2019.02.05
フレンチブルドッグに多いアトピー・アレルギー・膿皮症・手舐めなどの痒い皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
フレンチブルドッグの皮膚病は難治性になりやすいですね。
当院でも受診数の上位犬種に入ってきますので、体質として「現代の皮膚科医療アプローチ」と「フレンチの遺伝的体質」に大きなギャップがあると考えています。
参考までに「ギャップがある」というのはどういうことかというと、「今どきの医療ではフレンチを治せない」という意味です。
逆に「ギャップがない」というのは「検査したら答えが分かる」という意味です。
すわなち
「フレンチの皮膚病の治療法は検査ではわからない」
ということです。
今日紹介する症例はそんな「異常値が一切でないザ・体質からくる典型的な皮膚病をたくさん抱えたフレンチブルドッグ」です。
【症例】
フレンチブルドッグ 4歳 男の子
【経過】
〇2歳のときから皮膚炎、背中の湿疹・外耳炎・手舐め&足舐め
〇過去の治療はアポキル、抗生物質、ステロイド、外用薬
〇背中をカットしたら生えてこなくなった
それでは初診時の状態です。
続いて、背中とその拡大です。
続いて、側面とその拡大です。
続いて、左耳です。
続いて、足裏です。
それでは治療後とひかくしてみましょう。
非常に綺麗になりましたね。
今回の皮膚治療は合計2年超に及びました。
純粋に2年かけてよくなったというわけではありません。
折角なので順番に解説していきます。
①毛が生えない
シンプルに「ステロイドの副作用」です。
外用薬や内服薬によっておきたものなので、ステロイドを使わないことで改善が期待できます。
ただ考えなければいけないことがあります。
「(以前の病院で)なぜステロイドが処方され続けていたのか?」
ここからは推測ですが、ステロイドを使うからには「炎症」があったのだと思います。
このわんちゃんでどんな炎症があったのか?
背中にはブツブツ(フケ&脱毛)タイプの湿疹(おそらく膿皮症)があったのだと思います。
手先・足先にはアトピー&心因性の皮膚炎がずっとあったのだと思われます。
これらの皮膚炎のコントロールのためにステロイドを使ったと推測されますので、ある程度改善したあとに起こりえることを想定しなければいけません。
②背中の湿疹
それは「背中の膿皮症の再発」と「手先・足先の皮膚炎の再発」です。
もちろん初診時に想定できますので、「毛が再生してきたら背中に膿皮症がでやすくなるかと思います。そのときには新しいアプローチが必要です
と伝えておきました。
※初診時に背中の膿皮症がなかったのは、幸か不幸かステロイドの副作用により毛がなく蒸れにくくシャンプーもしやすく細菌が増えにくい状態だったのが膿皮症をでにくくさせていたと思われます。
実際、治療から4~6カ月で背中の毛並みが再生してきたのですが、やはり湿疹(膿皮症)がでるようになってきました。
飼主さまも「この湿疹が昔からずっとあったもの」とおっしゃっていました。
もちろんこの膿皮症がでることも想定の範囲内なので、準備していたアプローチを併用します。
もちろん当院が開発したサプリメント、「スキンケアECプラス」です。
基礎疾患がない、食事の選択に間違いがなく、スキンケアも適切であれば、かなりの割合で改善が見込めるサプリメントです。
もう2年継続していただいていますが、膿皮症のトラブルはかなり少なくなりました。
③耳の脱毛
これも多いトラブルですが、耳介辺縁の脱毛です。
正常であればしっかりと密な毛が生えているのがフレンチブルドッグですが、皮膚トラブルが多いと耳の毛が抜け落ちやすくなります。
これにも原因と対策があるので、体質に合う治療法を取れば写真のようにきれいな毛並みに戻ります。
問題は検査で原因がわかるわけではないので、「体質に合った」という答えが導き出しにくいことでしょうか。
これはステロイドをやめても、膿皮症を治療しても治りませんので、特別なアプローチが非常に有効です。
④手舐め・足舐め
これもフレンチに非常に多いですね。
痒みを抑えるアトピー治療薬「アポキル」で改善すればいいのですが、この症例ではほぼ効果なしでした。
もちろん想定外ではないので、心因性のアプローチにシフトしていきます。
心因性のアプローチといってもどの成分を、どの程度服用させれば改善するか調整が難しいため、改善を導き出すために相当な変更を繰り返しました。
「正解」にたどり着くまでは改善が認められないため、飼主さまには治療方針への理解と協力が不可欠です。
結果がでるまで長くお付き合いしていだき本当に感謝です。
症状に対するアプローチを紹介しましたが、検査結果はどうだったか?というと特筆すべき異常値は何も認められませんでした。
検査でわかるものはほぼなし、ということです。
フレンチブルドッグの皮膚病治療が難しいのはこういった、「検査で答え(治療・薬)が分からない」ということだと思います。
今回紹介したスキンケアECプラスは、以下のオンラインショップでお買い求めいただけます。
適切な診断、適切な投薬治療、適切な食事療法、適切なスキンケアがあれば非常にお勧めできるサプリメントです。
投稿者:
2019.02.01
アポキルとステロイドが効かない柴犬のアトピー・アレルギーなどの痒い皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
アポキルが効かない柴犬の皮膚病は多いですね。
効かないというより、「効かない理由を治療する」といった方がよりベターかと思います。
今回の症例は、「柴犬のアポキルが効かない典型疾患」の症例報告です。
【症例】
柴犬 3歳 女の子(不妊手術済)
【経過】
〇生後半年前から続く痒み
〇3年間ですっきりとよくなったことはない
〇季節性は多少あり、夏は悪化しやすい
〇アポキルを1日1回2年間、欠かさず継続服用しているが痒みが悪化している
それでは初診時の状態をみてみましょう。
続いて、頚部です。
続いて、胸部です。
続いて、腹部です。
続いて、内股です。
続いて、胸部を側面からみて拡大したところです。
続いて、右後肢の側面です。
それでは初診時からちょうど2か月後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
劇的な改善ですね。
気になる痒みはほぼゼロと言っていい状態です。
今回はアポキルを処方せず代わりにシクロスポリンを採用しましたが、そのシクロスポリンも完全休薬としました。
1年通してみたとき、本当の意味でアポキルもシクロスポリンもゼロでということではないと考えていますが、痒みがゼロであれば服用する意味もないため、一旦休薬としています。
ではアポキルが効かないときはシクロスポリンに変更すれば効果が出るのか?と言えば異なります。
今回の症例はアポキルだから効かなかった、シクロスポリンだから効いたではありません。
アポキルとシクロスポリンには適応に若干の差がありますが、基本似ているため、変更で効くというのは特殊な皮膚病タイプのみと考えています。
大事なポイントは、シクロスポリン以外の投薬治療法と考えています。
この併用した治療があれば、多少時間の差はあれアポキルでも同様の劇的な改善があったと思われます。
投稿者:
2018.12.17
チワワのアトピー・アレルギーなどの痒い皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
チワワも痒みトラブルが多い犬種ですね。
問題はアポキルで痒みのコントロールが難しい症例がいることです。
【症例】
〇1歳のときから痒み
〇腕をなめる&かじる
〇頚部を頻繁にかく、暇になると背中を真っ赤になるまで掻く、
〇左膝の上の毛をむしる
〇とくにかく全身痒く、留守にすると血まみれになるまで掻くため、エリザベスカラーをしている
〇アポキルでも改善しない
それでは初診時の状態です。
続いて、頚部とその拡大です。
続いて、右前腕です。
続いて、左のわきです。
つづいて、左後肢の膝上です。
それでは初診時から2か月後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
非常にきれいになりました。
痒みも緩和され、エリザベスカラーもつけていません。
身体が真っ赤になることも、傷だらけになることもありません。
アポキルも2日に1回でコントロール良好です。
今回の症例ではアポキルが効かなかったということですが、初診時に「アポキルが効かない理由」がわかります。
このアポキルが効かない理由にアプローチするとここまで改善することができます。
「痒い」という行動に対してどうアプローチするのか、痒みのメカニズムを考えてアポキル以外のアプローチを併用することが重要です。
投稿者:
2018.11.29
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックです。
今回はトイプードルの症例です。
【症例】
トイプードル 6歳3ヶ月 男の子(去勢手術済)
【経過】
○2歳頃から痒み、年々悪化
○季節性はほぼ無し
○エリザベスカラー着用(外すと掻く、噛む)
○食事療法を行ったが改善しなかった
○ステロイド、アポキルを数年飲み続けているが改善しなかった
それでは、初診時の状態です。
まずは、体の正面です。
頚部です。
前胸部です。
腹部~内股です。
右前肢の付け根です。
胴体です。
左側面です。
左大腿部です。
それでは、初診時から約3週間後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
全体的に毛が濃くなり、フケは無くなりました。
痒みも減り、掻くことも無くなったので、このままエリザベスカラーが外せるよう
頑張っていきたいと思います。
【症例報告制作者】 看護士 長尾
症例のその後 2018年12月15日 アポキルが効かない脂漏症②
※エリザベスカラーを完全に外すことができ、脂漏・痒みを完全に抑えることができました。
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【獣医師の解説】
このタイプも「アポキルが効かない」の典型症例の1つで、トイプードルではよく診ます。
今の皮膚科の問題点がつまったような症例で、「アポキルが効きにくい」「食事療法が間違っている」「心因性が見落とされている」「スキンケアが不十分」というのが初診時にわかるタイプです。
4点すべてが「検査ではわからない(答えがみつけられない)」という抽象的なポイントなのが難治性になる理由ですね。
ただ当院では初診時からこのタイプに即効性のある治療プランを提供できるため、短時間で改善させることができます。
次回、カラーを外して問題ない状態を紹介できると思います。
投稿者:
2018.11.23
柴犬のアトピー・アレルギーなどの痒い皮膚病の中でも難治性で、アポキル・ステロイドが効果を示さないタイプの皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
柴犬の痒い皮膚病に対してアポキルを使って改善しないとき・・・次の手がないのが今の皮膚科の問題点です。
こういったときには食事療法・・・?
個人的にではありますが、食事療法単独で改善する柴犬には出会った記憶がなく、おやつの制限もほぼ行いません。
では、最近流行りのスキンケア・・・?
スキンケアなくして改善はありませんが、スキンケアで改善する柴犬を診た記憶もありません。
柴犬には柴犬の遺伝的特性を十分に把握しなければ難しいことがあります。
今日はそんな「柴犬の特性を知っていればわかりやすく」「柴犬の特性を知らなければまったくわからない」という典型的な皮膚病のわんちゃんを紹介します。
【症例】
柴犬 推定10歳越え 避妊雌
【経過】
〇約5歳からの皮膚病
〇通年性
〇抗生物質長期間併用
〇アポキル1日2回のあと1日1回を1カ月継続するも効果がなく、ステロイドへ切り替え
〇低分子化したたんぱく質による食事療法
〇心因性を疑ってサプリ&内服するも効果なし
〇傷防止のために洋服を常に着ている
それでは初診時の状態を紹介します。
まずは全体から。
続いて頚部とその拡大です。
続いて前胸部と、右前腕の拡大です。
続いて、右側面と湿疹の拡大です。
続いて、胸部~腹部です。
教科書的な分類であれば、
①膿皮症 ⇒ 抗生物質
②食物アレルギー ⇒ 低アレルギー食事療法
③アトピー ⇒ アポキルなどの抗アレルギー系投薬
④こまめなシャンプー
になると思います。
もちろん「糸状菌」「寄生虫疾患」「甲状腺機能低下症」といった基本的なところの除外は大事です。
また皮膚の腫瘍、自己免疫性疾患などの特殊で稀な皮膚病は、ないとはいえないものの見た目&経過で除きます。
仮にもしこの①~④であれば・・・おそらく過去の治療で改善したはずです。
当院では各種検査を行い、検査結果もまちますが、治療方針は初診時の診た瞬間にほぼ決定します。
①に対しては「使わなくてもいいかも」
②については「悪化の要因になっているため即変更」
③については「多少の痒み緩和が期待できるので併用」
④については「重要だが、足りないことがあるので追加」
そしてなにより①~④にはないものを2つ足すことが重要です。
大事なことは「足りない2つを気づくこと」と「検査結果を待たずに初診時の一瞬で気づけること」と思います。
このタイプは「検査して原因がわかるものではない」です。
先日初診に来院されたばかりなので、またどこかで経過をお伝えします。
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2018.12.23 アポキルとステロイドが効かない柴犬の皮膚病治療の実際②
2019.3.1 アポキルとステロイドが効かない柴犬の皮膚病治療の実際③
投稿者:
2018.11.09
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックです。
今回は痒みが続くウェスティの症例です。
【症例】
ウェスティ 11歳6ヶ月 男の子(去勢手術済)
【経過】
〇アポキルを1年以上毎日服用したが治らない
〇食事療法を行ったが改善しなかった
〇昨年春から徐々に悪化、初診時(2018年8月)が一番悪い状態
それでは、初診時の状態です。
まずは体の正面です。
前胸部です。
前肢の足先です。
脇全体と、右脇の拡大です。
内股です。
それでは、初診時から約8週間後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
ボロボロとした部分が取れ、皮膚の黒ずみもだいぶ綺麗になっています。
痒みもだいぶ引いたそうです。
このような症例には当院が開発したスキンケアとサプリメントが非常に有効です。
当院で開発したスキンケア&サプリメントは以下のオンラインショップでお買い求め頂けます。
【症例報告作成者】 看護士 長尾
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【獣医師の解説】
アポキルを1日1回1年継続しての現状のため、相当な難治性に入ります。
ウェスティの脂漏症はアポキルがでる以前から治療が難しく、当院でも苦戦してきた過去がありますが最近はアプローチ方法を変えることで随分改善できるようになっています。
こういった症例の治療を成功させるポイントの1つは、「痒みを抑えるために痒み止め内服を使う」という認識をやめることかと思います。
仮に「痒みを抑える」という視点でアプローチすると、古くからあるのは「ステロイド」であり、今はアポキルという副作用が非常に少ない選択肢があります。
ステロイドが長期使用で副作用がでやすいことを考えると、今の皮膚科がアポキル一辺倒になるのはやむを得ないのかなと思います。
そしてこのステロイドやアポキル以外で痒みを抑えるとしたら同じく古くからある「抗ヒスタミン剤」や「免疫抑制剤」があります。
しかし抗ヒスタミン剤による痒みの軽減効果はかなり限定的で、実際このウェスティの症例も「アポキル+抗ヒスタミン剤」だったので重症例で明らかな改善は期待できません。
免疫抑制剤についてはアポキル登場以前はよくつかわれていたようですが、飲みにくさや痒みを直接的に止める作用が弱い&効果がでるまで時間がかかるなどの理由もあり、アポキルの登場により敬遠されがちで、当院に転院されるわんちゃんで免疫抑制剤を使っている症例はほとんど見かけなくなりました。
今回の症例は最も使えるアポキルで改善しないというのがスタートラインとなっています。
ではどうすればいいのか?
ここで「痒みを止める内服薬」という視点をメインにしないようにします。
次に目を向けるのは「重度の脂漏」です。
なぜこんなにひどい脂漏が起きているのか?、脂漏をどう抑えるか?を考えます。
原因が2つあるのですが、この原因は初診時にわかります。
抑える方法はアポキルではなく、別の方法を2つ使います。
そう、今回はステロイドもアポキルも使わず治療プランを組み立てています。
※厳密には初診時に胃腸炎+発熱があり新しい治療プランのスタートは2週目からとなりました。
それでもたった2ヵ月でここまで改善できるので、痒み治療はアポキルだけではなく、症例に合わせたアプローチが必要ということです。
以下まとめ。
今回の症例の大きなポイントの1つは、内服治療にアポキルもステロイドも使わずここまで改善する治療プランが存在することです。
2つめのポイントは、初診時に脂漏症の原因が2つわかり、それに対して治療プランを組み立てることができることですね。
投稿者:
2018.09.30
当院を受診できない遠方にお住いの方にメールと写真で継続する遠隔診療を提供している皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
以前にも報告した通り、今年の夏は「山口県」と「北海道」に往診に行きました。
原則として「直接診るのは1回だけ」という背水の陣で臨みますので、往診に行くからには改善の確信を持って伺っています。
もちろん今回の2件とも「いける」という確信をもって伺いました。
そしてその2件のその後ですが、まだ治療中とはいえ十分な改善が認められたようです。
1件は心因性の掻き壊し・舐め壊しのチワワちゃんで、掻き壊しを防ぐために誰かが家にいなければならず、1人では買い物にも行けないというものでした。
もちろん治療の目標は掻き壊しをなくすのは当然で、「わんちゃんが留守番して買い物ができるように」ということも目標にいれました。
まだ治療して1カ月ですが、十分に改善が認められたようで、①一番の問題だった口唇の痒みはほとんどなくなり、②短時間でも留守番ができるようになったということでした。
2件目のわんちゃんは写真を見るのがいいと思いますので、紹介させていただきます。
【症例】
柴犬
【経過】
〇アポキルを1日1回をずっと継続しているにも関わらずよくならない
〇過去には心因性の治療として抗不安薬の投与もしたことがある
〇甲状腺ホルモン剤も服用中
最初に相談メールをいただいたときのお写真がこちら。
柴犬のよくあるタイプの1つです。
もちろんこの時点で「今まで治らなかった理由」と「どうやったら治るのか」はわかるのですが、追加でいただいた昔の写真をみて確信を得ることができました。
これは「アポキルでよくならない決定的証拠写真」です。
実際に往診に伺うときには治療方針は決まっていたので、お薬をもって出発です。
そこから約1か月後。
痒みも随分と落ち着き、毛も再生してきました。
また心因性の痒みもあるため、心因性の投薬治療を追加したのですが、「改善あり」という判定でした。
今回の症例にはいくつか評価ポイントがあります。
1つは、「なぜアポキルが効かないのか?」ですね。
2つは、「なぜ心因性の治療に効果がでたのか?」です。
2つ目の理由は非常にシンプルで、「その他の治療方針がパーフェクトだから」です。
心因性の治療はその他の治療方針にわずかでもズレがあると、まったく改善しなくなることがあるため、心因性以外の皮膚トラブルの診断・治療が上手くいっているときに実施しなければ評価が難しいです。
あとは順調に回復するのを待つだけです。
年末にはフワフワ&サラサラを期待しています♪
1つめの「アポキルが効かない理由」は当院で実施している個別セミナーで紹介しています。
診療提携をご希望される動物病院はお問い合わせください。
投稿者:
2018.09.22
アトピー・アレルギーなどアポキルが効果を示す痒い皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
痒みに対する画期的な新薬アポキル(オクラシチニブ)が発売されて3年目、当院ではアポキルが効く症例に「どうしたらアポキルを減らせるか」という治療を積極的に行っています。
今回紹介する症例は「アポキルが非常によく効く症例が、アポキルを使わなくてもよくなった」という非常に面白い症例です。
【症例】
プロットハウンド
【経過】
過去に1度紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
2018年3月16日 アポキル&アミノ酸系食事療法で改善しない①
2018年5月21日 アポキル&アミノ酸系食事療法で改善しない②
まず初期治療で改善したあと、継続治療で来院された今年7月の状態を紹介します。
基本治療は初診時から変わらず、ポキル1日1回服用を含めた継続治療をしていましたが、夏に入ってやや痒みが増えたということでした。
初診時のような皮膚の悪化はないのですが、当初の想定よりフケが残るなど皮膚コンディションに違和感があったので、ある治療を併用することを提案してみました。
「ある治療」を併用して6週間後の状態と比較してみましょう。
※Beforeは初診時ではなく、ある治療を加える直前(当院継続治療中)の状態です。
見違えるような改善です。
どのくらい改善したかというと、「アポキルを飲んでないのに痒くない」というレベルです。
過去の経過と基礎疾患のことを考えると「今後もアポキルはゼロで」となるわけではないのですが、今後はアポキルの服用量は半分(2日に1回)以下になると思います。
今回のポイントは「アポキルが効く=アポキル継続」ではないことです。
アポキルの効果が部分的(限定的)なときはもちろん、例えアポキルが効いていても、より根本的な治療法が残っている(見落としている)可能性もあるということです。
参考までにこの症例の初診時にこの追加治療のプランを提案していたか?というと、「今後の追加治療の選択肢として〇〇〇の治療がある」しっかりと伝えていました。
最初からすべて併用するという治療プランもいいのですが、どの治療がどれだけ効果を示すのか、という点ではアプローチのタイミングを分けるのは飼主さまにとってもメリットのあることだと思います。
決して「アポキルが不要になる治療薬」ではなく、すべての症例に同様に効くわけではないのですが、適応になる症例を診極めることができれば、皮膚病の根本的治療の1つになりうる治療法だと考えています。
アポキルの効果が不十分であったり、アポキルを減らすための治療に悩んでいる方はぜひ当院を受診してください。
投稿者:
2018.09.11
アポキルが適応となるアトピーや脂漏症・マラセチア性皮膚炎など痒い皮膚病治療に力を入れている皮膚病治療専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
日本でアポキルが発売されて3年目の夏ですね。
飲みやすく、即効性があり、長期的な副作用が非常に少ないということで「痒い皮膚病=アポキル」という方程式が成り立つようになりました。
当院でも「まず無難にアポキル」の選択肢はありだと思っています。
しかし今までのブログで何度も書いてきたように、「どんな痒い皮膚病にもアポキルが効くわけではない」というのはあるため、アポキルは選択肢の一つにしかすぎません。
今日紹介するのは長期間アポキルを服用していたが、別のお薬に変更することによって改善した症例の紹介です。
【症例】
ペキニーズ 7歳 女の子(不妊手術済)
【経過】
〇発症は通年性だが、梅雨~夏の季節性の悪化も認める
〇全身がべったり、臭いが強い
〇舐める・掻くといった痒み症状
それでは初診時ではなく、当院で1年半治療している状態を紹介します。
治療内容は1カ月に1回の院内薬浴と、アポキル1日1回投与を基本としています。
続いて、お腹とその拡大です。
同じくお腹の陰部周囲の拡大です。
続いて、右後ろ足の膝周囲の拡大と、やや内股の写真です。
続いて、右後足の足首付近です。
この時点まで1年半、内服治療はアポキルでしたがこの時点からアポキル1日1回を中止し、別の投薬治療に変更しました。
それ以外の食事療法、院内薬浴などの条件は一切かえていません。
投薬治療のみを変更して6か月後の状態と比較してみます。
皮膚コンディションの改善が明らかに認められました。
赤み・色素沈着ともに大きな改善が認められます。
また脂漏・臭いについてもかなり改善があり、飼主さまからも「明らかに臭いがへった」と評価していただけました。
さらに投薬治療を切り替えた半年前がちょうど2月の真冬で、6か月後の比較後の写真が8月の最も悪くなる季節であることを考えるとかなりの改善と評価できます。
今回のポイントですが、「痒い皮膚病=アポキル」ではないことを改めて実感することができました。
思い返せばこの症例が初診で来院したときがアポキルの発売時期で、初診から3週目からアポキルを使い始めました。
そのときはほぼすべての皮膚疾患をアポキルがカバーできると思っており、この症例でも同様に効果的だろうと判断していました。
しかしアポキルが発売されて2年を越えて今思うことは、「アポキルは脂漏症には部分的な効果しか示さない」です。
アポキルによって痒み症状は緩和できるとは思いますが、脂漏症にはもっと効果的なお薬があります。
それでもアポキルでもいいのですが、治療の選択肢として把握しておくことは重要だと思います。
今回の治療内容の変更については提携病院にメールで配信予定です。
投稿者:
2018.09.06
シーズーのアトピー・マラセチア性皮膚炎・脂漏症など、痒い皮膚病の治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
シーズーの皮膚病は本当に治しにくい場合があります。
あのアポキルでしっかりコントロールできる症例もいますが、そうでない症例も相当数いるかと思います。
今日はそんな「アポキルでは抑えきれないだろう」というシーズーの皮膚病症例です。
【症例】
シーズー 8歳
【経過】
〇3年前から皮膚トラブルで、通年性(季節による改善はほぼなし)
〇外用ステロイドスプレーによる改善なし
〇痒み(四肢なめる・内股舐める)がひどいため、常時エリザベスカラーを装着している
それでは初診時の状態、まずは正面から。
続いて、胸部~わき。
同じく左わきの拡大。
続いて、内股です。
病変部の確認と、治療成績向上を兼ねて毛をカットしました。
続いて、右わき(毛カット後)です。
続いて、内股です。
毛をカットしたあと、そのまま院内薬浴を実施しましたので、その実施直後の状態を紹介します。
まずは胸部。
続いて、左前腕です。
同じく左前腕の内側です。
同じく左前腕の外側です。
続いて、内股です。
続いて、右後足の膝~スネあたりの写真です。
今回はここまでです。
とういうのも、つい昨日来院されたため、2回目の診察はまだ先です。
このタイプ、一見シーズーの典型症例にみえるかもしれませんが、ちょっとイレギュラーです。
そのためシンプルななアポキル&シャンプーでは抑えきれないものがあります。
初診時にどの部位を、どう評価するのか?
そしてどの治療方針を選ぶのか?
この一番大事なポイントは提携動物病院にメールでお知らせします。
この症例は初診時の「診た目」に特徴があるので、「アポキル&シャンプーではない」理由がわかるタイプです。
提携をご希望の方は、お問い合わせフォームよりご連絡ください。
投稿者: