症例別

シーズーの脂漏性皮膚炎② ~メディカルスキンケア~

2013.09.13

こんにちは、四季の森どうぶつクリニックです。

 

前回の記事で難治性皮膚疾患として非常に有名なシーズーの脂漏性皮膚炎の初診時の状態を紹介しました。

そしてこのような症例で最も重要で、治療の上で必須なのがスキンケアであるところまでお話しました。

そこで当院ではメディカルスキンケアとして、自宅ではなしえないクオリティのスキンケアを行っています。

このスキンケアを効率よく行うために、そして病変を詳細に把握するために一度全身カット行います。

これは初回のメディカルスキンケア時に行った全身カット後の病変部です。

まずは全体。

続いて、頚部の全体像。

同じく、頚部の拡大。

続いて、右前肢の全体と、前腕~肘の拡大。

同じく、右前肢の外側面の拡大。

続いて、右側面全体。

同じく右側面の拡大(肩付近)。

同じく、右側面拡大(腹側部)。

続いて、腹側胸部。

同じく、腹側胸部の拡大。

続いて、右後肢の内側から。

同じく右後肢膝付近の拡大。

同じく右後肢踵~甲の部分の拡大。

全身のカットを行うと非常にわかりやすく見ることができます。

次回、まだ治療途中ですがメディカルスキンケアの効果をお示しします。

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

シーズーの脂漏性皮膚炎① ~メディカルスキンケア~ 

2013.09.12

こんにちは、四季の森どうぶつクリニックです♪

前回、典型的なフレンチ・ブルドッグの難治性皮膚病の治療を治療前治療後で紹介しました。

4年間治らなかった皮膚病がたった6週間で綺麗になりました。

ただ、当院に特殊な治療薬があるわけではありません。

大事なことは全体を診て、詳細を診て、「診極める」ことです。

その「全体を診る」中で重要なファクターが、「犬種」です。

前回紹介したフレンチ・ブルドッグも難治性になりやすいのですが、今回紹介するシーズーもはるか昔から難治性になりやすい代表的な犬種です。

たしかにシーズーは独特で、他の犬種にはない体質があり、治療は難しいです。

当院でも4年前までは随分と苦労しましたが、今は随分と早く治すことができるようになりました。

まずは症例を紹介します。

【症例】

 10歳 去勢雄 シーズー

【過去の病歴】

 〇5~6年前から皮膚が赤くなり、痒みを伴う

 〇冬より夏が悪化しやすいが、基本的に1年通して痒みがある

 〇この2年で全身のフケ・ベタつきがさらに悪化して、2件の動物病院を受診したが「脂漏性だから仕方がない」と言われている

 〇治療はシャンプーをこまめにするように指示されているが、シャンプーしても2日経つと元に戻ってしまう

それでは初診時の状態を見てみましょう。

全体から。

続いて顔、フケが多いのが特徴の一つです。

同じく顔の拡大です。

被毛に付着した白いのがフケ、その奥に見える皮膚にも大量のフケが認められます。

続いて、シーズーでもっとも治りにくい部位の一つ、頚部の脂漏性皮膚炎。

同じく頚部の拡大です。

同じく頚部、角度を変えて右側面から。

同じく、頚部右側面からの拡大。

続いて、胸部~脇窩(わき)。

同じく脇の拡大。

続いて、右前肢の全体。

同じく右前肢、上腕(肘より上)の拡大。

最後に、指の間の脂漏です。

まさにシーズーの難治性皮膚炎の典型例です。

これに苦労しているのは獣医師の先生方は全国にたくさんいると思いますが、もっと苦労されているのはその飼主さまです。

これを治療してこその皮膚科診療、「アグレッシブに美しく」治していきます。

必要なことは?

もちろんメディカルスキンケア、院内で治療するのがベストです。

次回は病変部確認を兼ねて、全身のカットの状態をお見せします。

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

フレンチ・ブルドッグの皮膚病②~スキンケア~

2013.09.01

こんにちは、四季の森どうぶつクリニックです。

前回、フレンチ・ブルドッグの皮膚病①として、典型的なフレンチ・ブルドッグの皮膚病の初診時の状態を掲載しました。

そして、初診時に何を伝えるのかが大事、ということも書きました。

主に以下の4点が重要と考えています。

 ①必要な検査

 ②過去の治療内容の評価

 ③必要となる治療

 ④目標

この中で①の必要な検査、これは初診時にこの病状をみて鑑別診断として何があげられるか?で変わってきます。

今回のフレンチ・ブルドッグの症例では、「内股は細菌性皮膚疾患」、「四肢&耳はアレルギー性皮膚疾患」、そして全身性疾患として「甲状腺機能低下症」を疑い、各種検査を行いました。

次に②の過去の治療内容についてですが、大きなポイントは2つあります。

「内服のステロイド」と「内股に外用のステロイド」が必要だったか?ですが、僕個人の意見としては「不適切」と判断しました。

次に③の必要な治療は、抗生物質の全身投与とスキンケアです。

次に④の目標は、「内股を綺麗に治す」、「四肢端と耳の痒みを改善する」としました。

それでは初診時から7週間後、治療開始後からは6週間後の状態と比較してみましょう。

まずは内股から。

続いて、左耳。

続いて、右前肢の指の間ですが、上段に初診時の状態、下段に治療後の状態を載せています。

続いて、左の前肢の指の間、同じく上段に初診時の状態、下段に治療後の状態を載せています。

続いて、右の後肢の指の間です。

続いて、左後肢の指の間です。

腹部は非常に綺麗になりました。

耳も多少の汚れはでますが、痒みはありません。

非常に強い痒みのあった四肢端ですが、ごく一部に炎症が残っているもののほとんど舐めないほどの改善を示しました。

治療後にかかった時間はたった6週間でしたが、四肢端は2~3週でほとんど改善することができました。

6週目までかかった理由は、過去のステロイドの影響から回復するのに若干の日数が必要だったことです。

治療のポイントは、

 〇ステロイドが必要な皮膚病か?判断すること
 〇フレンチの体質を知ること
 〇すべての病変が同じ治療で治ると思わないこと、病変ごとへの治療が異なることが判断できること

です。

大事な「診極める」です。

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

フレンチ・ブルドッグの皮膚病① ~スキンケア~

2013.08.31

こんにちは、四季の森どうぶつクリニックです。

今回の症例報告は、フレンチ・ブルドッグです。

フレンチ・ブルドッグは遺伝的に皮膚疾患が非常に多いですね。

一言に皮膚疾患と言っても痒みや脱毛など色々な症状がありますが、フレンチ・ブルドッグを悩ませる症状は圧倒的に「痒み」です。

痒みを伴う皮膚疾患で悩んでいるフレンチ・ブルドッグの飼主さまは非常に多いと思われます。

なぜ悩むか?

それは治療が難しいからです。

半分は治療を行う僕ら獣医師の責任でもありますが、残り半分の理由はフレンチ・ブルドッグが他犬種とは異なる独特の体質をもっているからだと思います。

そんなフレンチブルドッグの典型的な皮膚疾患の1つを紹介します。

【症例】

 犬 フレンチ・ブルドッグ 5歳 女の子(避妊手術済)

【過去の病歴】

 〇以前から「アレルギー」と言われていた
 〇1歳のころから内股の湿疹(現在と同じ病状)
 〇かかりつけの動物病院で抗生物質とステロイドの内服治療
 〇この4年間、2カ月に1回(2週間の処方)を継続しているが改善なし
 〇内股に外用薬を処方されているが、「あまり塗布しないように」と指示されている

それでは初診時の状態を見てみましょう。

               

フレンチ・ブルドッグの皮膚病では顔周りの皮膚炎も多いのですが、今回は軽度でした。

まずは強い症状の1つ、耳の痒みです。

         

続いて、この4年間で1度もよくなったことがない内股の湿疹です。

          

同じく内股の拡大です。

          

これはステロイドの副作用(特に外用薬によるもの)が認められます。

続いて、右前肢。

                  

一見綺麗な状態に見えますが、指の間を見てみると、

真っ赤です。

続いて、左前肢です。

                     

同じく一見綺麗に見えますが、指の間を見てみると、

全ての指の間が真っ赤になっていますね。

続いて、右の後足の指の間(真ん中)です。

                  

続いて、右後肢の指の間(真ん中)です。

                  

四肢の全てに痒みと炎症が認められました。

ここでは掲載していませんが、足の裏も皮膚炎があります。

こういった診療では、初診時になにを伝えるかがとても重要になります。

今回の症例では、

 ①必要な検査

 ②過去の治療内容の評価

 ③必要となる治療

 ④目標

について、予測の範囲内ではありますがお伝えしました。

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

トイ・プードルの皮膚病②

2013.08.25

前回紹介したのトイ・プードルの皮膚病①の続きです。

このような症例で必要なことは、全身の皮膚病変をしっかりと把握することとスキンケアをメインとした治療をすることであるため、被毛のカットを行います。

もちろん絶対条件ではありませんが、最も早く治療結果を出すためにも行うべきと考えています。

それでは初回のスキンケアで全身をカットした状態を診てみましょう。

               

続いて、肩付近の拡大です。

               

続いて、右後肢。

           

同じく右後肢の拡大像です。

           

続いて、背中を上からみた状態です。

               

同じく背中の拡大像です。

             

続いて、右前肢とその拡大像です。

          

同じく右前肢を内側からみたところです。

             

最後に、右後肢の外側面です。

              

左右対称性のため、反対側からの写真は掲載していません。

こういった症例で必要なことは、初診時に「検査⇒診断⇒治療⇒改善」までの道筋を描くことです。

次回、治療後の状態をお示しします。

 

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

トイ・プードルの皮膚病 スキンケア

2013.08.19

1年以上ぶりの症例報告となりました。

改めて、四季の森どうぶつクリニックのHPとして当院の症例報告を行っていきたいと思います。

よろしくお願いします。

今回は、少し珍しいタイプの皮膚病です。

珍しいのは皮膚病の好発犬種ではないトイプードルであることです。

もちろんトイプードルで皮膚病がないわけではないのですが、難治性になりにくいため滅多に困るような皮膚病にはなりません。

それでは初診時の状態を見てみましょう。

             

非常に強い痒みのため、自傷(自ら身体を傷つける)と出血防止のため、エリザベスカラーを常時つけていました。

          

しかも2つ、わんこもそうですが飼主さまもつらい状態ですね。

次に、両眼。

脱毛と大きなフケが認められます。

続いて、右耳。

           

続いて、左耳。

           

続いて、右前肢とその拡大。

     

続いて、左側面全体。

          

続いて、左後肢とその拡大。

続いて、右側面全体と右後肢の拡大。

トイプードルでこのような悪化をしめすタイプはそう多くありません。

初診時では必要な検査、予測できる治療の流れをお伝えしました。

もちろん最も重要なのはスキンケアです。

目標はエリザベスカラーを外した普通のわんちゃんらしい普通の生活をすることです。

1回目のスキンケアの様子は次回お伝えします。

四季の森どうぶつクリニック

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

犬の皮膚病 シーズーの脂漏性皮膚炎

2011.07.21

シーズーに多く認められる脂漏性皮膚炎についての第4回です。

   第1回 シーズーの皮膚病①

   第2回 シーズーの皮膚病②

   第3回 シーズーの皮膚病③

【症例】 

    シーズー   男の子

【症状】

    四肢端、頚部、尾、顔、四肢など、ほぼ全身の脱毛および痒み


【治療経過】

治療前

治療後(5カ月後と約1年後の両方を使用しています)

過去の数々の動物病院でさまざまな治療を受けられ、エリザベスカラーを外すことができない状態でしたが、現在はエリザベスカラーもなく、傷になるような痒みもなくいい状態を維持できています。

完治ではないため、継続した治療を行っていますが、メインとなる治療はスキンケアです。抗生物質や抗真菌剤の投与はほとんどありません。またスキンケアも「殺菌系薬用シャンプー」ではなく、皮膚バリア機能回復のスキンケアを行っています。

「皮膚機能を治す」という意味で、本当の皮膚治療につながった1例と思います。


投稿者:四季の森どうぶつクリニック

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