2013.10.29
こんんちは、四季の森どうぶつクリニック獣医師の平川です。
当院では難治性皮膚疾患として筆頭にあげられるフレンチ・ブルドッグ、柴、シーズーが多く来院していますが、パグも難治性になりやすい犬種の1つです。
前の3犬種との違いは飼育頭数の違いで、決して「パグの皮膚病はフレンチ・柴・シーズーよりも治しやすい」というものではありません。
では、今回の症例を紹介します。
【症例】
5歳 パグ 女の子
【過去の病歴】
〇4歳まで皮膚病なく、1年前から痒みを伴う皮膚病
〇かかりつけで「アトピー?」と診断され、ステロイド含有スプレーなどで改善なし
それでは初診時の状態をみていきましょう。
それでは各病変を、まずは頚部から。
頚部の拡大です。
前胸部の拡大。
続いて、右前肢。
若干わかりにくいかと思いますので、角度を変えて拡大してみます。
まずは肘の内側から。
続いて、右前腕の外側から。
続いて、左前肢も同様の病変が認められます。
内側からみてみましょう。
続いて、腹側の全体をみてみましょう。
胸部を拡大してみます。
続いて、両後肢をみてみましょう。
続いて、後ろから大腿部~会陰を見てみましょう。
最後に尾をみてみましょう。
背中以外、ほぼ全身の皮膚病が認められました。
このように全身に重度の慢性皮膚疾患が認められる場合でも、初診時に「なぜこのような状態になってしまったのか?」「どのように治すのか」「治療後どこまで改善できるか」のストーリーを描くことが重要です。
検査も治療も「少しずつやっていきましょう」ではないと考えています。
まずはカルテをよくみて、
「5歳の女の子のパグ」、「1年前まで皮膚病はなし」、「この1年で悪化・拡大」
とあります。
続いて皮膚病変をよく確認します。
「頚部、腹側、四肢の脂漏が重度で、背側に病変は少ない」
カルテの情報と、パッとみた症例の皮膚病変だけでも十分すぎるほどストーリーを描くことができます。
続いて検査について考えていきますが、一般的な皮膚科領域での検査は
一般皮膚検査:細菌、マラセチア、ダニなどを顕微鏡での病原体確認
細菌培養検査
内分泌ホルモン検査
アレルギー検査
超音波画像検査
が挙げられますが、この中で行うべき検査をピックアップします。
そしてでてくるであろう結果を予測して治療計画を立てます。
今回も予想範囲内(というよりも予測通り)の検査結果となり、治療も順調な改善を示しました。
次回この治療後の状態を紹介します。
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