2018.06.30
チワワ・トイプードルに多い「皮膚が脂っぽい」「フケがでる」など痒みを伴う脂漏性&アトピー性皮膚炎の治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
梅雨も終わり夏の始まりですね。
気温・湿度の影響で皮膚トラブルも増える傾向があるため、シャンプーを含めたスキンケアには力を入れていかなけばいけません。
それでは今日の症例報告です。
【症例】
トイプードル×チワワ 3歳半 女の子
【経過】
〇8か月前から続く痒み
〇冬での改善はなく、通年性(疑い)
〇4か月漢方治療をしたものの、悪化を認める
〇当院で3件目動物病院
〇痒みは、頚をかく、前肢なめる、後肢(スネ~甲)の痒み
それでは初診時の状態をみてみましょう。
まずは全体。
続いて、頚部とその拡大。
続いて、右前肢です。
続いて、左前肢です。
続いて、胸部とわきの拡大です。
全体的に皮脂が多くべたついており、慢性的な皮膚炎により皮膚が硬く分厚くなっています。
初診から時に薬浴して3週間後の2回目の再診時のときとの比較をみてみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
初診時の薬浴前に毛をカットした影響で被皮が少なくみえますが、
①皮脂がほとんどない(サラサラ&臭い無し)
②皮膚がやわらかくなっている
③皮膚炎がほとんどない
④色素沈着の減少
が認められています。
もちろん肝心の痒みもほとんど解消されました。
トイプードルとチワワには遺伝的に「アトピー」と「脂漏」が出やすい傾向があります。
こういった症例ではスキンケア&投薬治療をメインとして、再発防止(体質改善)のためにサプリメントという3つのアプローチが効果的です。
今回の皮膚科診療でのポイントとしては「治療効果の予測」かと思います。
病気に対するアプローチ方法にはさまざまな考え方があるため、治療に正解はないのですが「痒みを確実、かつ最短で抑える治療法」を提案できたことではないかと思います。
医療にはインフォームドコンセントという言葉があり、丁寧な説明をして治療プランのいいところ・悪いところの説明の上で飼主さまに同意・選択してもらうことがいいとされていて、飼主さまが治療法を選ぶことがいいような風潮がありますが、「こうしたら確実によくなりますよ」というベストを選択してもらうことも適切なインフォームドコンセントだと思います。
そのため「やりたいこと、やりたくないことなど拘りがあれば希望をききますが、『おまかせ』がベストです」と伝えることが多いです。
今回は過去の東洋医学とは正反対の西洋医学でのアプローチで、飼主さまの不安もあったかと思いますが、医療には「経験」が非常に重要なため「おまかせ」が一番いい選択肢だと思います。
投稿者:
2018.02.16
チワワのアレルギー・アトピー性皮膚炎などの痒い皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
今回の症例はチワワ×柴犬のミックスですが、発現型としては75%チワワという感じなので(ほぼ)チワワという表現でいきます。
※ただ、体質としてはチワワと柴犬の両方をもっています。
チワワも皮膚トラブルが多い犬種の一つで、少しコツがいるため難治性になっているケースが多くあります。
今回紹介する症例は、そんなチワワと柴犬に多く認められる皮膚病の典型的・・・・にみえる皮膚病です。
【症例】
チワワ×柴犬ミックス 8か月 女の子(避妊手術済)
【経過】
〇2ヵ月半前から、目の痒みと口周りの痒み
〇当院を受診するまでの治療は抗ヒスタミン剤、ステロイド、抗生物質
〇毎日服用すると改善傾向だが、ステロイドを減らすとぶり返す
それでは初診時の状態です。
初診時からやく3週間後の状態です。
まだ改善途中ですが、あとは時間とともによくなるのをみていくだけです。
今回のわんちゃんでは、初診時で重度な見た目でしたが、幸い慢性化をしていなかったので比較的短期間でいい結果がでたと思います。
当院の治療内容ではステロイドの内服は使用しませんでした。
決してステロイドが悪いという意味ではありません。
当院でもステロイドは積極的に使う方ですが、使うシーンとタイミングが適切でなければネガティブな結果を引き起こすことがあるため注意が必要です。
で、今回の症例では「今の時点では、ステロイドは適当ではない」と判断したため使いませんでした。
今後に関しては、残った皮膚症状次第だと考えています。
目と口唇以外でも四肢の痒みがあるため、部位によって治療方針を変えていく方針です。
投稿者:
2017.11.09
チワワのアトピー・アレルギー性皮膚炎、脂漏性マラセチア性皮膚炎などの痒みを伴う皮膚病治療に力を入れている皮膚病治療専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
今回紹介する症例は、以前にも治療経過を紹介したことがあるチワワちゃんです。
振り返ればもう3年も前で、もちろんアポキルがないときの治療結果です。
ここから欠かすことなく継続治療をし、非常によい状態を長く維持していたのですが、今年の春くらいから悪化するようになりました。
そのときの様子から紹介しましょう。
左足だけの写真です。
3年前の治療開始した頃の投薬量よりも随分と減量していたため、まずは初期の投薬量に戻してみましたが、3年前のような改善はありませんでした。
そこで過去の治療内容は一端保留にし、今まで行ってこなかった新しい治療方針を加えてみました。
新しい投薬治療から2ヵ月後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
随分とよくなりましたね!
この投薬治療には内服の処方と、当院のヒーリングケアLFプラスを処方しました。
新しい投薬内容と、このヒーリングケアLFプラスの相乗効果で、元々継続していた内服はさらなる減量に成功しています。
季節により投薬量の調整があるかもしれませんが、随分と再発し難い体質になっていると思います。
当院のサプリメントは適切な診断と、投薬治療を併用することで、徐々にお薬をへらすことに成功しやすいと考えています。
当院で処方しているサプリメントやスキンケア商品は以下のオンラインショップでお買い求めいただけます。
適切な診断と、適切な投薬治療と併用することでよりより治療結果をえることができます。
当院ではメールと写真で継続する遠隔診療にも力をいれているため、ご希望の方は当院HPの遠隔診療ページのお申し込み欄からお問い合わせください。
また、当院では今年から個人開業に動物病院に向けて、皮膚科での診療提携を行っています。
ご興味のある方はお問い合わせください。
投稿者:
2017.10.24
チワワの痒みを伴う脂漏性皮膚炎、マラセチア性皮膚炎、アトピー性皮膚炎の治療に力を入れている皮膚病治療専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
どんな犬種のわんちゃんも皮膚病になりえるのですが、やはり「難治性皮膚病になりやすい犬種」というのがあります。
チワワもその犬種の1つで、治療しづらい体質のわんちゃんがいます。
治療しづらいといっても主な原因として3パターンあるのですが、今日紹介するのはそんなチワワの「治り難い皮膚病3パターンのうちの1つ」の症例報告です。
【症例】
チワワ 7歳7ヵ月 女の子(避妊済)
【経過】
実は過去にすでに掲載したことがある症例です。
2015年に来院され、一度治療後の改善した写真を掲載しています。
過去の症例報告記事 【診極め】診断は瞬間に、治療は一寸の狂いなく
今日の記事はそれから約2年経て、現在どうなっているか・・・気になるところですよね。
それでは改めて約2年前の初診時の状態をみてみましょう。
まずは正面全体から。
全身カイカイで傷だらけになっており、シャンプーしてもすぐにベタベタになっていました。
毛も少なく、生えていない部位すらあります。
この初診時から約2年後の現在と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
フワフワ&サラサラの見違える皮膚コンディション&毛並みです!!
継続は力なり、とはまさにこのことですね。
一般的には改善したとしても遺伝的体質はそのままなので治療終了としてしまうと時間とともに元に戻るのですが、継続することによりここ改善させることが可能ということがわかる結果です。
もちろん投薬治療・院内薬浴の両方を継続しているのですが、当初の投薬治療よりも随分と少ないお薬でよい状態をキープできるようになっており、「皮膚炎が起きにくい体質に改善」という方向性のためのアプローチが功を奏したといえます。
投薬治療とともに使ったのが当院のオリジナルスキンケア&サプリメント「プラスシリーズ」です。
以下のオンラインショップからお買い求めいただけます。
適切な投薬治療とともに続けることで、体質改善が期待できます。
またこのタイプの皮膚病治療であれば当院の遠隔診療でも高い治療成績を出すことが可能と考えています。
遠方で通院ができないわんちゃんは当院の遠隔診療をご検討ください。
投稿者:
2017.10.07
チワワのアトピーや脂漏症の皮膚病治療に力をいれている皮膚科専門病院、四季の森どうぶつクリニックです。
チワワに起きやすい皮膚病といえば、アトピー、脂漏性皮膚炎、心因性皮膚病などがありますが、もう一つ大事な皮膚疾患があります。
それが脱毛症、珍しい皮膚病ではなく、かなりの症例数がいます。
当初は症状がなく生後数ヶ月から徐々に薄くなるため、飼主さま自身も異常に気づかないことが多く、相当数が見過ごされているのが現状です。
今日紹介するのは先日のチワワの脱毛症に続き、同じ脱毛症のわんちゃんです。
【症例】
チワワ 2歳 男の子(去勢済み)
【経過】
〇仔犬購入時から眉間に小さい円形脱毛があった。その円形脱毛が拡大していき初診時の状態に至る。
〇額は一部被毛再生のあるところもある。
〇耳介がガサガサしていて脱毛がみられる。
〇痒みはない。
〇過去の投薬歴:初診時の2ヵ月前から内服(カビのお薬)をスタートしている。
まずは全体からみていきましょう。
続いて、顔の右側。
続いて、右耳の耳介。
続いて、左耳の耳介。
続いて、後頭部。
続いて、頚部。
続いて、胸部。
それでは、この初診時から3ヶ月後の状態と比較してみましょう。
※画像をクリックすると拡大してみることができます。
頭部はまったく問題ないレベルまで改善しました。
頚部も初診時では地肌がみえるじょうたいでしたが、かなりフサフサの状態になってきました。
胸部はわかりにくいかもしれませんが、ほとんど無かった部位にも毛の再生がみとめられました。
写真にはありませんが、尾も太くなった(毛がふえた)ということです。
今回は頭部の脱毛症と、頚部・胸の脱毛症の原因がことなります。
また耳も少しだけ病態が異なります。
治療という側面ではある程度かぶるのですが、それぞれ「なぜ脱毛しているのか?」を把握していなければ綺麗な治療はできません。
初診時にゴールまでの軌跡を描いて治療プランを立てる必要があります。
今回の症例でも初診時に各部位での脱毛の原因を示し、予測どおりの治療結果をだすことができました。
四季の森どうぶつクリニック
平川
投稿者:
2017.10.06
チワワの痒み・脱毛疾患の治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
当院は主に「痒みを伴う」で皮膚病をみていますが、皮膚つながりで「脱毛」に関する疾患にもよく遭遇します。
今回紹介する症例は、「痒みを伴わない脱毛疾患」として来院されています。
【症例】
チワワ 1歳 男の子(去勢済み)
【経過】
〇生後半年くらいから眉間に脱毛がみられた。
〇ここ2~3か月耳介の裏三分の一エリアが脱毛。
〇被毛が全体的に薄くなった。
〇フケの量が増加。
それでは、全体からみていきましょう。
続いて、左耳。
続いて、頸部。
続いて、体の右側。
それでは、初診時から3ヶ月後の状態と比較してみましょう。
※画像をクリックすると拡大してみることができます。
かなり綺麗に再生しました。
飼主さまにも「フワフワ&フサフサ」とよろこんでいただけました。
この手のタイプも典型的な所見がならんでいるため、診断は一瞬です。
いくつの検査をして絞り込みますが、初診時にほぼ確定しています。
チワワの薄毛、脱毛、皮膚病でお困りの方は当院までご相談ください。
投稿者:
2016.10.25
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
随分と涼しく、夜は肌寒さも感じるようになりましたね。
来月の予定ですが、11月3日(木)に東京都葛飾区内の動物病院で皮膚科診療を行います。
東京・神奈川・千葉・埼玉にお住まいの方で、当院まで通院が困難な方への初診を行います。
ブログでその受付を告知しなければ・・・と思っているうちに、問い合わせへのメールに終われ・・・・・定員に達したため受付を終了しました。
ブログでの初のお知らせが受付終了のお知らせになってしまい、申し訳ありません。
そんな当院の遠隔診療ですが、原則直接診療は初診の1回きりです。
この1回の診療で改善まで導くのが遠隔診療の最大のポイントです。
今回紹介するわんちゃんも7月に埼玉の動物病院で開催した皮膚科診療を受診されたチワワちゃんです。
【症例】
チワワ 6歳
それでは初診時の状態をみてみましょう。
この初診から1ヵ月半後、飼い主さまにご自宅で撮影していただいた写真を見てください。
まずは脇~肘(左)の内側です。
つづいて、右腕の肘付近です。
つづいて、頚部~胸部です。
まったく同じ視点での比較ではありませんが、かなりきれいになっているのがわかると思います。
ポイントはメールと写真で改善までのイメージができることです。
実際に診察を行いますが、その診察時に治療を悩むことはありません。
もちろん顕微鏡検査・血液検査・超音波画像診断なども行いますが、確認作業であり、検査結果が出揃う前から治療内容がほぼ確定できるほどぶれることはありません。
すべての皮膚科疾患が遠隔診療の適応になるわけではないのですが、典型例であれば10中8,9改善可能です。
この夏に関東・関西圏で20頭以上のわんちゃんを診察しましたが、全頭十分な改善が確認できました。
遠方にお住まいで通院が困難な方でも、当院の遠隔診療で高い治療成績が見込めるわんちゃんもいますので、お困りの方は一度ご相談ください。
東京で開催している皮膚科診療を受診されたい方は、
直接受診後の遠隔診療、またはご自宅までの往診をご希望の方は、
あくまで経験からの判断ですが、遠隔診療での改善の見込みがあるかの判定を行います。
投稿者:
2016.10.02
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
看護師の協力を得れるようになってから症例報告が随分と楽になっています♪
今回は今まで掲載しなかったような症例も紹介しようと思います。
症例はチワワちゃん、耳の脱毛です。
元々通院されていたわんちゃんなので、初診ではありませんが「トラブルに気づいた最初の診察のとき」を紹介します。
特徴は耳の脱毛、特に辺縁でフケを伴って束になって抜け落ちます。
めずらしい皮膚病ではなく、結構よくあります。
診たことない先生はいないと思います。
進行すると激しい症状がでることもあるのですが、多くのわんちゃんで無症状ですし、「これが原因!」と特定することも困難なため、個人的には「攻め込みにくい皮膚病の一つ」でした・・・(苦笑)
長年しっくりくる「上手な治し方」を掴みきれていなかったのですが、最近は発症の原因を推測できるようになったり、治療成績も随分と高くなりなんとなく掴めた気がしています。
では、治療後と比較してみましょう。
おおよそ2~3ヶ月で改善が認められます。
最近治療したわんちゃんはみな予測どおりに改善したので、知り合いの先生にもコツを伝えてみました。
投稿者:
2016.08.29
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
夜は随分と涼しくなりましたね♪
先日のブログで「チワワの皮膚病治療の進め方(初診時)」を掲載しました。
本日はその続きです。
改めて全体像を紹介します。
治療は2つに分かれます。
まず1つめは「痒みのコントロール」です。
9日後の状態と比較しましょう。
最もひどかった首の傷をみていただきたいと思います。
治療前の痒みレベルを10として、9日後は「4」まで改善しました。
傷も消失しました。
しかしまだ全体的に皮膚・毛並みで正常になったという感じはありませんね(まだ9日ですから)。
もう一押し、痒みの治療に集中していきます。
その後次の治療ステップに入ります。
そこから2~3ヶ月できっと変わると予測しています。
投稿者:
2016.08.21
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
お盆休みも終わり、夏も終盤ですがまだまだ暑い時期が続いていますね。
今日は昨日初診で来院されたチワワの皮膚病を紹介します。
【症例】
チワワ 約3歳 女の子(未避妊)
【病歴】
〇2年前の保護引取り時から継続する慢性皮膚病
〇通年性の痒み
〇ステロイドで痒みの改善があるが、服用をやめると痒みがぶり返す
初診時の状態です。
慢性的な痒みを伴う皮膚病で、フケ・皮脂が多く、独特の臭いもあるため、パッと見た目で「チワワの慢性皮膚炎のよくあるパターン」に見えます。
きっとその判定で間違いないと思うのですが、このわんちゃんには「チワワによくある皮膚炎」意外にもう一つ隠れた基礎疾患があると予測しています。
アトピー、アレルギー系の治療やスキンケアだけでは改善しない基礎疾患です。
初診時の診極めで重要なのはそこまで想定してこの後の治療方針を立てることだと思います。
まずは1ヶ月で痒みの改善を、そしてそのあと3ヶ月で毛並みの改善を目指します。
投稿者: