2019.10.13
犬の皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
3年前にアポキルが発売されて以来、犬の痒み疾患には「とりあえずアポキル」という流れが強くなっています。
非常に安全性が高いので特に大きな問題はありませんが、「アポキルで痒みが治らない」という皮膚病症例はかなり多くいます。
というのも当院を受診されるわんちゃんの8~9割が「アポキルを服用しているのによくならない」とお話されます。
ここで重要なのは「本当に痒いのか?」という視点です。
犬の掻痒行動には「掻く」「舐める」「噛む(かじる)」といった症状がありますが、すべてが「痒み」に対する症状ではないこともあります。
ヒトでも「皮めくり症」という病気があるように、かならずしも痒みからきているわけではない皮膚疾患もあります。
簡単にいうと「癖」という枠に入る「行動学的特徴」ですね。
犬でも「癖」によって掻いたり、かじったり、舐めたり・・・というのはよくあります。
今回の症例はそんな「痒いわけではなくて癖でかじってしまう症例」です。
【症例】
マルチーズ 女の子
それではちょうど一番悪化している状態の写真を紹介します。
症状がでているのは写真右半分(左前腕)、左腕の外側ですね。
常にかじっているため毛が伸びず、ちぎれているため短い状態になっています。
明らかに心因性を疑う所見で、アポキルを使っても全く改善しません。
抗不安作用のある向精神薬を服用することである程度緩和もあるのですが、十分な改善ではなくぶりかえしたりもします。
一般的に「ストレス?」と言われる心因性ですが、必ずしもストレスとは限りませんので「癖」としてアプローチする方がいいこともあります。
そこでこの症例には今年の春に開発した「パーソナルケアPⅡ+」を併用することにしました。
パーソナルケアPⅡ+を併用してからは治療成績が明らかに向上しています。
しかも抗不安薬を完全に中止してもほとんどぶり返さなくなっています。(治ったという表現ではないです)
明らかに「癖」のスイッチが入らなくなって落ち着いているという状態です。
症例によって原因や性格・気質はさまざまで、場合によっては不安を取り除く向精神薬が必要であったりするため一概にいえませんが、心因性=抗ストレス&抗不安というものではないと考えています。
やはりわんちゃんの性格・気質にあったアプローチがあり、投薬治療も大事にしつつ「サプリメント」というのは投薬治療ではできないより根本的な対策の1つではないかと考えています。
今の皮膚科医療では癖は「癖だから(治療対象ではない=治らない=仕方ない)」で終わってしまう傾向があるかと思いますが、「癖が起きる病気」として捉えてアプローチすることで1つ2つ上の治療成績を出すことができます。
まだまだ一般的な治療ではない分野ですが、当院ではわんちゃんの生まれつきの性格・気質を的確に診断し、積極的な治療プランを提案しています。
その1つが「パーソナルケアPⅡ+」です。
パーソナルケアPⅡ+は短期的な効果が期待できるサプリメントではないため、最低半年以上(できれば数年)かけて継続をお勧めしています。
特に気難しい柴犬、個性的な子が多いブルドッグ犬種、シーズーには非常にお勧めです。
当院のオンラインショップでお買い求めいただけます。
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