2015.12.05
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
1年最後の12月、月日が経つのが早いと感じますね。
去年の自分に今の自分が想像できたのか?と考えると、来年の自分のポジションすらわかりません。
この数年はこの「社会におけるポジション」という言葉に振り回されて走り続けている自分がいます。
日々悩みはつきませんが、走り続けるための症例報告をします。
平成27年10月28日のブログ 【診極め】チワワの脂漏性マラセチア性皮膚炎 で紹介した症例の治療経過です。
本日平成27年12月5日に受診されたので、比較してみたいと思います。
初診時の状態は比較写真だけでなく、前回の記事もご参考にしてください。
当院受診までの経過は数年間に及び、当院は4件目の動物病院でした。
※画像をクリックすると大きくすることができます。
まずは顔の正面から。
続いて、下顎~頚部です。
若干小さいので、下顎の部分だけ単独で拡大してみましょう。
続いて、前肢です。
続いて身体の側面と、その拡大です。
赤み、痒み、臭いすべてクリアでほぼ症状はありません。
治療にかかった期間はわずか6週間、初診時に提案した検査項目・治療方針以外の追加・修正はなく、一寸の狂いもありませんでした。
前回の記事で黒チワワちゃんの症例も紹介したのですが、同じく痒みのコントロールができており順調です。
ただ被毛がまだ十分に再生していないので、もう少し先に紹介しようと思っています。
適切な医療に併用する大事なポイントはスキンケアとサプリメントです。
投稿者:
2015.10.31
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
明日はいよいよ下町ロケットですね!
楽しみな反面、なんだか内容が苦手な方向に向かっていきそうな気もしなくもありません。
というのも予告CMで「諦めていた夢をもう一度・・・」な流れがあり、従業員が辞める?(帝国重工の引き抜き?)みたいな
流れが紹介されていました。
従業員の同意の得られない事業計画を推し進めて従業員が辞める・・・なんてストーリーになるのでしょうか?
零細企業とはいえ従業員を雇用している立場として、同じ思いになれるのだろうか?・・・なんて一人で勝手に悶々としています。
人生でこんなにドラマに夢中になったの初めてです(笑)
さて、今日紹介するのは・・・
第1回 ⇒ 初診時のブログ9月12日来院
第2回 ⇒ 1週間後のブログ9月19日来院
第3回 ⇒ 2週間後のブログ9月27日来院
と過去に3回掲載しているミニチュアダックスの重症皮膚炎の治療経過です。
それでは本日10月31日に来院されたので、初診時の状態と比較してみましょう。
初診時から7週間後、わずか2ヶ月弱です。
※画像をクリックすると大きくすることができます。
サラサラの美しい被毛が再生しています。
初診時から積極的な治療を開始し、わずかな修正もなく想定どおりの最短ルートで改善しました。
治療成績がよく通院頻度も4週間に1度まで減っていますので、ここで一旦区切りとして症例報告は終了です。
継続さえしていれば、もう初診時のようなことになることはないでしょう。
「アグレッシブに美しく」、初診時の診極めが重要です。
投稿者:
2015.10.28
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
先日のブログで「休日はスイッチをOFFに」とか言ってましたが、今週の休日は事情により明日の午後にスイッチを切る予定です。
実質の休日は半日ですが、麻衣子先生と素敵な半日を過ごしたいと思っています♪
では初診時の診極めの新しい症例です。
チワワによく認められる難治性になる典型的な皮膚病です。
実はもう1症例同じ時期に、まったくタイプのチワワの症例が来院されましたので、同じく紹介します。
皮膚病をみるときに教科書的な診断名からアプローチすると「間違ってはいないけど改善しない」という迷走につながることが多々あります。
大事なのは
体質 × 診断名 = 表現形
というイメージを持って初診時に診ることです。
すると診断名のもつ意味が違ってきます。
僕がよく「教科書だけでは治らない」といっているのはこのことです。
教科書には間違ったことは書いていないのですが、治療に大事なことが書かれているとは限りません。
そのため臨床家は「読む」ではなく「診る」が大事なんですね♪
痒みの改善に必要なのは1週間
ベタベタの皮膚がサラサラになるのに2~4週間
被毛がフワフワになるには2~3ヶ月
必ず改善できます。
投稿者:
2015.10.21
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
下町ロケットを見て以来なんだかやる気がでてきています。
普段であれば数日でスイッチが切れることも多々あるのですが、週1ドラマのおかげでしばらくテンション高く維持できそうです(笑)
ではやる気になった僕は何をするのか?
そういえば・・・ではないのですが、毎年「来年は何をしよう」と明確な目標を立てるようにする習慣があり、過去には
平成25年(一昨年)に考えたこと ⇒ 移転しよう! (平成26年6月移転)
平成26年(去年)に考えたこと ⇒ 自宅でできるスキンケア・サプリメントを全国へ (平成27年6月実現)
今年もあと少しですが、来年に向けた新しいチャレンジを絞り込む時期になりました。
色々考えていたことがあったのですが、実現可能かな?と手ごたえを感じるものがあるので、来年の目標は決まりました♪
「閃きは確信へ」というほどではないのですが、いけそうな気がします。
さて、今日は以前から継続で掲載しているパグちゃんの治療経過です。
第1回 ⇒ 初診日 平成27年8月26日
第2回 ⇒ 再診日 平成27年9月8日
第3回 ⇒ 再診日 平成27年9月25日
そして本日紹介するのが、 平成27年10月16日の状態です。
もうすでに良くなっている途中なので、すべての部位ではなく主要な部位だけ掲載します。
※画像をクリックすると拡大してみることができます。
正面からみたらもう皮膚病の面影はほとんどありません。
初診時に「3ヵ月後にはパグらしい雰囲気に」とお伝えしましたが、2ヶ月またずにほぼ改善したといえます。
ここからは100点ではなくとも、どう簡単に維持管理するか?が重要になります。
よく書いていますが、「改善させるための治療法」と「悪くなった原因」は違うこともよくあるため、これからの治療は「悪くなった原因をいかに長期的にコントロールするか」にかかっています。
なので初診時と同じことを続けているだけではいけません。
徐々に治療の方向性をシフトしていきます。
このパグちゃんの症例報告に関しては一旦終了です。
投稿者:
2015.10.06
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
冬につづいて一番好きな秋になりましたね♪
今日紹介するのは、8月から診ているパグちゃんの症例です。
第1回8月26日 ⇒ パグの皮膚病 ~脂漏性皮膚炎の治療方針~
第2回9月8日 ⇒ パグの脂漏性皮膚炎 ~診断は後からついてくる~
少しタイムラグがでてきていますが、最新の状態を比較でお伝えします。
※画像をクリックすると大きくすることができます。
初診時からわずか6週間ですが、痒みだけでなく皮膚コンディション、被毛ともにかなり正常に近づいています。
重要なことは、初診時にここまでの軌跡を描けるか?です。
初診時に考えることは3つ
①必要な検査は何か?
※想定できる病気は限られていますので、その評価をします。
②最速の改善方法は何か?
③想定される治療法は何か?
です。
・・・・・・②と③、同じように聞こえるかもしれませんが、実は違います。
初診時から行うべき「最速の改善方法」と、この皮膚病の治療法は違います。
もちろん「最速の改善方法」も広い意味で治療法の1つといえなくもありませんが、長期的にみるとこの初診時から行う「最速の改善方法」はもうしばらくすると必要がなくなってきます。
必要ではなくなるものとしては「病気の原因に対する治療法」とはいえないので、初診時に必要なことは「皮膚病の原因になっていたものに対する直接的治療法ではなく、起きてしまったことに対する修正方法」ともいうべきでしょうか。
以上のことから検査結果をみることもなく、初診時から積極的なアプローチをしかけます。
第2回の記事にあるように、検査結果が出揃い診断が確定に近づくころにはすでに改善が認められます。
教科書上は①と③しかありませんが、臨床で必要なことは②です。
②がなければ理論上、教科書上正しくてもうまくいかないことすらあります。
治る皮膚病と治らない皮膚病・・・・・・日本全国に同じ教科書があり、情報が浸透する時代にも関わらず難治性皮膚病が生まれる理由の一つは、教科書に②が書いていないからだと思っています。
投稿者:
2015.10.05
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
10月3日(日)午後に、獣医師向けの1対1のシークレットセミナーを行いました。
5時間を越えたセミナーだったのですが、休憩はトイレタイムのみという頭フル回転のアドレナリン全開でしたので、先々週に引き続きヘトヘトになってしてしまいました・・・(苦笑)
休診日に体調を戻そうと思います。
では、少しタイムラグができてしまいましたが、先月から継続しているミニチュアダックスの治療中の症例を紹介します。
1回目 ⇒ 初診日(9月12日)に掲載したブログ
2回目 ⇒ 1週間後の再診(9月19日)に掲載したブログ
そして本日は9月26日のときの状態を掲載します。
すべての病変ではありませんが、ほぼ全体がわかるかと思います。
※写真をクリックすると拡大してみることができます。
本当に綺麗になってきています。
あとは被毛の再生でしょう。。
週1回の診察は必要ないレベルまできたので、次回は2週間後としています。
初診時に描いた通りの改善で、今のところ修正点はありません。
投稿者:
2015.10.03
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
やはり普段慣れていない仕事をすると体力の消耗が大きいようで、9月23日の東京での遠隔診療後はしばらく疲労困憊で日常の診療をこなすことが精一杯でした。
しかしようやく回復してきたので、ブログも再開です。
今日は、この夏から取り組み始めた遠隔診療についてご紹介します。
遠隔診療というのは当院に通院が難しい遠方にお住まいの方に向けた当院の医療のサービスの一つです。
初診を実際の診療として行い、継続をメールと写真で行います。
通院にかかる時間がなくなるため、遠方からでも当院の医療サービスが可能になります。
もちろんメリットばかりではなく、「診る」ことに点で通常診療に比較してかなりの制限があるため、通院治療より治療成績が落ちる可能性も十分にあります。
むしろかなり危険なチャレンジで、お勧めしたいわけではありません。
ただ、それでも典型例であれば困っている飼主さまのご期待に沿いたいと考えてチャレンジしています。
今日紹介する症例は石川県にお住まいで、8月1日に初診として診察し、約7週間メールと写真のみで継続治療したトイプードルのわんちゃんです。
【症例】
犬 トイプードル 3歳10カ月 女の子
【経過】
〇2年前から痒みを伴う全身の皮膚病
〇当院受診までの治療
インターフェロン注射、 コルタバンススプレー、ステロイド錠剤、抗生物質
エピスースー、アルミデルシャンプー
それでは初診時の写真、そして毛をカットした後の状態も合わせてみてみましょう。
まずは顔。
続いて左耳。
続いて、頚部とその拡大。
わかり難いので、毛をカットした状態とその拡大です。
続いて、頚部の左側面です。
同じく頚部左側面の毛をカットした状態です。
続いて、右前肢です。
肘~上腕
左前肢の甲。
甲の拡大です。
右前肢の毛をカットしてみましょう。
続いて、胸部とその拡大です。
さて、初診時に最も大事なことは・・・・・・なんでしょうか?
検査をすることでしょうか?
検査をしないわけではありませんが、最も大事なこととは違います。
そう、「診極め」でしたね。
検査結果のいかんにかかわらず1~3ヵ月後までの軌跡を描きます。
もちろん検査は重要ですが、診るチャンスは1度きり、初診こそが最も重要です。
初診時にたてた治療計画で修正することなく迎えた7週間後の2回目の受診のときと比較しましょう。
非常に綺麗に改善しています。
完治するタイプではないので治療は継続です。
飼主さまからは、
「1ヶ月で劇的に皮膚の状態は良くなり、性格も明るくなりました
とても嬉しく思います。」
というメールをいただきました。
この数年の僕のテーマでもある「初診時の診極め」の究極の形だと思います。
※遠隔診療の問題点
すべての症例を改善させることができるというわけではありません。
やはり情報を収集する機会が非常に少ないため、修正することが難しいため、後手後手になることもあります。
ただ純粋にお役に立てるチャンスがあれば役に立ちたいという思いで行っています。
投稿者:
2015.09.19
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
虫の音を聞きながらブログを書いているのですが、仕事のようで癒される時間にもなっているので、最近はブログを書くのがとても楽しみになっています♪
今日は1週間前に書いたブログの続きで、9月12日(土)に初診で来院されたミニチュアダックスの症例の1週間後(今日)を紹介します。
以下の写真は画像をクリックすると拡大してみることができます。
非常に綺麗に改善しています。
痒みもほとんどない!とおしゃっていただけました。
注目すべきは1枚目の写真の「尾」なのですが、「しっぽブンブン♪」でとてもご機嫌で来院してくれました。
飼主さまも痒みが劇的に改善したことにも驚かれていましたが、「とても元気になりました!」と喜んでくださいました。
次回のブログでは最近取り組んでいる「次世代遠隔診療」の結果を紹介しようと思います。
遠隔診療とは、遠方で継続診療が困難なわんちゃんに、初診のみ実際に診て、継続診療はメールと写真添付で行うというものです。
まさに「初診時の診極め」の究極の姿でもあります。
そのわんちゃんの飼主さまは石川県にお住まいで、事前にメール相談でお問い合わせがあり先月8月1日に初診として来院されました。
そして9月19日の今日が2回目の来院となりました。
10年、20年後のスタンダードになるだろう遠隔診療の実際をご紹介したいと思います。
投稿者:
2015.09.12
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
台風が過ぎ去り大空が広がると夏の雰囲気もあり、、夜の肌寒さが秋の訪れを感じさせとても心地いい季節ですね♪
さて、今日は少し珍しいミニチュアダックスフンドの慢性脂漏性皮膚炎の「診極め」です。
本日9月12日が当院の初診、過去に4年間で4件の動物病院での治療歴があります。
それでは「今日」の状態をみてみましょう。
獣医師としては失格ですが、診ているだけでも胸が痛くなります。
目やにがついているのが珍しいわけではありませんし、病気で目ヤニがでていることくらい獣医師なのでわかるのですが、表情をみていると悲しい顔で泣いているようにもみえてしまいます。
獣医師としては感情を抑えて病気と向き合わないといけませんし、心の甘さは痛い目に合う要因になるため気を引き締めて望もうと思います。
必ず綺麗に改善させます。
では今後の予定です。
毎回お伝えしていますが、こういった症例をみるときは頭の中でいくつかパターンをつくります。
検査は絶対に見落としてはいけない疾患の判定と、初診時に描いたいくつかのパターンの仕分けのために行います。
仮診断は本日行った検査結果が出揃う1週間後を予定していて、次回の再診時に検査センターに提出する項目もありますし、一部の疾患の検査は「ある程度皮膚が改善してから最終判断」としているので、4~8週間後に確定に近い診断が出せると思います。
ですが治療は今日から始まっています。
次回1週間後の再診時には明確な改善がでていると思います。
1ヵ月後にはわんちゃんも元気になり、表情も変わっていると思います。
四季の森どうぶつクリニック
平川将人
投稿者:
2015.09.08
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
随分と涼しくなっているのですが、雨が続いているせいか湿疹に悩まされるわんちゃんが多いですね。
今日は湿疹の話ではありませんが、同じく気温・湿度が高い時期に悪化しやすい脂漏性皮膚炎のわんちゃんの紹介です。
8月26日に掲載したパグの脂漏性皮膚炎の症例のその後です。
【症例】
パグ 約5歳 男の子(去勢済み)
【病歴】
〇生後6ヶ月すぎからの皮膚病
〇季節性の悪化あり
〇食事療法で改善なし
〇免疫抑制剤は嘔吐する
〇アレルギー検査済み
では初診時の状態です。
前回の記事は初診のあとに作成し、このようにまとめました。
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獣医師としては初診時に何を考えるか?
大きく2つ、診極めることが重要です。
1つは、初診時に鑑別診断としてどのような病名・病態を候補にし、優先すべき検査が何かを判断することです。
2つ目は同時に治療方針が何か、検査結果の如何にかかわらず初診時に想定できていることです。
検査結果が予測不可能な結果であることはほぼないため、検査結果で初診時の想定した治療内容が考え直されるようなことはほぼほぼありません。
1ヶ月後には臨床症状(痒み・フケ)の改善と皮膚機能の正常化が認められ、3ヵ月後にはパグらしい雰囲気になっていると思います。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
この初診からわずか3週間後の状態を比較してみましょう。
画像をクリックすると拡大してみることができます。
ほとんどの痒みは改善しました。
フケ・臭いも90%以上改善しています。
皮膚もやわらかく、しっとり肌に再生しています。
あと1~2ヶ月後にはふわふわの被毛が再生していると思います。
このわんちゃんも検査結果は2回目の再診時、4回目の再診時にわけて説明し、皮膚がきれいに改善したところでようやく確定診断となりました。
大事なのは初診時に何を選択するのか?
必要な検査の選択、そして治療法の選択、ほとんどの症例で初診時に診極めことが可能です。
検査結果を想定しながら初診時から積極的な治療法を選択することができれば、わずか3週間で見間違えるほど改善することができます。
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