症例別

アポキルが効かないチワワの痒い皮膚病

2018.07.30

チワワの痒い皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。


当院では「初診時の診極め」として診た瞬間の判断を最優先に治療しています。

基本的には初診時の想定範囲内で治療結果がでるのですが、まれに後から方向性の変更や追加をしなければいけない時もあります。

今回は当院では非常にめずらしいのですが、治療の途中で「初診時に組み立てた治療方針に1つ加える必要があった症例」です。


【症例】

 チワワ 1歳10カ月(初診時) 女の子(不妊手術済)

【経過】

 〇生後半年くらいからフケをみとめ、近医にて脂漏症と言われる
 
 〇1カ月前から痒み(&傷)にて他院にて治療開始

 〇傷防止のためエリザベスカラーが外せていない

 〇痒みは「喉」を1日中かく

 〇耳の外の毛がベタベタ

 〇身体のフケ

初診時の状態からみてみましょう。

声を出して掻く&傷だらけになるという理由でエリザベスカラーをつけています。

続いて耳(右耳を後方から)です。

 

 

続いいて頚部、軽度にみえて強い痒みで傷になりやすい部位です。

 

続いて、胸です。

 

それでは初診時から約10か月後の状態と比較してみましょう。

 

 

「劇的」という比較ではないのですが、痒みの緩和ができ、エリザベスカラーを外すこともできるようになっています。

掻くことは掻くのですが、以前は掻き壊して傷になっていたレベルが緩和でき、今はもう傷になるような痒みはありません。

今回は初診時に「心因性」と判断してアポキル&心因性のダブル治療で臨んだのですが、前半で3カ月で明確な改善が認めらませんでした。


初診時から3カ月の時点である病変を目にすることができたので、治療方針を1つ加えることにしました。

この1つ加えた治療から徐々に改善しています。


3カ月目にみつけた病変はかすかなもので、初診時での判定は正直難しいものでしたが、それでも初診時に想定内にすることが難しいというわけではなかったため今後の反省材料にしたいと思います。

わかりやすい「心因性」というものだけに目を奪われて、全体を診ることに注意不足があったかもしれません。


今回の症例の簡単な解説です。

参考までに今回の症例でも初診時からアポキルを使用しましたが、アポキルによる痒みの改善は非常に乏しいものでした。

もちろん心因性という診断をしたためアポキルが効かないのはある程度想定範囲内でした。

ただ心因性のアプローチに反応がなかったのは初診時の想定外でしたので、今回の症例のポイントは「アポキルも効かない、心因性治療にも反応がない」という3カ月の時点でどう対応するかだっただと思います。

ここでのプランニングは大きく分けて2つです。

①心因性ではないのかもしれない

②心因性以外に何かかくれているかもしれない

僕の判断は②です。

心因性と「もう1つ」が見過ごされていたがゆえに心因性の治療結果がでなかっただけです。

今回の症例では心因性に加えて途中に気づいた追加疾患の計2点の治療を加えることで改善ができたいう症例です。


今回は非常に難しい症例で、個人的にも非常にいい経験になりました。

長くかかりましたが、当初の目標を達成することができて本当によかったです。

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

アポキルで痒みが抑えられないときは?

2018.07.28

犬の痒み止め新薬アポキルが効かない痒い皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。


犬の皮膚病治療薬で画期的な新薬「アポキル」が登場して2年が経ちました。

アポキルで改善しない痒みにどうアプローチするか、今の皮膚科の最大の課題と言えるでしょう。

今日紹介するのはそんな「アポキル」を1日1回を服用し続けても改善しない痒いわんちゃんの治療実績です。

【症例】

 MIX(チワワ×シーズー) 5歳 男の子(去勢済)

【経過】

 〇1歳から続く痒み疾患

 〇1年通して発症だが、やや季節性の悪化がある

 〇四肢端の痒み(なめる)、腕を噛む、下顎~頚部をかく、お腹を掻く・・・など

 〇エリザベスカラーを装着している(夜)

 〇アポキルを1日1回継続服用しているが、抑えきれていない


今回の受診のきっかけは当院のオンラインショップのスターターセットご購入の方へお送りしている無料相談メールです。

過去の経過とお写真を送っていただいたところ、「治療すればよくなる」と判断できたため、「スキンケア&サプリメントでは不十分のため、受診をお勧めします」とアドバイスさせていただきました。

すると遠方ではありましたが、飼主さまの熱意もあり受診していただけることになりました。


それでは初診時の状態をみてみましょう。

まずは全体から。

 

続いて、頚部です。

 

続いて、胸部とその拡大です。

 

続いて、腹部です。

 

最後にお尻です。

 

ただ、全体をみて「痒いのか?」「アポキルが効かないほど痒いようにみえない!」というのが正直な感想かと思います。

ただこれは写真をみただけでわかる異常があります。

その一つがお尻、お尻に痒みはないのですが、この皮膚病の評価にはこの部位をよくみることが大事です。

もちろんお尻だけでなく他の部位でもわかるのですが、よほど目で慣れていないと判断できないと思います。

それでは初診時から6週間後の状態と比較してみましょう。

 

 

痒みも皮膚炎もないお尻周囲ですが、みごとな回復ぶりですね!


もちろん痒みも劇的に改善したようです。

今は「舐めない」「噛まない」「掻かない」という状態です。

肝心のエリザベスカラーも外すことができて、通常の通りの生活ができています。


写真とメールで「当院で投薬治療した方がいい」と言ったからには改善させないといけないというプレッシャーは大きいのですが、イメージ通りの治療結果に一安心です。

アポキルを毎日服用しながら痒みが改善しない原因がどこにあるのか?

今回の症例は2つの原因があります。

その原因はメールと写真の2点から判断(推測)できました。

初診時はその推測の確認作業で、想定外の診断結果は何一つありませんでした。


今回のポイントはアポキルが効かない原因を探すことです。

初診時の写真で「痒みのないお尻」を撮影したのがポイントの一つですが、赤い皮膚、痒い部位をみるだけが皮膚科診療ではありません。

痒みのあるない関係なく全身みて「ヒントを探す(確認する)」ことで的確な診断と治療が可能になります。


アポキルで痒みがコントロールできない場合でも改善のための手段はたくさんありますので、お困りの方はぜひ受診してください。

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

フレンチブルドッグの典型的な虫食い湿疹&手舐め&痒い

2018.05.10

フレンチブルドッグのアトピーやアレルギー、舐め癖など痒みを伴う皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。

今回は当院で最も受診が多いフレンチブルドッグのわんちゃんです。

【症例】

 フレンチブルドッグ 1歳4ヶ月 女の子(避妊手術未)

【経過】

 〇生後7ヶ月のころから痒み

 〇痒みの部位は身体の側面をかく、四肢端をなめる&噛む、顔をこする

 〇食事を変えても、手作り食でも特に改善しない

 〇今が最も悪い

それでは初診時の状態をみてみましょう。

まずは顔の正面と、側面からです。

続いて、頚部です。

続いて、右前腕です。

続いて、左前腕です。

続いて、わきです。

続いて、内股です。

最後に、身体の側面の湿疹です。

上の写真は左側面で、斜め後ろからみると小さな穴があいたような脱毛があります。

こういった部位を拡大してみると、

このように、赤い湿疹があります。

それでは初診時から4週間後の状態と比較してみましょう。

※写真をクリックすると大きくすることができます。

最もしつこかった手をなめる癖すらほとんどなくなりました。

舐め癖がひどかったため、エリザベスカラーをつけていたそうですが、これも完全になくすことができました。

初診時からわずか4週間ですが、軌道修正は細菌培養感受性結果が返ってきて抗生物質を変更した1回だけです。

あとは初回の想定どおりの治療方法で改善できました。

このタイプは

【膿皮症】 培養感受性テスト、スキンケア、スキンケアECプラス(サプリメント)

【アトピー】 アポキル、スキンケア

【心因性】 ヒーリングケアLFプラス、向精神薬

といったアプローチで十分よくなります。

アレルギーではないため、アレルギー対策の食事療法はうまくいかない原因になりますので、辞めたほうがいいです。

まだ若く軽度ではありましたが、この体質のわんちゃんであれば当院のスキンケア&ECプラス&LFプラスで改善できるでしょう。

当院がフレンチブルドッグの皮膚疾患のために開発したスキンケア&サプリメントは以下のオンラインショップからお買い求めいただけます。

 

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

1日2回のアポキルが効かない柴犬の皮膚病

2018.03.22

アトピー・アレルギー疾患が多いといわれる柴犬の痒い皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。

アポキルが発売されてそろそろ2年が経とうとしています。

アポキルの発売半年ごから「アポキルが効かない」というわんちゃんの問い合わせが多くなり、最近では新しい初診のわんちゃんのほとんどが「アポキルを服用しているのに痒い」という状態です。

あらかじめ伝えておきますが、アポキルは非常にいいお薬です。

いいお薬すぎて、効く効かない関係なく「とりあえずアポキル飲んでおこうか」でもいいと思うくらいです。

もちろんアポキルがよく効く痒みと、効かない痒みがあるため区別して治療すべきなのですが、安全性の高さから「こまったらアポキル」というプランができるのがアポキルのいいところだと思っています。

そのため当院にはアポキルを服用しているのに痒みが改善しないというわんちゃんばかりが来院するので、アポキルが効く痒みとアポキルが効かない痒みをだいたい区別できるようになりました。

もちろんアポキルが効かないときにどうしたらいいのかも大体把握できるようになりました。

たまには外しますが、たまにです。

今日紹介する症例もそんな「アポキルが効かない」という柴犬の皮膚病のわんちゃんです。

【症例】

 柴犬 5歳 女の子(避妊手術済)

【経過】

 〇1歳すぎてから痒み発症

 〇毎年明確な季節性があり、2月~5月の花粉の時期だけ

 〇夏は一切発症しない

 〇昨年(平成29年)、初めて秋に春と同様の目ヤニの症状がでる さらに身体のべたつきあり

 〇基本は涙目、目ヤニ、目の痒み

 〇平成29年11月からアポキルを1日2回服用しつづける(1日2回を4か月)も、今年の2月に例年どおりの目の痒み発症

 〇今はわき、お腹の痒み

 〇飼主さま曰く「今年はアポキルを服用しているので、花粉症を乗り切れると思っていた。いつも通り発症しているのでアポキルの効果を実感できていない」

 〇エリザベスカラーと洋服で傷防止

それでは初診時の状態です。

3月17日が初診です。

まずは全体像です。

続いて、顔。

続いて、頚部とその拡大。

続いて、胸部とその拡大です。

右脇の拡大です。

胸部中央の拡大です。

左わきの拡大です。

続いて、腹部とその拡大です。

この症例で何を考えるか?

考えるポイントは

①明確な季節性がありアトピーを疑うにも関わらずアポキルが効かない理由は?

②今の痒みをコントロールするために必要な治療は?

この2つですね。

ただ痒みをコントロールするためには目の痒みと身体の痒みの原因と治療を変えた方がいいです。

今回は関東圏からの受診でしたので、次の再診は遠隔診療になります。

そのため診断と方向性はこの初診で確定しなければいけません。

あとは微調整のみ、毎年6月にはかゆみがなくなるため、今日からの治療結果をどう判断するかの問題はなきにしもあらずですが、おそらく飼い主様が「今までと違う!」と実感できる結果をだせると確信しています。

このタイプの皮膚病は当院と診療提携を行っている病院※であれば対応することが可能です。

※診療提携病院

 京都市 よこた動物診療室

 静岡市 あん動物病院

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

【心因性・精神的な痒い皮膚病】エリカラを外したい

2018.03.02

ヨーキー(ヨークシャー・テリア)のアトピー・アレルギー・心因性(精神的・癖)による痒い皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。

当院の症例報告にヨーキーが多いというわけではありませんが、ヨーキーも難治性皮膚病がおきやすい傾向があります。

シーズー、ブルドッグ犬種、柴犬ほどではない理由としては登録頭数のわりに発生が多くないのと、最大のポイントは「これぞヨーキーの典型的皮膚病!」というパターンがないことですね。

今回紹介するのはそんな典型的ではない独特なバランスの皮膚病で、複雑な病態が絡んでいる皮膚病です。

【症例】

 ヨークシャー・テリア 8歳 女の子(避妊手術済)

【経過】

 〇2年前から皮膚病

 〇四肢(特に前肢)をかむ、耳をかく、口唇をかく ※胴体は異常なし

 〇エリザベスカラーを1年以上常時装着していて、外すと手に傷ができるほど噛むため外すことができない

 〇アポキルを6カ月1日1回服用しているが、アポキルを服用していてもエリザベスカラーが外せない

それでは初診時の状態をみてみましょう。

まずは右耳から。

続いて、左耳。

続いて口唇を右、左の順番で。

続いて、前肢とその拡大です。

それでは初診時から8か月後の状態と比較してみましょう。

一見よくみないと難しいですが、初診時は手が腫れて大きく、皮膚がゴワゴワと固くなっており、深いシワが刻まれています。

口唇は激しい皮膚炎とフケ・カサブタの付着がありましたが、今はかなり改善しています。

耳も慢性炎症により肥厚していたのが、ほぼ正常に近づいています。

一番治療が難しかった手の改善ですが、なにせかなりの慢性経過だったため今でも変形の跡が残っています。

大きな治療効果は2点、

①エリザベスカラーを外すことができ、今はカラーのない生活が保てている

②アポキルは2日に1回まで減らすことができている

この2点はかなり大きな改善と評価できると思います。

今回の診断は最低2つ、

①アトピー性皮膚炎 → アポキルが効く

②心因性掻痒症 → ヒーリングケアLFプラスを併用する

アポキルとヒーリングケアLFプラスだけでの治療結果ではないのですが、方向性はこの2点です。

もう2点あるのではないかと思うのですが、そこはまだグレーの状態で今後検討課題としています。

治療比較写真が8か月となっており随分と時間がかかりましたが、治療による改善効果は比較的早く1カ月以内にカラーを外すことができました。

8か月の時間については、極めて重度&慢性の肥厚が改善するのにどうしても時間が必要だったというだけで、初診時に伝えた診断および治療内容に変更なく継続治療のみでここまで到達できた症例です。

なお四肢端の痒みの原因と治療方針、耳&口唇の原因と治療方針は半分似ていますが、半分ことなります。

この皮膚病の全体を1つの病気として捉えると「カラーが外せない」という結果になります。

部位ごとに原因の配分がことなり、治療の力を入れ方が異なることを把握する必要があります。

今回の症例に限らずですが、ポイントとして心因性掻痒症の診断と治療を的確に行うことができれば、皮膚病の治療成績は格段に向上します。

※心因性というのは「精神的な」というニュアンスでもよくて、簡単な言葉では「癖」とも言い表すことができます。「癖」という一言で簡単に片づけられないほどの皮膚病になるのであればやはり治療がおすすめです。

この心因性掻痒症で難しいのは3つ、①診断、②インフォームド、③治療です。

難しい理由は、

①検査ができず、客観的根拠がない

②心因性をどう飼主さまに伝えるか、「なるほど」と思う説明ができるか?

この①と②もかなり難しいのですが、③の治療も相当難しいです。

心因性については一度しっかりとまとめて、みなさまが読める原稿に仕上げよう思っています。

今回の症例でも併用しているヒーリングケアLFプラスですが、オンラインショップでもお買い求めいただけます。

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

【フレブルの皮膚科外来】副作用?アポキルが使えない

2017.12.11

フレンチブルドッグの痒みを伴う皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。

当院では関東(東京・神奈川・千葉・埼玉)にお住まいの方に向けて定期的に皮膚科診療を開催し、継続治療のための遠隔診療を提供しています。

基本的に直接診るのは1回だけで、あとはメールと写真だけで改善に導く診療です。

当院の診察を受ける方の多くが「色々治療しているのによくならない」など、かなり難治性皮膚病の症例ばかりになるのですが、たった1回の診察で改善まで導けるのか?というのは疑問があるかと思います。

特に最近はアポキルという新しい痒みを抑える非常にいいお薬がでたことで、一般的には治療成績が出しやすくなっています。

その分、「アポキルが効かないときにどうするのか?」という問題もでてきています。

アポキルが発売されてまだ1年少しですが、すでに当院受診の大半の患者さんが「アポキルを服用しているのに痒い」という状態です。

今回は症例はそんな「アポキルでよくならない」だけでなく、「アポキルの副作用で服用できない?」という驚きのわんちゃんの治療を紹介します。

もちろん関東にお住まいのわんちゃんで、診察は初回の1回きりだけです。

この初回に1回の診察だけで改善までの軌跡を描かなければいけません・・・しかも、アポキルなしで。

【症例】

 フレンチブルドッグ 5歳 男の子(去勢済み)

【経過】

 〇生後1歳まえからの痒みを伴う皮膚病

 〇1年前少し前からアポキルを1日1回1年間継続して服用していた

 〇1年間アポキルを毎日服用しても、痒みは元々10として7~8までしか減らなかった

 〇1年間アポキルを毎日服用して血液検査をしたところ、肝臓の数値が高くなっていた。

 〇アポキル休薬により肝臓の数値は改善へ

それでは初診時の状態です。

※診察室ではないため、室内が暗くいつもよりみえにくいかと思いますがご容赦ください。

この初診時に治療新を立てて、検査結果をみずに投薬治療をスタートさせました。

5週間後の状態と比較してみましょう。

※写真をクリックすると大きくみることができます。

黒さはありますが、痒みはかなり緩和され、みためも随分とよくなったと思います。

今回の診療では、

 〇実際の診療は1回だけ

 〇検査も初回の1回だけ

 〇肝臓数値の異常の原因がアポキルかどうかの判定はできないが、「アポキルを使わずに治療」

この3つの制限付で治療開始となりました。

アポキルは使いやすいお薬のため、痒み治療の選択肢として処方できない(使えない)というのはかなりのハンデがあるのは否めませんが、以前はアポキルなしで治療方針をくみたてていましたので、イメージできなかったわけではありません。

今回の診察に至る前の過去通院中に、大半の各種検査を実施済みでしたので、初診当日に追加検査したのは培養検査だけでした。

なお治療で選択した内服薬は3つ、

①抗生物質

②過去に服用したことがあるお薬

③今までに服用したことがない薬

でした。

このタイプの皮膚病は抗生物質単独で治るわけではないため、②と③がポイントになります。

ただ②のお薬は過去に継続して服用したにも関わらず改善がなかったというお薬です。

そう、ここでいいたいのは先日のブログでも書いた「パズル」です。

皮膚病を治すときに必要なのは決まったピースもなく、枠もないパズルを完成させるようなものです。

今回のわんちゃんが過去の治療でうまくいかなかった理由は、ピースの選択ミスではなく、ピースが足りなかったのです。

ピースが足りないことに気づいて、適切なタイミングでピースを出すことができればうまくいったでしょう。

もちろんアポキルを使っても同様で、同じように改善することは可能です。

過去に1年間アポキルを服用して痒みが10→7か8程度までしか改善しなかったアポキルでしたが、足りないピースを足せば今回と同様の結果が得られたでしょう。

なおスキンケア&サプリメントは今回の症例でも併用しています。

 

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

【フレンチブルドッグの皮膚病治療】体質改善の実際

2017.10.31

フレンチブルドッグの皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。

日中は陽の暖かさを感じ、夜はひんやりと・・・随分と秋が深まってきましたね。

先日は東京であん動物病院の大石先生と皮膚科診療を開催しました。

11月7日(火)は静岡市のあん動物病院で診療サポートを行います。

静岡市近隣で通院できる方はあん動物病院の大石先生までご相談ください。

今日紹介する症例は、フレンチブルドッグの皮膚病重症例の気になるその後についてです。

以前にも紹介したことがあり、そのときのブログが平成29年2月6日です。

  【フレンチブルドッグの皮膚病治療】全身の重症症例

治療9週の時点で随分と改善したので、途中経過として掲載しました。

そしてブログの最後はこう締め括りました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
あとは「もっとよくなる」、そして「再発させない」が重要です。

もう一度フワフワ&サラサラの被毛に回復させ、お薬がなくても再発もない状態へ導きます。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

さて、初診の状態からみてみましょう。

まずは顔、エリザベスカラーを装着しています。

つづいて、頚部。

続いて、頚部左側~左の腕にかけて。

続いて、左前肢。

同じく左前肢の先端です。

続いて、右前肢。

続いて、胸部。

続いて、腹部。

続いて、身体左側です。

同じく左側、前肢。

同じく左側から、後肢。

この初診から約1年後の現在です。

※写真をクリックすると大きくすることができます。

「もっとよくする」、「再発させない」とは書くのは簡単ですが、相当苦労しました。

現在は抗生物質も服用することなくいい状態を維持できるようになってきました。

もちろん絶対抗生物質をつかうことはない、とまではいきませんが、かなりキープできる体質になってきています。

もちろん再発させないためには当院のスキンケアECプラスが必須です。

これがなければ湿疹再発、抗生物質継続は否めないでしょう。

専用のオンラインショップでお求めいただけます。

もちろんスキンケアとサプリメントだけで治るわけではないです。

正しい診断、適切な投薬治療があってこそです。

ただ、投薬治療だけではここまでの体質改善は不可能だったでしょう。

 

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

【フレブルの皮膚科専門外来】アポキルを減らしたい

2017.06.03

フレンチブルドッグの痒みを伴う皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。

春の膨大な仕事も終わり、落ち着いてきたので溜まっていた症例報告を続けていこうと思います。

テーマは引き続き「アポキルが効かないとき、どうするのか?」についてです。

今日は「アポキルを服用しているのに痒みが改善されない」ではないのですが、「アポキルだけではコントロールが難しかった」という症例です。

【症例】

 フレンチブルドッグ 8歳 去勢雄

【病歴】

 〇4年前からの慢性的な痒み

 〇季節性があり、夏の方が悪化しやすり

 〇過去の投薬治療は主にステロイドで、一時的にシクロスポリン

 〇痒みで身体を傷つけるほど掻くため、1年以上エリザベスカラーを装着している

 〇床がぬれてしまうほど手先をよく舐める

それでは初診時の状態です。

づづいて、かなり痒みの強い部位の一つ、胸部の側面です。

胸部の側面を拡大してみましょう。

これは脱毛疾患ではなく、掻き壊しといって強く書くことで毛が引きちぎれいているため引き起こっているものです。

続いて、左側面です。

膝~スネにかけて噛んでいることで傷が認められます。

続いて大腿部の尾側、全身での発症ではありませんが赤い湿疹が認められます。

この初診時で初期治療としては湿疹(膿皮症)に対して抗生物質、季節性の痒みに対してアトピーを疑いアポキルを併用しました。

この2つの投薬治療である程度の改善が得られましたが、「エリザベスカラーをはずせない」「アポキルを1日2回服用しないと抑えきれない日が多い」であり、十分に痒みをコントロールできているという状況ではありませんでした。

また膿皮膚症も抗生物質の服用により数を減らすことができたのですが、やはり服用しながらも新しい湿疹が週に1~2箇所できる・・・という状態でしたので、胃腸免疫サプリ「スキンケアECプラス」を併用しました。

さらに「掻き壊し」が心因性によるものと疑い、心因性に対するサプリメントでのアプローチを開始しました。

お薬はあえて変更せず、初診時に採用した抗生物質とアポキルの2種類のままで、追加は2つのサプリメントのみとしました。

併用後から激しく掻き壊すシーンが減り、アポキルを1日2回必要とする日もどんどん少なくなり、エリザベスカラーも完全にはずすことができるようになりました。

湿疹はスキンケアECプラスを併用して以降、抗生物質を必要とするような再発がないくらい綺麗な状態を保っています。

そして最も悪化しやすい季節になりましたが、エリザベスカラーを装着することはありません。

それでは、治療後の比較画像です。

※画像をクリックすると拡大することができます。

派手さはありませんが、毛並みが綺麗になっているのがわかると思います。

今回は投薬治療とサプリメントの相性が非常によく、アポキルを減らすことができた症例です。

湿疹タイプの膿皮症にはスキンケアECプラスがおすすめで、心因性にはヒーリングケアLFプラスを使うようにしています。

スキンケア単独で改善するタイプではないのですが、湿疹のケアには非常に有効だと思います。

初めてのご利用の方は写真を用いた無料相談ができる痒みケアスターターセットをお勧めします。

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

皮膚科診療で従順になった柴犬

2015.10.22

こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。

今朝は出勤時にベルトをつけるのを忘れてしまい、ベルトをしていなくてもズボンの違和感がない(=体重が増えた)ことにショックを覚えつつ、お昼にケンタッキーにいき「またやってもうた・・・」と明日につながらない反省をしました(笑)

さて、今日は「従順になった柴犬」の報告です。

いえ、決して問題行動のわんちゃんに行動療法を行ったわけではありません。

あれこれ説明せず、写真をみてみましょう。

毎年皮膚病になる柴犬ちゃんで、今年は半年前からエリザベスカラーがないと血だらけになるまで掻いてしまうまで悪化したということで来院されました。

もちろん来院時もカラーがはずせず、自宅でも散歩中でも常時エリザベスカラーを装着しています。

柴犬に多いタイプの皮膚炎ですね。

この初診時から3週間後です。

※画像をクリックすると拡大してみることができます。

痒みは10分の1、もちろんエリザベスカラーは完全に外すことができ、普通のわんちゃんらしい生活ができています。

飼主さまから「とても従順になりました♪」を喜んでいただきました。

やはりエリザベスカラーはわんちゃんにとって予想以上に強いストレスになっているため、カラーは必ず外さなくてはいけません。

いえ、基本は「痒みのためにカラーをつけてはいけない」というスタンスが必要で、やむを得ず装着する場合は「責任もって必ず外すこと」を自分に課さなければいけないと考えています。

カラーを外す自信なくしてつけてはわんちゃんにツライ思いをさせてしまうかもしれません。

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

【柴犬の皮膚科専門外来】外科手術を要する治療方針

2014.02.18

こんにちは、四季の森どうぶつクリニック獣医師平川です。

柴犬の皮膚病と一言にいっても、その診断名・治療方針はさまざまです。

今回は皮膚科疾患の中ではそう多くありませんが、外科手術を行い改善させた症例を紹介します。

【症例】

 柴犬 9歳 男の子

【病歴】

 〇1歳未満から発症、顔周囲から全身へ拡大
 〇夏が最も悪くなり、冬には改善していた
 〇当院受診前の冬は改善なく、悪い状態のまま
 〇過去に4つの動物病院を受診したが、改善なく当院受診

初診時の状態を見てみましょう。

まずは全体、常にエリザベスカラーを装着していました。

続いて、顔の正面、左右からです。

続いて、背側全体と頚部、胸背部、腰背部の拡大です。

続いて、右からの側面です。

続いて、胸部全体と左脇の拡大です。

続いて、右前肢外側から。

最後に右後肢外側から。

それでは約3ヶ月後の状態と比較してみましょう。


※画像をクリックすると拡大できます。


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※画像をクリックすると拡大できます。


※画像をクリックすると拡大できます。

非常に長期に渡り重度の皮膚病があったことと、この疾患特有の毛根への強いダメージがあったため、一部(目・肢端)に再生が不十分なところもありますが、エリザベスカラーも完全にはずすことができ、90%以上の部位で柴犬らしい綺麗な毛並みが再生しています。

一見、柴犬に多く認められる典型的な犬アトピー性皮膚炎の重症化のようにみえます。ただ純粋な犬アトピー性皮膚炎だけではこのような状態にはなりにくいため、何か別の基礎疾患があると考えました。

実際にこの基礎疾患に外科的アプローチをしたのは初診時から6週間後ですが、そこから格段に治療成績が向上していったことを考慮するとやはり外科手術がターニングポイントになったと思われます。

四季の森どうぶつクリニック
獣医師  平川将人

 

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

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