2018.01.19
犬の皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
皮膚病になりやすい犬種、治りにくい犬種の筆頭として柴犬・シーズー・フレンチブルドッグがあげられますが、キャバリアも皮膚病になりやすく&治りにくい犬種の一つです。
今回は以前紹介したキャバリアの皮膚病症例が、その後さらに改善している様子を紹介したいと思います。
前回紹介したときのブログは、【キャバリアの皮膚科診療】アポキルが効かない です。
まずは前回紹介したときの「治療前→治療後」の写真を紹介します。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
このときからさらに約2か月経過したときの皮膚コンディションを紹介します。
ふわふわ、もこもこ、さらさらです。
トラブルがゼロではないのですが、見違えるようによくなったと思います。
ここ最近ではアポキルを服用することはほとんどなく、間近の診察では処方していません。
アポキルは非常にいいお薬ですが、どんな皮膚病の痒みにも効くわけではありません。
「なぜ皮膚病になっているのか?」を判断することがとても重要です。
今回の症例では投薬治療がかなり有効でしたが、疾患としてはスキンケアも必ず併用しなければいけない皮膚病です。
当院のオンラインショップでお買い求めいただけます。
すべての皮膚病がスキンケア&サプリメントで改善することはないのですが、お薬を服用することだけで治るわけではないので非常に重要なポイントだと思います。
スターターセットをご購入の方には無料相談に対応しています。
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2018.01.19
柴犬のアトピーやアレルギーなど、痒みと伴う皮膚病治療に力をいれている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
柴犬の痒みトラブルは非常に多いですね。
痒みを抑えることができる「アポキル」が発売されて、一定の症例はこのアポキルによってかなりの改善を認めていると思われます。
しかしアポキルが高い効果を示す症例と、そうでない症例がいますが、その違いはどこにあるのでしょうか?
これはアポキルだけに限ったものではなく、ステロイドや免疫抑制剤などの痒みに関するお薬全般にいえることです。
「服用しているのによくならない」
当院を受診しているわんちゃんのスタートラインはここです。
今日はそんな「痒み止めの効果がでない」という柴犬についてです。
【症例】
柴犬 1歳10カ月 女の子(避妊手術済)
【経過】
〇生後5か月から続く痒み
〇口・耳・目、わき、お腹、四肢端なめる&かむ、腕をかむ、膝をかむ
〇動物病院からの食事療法を約1年(2種類)継続するも改善なし
〇抗生物質を1年間継続中
〇痒み止めとしてステロイドを1年間(約200日くらい?)服用
〇痒みのコントロールができていない
〇季節性はなく、1年通してずっと痒い
それでは初診時の状態です。
6日前に初診のために当院を受診されたので、治療後の写真はまだありません。
初診時の検査では、ニキビダニ陰性、マラセチアわずかに検出、膿皮症なしでした。
診断は一瞬です。
いや、実は看護師が受けた電話の問診メモをみるだけでわかりました。
※先入観はときに痛い目をみるので本当はよくありません。
あとは当日パッとみて&お話聞いて確信へ、各種検査は似ている疾患を除外するために実施します。
簡単な特徴としては、
〇柴犬
〇若い発症
〇季節性のない痒み
〇痒み止め(一般的にはアポキルとステロイド)が効かない
〇寄生虫(ニキビダニ、疥癬)ではない ※なさそうでも可
この条件であれば「柴犬のあるある」かもしれませんが、シンプルなアトピーであればアポキルなりステロイドが効きますし、季節性もあると思いますのでそのグループには入らないちょっと難しいタイプに分類できます。
おもしろいのは、飼い主さまからの主訴には決して入ってこないあることに関する情報を聞き出すことで、この病気の診断に近づくことができます。
今回も一通り飼主さまのお話を聞いて、簡単な顕微鏡検査をして、改めて飼主さまに質問をしてみました。
「お近くで柴犬のわんちゃん見る機会もあると思いますが、他の柴ちゃんとこの子で何が違うと思いますか?」
飼主さまはこの質問に的確に、かつ僕の期待通りの答えを返してくださいました。
病気の原因はそこだったんですね。
ただ、飼主さまはそれを僕に伝えることはできなかったのです。
認識できていることと、今の病気と関係していると思うことは別で、獣医師に伝える症状には入っていませんでした。
診断には検査だけでなく、飼い主様から必要な情報を聞き出す質問ができることも重要と思います。
参考までにこの子はアトピーの範疇でいいと思います。
問題はなぜこの子のアトピーにステロイドが効かないのか?ですね。
仮にアポキルでも同様ですが、効くはずのものが効かないのは「効かない理由」があるのです。
効かない理由の診断をつけて治療さえすれば、この症例のアトピー部分には他の症例同様にアポキルやステロイドが効くようになります。
この症例に必要なのは痒みを抑える治療ではなく、アトピーにステロイド(同様にアポキルも)が効かないある疾患を治療してアポキルが効くようにすることです。
3か月後にはアポキル(ないしステロイド)を毎日飲まなくても痒みがコントロールできるようになると思います。
次回は今回紹介した症例とまったく同じような柴犬で、「アポキルを服用しているのにまったくよくならない」という症例の改善経過を紹介します。
おもしろいは東京で開催した遠隔診療での症例です。
要するにメールと写真で目途をつけ、実際に診るのは1回だけで診断・治療方針を組み立てるという医療です。
また、当院では動物病院向けにこのような今の皮膚科で不足している大事なことについて、個別で皮膚科セミナーを開催していますので、ご希望の方はHPからお問い合わせください。
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2018.01.13
犬の細菌性皮膚炎、「膿皮症」の根本的な治療に力を入れている皮膚病治療専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
犬の膿皮症、シンプルなようで非常に難しい病気です。
治療という意味では「抗生物質を服用する」が最優先治療であり、治療効果も高いので一般的には治りやすい病気ではあるのですが、「抗生物質を服用しているときだけ改善し、やめると再発する」という症例が少なくありません。
別の角度から考えると、再発する膿皮症の場合の膿皮症の原因は他にあるという意味で、「抗生物質は細菌を抑えて膿皮症を治すが、膿皮症になる原因は治していない」ということでもあります。
このことは以前からずっとお話していることで、投薬治療で治せることはあたりまえで、皮膚科診療で必要なことは「なぜ膿皮症になるのか?」「膿皮症にならないためにはどうすればいいのか?」まで考えなければいけないと思っています。
今日紹介する症例はまさにそんな「なぜ膿皮症になるのか?」「膿皮症にならないためにはどうすればいいのか?」の答えとなる内容となっています。
【症例】
フレンチブルドッグ 4歳 女の子(避妊手術済み)
【経過】
実は以前に治療実績として紹介しています。
2017年10月23日 【フレンチブルドッグの皮膚科診療】アポキルが効かない
全身の湿疹(膿皮症)に対して抗生物質を処方して治しましたが、抗生物質をやめて1ヶ月前後で再発してしまいました。
その再発時の写真を紹介します。
初診時にもあった腹部の湿疹「膿皮症」のぶり返しです。
治療のことだけを考えると、つい先日まで行っていた初期治療(抗生物質の服用)で改善するはずです。
ただ「抗生物質を再度処方して湿疹が治ったとしても、やめればまた再発する可能性が高い」と判断できる状況でしたので、新しいプランを提案してみました。
それが当院の「スキンケアECプラス」です。
1回1包、1日2回服用するように指示をだしました。
スキンケアECプラスだけを追加処方して1ヵ月後、比較写真をみてみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
湿疹はゼロ、この1ヶ月間で新しい湿疹は1つもできなかったそうです。
ここで詳しい治療内容を少し紹介します。
以前紹介した時点までの初期治療では、膿皮症に対して抗生物質&スキンケア、痒みに対してアポキル&LFプラス&心因性治療薬のアプローチを行いました。
「治す」という意味ではこの治療内容で十分です。
ただ、1つ問題があり、「抗生物質をやめると再発するのではないか?」という疑問もありました。
ただ、再発を恐れて抗生物質を長期間服用することがベターというわけではないので、「再発したら次はスキンケアECプラス」と考えて抗生物質を一旦終了としました。
そして再発は予測どおり、痒みではなく「湿疹」という形であわられました。
この再発に対して再び抗生物質を処方する選択肢を悪いとは思いませんが、あえて「スキンケアECプラスだけで治せる」と判断できたので、抗生物質による治療を強くおすすめせず、サプリメントのみの追加処方としました。
結果は上記の写真の通りで、「スキンケアECプラスによる膿皮症の治療効果」といえる結果だと思います。
なお当院受診前から服用していたにも関わらず痒みの改善がなかったアポキルは1日1回服用から徐々に減らして、現在は週3日服用で維持コントロールができています。
これは心因性へのアプローチであるヒーリングケアLFプラスの効果もあると思います。
今回の症例は非常に色々興味深いことが多く含まれている治療実績です。
まず1つに「アポキルを服用しているにも関わらず痒みが改善しない」という主訴であったことです。
2つ目は「抗生物質を服用することで改善した膿皮症が、休薬とともにぶり返したが、サプリメントだけで治療・再発予防が可能だった」ということです。
もちろんこの「アポキルが効かない原因」と、「再発したらスキンケアECプラスで治療・再発予防が可能だろう」の2点とも初診時に把握することができましたので、診察でもスムーズにシフトすることができました。
今の皮膚科医療に足りないアプローチの1つは「なぜ病気になるのか」というところだと思います。
当院はもちろん治すことも当然ですが、それだけでなく「根本的にどうするべきか?」を含めて医療を提供しています。
それがスキンケアECプラス、ヒーリングケアLFプラスです。
この2つがあってこその当院の治療実績、再発防止です。
当院のオリジナル商品は以下のオンラインショップからご利用いただけます。
また、当院ではスキンケア商品、サプリメント商品を共同で治療に使う提携病院を募集しています。
ご興味のある先生は一度お問い合わせください。
※皮膚科のない個人動物病院に限ります。
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2018.01.11
ミニチュアダックスの皮膚病治療に力を入れ、多くの症例報告を紹介している皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
あまりにも寒く、挨拶の代わりの一言目が「寒いですね」よりも、独り言の「寒い!」が増えたような気がしています。
まだまだ正月ボケが抜けていない状況ですが、今年もしっかりと症例報告を行っていきたいと思います。
【症例】
ミニチュアダックスフンド 女の子 9歳
【経過】
〇1歳過ぎから皮膚トラブル(膿皮症)
〇1歳以降ずっと改善しない慢性的な皮膚病
〇季節性の悪化はない
それでは初診時の状態です。
まずは全体像。
続いて、顔の正面、左から、右からと続きます。
続いて、頚部とその拡大です。
続いて、胸部と腹部です。
続いて、内股~後ろ足の拡大です。
続いて、右側面とその拡大です。
続いて、背中とその拡大です。
続いて、尾の根元と肛門周りです。
この初診時から9週間後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくみることができます。
まだ目の周りの毛が生えていませんが、かなりよくなりました。
この一つまえの状態では目の周りももっと改善していたのですが、よくなったことで「治った!」と治療がおろそかになってしまい、目だけややぶり返してしまいました。
おろそかになるくらい改善したという意味ではいいのですが、改善と完治は違うため、継続が重要です。
今回のような症例では投薬治療も必要ですが、同時にスキンケアも重要になってきます。
特に当院のクレンジングオイルとシャンプーが非常にいい組み合わせだと思います。
投薬治療の内容がただしくても、この適切なスキンケアがなければこれだけの改善はなかったと思います。
当院のスキンケア商品は以下のオンラインショップからお買い求めいただけます。
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2018.01.04
アトピー・アレルギー疾患などの痒みを伴う皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
昨年の症例報告のほとんどが「アポキルが効かない」でしたが、それはしばらくずっと続くと思います。
アポキルそのものは非常にいいお薬で、当院でもよく処方するのですが、効かない?と感じる場合は2つの原因を考えるようにしています。
1つは「そもそもアポキルが効かない別の疾患」という場合です。
特に感染症ではアポキルはほとんど効かないと考えています。
2つ目は「アポキルが効く痒み以外の痒みが残っている」です。
要するに「痒み」と一言にいっても、原因はさまざまあり、アポキルがどんな痒みにも効くかというとそうではありません。
アポキルにも抑えやすい痒みと、抑えにくい痒みがあるため、そこを診極めなければ難しくなる症例もいます。
アポキルが効く痒み以外の痒みが残っているわんちゃんには、その原因に合わせた追加治療が必要になります。
今回はそんなアポキルが効くかゆみ以外の痒みに追加治療を行ってアポキルを減らすことができた症例報告です。
【症例】
フレンチブルドッグ 女の子(避妊済) 2歳9ヵ月
【経過】
〇アポキル1日1回投与により随分と改善した状態が続いていたが、手足の先を舐めることがだけが続いていた
〇アポキルの服用が1日1回のまま約1年となり、減らすと症状が悪化するため減量が中々できなかった
この時点で初診時よりはるかに改善したいたが、今後のさらなる治療成績のため、新しい追加治療を提案しました。
今回は治療前の写真がみつからなかったため、治療後の写真のみ掲載します。
症状は手足の先(指の間と足裏)を舐めることでしたが、随分と改善しました。
最初1日1回をずっと継続していたアポキルですが、新しい治療を組み込んだことで徐々に減らすことができ、現在は週2~3回投与でコントロールができています。
追加治療の1つは当院のヒーリングケアLFプラス、
このサプリメントを併用しています。
もちろん投薬治療の追加も行ったため、純粋にサプリメントだけでアポキルが減ったわけではないのですが、大事なことは複数併用することで1つのお薬に頼らなくてもよくなり、治療成績が向上するということです。
当院のスキンケア商品・サプリメントは以下のオンラインショップでお買い求めいただけます。
適切な医療の元、ご使用ください。
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2017.12.18
柴犬のアトピー・アレルギーなどの痒い皮膚病治療に力をいれている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
クリスマスまで1週間を切り、クリスマスが終わればもう今年もカウントダウンで新年ですね。
クリスマスの飾りつけをしながらお正月の飾り付けも選び、クリスマスプレゼントを準備しながら年賀状を書くというイベント大好き日本人の性を実感する毎日です(笑)
今日の症例報告は先日の柴犬の記事で伝えておいたわんちゃんです。
12月16日に初診で来院されたわんちゃんをその日のうちに紹介しています。
【症例】
柴犬 1歳 男の子
【経過】
〇生後7ヶ月に痒み発症
〇徐々に拡大して悪化
〇地元動物病院にて「アトピー?アレルギー?」
〇抗生物質と消炎剤の内服で改善なし
〇11ヶ月からさらに悪化し、拡大
〇四肢の痒み、顔(目・口・頬)の痒み、目の脱毛など
それでは初診時の状態です。
続いて、顔正面の拡大。
続いて、顔の左側。
同じく顔の左側。
続いて、身体側面の右側から。
続いて、右前肢の内側、とその拡大。
同じく右前肢の外側と、その拡大。
続いて、左側面。
腹部の左側とその拡大。
左後肢の側面。
同じく左後肢のかかと付近を外側から。
同じく左後肢の甲、外側から。
背中以外傷だらけで来院されました。
噛みすぎて毛もありません。
それでは10週後の状態と比較してみましょう。
※画像をクリックすると大きくみることができます。
まずは顔の正面、右、左の順番です。
続いて、左側面。
続いて、右前腕。
続いて、右後肢。
続いて、左側面。
続いて、左前肢。
続いて、左腹部とその拡大。
続いて、左後肢の側面。
非常に綺麗に改善しました。
傷ひとつなく、毛並みは100%回復です。
症状も改善し、10週間後の状態ではほぼ痒みなしです。
念のためアポキルを渡しておきましたが、治療9~10週目の2週間で服用したのは2~3回のみ、それでも痒くないという回復ぶりです。
もちろんステロイドの1度も処方していません。
今回の症例の特徴の一つは、「アポキルが効かないタイプの痒みである」ということです。
まったく効かない、絶対にきかない・・・というほどではないので、併用するのはありなのですが、「アポキルで抑えきれない」とわかった上で処方しなければ後が困ります。
再診時に「痒みがあまり改善していない」という状態を予測して、再診時に次の治療に踏み込める準備を初診時にしておく必要があります。
今回の症例でも初診時に「とりあえずアポキル」という処方をしましたが、予測どおりあまり改善なし・・・という結果でした。
想定どおりですので、再診時から初診時の時点ですでにお伝えしていた治療第2弾を併用して、最終的にはアポキルがなくてもかかない、という状況に改善したという流れです。
ブログにしてしまうと治療は一瞬にみえるかもしれませんが、柴犬の皮膚病治療は難しいと思います。
アポキル単独でかなり痒みを抑えられる症例もいるのですが、そうでない症例もそこそこいます。
そしてアポキルで痒みを抑えきれないときに次の手が中々ない、というのが今の皮膚科の現状です。
当院ではアポキルが効かないという診療が大半を占めるので、それ以外の手をいくつか持って診療に臨んでいます。
ただ、打つ手が正しくてもそのタイミングが悪ければ十分な評価ができなかったりしますし、いいタイミングで手を打っても「それがいつ効くのか?効いているのか?」を判断できないといけません。
こういった「アポキルが効かない痒み」について、個別でセミナーを開催していますので、診療提携をご希望の方はご連絡ください。
参考までに前回初診時のみを紹介した柴犬のわんちゃんと原因は一緒です。
前回紹介した柴犬のわんちゃんもアポキルを1日2回服用して改善しない皮膚病です。
3ヵ月後までには綺麗になるでしょう。
投稿者:
2017.12.17
柴犬の痒みを伴うアトピー・アレルギー性皮膚炎の治療に力をいれている皮膚病治療専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
アポキルが使えるようになって1年が経過し、症例報告のほとんどにアポキルが処方されているにもかかわらず改善がなく、タイトルが「アポキルが効かない」とワンパターンになってしまうのが最近の悩みの種です。
根本的解決にならないのですが、最後に「痒い理由」とつけて無理やり新しいタイトルにしてみました。
さて、今日紹介するのは「本日、12月16日に初診で来院された柴犬の皮膚病の症例」です。
もちろん検査結果は出揃っておらず、投薬治療もはじまったばかりです。
治療後の写真はありませんが、初診時の状態を紹介します。
【症例】
柴犬
【経過】
〇半年以上前から全身の痒み
〇アポキル1日2回服用していても痒みが改善しない
〇抗生物質1日2回服用中
〇食材をかえて何種類も食事療法を行ったが、改善しない
それでは初診時の状態を紹介します。
まずは正面から。
続いて、顔の左側から。
続いて、顔の右側から。
続いて、頚部とその拡大。
続いて、左前腕の尾側から。
続いて、右前腕の内側とその拡大。
続いて、左前腕の内側。
続いて、胸部とその拡大。
続いて、腹部とその拡大。
続いて、身体左側と腹部側面の拡大。
最後に後ろ側と大腿尾側の拡大。
アポキル0.45mg/kgを1日2回服用していても痒みの改善がないわんちゃんです。
念のためを含め、除外しておきたい疾患の検査を行いましたが、注目すべきメインターゲット(原因)は1つと考えています。
サブの原因は2つありますが、メイン1つの治療を徹底して行えばサブの原因2種はさほど目立たなくなると思います。
その他の特別な疾患が隠れていなければ、1ヵ月後くらいから治療結果がでて、3ヵ月後にはアポキルに頼らなくていいくらい十分な結果がでると思われます。
影響を受けるとすれば、このあとくるであろう発情でしょうか。
発情ばかりはなんともできないため、万が一治療期間に重なれば「やむをえなかった」となります。
なお診断は、問診時に抱っこされている柴ちゃんを見た一瞬でほぼ判定可能です。
参考までに今回の皮膚病はスキンケアとサプリメントではさすがに改善しません。
次回の症例報告は、今回とほぼ同じ柴犬の症例報告(治療後比較あり)の予定です。
傷だらけの状態で来院されましたが、アポキルもいらないくらい綺麗に改善した症例です。
投稿者:
2017.12.16
シーズーのアトピー・アレルギー性皮膚炎、脂漏性マラセチア性皮膚炎の皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
当院には愛知県だけでなく、隣の三重県・岐阜県・静岡県からも来院があります。
もちろん隣の県にとどまらず、関西・関東圏からの受診も珍しくありません。
特に東京・神奈川・千葉・埼玉からの受診は非常に多いため、継続がしやすいようにメールと写真で継続する遠隔診療を提供しています。
遠隔診療というのは初診を実際に診て、2回目からの再診をメールと写真で代用し、お薬を発送する方法ですが、簡単にいうと実際に目でみるのは1回だけです。
1回診ただけで改善までもっていくだけの治療方針を立てなければいけません。
過去にさまざまな治療を行ってきて改善しない難治性皮膚病を1回の診察でどのように改善できるのか?というのは大きなポイントのため、先日このブログで遠隔診療でのフレンチブルドッグの治療成績を紹介しました。
今日は続きで、シーズーのわんちゃんでの治療成績を報告します。
【症例】
シーズー 約10歳 女の子(避妊手術済)
【経過】
〇5年前から1年を通した慢性的な皮膚病
〇梅雨~夏が最も悪くなる
〇アポキルを使い始めた最初の2週間は効果があったが、それ以降は効果を実感できなかった
〇インターフェロン注射でも改善なし
〇ステロイドを2日に1回で多少の改善あり
今回の初診は、静岡県静岡市のあん動物病院(大石先生)で行いました。
あらためて初診時の状態、そいて毛をカットしたあとの状態をみてみましょう。
まずは顔の正面から。
続いて、顔の左側(頬)の拡大です。
続いて、口唇~下顎(やや左側)を下から見た状態です。
続いて、左の頬の拡大です。
続いて、左の口唇~下顎の拡大です。
続いて、頚部とその拡大です。
毛が多いためわかりにくいのですが、全身を紹介したあと毛をカットするとわかりやすくなります。
続いて、右前肢とその拡大。
続いて、左前肢とその拡大です。
今後の治療成績をあげるため、薬浴を実施するために毛をカットしました。
毛をカットすることでかなり炎症が重度におきていたことがわかると思います。
それではこの初診から1か月後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくみることができます。
被毛の再生があるのですが、皮膚炎・腫れ・フケにおいて著しい改善が認められています。
もちろん肝心の「痒み」も10分の1まで改善しています。
常になめたり噛んだりして、パンパンに腫れていた前肢はまったくなめなくなったということでした。
今回の診療ではいくつかキーポイントがあります。
①アポキルが効かないタイプの皮膚炎か?
アポキルが効かないわけではないのですが、過去の治療結果が示したようにアポキルだけでよくなる皮膚病ではないと判断しています。
もちろん当院からはアポキルを処方しています。
②過去にアポキルで改善がなかった理由は?
診断名として足りないものが1つ、治療方針として足りないものが2つあったため。
③何が足りなかったのか?
1つは初回に実施した薬浴で、実は薬浴直後から劇的に改善していることからも足りない治療のピースの1つは薬浴だったと思います。
④「薬浴+アポキル」で改善するか?
薬浴の効果は一過性であり、ずっと長期間継続するようなことはないため、1回の薬浴でここまでよくするのは難しかったと考えています。
薬浴により皮膚コンディションを一気に改善させ、もう1つの大事な治療でケアしていくというイメージの方が適切です
もう一つの治療については、初診当日あん動物病院の大石先生に「なぜそう思うのか?」「皮膚のどこの部位をどう評価するのか?」についてお伝えしました。
もちろんシーズーの典型的な皮膚病ですので、当院のスキンケア&サプリメントが治療のサポートにかなり役立っています。
投薬治療があってこその治療成績ですが、体質にはかなりフィットしたアプローチになっています。
当院の診断&治療があればかなりの精度で治療結果がでることが期待できるため、遠方にお住いの方も遠隔診療をご検討ください。
なお、今回の初診のシーズーちゃんの治療方針ですが、初診前に送っていただいたメールと写真で想定した通りで、診察時の修正はありませんでした。
もちろん遠隔診療時の変更もありません。
今後はアポキルを減らしていくのですが、以前のような皮膚炎のぶり返しはおきないと考えています。
次回のブログは本日12月16日に初診として来院された柴犬の皮膚病の初診時状態を紹介します。
アポキル0.45㎎/kg1日2回でも痒みの改善がまったくないという主訴で来院しています。
もちろん診断は一瞬、診察台に乗る前に「なぜアポキルが効かないのか?」がわかる皮膚病です。
アポキルが便利すぎて「痒み=アポキル」となりがちな皮膚科診療ですが、当院では「アポキルが効かない痒みの治療」と「アポキルを減らすための治療」の両方に力を入れています。
◆◆◆ご案内◆◆◆
1月8日、10日に京都市の動物病院 「よこた動物診療室」で皮膚科診療のサポートを行います。
8日はすでに定員に達しましたが、10日はまだ受付可能です。
継続治療はよこた動物診療室での通院治療が基本ですが、京都への通院も困難な遠方の方には遠隔診療でサポートします。
京都市内にお住いの方で、皮膚炎治療にお困りの方は当院HPの遠隔診療の都市部開催お問い合わせフォームからご連絡ください。
投稿者:
2017.12.11
フレンチブルドッグの痒みを伴う皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
当院では関東(東京・神奈川・千葉・埼玉)にお住まいの方に向けて定期的に皮膚科診療を開催し、継続治療のための遠隔診療を提供しています。
基本的に直接診るのは1回だけで、あとはメールと写真だけで改善に導く診療です。
当院の診察を受ける方の多くが「色々治療しているのによくならない」など、かなり難治性皮膚病の症例ばかりになるのですが、たった1回の診察で改善まで導けるのか?というのは疑問があるかと思います。
特に最近はアポキルという新しい痒みを抑える非常にいいお薬がでたことで、一般的には治療成績が出しやすくなっています。
その分、「アポキルが効かないときにどうするのか?」という問題もでてきています。
アポキルが発売されてまだ1年少しですが、すでに当院受診の大半の患者さんが「アポキルを服用しているのに痒い」という状態です。
今回は症例はそんな「アポキルでよくならない」だけでなく、「アポキルの副作用で服用できない?」という驚きのわんちゃんの治療を紹介します。
もちろん関東にお住まいのわんちゃんで、診察は初回の1回きりだけです。
この初回に1回の診察だけで改善までの軌跡を描かなければいけません・・・しかも、アポキルなしで。
【症例】
フレンチブルドッグ 5歳 男の子(去勢済み)
【経過】
〇生後1歳まえからの痒みを伴う皮膚病
〇1年前少し前からアポキルを1日1回1年間継続して服用していた
〇1年間アポキルを毎日服用しても、痒みは元々10として7~8までしか減らなかった
〇1年間アポキルを毎日服用して血液検査をしたところ、肝臓の数値が高くなっていた。
〇アポキル休薬により肝臓の数値は改善へ
それでは初診時の状態です。
※診察室ではないため、室内が暗くいつもよりみえにくいかと思いますがご容赦ください。
この初診時に治療新を立てて、検査結果をみずに投薬治療をスタートさせました。
5週間後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくみることができます。
黒さはありますが、痒みはかなり緩和され、みためも随分とよくなったと思います。
今回の診療では、
〇実際の診療は1回だけ
〇検査も初回の1回だけ
〇肝臓数値の異常の原因がアポキルかどうかの判定はできないが、「アポキルを使わずに治療」
この3つの制限付で治療開始となりました。
アポキルは使いやすいお薬のため、痒み治療の選択肢として処方できない(使えない)というのはかなりのハンデがあるのは否めませんが、以前はアポキルなしで治療方針をくみたてていましたので、イメージできなかったわけではありません。
今回の診察に至る前の過去通院中に、大半の各種検査を実施済みでしたので、初診当日に追加検査したのは培養検査だけでした。
なお治療で選択した内服薬は3つ、
①抗生物質
②過去に服用したことがあるお薬
③今までに服用したことがない薬
でした。
このタイプの皮膚病は抗生物質単独で治るわけではないため、②と③がポイントになります。
ただ②のお薬は過去に継続して服用したにも関わらず改善がなかったというお薬です。
そう、ここでいいたいのは先日のブログでも書いた「パズル」です。
皮膚病を治すときに必要なのは決まったピースもなく、枠もないパズルを完成させるようなものです。
今回のわんちゃんが過去の治療でうまくいかなかった理由は、ピースの選択ミスではなく、ピースが足りなかったのです。
ピースが足りないことに気づいて、適切なタイミングでピースを出すことができればうまくいったでしょう。
もちろんアポキルを使っても同様で、同じように改善することは可能です。
過去に1年間アポキルを服用して痒みが10→7か8程度までしか改善しなかったアポキルでしたが、足りないピースを足せば今回と同様の結果が得られたでしょう。
なおスキンケア&サプリメントは今回の症例でも併用しています。
投稿者:
2017.12.09
シーズーの痒みを伴う皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
「次回は来年ですね」とお話することも多くなり、1年の終わりを実感する毎日です。
年末年始をカイカイで過ごすことにならないよう、わんちゃんと飼主さまの両方が穏やかにすごせるよう全力で取り組む毎日です。
それでは今日の症例報告です。
非常に遠いところから来院されているわんちゃんです。
【症例】
シーズー 7歳 女の子(避妊済)
【経過】
〇1歳から発症し、1年を通じた皮膚トラブル
〇季節性があり、梅雨~夏が最も悪い
〇痒みは手足をなめる&かむ、頚部~下顎をかく、お腹を床にこする・・・
〇アトピカ服用で効果なし、インターフェロン注射でも改善なし
〇コルタバンスでも改善なし
〇ステロイド服用でやや改善
〇アポキル効果なし
〇抗生物質(アポキルと併用)効果なし
それでは初診時の状態を紹介します。
まずは頸部から。
続いて、下顎。
続いて、右前肢3枚(腕2枚、手先1枚)。
続いて、胸~腹部とその拡大。
続いて、内股~後肢。
続いて、左膝の内側。
続いて、右膝~すねの内側。
続いて、背中とその拡大。
初診時から6週間後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
痒み症状がゼロではないのですが、皮膚炎レベルとしてはかなり改善しました。
治療の余地はまだ大きく残っており、今後も1つか2つ上のレベルまでいけると考えています。
「アトピカ(シクロスポリン・免疫抑制剤)」、「インターフェロン注射」、「アポキル」で改善がないという皮膚病でしたが、なぜ今までよくならなかったか?
ここで大事なのは「パズル」の考え方です。
パズルは完成にはピースが不可欠で、ピースが異っても、ピースが足りなくても完成しません。
実は皮膚病の治療も同じくで、1つでも異なるピースを使えばいまくいきませんし、足りなければまったく改善しないこともあります。
今回のわんちゃんに関しても、アトピカが効かない皮膚病だったのではありません。
同じくアポキルが効かない皮膚病だったわけでもありません。
そして抗生物質が不要だった皮膚病でもありません。
アポキルを使って治すプランもつくれますし、アトピカを使って治すプランもつくれます。
選択したピースと、使う順番、数(種類)を間違えなければ改善可能な皮膚病です。
皮膚病がパズルより難しいのは、箱の中に必要なピースが入っていないこと、そして何より「枠」がないため、「ピースが足りないことに気づけない」というのはあります。
今回は選択したピースの間違いと、足りないピースに気づくことが治療のポイントだったかなと思います。
今回の治療症例ではスキンケア、ECプラス、LFプラスを使って治療しています。
すべての症例がスキンケア&サプリメントで改善するわけではないのですが、適切な診断・治療で併用するとこれほど便利なものはありません。
オンラインショップでお買い求めいただけます。
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