2018.03.22
アトピー・アレルギー疾患が多いといわれる柴犬の痒い皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
アポキルが発売されてそろそろ2年が経とうとしています。
アポキルの発売半年ごから「アポキルが効かない」というわんちゃんの問い合わせが多くなり、最近では新しい初診のわんちゃんのほとんどが「アポキルを服用しているのに痒い」という状態です。
あらかじめ伝えておきますが、アポキルは非常にいいお薬です。
いいお薬すぎて、効く効かない関係なく「とりあえずアポキル飲んでおこうか」でもいいと思うくらいです。
もちろんアポキルがよく効く痒みと、効かない痒みがあるため区別して治療すべきなのですが、安全性の高さから「こまったらアポキル」というプランができるのがアポキルのいいところだと思っています。
そのため当院にはアポキルを服用しているのに痒みが改善しないというわんちゃんばかりが来院するので、アポキルが効く痒みとアポキルが効かない痒みをだいたい区別できるようになりました。
もちろんアポキルが効かないときにどうしたらいいのかも大体把握できるようになりました。
たまには外しますが、たまにです。
今日紹介する症例もそんな「アポキルが効かない」という柴犬の皮膚病のわんちゃんです。
【症例】
柴犬 5歳 女の子(避妊手術済)
【経過】
〇1歳すぎてから痒み発症
〇毎年明確な季節性があり、2月~5月の花粉の時期だけ
〇夏は一切発症しない
〇昨年(平成29年)、初めて秋に春と同様の目ヤニの症状がでる さらに身体のべたつきあり
〇基本は涙目、目ヤニ、目の痒み
〇平成29年11月からアポキルを1日2回服用しつづける(1日2回を4か月)も、今年の2月に例年どおりの目の痒み発症
〇今はわき、お腹の痒み
〇飼主さま曰く「今年はアポキルを服用しているので、花粉症を乗り切れると思っていた。いつも通り発症しているのでアポキルの効果を実感できていない」
〇エリザベスカラーと洋服で傷防止
それでは初診時の状態です。
3月17日が初診です。
まずは全体像です。
続いて、顔。
続いて、頚部とその拡大。
続いて、胸部とその拡大です。
右脇の拡大です。
胸部中央の拡大です。
左わきの拡大です。
続いて、腹部とその拡大です。
この症例で何を考えるか?
考えるポイントは
①明確な季節性がありアトピーを疑うにも関わらずアポキルが効かない理由は?
②今の痒みをコントロールするために必要な治療は?
この2つですね。
ただ痒みをコントロールするためには目の痒みと身体の痒みの原因と治療を変えた方がいいです。
今回は関東圏からの受診でしたので、次の再診は遠隔診療になります。
そのため診断と方向性はこの初診で確定しなければいけません。
あとは微調整のみ、毎年6月にはかゆみがなくなるため、今日からの治療結果をどう判断するかの問題はなきにしもあらずですが、おそらく飼い主様が「今までと違う!」と実感できる結果をだせると確信しています。
このタイプの皮膚病は当院と診療提携を行っている病院※であれば対応することが可能です。
※診療提携病院
京都市 よこた動物診療室
静岡市 あん動物病院
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