2018.06.05
トイプードルに多くみられるアロペシアX(毛周期停止)、アトピー・アレルギー、癖やストレスなど精神的な要因を含ん心因性の痒い皮膚病治療に力をいれている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
トイプードルは皮膚病が多いわけではないと思うのですが、トイプードルがゆえの遺伝的体質から難治性の皮膚病になってしまうことがあります。
「難治性」と一言にいっても色々とあるのですが、本当の意味で治りが悪いことはほとんどありません。
多くは典型的な体質のため、1つずつ的確なアプローチをしていくと非常に綺麗に改善します。
「よくならない」ということで当院を受診する飼主さまから過去の治療歴を伺うと、このアプローチで躓く「陥りやすいポイント」が見えてきます。
〇アポキル
アポキルを使って痒みが止まらないと次の選択肢がない
〇抗生物質
抗生物質で改善が認められないときに「ずっと同じものを服用し続ける」「効かないため抗生物質を処方しない」「抗生物質を変更しつづける」
〇食事療法
食物アレルギーを疑い魚、ポテト、動物性蛋白なし、アミノ酸系・・・・色々試す
こういった点は陥りがちなポイントで、迷走する原因になります。
アポキルが効かないときはアポキルが効く痒みとは異なる痒み原因へのアプローチを考えるとうまくいきます。
抗生物質が効かないときは「抗生物質が効く病変なのか再検討」「抗生物質が効くのか検査」「そもそも菌が増える理由はどこにあるのか?」を考えていくとうまくいきます。
食事療法は「そもそも食物アレルギーなのか?」から考えていく必要があります。
要するに皮膚病が治らない原因は1つではなく複数、同時にすべてへのアプローチがそろわないと改善しないこともあります。
今回紹介する症例は、そんなわずかなズレの積み重ねでよって難治性になっていた症例です。
【症例】
トイプードル 4歳半 男の子
【経過】
〇4ヶ月前から皮膚トラブル(痒み&脱毛)
〇手舐め、足舐め、口唇をかく、繰り返す背中の湿疹
それでは初診時の状態をみてみましょう。
まずは顔の正面。
続いて、口唇(左)です。
続いて、右側。
続いて、頚部です。
続いて、胸部とその拡大です。
続いて、腹部です。
続いて、背中とその拡大です。
続いて、側面とその拡大です。
初診時から約3ヵ月後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
非常に綺麗に改善しました。
改善点①毛並み
全体的に薄毛でしたが、フワフワの状態にもどっています。
トイプードルの薄毛ではアロペシアX(毛周期停止)か、その他のホルモン異常かいくつかありますので各種検査が必要です。
時に難しい判断になる検査結果となり悩むことはありますが、それなりのアプローチ方法がありますので改善の余地は高いと考えています。
改善点②湿疹
特に薄毛の部分(胴体)に全体的に認められた湿疹(膿皮症)ですが、抗生物質をやめてもほぼコントロールできています。
※現在初診から半年以上経過しましたが、湿疹の再発はほぼなし
改善点③脂漏
口唇、四肢を中心に「かひ」を認めましたが、綺麗な状態を保っています。
改善点④手舐め・足舐め・痒み
基本はアトピーでいいのですが、アトピー単独であれば過去のシクロスポリンやステロイドで十分に緩和できていたはずです。
改善できなかった理由は心因性なのですが、心因性だけで痒かったわけではないため、アトピー対策と心因性対策の両方を行えばバランスが取れます。
しつこい手舐め・足舐めは心因性へのアプローチにより改善しました。
トイプードルは他の犬種に比較して薬の反応が非常にいいタイプの子が多いので、アプローチ方法さえ間違わなければかなりの確率で治療成績がよくなります。
トイプードルの皮膚病治療でお困りの方は当院を受診してみてください。
なお今回のトイプードルのアトピー、脂漏、心因性、湿疹には当院が開発したスキンケア&サプリメントは非常に効果的です。
当院が開発したスキンケア&サプリメントは以下のオンラインショップからお買い求めいただけます。
脱毛はスキンケア&サプリメントでは改善せず、アトピー・脂漏・湿疹の治療成績にも関わりますので、必ず適切な投薬治療を併用しましょう。
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