症例別

【皮膚科専門外来】フレンチブルドッグの皮膚病治療

2014.02.01

こんにちは、四季の森どうぶつクリニック獣医師平川です。

さて、今日はフレンチブルドッグの難治性皮膚疾患についてです。
「痒みが強く、なかなか治らない」と当院の皮膚科診療を受診される中でも多くを占めるのがこのフレンチブルドッグですが、今回紹介する症例はそんなフレンチブルドッグの難治性になり易い典型的な皮膚疾患の1つです。

【症例】

 フレンチブルドッグ 3歳10カ月 女の子

【過去の病歴】

 〇生後1歳前からお腹の湿疹の再発を繰り返す
 〇2歳ごろまでは、抗生物質と痒み止めの2種類で改善していた
 〇但し、内服をやめるとすぐに再発する
 〇この1年は赤い湿疹だけでなく、皮膚がめくれるような脱毛が全身に広がる
 〇痒みは非常に強い(頚部、ワキ、腕、お腹~お尻、顔、耳、四肢端)
  ※痒みがないところはない

さて、初診時の状態です。

まずは顔正面から。

つづいて、右の顔の拡大です。

これでは皮膚病のようにみえないかもしれませんが、非常に痒い部位の一つです。
細かい白いフケがあり、べたつきが認められます。

続いて、左耳です。

続いて、左半身です。


※画像をクリックすると拡大できます。

病変を分かり易くみるため、斜め後ろからみてみましょう。

斜め後ろからみると、病変の数が多いことがわかりやすくなると思います。

その一つを拡大してみましょう。

同じように右半身をみてみましょう。


※画像をクリックすると拡大できます。

続いて、四肢端ですが四肢に同じ病変が認められるため1つだけみてみましょう。

この指の間をそれぞれ拡大してみましょう。


※画像をクリックすると拡大できます。

続いて、足の裏です。

続いて、胸部(腹側)です。

続いて腹部です。

同じく、腹部の病変部がある拡大です。

左内股の拡大です。

最後に、左内股の拡大です。

これが難治性皮膚疾患のフレンチブルドッグの典型の1つです。

さて、ここから治療後の状態と比較してみましょう。


※画像をクリックすると拡大できます。

赤みが少ないのでわかりにくいかもしれませんが、毛並みが綺麗になっていることが皮膚コンディションが改善している証拠です。

続いて、左耳です。


※画像をクリックすると拡大できます。

続いて、左右から状態です。


※画像をクリックすると拡大できます。


※画像をクリックすると拡大できます。


※画像をクリックすると拡大できます。


※画像をクリックすると拡大できます。

続いて、四肢端の比較です。


※画像をクリックすると拡大できます。


※画像をクリックすると拡大できます。

続いて、胸~腹部~内股です。


※画像をクリックすると拡大できます。


※画像をクリックすると拡大できます。


※画像をクリックすると拡大できます。


※画像をクリックすると拡大できます。


※画像をクリックすると拡大できます。

この比較写真に要した治療機関はわずか6週間です。

ただ完治ではなく、今でも継続治療を行っています。

大事なことはフレンチブルドッグを知ることです。

教科書的に診断名を当てはめて、治療を選択しても治らないこともめずらしくありません。

それは「木を見て森を見ず」と同じことで、本質的なところの評価が不十分といえます。

やはりフレンチブルドッグには他犬種にはない独特の体質があるため、それにあった病変の診方、治療選択肢があります。

フレンチブルドッグの体質をよく知る

これに尽きます。

 

四季の森どうぶつクリニック
獣医師 平川将人

 

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

【犬の皮膚科専門外来】トイプードルの脱毛症

2014.01.21

こんにちは、四季の森どうぶつクリニック獣医師平川です。

今回はトイプードルの脱毛症の治療症例を報告します。

トイプードルは難治性皮膚病になり易い犬種ではありませんが、近年は人気犬種として飼育頭数が多いため、皮膚病の来院数としても多くなってきています。

【症例】

 プードル 12歳 女の子

【病歴】

 〇2年前から背中~頚部の脱毛とフケ

初診時の状態です。

背中の被毛の薄い部分を拡大してみましょう。

カルテの条件とこの初診時の診た目でいくつかの疾患をピックアップすることができます。

あとは1つ1つ丁寧に精査すれば確定診断までそう難しくはありません。

初診時から3ヶ月後の状態と比較してみてみましょう。

100%の状態まで被毛が再生しました。

被毛の数だけでなく、トイプードルらしい美しい被毛が再生しています。

普段あまり診断名まで言及しませんが、中高齢のトイプードルでこのような被毛の減少を感じている方は意外と多いのではないかと思うので、少し解説を加えていきます。

多くの飼主さまが『年をとったから・・・』と見過ごされていることも多いかと思いますが、これは内分泌疾患(ホルモン疾患)の一つです。

犬の中高齢のホルモン疾患といえば、甲状腺機能低下症と副腎皮質機能亢進所(クッシング症候群)そして性ホルモン過剰症などを鑑別診断として挙げられます。

内分泌疾患を疑ったときに行うべき検査は、

 〇一般血液検査(貧血、肝臓、腎臓・・・などなど)
 〇甲状腺ホルモン測定(血液中のホルモン濃度測定)
 〇副腎皮質機能検査(血液中のホルモン濃度測定)
 〇超音波画像検査(副腎、甲状腺、卵巣)
 〇尿検査

です。

なぜすべて必要か?

それは病気を1つ見つけただけで終わってしまうと「木を見て森を見ず」になってしまうためです。

心理学的にも陥り易いことですので非常に難しいところですが、

 『(簡単に)見つかった異常所見にとらわれてしまい、その奥に隠された本質(本当の病気)を見落とす」

が起こり易いのがこの内分泌疾患です。

近いうちにそういった「木を見て森を見ず」で難治性となってしまった症例を紹介しようと思います。

四季の森どうぶつクリニック
平川将人

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

【犬の皮膚科専門外来】シーズーのマラセチア性皮膚炎

2014.01.19

こんにちは、四季の森どうぶつクリニック獣医師平川です。

今日は、ここ最近の中でも最も「必ず美しく治す」と強く意識した症例の1例です。

【症例】

 シーズー 5歳10カ月 女の子

【病歴】
 〇~2歳までは皮膚病なし
 〇3年前から痒みを伴う皮膚病を発症し、年々悪化している
 〇2年前からは皮膚科のある動物病院で『漢方』を含めた4種類の内服を継続しているが、改善なし

それでは初診時の状態を見てみましょう。

まずは正面から。

続いて、右側面。


※画像をクリックすると大きくなります。

続いて、頚部とその拡大2枚です。

続いて、顔・頚部を右側面から見てみます。

続いて胸~前胸部、ワキです。

続いて、右胸側面です。

続いて、右前肢です。

この右前肢の被毛をカットして、皮膚の状態を詳しく見てみましょう。

続いて、腹部を診てみましょう。

続いて、右後肢を外側(3枚)、内側1枚)見てみましょう。

この右後肢の被毛をカットして皮膚の状態を詳しくみてみましょう。

それでは初診時から約7カ月後の状態を比較してみましょう。

まずは右側面全体から。


※クリックすると画像が大きくなります。

続いて、頚部とその拡大です。


※画像をクリックすると大きくできます。


※画像をクリックすると大きくなります。

続いて、右顔~頚部とその拡大です。


※画像をクリックすると大きくなります。


※画像をクリックすると大きくなります。


※画像をクリックすると大きくなります。

続いて、右胸側面の比較をみてみましょう。


※画像をクリックすると大きくなります。

続いて、胸部~前胸部、ワキの比較です。


※画像をクリックすると大きくなります。

続いて、右前腕の比較です。


※画像をクリックすると大きくなります。

皮膚が正常機能を取り戻した結果、非常に綺麗な被毛になっていることを証明するために、飼主さまの許可を得てカットさせていただけたので、あえてこの写真の状態からバリカンでカットした後の皮膚コンディションの比較もご覧ください。


※画像をクリックすると大きくなります。


※画像をクリックすると大きくなります。


※画像をクリックすると大きくなります。


※画像をクリックすると大きくなります。


※画像をクリックすると大きくなります。


※画像をクリックすると大きくなります。

続いて、腹部の比較です。

続いて、右後肢の比較をご覧ください。


※画像をクリックすると大きくなります。


※画像をクリックすると大きくなります。


※画像をクリックすると大きくなります。

この右後肢も飼主さまにご協力いただきバリカンで被毛をカットし、皮膚のコンディションの比較をみてみましょう。


※画像をクリックすると大きくなります。


※画像をクリックすると大きくなります。

非常に綺麗になりました。
被毛が再生した、というレベルではなく皮膚そのものが正常な機能を取り戻し、美しい被毛をつくりだしています。
飼主さまも「被毛が長くなるのが早くなった」といいますから、いかに過去の状態が異常だったのか、そして皮膚が正常に戻ろうとする力をうしなっていなかったかがわかると思います。
当院のスキンケアは本来備わっている「皮膚を正常に保とうとする力」で足りない部分をサポートしているだけです。

7カ月間、欠かすことなく週1回の院内薬浴(スキンケア)を受けていただきました。

色々な意味で大変だったと思うのですが、僕からも「徹底的に綺麗に治したいので、週1回を続けさせてください。」とお願いし、ここまで到達することができたと考えています。このレベルまで治療ができたのも飼主さまのご協力があってこそですので、本当に感謝の気持ちで一杯です。

シーズーは難治性の皮膚病になりやすいと言われており、この症例がまさに典型的な症状といえます。

 〇脂漏症
 〇アレルギー
 〇遺伝、体質
 〇マラセチア
 〇シーズーだから
 〇治らない
 〇シャンプーしかない

当院に来院される飼主さまの多くがこういった説明で諦めていた時期もあったと聞きます。
しかし、ここまで重症でも改善させる方法はあります。今のところ当院の薬浴(スキンケア)で継続治療して改善がなかったこのタイプのシーズーはいません。きっとこれからもこのタイプで改善できない症例はいないと思っています。
※シーズーの皮膚病がすべてこのタイプではありません。

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

【犬の皮膚科専門外来】パグの慢性皮膚炎の治療

2014.01.17

こんにちは、四季の森どうぶつクリニック獣医師平川です。

難治性の皮膚疾患に陥り易い代表犬種としてフレンチブルドッグ、柴犬、シーズーが挙げられますが、それ以外にも難治性になりやすい犬種がいます。
その一つがパグ、このパグという犬種も独特の体質をもっているため、犬種に合わせた視点をもたなければいい治療成績を引き出すことができません。

【症例】
     パグ 5歳 女の子 

【過去の病歴】

 〇10カ月前から皮膚病
 〇過去に3件の動物病院を受診し、改善なし
 〇ワキ、耳、お腹、顔、足先の痒み

それでは初診時の状態を見てみましょう。

まずは顔の左側、その拡大です。

続いて、顔の左側です。

続いて、左耳です。

続いて、両前肢です。

左右ともに同じ病変が認められるため、左前肢の上腕~ワキと、手首のあたりを拡大してみます。

ワキの部分を内側からみてみます。

続いて、腹部です。

10カ月改善が認められなかったこの初診時の状態から6週間後と比較してみましょう。

まずは顔から。

※画像をクリックすると拡大します。

※画像をクリックすると拡大します。


※画像をクリックすると拡大します。

続いて、左耳です。


※画像をクリックすると拡大します。

続いて、左前肢です。


※画像をクリックすると拡大します。


※画像をクリックすると拡大します。


※画像をクリックすると拡大します。

続いて、腹部です。

全身に脂漏を伴う慢性皮膚炎がありましたが、ほぼ綺麗に改善することができました。
パグの場合は遺伝的にこのような脂漏性皮膚炎が発症しやすい体質があると考えられるため再発がないとは言えませんが、完治に近い治療ができたと思います。

たった6週間という短い治療期間を可能にしたことも、初診時に改善までの道筋をほぼ正確に描くことができたからだと考えています。
治療しながら迷走してしまうと、数カ月単位の時間のロスが生まれてしまうこともあるため、初診時に病変をしっかりと診極めることが重要です。
また治療には院内のスキンケアを併用したことがもっとも効果的だったと思います。

四季の森どうぶつクリニック
平川将人

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

【犬の皮膚科専門外来】シェルティの慢性皮膚炎の治療

2014.01.11

2014年 謹賀新年

それでは、今年最初の症例報告です。

前回紹介したシェルティと同じ犬種ですが、同じ時期に来院された別のシェルティの慢性皮膚炎の治療症例を紹介します。

【症例】

7歳 シェルティ 女の子

【病歴】

 〇3歳のころから背中に痒みと痂皮・脱毛を伴う皮膚病で治療を継続している
 〇初回は抗生物質、抗ヒスタミン剤、ステロイド、抗真菌剤で治癒したが、2年前からは少しずつ悪化して今に至る
 〇最近は痒みが強く、よく眠れない

それでは症例をみてみましょう。

病変はまず左右の口唇の脱毛と痒みから。

若干わかりにくいかもしれませんが、口唇周囲に炎症・脱毛が認められます。

続いて背中全体です。

本来であれば立派な被毛で地肌が見えることはないのですが、脱毛が多く地肌が見えています。

この背中を拡大してみてみましょう。

では、続いて腹部です。

この腹部を拡大してみてみましょう。

続いて、四肢端の病変ですが、四肢すべてに同様の病変が認められたため、右前肢のみ掲載します。

それではこの指間を広げてみてみましょう。

※クリックするこどで拡大できます。

その他、両耳の外耳炎も併発しており、ほぼ全身に強い皮膚炎、痒みが認められました。

それでは、この状態から2カ月半後と比較してみましょう。

まずは右口唇から。

※クリックすると大きくなります。

ほぼ100%に近い毛並みまで回復したと思われます。

では拡大してみていきましょう。

※クリックすると拡大できます。

同じく背中の拡大です。

被毛をかき分けても綺麗で密な被毛が十分に回復してきました。

続いて、腹部です。

※クリックすると拡大してみることができます。

上記で拡大した病変部と同じ部位を比較してみましょう。


※クリックすると拡大して見ることができます。


※クリックすると拡大してみることができます。

最期に、右前肢端です。

同じく指の間をみてみましょう。

意外と治療が難しいのがこの指の間の皮膚炎かもしれませんね。

全身でもほぼ痒みがなく、そして元気にもなりました。

今回の症例の治療で大事なことは、この病変をみて病気のメカニズムを2つ考えなければいけないことです。

すべての病変部が同じ治療で改善するわけではありません。

そのことを初回にお伝えし、順に治療をステップアップしていくことで、スムーズな診療を行うことができます。

四季の森どうぶつクリニック
平川将人

 

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

【犬の皮膚科専門外来】シェルティの慢性皮膚炎の治療 

2013.12.25

メリークリスマス♪

こんにちは、四季の森どうぶつクリニック獣医師平川です。

今年もいよいよカウントダウンとなり、年内の症例報告も今回でラストとなります。

今日は難治性皮膚疾患になりやすい犬種・・・とまではありませんが、時々来院がある『シェルティ』の症例を紹介します。

【症例】

 犬 シェルティ 9歳 去勢雄

【病歴】

 〇2年前から全身の痒みを伴う痂皮と脱毛
 〇この2年間で綺麗に改善したことがない

さて、初診時の状態です。

一見全体に被毛があり、遠目には皮膚病のように見えないのかもしれません。

部分的に被毛をかき分けて診てみましょう。

まずは右の側面、肩のあたりです。

この写真でも被毛が薄く、炎症を起こし赤くなっている皮膚が見えます。

さらに被毛をかき分け拡大してみます。

局所ではなく、全体的にこの皮膚炎が広がっています。

続いて、腰背部辺りの被毛をかき分けで診てみましょう。

このあたりを拡大してみます。

右肩のあたりと同様です。

続いて頚部をみてみましょう。

頚部の拡大をみてみます。

続いて、腹部です。

その拡大です。

このような皮膚疾患の場合、治療の効率化と全身病変部の評価のため、被毛のカットが非常に重要となります。

被毛をカットした背中を上からみてみます。

胸部~肩付近の拡大です。

さらに拡大してみます。

同じく上からですが、腰背部の拡大です。

つづいて、右大腿部の側面をやや尾側からみてみましょう。

さて、お気づきかもしれませんが、胸部~肩の付近と大腿部の側面は病変部が非常に似ていませんか?

そしてそれら2カ所に比較すると、腰背部の病変は若干異なっているように見えます。

それでは7週間の治療結果をみてみましょう。

まずは右肩付近の治療前と治療後の比較です。


※クリックすると拡大します。

同じくこの右側面の拡大です。


※クリックすると拡大します。

続いて、


※クリックすると拡大します。

この頚部を拡大してみましょう。


※クリックすると拡大します。

続いて、胸部背側の比較です。


※クリックすると拡大します。

続いて、右大腿部側面の比較です。


※クリックすると拡大します。

病変はほぼ消失し、痒みもありません。

現在治療の最終段階で終わっているわけではありませんが、今以上時間が経過するとシェルティの美しい被毛で完全に覆われ、皮膚がほとんどみえなくなるため、その直前で比較してみました。

あと1~2カ月もすれば完全に被毛が再生し、見違えるほど美しいシェルティになると思います。

毎回同じことですが、重要なのは初診時にこの改善までの道筋を描くことです。

確かに初診時に実施した検査結果が一通り出揃うまでは、「もしかしたら〇〇かも?」「もしかしたら△△△があるかも?」と考えることもありますが、初診時にあらゆるパターンを想定してこのゴール地点までの道筋を描きます。

ときに「この皮膚病は先が読めない」と感じることもありますが、ほとんどの症例は初診時に3ヶ月後までの先を読むことが可能です。

今回の症例も初診時に複数の検査を行いましたが、初診時の想定通りの治療結果をなりました。

幸い大きな基礎疾患がなかったため、2年間治らなかった皮膚病が7週間でここまで改善しました。

 

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

【犬の皮膚科専門外来】パグの慢性脂漏性皮膚炎②

2013.10.30

こんにちは、四季の森どうぶつクリニック獣医師の平川です。

前回のパグの慢性脂漏性皮膚炎の続きです。

初診時から3カ月後の状態と比較して見ていきましょう。

まずは頚部から。


※クリックすると拡大します。

重度の脂漏がなくなり、皮膚機能がほぼ正常にもどってきているのがわかると思います。

それに伴い被毛の再生も認められました。

続いて右前肢です。


※クリックすると拡大します。

この右前肢も重度の脂漏が認められ、硬い痂皮が大量に付着していましたが、サラサラの皮膚に改善しました。

この右前肢を拡大してみましょう。


※クリックすると拡大します。

硬くザラザラとした皮膚が柔らかくなっています。

続いて同様の状態だった左前肢です。


※クリックすると拡大します。

同じく拡大してみてみましょう。

拡大するのは左前腕の内側面です。皮脂が多く分泌され、慢性的な炎症により硬くなる部位でもあります。


※クリックすると拡大します。

右前肢と同様に皮膚のコンディションが改善し、サラサラになっています。

皮膚のコンディションがよくなると、被毛も見違えるように美しくなります。

続いて腹側全体をみてみましょう。


※クリックすると拡大します。

まだ被毛が完全に再生していない部位もありますが。皮膚はきれいになっています。

拡大してみてみましょう。

まずは胸部の拡大。


※クリックすると拡大します。

部分的に残っていますが、見違える皮膚機能再生が認められます。

続いて、後肢です。


※クリックすると拡大します。

この部位はほぼ綺麗に改善しました。

続いて、大腿部~会陰です。


※クリックすると拡大します。

この部位もまだ病変部が残っていますが、順調に改善しています。

続いて、尾の比較です。


※クリックすると拡大します。

ここは非常に綺麗に改善しました。

全体としては8~90%改善したというところです。

一部被毛の再生がない部位もありますが、これは極めて重度の炎症が慢性的に続いたため、被毛再生が起こらないほど不可逆的なダメージを受けたものだと思います。

軽症のうちにこの治療ができていれば、本来の状態に戻ったと思われます。

大事なことはこの治療後までのストーリーを、初診時に描くことです。

考えられる原因、必要な検査、必要な治療、どこまで改善できるか、を診極めることですね。

四季の森どうぶつクリニック  平川

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

【犬の皮膚科専門外来】パグの慢性脂漏性皮膚炎

2013.10.29

こんんちは、四季の森どうぶつクリニック獣医師の平川です。

当院では難治性皮膚疾患として筆頭にあげられるフレンチ・ブルドッグ、柴、シーズーが多く来院していますが、パグも難治性になりやすい犬種の1つです。

前の3犬種との違いは飼育頭数の違いで、決して「パグの皮膚病はフレンチ・柴・シーズーよりも治しやすい」というものではありません。

では、今回の症例を紹介します。

【症例】

 5歳 パグ 女の子

【過去の病歴】

 〇4歳まで皮膚病なく、1年前から痒みを伴う皮膚病

 〇かかりつけで「アトピー?」と診断され、ステロイド含有スプレーなどで改善なし

それでは初診時の状態をみていきましょう。

それでは各病変を、まずは頚部から。

頚部の拡大です。

前胸部の拡大。

続いて、右前肢。

若干わかりにくいかと思いますので、角度を変えて拡大してみます。

まずは肘の内側から。

続いて、右前腕の外側から。

続いて、左前肢も同様の病変が認められます。

内側からみてみましょう。

続いて、腹側の全体をみてみましょう。

胸部を拡大してみます。

続いて、両後肢をみてみましょう。

続いて、後ろから大腿部~会陰を見てみましょう。

最後に尾をみてみましょう。

背中以外、ほぼ全身の皮膚病が認められました。

このように全身に重度の慢性皮膚疾患が認められる場合でも、初診時に「なぜこのような状態になってしまったのか?」「どのように治すのか」「治療後どこまで改善できるか」のストーリーを描くことが重要です。

検査も治療も「少しずつやっていきましょう」ではないと考えています。

まずはカルテをよくみて、

 「5歳の女の子のパグ」、「1年前まで皮膚病はなし」、「この1年で悪化・拡大」

とあります。

続いて皮膚病変をよく確認します。

 「頚部、腹側、四肢の脂漏が重度で、背側に病変は少ない」

カルテの情報と、パッとみた症例の皮膚病変だけでも十分すぎるほどストーリーを描くことができます。

続いて検査について考えていきますが、一般的な皮膚科領域での検査は

 一般皮膚検査:細菌、マラセチア、ダニなどを顕微鏡での病原体確認

 細菌培養検査

 内分泌ホルモン検査

 アレルギー検査

 超音波画像検査

が挙げられますが、この中で行うべき検査をピックアップします。

そしてでてくるであろう結果を予測して治療計画を立てます。

今回も予想範囲内(というよりも予測通り)の検査結果となり、治療も順調な改善を示しました。

次回この治療後の状態を紹介します。

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

【犬の皮膚科専門外来】シーズーの脂漏性皮膚炎④ 

2013.09.30

こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの獣医師平川です。

あの暑い夏はどこへ?というくらい涼しくなってきましたね。

アトピーや脂漏のわんちゃんにとっては少し過ごしやすい季節になりつつあるかと思います。

では、ここ数回紹介しているシーズーの脂漏性マラセチア性皮膚炎の第4回目です。

  シーズーの脂漏性皮膚炎① ~メディカルスキンケア~

  シーズーの脂漏性皮膚炎② ~メディカルスキンケア~

  シーズーの脂漏性皮膚炎③ ~メディカルスキンケア~

初回のスキンケアから3週間後(スキンケア3回実施)の状態を、初回との比較でみていきましょう。

部分的に被毛をバリカンでカットした部分もございます。

目的は被毛があることで皮膚のコンディションを正確に比較できないこともあるかと思い、飼主さまから了承を得たうえで

カットしてわかりやすいようにしてみました。

(※治療上は必ずしも必要としない状況で、カットの目的にご理解いただいた飼主さまに感謝します。)

まずは頚部から。


※クリックすると拡大できます。

同じく、頚部の拡大。


※クリックすると拡大できます。

続いて、右からみた状態です。


※クリックすると拡大できます。

同じく、右からの肩付近の拡大です。

続いて、仰向けの胸部です。


※クリックすると拡大できます。

同じく胸部の中心の拡大です。


※クリックすると拡大できます。

同じく、左脇です。


※クリックすると拡大できます。

続いて、右前肢です。


※クリックすると拡大できます。

同じく、右前肢の肘付近の拡大です。


※クリックすると拡大できます。

同じく、右前肢肘付近の側面からの拡大です。


※クリックすると拡大できます。

続いて、右後肢の内側からです。


※クリックすると拡大できます。

同じく右後肢の内側からの拡大です。


※クリックすると拡大できます。

同じく右後肢、仰向けからです。


※クリックすると拡大できます。

すべて、自宅シャンプー後から3~4日経過後の皮膚状態です。

院内でのシャンプーで皮脂や痂皮を除去したあとではありません。

この状態が継続して維持できるレベルまで改善しました。

このタイプのシーズーに認められる症状である「痒み」、「臭い」、「フケ」、「ベタつき」はほぼありません。

この後は綺麗に被毛が再生していくだけですので、一旦終了とし次回は別の症例報告を行いたいと思います。

四季の森どうぶつクリニック

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

【犬の皮膚科専門外来】シーズーの脂漏性皮膚炎③ 

2013.09.17

こんにちは、四季の森どうぶつクリニックです。

夏のうだるような暑さもなくなり、夜には虫の音も聞こえ、心地よい秋になりましたね。

どうしても梅雨~夏にかけて治療成績が落ちやすい皮膚疾患も、少しずつ落ち着いてくる季節になると思います。

さて、典型的なシーズーの難治性皮膚病である『脂漏性マラセチア性皮膚炎』として、初診時の状態全身カットの状態と紹介してきました。

当院に来院する前に受診した2件の動物病院では、「シーズーの脂漏症は治らない」ということで頻繁にシャンプーするようにと指示されていたようですが、もちろんこのタイプはシャンプーしても1~2日後にはベタつき、臭い、フケが戻ってきてしまいます。

また、痒みも非常に強く、飼主さまの中にはノイローゼになってしまう方もいらっしゃいます。

当院にはこういったシーズーの症例が非常に多いのですが、その理由は治療のコンセプトにあります。

従来の医療は皮膚表面を綺麗にするためにシャンプーを頻繁に行い、菌(細菌やマラセチア)を減らすために抗生物質や抗真菌剤を服用し、シャンプーにも抗菌剤を含有させたタイプを使用することが主流でした。

決して間違っている治療ではありませんが、何かが足りないのです。

それが皮膚機能改善のためのスキンケア、このタイプの皮膚病では皮膚機能そのものを改善しないことには根本的には改善しません。

逆にこの皮膚機能を改善させると、劇的に改善します。

今回はまだ治療中ですが、経過を紹介します。

忙しい診療中のことが多いので、各部位全ての撮影ができていないのですが、大事な部分をピックアップして比較して行きます。

まずは、最も治療が難しいと考えられている頚部の脂漏性皮膚炎から。

綺麗になっていますね!

同じく頚部の拡大。

黒の斑点をターゲットに拡大して撮影したのですが、綺麗になるとどの黒い斑点だったかわからなくなってしまったので、黒の斑点の周辺を含めて掲載しました。

画像の中心点は異なるのですが、綺麗になっているのがわかると思います。

続いて、頚部の側面です。

参考までにこの部位の拡大は、

この状態が全体的に広がっていたことを考えると、非常に綺麗になっていますね。

続いて、右前肢。この部位も非常に痒みが強く、治りにくいです。

同じく、拡大してみてみましょう。

同じく、右前肢の側面から。

非常に綺麗になっています。

参考情報ですが、この比較写真は初回のスキンケアから1週間後です。

病院でのスキンケアから3日後に一度自宅でシャンプーしていただき、この写真は7日目のシャンプー前の状態です。

若干フケがあるのて、シャンプー前であることがわかった方もいらっしゃるかもしれませんが、シャンプーして4日も経過したにも関わらず、ベタつきがほとんど認められません。

もちろん臭い、痒みも激減しています。

この治療を1カ月も続けると「今までのは何だったのか?」と思うほどの皮膚機能の改善が認められると思います。

たった1回のスキンケア、たった1週間での改善を考えると、「皮膚が正常に戻ろうとする機能が残っていた」とも考えられますね。

メディカルスキンケアは、この「正常な皮膚機能を回復するためのケア」でもあります。

「シーズーだから・・・」に間違いはありませんが、諦める必要はないと思います。

近いうちに「ほぼ完治」レベルまで到達すると思いますので、他の部位を含めて綺麗になったところをお見せできると思います。

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

最新記事

SEARCH

カテゴリ分類

Contact完全予約制・ご相談はお気軽に

Contact当院は犬の皮膚病だけに特化した
動物病院です。

  • 0562-85-2215 tel
  • 0562-85-2215 tel
  • サテライト
  • サテライト
  • 初診申し込みフォーム初診申し込みフォーム
  • 東京サテライトクリニック東京サテライトクリニック
  • 全国発送対応クリニック開発スキンケア&サプリメント shop全国発送対応クリニック開発スキンケア&サプリメント shop
pagetop