2018.05.30
犬の皮膚病で最も多くみられる細菌性の皮膚炎「膿皮症」の根本的な治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
よく飼主さまに聞かれる質問の1つに「どうして膿皮症になるんですか?」があります。
教科書上での膿皮症の原因は、「皮膚表面の細菌感染」です。
ただ「どうして皮膚で細菌が増えるのか?」まで考えると、アトピー&アレルギーや内分泌疾患による皮膚コンディションの異常や、食事の影響、気温&湿度などの局所環境の影響・・・などとなり、そう簡単に特定できないのが今の皮膚科の現状です。
この「どうして皮膚で細菌(しかも常在菌)が増えるのか?」を考え続けて生まれたのがスキンケアECプラスなのですが、膿皮症のすべてがスキンケアECプラスで解決するわけではありません。
やはり症例によって膿皮症の原因(体質)は異なりますので、その子の体質に合わせたアプローチが必要です。
今日は「繰り返す&治らない膿皮症の原因を特定し、根本的な治療に成功した症例」で、しかも「スキンケアECプラスを使用していない症例」ということでかなり珍しいパターンです。
【症例】
パグ 4歳 女の子(避妊手術済み)
【経過】
〇2歳のころから皮膚トラブルがつづく
〇この1年以上はずっと繰り返していて、良くなっていない
〇耳、顔のしわ、内股のブツブツ、四肢端のなめ
〇抗生物質ではよくならない
〇アレルギー検査では何も異常がでなかった
〇ロイヤルカナンの食事療法を1年継続したが改善なし
〇現在完全手作りをしているがよくならない
繰り返す膿皮症の「あるある」がたくさん詰め込まれているタイプの症例です。
「抗生物質でよくならない」という点だけに注目しても色々考えるべきことがあるのですが、もし感受性のある抗生物質を使っていても良くならないとすれば別に問題がると考えなければいけないタイプです。
また食事療法も「あるある」があり、動物医療の食事療法のトップであるロイヤルカナンの療法食でも改善なく、ポジション的には正反対である完全手作り食でも改善なく、いったい何を食べればいいのか?食事は関係ないのか?と悩んでしまう状態です。
アレルギー検査についても同様で、突破口を探して検査をされたと思いますが、「何も異常がでなかった」というのもアレルギー検査のあるあるです。
では、まずは初診時の状態をみてみましょう。
まずは顔とそのシワの拡大です。
続いて、下顎です。
同じく下顎のやや左側です。
続いて、右前肢端です。
続いて、胸部とわきの拡大です。
」
続いて、腹部とその拡大です。
それでは初診時から約3ヶ月弱後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
※四肢端の写真に治療後がないのですが、非常に綺麗に改善しています。
当院での症例報告の中では軽症なので一見目立ちにくい症例かもしれませんが、この症例は非常にみどころのある症例です。
理由は始めでも触れたとおりで、「細菌性膿皮症が治らない&再発しやすい原因を特定し、根本的治療ができた症例」だからです。
しかも当院がよく伝えている「スキンケアECプラスを使うと膿皮症が再発しません」とはまったく異なるアプローチをしているのもポイントです。
具体的には、
①抗生物質の試用期間はわずか3週間弱
②抗生物質を終了して7週間経過しても1つも湿疹が再発していない
③スキンケアECプラスは使用せず
そして最大の特徴は、
④膿皮症の再発予防のために、抗生物質の服用以外の治療を併用している
です。
みなさんに知っていただきたいのは、「膿皮症の原因は1つではない」、だからなんでもスキンケア&サプリメント&食事療法ではないということです。
やはり適切な医療があれば治療結果はここまで変わりますので、ぜひ受診していただけばと思います。
どれだけインターネットで調べてもでてこない想定外の診断名と治療アプローチ、そして何より治療結果で「今まで治らなかった理由」を実感していただけると思います。
肝心の「④抗生物質ではない再発予防につながるアプローチ」ですが、当院と提携している先生には検査結果とを添えた解説メールをお送りします。
当院との提携をご希望の方はお問い合わせください。
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