2018.06.07
フレンチブルドッグのアトピー・アレルギー、脂漏、舐め癖(手舐め・足舐め)など痒い皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
医療は奥が深いです。
日々疑問が湧き出ますし、新しい発見があります。
今回の新しい発見はある改善症例から得られた発見なのですが、「もしこれが効くなら、これから他のわんちゃんの治療がもっと大変になるかも」という治療内容で、また悩みと苦労が増えた気がしています。
【症例】
フレンチブルドッグ 約4歳 男の子(去勢済み)
【経過】
〇発症は1歳から
〇お腹&背中に赤い湿疹
〇顔、四肢端、耳の痒み(季節性ない)
初診は1年以上前だったのですが、このときは抗生物質とアポキルですぐによくなりました。
それから約9ヵ月後、再発?で来院されましたので、この再発?時点を基準に紹介します。
まずは全体から。
続いて、頚部とその拡大です。
続いて、前胸部とその拡大です。
続いて、右前腕とその部分的な拡大です。
続いて、左前肢とその部分的な拡大です。
続いて、腹部とその拡大です。
]
この初診時から約6ヵ月後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
頚部の皮膚炎、腕の皮膚炎、四肢端の痒み、お腹の湿疹・・・フレンチブルドッグのこのタイプの皮膚病は非常に多いです。
見た目の第一印象では典型的なタイプの1つにみえたので、いつものアプローチで2~3ヶ月で十分綺麗になると判断していました。
が、結果的には6ヶ月もかかってしまいました。
当院で6ヶ月というのは異例な長さで、正直にいうと苦戦しました。
ただ、診断と治療方針は初診時から一切変更せず、改善が十分でない途中の診察でも「(初診時の)診断は撤回しない」と何度もアピールしてました(笑)
撤回しない診断はというと、「心因性掻痒症」です。
もちろん心因性だけでこの全身の皮膚病の説明はできないため、心因性の解説の前に心因性以外の診断名を列挙しておきます。
診断①アトピー性皮膚炎
診断②膿皮症
診断③食物有害反応
診断④脂漏性皮膚炎
そして、最後の診断⑤が「心因性掻痒症」です。
この心因性、当院ではかなりの症例数と治療実績数があるため、自信をもってアプローチしたのですが、治療の序盤の結果はかんばしくありませんでした。
6ヵ月かけて徐々によくなったというのではなく、月1回の再診のたびに投薬治療内容を見直しつづけ、ようやく明らかに改善したのは最後の1ヶ月でした。
※もちろんアポキルは最初から1日1回でスタートしていますが、この腕~手先、足先の皮膚炎はアポキルでまったく改善しませんでした。
その微調整とは「投薬量の変更」なのですが、なんと最初に処方したときの3.5倍量です。
たしかに最初の投薬量はかなり少なめで、一般的な教科書に掲載されている量の最下限よりわずかに下回る量でした。
ただ、その最下限以下で処方したにも理由があり、その量で効果を示す症例も稀ではないくらい普通にいるのです。
体質によって薬の合う合わないということがあるのと、多い量より少なく効くにこしたことはないので、少なめから処方したのですが、初回の投薬内容ではまったく改善が認められませんでした。
そこで増量、薬の種類変更・・・と序所に変化を加えてみたのですが、どれもスッキリせず平行線。
最終的には3.5倍量まで増やしたときに、急によくなりました。
3.5倍量で劇的に改善するのではれば、2.5倍量でもそれなりに・・・せめて半分くらい効いてくれてもよさそうなのですが、2.5倍量ではまったく改善しませんでした。
飼主さまには「スイマセン・・・適量にたどりつくまで随分時間がかかってしまいました。よくここまで信じて通院してくださってありがとうございます。」とお伝えいたしました。
結果的には心因性の診断はあっていましたし、治療結果もよかったのですが、今後の悩みも増えます。
教科書に掲載されている推奨量は1~2の範囲であり、今回のような3以上の投薬量というのは一般的な投薬範囲を超えています。
ただ今回の結果から心因性の治療に必要な投薬量は1~3.5まで範囲があるかもしれない、ともいえます。
効果のある投薬量はわんちゃん次第で、2でまったく効かなくて3以上に増やせば効く症例がいるということであれば、少なめからの投薬治療であれば効果が出るのに相当なステップを踏まなければいけません。
高用量からの処方は副作用の観点から避けねばいけませんし、かといって低用量で処方して改善がなければ「効かない薬」や「心因性が原因ではない」という烙印を押されかねないため心因性のアプローチはますます難しくなります。
ここをどう解決するか、アプローチ開始時点で丁寧なインフォームドをして、こまめに再診を設定して増量していくことくらいでしょうか。
当院のように遠方からの来院が多い場合はまた悩みが増えてしまいました(涙)
参考までに今回のわんちゃんの心因性は腕~肢端のみで、その他の部位は心因性との関係はありません。
現に心因性のお薬を増量していく5ヶ月までに湿疹は完全に消失して再発すらなくなっていましたし、頚部~胸部の皮膚炎と脂漏症は90%改善していました。
心因性の治療だけでこの全身の皮膚炎が改善するわけではないので、総合的なアプローチが重要です。
また、こういった膿皮症、アトピー、脂漏、心因性があるわんちゃんにはスキンケア&サプリメントも非常に重要なアプローチになります。
当院で開発したスキンケア&サプリメントは以下のオンラインショップでお買い求めいただめます。
今回の症例でもそうですが、投薬治療があってこそのスキンケア&サプリメントです。
将来的な体質ケア、お薬の減量、再発防止のためのアプローチになりますので、適切な皮膚科医療とともにご利用ください。
当院では皮膚科のない動物病院開業の獣医師向けに、今回紹介したような複雑な病態を示す難治性皮膚疾患の的確なアプローチの仕方について、実際の症例を交えたプライベートセミナーを行っています。
皮膚科診療について詳しくお知りになりたい方は問い合わフォームからご連絡ください。
投稿者:
2018.06.05
トイプードルに多くみられるアロペシアX(毛周期停止)、アトピー・アレルギー、癖やストレスなど精神的な要因を含ん心因性の痒い皮膚病治療に力をいれている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
トイプードルは皮膚病が多いわけではないと思うのですが、トイプードルがゆえの遺伝的体質から難治性の皮膚病になってしまうことがあります。
「難治性」と一言にいっても色々とあるのですが、本当の意味で治りが悪いことはほとんどありません。
多くは典型的な体質のため、1つずつ的確なアプローチをしていくと非常に綺麗に改善します。
「よくならない」ということで当院を受診する飼主さまから過去の治療歴を伺うと、このアプローチで躓く「陥りやすいポイント」が見えてきます。
〇アポキル
アポキルを使って痒みが止まらないと次の選択肢がない
〇抗生物質
抗生物質で改善が認められないときに「ずっと同じものを服用し続ける」「効かないため抗生物質を処方しない」「抗生物質を変更しつづける」
〇食事療法
食物アレルギーを疑い魚、ポテト、動物性蛋白なし、アミノ酸系・・・・色々試す
こういった点は陥りがちなポイントで、迷走する原因になります。
アポキルが効かないときはアポキルが効く痒みとは異なる痒み原因へのアプローチを考えるとうまくいきます。
抗生物質が効かないときは「抗生物質が効く病変なのか再検討」「抗生物質が効くのか検査」「そもそも菌が増える理由はどこにあるのか?」を考えていくとうまくいきます。
食事療法は「そもそも食物アレルギーなのか?」から考えていく必要があります。
要するに皮膚病が治らない原因は1つではなく複数、同時にすべてへのアプローチがそろわないと改善しないこともあります。
今回紹介する症例は、そんなわずかなズレの積み重ねでよって難治性になっていた症例です。
【症例】
トイプードル 4歳半 男の子
【経過】
〇4ヶ月前から皮膚トラブル(痒み&脱毛)
〇手舐め、足舐め、口唇をかく、繰り返す背中の湿疹
それでは初診時の状態をみてみましょう。
まずは顔の正面。
続いて、口唇(左)です。
続いて、右側。
続いて、頚部です。
続いて、胸部とその拡大です。
続いて、腹部です。
続いて、背中とその拡大です。
続いて、側面とその拡大です。
初診時から約3ヵ月後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
非常に綺麗に改善しました。
改善点①毛並み
全体的に薄毛でしたが、フワフワの状態にもどっています。
トイプードルの薄毛ではアロペシアX(毛周期停止)か、その他のホルモン異常かいくつかありますので各種検査が必要です。
時に難しい判断になる検査結果となり悩むことはありますが、それなりのアプローチ方法がありますので改善の余地は高いと考えています。
改善点②湿疹
特に薄毛の部分(胴体)に全体的に認められた湿疹(膿皮症)ですが、抗生物質をやめてもほぼコントロールできています。
※現在初診から半年以上経過しましたが、湿疹の再発はほぼなし
改善点③脂漏
口唇、四肢を中心に「かひ」を認めましたが、綺麗な状態を保っています。
改善点④手舐め・足舐め・痒み
基本はアトピーでいいのですが、アトピー単独であれば過去のシクロスポリンやステロイドで十分に緩和できていたはずです。
改善できなかった理由は心因性なのですが、心因性だけで痒かったわけではないため、アトピー対策と心因性対策の両方を行えばバランスが取れます。
しつこい手舐め・足舐めは心因性へのアプローチにより改善しました。
トイプードルは他の犬種に比較して薬の反応が非常にいいタイプの子が多いので、アプローチ方法さえ間違わなければかなりの確率で治療成績がよくなります。
トイプードルの皮膚病治療でお困りの方は当院を受診してみてください。
なお今回のトイプードルのアトピー、脂漏、心因性、湿疹には当院が開発したスキンケア&サプリメントは非常に効果的です。
当院が開発したスキンケア&サプリメントは以下のオンラインショップからお買い求めいただけます。
脱毛はスキンケア&サプリメントでは改善せず、アトピー・脂漏・湿疹の治療成績にも関わりますので、必ず適切な投薬治療を併用しましょう。
投稿者:
2018.05.30
犬の皮膚病で最も多くみられる細菌性の皮膚炎「膿皮症」の根本的な治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
よく飼主さまに聞かれる質問の1つに「どうして膿皮症になるんですか?」があります。
教科書上での膿皮症の原因は、「皮膚表面の細菌感染」です。
ただ「どうして皮膚で細菌が増えるのか?」まで考えると、アトピー&アレルギーや内分泌疾患による皮膚コンディションの異常や、食事の影響、気温&湿度などの局所環境の影響・・・などとなり、そう簡単に特定できないのが今の皮膚科の現状です。
この「どうして皮膚で細菌(しかも常在菌)が増えるのか?」を考え続けて生まれたのがスキンケアECプラスなのですが、膿皮症のすべてがスキンケアECプラスで解決するわけではありません。
やはり症例によって膿皮症の原因(体質)は異なりますので、その子の体質に合わせたアプローチが必要です。
今日は「繰り返す&治らない膿皮症の原因を特定し、根本的な治療に成功した症例」で、しかも「スキンケアECプラスを使用していない症例」ということでかなり珍しいパターンです。
【症例】
パグ 4歳 女の子(避妊手術済み)
【経過】
〇2歳のころから皮膚トラブルがつづく
〇この1年以上はずっと繰り返していて、良くなっていない
〇耳、顔のしわ、内股のブツブツ、四肢端のなめ
〇抗生物質ではよくならない
〇アレルギー検査では何も異常がでなかった
〇ロイヤルカナンの食事療法を1年継続したが改善なし
〇現在完全手作りをしているがよくならない
繰り返す膿皮症の「あるある」がたくさん詰め込まれているタイプの症例です。
「抗生物質でよくならない」という点だけに注目しても色々考えるべきことがあるのですが、もし感受性のある抗生物質を使っていても良くならないとすれば別に問題がると考えなければいけないタイプです。
また食事療法も「あるある」があり、動物医療の食事療法のトップであるロイヤルカナンの療法食でも改善なく、ポジション的には正反対である完全手作り食でも改善なく、いったい何を食べればいいのか?食事は関係ないのか?と悩んでしまう状態です。
アレルギー検査についても同様で、突破口を探して検査をされたと思いますが、「何も異常がでなかった」というのもアレルギー検査のあるあるです。
では、まずは初診時の状態をみてみましょう。
まずは顔とそのシワの拡大です。
続いて、下顎です。
同じく下顎のやや左側です。
続いて、右前肢端です。
続いて、胸部とわきの拡大です。
」
続いて、腹部とその拡大です。
それでは初診時から約3ヶ月弱後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
※四肢端の写真に治療後がないのですが、非常に綺麗に改善しています。
当院での症例報告の中では軽症なので一見目立ちにくい症例かもしれませんが、この症例は非常にみどころのある症例です。
理由は始めでも触れたとおりで、「細菌性膿皮症が治らない&再発しやすい原因を特定し、根本的治療ができた症例」だからです。
しかも当院がよく伝えている「スキンケアECプラスを使うと膿皮症が再発しません」とはまったく異なるアプローチをしているのもポイントです。
具体的には、
①抗生物質の試用期間はわずか3週間弱
②抗生物質を終了して7週間経過しても1つも湿疹が再発していない
③スキンケアECプラスは使用せず
そして最大の特徴は、
④膿皮症の再発予防のために、抗生物質の服用以外の治療を併用している
です。
みなさんに知っていただきたいのは、「膿皮症の原因は1つではない」、だからなんでもスキンケア&サプリメント&食事療法ではないということです。
やはり適切な医療があれば治療結果はここまで変わりますので、ぜひ受診していただけばと思います。
どれだけインターネットで調べてもでてこない想定外の診断名と治療アプローチ、そして何より治療結果で「今まで治らなかった理由」を実感していただけると思います。
肝心の「④抗生物質ではない再発予防につながるアプローチ」ですが、当院と提携している先生には検査結果とを添えた解説メールをお送りします。
当院との提携をご希望の方はお問い合わせください。
投稿者:
2018.05.19
再発を繰り返す膿皮症、治りにくい膿皮症の治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
膿皮症はもっとも頻繁に診る皮膚病の1つで基本的には抗生物質とシャンプーでよくなりますが、奥の深さはピカいちで「なぜ膿皮症になるのか?」が見えないと苦労することも非常に多い疾患です。
この「なぜ膿皮症になるのか?」という観点を無視して、本当の理由を置き去りのまま治療をつづけると「抗生物質服用中は治るがやめると再発する」か「抗生物質を続けていても治らない」ということが起きます。
この目に見えない膿皮症になる理由を探すのが皮膚科診療、今日はそんな症例報告です。
【症例】
シェルティー 女の子 3歳9か月
【経過】
〇3歳まで皮膚病はなし
〇3カ月前から湿疹&フケ&円形脱毛が続く
〇抗生物質など服用するも改善なし
まずは初診時の状態から。
つづいて、頚部の湿疹とその拡大です。
続いて、腰背部とその毛をかき分けたところです。
続いて、お尻~陰部とその拡大です。
初診時から3か月後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
膿皮症も奇麗になりましたが、毛並みがよくなったのがわかりますか?
膿皮症の原因にもいろいろあるのですが、このわんちゃんのタイプでは膿皮症になる明確な原因を特定でき、治療をすることができたので膿皮症にはなりにくいと思います。
現時点も抗生物質をやめて2ヵ月ほど経過しましたが、再発していません。
なお当院では膿皮症の再発を抑える治療プランとしてスキンケアECプラスを奨めることが多いのですが、今回のわんちゃんでは膿皮症の原因が異なるため、使っていません。
なんでもかんでもスキンケアとサプリメントではないので、それぞれの症例に合わせた的確な判断が重要です。
投稿者:
2018.04.06
アトピー・食物アレルギーなど、痒みを伴う皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
今回紹介するのは個人的に非常におもしろい症例です。
【症例】
ミニチュアダックスフンド 9歳 男の子(去勢済み)
何がおもしろいかというと、「1歳のころから当院をかかりつけにしている地元の患者さま」で、当院のスタンダードな治療でよくできなかった症例です。
1~5才のころは皮膚病などなく、6~7歳ころ(今から2~3年前)から発症しました。
胴体部分の膿皮症と、四肢端の脂漏性皮膚炎で、見た目は「よくある皮膚炎」です。
ただ、予想以上に治療の反応が悪く、抗生物質(培養検査済み)でも膿皮症がきれいに改善せず、アポキルを使っても四肢の皮膚炎&痒みが改善しない・・・
甲状腺機能低下症もなく、副腎皮質機能亢進症の疑いも低く、アレルギー対策の食事療法に変更してもパッとせず1年経過してしまいました。
皮膚病2年目のころには、飼主さまの来院がほぼなくなり、今年3年目の春に「暖かくなって今まで以上にひどくなった」ということで再来院されました。
それが先月3月上旬です。
そのときの状態を紹介します。
まずは顔正面から。
続いて、頚部とその拡大です。
続いて、右前肢
足先、腕(内側)、上腕(脇)の順番です。
続いて、左前肢。
足先、手首内側、上腕(脇)の順番です。
続いて、胸です。
続いて、後肢です。
同じく内股の拡大です。
同じく右後肢の足先、足首、甲の拡大です。
同じく左後肢です。
こういったタイプは典型的な皮膚炎の1つかと思います。
2年前の時点でもほぼ同様の見た目で、もちろんそのときの当院のスタンダードである治療を当てはめたのですが・・・飼主さまの納得できる治療成績ではありませんでした。
そんな経過もあり、昨年はほとんど治療の機会を得ることができずでしたが、今年は
「うちの全力で治療すればきっとよくなります。もう一度全部やらせてください」
とお願いして全力治療に望みました。
投薬は
・アポキル
・抗生物質
・スキンケアECプラス
・院内薬浴(Medicareオイル&シャンプー)
・外用薬(点耳薬)
・食事療法
そこから4週間後の状態と比較します。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
痒みはほぼありません。
飼主さまもシャンプーも外用薬(点耳薬)も使わずでも最高にいい!とおっしゃっていただけました。
抗生物質は2週間で完全休薬とし、ECプラスで膿皮症の再発防止ができています。
2年前との明らかな違いは「食事療法」だけです。
それ以外のスキンケアやアポキルの処方、抗生物質の処方などは一緒です。
もちろん2年前も確かに食事療法をしたのですが、そのときはベストと確信できる食事を選ぶことができていなかったので、うまく行かなかったのだと思います。
今回は投薬治療を変えなくとも、食事療法で成功する自信がありましたのでベストな結果をだすことができました。
やはり食事療法は非常に重要ですね!
当院では皮膚科診療提携を通じて、こういった症例に対して初診時に的確に治療方針を完成させるための皮膚科セミナーを開催しています。
ご興味のある先生は当院までお問い合わせください。
投稿者:
2018.03.16
犬の痒い皮膚病治療における食事療法に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
当院には愛知県内全域だけでなく、隣の岐阜県・三重県・静岡県からの来院もよくあります。
ここ数年は関東・関西圏からの受診も珍しくなく、特に東京・神奈川からの受診は年々増えていっています。
北海道は往診依頼があったのでカルテもありますし、以前は宮崎県からフェリーにのっての受診もありました。
そして今回はついに、四国から橋を渡って受診がありました。
※平成30年5月21日追記 この症例のさらに2ヵ月後
【症例】
プロットハウンド 2歳半 女の子
【経過】
〇1才になる前からの皮膚病
〇背中の湿疹&脱毛(全体的)
〇この1年ずっとアポキルを服用している
〇わき、お腹、目の上、耳、目、口唇、背中など身体全体が痒い
〇アポキルを服用していても痒みが強く、やめるともっと痒くなる
〇アミノ酸系の食事療法を継続している
〇2週間に1回マラセブシャンプー
それでは初診時の状態をみてみましょう。
写真はありませんが、背中にも円形の膿皮症である湿疹&虫食い脱毛が認められました。
この初診時から14日後の状態とひかくしてみましょう。
痒みが劇的に減少し、この1年で最も良い状態になったということです。
具体的には元々の痒みを10とすると、2週間で3まで改善しています。
内服薬の処方としてはアポキルのみで、今までとまったく変わらない処方です。
背中の膿皮症に関しては本来抗生物質を処方するのが定法なのですが、「あること」を考えて抗生物質をあえて処方せずに2週間すごしてもらいました。
背中の膿皮症に対して考えた「あること」とは、
①耐性菌による膿皮症の可能性を強く疑うため、処方の前に細菌培養&感受性試験を行い、感受性(効果)のある抗生物質を調べてから処方
②この症例の体質であれば、今のアミノ酸系療法食は体質に合っておらず、背中の膿皮症は別の食事療法とスキンケアECプラスとMedicareクレンジングオイル&シャンプーの4点セットで良くなるはず
の2点です。
初診時から2週間の治療の中で、内服薬の処方としてはアポキルの継続服用のみとしたのですが、アポキル以外にお渡ししたのは
〇スキンケアECプラス1回1包 1日2回服用
〇Medicareクレンジングオイル&シャンプー 週1~2回
〇病院推奨の食事療法 ※アミノ酸系療法食は即刻中止
でした。
この初診時の指示&処方により、背中の膿皮症は抗生物質を服用することなく、ほぼ完全に消失しました。
実際に2回目の診察時(初診から14日後)には、細菌培養&感受性試験の結果がでて「効果がでる抗生物質」が特定できたのですが、服用しなくてもいい状態になっていたため、結局処方はしていません。
食事管理を間違わず、このまま膿皮症のために開発したサプリメントであるスキンケアECプラスがあれば、今後も膿皮症がでることはほぼないでしょう。
ここで大事なポイントは、1年間にわたって出続けていた背中の膿皮症の原因がどこにあって、どうすれば根本的(抗生物質を使わず)に改善するかを初診時に確定できたことですね。
すわなち、アミノ酸系療法食がこのわんちゃんの体質に合っていないという判断ができたこと、体質に合う食事療法の指示ができたこと、そしてスキンケアECプラスが膿皮症に効くと判定できたことです。
続いて目のまわり、口唇~下顎、うで&わき、腹部などの皮膚炎も十分に改善しています。
もうここから悪くなることはないと思います。
参考までに今回の診断はアトピー&膿皮症です。
食物アレルギーは稀なため現在は特別食事制限を考えておらず、今後はいろいろ食べていいという方向性になっています。
このわんちゃんの膿皮症は、スキンケア&サプリメント&食事療法だけで改善するものです。
アトピーもある程度改善が期待できるとは思うのですが、投薬治療があった方が絶対的にいいと思います。
当院で推奨しているスキンケア&サプリメントは専用オンラインショップでお買い求めいただけます。
当院における膿皮症の治療成績がよい理由は「いいお薬」を使うからではなく、膿皮症ができる原因(体質)を高い精度で、かつ初診時に特定することができるためです。
今の皮膚科医療には、膿皮症を治すための抗菌薬(抗生物質や殺菌系消毒薬)はあるのですが、「膿皮症が再発する理由」を特定できる検査はありません。
しかし問診&視診である条件を満たす症例であれば、どうすればできなくなるかが大体わかるようになります。
今回はそんな典型的な症例でした。
平成30年5月21日 追記 この症例のその後
投稿者:
2018.02.08
ミニチュアピンシャーのアトピー・アレルギー・膿皮症治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
前回に引き続いて、ミニチュアピンシャーの皮膚病治療の実際をご紹介します。
前回でもお話したように、ミニチュアピンシャーの皮膚病はかなり典型的な形を示します。
要するに、「ミニチュアピンシャーの皮膚病ってこんな感じだよね」というものです。
主に2パターンあるのですが、1つは膿皮症で複数の円形(虫食い)脱毛タイプ、もう一つは目・口・四肢端の痒みで「アトピー?アレルギー?」という雰囲気のタイプです。
ただこの2つの診断しかないわけではない、今日はそんな症例報告です。
【症例】
ミニチュアピンシャー 去勢雄 3歳
【経過】
〇1歳の頃から季節関係なく痒み
〇以前は背中に脱毛、湿疹があったが今はない
〇今は頚部、目、四肢端、わきが痒い
〇お腹は問題ない
それでは初診時の状態です。
続いて、頚部とその拡大です。
続いて右腕~先端です。
続いて、左腕~先端です。
続いて、わきと胸部、その拡大です。
続いて、腹部~内股です。
※今回は1週間ほどまえに初診を迎えたわんちゃんですので、治療後の写真はまだありません。
さて、この初診の状態をどう評価するのか?が最大のポイントです。
考えるべきことは3つあります。
1つは、「アトピー疑い」で皮膚炎・痒みに対する直接的な投薬治療が必要です。
おそらくアポキルが効くかゆみ部分があるため、ファーストチョイスはアポキルでいいと思います。
問題はアポキルだけでこの痒みを抑えられるのか?というところですね。
やってみないとわからないところもありますが、おそらくアポキル単独では痒みのコントロールはできないと思われます。
そこで2つめ、さらに必要なのが「心因性」に対する治療です。
初診時の時点で「心因性を強く疑う」という所見が認められます。
そして3つめ、これはミニピンをよくみている人でなければ気づかないところです。
飼主さまの主訴にはありませんでしたが、僕の質問ではその点に気づいているようでした。
やはり病気を知る前にミニピンの正常をいかに目にやきつけておくか、それが皮膚病の診断に非常に重要だと思います。
投稿者:
2018.02.05
ミニチュアピンシャーのアトピー・アレルギー・膿皮症・フケなどの治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
ミニチュアピンシャーは頭数が特別多いわけではありませんが、皮膚トラブルが起きやすい犬種の1つです。
その遺伝的体質からほとんどが同じような雰囲気の皮膚病になっているのも特徴の一つです
今日紹介するのもミニチュアピンシャーのよくあるタイプで、初診時は膿皮症が治らないという主訴で来院されたわんちゃんで、以前にも紹介しています。
当時の症例報告 → 【ミニピンの皮膚科専門外来】湿疹・フケ・毛並みの異常
【症例】
トイマンチェスターテリア 避妊雌 5歳
※ミニピンではないのですが、ほぼ同じ体質という意味で掲載しています。
【経過】
〇以前紹介したときは「膿皮症が治らない」という主訴でした
〇今回は膿皮症が治り、再発もなくなったにもかかわらず、膿皮症がない部位にフケが出続けるということで追加治療することになりました。
それでは膿皮症がまったくでなくなって約半年後くらいの状態です。
胸部~内股・大腿部まで、左右の写真を並べています。
それでは追加治療から約3週間後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
乾燥肌のような、めくれそうな細かいフケが多く付着していましたが、非常に綺麗に改善しました。
参考までに痒みはありませんでした。
この乾燥のようなフケは初診時にあった膿皮症によるフケではありません。
ミニピンであれば「あるある」の1つで、かなり多くのミニピンがこのフケが出やすい状態になっているのではないかと思います。
従来では保湿をするくらいしか対処法がなく、しかも保湿ではほとんど解決しないというのが実情でした。
しかし、当院ではここ1年ほどですがこのタイプのフケに有効な治療法をみつけたと考えています。
本来の使用法とは異なりますが、視点をかえてみると非常に理にかなった治療法です。
スキンケアやサプリメントでは改善しないタイプですが、もしミニピンの皮膚トラブルでお困りの方はぜひ当院の診療を受診してみてください。
投稿者:
2018.01.22
犬の皮膚病のみを行う皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
今回はペキニーズの症例です。
【症例】
ペキニーズ 女の子(避妊未) 6歳8ヵ月
【経過】
〇約1歳頃からずっと(良くなったり悪くなったり繰り返し)
〇全身の痒み
それでは初診時の状態をみてみましょう。
頚部
胸部とその拡大
背中とその拡大
わかりにくいため、毛をカットしたあとの状態もみてみましょう。
それでは初診時から約2か月後の状態と比較してみましょう。
毛刈り前との比較写真、毛刈り後との比較写真の両方を使います。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
痒みはほとんどなく、湿疹・フケもありません。
いつも紹介している症例に比べると重症度が軽めですが、飼主さまは「はじめてよくなった」と評価していただけました。
なお、今回の症例の診断名は細菌による膿皮症です。
そのため抗生物質が必要になるのですが、問題は抗生物質をやめた後に再発させないことです。
今回は抗生物質をやめて約1か月後の状態で撮影しています。
抗生物質をやめても再発していないのがポイントですが、今回の治療で「再発防止」に役に立ったのはサプリメント「スキンケアECプラス」です。
抗生物質は膿皮症を治しますが、膿皮症の原因を治すことはできません。
このスキンケアECプラスは膿皮症の原因にアプローチしていますので、抗生物質をやめたあとの再発防止に役立ちます。
今回の症例ではスキンケア&サプリメントが非常に役に立つタイプです。
当院のオンラインショップでお買い求めいただけます。
投稿者:
2018.01.13
犬の細菌性皮膚炎、「膿皮症」の根本的な治療に力を入れている皮膚病治療専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
犬の膿皮症、シンプルなようで非常に難しい病気です。
治療という意味では「抗生物質を服用する」が最優先治療であり、治療効果も高いので一般的には治りやすい病気ではあるのですが、「抗生物質を服用しているときだけ改善し、やめると再発する」という症例が少なくありません。
別の角度から考えると、再発する膿皮症の場合の膿皮症の原因は他にあるという意味で、「抗生物質は細菌を抑えて膿皮症を治すが、膿皮症になる原因は治していない」ということでもあります。
このことは以前からずっとお話していることで、投薬治療で治せることはあたりまえで、皮膚科診療で必要なことは「なぜ膿皮症になるのか?」「膿皮症にならないためにはどうすればいいのか?」まで考えなければいけないと思っています。
今日紹介する症例はまさにそんな「なぜ膿皮症になるのか?」「膿皮症にならないためにはどうすればいいのか?」の答えとなる内容となっています。
【症例】
フレンチブルドッグ 4歳 女の子(避妊手術済み)
【経過】
実は以前に治療実績として紹介しています。
2017年10月23日 【フレンチブルドッグの皮膚科診療】アポキルが効かない
全身の湿疹(膿皮症)に対して抗生物質を処方して治しましたが、抗生物質をやめて1ヶ月前後で再発してしまいました。
その再発時の写真を紹介します。
初診時にもあった腹部の湿疹「膿皮症」のぶり返しです。
治療のことだけを考えると、つい先日まで行っていた初期治療(抗生物質の服用)で改善するはずです。
ただ「抗生物質を再度処方して湿疹が治ったとしても、やめればまた再発する可能性が高い」と判断できる状況でしたので、新しいプランを提案してみました。
それが当院の「スキンケアECプラス」です。
1回1包、1日2回服用するように指示をだしました。
スキンケアECプラスだけを追加処方して1ヵ月後、比較写真をみてみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
湿疹はゼロ、この1ヶ月間で新しい湿疹は1つもできなかったそうです。
ここで詳しい治療内容を少し紹介します。
以前紹介した時点までの初期治療では、膿皮症に対して抗生物質&スキンケア、痒みに対してアポキル&LFプラス&心因性治療薬のアプローチを行いました。
「治す」という意味ではこの治療内容で十分です。
ただ、1つ問題があり、「抗生物質をやめると再発するのではないか?」という疑問もありました。
ただ、再発を恐れて抗生物質を長期間服用することがベターというわけではないので、「再発したら次はスキンケアECプラス」と考えて抗生物質を一旦終了としました。
そして再発は予測どおり、痒みではなく「湿疹」という形であわられました。
この再発に対して再び抗生物質を処方する選択肢を悪いとは思いませんが、あえて「スキンケアECプラスだけで治せる」と判断できたので、抗生物質による治療を強くおすすめせず、サプリメントのみの追加処方としました。
結果は上記の写真の通りで、「スキンケアECプラスによる膿皮症の治療効果」といえる結果だと思います。
なお当院受診前から服用していたにも関わらず痒みの改善がなかったアポキルは1日1回服用から徐々に減らして、現在は週3日服用で維持コントロールができています。
これは心因性へのアプローチであるヒーリングケアLFプラスの効果もあると思います。
今回の症例は非常に色々興味深いことが多く含まれている治療実績です。
まず1つに「アポキルを服用しているにも関わらず痒みが改善しない」という主訴であったことです。
2つ目は「抗生物質を服用することで改善した膿皮症が、休薬とともにぶり返したが、サプリメントだけで治療・再発予防が可能だった」ということです。
もちろんこの「アポキルが効かない原因」と、「再発したらスキンケアECプラスで治療・再発予防が可能だろう」の2点とも初診時に把握することができましたので、診察でもスムーズにシフトすることができました。
今の皮膚科医療に足りないアプローチの1つは「なぜ病気になるのか」というところだと思います。
当院はもちろん治すことも当然ですが、それだけでなく「根本的にどうするべきか?」を含めて医療を提供しています。
それがスキンケアECプラス、ヒーリングケアLFプラスです。
この2つがあってこその当院の治療実績、再発防止です。
当院のオリジナル商品は以下のオンラインショップからご利用いただけます。
また、当院ではスキンケア商品、サプリメント商品を共同で治療に使う提携病院を募集しています。
ご興味のある先生は一度お問い合わせください。
※皮膚科のない個人動物病院に限ります。
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