2019.07.26
犬の皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
以前にUPした記事の続きです。
初回の記事で、5~10症例集めて発表ということを書きました。
最初の症例の改善を確認してからは、積極的にこの新しい治療を提供しており、多くの治療結果がでています。
もちろんどんな症例にも効果があるわけではないのですが、診極めさえできればその精度はかなり高いようです。
今回の症例です。
まずはこの新しい治療薬を開始する前の状態です。
この状態から新しい治療法を加え、約7週間後の状態をみてみましょう。
歴然ですね!
元々アポキルを1日1回服用していても痒みがのこっていましたが、現在は2日に1回でも痒みはほとんどないというコンディションの良さです。
もうこのわんちゃんを診始めて5年ですが、恥ずかしながら過去最高のコンディションです。
恥ずかしながらというのは、今までも改善していた(しかもブログ紹介もしたことがある)んですが、「実はもっといい治療があった」ということです。
もちろん以前も劇的によくなった(今回ほどではない)のですが、なんとその数か月後にぶり返したんですね。
また治療再開で再びよくなったのですが、なんと2回目のぶり返し・・・
劇的に改善するけど、3~4か月後に再燃するということを2回繰り返した時点で治療の方向性に微調整を加えることにしました。
もちろん今の皮膚科の標準治療には一切ない治療法なので、「仮説ですが!」と前置きして治療スタートです。
ただ個人的には「確信あり」でアプローチしてますので、今後も「いける」と思った症例は外さないと思います。
ブログではずっと以前から伝えていることですが、「教科書では治らない」というのは本当に多くあると思います。
10年前にはアポキルというお薬がでるなんて誰も予想できなかったことと同じように、今後も今わかっていない新しい治療法はきっとでてきます。
それが今回の治療法だと思います。
そう、「答えは想定外にあり」ですね。
これは人生のキーワードの一つになっているのですが、自分の将来は今の想定外でありたいなと日々思っています。
実際、5年前にできなかったことが今できるようになっています。
なので、きっと5年後は今できていない想定外の治療ができる自分になっていたいなと思います。
投稿者:
2019.07.22
犬の皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
以前にUPした記事の続きです。
前回紹介した症例と似ていますが、異なる症例です。
「この症例もアレだな、〇〇〇でいけるはず」と判断して治療開始した症例です。
【症例】
柴犬 避妊メス
まずは頚部です。
続いて、頚部の拡大です。
続いて、胸部です。
もちろんこの時点でも「アポキルを毎日服用しているにも関わらず痒い」という状態です。
ここからある治療を加えます。
続いて胸部です。
完治と言う表現はできませんが、見た目でかなりよくなっているのが伝わると思います。
柴犬でこのタイプの皮膚病はよくあるのですが、一般的には「アトピー・アレルギーだからアポキル&食事療法」となりがちなタイプです。
しかし本当にそれだけでコントロールできているか?といえば、おそらく異なると思います。
当院にはこういった「アポキル&食事療法で治らない」という柴犬がたくさん来院されていますが、当院ではこのタイプの柴犬の治療成績はかなり高いです。
理由ですが、このタイプには特殊な治療が必要で当院ではそのメインとなる治療法を把握していますが、今の皮膚科で考えられている標準医療ではまったくカバーできていないためです。
当院では検査・治療におけるエビデンス(標準医療)を大事にしならがも、まだ知られていない皮膚トラブルにもフォーカスをあてて「治療実績を優先させる」という取り組みを行っています。
柴犬の痒い皮膚病で、アポキルが効かない、食事療法で改善しないという皮膚病で悩んでいる飼主様はぜひ一度当院を受診してください。
遠方にお住まいで継続治療が難しい場合でも、メール&写真でお薬を発送する遠隔診療で対応できる場合もあります。
投稿者:
2019.07.14
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
初診の予約についてのお知らせです。
当院の皮膚科診療は完全予約制で、特に初診は説明に時間がかかるため、原則として十分な時間が確保できている時間帯(12時スタート予定)で受けています。
※1週間以内で空きがあれば12時以外の時間帯でも対応できますので、ご予約時にご相談ください。
現在の予約状況ですが、6月から初診が増えている影響で、初診の予約が取りづらくなっています。
特に土曜日は時に1カ月以上まちになることがあるため、平日に時間が取れない方は早めのご予約をお勧めします。
【遠隔診療】
東京・神奈川・埼玉・千葉・静岡・長野・京都・大阪・兵庫など遠方から来院される方には継続治療の選択肢として遠隔診療(メール&写真)がございます。
症例によって適応しない場合がありますので診察時にご相談ください。
【7~8月の診療時間案内】
夏季休診:8月11日(日)~16日(金)
日曜診療:7/21、7/28、8/18、8/25
※9月以降の日曜診療は原則月1回となります。
投稿者:
2019.07.07
アトピー・アレルギーなど柴犬の痒い皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
梅雨に入り皮膚トラブルが増えてきましたね。
先日、印象的な診察(初診)がありましたので、ブログにしてみることにしました。
症例は柴犬で、アポキルも効かないし、痒くて仕方がないというよくある症状なのですが、見た目は非常に綺麗な柴犬でした。
一見綺麗な柴犬だからこそですが、一目みてお話聞きながらすぐに診断がつくほどわかりやすいタイプです。
(検査は何一つしていませんが)僕は頭の中で診断名を用意しながら、飼主さまに「原因はなんだと思いますか?」と質問してみました。
すると、
「私、〇〇〇〇〇だと思います。」
おおっ!正解です!
飼主さまもかかりつけの先生にその相談をされていたようなのですが、そこから先に進まなかったようでアポキルなど一般的な投薬治療以外の具体的な治療を受けることができなかったようです。
一言に「〇〇〇〇〇」といっても色々タイプはあって、実はもっと先の本当の原因を突き止める診断もあるんですね。
その診断をするためにいくつか質問させていただて、やはりそこに原因があるだろうなと確信できたときに改めて「こういった問題って、なんだと思いますか?」とかなり抽象的な質問をしてみました。
すると、
飼主さま「〇〇〇でしょうか?」 ←正解!
上から目線で申し訳ないのですが、非常にするどい!
飼主さまもずっとモヤモヤしていたことだったようで、今回の診察で非常にスッキリできたと喜んでいただけました。
もちろん治すのはこれからなのですが、治療に前向きになれるというのは非常に大事ですよね。
当院では柴犬の治療に本当に力を入れています。
柴犬の皮膚病治療が難しい理由ってその「独特の遺伝」にあると思うんですね。
遺伝といっても広いのですが、ピンポイントでいうと「免疫」と「性格」です。
だからなのですが、柴犬と医学って非常に相性が悪い。
どう悪いのか、それは医学が柴犬を理解できていないからです。
医学は本当に進化していますが、数値化できないものに非常に弱いんです。
免疫異常にはアレルギー検査というのがありますが、免疫異常=アレルギーではないので、アレルギーと誤解すると治療が迷走する原因になります(だから柴犬の皮膚病が治らない)。
そして性格は数値化ができないので医学では「治療対象にしない」となりやすいです。
柴犬の皮膚病を本当になんとかするためには柴犬とどれだけ向き合えるかではないか、と思っています。
投稿者:
2019.06.04
こんにちは、獣医師の平川です。
先日、【世界初の治療法】閃きは確信へで掲載した症例の治療経過を紹介します。
※長く通院している症例で、過去の治療内容でもなんどかよくなってきたのですが、今回「今の治療に限界がある」と判断せざるを得ないぶり返しがあったので、方向性を変えることにしました。
まずは頚部です。
続いて、前胸部~上腕です。
続いて右上腕の拡大です。
続いて、右前腕です。
続いて、胸部とその拡大です。
続いて、右後肢の膝周辺です。
続いて、右後肢の甲です。
非常部重度の脂漏と皮膚炎がありました。
ここから今までまったく行ったことがない治療を加え、5週間後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
まだ途中経過ですが、劇的に改善しつつあります。
ポイント①
この投薬治療開始前写真は、この状態でも当院での治療を続けてきた結果であり、決して無治療ではなかった。
ポイント②
この5週間に加えた治療は、アポキル・シクロスポリン(免疫抑制剤)・甲状腺ホルモン剤といった一般的に知られた皮膚治療薬ではない。
参考までに、5年前の僕はこの治療法を想像していませんでした。
2~3年前にこのタイプの皮膚病があることに気づき、去年にはその分野の大学病院の先生にも「〇〇〇〇〇〇という病気があるのではないか」と聞いてみましたが、「聞いたことがない」と回答いただきました。
まだ1症例ですが狙いすました1症例なので、やはり・・・
「答えは想定外にあり」
できっとまだ知られていない疾患かと思います。
今年の学術は、夏に心因性の新しい治療法を発表する予定なので、この新しい疾患&治療法についての発表は2020年の仕事にしようと思います。
それまでに5~10症例は蓄積する予定です。
投稿者:
2019.05.25
こんにちは、獣医師の平川です。
僕は昔から「閃き」という言葉を好んで使っています。
過去には「閃き」で何度かブログを書いていますので、よければ昔の「閃き」もお読みください。
2014年11月17日 閃きは確信へ
2018年5月27日 閃きは確信へ ~5年前の失笑~
2018年12月12日 【閃きは確信へ】痒みと心因性と〇〇〇〇
そして今日もタイトル通りですが、閃きから驚きの治療結果を得ることができたので、記念にブログすることにしました。
今回の閃きのきっかけは2~3年前に遡ります。
教科書に掲載されていない病気があって、もちろん治療法も独特(薬剤A)で掲載されていないという未知の病気があることに気づきました。
「ほぼ診断できるし、ほぼ治せるけど、原因も分からなければ適切な病名もない」
鑑別疾患からいくつかの仮説をたて確実な検査方法がないか探しましたが、有力な検査方法をみつけることはできませんでした。
次に治療法からメカニズムを考え、「薬剤Aが効果を示すということは、もしかしたら〇〇〇〇〇〇という病気が存在するのでは?」となったのですが、そのメカニズムを証明する検査は犬ではできませんでした。
ただ、この時「もし本当に〇〇〇〇〇〇だとしたら、薬剤Aだけでなく、薬剤Bも同様に効果を示すのでは?」と仮説をたてました。
もちろん薬剤Bを皮膚病治療で使ったという報告は聞いたことがありません。
そしてついにその日は訪れました。
あれから1年以上たった今年の2019年4月、あるわんちゃんの再診時に
「これがきっと〇〇〇〇〇だろう。検査で証明できなければ治療(薬剤B)の結果で仮説を肯定するしかない。」
と、仮説でしかなく治療経験もないのですが、仮説を丁寧に説明し、治療の了承を得ることができました。
そのときの写真がこちらです。
難治性のわんちゃんではありそうな皮膚タイプですね。
ここから約5週間後の今日、僕は
「すごい!ここまで改善するとは」
ほんと、久しぶりに衝撃を受けました!
1発目に成功させることができて、閃きは確信へと変わりました。
まだ1例中1例ですが、狙いすました1例で当てたのでいつも通りの診極めができれば十中八九で当てることができると思います。
今年の冬から取り組んでいる発表(夏発表予定)も世界初の内容ですが、今回の閃きの疾患&治療法も世界で知られていないものです。
以前もブログで紹介したことがありますが、
「答えは想定外にあり」
が医療のキーポイントだと思います。
当院からの発表を今後も注目してください!
2019.6.4 【世界初の治療法】閃きは確信へ②
投稿者:
2019.05.23
犬の湿疹・膿皮症治療や再発予防に力を入れている皮膚病治療専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
暑くなってきたため、これからの季節は湿疹・膿皮症が悪化しやすい季節ですね。
湿疹・膿皮症の治療と言えば「抗生物質」ですが、いくつか問題があります。
1つは「再発」、2つは「効果がでない」という問題です。
再発については「抗生物質を服用すると治るが、服用を止めると再発する」ということです。
効果がでないについては、内分泌疾患の見落し・食事が合わないなどの問題もありますが、耐性菌(抗生物質に抵抗力をもつ菌)によるものもが大きな原因です。
ではこういった問題に当院ではどのようにアプローチしているのか、ご紹介します。
【症例】
トイプードル
【経過】
〇背中の湿疹が治らない
〇消えては新しいのができるの繰り返し
それでは初診時の状態です。
湿疹が多いのは背中です。
それでは治療から3か月後の状態です。
抗生物質を使っていないにも関わらず、ずっと再発をゼロにしています。
この治療後の再発をゼロにする方法の1つのアプローチが「スキンケアECプラス」です。
サプリメントですが、膿皮症の改善に非常に相性がいいです。
内分泌疾患の見落しや、食事が体質に合っていないという2点をしっかり除外できていれば、かなりの効果が期待できます。
当院の「治療成績に差がでるサプリメント」ですが、当院オンラインショップからご購入できます。
Medicareシリーズのスキンケア商品(オイル・シャンプー・ローション・ジェル)とともにご使用ください。
手先・足先・顔などのアトピー・痒みがなく、湿疹タイプであれば「膿皮症ケアセット」がお勧めです。
投稿者:
2019.05.10
手を舐める、足を舐めるなど身体の一部を執着してなめることによって起きる皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
犬の皮膚科をしていると、「舐める」という症状をよく診ます。
痒いから舐めていることもありますが、痒みと関係なく舐めているわんちゃんも多くいます。
痒みから舐めている場合は痒みを抑えればいいのですが、痒みと関係なく舐めていれば痒み治療ではまったくうまくいきません。
今回はそんな「痒いではない舐め癖」のわんちゃんです。
【症例】
マルチーズ 4歳 男の子(去勢済)
【経過】
〇元々臍ヘルニア(デベソ)があり、気にして舐めていた
〇しつこく舐めることでヘルニアの袋部分が破れてしまい、手術で縫合整復
〇術後も舐め癖はつづき、臍に裂開部分あり
〇アポキル服用するもあまり効果がなかった
それでは初診時の状態です。
次は臍(へそ)の拡大です。
穴が開いています。
おそらく臍ヘルニアを舐めすぎて破裂した後、手術で整復&縫合するも術後に舐めすぎで一部離開してしまったと思われます。
舐め続けたことでずっと穴が開いている状態が続いているのでしょう。
非常につよい舐め癖があり、胸~内股にかけてほとんど毛がありません。
ここから8週間後の状態と比較してみましょう。
ほとんど舐めなくなり、毛も再生していますし、皮膚コンディションもかなり改善しています。
臍の皮膚裂開部分も完全に閉じることができています。
この症例では「腹部を舐める」という症状が非常に強いのですが、痒くて舐めていたわけではありません。
そのため痒み止め「アポキル」では十分な改善ができません。
こういった症例には心因性のアプローチ(投薬&サプリメント)が重要になってきます。
サプリメントとしては今年当院で開発した「パーソナルケアPⅡ+」がお勧めで、今回の治療症例でも併用しています。
今まで「舐め癖」は仕方がないと言われていた部分もありますが、当院では皮膚トラブルにつながる過剰な舐め癖は治療対象としてみています。
また投薬&サプリメントを長期継続することで十分改善可能と考えています。
パーソナルケアPⅡ+は以下のオンラインショップでお買い求めいただけます。
投稿者:
2019.04.19
獣医師向けセミナー開催のお知らせ
テーマ
心因性皮膚疾患の診断・治療の実際
1)舐める&掻く&齧る=痒いではない
2)舐め癖は存在する?
3)掻き壊しの理由は?
4)心因性=ストレスではない
5)実際の治療薬の使い方
開催日時 当院:月・木・金の夜間
訪問:火曜日午後または水曜
投稿者: