2018.01.20
アトピーやアレルギーなど、柴犬の痒みを伴う皮膚病治療に力をいれている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
目が痒い、耳が痒い、口が痒い、鼻が痒い、首が痒い、ワキが痒い、腕を噛む、膝をかむ、かかとを噛む、手先・足先をなめる&噛む・・・・背中は特に問題ない、3歳までに発症する柴犬のアトピー性皮膚炎の典型例ですね。
今はアポキルというすばらしいお薬がありますので、コントロールしやすくなってきました。
ただ、今でも一定数コントロールできない難治性皮膚炎の柴犬のアトピー性皮膚炎のわんちゃんがいます。
今日はそんな「どこからどうみてもアトピーなのに、アポキルが効かない」という症例です。
【症例】
柴犬 2歳 女の子(避妊手術済み)
【経過】
〇生後7ヵ月後から痒みを伴う皮膚病
〇季節性はなく1年通じて痒みがある
〇顔、耳、口唇、わき、腕~手首、膝~かかと、四肢端
〇16ヶ月前からアポキルを服用しているが、服用していても効いているわけではない
ここでポイント①、飼主さまのお住まいは関東圏です。
当院が提供している遠隔診療を希望するお申し込みでした。
すべての皮膚科症例が遠隔診療の適応になるわけではないため、まずはお写真をいただきました。
いつもお話している通り皮膚科は初診の診極めが大事です。
この症例でもこのお写真で判断可能です。
この時点で治療方針はほぼ確定です。
そして日時をあわせて東京品川で実際に診察を行いました。
当日のお写真を紹介します。
ここまでは送っていただいた写真、症状の通りです。
皮膚病は見た目が何より大事で全身に診断につながる重要な所見が隠されています。
痒いところをみるだけでなく、予測通りか確認することも重要です。
ここも大事なポイントですね。
この初診時から約1ヵ月後の状態です。
飼主さまからいただいた写真なのでわかりやすい比較写真ではないですが、ご了承ください。
まずは腹側の全体像。
続いて、頚部。
続いて、胸部です。
フワフワの毛並みですね。
痒みは「かきますが、気になるほどではありません」というレベルまで改善しました。
症例報告に使うフレーズとして「アポキルが効かない」というセリフをよく使用しますが、正しくは「アポキルが効く痒みではない」で、アポキルを使うべき痒みにはとてもよく効くんです。
アポキルはすべての痒みを止めるわけではないため、原因を診極めて何をターゲットにして使うかを判定していけば非常にいいお薬です。
もちろん副作用が非常に少ないので「とりあえず」で使うとこもできますが、「アポキルを使って残った痒みをどう評価すべきか」まで考えて処方するのが正しい使い方と言えます。
前回の症例同様にある治療を加えれば、今回の柴犬にも他のアトピーの柴犬同様アポキルはよく効くようになります。
大事なのは、
柴を極める
でしょうか。
柴犬の正常を知れば、柴犬の異常を知ることができます。
常に、常に柴犬の皮膚を診続けるば、いづれ正常がわかるようになり、次に異常がわかります。
正常を知らずに異常はわかりませんからね。
今回紹介した柴犬の初診では、静岡県静岡市の動物病院「あん動物病院」の大石先生と一緒に診察しています。
静岡市近隣にお住いの方で、柴犬の皮膚病にお困りの方はあん動物病院の大石先生にご相談ください。
当院ではこういった一般的に知られていない診断・治療法を含めたプライベート皮膚科セミナーを開催しています。
ご興味のある方は当院HPからお問い合わせください。
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