2017.10.23
フレンチブルドッグの痒みを伴う膿皮症・アレルギー・アトピーの治療に力を入れている皮膚病治療専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
フレンチブルドッグの皮膚病は本当に多いですね。
当院の皮膚科の来院で最も多いのがフレンチブルドッグではないかと思います。
ではフレンチブルドッグで多い皮膚病の原因はというと、
①細菌性膿皮症
②アトピー性皮膚炎
③アレルギー性皮膚炎(食物アレルギー含む)
というものが一般的にあげられます。
見た目ではどんな雰囲気かというと、今日の症例報告のようなわんちゃんが典型例なので「よくある典型的なフレンチブルドッグの皮膚病」としてみてください。
【症例】
フレンチ・ブルドッグ 去勢雄 3歳
【経過】
〇1歳の時から痒みを伴う皮膚病を発症
〇季節性はなく、1年通して痒い(梅雨が最も悪化)
〇アポキルを1日1回1年前から継続して服用しているが改善しない
※間近1ヶ月はこのアポキルを1日2回服用中にも関わらず改善なし
〇痒みは、胸の側面を掻く、四肢端をなめる(特に前肢)、ワキ、顔
〇過去に3件の動物病院受診
〇色々な療法食を使うも改善せず、手作り食でも改善せず
それでは初診時の状態をみてみましょう。
正面から。
顔の側面と皺の拡大です。
続いて頚部。
続いて、右前肢。
続いて、左前肢。
続いて、身体側面。
一見普通に見えますが、実は痒みを伴っています。
下半身を拡大してみましょう。
被毛が茶色になっているため、頻繁に噛んでいることが推測されます。
続いて右側面の肩のあたりです。
強くかいているため、傷になっています。
続いて、胸部とその拡大です。
続いて、腹部。
続いて、内股です。
それでは初診時からわずか1ヵ月後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
痒みは元々10だったのが2くらいまで減ったそうです。
見た目も赤い湿疹はほぼなくなり、毛並みも綺麗になり、白くなっているのがわかると思います。
被毛が茶色に変色する原因は唾液によるもので、舐めたり噛んだりしなくなったことで、白にもどっています。
フレンチブルドッグに多いしつこい足舐めもかなり軽減されています。
今回のタイプはフレンチブルドッグの典型的な皮膚病で、メジャーな原因3つをそろえています。
それぞれに対して適切な診断・アプローチをとることで、たった1ヶ月で劇的に改善します。
投薬治療を行いましたが、当院が開発したスキンケア&サプリメントもとても重要なアプローチの1つです。
再発を少なくするためには非常に効果的と考えています。
オンラインショップでお買い求めいただけますので、適切な医療を併用しながらご利用ください。
また、遠方にお住まいの方には遠隔診療を提供しています。
ここで一つ疑問があるかと思います。
なぜアポキルを1日2回服用しているにも関わらず痒みが改善せず、当院では改善したのか?
理由は複数あるのですが、1つはフレンチブルドッグに食物アレルギーは少ないという考え方です。
世の中では「フレンチブルドッグの皮膚病=アレルギー」といわれているところが多いですが、個人的にはそう考えていません。
あくまで「個人的に」であって正解ではないのですが、「アレルギー」と考えているから改善していないわんちゃんは相当数いるかと思います。
当院ではアレルゲン対策はほとんどしません。
理由は「アレルギーは稀」というスタンスだからです。
「アレルギーがない」という根拠はないのですが、アレルギー対策で改善するわんちゃんは稀ですので、あえて稀なところからアプローチしないだけです。
そして2つめは、アポキルが効く痒みと効かない痒みを区別できることでしょうか。
数字では判断できないので、獣医師の経験からの判断でしかありませんが、「これはアポキルが効く」「これはアポキルでは不十分」という判断ができることが重要だと思います。
投稿者:
2017.10.01
フレンチブルドッグの膿皮症・アトピー性皮膚炎などの皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
今回紹介する症例は「かなり難治性だった」わんちゃんです。
あくまで「だった」であって、当院での治療が難しかったわけではありません。
【症例】
フレンチブルドッグ 4歳 男の子(去勢済み)
【経過】
〇生後10ヶ月のころから身体に湿疹ができはじめる
〇以降今日までの3年間、身体から湿疹が消えたことはない
〇季節性はない
〇アトピー検査、食物アレルギー検査を1歳前、3歳前の2回実施済み
〇細菌感受性試験も2回実施済み
〇1年前からアポキルを服用、現在毎日服用しているが、この数ヶ月顔の痒みがひどくなった
〇アレルギー治療、食事療法を続けたが改善せず
それでは初診時の状態です。
初診時に考えられる診断名・原因・治療方針をお伝えしたところ、飼主さまから1つお願いごとをされました。
「あとから『この〇〇〇(薬・サプリ・シャンプーなど)の方がもっとよくておすすめ』と後出しするのはなしでお願いします。」
ということでした。
過去の経験からのリクエストということで、心中もわからなくもありませんが、一般的にはかなりハードルの高い条件です。
とはいえ普段の口癖が「初診時の診極め」ですので、そこは同じ土俵に上がらなければいけません。
とりあえず「絶対ではないですが、まずこれ(初診時の提案)でよくなると思います」とお伝えして治療スタートしました。
それでは7週間後の状態と比較しましょう。
顔の湿疹は消失し、痒みもほとんどなくなりました。
四肢端の赤み・腫れもきれいに改善し、舐め癖もほとんどなくなりました。
写真ではありませんが、身体(胴体)にあった湿疹もきれいになくなりました。
治療成績上はパーフェクトに近いと思います。
※写真は7週間後の比較ですが、痒みの改善は4週間でほぼ達成できています。
そして飼主さまからのリクエストである「治療の後だし」はありませんでした。
初診時の治療方針で飼主さまの満足できるところまで改善させることができたのでよかったと思います。
さて、簡単なまとめです。
アレルギー治療、食事療法で3年間治らない、アポキルを毎日服用していても治らない・・・・・・中々難治性だったようですが、当院の治療方針でこのタイプであれば1~2ヶ月でだいたい改善できます。
おそらくではありますが、治療結果がでない理由は 「アレルギー」と「食事療法」の考え方だと思います。
当院ではこういった皮膚病に対して「アレルギー」と説明することはほとんどありません。
また食事療法についても「アレルギー検査をし、アレルゲン回避の療法食以外食べてはだめ」という指示もほぼしません。
そもそもアレルギー対策やアレルギー食事管理で治る皮膚病は稀ですので、わざわざ稀なところからアプローチすると多くが治らない結果になるのは明白です。
フレンチブルドッグの難治性の多くは今回紹介したような症例のタイプに近いのですが、アレルギーと診断することと、アレルギー食事管理をすることで失敗していることが大半です。
もし同じような症状で慢性的にお困りの方は当院を受診してください。
今回の症例でも使用しましたが、当院のスキンケア&サプリメントが非常に効果的だと思います。
特に四肢の腫れ・炎症をひかせるのに、ヒーリングケアLFプラスが有効だったと思います。
おもしろいはアポキルで改善しないのにサプリメントで改善するところでしょうか。
アポキルの効果が無いわけではないのですが、アポキルの足りないところをサプリメントが補完して相乗効果を生んだという認識がより適切かと考えています。
と、色々かいてみましたが、最大のポイントは「診極め」で、外すことなく「初診時に改善までの軌跡を描けること」かと思います。
投稿者:
2017.06.07
フレンチブルドッグの痒みを伴う皮膚病治療に力をいれている皮膚病治療専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
いよいよ梅雨入りとなり、皮膚病が多くなってくる季節です。
当院では治すだけでなく、再発予防に非常に力をいれて取り組んでいますので、治療と同時によくなった後のことを考えて治療していきます。
今回もそんな「治したあとも再発しない!」という症例報告です。
【症例】
フレンチブルドッグ 6歳 雌
【病歴】
〇過去数年、身体全体に湿疹がある
〇顔・四肢端の痒み
初診時の状態をみてみましょう。
まずは顔のシワの皮膚炎。
続いて、頚部の湿疹。
続いて、左前腕の湿疹。
続いて、左前肢の肢端。
同じくの指間。
続いて、腹部の慢性皮膚炎による色素沈着。
それでは治療後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
非常に綺麗に改善しました。
湿疹もなく、痒みもかなり軽減しています。
程度は軽いタイプでしたが、フレンチブルドッグの皮膚病の典型症例ともいえると思います。
当院ではこういった典型的なタイプの皮膚疾患に、再発予防のためのスキンケアとサプリメントをお勧めしています。
非常に相性がいいため、治療と併用しながらお薬を卒業するため、減らすためのケアとしてご利用ください。
軽度の湿疹タイプだけであれば膿皮症ケアセットを、皮膚全体の赤みや痒みもあるわんちゃんにはヒーリングケアLFプラスのある痒みケアスターターセットをお勧めします。
投稿者:
2017.06.03
フレンチブルドッグの痒みを伴う皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
春の膨大な仕事も終わり、落ち着いてきたので溜まっていた症例報告を続けていこうと思います。
テーマは引き続き「アポキルが効かないとき、どうするのか?」についてです。
今日は「アポキルを服用しているのに痒みが改善されない」ではないのですが、「アポキルだけではコントロールが難しかった」という症例です。
【症例】
フレンチブルドッグ 8歳 去勢雄
【病歴】
〇4年前からの慢性的な痒み
〇季節性があり、夏の方が悪化しやすり
〇過去の投薬治療は主にステロイドで、一時的にシクロスポリン
〇痒みで身体を傷つけるほど掻くため、1年以上エリザベスカラーを装着している
〇床がぬれてしまうほど手先をよく舐める
それでは初診時の状態です。
づづいて、かなり痒みの強い部位の一つ、胸部の側面です。
胸部の側面を拡大してみましょう。
これは脱毛疾患ではなく、掻き壊しといって強く書くことで毛が引きちぎれいているため引き起こっているものです。
続いて、左側面です。
膝~スネにかけて噛んでいることで傷が認められます。
続いて大腿部の尾側、全身での発症ではありませんが赤い湿疹が認められます。
この初診時で初期治療としては湿疹(膿皮症)に対して抗生物質、季節性の痒みに対してアトピーを疑いアポキルを併用しました。
この2つの投薬治療である程度の改善が得られましたが、「エリザベスカラーをはずせない」「アポキルを1日2回服用しないと抑えきれない日が多い」であり、十分に痒みをコントロールできているという状況ではありませんでした。
また膿皮膚症も抗生物質の服用により数を減らすことができたのですが、やはり服用しながらも新しい湿疹が週に1~2箇所できる・・・という状態でしたので、胃腸免疫サプリ「スキンケアECプラス」を併用しました。
さらに「掻き壊し」が心因性によるものと疑い、心因性に対するサプリメントでのアプローチを開始しました。
お薬はあえて変更せず、初診時に採用した抗生物質とアポキルの2種類のままで、追加は2つのサプリメントのみとしました。
併用後から激しく掻き壊すシーンが減り、アポキルを1日2回必要とする日もどんどん少なくなり、エリザベスカラーも完全にはずすことができるようになりました。
湿疹はスキンケアECプラスを併用して以降、抗生物質を必要とするような再発がないくらい綺麗な状態を保っています。
そして最も悪化しやすい季節になりましたが、エリザベスカラーを装着することはありません。
それでは、治療後の比較画像です。
※画像をクリックすると拡大することができます。
派手さはありませんが、毛並みが綺麗になっているのがわかると思います。
今回は投薬治療とサプリメントの相性が非常によく、アポキルを減らすことができた症例です。
湿疹タイプの膿皮症にはスキンケアECプラスがおすすめで、心因性にはヒーリングケアLFプラスを使うようにしています。
スキンケア単独で改善するタイプではないのですが、湿疹のケアには非常に有効だと思います。
初めてのご利用の方は写真を用いた無料相談ができる痒みケアスターターセットをお勧めします。
投稿者:
2017.05.22
こんにちは、フレンチブルドッグの痒みを伴う皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院四季の森どうぶつクリニックです。
暑い日が続いており、わんちゃんの皮膚トラブルも増えてきました。
今からケアを欠かさずつづけることで、いいシーズンにすることができますので、がんばっていきましょう。
それでは今日の症例です。
【症例】
10歳 フレンチブルドッグ
【病歴】
〇3年異常前から手先~腕を舐める皮膚病
〇その他、お腹の皮膚炎、頚部~胸の皮膚炎
〇過去の治療歴はステロイドの内服と外用薬
※ステロイド内服、1年365日のうち100日以上服用、3年以上継続
それでは初診時の状態をみてみましょう。
まずは正面から。
続いて、頚部~前胸部。
同じく前胸部の拡大、黄色の皮脂がびっしりと付着しているのがわかるでしょうか?
続いて、胸部、円形脱毛があり、湿疹があることがわります。
続いて、右前肢。
続いて、左前肢。
同じ部位の拡大をみてみましょう。
同じく左前肢の指先です。
それでは治療後と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
非常に綺麗になりました。
今回の治療にはアポキルを併用しましたが、腕を舐める症状と足先を舐める症状は改善しませんでした。
そのためアポキルに当院のサプリメントを併用したところ、写真のように非常にきれいな改善を認めました。
確かにアポキルは安全性も高く、非常に強力な痒みを抑える作用がありますが、すべての痒みを押さえるわけではありません。
当院のサプリメント、ヒーリングケアLFプラスはこういったアポキルが聞きにくい、特に四肢端や腕を舐めるわんちゃんの体質ケアに非常にお勧めです。
いくつかの商品がありますが、フレンチブルドッグのわんちゃんであれば、掻く・舐めるといった痒み治療のために開発されたスターターセットをお勧めします。
今回のわんちゃんでも、脂漏にはスキンケア、湿疹にはスキンケアECプラス、四肢端の舐める痒みにはヒーリングケアLFプラスと症状に適したケアを行って治療を成功に導くことができました。
投稿者:
2017.02.17
フレンチブルドッグの皮膚病治療に力をいれている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
冬の診察は暇なのですが、3月から11月まではフルスロットルで駆け抜けることになるため、最近は診察以外の仕事が忙しくなっています。
もうまもなく冬が終わりますので、徐々に身体と心のギアをあげていきます!
【症例】
フレンチ・ブルドッグ 8歳 女の子(避妊手術済)
【経過】
〇1歳から続く慢性的な皮膚病
〇季節性はなく、ほぼ1年通した発症
〇過去の治療は抗生物質、ステロイド、抗真菌剤、抗菌軟膏など。
それでは初診時の状態をみてみましょう。
まずは全体像。
続いて、顔の拡大です。
※ちょっとわかりにくいですが、皮膚炎が強く顔に傷が多数あり、硬くなっています。
続いて左右の前肢です。
続いて、腹部です。
それでは治療後と比較してみましょう。
※画像をクリックすると大きくすることができます。
※最後、腹部にちいさな湿疹が1つ残っていますが、このあと完全に消失しました。
完全に綺麗になってから最後撮影する予定を忘れていたようで・・・失礼しました。
今回のポイントは四肢端とお腹と顔の皮膚トラブルが1つの病気ではないことですね。
1つの診断名と1つのアプローチでは絶対にいいコントロールは不可能です。
この初期の治療は薬浴とサプリメントを主に行いました。
特に内股の湿疹にはサプリメントが非常に有効です。
四肢端・顔の改善には投薬治療が必須と考えています。
投稿者:
2017.02.13
フレンチブルドッグの痒みを伴う皮膚病治療に力を入れて取り組んでいる皮膚病治療専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
今回は当院受診のきっかけがちょっとだけいつもと異なる症例報告です。
きっかけは、当院のオンラインショップの無料相談(スターターセット購入の特典)からでした。
飼主さまからいただいた写真の状態は重度の皮膚病であり、過去の治療歴の経過もかんばしくなかったこともあったので、当院の遠隔診療を提案させていただきました。
もちろん写真をみて「遠隔診療で十分に対応できる」と判断したのもあります。
では、治療症例です。
【症例】
フレンチ・ブルドッグ 3歳6ヵ月 男の子(去勢済み)
【症歴】
〇1年半前からの皮膚病
〇過去に2件の動物病院を受診
それでは初診時の状態から紹介します。
まずは正面から。
続いて、顔の皮膚炎。
続いて、頚部の湿疹。
続いて、胸部の湿疹。
続いて、わきの湿疹。
続いて、腹部・内股の湿疹。
続いて、側面です。
斜め後ろからみると湿疹の分布が非常にわかりやすいです。
実際に診たのはこの上記の初診1回のみで、この後はすべてメールと写真による遠隔診療としました。
治療後、飼主さまにご自宅で撮影していただいた写真を紹介します。
まずは、顔。
続いて、腹部。
続いて、背中全体。
続いて、左側面。
続いて、右側面。
続いて、右前肢。
もちろん湿疹は一つもなく、顔・身体・四肢端すべての痒みも改善されました。
よく「初診時の診極め」とお話しますが、現実はメールと写真でもほとんど診極めができるのが皮膚科です。
もちろん当院でも治療成績がかんばしくない場合もありますし、本当のマレな難治性もいるのですが、確率論で「一般的な体質」に入るのが現実です。
今回のフレンチブルドッグのわんちゃんも同様で、抑えるべきところを抑える治療を選択すれば治療は一瞬です。
もちろんこういった症例には当院のスキンケアとサプリメントは必要不可欠です。
メールと写真で行う遠隔診療の実例を紹介してみました。
同じようなわんちゃんであれば、遠隔診療でもかなりの高い精度で治療成績を劇的に向上することが可能と考えています。
もしお困りの飼主さまは、一度ご相談ください。
投稿者:
2017.02.10
フレンチブルドッグの皮膚病治療に力をいれている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
ステロイド、この言葉にどう反応するのか・・・診察をしていると人それぞれですので、本当に奥の深い世界なのですが、みなさまはこのステロイドにどんなイメージをお持ちでしょうか?
世の中には「脱ステロイド」という魔法のような魅力的な言葉があり、限られた世界だけではありますが、まるで「正義の御旗」のような存在感すら感じさせます。
当院では「ステロイドは使いこなしてこそ」というスタンスで、ステロイドにしかない魅力を最大に生かす皮膚科診療を目指しているほど積極的に使用します。
しかし「脱ステロイド」という言葉が正義の御旗になってしまうには理由があります。
そう、ステロイドの副作用です。
当院でも数え切れないほどこのステロイドの副作用を見てきました。
今日はそんなステロイドの副作用で難治性皮膚病になったわんちゃんの治療症例です。
【症例】
フレンチ・ブルドッグ 3歳 男の子(未去勢)
【経過】
〇2年前からずっと皮膚トラブル
〇2年間ステロイド外用薬を処方され続け、年に4~5本使用してきた
〇28年2月に湿疹対策で背中の毛をカットしてから、ずっと生えてこない(半年以上)
〇過去に使った内服薬は抗生物質、ステロイド(2種類)、抗アレルギーの痒み止め(新薬)
それでは初診時の状態をみてみましょう。
まずはお顔の正面から。
続いて、身体の右側面。
同じく右側面からみたやや背中にできている病変部の拡大です。
続いて、背中です。
続いて、上の写真のやや左側にある病変部を横から撮影しました。
続いて、腰背部の拡大です。
続いて、背中のやや右にある病変部の拡大です。
この初診時から5ヵ月後の状態と比較してみましょう。
※画像をクリックすると大きくすることができます。
非常に綺麗に再生してきました。
この症例では考えるポイントはいくつかあります。
Q1.なぜ生えなかったのか?
Ans.ステロイドの内服、外用薬の影響で被毛再生がストップしてしまった
続いて考えることは?
Q2.なぜ被毛が再生したのか?
Ans.ステロイドの服用と外用を中止して一定の時間が経ったため
非常にシンプルですね。
では
Q3.使っていたものをやめただけの治療なのか?
と思いませんか?
それにお答えする前にこうも考えられないでしょうか?
Q4.以前は何を目的にこんなにステロイドを使っていたのか?
もっと詳しくいうと、「最初にどんな病変があって、何に対してステロイドを使ったのか?本当はどうするべきだったのか?」を予測しなければいけません。
飼主さまは「昔の皮膚病はこうではなかった」ということで、特徴をお話してくださるのですが、何せ言葉だけですから、頭の中で想像するしかできません。
ですが初診時に「最初がどんな皮膚病だったのか?」はすぐにわかりました。
わかるというより、確信です。
そのため、「今から治療の中でステロイドをやめると、時間はかかりますが被毛は再生してくるでしょう。・・・・ただ、おそらく元々の皮膚病が再発しますから、再発したら元々のあった皮膚病に必要な治療を開始しましょう」と伝えました。
では、
Q5,元々の皮膚病はどんな病変だったのか?
予測どおり途中で再発したのはこのタイプでした。
再発するのをわかってて、あえて何もせずこのタイミングまで待ちました。
Q6.なぜ再発するのをわかっていて、それをまったのか?
Ans.フレンチブルドッグの場合は皮膚トラブルとは長いお付き合いになるため、なぜでるのか、どうすべきなのか、実際の診療をとして実感していただくのが何より飼主さまのためになるからです。
Q7.では元々あった皮膚病に対して、どうアプローチすればよかたのか?
さらにもう一つ追加があります。
Q8.なぜこの湿疹が再発しやすく、今でもこうやって再発するのか?そしてどうしたら再発しないのか?
当院から提供したのは2点です。
1点目は、「2年前の湿疹のとき、こうやっていれば治ったのですよ」という本来あるべき理想的な治療アプローチ、「ほら、綺麗に治るでしょう?」です。
2点目は、「なぜこんなに再発するのか? 〇〇〇〇が原因で、〇〇〇したらで再発しないんですよ。」という根本的再発防止アプローチ、「ほら、治ったあとも再発しないでしょう?」
すべて、初診時に用意していた通りです。
とても気さくで明るい飼主さまのおかげで、途中から診察室は爆笑の連続で、非常に楽しい診察をさせていただきました(笑)
僕の診療のパフォーマンスをすべて正面から受け止めていただけたので、獣医師冥利に尽きるとはまさにこのことですね。
受け入れていただけたことに感謝です。
そして最後の追加ですが、このわんちゃんには耳介辺縁皮膚症も治療途中に明確になり、
随分前にコツを掴んだとおり、ここも綺麗に改善さえることができました。
※アフターの写真を撮影するのを忘れました・・・
最後に、このタイプの皮膚トラブルにはスキンケアとサプリメントが非常に有効です。
投稿者:
2017.02.06
フレンチブルドッグの湿疹・膿皮症・アトピーなどの皮膚病治療に力をいれている動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
診療でよく実感することですが、「医療に魔法はない」です。
もちろん劇的な改善で、「うちの子に何をやったんですか!?」と喜んでいただくことは少なくないのですが、それでも医療に魔法はないのです。
大事なことの一つはピンポイントの診断・治療、そしてそれらを適切に生み合わせることです。
【症例】
フレンチ・ブルドッグ 11歳3ヶ月 女の子(避妊済み)
【症歴】
〇3ヶ月前から皮膚病
〇かかりつけ動物病院で治療するも改善なし
それでは初診時の状態をみてみましょう。
まずは顔から。
続いて、頚部。
つづいて、前胸部。
続いて、左前肢(肩付近~前腕にかけて正面から撮影)。
続いて、右前肢の外側面。
続いて、左前肢先端です。
続いて、右側面の胸部付近。
続いて、右側面腹部~大腿部。
それでは初診時から9週間後の状態と比較してみてみましょう。
※写真をクリックすると大きくみることができます。
まだ治療途中ですが、出血・傷はもちろん、湿疹もほとんど消失しました。
ここまで到達すればもう安心です。
あとは「もっとよくなる」、そして「再発させない」が重要です。
もう一度フワフワ&サラサラの被毛に回復させ、お薬がなくても再発もない状態へ導きます。
今回の症例をスキンケアとサプリメントのみで改善させるのはさすがに無理なのですが、治療と「再発防止」として重要なのがスキンケアとサプリメントです。
投稿者:
2017.01.28
フレンチブルドッグの皮膚病の中でも特に多い膿皮症の治療に力をいれている皮膚科専門動物病院の四季の森どうぶつクリニックです。
難治性皮膚病になりやすい犬種の代表でもあるフレンチブルドッグ、その中でも圧倒的に多い膿皮症、治らないことで困っている人もいれば、再発で困っている人もいるかと思います。
当院ではフレンチブルドッグの膿皮症に対して、まさに当院だけといえるオンリーワンのアプローチをして高い治療成績をだしています。
今回はそれを証明する治療症例報告でもあります。
【症例】
フレンチ・ブルドッグ 3歳9ヵ月 女の子(避妊済み)
【症歴】
〇1年半前に保護したが、そのときにはすでに皮膚病を患っていた
〇食事療法のために完全手作り食
〇過去の投薬治療はアポキル、抗生物質2種類、ビタミン剤、ステロイド、減感作療法(6回)など
〇皮膚組織検査では「アレルギー性皮膚炎」
〇過去に2件の動物病院(うち1件は兵庫県まで通院)
〇過去の1年半の治療のなかで、湿疹が消えたことは1度もない
それでは初診時の状態をみてみましょう。
まずは全体から。
続いて、顔の正面。
続いて、下顎~頚部。
続いて、頚部の拡大。
続いて、腹部とその拡大。
続いて前肢端。
続いて、右側面全体。
同じく左側面の頚部~肩の拡大。
続いて、背中全体。
続いて、左耳。
初診時から4週間後の状態を比較して見ましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
過去1年半消えなかった湿疹ですが、95%以上綺麗に消失しています。
※見た目でもパッと見はわからず、探してかぞえられるレベルです。
では肝心の診断名と治療法を紹介します。
診断名は見た目の通り、「膿皮症」で、細菌感染が原因です。
膿皮症の一般的な治療法は抗生物質で、ここは僕個人としてもまったく異論はないのですが、今回はさまざまな事情を考慮して・・・
「抗生物質を使わずに治療する」としました。
膿皮症とは関係ない疾患に抗生物質ではない内服を処方していますが、それは膿皮症のためではありません。
では膿皮症がなぜこれほどきれいに改善したのか?
それは、当院オリジナルで開発したスキンケアとサプリメントです。
まずは初診時に薬浴を行いましたが、なにせ湿疹が驚くほど多かったので・・・
2人スタートからはじまり、途中から3人、さらに追加して合計4人がかりで行いました。
オイルクレンジングが非常に重要なのですが、オイルクレンジングに1時間かかりました・・・
薬浴はこの初診時と2週間後の2回行いました。
もちろんスキンケアも重要なのですが、もっと重要なのはサプリメントです。
フレンチブルドッグの膿皮症のために開発したといっても過言ではない当院のサプリメントです。
抗生物質を使いたいところでもありましたが、使いづらい状況を加味しつつ、「スキンケアとサプリメントでもいけるはず」とも思ったのであえて攻めてみましたが、非常にいい結果がでて本当によかったです。
改めて当院オリジナルのスキンケアとサプリメントを紹介させていただきます。
すべての皮膚疾患がスキンケアとサプリメントで改善するほど甘くありませんが、当院の高い治療成績にはなくてはならないものです。
これをなくして皮膚科診療は成り立たない、そんなクオリティにしあげています。
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