2018.03.16
犬の痒い皮膚病治療における食事療法に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
当院には愛知県内全域だけでなく、隣の岐阜県・三重県・静岡県からの来院もよくあります。
ここ数年は関東・関西圏からの受診も珍しくなく、特に東京・神奈川からの受診は年々増えていっています。
北海道は往診依頼があったのでカルテもありますし、以前は宮崎県からフェリーにのっての受診もありました。
そして今回はついに、四国から橋を渡って受診がありました。
※平成30年5月21日追記 この症例のさらに2ヵ月後
【症例】
プロットハウンド 2歳半 女の子
【経過】
〇1才になる前からの皮膚病
〇背中の湿疹&脱毛(全体的)
〇この1年ずっとアポキルを服用している
〇わき、お腹、目の上、耳、目、口唇、背中など身体全体が痒い
〇アポキルを服用していても痒みが強く、やめるともっと痒くなる
〇アミノ酸系の食事療法を継続している
〇2週間に1回マラセブシャンプー
それでは初診時の状態をみてみましょう。
写真はありませんが、背中にも円形の膿皮症である湿疹&虫食い脱毛が認められました。
この初診時から14日後の状態とひかくしてみましょう。
痒みが劇的に減少し、この1年で最も良い状態になったということです。
具体的には元々の痒みを10とすると、2週間で3まで改善しています。
内服薬の処方としてはアポキルのみで、今までとまったく変わらない処方です。
背中の膿皮症に関しては本来抗生物質を処方するのが定法なのですが、「あること」を考えて抗生物質をあえて処方せずに2週間すごしてもらいました。
背中の膿皮症に対して考えた「あること」とは、
①耐性菌による膿皮症の可能性を強く疑うため、処方の前に細菌培養&感受性試験を行い、感受性(効果)のある抗生物質を調べてから処方
②この症例の体質であれば、今のアミノ酸系療法食は体質に合っておらず、背中の膿皮症は別の食事療法とスキンケアECプラスとMedicareクレンジングオイル&シャンプーの4点セットで良くなるはず
の2点です。
初診時から2週間の治療の中で、内服薬の処方としてはアポキルの継続服用のみとしたのですが、アポキル以外にお渡ししたのは
〇スキンケアECプラス1回1包 1日2回服用
〇Medicareクレンジングオイル&シャンプー 週1~2回
〇病院推奨の食事療法 ※アミノ酸系療法食は即刻中止
でした。
この初診時の指示&処方により、背中の膿皮症は抗生物質を服用することなく、ほぼ完全に消失しました。
実際に2回目の診察時(初診から14日後)には、細菌培養&感受性試験の結果がでて「効果がでる抗生物質」が特定できたのですが、服用しなくてもいい状態になっていたため、結局処方はしていません。
食事管理を間違わず、このまま膿皮症のために開発したサプリメントであるスキンケアECプラスがあれば、今後も膿皮症がでることはほぼないでしょう。
ここで大事なポイントは、1年間にわたって出続けていた背中の膿皮症の原因がどこにあって、どうすれば根本的(抗生物質を使わず)に改善するかを初診時に確定できたことですね。
すわなち、アミノ酸系療法食がこのわんちゃんの体質に合っていないという判断ができたこと、体質に合う食事療法の指示ができたこと、そしてスキンケアECプラスが膿皮症に効くと判定できたことです。
続いて目のまわり、口唇~下顎、うで&わき、腹部などの皮膚炎も十分に改善しています。
もうここから悪くなることはないと思います。
参考までに今回の診断はアトピー&膿皮症です。
食物アレルギーは稀なため現在は特別食事制限を考えておらず、今後はいろいろ食べていいという方向性になっています。
このわんちゃんの膿皮症は、スキンケア&サプリメント&食事療法だけで改善するものです。
アトピーもある程度改善が期待できるとは思うのですが、投薬治療があった方が絶対的にいいと思います。
当院で推奨しているスキンケア&サプリメントは専用オンラインショップでお買い求めいただけます。
当院における膿皮症の治療成績がよい理由は「いいお薬」を使うからではなく、膿皮症ができる原因(体質)を高い精度で、かつ初診時に特定することができるためです。
今の皮膚科医療には、膿皮症を治すための抗菌薬(抗生物質や殺菌系消毒薬)はあるのですが、「膿皮症が再発する理由」を特定できる検査はありません。
しかし問診&視診である条件を満たす症例であれば、どうすればできなくなるかが大体わかるようになります。
今回はそんな典型的な症例でした。
平成30年5月21日 追記 この症例のその後
投稿者:
2018.03.15
柴犬のアトピー・アレルギーなどの痒い皮膚病だけでなく、アポキルが効かない難治性皮膚病の治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
アポキルが発売されたことで柴犬の皮膚病の治療は随分と楽になったと思うのですが、アポキルはどんな痒みにも効くわけではありません。
「効く」と思って使ったのに効かない、1日2回服用しているのに効かない・・・柴犬の皮膚病のあるあるではないでしょうか。
今日紹介する症例も、柴犬のよくあるアトピーにもかかわらず1日に2回アポキルを服用しているのに痒みがとれないというわんちゃんです。
【症例】
柴犬 10カ月 女の子
【経過】
〇生後4か月のころからずっと痒い!
〇腕を掻く&噛む、口唇を掻く、目を腕で掻く、お腹の側面を後ろ脚で掻く
〇アレルギー対応療法食を色々試すも、何を食べても改善しない
〇アポキルを1日2回服用しているにも関わらず痒い
それでは初診時の状態を紹介します。
まずは正面から。
続いて、顔を色々な角度からみてみましょう。
続いて、頚部とその拡大です。
続いて、胸部とその拡大です。
続いて、腹部です。
続いて、体幹の左側面とその拡大です。
続いて、左前腕(やや後ろから)とその拡大です。
続いて、右前腕の内側とその拡大です。
同じく右前腕の外~尾側の拡大です。
それでは初診時から2か月後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
元々の痒みを10として、今は0~1程度です。
掻き壊して毛並みが悪くなっていた部位も随分と生えそろってきました。
顔・腕などの赤みもほぼなくなりました。
アポキルは1日2回だったものが、「ここ1週間飲んでないけど、痒くない」という改善です。
診断はいつものように一瞬で、柴犬にアポキルが効かないパターンの典型症例ですね。
柴犬の正常をしれば、この治療が可能です。
柴犬の痒い皮膚病でお悩みの方は、当院を受診してください。
投稿者:
2018.03.13
手を舐める、足を舐める、掻き壊すなどストレスや精神的な要因から起きる心因性掻痒症の治療に力をいている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
アポキルが発売されて多くのわんちゃんの痒みが簡単に緩和できるようになったのですが、アポキルがほとんど効かない痒みがあります。
その筆頭が「心因性掻痒症」、手を舐める、足を舐める、腕をかむ、膝をかむ、背中を噛む、急に掻き壊す・・・といった症状です。
特異的な症状はなく、見た目でもアトピーやアレルギーなどに見えてしまい埋もれて見逃されているケースも多々あります。
多々というより「アポキル服用して残る痒みは仕方ない」という流れができつつあるほどです。
当院では痒みではなく、「痒み動作」としてとらえて原因追及&改善を徹底しています。
それは例え一般的な治療である程度緩和できて1年維持しても、2年維持していても残る症状があれば攻め直します。
今日はそんな「一定の改善をみとめて長期間コントロールしているが、再度攻めの治療で功を奏した症例」です。
【症例】
チャイニーズクレステッドドッグ
【経過】
〇当院への初診は4年半前
〇アトピーと心因性と診断し、シクロスポリン&心因性治療(内服1種、サプリメント1種)で一定の改善をえる
〇アポキルが発売されてシクロスポリンからアポキルへ変更
〇家族構成に変化があり、アトピーの再燃はないが、心因性の再燃を認める
※なお心因性治療(内服1種、サプリメント1種)の変更はしていない
まずは4年半前の初診時の状態を紹介します。
今みても「アトピー&心因性」という症例です。
部分的に感染症もありますが、この子にとって感染症はわずかなものでほぼぶり返しはありません。
それではここ半年ほどぶり返していた状態をみてみましょう。
この腕にできる潰瘍はなめすぎによるもので、完全な心因性です。
アポキルを毎日服用しても全く改善できません。
この4年半の中で大きな治療方針の変更はシクロスポリンをアポキルに変えたのみで、心因性のぶり返しはほとんど気にならなかったため、心因性に対する内服1種&心因性サプリメントの変更はしたことがありませんでした。
久しぶりの再燃に関しても一過性のものかと思っていたので様子をみていたのですが、一向に改善がみとめられないため、再び病気に攻めてみることにしました。
そう、心因性といえば当院が開発したヒーリングケアLFプラスです。
※このわんちゃんが初診で来院された4年半前にはヒーリングケアLFプラスはなかったので、別のものを採用していました。
市販の心因性サプリメントから、当院のヒーリングケアLFプラスに変更してから約3ヵ月後の状態とひかくしてみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
切り替えてからすぐに舐め癖は消失し、それから1度も再発はなく、ついでにアポキルまで減らすことに成功できました。
今ではアポキルは3日に1回までへってますが、それでも痒みがほとんどありません。
この先は春の花粉症がでやすいため、「例え痒みがなくともこの季節に3日に1回以下まで減らす必要はないと思いますので、しばらくキープです」としているほどの改善です。
当院のヒーリングケアLFプラスは精神的な癖、心因性だけではなく、アトピーなどの免疫異常に対しても非常に有効な改善が期待できます。
アポキルの使用量を減らすことができたのはこのヒーリングケアのおかげだと思います。
当院ではお薬の足し算ばかりをするのではなく、常にそのときの状態にあわせた最良の組み合わせをつくり、優先順位をつけて投薬量が増えすぎないように工夫しています。
薬の生理整頓は非常に重要ですね。
当院で開発したヒーリングケアLFプラスは専用のオンラインショップでお買い求めいただけます。
舐め癖、掻き壊しなどストレスや精神的な要因でおきる心因性の痒みに対して非常に相性がいいです。
適切な診断の元でご利用いただければ幸いです。
投稿者:
2018.02.23
柴犬のアトピーやアレルギー、アポキルが効かない痒い難治性皮膚病の治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
一般的に動物病院の皮膚科で治療が難しい犬種の筆頭に上がってくる一つが柴犬ですね。
その独特の体質からシーズーやフレンチより扱いづらく、治療難易度としては最高クラスと思います。
わかりやすい例えが良くも悪くもアポキルの反応で、アポキルが非常に効く症例もいるのですが、全然効かない症例もいます。
もちろんアポキルが万能ではなく効かない痒みがあるのはわかるのですが、このアポキルが効く症例と効かない症例の区別がつかないケースがあるから困るのだと思います。
だれしも
「なぜ効かない?」
と考えるのだと思うのですが、本当の意味でアポキルが気かない痒みであるわけではないですし、アポキルが効く柴犬と見た目の違いが全くないわけではありません。
柴犬の正常を知っていれば、アポキルが効かない痒みを呈している柴犬を事前に把握することができます。
「この症例には効きが悪い」
そして効くための治療手段を把握していれば「時期にアポキルが効くようになりますよ」と伝えることができるので、効かないアポキルを使い続けることにも何の後ろめたさも感じることはありません。
当院でも「最初は効きが悪いようにみえるかもしれませんが、1~2ヵ月後には効いてきますよ。」と伝えて治療開始しています。
今回はそんな「アポキルが全然効かない!」という柴犬の皮膚病です。
【症例】
柴犬 4歳半 男の子(去勢済み)
【経過】
〇1才半から続く皮膚の痒み
〇顔(目・口・耳)、お腹、腕、四肢・・・・背中以外すべてが痒い
〇アレルギーといわれ、食事をかえても、おやつを変えても改善しない
〇1年前からアポキル1日2回服用しても痒い
柴犬でよくある「アポキルが効かない」という典型的な症例です。
診断は診察室でチラッとみた一瞬、アポキルが効かない理由と効くための治療方針の確定もほぼ一瞬です。
それでは初診時の状態です。
まずは全体、一見重度な感じはしません。
続いて、顔の左側で、目の回りも口周りもあちこち痒いです。
本来この顔周りの痒みにはアポキルが効果を示しやすいのですが、効きにくい柴犬もちょくちょくいます。
こういったタイプにはちょっとアプローチを変えると簡単に痒みのコントロールが可能になります。
続いて、右前腕で、柴犬に多い「腕を噛む」という症状が強くでいているため毛並みが悪くなっています。
このタイプの痒みにアポキルは効きにくいですね。
同じく右前腕の外側面です。
続いて、左前腕の内側。
続いて、胸部です。
胸を後ろ足で掻くというアトピーでよく認められる症状です。
腕とことなり、この部位の痒みにはアポキルが非常に効くことが多いのですが、柴犬では効きにくいことがありますね。
続いて、腹部とその拡大です。
お腹が真っ黒になっています。
診療で診る大事なポイントは痒くて黒くなってしまったお腹ではありません。
別のところに診断のヒントが隠されています。
最後に右胸部の側面の拡大です。
掻きすぎて傷になっています。
それでは治療後5ヶ月半後の状態と比較します。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
初診の治療スタートの時点でアポキルを1日2回服用している影響もあってか、見た目が重度でないため当院の症例方向の中では差の小さなものかもしれませんが、大分きれいになりました。
比較写真が約5ヵ月半と長期になったのは途中で悪化したためです。
悪化の理由は簡単で、初診から1~2ヶ月で順調によくなったのですが、飼主さま判断で投薬治療が減ったためです。
これは「のど元過ぎれば熱くない」という心理的にもやむをえないことで、よくなると「薬がなくても良くなったんじゃないか?」「いくつかあるお薬のうち、〇〇はもういらないんじゃないか?」と考えてしまうためかと思います。
投薬治療を無理強いすることはできないため希望に合わせるのですが、やはりおまかせ治療がベストであってそのおまかせからズレると振り出しに戻ってしまうことがあります。
という理由で比較写真が5ヵ月半になっています。
おまかせであれば3ヶ月でこの状態だったと思います。
肝心のアポキルですが、受診前は1日2回服用でも痒かったのですが、今は1日半に1回(痒みが強いときは1日1回)でコントロールしています。
もちろん1日1回の方が効きはいいのですが、お薬は少ないにこしたことはないので1.5日が許容範囲であればそれも選択肢の1つかと思っています。
もし柴犬の痒い皮膚病治療でアポキルが効かない場合は、最低限2つの病気のことを考えるのがいいと思います。
治療は2つの病気以外のあるため、かなり多くの種類を駆使しますが、それぞれが重要な働きをします。
「痒い=アポキル」ではありません。
なお今回の症例はスキンケアやサプリメントメインではさすがによくなりません。
ヒーリングケアLFプラスは適応ですが、単独使用では改善は難しいでしょう。
投稿者:
2018.02.20
アトピー・アレルギーなど犬の痒みを伴う皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
つい先日「アポキルが効かないとき」という内容でブログを書きましたが、結論としては
「心因性」 「食物有害反応」 「内分泌疾患」
の3つの診断精度をあげていくこと、としました。
もちろんその他にもたくさんあるのは事実ですが、今の動物皮膚科診療で圧倒的に不足しているのがこの3つです。
不足の根拠は当院への症例の分析で、この3点で無治療ないし治療のズレがある症例が圧倒的だからです。
ペット医療とはいえ、がん治療、透析、心臓外科・・・などこれほど医療が進んでいるにも関わらず、なぜこの3点に不足があるのでしょうか?
理由はとても簡単です。
①目に見えない
皮膚にできる出来物などを異なり、大きさ・形の異常がないため、わかりづらいのは事実です。
※目でわかる毛並みの異常もあるため、全部が見えないわけではないです。
②数値化できない
心因性は数値化できません。血液検査もできません。
食物有害反応も数値ができませんし、検査もありません。
③モノで治せない
医療機器では絶対に治りません。
④情報が足りない
教科書に書いていない、誰も教えてくれない
おそらくですが、血液検査で数値化さえできれば、また超音波や内視鏡のようなもので見えれば、またレーザーなどの医療機器で治せるものであれば、瞬く間に周知されてどこでも的確な診断&治療にが可能になると思います。
では当院ではどうしているのか?
まずは心因性からお話してみたいと思います。
・・・・・・・・・・・長くなるのでまた時間あるときにまとめます(笑)
とりあえずですが、もしわんちゃんの痒みが精神的、心因性、ストレス?などの原因を疑う場合は当院のヒーリングケアLFプラスをお勧めします。
写真をクリックすると専用のオンラインショップに移動することができます。
当院ではこれなしでは診療が成り立ちません。
投稿者:
2018.02.03
シーズーのアトピー・アレルギー・脂漏・マラセチアといった痒い皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
シーズーの皮膚病治療で重要な要素の1つはスキンケアであり、当院では昔からシーズーのスキンケアに力を入れていますが、スキンケアで何でも治ると思っているわけではありません。
また最近ではアポキルという非常にいいお薬がでて治療成績を向上させていますが、アポキルがどんな痒みも抑えることができるわけではありません。
今回紹介するのはそんな「スキンケアやアポキルでも抑えきれない痒み」についての症例報告です。
【症例】
シーズー 2歳9カ月 男の子(去勢済)
【経過】
〇1歳になる前からの痒みを伴う皮膚病
〇9カ月前からアポキルを服用継続しているが、明らかな改善が認められない
〇食事療法として複数試しているがよくならない
〇当院で3件目の動物病院
それでは初診時の状態です。
まずは正面から。
続いて、右耳。
続いて、左耳と拡大。
続いて、頚部とその拡大。
続いて、右前腕と脇部分の拡大。
続いて、左腕とその拡大。
続いて、胸部と左右の脇の拡大です。
続いて、腹部とその拡大です。
同じく右内股、膝のやや上あたりの拡大です。
続いて、左膝の拡大です。
続いて、右膝~右すねの拡大です。
最後に四肢端として、右前肢の指の間と足裏をみてみましょう。
こういった症例の場合、院内薬浴が非常に奏功するためカットさせていただきました。
以上が初診時の状態の紹介です。
それでは初診時の薬浴の次の診察(わずか12日後)の状態をみてみましょう。
皮膚の発赤がほぼ消失、もちろん痒み・臭い・フケ・べたつきもほとんどありません。
アポキルを服用する、抗真菌剤を服用する、こまめにシャンプーする、食事療法をする・・・・どれも間違っていませんし、特に問題となる治療プランではありません。
ここで重要なのは「パズルのピース」です。
もう一つピースを足せばうまくいくのです。
そのピースの不足に気づくことが重要ですね。
参考までにこまめにシャンプーすることが悪いわけではないのですが、上記の12日間は一度もシャンプーしていません。
そして治療後の改善写真も「薬浴前」の状態ですので、こまめにシャンプーしなくてもここまで改善します。
よくシーズーの脂漏・マラセチアでは「こまめにシャンプー」と言われていますが、シャンプーで治る皮膚病と治らない皮膚病があり、今回の症例では「シャンプーの回数が問題ではない」ということです。
スキンケアに力を入れてこだわりにこだわった自分が言うのもおかしな話ですが、個人的には「シーズーの脂漏・マラセチアにスキンケアは必須だけれども、シャンプーでは治らない」が行き着いた答えです。
シーズーの皮膚病でお困りの方は当院の治療&薬浴をぜひ受けてみてください。
典型的であればあるほど劇的に改善が見込めます。
投稿者:
2018.01.20
アトピーやアレルギーなど、柴犬の痒みを伴う皮膚病治療に力をいれている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
目が痒い、耳が痒い、口が痒い、鼻が痒い、首が痒い、ワキが痒い、腕を噛む、膝をかむ、かかとを噛む、手先・足先をなめる&噛む・・・・背中は特に問題ない、3歳までに発症する柴犬のアトピー性皮膚炎の典型例ですね。
今はアポキルというすばらしいお薬がありますので、コントロールしやすくなってきました。
ただ、今でも一定数コントロールできない難治性皮膚炎の柴犬のアトピー性皮膚炎のわんちゃんがいます。
今日はそんな「どこからどうみてもアトピーなのに、アポキルが効かない」という症例です。
【症例】
柴犬 2歳 女の子(避妊手術済み)
【経過】
〇生後7ヵ月後から痒みを伴う皮膚病
〇季節性はなく1年通じて痒みがある
〇顔、耳、口唇、わき、腕~手首、膝~かかと、四肢端
〇16ヶ月前からアポキルを服用しているが、服用していても効いているわけではない
ここでポイント①、飼主さまのお住まいは関東圏です。
当院が提供している遠隔診療を希望するお申し込みでした。
すべての皮膚科症例が遠隔診療の適応になるわけではないため、まずはお写真をいただきました。
いつもお話している通り皮膚科は初診の診極めが大事です。
この症例でもこのお写真で判断可能です。
この時点で治療方針はほぼ確定です。
そして日時をあわせて東京品川で実際に診察を行いました。
当日のお写真を紹介します。
ここまでは送っていただいた写真、症状の通りです。
皮膚病は見た目が何より大事で全身に診断につながる重要な所見が隠されています。
痒いところをみるだけでなく、予測通りか確認することも重要です。
ここも大事なポイントですね。
この初診時から約1ヵ月後の状態です。
飼主さまからいただいた写真なのでわかりやすい比較写真ではないですが、ご了承ください。
まずは腹側の全体像。
続いて、頚部。
続いて、胸部です。
フワフワの毛並みですね。
痒みは「かきますが、気になるほどではありません」というレベルまで改善しました。
症例報告に使うフレーズとして「アポキルが効かない」というセリフをよく使用しますが、正しくは「アポキルが効く痒みではない」で、アポキルを使うべき痒みにはとてもよく効くんです。
アポキルはすべての痒みを止めるわけではないため、原因を診極めて何をターゲットにして使うかを判定していけば非常にいいお薬です。
もちろん副作用が非常に少ないので「とりあえず」で使うとこもできますが、「アポキルを使って残った痒みをどう評価すべきか」まで考えて処方するのが正しい使い方と言えます。
前回の症例同様にある治療を加えれば、今回の柴犬にも他のアトピーの柴犬同様アポキルはよく効くようになります。
大事なのは、
柴を極める
でしょうか。
柴犬の正常を知れば、柴犬の異常を知ることができます。
常に、常に柴犬の皮膚を診続けるば、いづれ正常がわかるようになり、次に異常がわかります。
正常を知らずに異常はわかりませんからね。
今回紹介した柴犬の初診では、静岡県静岡市の動物病院「あん動物病院」の大石先生と一緒に診察しています。
静岡市近隣にお住いの方で、柴犬の皮膚病にお困りの方はあん動物病院の大石先生にご相談ください。
当院ではこういった一般的に知られていない診断・治療法を含めたプライベート皮膚科セミナーを開催しています。
ご興味のある方は当院HPからお問い合わせください。
投稿者:
2018.01.19
犬の皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
皮膚病になりやすい犬種、治りにくい犬種の筆頭として柴犬・シーズー・フレンチブルドッグがあげられますが、キャバリアも皮膚病になりやすく&治りにくい犬種の一つです。
今回は以前紹介したキャバリアの皮膚病症例が、その後さらに改善している様子を紹介したいと思います。
前回紹介したときのブログは、【キャバリアの皮膚科診療】アポキルが効かない です。
まずは前回紹介したときの「治療前→治療後」の写真を紹介します。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
このときからさらに約2か月経過したときの皮膚コンディションを紹介します。
ふわふわ、もこもこ、さらさらです。
トラブルがゼロではないのですが、見違えるようによくなったと思います。
ここ最近ではアポキルを服用することはほとんどなく、間近の診察では処方していません。
アポキルは非常にいいお薬ですが、どんな皮膚病の痒みにも効くわけではありません。
「なぜ皮膚病になっているのか?」を判断することがとても重要です。
今回の症例では投薬治療がかなり有効でしたが、疾患としてはスキンケアも必ず併用しなければいけない皮膚病です。
当院のオンラインショップでお買い求めいただけます。
すべての皮膚病がスキンケア&サプリメントで改善することはないのですが、お薬を服用することだけで治るわけではないので非常に重要なポイントだと思います。
スターターセットをご購入の方には無料相談に対応しています。
投稿者:
2018.01.19
柴犬のアトピーやアレルギーなど、痒みと伴う皮膚病治療に力をいれている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
柴犬の痒みトラブルは非常に多いですね。
痒みを抑えることができる「アポキル」が発売されて、一定の症例はこのアポキルによってかなりの改善を認めていると思われます。
しかしアポキルが高い効果を示す症例と、そうでない症例がいますが、その違いはどこにあるのでしょうか?
これはアポキルだけに限ったものではなく、ステロイドや免疫抑制剤などの痒みに関するお薬全般にいえることです。
「服用しているのによくならない」
当院を受診しているわんちゃんのスタートラインはここです。
今日はそんな「痒み止めの効果がでない」という柴犬についてです。
【症例】
柴犬 1歳10カ月 女の子(避妊手術済)
【経過】
〇生後5か月から続く痒み
〇口・耳・目、わき、お腹、四肢端なめる&かむ、腕をかむ、膝をかむ
〇動物病院からの食事療法を約1年(2種類)継続するも改善なし
〇抗生物質を1年間継続中
〇痒み止めとしてステロイドを1年間(約200日くらい?)服用
〇痒みのコントロールができていない
〇季節性はなく、1年通してずっと痒い
それでは初診時の状態です。
6日前に初診のために当院を受診されたので、治療後の写真はまだありません。
初診時の検査では、ニキビダニ陰性、マラセチアわずかに検出、膿皮症なしでした。
診断は一瞬です。
いや、実は看護師が受けた電話の問診メモをみるだけでわかりました。
※先入観はときに痛い目をみるので本当はよくありません。
あとは当日パッとみて&お話聞いて確信へ、各種検査は似ている疾患を除外するために実施します。
簡単な特徴としては、
〇柴犬
〇若い発症
〇季節性のない痒み
〇痒み止め(一般的にはアポキルとステロイド)が効かない
〇寄生虫(ニキビダニ、疥癬)ではない ※なさそうでも可
この条件であれば「柴犬のあるある」かもしれませんが、シンプルなアトピーであればアポキルなりステロイドが効きますし、季節性もあると思いますのでそのグループには入らないちょっと難しいタイプに分類できます。
おもしろいのは、飼い主さまからの主訴には決して入ってこないあることに関する情報を聞き出すことで、この病気の診断に近づくことができます。
今回も一通り飼主さまのお話を聞いて、簡単な顕微鏡検査をして、改めて飼主さまに質問をしてみました。
「お近くで柴犬のわんちゃん見る機会もあると思いますが、他の柴ちゃんとこの子で何が違うと思いますか?」
飼主さまはこの質問に的確に、かつ僕の期待通りの答えを返してくださいました。
病気の原因はそこだったんですね。
ただ、飼主さまはそれを僕に伝えることはできなかったのです。
認識できていることと、今の病気と関係していると思うことは別で、獣医師に伝える症状には入っていませんでした。
診断には検査だけでなく、飼い主様から必要な情報を聞き出す質問ができることも重要と思います。
参考までにこの子はアトピーの範疇でいいと思います。
問題はなぜこの子のアトピーにステロイドが効かないのか?ですね。
仮にアポキルでも同様ですが、効くはずのものが効かないのは「効かない理由」があるのです。
効かない理由の診断をつけて治療さえすれば、この症例のアトピー部分には他の症例同様にアポキルやステロイドが効くようになります。
この症例に必要なのは痒みを抑える治療ではなく、アトピーにステロイド(同様にアポキルも)が効かないある疾患を治療してアポキルが効くようにすることです。
3か月後にはアポキル(ないしステロイド)を毎日飲まなくても痒みがコントロールできるようになると思います。
次回は今回紹介した症例とまったく同じような柴犬で、「アポキルを服用しているのにまったくよくならない」という症例の改善経過を紹介します。
おもしろいは東京で開催した遠隔診療での症例です。
要するにメールと写真で目途をつけ、実際に診るのは1回だけで診断・治療方針を組み立てるという医療です。
また、当院では動物病院向けにこのような今の皮膚科で不足している大事なことについて、個別で皮膚科セミナーを開催していますので、ご希望の方はHPからお問い合わせください。
投稿者:
2018.01.04
アトピー・アレルギー疾患などの痒みを伴う皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
昨年の症例報告のほとんどが「アポキルが効かない」でしたが、それはしばらくずっと続くと思います。
アポキルそのものは非常にいいお薬で、当院でもよく処方するのですが、効かない?と感じる場合は2つの原因を考えるようにしています。
1つは「そもそもアポキルが効かない別の疾患」という場合です。
特に感染症ではアポキルはほとんど効かないと考えています。
2つ目は「アポキルが効く痒み以外の痒みが残っている」です。
要するに「痒み」と一言にいっても、原因はさまざまあり、アポキルがどんな痒みにも効くかというとそうではありません。
アポキルにも抑えやすい痒みと、抑えにくい痒みがあるため、そこを診極めなければ難しくなる症例もいます。
アポキルが効く痒み以外の痒みが残っているわんちゃんには、その原因に合わせた追加治療が必要になります。
今回はそんなアポキルが効くかゆみ以外の痒みに追加治療を行ってアポキルを減らすことができた症例報告です。
【症例】
フレンチブルドッグ 女の子(避妊済) 2歳9ヵ月
【経過】
〇アポキル1日1回投与により随分と改善した状態が続いていたが、手足の先を舐めることがだけが続いていた
〇アポキルの服用が1日1回のまま約1年となり、減らすと症状が悪化するため減量が中々できなかった
この時点で初診時よりはるかに改善したいたが、今後のさらなる治療成績のため、新しい追加治療を提案しました。
今回は治療前の写真がみつからなかったため、治療後の写真のみ掲載します。
症状は手足の先(指の間と足裏)を舐めることでしたが、随分と改善しました。
最初1日1回をずっと継続していたアポキルですが、新しい治療を組み込んだことで徐々に減らすことができ、現在は週2~3回投与でコントロールができています。
追加治療の1つは当院のヒーリングケアLFプラス、
このサプリメントを併用しています。
もちろん投薬治療の追加も行ったため、純粋にサプリメントだけでアポキルが減ったわけではないのですが、大事なことは複数併用することで1つのお薬に頼らなくてもよくなり、治療成績が向上するということです。
当院のスキンケア商品・サプリメントは以下のオンラインショップでお買い求めいただけます。
適切な医療の元、ご使用ください。
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