2018.02.27
柴犬のアトピー・アレルギーなど、痒い皮膚病でステロイドやアポキルが効かない難治性皮膚病の治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
僕に花粉症はないのですが、くしゃみや目の痒みを訴えるわんちゃんが来るようになったので、春の訪れを感じる今日このごろです。
一般的に冬は皮膚病が少なくなるため、病院もゆっくりとした時間が流れるのですが、この冬は溜まっている症例報告をたくさんやる時期でもあります。
それでは今日の症例報告は、今年の1月中旬に初診で来院されたわんちゃんで、以前のブログで初診の写真を紹介したわんちゃんのその後です。
1月19日にUPしたブログ → 【柴犬の痒み専門外来】ステロイドが効かない理由
【症例】
柴犬 1歳10ヶ月 女の子(避妊済み)
【経過】
〇生後5か月から続く痒み
〇口・耳・目、わき、お腹、四肢端なめる&かむ、腕をかむ、膝をかむ
〇動物病院からの食事療法を約1年(2種類)継続するも改善なし
〇抗生物質を1年間継続中
〇痒み止めとしてステロイドを1年間(約200日くらい?)服用
〇痒みのコントロールができていない
〇季節性はなく、1年通してずっと痒い
それでは改めて初診時の写真を紹介します。
一見重度な感じはしませんが、痒いものは痒いのです。
100件どころか数百件の動物病院を超えて当院を受診するほど痒いのです。
普通の柴犬に見えた方がほとんどだと思います。
もし散歩でこのわんちゃんに出会っても、まさか県を越えて通院するほどの痒い皮膚病で悩んでいる柴犬には見えないと思います。
そんな見た目ですが、明らかに異常です。
前回のブログで書いたように診断は一瞬です。
それでは初診から6週間後の状態との比較です。
※写真をクリックすると大きく見ることができます。
いつも当院が紹介している重症からの改善ほどの大きな差がみえないかもしれませんが、非常に大きな改善が認められています。
痒みは元々10として、今は4くらいです。
写真をよくみたらわかると思いますが、毛並みもよくなり、フワフワになってきました。
飼主さまもこんなに毛並みがよくなったのは初めてと実感していただけました。
治療はステロイドではなく、2つのお薬を使いましたが1つはアポキルです。
アポキルがステロイドを上回ることはないと考えていますので、アポキル単独で効いたとは考えられません。
次は初回の治療方針で残った4の痒みですが、もちろん初期治療で痒みが残るのは想定範囲内であり、これも予定通り次の手をうつことにしました。
次の目標は4の痒みがある程度(完全ではない)緩和できること、もう少し先はアポキルを若干減らしても大きなぶり返しがないこと、です。
そのころにちょうどアトピーの痒みが出やすくなる花粉の多き季節、梅雨、夏・・・となるため、若干季節による悪化があるかもしれませんが、以前のように「効かない!」となることはもうないと考えています。
ここ最近の口癖の1つですが、「柴犬の正常を知れば異常がわかる」につきます。
ただ僕もこの柴犬の正常を把握するのに獣医師になって約10年かかったので、今は昔の自分を思い出しては反省する毎日です。
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