2019.10.26
シーズー・柴犬・フレブルなど難治性の皮膚病の体質の一つである「脂漏症」の治療に力を入れている皮膚科専門動物病院四季の森どうぶつクリニックです。
皮膚病にも色々あり、一般的に使われている言葉でいうと膿皮症、食物アレルギー、アトピー、寄生虫疾患・・・といった枠組みがあります。
明確な原因を突き止めた診断名の言葉のこともあれば、ただ症状を表しただけで原因を特定していない言葉もあります。
アトピーや脂漏症といった言葉が「症状を表しただけ」の言葉ですね。
アトピーといっても色々ありますし、脂漏症なんて脂っぽいすべてのわんちゃんが当てはまり、アトピーも脂漏症も原因は特定していない「便利な言葉」です。
今回の記事ではこの「脂漏症」についてお話します。
当院では開業時から力を入れているスキンケアを併用して特にシーズーの脂漏症の治療成績を格段に向上させてきたのですが、脂漏症のコントロールが完璧というわけではありません。
脂漏症といっても原因はさまざまなので、スキンケアだけでなんでもよくなるわけではなく、「そもそもなんで脂っぽいのか?」を追求して、対策をとらなければいい結果がえられないこともあります。
一般的にはアトピーや甲状腺機能低下症が脂漏症の原因として知られていますが、もし脂漏症の原因がアトピーか甲状腺だけならはるか昔から脂漏症はもっといい治療結果がでています。
古くからシーズーの脂漏症は存在し、アトピーにはアポキルがあり、甲状腺機能低下症には血液検査と治療薬が存在することを考えれば、「現在の皮膚科医療を用いて治っていないシーズーの脂漏症の原因はその他にある」ともいえます。
もちろんこれは当院の治療でも悩むところで、「今の皮膚科で知られていない脂漏症の原因が他にあるのではないか?」についてはここ数年ずっと考えてきました。
そしてついにその日はやってきました。
約2ヵ月前。
当院のスキンエアである程度改善はするものの、強い脂漏症の体質が続くシーズーの飼主さまに、
・医学的な根拠はない
・当院でもシーズーの脂漏症への治療実績はない
・やってみないとわからないけど、うまくいくと思う
デメリットを説明しつつ、どうしてこの治療を提案するのかの理由をしっかり説明して新しい治療にチャレンジしました。
局所の写真比較ですが、治療前と治療後を紹介します。
写真では微かな差にみえますが、症状は劇的に改善しました。
なんといってもずっと脂っぽかったのが、随分とサラサラになってきています(飼主さまの評価)。
そしてそれとともに毛並みも改善、かなり密な毛が再生しています。
毛並みがよくなるというのは、それだけ皮膚コンディションがいいということです。
シャンプーから数日で脂っぽくなっていたのが、1週間洗わなくてもいい状態になったということです。
この治療法は従来の皮膚科では不可能だった領域をカバーする革新的な治療法だと思います。
もちろん世界で報告されたことはなく、誰も予測さえしていない「新しい病態の提案(仮説)」から生まれたアプローチなので医療のスタンダードになるには数年どころか十年以上先かな?とは思います。
この治療のメカニズムがまったく新しく、誰も予測できていないものなのですが、そのおもしろさとして次のブログ記事で続きをお話しますね。
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