2018.06.28
犬の皮膚病で再発が最も多い湿疹タイプ「細菌性の膿皮症」の根本的な治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
今日はめずらしいゴールデンレトリバーのわんちゃんです。
当院での紹介としては多くありませんが、ゴールデンだけでなくラブラドールも含めてレトリバー種は皮膚病が多いですね。
原因としてはアトピー、アレルギー、内分泌疾患、心因性など多岐にわたりますが、どのタイプも特徴的なので非常にわかりやすいです。
【症例】
ゴールデン・レトリバー 4歳 女の子
【経過】
〇2歳過ぎから瘡蓋・フケを伴う湿疹が常にでている
〇1年通して発症しており、この2年でよくなったことがない
〇近所の動物病院で週に1回の薬浴を1年継続しているが一向によくならない
〇食事療法併用中
〇内服が苦手でほぼ飲むことができない
〇耳、頚部、身体全体の痒みと、手先をしつこむなめる
それでは初診時の状態です。
毛が多いのでカットさせていただきました。
まずは頚部です。
続いて、胸部(あおむけ)です。
続いて、腹部とその拡大です。
続いて、指の間です。
それでは初診時から7日後の状態です。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
新しい湿疹(膿皮症)は1つもありません
以前の膿皮症もほぼ消失しました。
飼主さまからは「びっくりするくらいよくなった」と喜んでいただけました。
今回の症例での問題・課題は以下の通りです。
①シャンプーが十分にできていなかった
週に1回病院内で薬浴しているということでしたが、最終実施シャンプーから数日しか経っていないにも関わらず湿疹のフケが多く残っていたため、評価としては「毛を洗って皮膚が洗えていない状態」といえました。
このフケ・瘡蓋(痂皮)・皮脂が多いタイプの皮膚病治療にはスキンケアが必須であり、身体の大きさと湿疹の数を考慮すると当院での院内薬浴を実施しなければ改善は不可能というレベルでしたので、初診日当日に院内薬浴を行いました。
シャンプー・薬浴と一言にいってもレベルの差は大きく、とりあえずシャンプーするではなく「薬浴すれば確実によくなる」という自信のあるレベルで行わなければ改善は難しいと思います。
※当院の薬浴実績 1000件以上/年間
今回は2名で従業員の休憩を兼ねた交代(合計4名)で3時間かかりました。
このレベルを飼主さまで行うのは現実的に難しいと思います。
②正しい食事療法
食事療法は体質によって合う・合わないというのは十分に考えられますが、今回のわんちゃんでは「今のドッグフードは絶対に合っていない」と確信を得ることができましたので、「即変更するように」で完全にきりかえていただきました。
大事なのは「体質に合っていない」という判断ができることだと思います。
皮膚の見た目だけでなく、過去の経過など経験値でこの的確な判断はできるようになります。
③お薬が服用できない
抗生物質を使うのがいいのですが、お薬が苦手ということで今回は内服薬をゼロで治療計画をたてました。
またサプリメント「スキンケアECプラス」と「ヒーリングケアLFプラス」を開始しました。
これらのポイントでの治療から、約2年消えなかった湿疹(膿皮症)はたった7日間でゼロになりましたので、いかに「必要なアプローチを全部する」がどれだけ効果的かがわかる症例だと思います。
シャンプーだけではよくなりませんし、サプリメントだけで治るわけでもありません。
すべてが揃ったからこその治療実績だったと思います。
このブログをみている飼主さまみなさまに知っていただきたいのは、皮膚病の原因はさまざまでアプローチも多数あります。
中にはシャンプーを変えるだけでよくなるようなわんちゃんも探せばいるかもしれませんが、多くのわんちゃんではカット(バリカン)、オイル&シャンプー、ローション、抗生物質、食事療法といった総合的なアプローチが必要になります。
1つ欠けただけでもうまくいかない原因になってしまいます。
先入観で「きっとシャンプーを変えればよくなる」「サプリメントなんて効果ない」「食事はアレルゲンフリーを選択しているから大丈夫」となってしまがちですが、99%でその想定・予測・自己判断は間違っていることが多いです。
意外なものの組み合わせでよくなりますので、当院では「必要なことをすべてやる」をお勧めしています。
なおこのタイプの皮膚疾患には当院でのスキンケア&サプリメントが非常に効果的です。
基礎疾患の見落としがない、食事療法に間違いなければ、かなりの確率で改善すると思います。
投稿者:
2018.06.25
アトピー・アレルギー・掻きすぎ・掻き壊し・舐め壊しなど柴犬の痒い皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
【症例】
柴犬 12歳 男の子(去勢済)
【経過】
〇6歳まで異常なし
〇6年前から痒みを伴う皮膚病
〇季節性はなく通年性
〇わきをかく、内股をなめる、四肢端を舐める
〇過去4年間漢方薬を継続するも改善なし
〇夜中でも痒みで起きることがある
それでは初診時の状態をみてみましょう。
まずは左の脇~胸の側面とその拡大です。
続いて内股とその拡大(右、左)です。
柴犬といえばアトピー・アレルギーを疑うのが一般的ですが、このタイプは少し違いますね。
どう違うかというと、
〇6歳以降の発症
〇季節性のない痒み
〇目、口は異常なし
典型的なアトピーの特徴を揃えていないこのタイプの診断は、わんちゃんの皮膚をみずに外観だけど、飼主さまのお話を聞きだけで確定診断に近づくことができます。
それでは初診時からわずか8日後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
まずは左の脇~胸です。
同じく左脇~胸の拡大です。
続いて、内股とその拡大です。
写真でみるポイントは、赤み・じゅくじゅく・ガサガサといった感じがなくなっているところです。
また治療開始からわずか8日にも関わらず、色素沈着(赤黒い)のが少なくなっているのがわかると思います。
痒みはほとんどなくなり、夜中に起きることもありません。
しつこくなめるのもなくなっています。
こういったタイプは投薬治療とともに、ヒーリングケアLFプラスを使うのがおすすめです。
皮膚がゴワゴワしてるためスキンケアが気になる方も多いとは思うのですが、スキンケアメインで取り組むとうまくいかない原因になるでしょう。
ヒーリングケアLFプラスを使うことで、アポキルを含めたお薬の使用頻度や量を減らすことが十分に期待できます。
ヒーリングケアLFプラスは当院のオンラインショップからお買い求めいただけます。
医療に万能はありませんが、サプリメントには医療ではカバーできない部分をサポートすることができます。
的確な診断と治療併用の元で使っていただけば体質改善、再発防止、お薬の減量に役立つサプリメントです。
投稿者:
2018.06.23
アトピー・アレルギー・膿皮症・舐め癖など難治性の痒い皮膚病が多いフレンチブルドッグの治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
梅雨に入り皮膚トラブルがフレンチブルドッグも多いのではないでしょうか。
フレンチブルドッグの皮膚トラブルといってもさまざまなタイプがあり、①冬が発症せず、夏を中心にでる、②1年変わらずでる、③1年でるけど冬はマシの3パターンに分けられます。
今日紹介するのは季節と関係なく1年中皮膚トラブルが続いていたフレンチブルドッグのわんちゃんです。※それでも冬少しマシ?
【症例】
フレンチブルドッグ 2歳 女の子(避妊手術済)
【経過】
〇1歳前から痒みを伴う皮膚病
〇この1年半、皮膚病が治ったことはない
〇顔・耳・手の赤み&痒い、内股の湿疹&痒み
それでは初診時の状態です。
それでは初診時の状態から8週間後の状態と比較してみましょう。
湿疹は完全に消失しました。
顔・耳の赤みもほぼ消失です。
手なめのレベルが元々10として3程度の若干のこりましたが、気になるような痒み・舐め方ではないので許容範囲という評価です。
今回の皮膚炎・痒み・手舐め・足舐め・湿疹(膿皮症)はすべてフレンチブルドッグの典型的な皮膚病です。
このタイプには投薬治療も併用しながら、当院が開発したスキンケア&サプリメントが非常に相性がいいです。
フレンチブルドッグの湿疹(膿皮症)→スキンケアECプラス、スキンケア商品(オイル&シャンプー&ローション)
フレンチブルドッグのアトピー → スキンケアECプラス&ヒーリングケアLFプラス
フレンチブルドッグの手舐め・足舐め → ヒーリングケアLFプラス
これらのスキンケア商品&サプリメントは以下のオンラインショップからお買い求めいただけます。
投稿者:
2018.06.18
シーズーの痒い皮膚病として特徴的な「手舐め」「足舐め」「お腹(内股)を舐める」「首を掻く」などの症状がでやすいアトピー・アレルギー・マラセチア性皮膚炎といった皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
【症例】
シーズー 9歳 女の子(避妊手術済)
【経過】
〇2歳のころから続く痒み・皮膚トラブル
〇季節性はなく1年通して痒みがある
〇痒みは四肢端「手舐め」「足舐め」、腕を噛む、下顎~首をかく、腕をかむ、内股をなめる、脇を舐めるetc
それでは初診時の状態をみてみましょう。
まずは頚部とその拡大から。
続いて、右前肢とその拡大です。
続いて、左前肢とその拡大です。
続いて、胸です。
続いて、後肢です。
それでは初診時からわずか2週間後の状態と比較してみましょう。
初診時に薬浴と処方を行いました。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
赤み・皮脂といった見た目はほぼ改善しています。
重症部位は頚部だけでしたので、治療の差はあまり感じにくい写真比較だったと思いますが、痒み症状はほぼゼロになりました。
ペチャペチャと舐めてつづけていたのが、もうなくなったそうです。
こういったタイプはスキンケア、EC&LFのすべてが有効に作用します。
特にLFプラスは必須でしょう。
脂漏症、アトピー、舐め癖(心因性)などの皮膚トラブルのために当院が開発したスキンケア&サプリメントはオンラインショップからお買い求めいただけます。
的確な診断の上で使用いただけると非常に有効に作用します。
投稿者:
2018.06.14
柴犬のアトピー・アレルギーや、アポキルが効かない難治性皮膚病の治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
柴犬の痒みに対するアポキルの使用ですが、とてもよく効く、ある程度効く、わずかしか効かないとバラバラです。
今回はアポキルが全く効かないという症例報告です。
【症例】
柴犬 2歳10か月 男の子
【経過】
〇約1歳のころから痒みを伴う皮膚病
〇3件の動物病院で治療も改善なし
〇アポキルを10カ月継続するも明らかな改善なし
〇痒みは「泣き叫ぶほど」という強い痒み
〇夜中も散歩中でもひめいをあげるほど痒い
〇痒いの部位は、目・鼻・手首・下顎・耳・内股
〇アレルギー検査済
〇食事療法継続中
それでは初診時の状態を紹介します。
見た目は非常に綺麗ですね。
これは「治療後」ではなく、当院を受診された当日の写真なので「治療前」の写真です。
初診から11日後に2回目の診察にきていただきましたが、痒みはほぼなくなりました。
なおアポキルの服用をやめても痒みのぶり返しはなく、おちろん泣き叫ぶこともなくなりました。
※治療前の時点で見た目の皮膚病変が乏しかったため、写真はありません。
このタイプの診断は初診の一瞬です。
診察室でお話して5分か10分後には確定できるタイプです
元々大した痒みではなかった?と思われるかもしれませんが、今回は過去3件の動物病院で治療して、その上で「大阪」から約3時間かけて来院されています。
それぐらい痒かったということです。
このタイプには当院のヒーリングケアLFプラスが有効です。
当院のオンラインショップからお買い求めいただけます。
的確な診断とともにご使用いただければこれほど「実感できる」有効なサプリメントはありません。
投稿者:
2018.06.12
ミニチュアダックスのアトピー・アレルギー、膿皮症や脂漏症(マラセチア性皮膚炎)など難治性皮膚病の治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
ミニチュアダックスフンドはブルドッグ犬種、シーズー、柴犬とはまた異なる体質で、そう簡単に重症化する体質ではありません。
ですが、ミニチュアダックスフンドには、ミニチュアダックスフンドなりのある体質があり、それを見落とすと難治性になります。
また原因が1つではなく、複数の病態が重なるとさらに治療は困難になります。
今回はそんなミニチュアダッククフンドの見落とされやすい体質以外にも難治性になる要因が複数かさなって重症化していた症例です。
【症例】
ミニチュアダックスフンド
【経過】
〇1年少し前に一度当院受診
〇やや遠方のため一時治療中断
〇再度悪化のため1年ぶりに治療再開
〇アポキル単独投与では痒みは部分的な改善しかできない
まずは1年ぶりに来院したときの状態を紹介します。
まずはお顔から。
続いて、耳です。
続いて、下顎~頚部~前胸部です。
続いて、右前肢です。
続いて、左前肢です。
続いて、体幹ぶです。
続いて、右後肢の側面の拡大です。
続いて、胸部です。
続いて、内股~後肢です。
治療3ヶ月弱の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
部分的にまだ毛並みが整っていませんが、かなり改善したと思います。
あと半年ほどあれば毛並みの改善はもう1ランクか、2ランク改善すると被います。
今回の診断についてですが、メジャーなところからは
①アトピー性皮膚炎
②膿皮症(部分的)
③脂漏性マラセチア性皮膚炎
があげられます。
見落とされやすいのがあと3つあります。
最初のメジャー3要因であれば、アポキル・抗生物質・シャンプー・抗真菌剤などで緩和できますが、この症例はこの3要因に対する対策では改善はかなり限定されます。
あと3つのアプローチを同時にすることで痒みが落ち着き、アポキルを減らすことも十分にできます。
今回の治療アプローチには、
①スキンケア
②スキンケアECプラス
③ヒーリングケアLFプラス
の3点も入っています。
当院が開発したスキンケア&サプリメントは以下のオンラインショップからお買い求めいただけます。
ただ、この条件の皮膚病であれば、いかにスキンケア&サプリメントが理にかなっていても投薬治療なしで改善するのは困難なため、当院受診をお勧めします。
投稿者:
2018.06.07
フレンチブルドッグのアトピー・アレルギー、脂漏、舐め癖(手舐め・足舐め)など痒い皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
医療は奥が深いです。
日々疑問が湧き出ますし、新しい発見があります。
今回の新しい発見はある改善症例から得られた発見なのですが、「もしこれが効くなら、これから他のわんちゃんの治療がもっと大変になるかも」という治療内容で、また悩みと苦労が増えた気がしています。
【症例】
フレンチブルドッグ 約4歳 男の子(去勢済み)
【経過】
〇発症は1歳から
〇お腹&背中に赤い湿疹
〇顔、四肢端、耳の痒み(季節性ない)
初診は1年以上前だったのですが、このときは抗生物質とアポキルですぐによくなりました。
それから約9ヵ月後、再発?で来院されましたので、この再発?時点を基準に紹介します。
まずは全体から。
続いて、頚部とその拡大です。
続いて、前胸部とその拡大です。
続いて、右前腕とその部分的な拡大です。
続いて、左前肢とその部分的な拡大です。
続いて、腹部とその拡大です。
]
この初診時から約6ヵ月後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
頚部の皮膚炎、腕の皮膚炎、四肢端の痒み、お腹の湿疹・・・フレンチブルドッグのこのタイプの皮膚病は非常に多いです。
見た目の第一印象では典型的なタイプの1つにみえたので、いつものアプローチで2~3ヶ月で十分綺麗になると判断していました。
が、結果的には6ヶ月もかかってしまいました。
当院で6ヶ月というのは異例な長さで、正直にいうと苦戦しました。
ただ、診断と治療方針は初診時から一切変更せず、改善が十分でない途中の診察でも「(初診時の)診断は撤回しない」と何度もアピールしてました(笑)
撤回しない診断はというと、「心因性掻痒症」です。
もちろん心因性だけでこの全身の皮膚病の説明はできないため、心因性の解説の前に心因性以外の診断名を列挙しておきます。
診断①アトピー性皮膚炎
診断②膿皮症
診断③食物有害反応
診断④脂漏性皮膚炎
そして、最後の診断⑤が「心因性掻痒症」です。
この心因性、当院ではかなりの症例数と治療実績数があるため、自信をもってアプローチしたのですが、治療の序盤の結果はかんばしくありませんでした。
6ヵ月かけて徐々によくなったというのではなく、月1回の再診のたびに投薬治療内容を見直しつづけ、ようやく明らかに改善したのは最後の1ヶ月でした。
※もちろんアポキルは最初から1日1回でスタートしていますが、この腕~手先、足先の皮膚炎はアポキルでまったく改善しませんでした。
その微調整とは「投薬量の変更」なのですが、なんと最初に処方したときの3.5倍量です。
たしかに最初の投薬量はかなり少なめで、一般的な教科書に掲載されている量の最下限よりわずかに下回る量でした。
ただ、その最下限以下で処方したにも理由があり、その量で効果を示す症例も稀ではないくらい普通にいるのです。
体質によって薬の合う合わないということがあるのと、多い量より少なく効くにこしたことはないので、少なめから処方したのですが、初回の投薬内容ではまったく改善が認められませんでした。
そこで増量、薬の種類変更・・・と序所に変化を加えてみたのですが、どれもスッキリせず平行線。
最終的には3.5倍量まで増やしたときに、急によくなりました。
3.5倍量で劇的に改善するのではれば、2.5倍量でもそれなりに・・・せめて半分くらい効いてくれてもよさそうなのですが、2.5倍量ではまったく改善しませんでした。
飼主さまには「スイマセン・・・適量にたどりつくまで随分時間がかかってしまいました。よくここまで信じて通院してくださってありがとうございます。」とお伝えいたしました。
結果的には心因性の診断はあっていましたし、治療結果もよかったのですが、今後の悩みも増えます。
教科書に掲載されている推奨量は1~2の範囲であり、今回のような3以上の投薬量というのは一般的な投薬範囲を超えています。
ただ今回の結果から心因性の治療に必要な投薬量は1~3.5まで範囲があるかもしれない、ともいえます。
効果のある投薬量はわんちゃん次第で、2でまったく効かなくて3以上に増やせば効く症例がいるということであれば、少なめからの投薬治療であれば効果が出るのに相当なステップを踏まなければいけません。
高用量からの処方は副作用の観点から避けねばいけませんし、かといって低用量で処方して改善がなければ「効かない薬」や「心因性が原因ではない」という烙印を押されかねないため心因性のアプローチはますます難しくなります。
ここをどう解決するか、アプローチ開始時点で丁寧なインフォームドをして、こまめに再診を設定して増量していくことくらいでしょうか。
当院のように遠方からの来院が多い場合はまた悩みが増えてしまいました(涙)
参考までに今回のわんちゃんの心因性は腕~肢端のみで、その他の部位は心因性との関係はありません。
現に心因性のお薬を増量していく5ヶ月までに湿疹は完全に消失して再発すらなくなっていましたし、頚部~胸部の皮膚炎と脂漏症は90%改善していました。
心因性の治療だけでこの全身の皮膚炎が改善するわけではないので、総合的なアプローチが重要です。
また、こういった膿皮症、アトピー、脂漏、心因性があるわんちゃんにはスキンケア&サプリメントも非常に重要なアプローチになります。
当院で開発したスキンケア&サプリメントは以下のオンラインショップでお買い求めいただめます。
今回の症例でもそうですが、投薬治療があってこそのスキンケア&サプリメントです。
将来的な体質ケア、お薬の減量、再発防止のためのアプローチになりますので、適切な皮膚科医療とともにご利用ください。
当院では皮膚科のない動物病院開業の獣医師向けに、今回紹介したような複雑な病態を示す難治性皮膚疾患の的確なアプローチの仕方について、実際の症例を交えたプライベートセミナーを行っています。
皮膚科診療について詳しくお知りになりたい方は問い合わフォームからご連絡ください。
投稿者:
2018.06.05
トイプードルに多くみられるアロペシアX(毛周期停止)、アトピー・アレルギー、癖やストレスなど精神的な要因を含ん心因性の痒い皮膚病治療に力をいれている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
トイプードルは皮膚病が多いわけではないと思うのですが、トイプードルがゆえの遺伝的体質から難治性の皮膚病になってしまうことがあります。
「難治性」と一言にいっても色々とあるのですが、本当の意味で治りが悪いことはほとんどありません。
多くは典型的な体質のため、1つずつ的確なアプローチをしていくと非常に綺麗に改善します。
「よくならない」ということで当院を受診する飼主さまから過去の治療歴を伺うと、このアプローチで躓く「陥りやすいポイント」が見えてきます。
〇アポキル
アポキルを使って痒みが止まらないと次の選択肢がない
〇抗生物質
抗生物質で改善が認められないときに「ずっと同じものを服用し続ける」「効かないため抗生物質を処方しない」「抗生物質を変更しつづける」
〇食事療法
食物アレルギーを疑い魚、ポテト、動物性蛋白なし、アミノ酸系・・・・色々試す
こういった点は陥りがちなポイントで、迷走する原因になります。
アポキルが効かないときはアポキルが効く痒みとは異なる痒み原因へのアプローチを考えるとうまくいきます。
抗生物質が効かないときは「抗生物質が効く病変なのか再検討」「抗生物質が効くのか検査」「そもそも菌が増える理由はどこにあるのか?」を考えていくとうまくいきます。
食事療法は「そもそも食物アレルギーなのか?」から考えていく必要があります。
要するに皮膚病が治らない原因は1つではなく複数、同時にすべてへのアプローチがそろわないと改善しないこともあります。
今回紹介する症例は、そんなわずかなズレの積み重ねでよって難治性になっていた症例です。
【症例】
トイプードル 4歳半 男の子
【経過】
〇4ヶ月前から皮膚トラブル(痒み&脱毛)
〇手舐め、足舐め、口唇をかく、繰り返す背中の湿疹
それでは初診時の状態をみてみましょう。
まずは顔の正面。
続いて、口唇(左)です。
続いて、右側。
続いて、頚部です。
続いて、胸部とその拡大です。
続いて、腹部です。
続いて、背中とその拡大です。
続いて、側面とその拡大です。
初診時から約3ヵ月後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
非常に綺麗に改善しました。
改善点①毛並み
全体的に薄毛でしたが、フワフワの状態にもどっています。
トイプードルの薄毛ではアロペシアX(毛周期停止)か、その他のホルモン異常かいくつかありますので各種検査が必要です。
時に難しい判断になる検査結果となり悩むことはありますが、それなりのアプローチ方法がありますので改善の余地は高いと考えています。
改善点②湿疹
特に薄毛の部分(胴体)に全体的に認められた湿疹(膿皮症)ですが、抗生物質をやめてもほぼコントロールできています。
※現在初診から半年以上経過しましたが、湿疹の再発はほぼなし
改善点③脂漏
口唇、四肢を中心に「かひ」を認めましたが、綺麗な状態を保っています。
改善点④手舐め・足舐め・痒み
基本はアトピーでいいのですが、アトピー単独であれば過去のシクロスポリンやステロイドで十分に緩和できていたはずです。
改善できなかった理由は心因性なのですが、心因性だけで痒かったわけではないため、アトピー対策と心因性対策の両方を行えばバランスが取れます。
しつこい手舐め・足舐めは心因性へのアプローチにより改善しました。
トイプードルは他の犬種に比較して薬の反応が非常にいいタイプの子が多いので、アプローチ方法さえ間違わなければかなりの確率で治療成績がよくなります。
トイプードルの皮膚病治療でお困りの方は当院を受診してみてください。
なお今回のトイプードルのアトピー、脂漏、心因性、湿疹には当院が開発したスキンケア&サプリメントは非常に効果的です。
当院が開発したスキンケア&サプリメントは以下のオンラインショップからお買い求めいただけます。
脱毛はスキンケア&サプリメントでは改善せず、アトピー・脂漏・湿疹の治療成績にも関わりますので、必ず適切な投薬治療を併用しましょう。
投稿者:
2018.06.04
トイプードルのアトピー・アレルギーなど、アポキルが効かない痒い皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
当院の高い治療成績を支えるの特徴の1つは「心因性の診断と治療」と考えています。
というのも心因性は数値化できる検査がないため、今の皮膚科診療から置き去りにされており、治療成績に差が出る原因疾患の一つになっています。
逆にいうと、この心因性掻痒症に取り組むことで治療成績は飛躍的に向上します。
今日紹介する症例はそんな典型的な心因性掻痒症のトイプードルのわんちゃんです。
【症例】
トイプードル 4歳半 女の子
【経過】
〇1歳のころから痒み発症
〇季節性はない
〇ステロイドは少しだけ効果あり
〇シクロスポリンによる改善効果はなかった
〇一番痒みは足の裏を舐める(手舐め、足舐め)、2番目は腕を噛む&舐める
〇鼻回りの痒み、目の痒み、耳はたまに
〇背中も噛む
〇食物アレルギー対策として病院療法食での食事療法継続中
それでは初診時の状態をみてみましょう。
続いて、頚部~前肢です。
続いて、右前肢の腕の内側です。
続いて、左前肢の腕の内側です。
続いて、右前肢端です。
続いて、右前肢端です。
続いて、背中です。
同じく背中のよく噛んでいる部位の拡大です。
続いて、後足の裏、左右です。
それでは初診時から約2か月後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
この写真では大きな変化がないように見えますね。
続いて、右前肢です。
元々赤みがつよくなかっためこの右前肢も変化はわかりにくいかもしれません。
続いて左前肢です。
この左前肢は赤みもなくなり、毛並みもよくなったのがわかると思います。
続いて、背中のその拡大です。
写真ではわかりにくいですが、噛みちぎって毛並みがわるかったものがきれいになりました。
もちろん背中の痒みはゼロになりました。
最後に両後肢に裏です。
綺麗に改善しました。
当院の症例の中では「見た目は重症ではない」のですが、ステロイドや免疫抑制剤を使用して改善しないというのは難治性の部類に入ると思います。
心因性の搔痒にはステロイド、アポキル、免疫抑制剤(シクロスポリン)といった一般的な皮膚科の治療薬での反応が悪く、心因性への直接的な投薬治療をしなければ改善しないままです。
もちろん心因性の痒みだけしかないわけではないため、治療は複数のアプローチを併用は必要です。
肝心の心因性に対する治療ですが、一つは当院が開発したリラックス系(心因性・癖対策)のサプリメント、ヒーリングケアLFプラスです。
初診時にアポキルとこのヒーリングケアLFプラスを処方しただけですが、2回目の診察までには痒みの大半は消失していました。
そしてアポキルとヒーリングケアLFプラスの2つで抑え切れなかった痒みに追加(初診時にすでに伝えていた予定通り)の処方を行い、ほぼすべての痒みが消失しています。
当院の症例報告で時々でてくるこのヒーリングケアLFプラスですが、アポキルとの相性が非常にいいです。
特にトイプードル、マルチーズ、ヨーキー、ポメラニアン、シーズー、チワワなどの小型犬腫の手舐め・足舐め・腕噛み・腰噛みにはかなり効果的です。
アポキルが多少きくけど、残った痒みに何かプラスというときにお勧めです。
このヒーリングケアLFプラスにはアトピーやアレルギーの緩和、免疫系への強化というメリットもあるため、毎日使うことでアポキルを減らすことができるわんちゃんはかなりいるのではないかと思います。
今回紹介したトイプードルのわんちゃんでもアポキルを併用しましたが、今は週2~3回の頓服的服用でほぼ痒みは落ち着いています。
適切な診断・投薬治療の上での使用をお勧めしていますので、お困りの方はぜひ当院を受診してください。
紹介したヒーリングケアLFプラスは当院のオンラインショップからお買い求めいただけます。
投稿者:
2018.06.03
柴犬のアトピー・アレルギーや、アポキルが効かない痒い皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
痒みを抑える画期的な新薬「アポキル」が発売されて2年が経ちます。
副作用が非常に少なく、さまざまなシーンで使いやすい非常にいいお薬で、特に従来の治療では改善しにくかった典型的なアトピーの柴犬ではかなり効果を発揮します。
ただ柴犬の痒い皮膚病は独特で、原因が違うのに見た目が一緒ということが多いため、柴犬のアトピーだからアポキルが効くだろうと処方したのにまったく改善しないこともあります。
アポキルを使って改善しない場合にどう考えるか、今の皮膚科の課題の一つだと思います。
今日紹介する症例は「アポキルを1日2回服用しているのに改善しない柴犬の痒い皮膚病」です。
【症例】
柴犬 1歳半 男の子
【経過】
〇2ヵ月前(春)から口周り、お尻周りが痒い
〇他院にてアポキル1日2回2週間、3週目から1日1回を2週間の合計1カ月服用したが改善なし
〇口唇もお尻周りも血が出るまで痒がる
〇傷防止のためにエリザベスカラーを装着している
それでは初診時の状態です。
まずは口唇です。
診断と治療方針はこの初診時の一瞬で決まります。
初診時からわずか12日後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
まだ毛は生えていませんが、皮膚炎はかなり改善しました。
飼主さまから「すごくいい!びっくりした!」と喜んでいただけました。
エリザベスカラーもはずして、まったく掻かないそうです。
たしかに柴犬の皮膚病はどの症例も似ているのですが、本当は少しづつ違います。
原因の違いがほんのわずかでも見た目に反映されていますので、よく見ればアポキルが効かない理由をみつけることができます。
なお当院でもアポキルは1日1回で継続投与としています。
治療の差はアポキル以外のところにあります。
大事なのはアポキルを出すことではなく、アポキルが効く痒みと効かない痒みを見分けられること、そしてアポキルが効かない痒みをどう評価してどうアプローチするかの方法を初診時に把握できることです。
当院と診療提携をしている病院には解説メールをお送りします。
診療提携をご希望の方はお問い合わせフォームからご連絡ください。
投稿者: