2018.02.23
柴犬のアトピーやアレルギー、アポキルが効かない痒い難治性皮膚病の治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
一般的に動物病院の皮膚科で治療が難しい犬種の筆頭に上がってくる一つが柴犬ですね。
その独特の体質からシーズーやフレンチより扱いづらく、治療難易度としては最高クラスと思います。
わかりやすい例えが良くも悪くもアポキルの反応で、アポキルが非常に効く症例もいるのですが、全然効かない症例もいます。
もちろんアポキルが万能ではなく効かない痒みがあるのはわかるのですが、このアポキルが効く症例と効かない症例の区別がつかないケースがあるから困るのだと思います。
だれしも
「なぜ効かない?」
と考えるのだと思うのですが、本当の意味でアポキルが気かない痒みであるわけではないですし、アポキルが効く柴犬と見た目の違いが全くないわけではありません。
柴犬の正常を知っていれば、アポキルが効かない痒みを呈している柴犬を事前に把握することができます。
「この症例には効きが悪い」
そして効くための治療手段を把握していれば「時期にアポキルが効くようになりますよ」と伝えることができるので、効かないアポキルを使い続けることにも何の後ろめたさも感じることはありません。
当院でも「最初は効きが悪いようにみえるかもしれませんが、1~2ヵ月後には効いてきますよ。」と伝えて治療開始しています。
今回はそんな「アポキルが全然効かない!」という柴犬の皮膚病です。
【症例】
柴犬 4歳半 男の子(去勢済み)
【経過】
〇1才半から続く皮膚の痒み
〇顔(目・口・耳)、お腹、腕、四肢・・・・背中以外すべてが痒い
〇アレルギーといわれ、食事をかえても、おやつを変えても改善しない
〇1年前からアポキル1日2回服用しても痒い
柴犬でよくある「アポキルが効かない」という典型的な症例です。
診断は診察室でチラッとみた一瞬、アポキルが効かない理由と効くための治療方針の確定もほぼ一瞬です。
それでは初診時の状態です。
まずは全体、一見重度な感じはしません。
続いて、顔の左側で、目の回りも口周りもあちこち痒いです。
本来この顔周りの痒みにはアポキルが効果を示しやすいのですが、効きにくい柴犬もちょくちょくいます。
こういったタイプにはちょっとアプローチを変えると簡単に痒みのコントロールが可能になります。
続いて、右前腕で、柴犬に多い「腕を噛む」という症状が強くでいているため毛並みが悪くなっています。
このタイプの痒みにアポキルは効きにくいですね。
同じく右前腕の外側面です。
続いて、左前腕の内側。
続いて、胸部です。
胸を後ろ足で掻くというアトピーでよく認められる症状です。
腕とことなり、この部位の痒みにはアポキルが非常に効くことが多いのですが、柴犬では効きにくいことがありますね。
続いて、腹部とその拡大です。
お腹が真っ黒になっています。
診療で診る大事なポイントは痒くて黒くなってしまったお腹ではありません。
別のところに診断のヒントが隠されています。
最後に右胸部の側面の拡大です。
掻きすぎて傷になっています。
それでは治療後5ヶ月半後の状態と比較します。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
初診の治療スタートの時点でアポキルを1日2回服用している影響もあってか、見た目が重度でないため当院の症例方向の中では差の小さなものかもしれませんが、大分きれいになりました。
比較写真が約5ヵ月半と長期になったのは途中で悪化したためです。
悪化の理由は簡単で、初診から1~2ヶ月で順調によくなったのですが、飼主さま判断で投薬治療が減ったためです。
これは「のど元過ぎれば熱くない」という心理的にもやむをえないことで、よくなると「薬がなくても良くなったんじゃないか?」「いくつかあるお薬のうち、〇〇はもういらないんじゃないか?」と考えてしまうためかと思います。
投薬治療を無理強いすることはできないため希望に合わせるのですが、やはりおまかせ治療がベストであってそのおまかせからズレると振り出しに戻ってしまうことがあります。
という理由で比較写真が5ヵ月半になっています。
おまかせであれば3ヶ月でこの状態だったと思います。
肝心のアポキルですが、受診前は1日2回服用でも痒かったのですが、今は1日半に1回(痒みが強いときは1日1回)でコントロールしています。
もちろん1日1回の方が効きはいいのですが、お薬は少ないにこしたことはないので1.5日が許容範囲であればそれも選択肢の1つかと思っています。
もし柴犬の痒い皮膚病治療でアポキルが効かない場合は、最低限2つの病気のことを考えるのがいいと思います。
治療は2つの病気以外のあるため、かなり多くの種類を駆使しますが、それぞれが重要な働きをします。
「痒い=アポキル」ではありません。
なお今回の症例はスキンケアやサプリメントメインではさすがによくなりません。
ヒーリングケアLFプラスは適応ですが、単独使用では改善は難しいでしょう。
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2018.02.20
アトピー・アレルギーなど犬の痒みを伴う皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
つい先日「アポキルが効かないとき」という内容でブログを書きましたが、結論としては
「心因性」 「食物有害反応」 「内分泌疾患」
の3つの診断精度をあげていくこと、としました。
もちろんその他にもたくさんあるのは事実ですが、今の動物皮膚科診療で圧倒的に不足しているのがこの3つです。
不足の根拠は当院への症例の分析で、この3点で無治療ないし治療のズレがある症例が圧倒的だからです。
ペット医療とはいえ、がん治療、透析、心臓外科・・・などこれほど医療が進んでいるにも関わらず、なぜこの3点に不足があるのでしょうか?
理由はとても簡単です。
①目に見えない
皮膚にできる出来物などを異なり、大きさ・形の異常がないため、わかりづらいのは事実です。
※目でわかる毛並みの異常もあるため、全部が見えないわけではないです。
②数値化できない
心因性は数値化できません。血液検査もできません。
食物有害反応も数値ができませんし、検査もありません。
③モノで治せない
医療機器では絶対に治りません。
④情報が足りない
教科書に書いていない、誰も教えてくれない
おそらくですが、血液検査で数値化さえできれば、また超音波や内視鏡のようなもので見えれば、またレーザーなどの医療機器で治せるものであれば、瞬く間に周知されてどこでも的確な診断&治療にが可能になると思います。
では当院ではどうしているのか?
まずは心因性からお話してみたいと思います。
・・・・・・・・・・・長くなるのでまた時間あるときにまとめます(笑)
とりあえずですが、もしわんちゃんの痒みが精神的、心因性、ストレス?などの原因を疑う場合は当院のヒーリングケアLFプラスをお勧めします。
写真をクリックすると専用のオンラインショップに移動することができます。
当院ではこれなしでは診療が成り立ちません。
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2018.02.19
ミニチュアダックスフンドのアトピー・アレルギーなど、フケや痒みを伴う皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
ダックスフンドは飼育頭数を考慮すると、皮膚病が特別多い犬種ではないのですが、柴犬・シーズー・フレンチブルドッグ系と比較するとかなりさまざまなタイプの皮膚病がでるため、広い範囲で疾患をみるようにしなければ難しいと感じることがあります。
【症例】
ミニチュアダックス 14歳 女の子
【経過】
〇1年半前からフケと脱毛と痒みを伴う皮膚病
〇かかりつけ動物病院で治療するも改善せず、当院を紹介されて受診
それでは初診時の状態を紹介します。
まずは正面から。
続いて、頚部。
続いて、胸部。
続いて、腹部と臍付近の拡大。
続いて内股とその拡大です。
続いて、右側面と拡大です。
続いて、背中とその拡大です。
続いて、左側面とその拡大です。
最後に尾です。
それでは初診時から治療約3ヶ月後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
フケはなくなり、毛並みも非常にきえいになりました。
当院の治療報告の中では3ヶ月という長い時間がかかりましたが、高齢なのと原因を考えるともっとかかるかと思っていたため十分な成績かと考えています。
今回の治療方針では、やはり投薬治療が必要なタイプですが、皮膚表面のフケを伴う皮膚炎にはスキンケアが必須です。
特に当院のクレンジングオイルが非常に重要で、このオイルの併用がなければ短期間での改善は見込めなかったと思います。
基礎疾患の的確な診断&治療とともにスキンケア、またはサプリメントを併用することで治療成績は大きく向上します。
当院の開発したスキンケア&サプリメントはオンラインショップでお買い求めいただけます。
スターターセットをご購入の方にだけ、後日当院から無料相談メールをお送りしています。
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2018.02.11
シーズーのアトピー・アレルギーによって難治性になりやすい脂漏性マラセチア性皮膚炎の治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
シーズーの脂漏症は原因・体質・程度がわんちゃんによって随分と異なるので、どの原因にどのくらい力をいれてアプローチするか?がとても重要です。
今はアポキルがあるため「とりあえずアポキル」というプランで改善があるわんちゃんはそれでいいのですが、アポキル単独で改善がない場合、次の手を複数もっていなければお手上げになり詰んでしまいます。
今回はそんな「アポキル単独ではきびしい」という典型的なシーズーの脂漏症です。
【症例】
シーズー 5歳 男の子(去勢済)
【経過】
〇2年半前から皮膚病
〇1年通して改善なく、梅雨が最も悪化する
〇過去にかかりつけ動物病院以外に皮膚病のために3件の動物病院を受診し、漢方治療、ホルモン治療、食事療法などを行うも改善なし
〇今回5件目の動物病院として当院受診
それでは初診の状態です。
まずは頚部とその拡大。
続いて、右前腕です。
続いて、胸部とその拡大です。
続いて、左の脇の拡大です。
続いて、腹部の臍周囲の拡大です。
続いて、腹部~内股です。
毛をカットしてみました。
まずは頚部です。
続いて、臍周囲の拡大です。
治療から3か月後の状態と比較してみましょう。
90%の部位で皮膚がかたい、フケがでる、べたつくといった脂漏症の症状をおさえることができました。
部分的にのこっているとこもありますが、かなりの改善と判断できます。
ただ、今回の症例ではこの「脂漏」の体質がかなり強く、通常の治療では抑えきれませんでした。
・アポキル
・院内薬浴(2週間に1回)
がメインではあるのですが、この2点ではむずかしかったため、さらに4つの治療を併用しようやくここまで改善しています。
現在は3週間に1回になりましたので、今後は4週に1回まで間隔をあけることが目標です。
その状態で今年の梅雨~夏を乗り切るのが次のの目標となるでしょう。
今回の症例では投薬治療が絶対的に必要な状態でしたが、もちろんスキンケア&サプリメントもかなり重要なポイントになっています。
遠方にお住いの方でも遠隔診療が適応になる病気でもありますので、お困りの方は一度受診をご検討ください。
今回のわんちゃんのような体質に向いているスキンケアとサプリメントは下記のオンラインショップでお買い求めいただけます。
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2018.02.08
ミニチュアピンシャーのアトピー・アレルギー・膿皮症治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
前回に引き続いて、ミニチュアピンシャーの皮膚病治療の実際をご紹介します。
前回でもお話したように、ミニチュアピンシャーの皮膚病はかなり典型的な形を示します。
要するに、「ミニチュアピンシャーの皮膚病ってこんな感じだよね」というものです。
主に2パターンあるのですが、1つは膿皮症で複数の円形(虫食い)脱毛タイプ、もう一つは目・口・四肢端の痒みで「アトピー?アレルギー?」という雰囲気のタイプです。
ただこの2つの診断しかないわけではない、今日はそんな症例報告です。
【症例】
ミニチュアピンシャー 去勢雄 3歳
【経過】
〇1歳の頃から季節関係なく痒み
〇以前は背中に脱毛、湿疹があったが今はない
〇今は頚部、目、四肢端、わきが痒い
〇お腹は問題ない
それでは初診時の状態です。
続いて、頚部とその拡大です。
続いて右腕~先端です。
続いて、左腕~先端です。
続いて、わきと胸部、その拡大です。
続いて、腹部~内股です。
※今回は1週間ほどまえに初診を迎えたわんちゃんですので、治療後の写真はまだありません。
さて、この初診の状態をどう評価するのか?が最大のポイントです。
考えるべきことは3つあります。
1つは、「アトピー疑い」で皮膚炎・痒みに対する直接的な投薬治療が必要です。
おそらくアポキルが効くかゆみ部分があるため、ファーストチョイスはアポキルでいいと思います。
問題はアポキルだけでこの痒みを抑えられるのか?というところですね。
やってみないとわからないところもありますが、おそらくアポキル単独では痒みのコントロールはできないと思われます。
そこで2つめ、さらに必要なのが「心因性」に対する治療です。
初診時の時点で「心因性を強く疑う」という所見が認められます。
そして3つめ、これはミニピンをよくみている人でなければ気づかないところです。
飼主さまの主訴にはありませんでしたが、僕の質問ではその点に気づいているようでした。
やはり病気を知る前にミニピンの正常をいかに目にやきつけておくか、それが皮膚病の診断に非常に重要だと思います。
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2018.02.05
ミニチュアピンシャーのアトピー・アレルギー・膿皮症・フケなどの治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
ミニチュアピンシャーは頭数が特別多いわけではありませんが、皮膚トラブルが起きやすい犬種の1つです。
その遺伝的体質からほとんどが同じような雰囲気の皮膚病になっているのも特徴の一つです
今日紹介するのもミニチュアピンシャーのよくあるタイプで、初診時は膿皮症が治らないという主訴で来院されたわんちゃんで、以前にも紹介しています。
当時の症例報告 → 【ミニピンの皮膚科専門外来】湿疹・フケ・毛並みの異常
【症例】
トイマンチェスターテリア 避妊雌 5歳
※ミニピンではないのですが、ほぼ同じ体質という意味で掲載しています。
【経過】
〇以前紹介したときは「膿皮症が治らない」という主訴でした
〇今回は膿皮症が治り、再発もなくなったにもかかわらず、膿皮症がない部位にフケが出続けるということで追加治療することになりました。
それでは膿皮症がまったくでなくなって約半年後くらいの状態です。
胸部~内股・大腿部まで、左右の写真を並べています。
それでは追加治療から約3週間後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
乾燥肌のような、めくれそうな細かいフケが多く付着していましたが、非常に綺麗に改善しました。
参考までに痒みはありませんでした。
この乾燥のようなフケは初診時にあった膿皮症によるフケではありません。
ミニピンであれば「あるある」の1つで、かなり多くのミニピンがこのフケが出やすい状態になっているのではないかと思います。
従来では保湿をするくらいしか対処法がなく、しかも保湿ではほとんど解決しないというのが実情でした。
しかし、当院ではここ1年ほどですがこのタイプのフケに有効な治療法をみつけたと考えています。
本来の使用法とは異なりますが、視点をかえてみると非常に理にかなった治療法です。
スキンケアやサプリメントでは改善しないタイプですが、もしミニピンの皮膚トラブルでお困りの方はぜひ当院の診療を受診してみてください。
投稿者:
2018.02.03
シーズーのアトピー・アレルギー・脂漏・マラセチアといった痒い皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
シーズーの皮膚病治療で重要な要素の1つはスキンケアであり、当院では昔からシーズーのスキンケアに力を入れていますが、スキンケアで何でも治ると思っているわけではありません。
また最近ではアポキルという非常にいいお薬がでて治療成績を向上させていますが、アポキルがどんな痒みも抑えることができるわけではありません。
今回紹介するのはそんな「スキンケアやアポキルでも抑えきれない痒み」についての症例報告です。
【症例】
シーズー 2歳9カ月 男の子(去勢済)
【経過】
〇1歳になる前からの痒みを伴う皮膚病
〇9カ月前からアポキルを服用継続しているが、明らかな改善が認められない
〇食事療法として複数試しているがよくならない
〇当院で3件目の動物病院
それでは初診時の状態です。
まずは正面から。
続いて、右耳。
続いて、左耳と拡大。
続いて、頚部とその拡大。
続いて、右前腕と脇部分の拡大。
続いて、左腕とその拡大。
続いて、胸部と左右の脇の拡大です。
続いて、腹部とその拡大です。
同じく右内股、膝のやや上あたりの拡大です。
続いて、左膝の拡大です。
続いて、右膝~右すねの拡大です。
最後に四肢端として、右前肢の指の間と足裏をみてみましょう。
こういった症例の場合、院内薬浴が非常に奏功するためカットさせていただきました。
以上が初診時の状態の紹介です。
それでは初診時の薬浴の次の診察(わずか12日後)の状態をみてみましょう。
皮膚の発赤がほぼ消失、もちろん痒み・臭い・フケ・べたつきもほとんどありません。
アポキルを服用する、抗真菌剤を服用する、こまめにシャンプーする、食事療法をする・・・・どれも間違っていませんし、特に問題となる治療プランではありません。
ここで重要なのは「パズルのピース」です。
もう一つピースを足せばうまくいくのです。
そのピースの不足に気づくことが重要ですね。
参考までにこまめにシャンプーすることが悪いわけではないのですが、上記の12日間は一度もシャンプーしていません。
そして治療後の改善写真も「薬浴前」の状態ですので、こまめにシャンプーしなくてもここまで改善します。
よくシーズーの脂漏・マラセチアでは「こまめにシャンプー」と言われていますが、シャンプーで治る皮膚病と治らない皮膚病があり、今回の症例では「シャンプーの回数が問題ではない」ということです。
スキンケアに力を入れてこだわりにこだわった自分が言うのもおかしな話ですが、個人的には「シーズーの脂漏・マラセチアにスキンケアは必須だけれども、シャンプーでは治らない」が行き着いた答えです。
シーズーの皮膚病でお困りの方は当院の治療&薬浴をぜひ受けてみてください。
典型的であればあるほど劇的に改善が見込めます。
投稿者:
2018.01.24
シーズーの痒みを伴うアトピー・アレルギー・脂漏症・マラセチアによる皮膚病治療に力をいれている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
シーズーの皮膚病はシンプルなようで非常に奥が深いです。
キーワードとして、「アレルギー」「アトピー」「マラセチア性皮膚炎」「脂漏症」「シャンプー」「スキンケア」「アポキル」「ステロイド」・・・色々とありますが、意外と知られていない原因があります。
「心因性掻痒症」
知られていないというより、「触れられていない」という方が正しいかもしれませんね。
顕微鏡でもみえない、血液検査でもみえない、画像診断でもみえない、飼主さまからの主訴にもない、証拠もない・・・これほど「無視」されている病気もめずらしいです。
今日はそんなシーズーの典型の1つ、脂漏とマラセチアと心因性の組み合わせのわんちゃんの症例報告です。
【症例】
シーズー
【経過】
〇
すでに当院の治療を受けて半年以上経過するのである程度改善している状況です。
どうしても「腕」と「わき」と「内股」の赤み・皮膚炎、脂漏、舐める(痒み)がのこるため心因性を疑いました。
心因性に対するアプローチを行う前の皮膚の状態を紹介します。
まず右腕。
その拡大。
続いて、左腕。
同じくその拡大。
同じく左腕の脇に近い肘内側の拡大。
続いて、腹部。
腹部の臍部分の拡大。
毛をカットした内股の拡大。
心因性のアプローチを行った4週間後の写真と比較してみましょう。
※部分的に2週間後の写真を使っています。
痒みゼロとまではいきませんが、劇的に改善しました。
皮膚炎もほぼなくなり、強い脂漏もほとんどなくなりました。
もちろん舐めるのも劇的に少なくなっています。
皮膚病の原因が常に1つということはあまりありません。
基本は複数の原因が複雑に関係して難治性になっています。
その中で心因性というのは最後の最後に残るものかな?と思っています。
心因性以外の診断・治療が適切に行われている状況で、心因性による痒みだけを残した状況で適切なアプローチをすると劇的に改善する可能性が高いです。
投薬治療も併用しましたが、当院のヒーリングケアLFプラスも併用しています。
このわんちゃんではアトピー対策としてアポキルとスキンケアECプラスが、心因性には抗不安薬とLFプラスの相性が非常にいいですね。
このヒーリングケアLFプラスもまもなく新しい商品に切り替わります。
当院のスキンケア&サプリメントはオンラインショップでお買い求めいただけます。
適切な診断・治療のもとご利用いただければきっとお役に立てると思います。
投稿者:
2018.01.22
犬の皮膚病のみを行う皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
今回はペキニーズの症例です。
【症例】
ペキニーズ 女の子(避妊未) 6歳8ヵ月
【経過】
〇約1歳頃からずっと(良くなったり悪くなったり繰り返し)
〇全身の痒み
それでは初診時の状態をみてみましょう。
頚部
胸部とその拡大
背中とその拡大
わかりにくいため、毛をカットしたあとの状態もみてみましょう。
それでは初診時から約2か月後の状態と比較してみましょう。
毛刈り前との比較写真、毛刈り後との比較写真の両方を使います。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
痒みはほとんどなく、湿疹・フケもありません。
いつも紹介している症例に比べると重症度が軽めですが、飼主さまは「はじめてよくなった」と評価していただけました。
なお、今回の症例の診断名は細菌による膿皮症です。
そのため抗生物質が必要になるのですが、問題は抗生物質をやめた後に再発させないことです。
今回は抗生物質をやめて約1か月後の状態で撮影しています。
抗生物質をやめても再発していないのがポイントですが、今回の治療で「再発防止」に役に立ったのはサプリメント「スキンケアECプラス」です。
抗生物質は膿皮症を治しますが、膿皮症の原因を治すことはできません。
このスキンケアECプラスは膿皮症の原因にアプローチしていますので、抗生物質をやめたあとの再発防止に役立ちます。
今回の症例ではスキンケア&サプリメントが非常に役に立つタイプです。
当院のオンラインショップでお買い求めいただけます。
投稿者:
2018.01.20
アトピーやアレルギーなど、柴犬の痒みを伴う皮膚病治療に力をいれている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
目が痒い、耳が痒い、口が痒い、鼻が痒い、首が痒い、ワキが痒い、腕を噛む、膝をかむ、かかとを噛む、手先・足先をなめる&噛む・・・・背中は特に問題ない、3歳までに発症する柴犬のアトピー性皮膚炎の典型例ですね。
今はアポキルというすばらしいお薬がありますので、コントロールしやすくなってきました。
ただ、今でも一定数コントロールできない難治性皮膚炎の柴犬のアトピー性皮膚炎のわんちゃんがいます。
今日はそんな「どこからどうみてもアトピーなのに、アポキルが効かない」という症例です。
【症例】
柴犬 2歳 女の子(避妊手術済み)
【経過】
〇生後7ヵ月後から痒みを伴う皮膚病
〇季節性はなく1年通じて痒みがある
〇顔、耳、口唇、わき、腕~手首、膝~かかと、四肢端
〇16ヶ月前からアポキルを服用しているが、服用していても効いているわけではない
ここでポイント①、飼主さまのお住まいは関東圏です。
当院が提供している遠隔診療を希望するお申し込みでした。
すべての皮膚科症例が遠隔診療の適応になるわけではないため、まずはお写真をいただきました。
いつもお話している通り皮膚科は初診の診極めが大事です。
この症例でもこのお写真で判断可能です。
この時点で治療方針はほぼ確定です。
そして日時をあわせて東京品川で実際に診察を行いました。
当日のお写真を紹介します。
ここまでは送っていただいた写真、症状の通りです。
皮膚病は見た目が何より大事で全身に診断につながる重要な所見が隠されています。
痒いところをみるだけでなく、予測通りか確認することも重要です。
ここも大事なポイントですね。
この初診時から約1ヵ月後の状態です。
飼主さまからいただいた写真なのでわかりやすい比較写真ではないですが、ご了承ください。
まずは腹側の全体像。
続いて、頚部。
続いて、胸部です。
フワフワの毛並みですね。
痒みは「かきますが、気になるほどではありません」というレベルまで改善しました。
症例報告に使うフレーズとして「アポキルが効かない」というセリフをよく使用しますが、正しくは「アポキルが効く痒みではない」で、アポキルを使うべき痒みにはとてもよく効くんです。
アポキルはすべての痒みを止めるわけではないため、原因を診極めて何をターゲットにして使うかを判定していけば非常にいいお薬です。
もちろん副作用が非常に少ないので「とりあえず」で使うとこもできますが、「アポキルを使って残った痒みをどう評価すべきか」まで考えて処方するのが正しい使い方と言えます。
前回の症例同様にある治療を加えれば、今回の柴犬にも他のアトピーの柴犬同様アポキルはよく効くようになります。
大事なのは、
柴を極める
でしょうか。
柴犬の正常を知れば、柴犬の異常を知ることができます。
常に、常に柴犬の皮膚を診続けるば、いづれ正常がわかるようになり、次に異常がわかります。
正常を知らずに異常はわかりませんからね。
今回紹介した柴犬の初診では、静岡県静岡市の動物病院「あん動物病院」の大石先生と一緒に診察しています。
静岡市近隣にお住いの方で、柴犬の皮膚病にお困りの方はあん動物病院の大石先生にご相談ください。
当院ではこういった一般的に知られていない診断・治療法を含めたプライベート皮膚科セミナーを開催しています。
ご興味のある方は当院HPからお問い合わせください。
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