2016.10.25
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
随分と涼しく、夜は肌寒さも感じるようになりましたね。
来月の予定ですが、11月3日(木)に東京都葛飾区内の動物病院で皮膚科診療を行います。
東京・神奈川・千葉・埼玉にお住まいの方で、当院まで通院が困難な方への初診を行います。
ブログでその受付を告知しなければ・・・と思っているうちに、問い合わせへのメールに終われ・・・・・定員に達したため受付を終了しました。
ブログでの初のお知らせが受付終了のお知らせになってしまい、申し訳ありません。
そんな当院の遠隔診療ですが、原則直接診療は初診の1回きりです。
この1回の診療で改善まで導くのが遠隔診療の最大のポイントです。
今回紹介するわんちゃんも7月に埼玉の動物病院で開催した皮膚科診療を受診されたチワワちゃんです。
【症例】
チワワ 6歳
それでは初診時の状態をみてみましょう。
この初診から1ヵ月半後、飼い主さまにご自宅で撮影していただいた写真を見てください。
まずは脇~肘(左)の内側です。
つづいて、右腕の肘付近です。
つづいて、頚部~胸部です。
まったく同じ視点での比較ではありませんが、かなりきれいになっているのがわかると思います。
ポイントはメールと写真で改善までのイメージができることです。
実際に診察を行いますが、その診察時に治療を悩むことはありません。
もちろん顕微鏡検査・血液検査・超音波画像診断なども行いますが、確認作業であり、検査結果が出揃う前から治療内容がほぼ確定できるほどぶれることはありません。
すべての皮膚科疾患が遠隔診療の適応になるわけではないのですが、典型例であれば10中8,9改善可能です。
この夏に関東・関西圏で20頭以上のわんちゃんを診察しましたが、全頭十分な改善が確認できました。
遠方にお住まいで通院が困難な方でも、当院の遠隔診療で高い治療成績が見込めるわんちゃんもいますので、お困りの方は一度ご相談ください。
東京で開催している皮膚科診療を受診されたい方は、
直接受診後の遠隔診療、またはご自宅までの往診をご希望の方は、
あくまで経験からの判断ですが、遠隔診療での改善の見込みがあるかの判定を行います。
投稿者:
2016.10.02
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
看護師の協力を得れるようになってから症例報告が随分と楽になっています♪
今回は今まで掲載しなかったような症例も紹介しようと思います。
症例はチワワちゃん、耳の脱毛です。
元々通院されていたわんちゃんなので、初診ではありませんが「トラブルに気づいた最初の診察のとき」を紹介します。
特徴は耳の脱毛、特に辺縁でフケを伴って束になって抜け落ちます。
めずらしい皮膚病ではなく、結構よくあります。
診たことない先生はいないと思います。
進行すると激しい症状がでることもあるのですが、多くのわんちゃんで無症状ですし、「これが原因!」と特定することも困難なため、個人的には「攻め込みにくい皮膚病の一つ」でした・・・(苦笑)
長年しっくりくる「上手な治し方」を掴みきれていなかったのですが、最近は発症の原因を推測できるようになったり、治療成績も随分と高くなりなんとなく掴めた気がしています。
では、治療後と比較してみましょう。
おおよそ2~3ヶ月で改善が認められます。
最近治療したわんちゃんはみな予測どおりに改善したので、知り合いの先生にもコツを伝えてみました。
投稿者:
2016.08.29
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
夜は随分と涼しくなりましたね♪
先日のブログで「チワワの皮膚病治療の進め方(初診時)」を掲載しました。
本日はその続きです。
改めて全体像を紹介します。
治療は2つに分かれます。
まず1つめは「痒みのコントロール」です。
9日後の状態と比較しましょう。
最もひどかった首の傷をみていただきたいと思います。
治療前の痒みレベルを10として、9日後は「4」まで改善しました。
傷も消失しました。
しかしまだ全体的に皮膚・毛並みで正常になったという感じはありませんね(まだ9日ですから)。
もう一押し、痒みの治療に集中していきます。
その後次の治療ステップに入ります。
そこから2~3ヶ月できっと変わると予測しています。
投稿者:
2016.08.21
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
お盆休みも終わり、夏も終盤ですがまだまだ暑い時期が続いていますね。
今日は昨日初診で来院されたチワワの皮膚病を紹介します。
【症例】
チワワ 約3歳 女の子(未避妊)
【病歴】
〇2年前の保護引取り時から継続する慢性皮膚病
〇通年性の痒み
〇ステロイドで痒みの改善があるが、服用をやめると痒みがぶり返す
初診時の状態です。
慢性的な痒みを伴う皮膚病で、フケ・皮脂が多く、独特の臭いもあるため、パッと見た目で「チワワの慢性皮膚炎のよくあるパターン」に見えます。
きっとその判定で間違いないと思うのですが、このわんちゃんには「チワワによくある皮膚炎」意外にもう一つ隠れた基礎疾患があると予測しています。
アトピー、アレルギー系の治療やスキンケアだけでは改善しない基礎疾患です。
初診時の診極めで重要なのはそこまで想定してこの後の治療方針を立てることだと思います。
まずは1ヶ月で痒みの改善を、そしてそのあと3ヶ月で毛並みの改善を目指します。
投稿者:
2015.12.07
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
日曜日にセミナーのために名古屋駅まで行きましたが、街はクリスマスモードでとても華やかでした♪
今年のクリスマスの予定はまだ決まっていませんが、麻衣子先生となにかおいしいものでも食べようと思っています。
今日は先日紹介したチワワの皮膚病の症例報告とほぼ同じ内容です。
平成27年10月28日のブログで 【診極め】チワワの脂漏性マラセチア性皮膚炎 で紹介した黒のチワワの治療症例を紹介します。
※画像をクリックすると大きくすることができます。
それでは顔の左右から。
続いて、頚部。
続いて、身体側面左から。
続いて、頚部の左側。
同じく頚部の左側の拡大です。
続いて、身体側面を右から。
最後に後ろ足。
非常に綺麗に改善しました。
治用に要した期間は7週間です。
このタイプの皮膚病は診た瞬間に治療方針を決めることができ、1~2ヵ月後が頭の中にイメージできる疾患です。
もちろん先入観で診てはいけないため、必ず複数の病態パターンを想定し、必要な検査をしながら目標地点まで最短ルートを描くことが重要です。
今年は「診極め」と評して、「改善しました」という事後報告ではなく、受診直後の状態を紹介し「今から治療を開始します」という背水の陣のような症例報告を数多く取り組んできました。
その診極めも今年は今回の症例報告で一旦終了なのですが、今年紹介した全症例で想定どおり改善させることができました。
ただ1年通してみたときに、この「初診時に診極め」の精度は90~95%だと思いますので、残りの部分でまだまだ反省すべきことは多々あると感じています。
医療ですので100%は絶対にないというのことはわかっているのですが、、+1%を積み上げるのに膨大な努力と時間を費やしながら100%にどれだけ近づけることができるのか・・・
ここまで到達すると1%がとてつもなく大きく、未知の世界でもあり、1年後のプラス1%さえ僕にはわかりません。
来年は今年できなかったことが一つでもできるように、また色々と考えて診察に取り組もうと思います。
昨日より今日、今日より明日
昨日できなかったことが今日できるように、今日できなくても明日できるように
がんばります。
投稿者:
2015.12.05
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
1年最後の12月、月日が経つのが早いと感じますね。
去年の自分に今の自分が想像できたのか?と考えると、来年の自分のポジションすらわかりません。
この数年はこの「社会におけるポジション」という言葉に振り回されて走り続けている自分がいます。
日々悩みはつきませんが、走り続けるための症例報告をします。
平成27年10月28日のブログ 【診極め】チワワの脂漏性マラセチア性皮膚炎 で紹介した症例の治療経過です。
本日平成27年12月5日に受診されたので、比較してみたいと思います。
初診時の状態は比較写真だけでなく、前回の記事もご参考にしてください。
当院受診までの経過は数年間に及び、当院は4件目の動物病院でした。
※画像をクリックすると大きくすることができます。
まずは顔の正面から。
続いて、下顎~頚部です。
若干小さいので、下顎の部分だけ単独で拡大してみましょう。
続いて、前肢です。
続いて身体の側面と、その拡大です。
赤み、痒み、臭いすべてクリアでほぼ症状はありません。
治療にかかった期間はわずか6週間、初診時に提案した検査項目・治療方針以外の追加・修正はなく、一寸の狂いもありませんでした。
前回の記事で黒チワワちゃんの症例も紹介したのですが、同じく痒みのコントロールができており順調です。
ただ被毛がまだ十分に再生していないので、もう少し先に紹介しようと思っています。
適切な医療に併用する大事なポイントはスキンケアとサプリメントです。
投稿者:
2015.10.28
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
先日のブログで「休日はスイッチをOFFに」とか言ってましたが、今週の休日は事情により明日の午後にスイッチを切る予定です。
実質の休日は半日ですが、麻衣子先生と素敵な半日を過ごしたいと思っています♪
では初診時の診極めの新しい症例です。
チワワによく認められる難治性になる典型的な皮膚病です。
実はもう1症例同じ時期に、まったくタイプのチワワの症例が来院されましたので、同じく紹介します。
皮膚病をみるときに教科書的な診断名からアプローチすると「間違ってはいないけど改善しない」という迷走につながることが多々あります。
大事なのは
体質 × 診断名 = 表現形
というイメージを持って初診時に診ることです。
すると診断名のもつ意味が違ってきます。
僕がよく「教科書だけでは治らない」といっているのはこのことです。
教科書には間違ったことは書いていないのですが、治療に大事なことが書かれているとは限りません。
そのため臨床家は「読む」ではなく「診る」が大事なんですね♪
痒みの改善に必要なのは1週間
ベタベタの皮膚がサラサラになるのに2~4週間
被毛がフワフワになるには2~3ヶ月
必ず改善できます。
投稿者:
2014.09.13
こんにちは、四季の森どうぶつクリニック院長平川です。
今年の上半期は移転準備を理由に症例報告に手をつけていなかったのですが、最近気持ちを切り替えて取り組むようになり、少しばかり自分にスイッチが入ったような気がします。
何でも治せます!なんていえませんが、美しくアグレッシブに攻める診療をお魅せできればと思います。
今回もチワワですが、前回の症例報告でチワワにはいくつかパターンがあるというお話しをしました。
「脱毛」、「アレルギー」、そして「脂漏」です。
脂漏にも大きく2パターンあるのですが、そのうちの1つを紹介します。
【症例】
チワワ 7歳 男の子
【経過】
〇3年前から皮膚病、1年通して発症している。
〇季節性があり夏が最も悪い
〇過去に抗生物質、シャンプーを処方されたが改善なし
初診時の状態をみてみましょう。
まずは頚部から。
同じく頚部の拡大です。
続いて、頚部のやや下の全胸部~前肢です。
続いて右前腕とその拡大。
続いて、左前腕とその拡大です。
続いて、腹部。
続いて、右内股と膝部分の拡大です。
この初診時から6週間後の状態と比較しています(治療は5週間です)。
それぞれ画像をクリックすると拡大してみることができます。
まずは頚部と、その拡大です。
続いて、前胸部~前肢。
続いて、右前肢とその拡大。
続いて、左前肢。
初診時と角度が若干かわっていますが、内股です。
※後肢の拡大がありませんが、治療後の撮影を忘れてしまいました。しかし同様に改善しています。
スキンケアのため部分的に被毛をカットしているため短くなっていますが、皮膚のコンディションが正常に戻っているのがわかると思います。
このタイプは初診時に治療の方向性を明確にすることが可能であり、この最速の治療結果にはスキンケアが最も重要です。
投稿者:
2014.09.12
こんにちは、四季の森どうぶつクリニック院長平川です。
陽のあたる日中はまだ暑さを感じるものの、夜は冷えるようになってきましたね。
さて、今日はチワワの症例報告です。
難治性皮膚疾患になりやすい犬種といえば・・・柴犬、フレンチ、シーズー・・・と、実はチワワが上位に入るわけではありませんが、その圧倒的な飼育頭数から難治性で来院するチワワも稀ではありません。
そしてチワワであればいくつかパターンがあり、大きく「脱毛症」、「アレルギー」、「脂漏症」の3つに分かれる傾向にあります。
病気が1つとは限らず複数もつこともあり、それがまた診断と治療を難しくさせる要因なのかもしれませんが、初診時にその病態を適切に判断することが最も重要です。
【症例】
チワワ 2歳10ヶ月 男の子(去勢済み)
【経過】
☆1才から痒みを伴う皮膚病
☆冬に悪化しやすい?再発を繰り替えす
それでは初診時の状態です。
病変は顔、耳、四肢端です。
まずは顔を左右でみてみましょう。
続いて、下顎です。
続いて、頚部とその拡大です。
続いて、前肢端です。
同じく前肢、右前肢の拡大です。
最後に後肢です。
よくあるチワワの典型皮膚疾患ではありませんが、診ただけでもチワワらしい体質が予測できます。
この初診時から1ヶ月半後と比較していきましょう。
わずか1ヶ月半で完治?と見間違うほどの改善です。
重要なのは初診時にどう病態を判断するか、お医者様の「みたて(見立て)」と一緒です。
たとえ初診時に血液検査結果が出揃っていなくても、2ヵ月後にどこまでよくなっているか・・・いくつかパターンをあげつつも予測できるか?が重要です。
今回に限らず毎回ですが、各種検査結果が出揃って改めて考え直すことはほとんどなく、検査結果でパターンの整理をするだけで何か特別な病気の可能性や治療パターンを用意することはありません。
そのためほぼ初回の「みたて」通りにアプローチします。
今回の症例に関して、たしかに診た目は重度ですが、たった1つの特徴的な病変が顕著にでているだけだったため、僕が頭で描いたゴールへの道筋は1つです。
逆に頭で描いたたった1つの治療パターンで改善がなければ・・・????
なくはないのですが、今回は「これで改善しないはずがない」という判断ができるほど自信をもってスタートをきることができた症例です。
現在初診から半年経過しましたが、現在でも比較的いい状態を維持できています。
もし何も治療を加えなければ徐々に悪化してしまう可能性がある疾患のため、現在でも治療継続中ですが現在では1ヶ月に1回の診察でコントロールできています。
「初診からの集中治療期間1ヵ月半」、「その後の来院頻度月1回」という内容はかなり軽い症例の方で、全体の中では非常に少ないパターンです。
すべての症例で可能なわけではありません。
投稿者:
2014.09.06
こんにちは、四季の森どうぶつクリニック院長平川です。
先日「秋になりました♪」と書いたばかりですが、また夏に戻ってしまったような暑さです。
そして相変わらず急な雨・・・日本は亜熱帯になってしまったのでしょうか。
さて、久しぶりに症例報告です。
今回は少ないようで、意外と皮膚疾患の多いチワワの症例です。
【症例】
チワワ 1歳6ヶ月 男の子(去勢済み)
【経過】
☆飼い始めた当初から全体的に被毛が少なかった
☆成犬になっても増えず、徐々に少なくこの1ヶ月で首の地肌が見えるまで脱毛が進んだ
それでは初診時の状態です。
一見普通のチワワちゃんで、皮膚病にみえないようにも感じますが、
まずは頚部をみてみましょう。
つづいて、同じ頚部の毛が薄い部位の拡大です。
続いて、胸部(あおむけ)です。
同じチワワちゃんを飼っている方でないとわかりにくいかもしれませんね。
それでは治療後の比較です。
このように比較するとよくわかると思います。
普段「痒みを伴う皮膚疾患」を中心に症例報告しておりますが、「痒みを伴わない脱毛症」を診ていないわけではありません。
ただ当院の症例報告に脱毛症の治療成績の掲載が少ないことには理由がございまして、
①痒みを伴わない脱毛症は診断名をつけることが難しい
②現在の医療ではまだまだ治療が追いついていないところもある
ということで、積極的に掲載しないようにしています。
ただ、今回はお電話いただいた時点で「〇〇〇〇脱毛かな?」と予測でき、診断名も当初の予測どおりしっかりつけることができ、なにより治療結果が想定通りだったため掲載しました。
ですが痒みを伴わない脱毛症は非常に奥が深く、まだまだ医療が追いついていない影響もあり、診断がついたからといって高い確率で改善するわけではありません。
ポメラニアンの「アロペシアX」という脱毛症を含め、特に若齢で発症する脱毛は難しい場合がありますね。
次はプードルの脱毛症の症例報告を予定しています。
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