2014.01.17
こんにちは、四季の森どうぶつクリニック獣医師平川です。
難治性の皮膚疾患に陥り易い代表犬種としてフレンチブルドッグ、柴犬、シーズーが挙げられますが、それ以外にも難治性になりやすい犬種がいます。
その一つがパグ、このパグという犬種も独特の体質をもっているため、犬種に合わせた視点をもたなければいい治療成績を引き出すことができません。
【症例】
パグ 5歳 女の子
【過去の病歴】
〇10カ月前から皮膚病
〇過去に3件の動物病院を受診し、改善なし
〇ワキ、耳、お腹、顔、足先の痒み
それでは初診時の状態を見てみましょう。
まずは顔の左側、その拡大です。
続いて、顔の左側です。
続いて、左耳です。
続いて、両前肢です。
左右ともに同じ病変が認められるため、左前肢の上腕~ワキと、手首のあたりを拡大してみます。
ワキの部分を内側からみてみます。
続いて、腹部です。
10カ月改善が認められなかったこの初診時の状態から6週間後と比較してみましょう。
まずは顔から。
※画像をクリックすると拡大します。
※画像をクリックすると拡大します。
続いて、左耳です。
続いて、左前肢です。
続いて、腹部です。
全身に脂漏を伴う慢性皮膚炎がありましたが、ほぼ綺麗に改善することができました。
パグの場合は遺伝的にこのような脂漏性皮膚炎が発症しやすい体質があると考えられるため再発がないとは言えませんが、完治に近い治療ができたと思います。
たった6週間という短い治療期間を可能にしたことも、初診時に改善までの道筋をほぼ正確に描くことができたからだと考えています。
治療しながら迷走してしまうと、数カ月単位の時間のロスが生まれてしまうこともあるため、初診時に病変をしっかりと診極めることが重要です。
また治療には院内のスキンケアを併用したことがもっとも効果的だったと思います。
四季の森どうぶつクリニック
平川将人
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