2021.05.20
フレンチブルドッグのアトピー・アレルギー・脂漏症などの皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
先日、獣医師同士の「今後のオンライン診療について」という会議(もちろんオンライン会議)があったのですが、「本当に1回の直接診療で皮膚病治療ができるのか?」とご質問がありました。
「医療に絶対はない」が口癖ということもあって「絶対ではない」「一部例外はいる」と前置きしつつも、「10中8,9以上の症例で十分な治療成績がでる」とお答えしました。
というよりは、「1回も診なくても写真だけで十分」というのがより的確な表現かもしれません。
ということで、東京サテライトの症例報告です。
東京サテライトの診療は1回目は直接対面での診療となりますが、2回目以降はオンライン診療へ移行します。
実際に目で確認できるのは初回の1回なのですが、事前にメール&写真で評価してから診る流れを取っており、本当は「実際に診る初回の1回の前のメールの時点で治療法は確定」しています。
この「事前の評価」がぶれたことはまだ1例もいません。
「診てから考える」ではなく、「決まってから診て、確認する」です。
今回もそんな「メール&写真で決めた通りの診療」で改善した症例報告です。
【症例】
フレンチブルドッグ
beforeは看護師がいないため、飼主様保定ということもありわかりやすいポジションで撮影できていません。
afterは飼主さまご自宅での撮影のためいつものようなきれいな比較画像ではありませんが、ご了承ください。
お腹のフォーカスが少し甘いので、この写真の1カ月前の写真で脂漏&毛並みの改善をお伝えします。
著しい改善が認められました。
診断と治療法の決定は写真だけで、当日は確認と説明です。
検査もしますが、基本的には「除外」のためであって、検査で病名と治療法がわかるとは捉えていません。
関東にお住いの方で、痒みを伴う皮膚炎の治療でお困りの方は問合せフォームよりお申込み&ご相談ください。
診療に関する詳細は、東京サテライトをご確認ください。
最近はインスタも更新していますので、ぜひフォローしてください♪
投稿者:
2020.10.12
東京サテライトで痒みを伴う皮膚病治療に取り組んでいる皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
【東京サテライトの特徴】
・遠隔オンライン診療の拠点
・基本の対面診療は初診の1回のみ
・継続診療はオンライン診療
処方:発送 診療費:振込
7月の開設からちょうど3カ月が経過しました。
先月にもウェスティの症例紹介させていただきましたが、今回も東京サテライトのウェスティの症例を紹介します。
【症例】
ウェスティ 男の子
【経過】
〇アポキルを毎日服用しているが、改善しない
それでは初診時の状態です。
この初診時から約6週間後の状態を紹介します。
※飼主さまからの写真になるため、角度などは異なります。
写真の通りですが、劇的に改善しています。
ウェスティはこのタイプになりやすく、かつ「アポキルが効きにくい」という傾向があります。
こういったタイプにはある治療が劇的に効くので、「アポキル以外の視点」をもっていることが重要です。
参考までにですが、初診時からの初期治療プランにアポキルは使用しませんでした。
※十分な改善を認めてから「痒みに応じたアポキル投与」に切り替え。
数年前にアポキルが登場して以降、皮膚科疾患では「痒い=アポキル」となり、アポキルが効かなければしょうがないという雰囲気も結構あるのですが、「痒み疾患=アポキルではない」ことを知っていることが皮膚科診療を成功させるポイントかと思います。
※最近はサイトポイントという注射タイプもでましたが、基本はアポキルと同じだと思っています。
アポキルが何に効いて、効かないのは何か、知ってこそのアポキルですね。
飼主さまから許可をいただくことができましたので、改善後にいただくことができたメッセージを紹介させていただきます。
最後にこれも参考情報ですが、飼主さまが当院受診を決めたきっかけは当院のオンラインショップです。
オンラインショップのスターターセットをご購入の方には相談メールをお送りしているのですが、そこで「積極的な投薬治療が必要」とお伝えさせていただき受診につながりました。
スターターセットは価格的に一番高い設定ですが、最もリーズナブルなものだと考えています。それは「セット価格として割引している」ではなく、当院からの相談メールが受けられることです。
「よかれ」と思ってやっていることが間違っていたり、向き合い方が見当違いだったり・・・「よくならない理由」に気づいていないことが多くあります。
もちろんなんでもスキンケア&サプリで改善するわけではないので、適切な医療があればよくなるという点に気付けることはとても重要だと思っています。
無料相談メールで治ることではないのですが、「間違っていることに気づく」や「改善に向かう方向性を修正する」という点でプライスレスだと思っています。
東京・千葉・神奈川・埼玉でアポキルが効かない痒い皮膚病でお困りの方は当院までご相談ください。
投稿者:
2020.09.04
アトピー・アレルギーなど痒み・脂漏を伴う皮膚病の治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
7月からスタートした東京サテライトでの診療について、実例をご紹介していこうと思います。
四季の森どうぶつクリニック 東京サテライト
【症例①】
ウェスティ 3歳
まずはお問い合わせいただいたメールで一緒に送っていただいた写真を紹介します。
実際にこの目で診ることができるのは東京サテライトでの初診1回きりとなるため、最も大事なことは「簡単な経過のご報告とこの写真だけ」で改善までをイメージすることです。
イメージする、というよりは「イメージできる」ことですね。
もちろんこの写真だけで「遠隔診療適応可」という判断で初診を迎えます。
当日は基本「診る」だけ、頭の中では治療は決まっていますので、最終確認のようなものです。
それでは初診時当日写真です。
この初診から5週間後の状態を比較写真で紹介します。
※写真をクリックすると拡大することができます。
治療結果は劇的ですね。
以前から初診時の診断は一瞬とお伝えしていますが、遠隔診療の場合は初診前に行う相談メール&写真でほぼ確定します。
検査が不要という意味ではなく、検査をしつつも「検査結果は想定範囲内」であり、治療方針に変更はないという意味です。
今回の症例においては、膿皮症に対して細菌培養感受性試験だけしか行わず、しかも抗生物質を使わずとも膿皮症が改善する治療プランを立てて、実際に抗生物質を処方せず改善まで導くことができました。
お悩みの方は東京サテライトページのお問合せフォームからご相談ください。
投稿者:
2018.09.30
当院を受診できない遠方にお住いの方にメールと写真で継続する遠隔診療を提供している皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
以前にも報告した通り、今年の夏は「山口県」と「北海道」に往診に行きました。
原則として「直接診るのは1回だけ」という背水の陣で臨みますので、往診に行くからには改善の確信を持って伺っています。
もちろん今回の2件とも「いける」という確信をもって伺いました。
そしてその2件のその後ですが、まだ治療中とはいえ十分な改善が認められたようです。
1件は心因性の掻き壊し・舐め壊しのチワワちゃんで、掻き壊しを防ぐために誰かが家にいなければならず、1人では買い物にも行けないというものでした。
もちろん治療の目標は掻き壊しをなくすのは当然で、「わんちゃんが留守番して買い物ができるように」ということも目標にいれました。
まだ治療して1カ月ですが、十分に改善が認められたようで、①一番の問題だった口唇の痒みはほとんどなくなり、②短時間でも留守番ができるようになったということでした。
2件目のわんちゃんは写真を見るのがいいと思いますので、紹介させていただきます。
【症例】
柴犬
【経過】
〇アポキルを1日1回をずっと継続しているにも関わらずよくならない
〇過去には心因性の治療として抗不安薬の投与もしたことがある
〇甲状腺ホルモン剤も服用中
最初に相談メールをいただいたときのお写真がこちら。
柴犬のよくあるタイプの1つです。
もちろんこの時点で「今まで治らなかった理由」と「どうやったら治るのか」はわかるのですが、追加でいただいた昔の写真をみて確信を得ることができました。
これは「アポキルでよくならない決定的証拠写真」です。
実際に往診に伺うときには治療方針は決まっていたので、お薬をもって出発です。
そこから約1か月後。
痒みも随分と落ち着き、毛も再生してきました。
また心因性の痒みもあるため、心因性の投薬治療を追加したのですが、「改善あり」という判定でした。
今回の症例にはいくつか評価ポイントがあります。
1つは、「なぜアポキルが効かないのか?」ですね。
2つは、「なぜ心因性の治療に効果がでたのか?」です。
2つ目の理由は非常にシンプルで、「その他の治療方針がパーフェクトだから」です。
心因性の治療はその他の治療方針にわずかでもズレがあると、まったく改善しなくなることがあるため、心因性以外の皮膚トラブルの診断・治療が上手くいっているときに実施しなければ評価が難しいです。
あとは順調に回復するのを待つだけです。
年末にはフワフワ&サラサラを期待しています♪
1つめの「アポキルが効かない理由」は当院で実施している個別セミナーで紹介しています。
診療提携をご希望される動物病院はお問い合わせください。
投稿者:
2018.06.14
柴犬のアトピー・アレルギーや、アポキルが効かない難治性皮膚病の治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
柴犬の痒みに対するアポキルの使用ですが、とてもよく効く、ある程度効く、わずかしか効かないとバラバラです。
今回はアポキルが全く効かないという症例報告です。
【症例】
柴犬 2歳10か月 男の子
【経過】
〇約1歳のころから痒みを伴う皮膚病
〇3件の動物病院で治療も改善なし
〇アポキルを10カ月継続するも明らかな改善なし
〇痒みは「泣き叫ぶほど」という強い痒み
〇夜中も散歩中でもひめいをあげるほど痒い
〇痒いの部位は、目・鼻・手首・下顎・耳・内股
〇アレルギー検査済
〇食事療法継続中
それでは初診時の状態を紹介します。
見た目は非常に綺麗ですね。
これは「治療後」ではなく、当院を受診された当日の写真なので「治療前」の写真です。
初診から11日後に2回目の診察にきていただきましたが、痒みはほぼなくなりました。
なおアポキルの服用をやめても痒みのぶり返しはなく、おちろん泣き叫ぶこともなくなりました。
※治療前の時点で見た目の皮膚病変が乏しかったため、写真はありません。
このタイプの診断は初診の一瞬です。
診察室でお話して5分か10分後には確定できるタイプです
元々大した痒みではなかった?と思われるかもしれませんが、今回は過去3件の動物病院で治療して、その上で「大阪」から約3時間かけて来院されています。
それぐらい痒かったということです。
このタイプには当院のヒーリングケアLFプラスが有効です。
当院のオンラインショップからお買い求めいただけます。
的確な診断とともにご使用いただければこれほど「実感できる」有効なサプリメントはありません。
投稿者:
2018.03.22
アトピー・アレルギー疾患が多いといわれる柴犬の痒い皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
アポキルが発売されてそろそろ2年が経とうとしています。
アポキルの発売半年ごから「アポキルが効かない」というわんちゃんの問い合わせが多くなり、最近では新しい初診のわんちゃんのほとんどが「アポキルを服用しているのに痒い」という状態です。
あらかじめ伝えておきますが、アポキルは非常にいいお薬です。
いいお薬すぎて、効く効かない関係なく「とりあえずアポキル飲んでおこうか」でもいいと思うくらいです。
もちろんアポキルがよく効く痒みと、効かない痒みがあるため区別して治療すべきなのですが、安全性の高さから「こまったらアポキル」というプランができるのがアポキルのいいところだと思っています。
そのため当院にはアポキルを服用しているのに痒みが改善しないというわんちゃんばかりが来院するので、アポキルが効く痒みとアポキルが効かない痒みをだいたい区別できるようになりました。
もちろんアポキルが効かないときにどうしたらいいのかも大体把握できるようになりました。
たまには外しますが、たまにです。
今日紹介する症例もそんな「アポキルが効かない」という柴犬の皮膚病のわんちゃんです。
【症例】
柴犬 5歳 女の子(避妊手術済)
【経過】
〇1歳すぎてから痒み発症
〇毎年明確な季節性があり、2月~5月の花粉の時期だけ
〇夏は一切発症しない
〇昨年(平成29年)、初めて秋に春と同様の目ヤニの症状がでる さらに身体のべたつきあり
〇基本は涙目、目ヤニ、目の痒み
〇平成29年11月からアポキルを1日2回服用しつづける(1日2回を4か月)も、今年の2月に例年どおりの目の痒み発症
〇今はわき、お腹の痒み
〇飼主さま曰く「今年はアポキルを服用しているので、花粉症を乗り切れると思っていた。いつも通り発症しているのでアポキルの効果を実感できていない」
〇エリザベスカラーと洋服で傷防止
それでは初診時の状態です。
3月17日が初診です。
まずは全体像です。
続いて、顔。
続いて、頚部とその拡大。
続いて、胸部とその拡大です。
右脇の拡大です。
胸部中央の拡大です。
左わきの拡大です。
続いて、腹部とその拡大です。
この症例で何を考えるか?
考えるポイントは
①明確な季節性がありアトピーを疑うにも関わらずアポキルが効かない理由は?
②今の痒みをコントロールするために必要な治療は?
この2つですね。
ただ痒みをコントロールするためには目の痒みと身体の痒みの原因と治療を変えた方がいいです。
今回は関東圏からの受診でしたので、次の再診は遠隔診療になります。
そのため診断と方向性はこの初診で確定しなければいけません。
あとは微調整のみ、毎年6月にはかゆみがなくなるため、今日からの治療結果をどう判断するかの問題はなきにしもあらずですが、おそらく飼い主様が「今までと違う!」と実感できる結果をだせると確信しています。
このタイプの皮膚病は当院と診療提携を行っている病院※であれば対応することが可能です。
※診療提携病院
京都市 よこた動物診療室
静岡市 あん動物病院
投稿者:
2018.01.20
アトピーやアレルギーなど、柴犬の痒みを伴う皮膚病治療に力をいれている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
目が痒い、耳が痒い、口が痒い、鼻が痒い、首が痒い、ワキが痒い、腕を噛む、膝をかむ、かかとを噛む、手先・足先をなめる&噛む・・・・背中は特に問題ない、3歳までに発症する柴犬のアトピー性皮膚炎の典型例ですね。
今はアポキルというすばらしいお薬がありますので、コントロールしやすくなってきました。
ただ、今でも一定数コントロールできない難治性皮膚炎の柴犬のアトピー性皮膚炎のわんちゃんがいます。
今日はそんな「どこからどうみてもアトピーなのに、アポキルが効かない」という症例です。
【症例】
柴犬 2歳 女の子(避妊手術済み)
【経過】
〇生後7ヵ月後から痒みを伴う皮膚病
〇季節性はなく1年通じて痒みがある
〇顔、耳、口唇、わき、腕~手首、膝~かかと、四肢端
〇16ヶ月前からアポキルを服用しているが、服用していても効いているわけではない
ここでポイント①、飼主さまのお住まいは関東圏です。
当院が提供している遠隔診療を希望するお申し込みでした。
すべての皮膚科症例が遠隔診療の適応になるわけではないため、まずはお写真をいただきました。
いつもお話している通り皮膚科は初診の診極めが大事です。
この症例でもこのお写真で判断可能です。
この時点で治療方針はほぼ確定です。
そして日時をあわせて東京品川で実際に診察を行いました。
当日のお写真を紹介します。
ここまでは送っていただいた写真、症状の通りです。
皮膚病は見た目が何より大事で全身に診断につながる重要な所見が隠されています。
痒いところをみるだけでなく、予測通りか確認することも重要です。
ここも大事なポイントですね。
この初診時から約1ヵ月後の状態です。
飼主さまからいただいた写真なのでわかりやすい比較写真ではないですが、ご了承ください。
まずは腹側の全体像。
続いて、頚部。
続いて、胸部です。
フワフワの毛並みですね。
痒みは「かきますが、気になるほどではありません」というレベルまで改善しました。
症例報告に使うフレーズとして「アポキルが効かない」というセリフをよく使用しますが、正しくは「アポキルが効く痒みではない」で、アポキルを使うべき痒みにはとてもよく効くんです。
アポキルはすべての痒みを止めるわけではないため、原因を診極めて何をターゲットにして使うかを判定していけば非常にいいお薬です。
もちろん副作用が非常に少ないので「とりあえず」で使うとこもできますが、「アポキルを使って残った痒みをどう評価すべきか」まで考えて処方するのが正しい使い方と言えます。
前回の症例同様にある治療を加えれば、今回の柴犬にも他のアトピーの柴犬同様アポキルはよく効くようになります。
大事なのは、
柴を極める
でしょうか。
柴犬の正常を知れば、柴犬の異常を知ることができます。
常に、常に柴犬の皮膚を診続けるば、いづれ正常がわかるようになり、次に異常がわかります。
正常を知らずに異常はわかりませんからね。
今回紹介した柴犬の初診では、静岡県静岡市の動物病院「あん動物病院」の大石先生と一緒に診察しています。
静岡市近隣にお住いの方で、柴犬の皮膚病にお困りの方はあん動物病院の大石先生にご相談ください。
当院ではこういった一般的に知られていない診断・治療法を含めたプライベート皮膚科セミナーを開催しています。
ご興味のある方は当院HPからお問い合わせください。
投稿者:
2017.12.16
シーズーのアトピー・アレルギー性皮膚炎、脂漏性マラセチア性皮膚炎の皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
当院には愛知県だけでなく、隣の三重県・岐阜県・静岡県からも来院があります。
もちろん隣の県にとどまらず、関西・関東圏からの受診も珍しくありません。
特に東京・神奈川・千葉・埼玉からの受診は非常に多いため、継続がしやすいようにメールと写真で継続する遠隔診療を提供しています。
遠隔診療というのは初診を実際に診て、2回目からの再診をメールと写真で代用し、お薬を発送する方法ですが、簡単にいうと実際に目でみるのは1回だけです。
1回診ただけで改善までもっていくだけの治療方針を立てなければいけません。
過去にさまざまな治療を行ってきて改善しない難治性皮膚病を1回の診察でどのように改善できるのか?というのは大きなポイントのため、先日このブログで遠隔診療でのフレンチブルドッグの治療成績を紹介しました。
今日は続きで、シーズーのわんちゃんでの治療成績を報告します。
【症例】
シーズー 約10歳 女の子(避妊手術済)
【経過】
〇5年前から1年を通した慢性的な皮膚病
〇梅雨~夏が最も悪くなる
〇アポキルを使い始めた最初の2週間は効果があったが、それ以降は効果を実感できなかった
〇インターフェロン注射でも改善なし
〇ステロイドを2日に1回で多少の改善あり
今回の初診は、静岡県静岡市のあん動物病院(大石先生)で行いました。
あらためて初診時の状態、そいて毛をカットしたあとの状態をみてみましょう。
まずは顔の正面から。
続いて、顔の左側(頬)の拡大です。
続いて、口唇~下顎(やや左側)を下から見た状態です。
続いて、左の頬の拡大です。
続いて、左の口唇~下顎の拡大です。
続いて、頚部とその拡大です。
毛が多いためわかりにくいのですが、全身を紹介したあと毛をカットするとわかりやすくなります。
続いて、右前肢とその拡大。
続いて、左前肢とその拡大です。
今後の治療成績をあげるため、薬浴を実施するために毛をカットしました。
毛をカットすることでかなり炎症が重度におきていたことがわかると思います。
それではこの初診から1か月後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくみることができます。
被毛の再生があるのですが、皮膚炎・腫れ・フケにおいて著しい改善が認められています。
もちろん肝心の「痒み」も10分の1まで改善しています。
常になめたり噛んだりして、パンパンに腫れていた前肢はまったくなめなくなったということでした。
今回の診療ではいくつかキーポイントがあります。
①アポキルが効かないタイプの皮膚炎か?
アポキルが効かないわけではないのですが、過去の治療結果が示したようにアポキルだけでよくなる皮膚病ではないと判断しています。
もちろん当院からはアポキルを処方しています。
②過去にアポキルで改善がなかった理由は?
診断名として足りないものが1つ、治療方針として足りないものが2つあったため。
③何が足りなかったのか?
1つは初回に実施した薬浴で、実は薬浴直後から劇的に改善していることからも足りない治療のピースの1つは薬浴だったと思います。
④「薬浴+アポキル」で改善するか?
薬浴の効果は一過性であり、ずっと長期間継続するようなことはないため、1回の薬浴でここまでよくするのは難しかったと考えています。
薬浴により皮膚コンディションを一気に改善させ、もう1つの大事な治療でケアしていくというイメージの方が適切です
もう一つの治療については、初診当日あん動物病院の大石先生に「なぜそう思うのか?」「皮膚のどこの部位をどう評価するのか?」についてお伝えしました。
もちろんシーズーの典型的な皮膚病ですので、当院のスキンケア&サプリメントが治療のサポートにかなり役立っています。
投薬治療があってこその治療成績ですが、体質にはかなりフィットしたアプローチになっています。
当院の診断&治療があればかなりの精度で治療結果がでることが期待できるため、遠方にお住いの方も遠隔診療をご検討ください。
なお、今回の初診のシーズーちゃんの治療方針ですが、初診前に送っていただいたメールと写真で想定した通りで、診察時の修正はありませんでした。
もちろん遠隔診療時の変更もありません。
今後はアポキルを減らしていくのですが、以前のような皮膚炎のぶり返しはおきないと考えています。
次回のブログは本日12月16日に初診として来院された柴犬の皮膚病の初診時状態を紹介します。
アポキル0.45㎎/kg1日2回でも痒みの改善がまったくないという主訴で来院しています。
もちろん診断は一瞬、診察台に乗る前に「なぜアポキルが効かないのか?」がわかる皮膚病です。
アポキルが便利すぎて「痒み=アポキル」となりがちな皮膚科診療ですが、当院では「アポキルが効かない痒みの治療」と「アポキルを減らすための治療」の両方に力を入れています。
◆◆◆ご案内◆◆◆
1月8日、10日に京都市の動物病院 「よこた動物診療室」で皮膚科診療のサポートを行います。
8日はすでに定員に達しましたが、10日はまだ受付可能です。
継続治療はよこた動物診療室での通院治療が基本ですが、京都への通院も困難な遠方の方には遠隔診療でサポートします。
京都市内にお住いの方で、皮膚炎治療にお困りの方は当院HPの遠隔診療の都市部開催お問い合わせフォームからご連絡ください。
投稿者:
2017.12.11
フレンチブルドッグの痒みを伴う皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
当院では関東(東京・神奈川・千葉・埼玉)にお住まいの方に向けて定期的に皮膚科診療を開催し、継続治療のための遠隔診療を提供しています。
基本的に直接診るのは1回だけで、あとはメールと写真だけで改善に導く診療です。
当院の診察を受ける方の多くが「色々治療しているのによくならない」など、かなり難治性皮膚病の症例ばかりになるのですが、たった1回の診察で改善まで導けるのか?というのは疑問があるかと思います。
特に最近はアポキルという新しい痒みを抑える非常にいいお薬がでたことで、一般的には治療成績が出しやすくなっています。
その分、「アポキルが効かないときにどうするのか?」という問題もでてきています。
アポキルが発売されてまだ1年少しですが、すでに当院受診の大半の患者さんが「アポキルを服用しているのに痒い」という状態です。
今回は症例はそんな「アポキルでよくならない」だけでなく、「アポキルの副作用で服用できない?」という驚きのわんちゃんの治療を紹介します。
もちろん関東にお住まいのわんちゃんで、診察は初回の1回きりだけです。
この初回に1回の診察だけで改善までの軌跡を描かなければいけません・・・しかも、アポキルなしで。
【症例】
フレンチブルドッグ 5歳 男の子(去勢済み)
【経過】
〇生後1歳まえからの痒みを伴う皮膚病
〇1年前少し前からアポキルを1日1回1年間継続して服用していた
〇1年間アポキルを毎日服用しても、痒みは元々10として7~8までしか減らなかった
〇1年間アポキルを毎日服用して血液検査をしたところ、肝臓の数値が高くなっていた。
〇アポキル休薬により肝臓の数値は改善へ
それでは初診時の状態です。
※診察室ではないため、室内が暗くいつもよりみえにくいかと思いますがご容赦ください。
この初診時に治療新を立てて、検査結果をみずに投薬治療をスタートさせました。
5週間後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくみることができます。
黒さはありますが、痒みはかなり緩和され、みためも随分とよくなったと思います。
今回の診療では、
〇実際の診療は1回だけ
〇検査も初回の1回だけ
〇肝臓数値の異常の原因がアポキルかどうかの判定はできないが、「アポキルを使わずに治療」
この3つの制限付で治療開始となりました。
アポキルは使いやすいお薬のため、痒み治療の選択肢として処方できない(使えない)というのはかなりのハンデがあるのは否めませんが、以前はアポキルなしで治療方針をくみたてていましたので、イメージできなかったわけではありません。
今回の診察に至る前の過去通院中に、大半の各種検査を実施済みでしたので、初診当日に追加検査したのは培養検査だけでした。
なお治療で選択した内服薬は3つ、
①抗生物質
②過去に服用したことがあるお薬
③今までに服用したことがない薬
でした。
このタイプの皮膚病は抗生物質単独で治るわけではないため、②と③がポイントになります。
ただ②のお薬は過去に継続して服用したにも関わらず改善がなかったというお薬です。
そう、ここでいいたいのは先日のブログでも書いた「パズル」です。
皮膚病を治すときに必要なのは決まったピースもなく、枠もないパズルを完成させるようなものです。
今回のわんちゃんが過去の治療でうまくいかなかった理由は、ピースの選択ミスではなく、ピースが足りなかったのです。
ピースが足りないことに気づいて、適切なタイミングでピースを出すことができればうまくいったでしょう。
もちろんアポキルを使っても同様で、同じように改善することは可能です。
過去に1年間アポキルを服用して痒みが10→7か8程度までしか改善しなかったアポキルでしたが、足りないピースを足せば今回と同様の結果が得られたでしょう。
なおスキンケア&サプリメントは今回の症例でも併用しています。
投稿者:
2017.12.09
シーズーの痒みを伴う皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
「次回は来年ですね」とお話することも多くなり、1年の終わりを実感する毎日です。
年末年始をカイカイで過ごすことにならないよう、わんちゃんと飼主さまの両方が穏やかにすごせるよう全力で取り組む毎日です。
それでは今日の症例報告です。
非常に遠いところから来院されているわんちゃんです。
【症例】
シーズー 7歳 女の子(避妊済)
【経過】
〇1歳から発症し、1年を通じた皮膚トラブル
〇季節性があり、梅雨~夏が最も悪い
〇痒みは手足をなめる&かむ、頚部~下顎をかく、お腹を床にこする・・・
〇アトピカ服用で効果なし、インターフェロン注射でも改善なし
〇コルタバンスでも改善なし
〇ステロイド服用でやや改善
〇アポキル効果なし
〇抗生物質(アポキルと併用)効果なし
それでは初診時の状態を紹介します。
まずは頸部から。
続いて、下顎。
続いて、右前肢3枚(腕2枚、手先1枚)。
続いて、胸~腹部とその拡大。
続いて、内股~後肢。
続いて、左膝の内側。
続いて、右膝~すねの内側。
続いて、背中とその拡大。
初診時から6週間後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
痒み症状がゼロではないのですが、皮膚炎レベルとしてはかなり改善しました。
治療の余地はまだ大きく残っており、今後も1つか2つ上のレベルまでいけると考えています。
「アトピカ(シクロスポリン・免疫抑制剤)」、「インターフェロン注射」、「アポキル」で改善がないという皮膚病でしたが、なぜ今までよくならなかったか?
ここで大事なのは「パズル」の考え方です。
パズルは完成にはピースが不可欠で、ピースが異っても、ピースが足りなくても完成しません。
実は皮膚病の治療も同じくで、1つでも異なるピースを使えばいまくいきませんし、足りなければまったく改善しないこともあります。
今回のわんちゃんに関しても、アトピカが効かない皮膚病だったのではありません。
同じくアポキルが効かない皮膚病だったわけでもありません。
そして抗生物質が不要だった皮膚病でもありません。
アポキルを使って治すプランもつくれますし、アトピカを使って治すプランもつくれます。
選択したピースと、使う順番、数(種類)を間違えなければ改善可能な皮膚病です。
皮膚病がパズルより難しいのは、箱の中に必要なピースが入っていないこと、そして何より「枠」がないため、「ピースが足りないことに気づけない」というのはあります。
今回は選択したピースの間違いと、足りないピースに気づくことが治療のポイントだったかなと思います。
今回の治療症例ではスキンケア、ECプラス、LFプラスを使って治療しています。
すべての症例がスキンケア&サプリメントで改善するわけではないのですが、適切な診断・治療で併用するとこれほど便利なものはありません。
オンラインショップでお買い求めいただけます。
投稿者: