ」というスタンスで、ステロイドにしかない魅力を最大に生かす皮膚科診療を目指しているほど積極的に使用します。
しかし「脱ステロイド」という言葉が正義の御旗になってしまうには理由があります。
そう、ステロイドの副作用です。
当院でも数え切れないほどこのステロイドの副作用を見てきました。
今日はそんなステロイドの副作用で難治性皮膚病になったわんちゃんの治療症例です。
【症例】
フレンチ・ブルドッグ 3歳 男の子(未去勢)
【経過】
〇2年前からずっと皮膚トラブル
〇2年間ステロイド外用薬を処方され続け、年に4~5本使用してきた
〇28年2月に湿疹対策で背中の毛をカットしてから、ずっと生えてこない(半年以上)
〇過去に使った内服薬は抗生物質、ステロイド(2種類)、抗アレルギーの痒み止め(新薬)
それでは初診時の状態をみてみましょう。
まずはお顔の正面から。
続いて、身体の右側面。
同じく右側面からみたやや背中にできている病変部の拡大です。
続いて、背中です。
続いて、上の写真のやや左側にある病変部を横から撮影しました。
続いて、腰背部の拡大です。
続いて、背中のやや右にある病変部の拡大です。
この初診時から5ヵ月後の状態と比較してみましょう。
※画像をクリックすると大きくすることができます。
非常に綺麗に再生してきました。
この症例では考えるポイントはいくつかあります。
Q1.なぜ生えなかったのか?
Ans.ステロイドの内服、外用薬の影響で被毛再生がストップしてしまった
続いて考えることは?
Q2.なぜ被毛が再生したのか?
Ans.ステロイドの服用と外用を中止して一定の時間が経ったため
非常にシンプルですね。
では
Q3.使っていたものをやめただけの治療なのか?
と思いませんか?
それにお答えする前にこうも考えられないでしょうか?
Q4.以前は何を目的にこんなにステロイドを使っていたのか?
もっと詳しくいうと、「最初にどんな病変があって、何に対してステロイドを使ったのか?本当はどうするべきだったのか?」を予測しなければいけません。
飼主さまは「昔の皮膚病はこうではなかった」ということで、特徴をお話してくださるのですが、何せ言葉だけですから、頭の中で想像するしかできません。
ですが初診時に「最初がどんな皮膚病だったのか?」はすぐにわかりました。
わかるというより、確信です。
そのため、「今から治療の中でステロイドをやめると、時間はかかりますが被毛は再生してくるでしょう。・・・・ただ、おそらく元々の皮膚病が再発しますから、再発したら元々のあった皮膚病に必要な治療を開始しましょう」と伝えました。
では、
Q5,元々の皮膚病はどんな病変だったのか?
予測どおり途中で再発したのはこのタイプでした。
再発するのをわかってて、あえて何もせずこのタイミングまで待ちました。
Q6.なぜ再発するのをわかっていて、それをまったのか?
Ans.フレンチブルドッグの場合は皮膚トラブルとは長いお付き合いになるため、なぜでるのか、どうすべきなのか、実際の診療をとして実感していただくのが何より飼主さまのためになるからです。
Q7.では元々あった皮膚病に対して、どうアプローチすればよかたのか?
さらにもう一つ追加があります。
Q8.なぜこの湿疹が再発しやすく、今でもこうやって再発するのか?そしてどうしたら再発しないのか?
当院から提供したのは2点です。
1点目は、「2年前の湿疹のとき、こうやっていれば治ったのですよ」という本来あるべき理想的な治療アプローチ、「ほら、綺麗に治るでしょう?」です。
2点目は、「なぜこんなに再発するのか? 〇〇〇〇が原因で、〇〇〇したらで再発しないんですよ。」という根本的再発防止アプローチ、「ほら、治ったあとも再発しないでしょう?」
すべて、初診時に用意していた通りです。
とても気さくで明るい飼主さまのおかげで、途中から診察室は爆笑の連続で、非常に楽しい診察をさせていただきました(笑)
僕の診療のパフォーマンスをすべて正面から受け止めていただけたので、獣医師冥利に尽きるとはまさにこのことですね。
受け入れていただけたことに感謝です。
そして最後の追加ですが、このわんちゃんには耳介辺縁皮膚症も治療途中に明確になり、
随分前にコツを掴んだとおり、ここも綺麗に改善さえることができました。
※アフターの写真を撮影するのを忘れました・・・
最後に、このタイプの皮膚トラブルにはスキンケアとサプリメントが非常に有効です。
投稿者:
2016.12.02
名古屋・愛知で皮膚病治療を専門に行っている動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
シーズーといえば難治性皮膚病が多くで、原因にはマラセチアと脂漏症・・・・・・・教科書的に書くとこうなります。
間違いではなく、マラセチアが関連した皮膚病ですし、脂漏症が起きやすいことで悪化しやすく、治りにくくなっています。
しかしマラセチアをなんとかすることが治療ではありません。
脂漏性マラセチア性皮膚炎という理由で治療が「抗脂漏シャンプー」と「抗真菌剤シャンプー」と「抗真菌剤」に・・・一見理にかなっているようですが、こう考えるからまったく改善しない症例がいます。
そのため難治性といわれていますが、実は治療はいたってシンプルです。
今日はそんな典型的な症例報告です。
【症例】
シーズー 7歳3ヶ月 男の子(去勢手術済み)
【症歴】
〇5年前(2歳)に痒み、赤みが発症
〇他院で抗生物質、ステロイド、ステロイドスプレーをもらったが治らない
それでは初診時の状態そのままの姿です。
まずは正面から。
続いて頚部。
同じく頚部の拡大。
続いて胸部です。
続いて、右前肢です。
続いて、右前肢(手首あたり)の拡大です。
続いて、膝~足先です。
続いて後肢の甲の部分拡大です。
続いて右後肢の甲の拡大です。
この初診時からわずか5週間後、比較してみましょう。
※画像をクリックすると大きくみることができます。
飼主さまからは「赤みも痒みも極端に減った」と喜んでいただけました。
スキンケアも重要で、当院から免疫のためのサプリメントも併用しています。
もちろん投薬治療、当院での薬浴もとても改善に役に立ったと思います。
1つも欠けてはいけない治療の組み合わせです
投稿者:
2016.10.06
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
この数年、積極的に取り組んでいる脱毛(アロペシアX、毛周期停止)治療ですが、年々治療成績が高くなっています。
以前は「生えるかどうか・・・」というものでしたが、この2年は「ポメラニアンの脱毛で改善しなかった症例はいない」というくらい改善しています。
※毛周期停止、アロペシアX・・・ポメラニアン、トイプードルにときどき認められる難治性脱毛症です。
【症例】
ポメラニアン
治療スタート時点の写真です。
約半年後の治療後と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
今回のわんちゃんは脱毛がはじまってまだ比較的経度、かつ時間経過も短い状態からの治療スタートです。
というのも、今回のわんちゃんは当院に子犬のころから通院していたわんちゃんで、かなり早い段階で「近いうちにアロペシアになるだろう」と予測して飼い主さまにもお伝えできていました。
そのため確定診断も早く、治療もかなり初期のうちに開始することができ、結果的にはこれだけ十分な治療結果をだすことができたのだと思います。
投稿者:
2015.09.01
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
今日は晴れたり大雨だったり・・・天候の急変が多い1日でしたね。
最近はかなりこまめにブログを書いていますので、ぜひ以前の記事もみてください。
さて、今日は「名前は知っているけど診断し難い&治し難い」という皮膚病です。
症例はトイ・プードルです。
痒みとして目立つ部位の一つは背中です。
少しわかり難いので、赤い枠で記します。
拡大してみましょう。
この部位だけ被毛が短くなっているのがわかると思います。
何度もかじることでその部位だけ毛が短くなっています(毛が抜けているわけではない)。
続いて、右側です。
同じように赤い枠で記します。
2箇所をそれぞれ拡大しましょう。
続いて、左側です。
少し拡大してみます。
痒い部位を記してみます。
それでは初診時から1ヵ月後です。
それぞれ画像をクリックすると拡大することができます。
痒みもほとんどなくなり、均一な毛並みにもどっています。
さて、初診時に僕が下した答えは・・・・・・・・・・・「心因性皮膚病」です。
心因性皮膚病、これは精神的な問題で痒み行動を引き起こすという皮膚病です。
アレルギーでもなく、菌でもなく、寄生虫でもなく、ホルモン疾患でもありません。
客観的な検査方法もなく、明確な診断基準もありません。
また、心因性にはホルモン疾患、寄生虫疾患、細菌性皮膚炎などのように、皮膚そのもに特徴的な診た目があるわけでもありません。
典型的な場所であればまだわかりやすいこともなるのですが、今回の症例は典型的な場所ではありませんでした。
ではどのように診断するのか?
基本的なことですが、話を聞く、わんちゃんの行動をよくみる、皮膚をよくみる・・・・・たったこれだけです。
診察室に入り話をききながら、わんちゃんの動作を見る、皮膚をみる・・・15分くらいあれば頭の中には「心因性」という言葉が最上位にきます。
あとはその他の疾患を除外しながらアプローチします。
実は心因性皮膚病を診断するために、あと一つ大事なポイントがあります。
それは検査でも、診た目でもなく・・・・・・積極的な診療をしていくとだんだんとつかめてくることです。
逆に消極的な診療ばかりしていると、なんとなく診落とされがちで「癖?」とされていたりします。
「アグレッシブに美しく」
皮膚病は初診時の診極めが最も重要で、今回も確信をもってアプローチできました。
投稿者:
2015.03.01
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックです。
3月、暖かくなってきて春を感じさせる日々ですね!
今日は「犬にも精神的な皮膚病がある」というお話です。
あらかじめお話しておきますが、一概に「ストレスが原因です」というわけではありません。
わんこにはわんこなりに考えることもあるでしょうから、こういった皮膚病が実際にあります。
【症例】
トイプードル
【病歴】
〇今までステロイドで2~3ヶ月かけて痒みを抑えていたが、何度も再発していた
〇今回は治りが悪い
一見皮膚病があるようには見えませんね。
痒みがある部位をみてみましょう。
まずは右前肢、全体的になめるということでした。
続いて、左前肢の状態です。
赤みが少ないため皮膚病っぽさがありませんが、わんちゃんが頻繁にかじっているため被毛が短く毛並みが悪くなっています。
ここから2~3ヵ月後と比較してみましょう。
左が初診時、右が治療後
※画像をクリックすると拡大できます。
左が初診時、右が治療後
※画像をクリックすると拡大できます。
自分でかじってしまう症状が改善されたため、毛並みがとてもきれいになっています。
大事なポイントは「初診時に心因性であることに気づくこと」です。
言葉も通じない犬の心因性の皮膚病は何を根拠に診断するのか?という疑問は僕もなくはありませんが、答えは「直感」です。
今回も初診時の飼主さまとの会話で10~15分くらいでなんとなく「心因性かな?」という感じがしました。
もちろんそうではないことも考えるので、さまざまなパターンを候補に頭に描きつつ・・・ですが、「まず心因性だろう」というイメージをもって治療計画をたてます。
治療薬としては数種類選択肢があり、どのわんちゃんがどの薬に反応するかはわからないので2週間後に変えることもあるのですが、今回は最初に選んだサプリメントで著しい改善が認められました。
もちろん当院受診まで使用していたステロイドは一切服用せず、長期間のステロイドで認められた血液検査の肝臓の異常値もほぼ綺麗に改善しました。
投稿者:
2015.02.24
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックです。
つい先日まで1ヶ月以上放置していたブログですが、今日2回目の更新です♪
今回は再発しやすい皮膚病の中でも最も多い、細菌性の湿疹「膿皮症」についてです。
治療すれば改善するけど、治療をやめると再発する皮膚病・・・悩んでいる方は非常に多いと思います(僕もずっと悩んでいました)。
シンプルな治療方針としては「適切な抗生物質を服用し、適切なシャンプー療法を実施する」ですが、これだけで治るのではあれば誰も困りません。
もちろん耐性菌への対策としての感受性試験だけでなく、アレルギーやホルモン疾患などの基礎疾患が存在することがあるため、
・犬アトピー性皮膚炎の管理
・食事療法
・甲状腺機能低下症などの内分泌疾患の評価および治療
なども重要です。
ですが、できうる客観的な検査法を実施してもこれらの明確な診断名に当てはまらない「皮膚病になりやすい、再発しやすい体質」ということもあります。
それが「体質だから・・・」となるのですが、明確な診断名がなければ改善方法がないわけではありません。
今回はアトピーもない、食事療法も実施して、内分泌疾患もない、シャンプーもしっかりしている・・・・・にも関わらず湿疹が再発する症例についてです。
【症例】
犬 フレンチ・ブルドッグ
【病歴】
〇痒み(顔・耳・四肢端・体幹)を伴う皮膚病
〇ステロイドを服用することで痒みを止めていた
〇ステロイドをやめると身体を傷つけるほど掻いてしまう
【初診時の状態】
上の写真は、ステロイドの副作用で被毛が少なくなっています。
上の写真の円形のフケが細菌感染を起こしている湿疹です。
このタイプにステロイドの使用は治療が難しくなるため、個人的には使用せずに治療を行います。
治療後は、
ステロイドを中止し、適切な抗生物質とシャンプー療法、食事療法で湿疹をコントロールすれば被毛もきれいに再生してきます。
ただし、今回の症例はここではおわりません。
抗生物質の服用を中止すると・・・
湿疹が再発します。
再び抗生物質を服用することで、
綺麗に改善します。
しかし、抗生物質の服用を中止すると1ヶ月たたないうちに必ず再発するのです。
湿疹ができる ⇒ 抗生物質を服用(1~1.5ヶ月) ⇒ 湿疹消失 ⇒ 抗生物質終了
⇒ 1ヶ月ただずに湿疹再発 ⇒ 抗生物質再開(1~1.5ヶ月) ⇒ 湿疹消失 ⇒ 抗生物質終了
⇒ 1ヶ月たたずに湿疹再発 ⇒ 抗生物質再開・・・・・・・・・・
最も皮膚病になりにくい冬に湿疹が少ない(ゼロではない)時期があったため、抗生物質の再投与を先送りして耐えた時期もありますが、身体に湿疹がない状態をみることはほぼできませんでした。
お恥ずかしい話ですが、今回の症例ではこの状態で1年半以上経過しました。
おそらく日数として半分を超える期間で抗生物質を服用していたと思います。
そして昨年の閃き、ここから治療方針が大きくかわりました。
あの治療症例からさらに工夫を重ね、2年目が終わろうとする今回の症例でも治療チャレンジすることに!
すると・・・
抗生物質を服用していないにもかかわらず湿疹がない!!
去年の時点はまだドキドキしていましたが、もう今年に入ってからは確信があったので、今回の症例に対しては「絶対にうまくいく!」と自信がありました。
幸い今は最も湿疹ができにくい冬という条件もあるかもしれませんが(それでも去年の冬は湿疹あり)、もう今までのように抗生物質に頼るようなことはないと思います。
昨年「この冬のうちに磨き上げてみなさまの元へお届けできるようにします」とお話しましたが、そろそろ実現しそうです。
あとほんのわずかな微調整、今治療チャレンジしている柴犬でいい結果がでれば最終決定にしたいと思っています。
ここからは少しマニアックな話になりますが・・・
そもそも細菌が原因となっておきる湿疹『膿皮症』の細菌ですが、元々皮膚の表面にいる常在菌(みんなの皮膚の上にいる菌)です。
他のわんちゃんからもらった菌が原因ではありませんし、どこからか拾ってきたものでもありませんし、皮膚病が治ったあとにも皮膚に残っていますし、皮膚病になったことがないわんちゃんの皮膚にもいます。
※まれにそうでない菌の皮膚病もありますが、非常に少ないです。
そしてこの皮膚病の現在の主流の治療が「菌を抑えるために、抗菌剤を服用する。」「菌を抑えるため殺菌剤の外用を塗布する。」となっているのですが、何か違和感を感じませんか?
そう、「なぜ菌が増えたのか?」についての対策が抜けているのです。
菌を抑える抗生物質も菌を抑える殺菌外用薬も「皮膚で菌が増えた原因」を治療しているわけではありません。
僕も過去、現在、そしてこれからの未来もこの抗菌剤と殺菌外用薬を使用し続けるため、間違った治療アプローチとは考えていませんが、「殺菌」という治療だけでは本当の意味で治療とはいえない・・・・・ずっとそう考えていました。
でも「なぜ増えたのか?」がわからず何年も経ちました。
去年から紹介しているこの閃きのアプローチですが、
〇抗菌剤のように皮膚に到達して菌を抑える効果はありません。
〇殺菌外用薬のように皮膚に直接塗布するものでもありません。
皮膚にはまったく届かないところからアプローチしています。
「なぜ増えたのか?」を説明する明確な答えが1つだけではないとは思いますが、治療結果をみると今まで足りなかったピースの1
つであると思います。
遠くて診察が受けられない飼主さまにお届けできるようにしますので、準備が出来次第このブログ、そしてホームページでご案内します。
予定は3月末か、4月中です。
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