2016.11.22
皮膚病治療を通じて獣医師の社会的地位向上を目指している平川です。
先日、初診の診察で来院された飼主さまにこうお聞きしました。
「アトピーってどんな病気かご存知ですか?」
もちろん皮膚病の説明中ですので、飼主さまのご返答をまちつつも、次に話す言葉を準備して問いかけています。
そんな僕に飼主さまはこうご返答されました。
「・・・・・・獣医が、原因がよくわからんときに使う言葉」
診察ではそうそう「予測していない返答」なんてないのですが、久しぶりに「予想していなかった返答」がああり、思わず
「それは・・・・獣医師の責任ですね。申し訳ありませんでした。」
と謝ることしかできませんでした。
飼主さまがこの言葉を発するに至ったにはそれだけの理由があったわけで、そのことを考えると胸が痛みます。
大事なことは2つ、こういった意見は少数意見ではないこと、そして獣医師がどれだけ危機感を抱いているのか、だと思います。
「治らなかった転院症例のみ」という特殊な状況である当院でも滅多に耳にしない飼主さまの言葉ですので、一般的にはこういった問題を実感することはないのではないかと思われます。
そして少数意見かというと、決してそうではなく、「多くの飼主さまが言葉を飲み込んでいるだけ」です。
というのも言葉の端々にそういった想いがこめられた会話はめずらしくなく、獣医師として信頼を得るための努力は足りないと日々感じています。
自分を含めですが、獣医師は飼主さまの言葉に含まれている「想い」をよみとって、日々診療に精進しなければいけません。
投稿者:
2016.11.15
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
開業してそろそろ8年、店舗を構えていると診療とは関係ない電話もいろいろかかってきます。
「看板をだしませんか?」
「照明をLEDに変えませんか?」
「電話料金をお得なプランヘ・・・」
・・・であればまだいいのですが、最近かなり多いのが「投資のために東京にマンション買いませんか?」というもの。
貧しい開業スタートに加えて、移転で借金もさらに増えたし、元々担保にだすような不動産も持ってないし、そもそも「かんたんにかせげるおいしい話はない」が僕の人生の答えなのであまり好きな電話ではありません。
そんなこんなで興味もなければそんな資金力もないですから、「うちにはそういう余裕はないので・・・」とやんわり断るのですが、そこは相手もプロです。
切る暇を与えないよう途切れることなく言葉をかけてきます。
「今なら低金利」
「オリンピックに向けて需要増」
「人口減少で東京に人が集中」
・・・・・・「そんなにもうかる物件なら御社が投資したらどうですか?」と言ってしまいたいのですが、そこはグッと言葉を飲み込んで、
ブチッ!
申し訳ないと思いつつ、診療にも影響がでるため切るしかありません。
他には「坪を買いませんか?」、「絵を買いませんか?」・・・・・営業電話は大体一通り聞いたものばかりで、お断りした営業電話は1000本を超えると思います。
そんな中、この1年で「初めて!」という電話がかかってくるようになりました。
1つ目はテレビショッピング、「御社の商品をうちで」というもの。
2つ目はわんちゃんのアパレル関係で、監修依頼というもの。
へ~と思いつつ、そこにエネルギーを割く時間が大変そうだったので乗りませんでした。
そして過去最高にキラリと光る電話がつい先日かかってきました!!
「本を書きませんか?」
しかも本を読まない僕でも知っている超大手出版社から。
文才ないし、ブログを書くだけでも大変ですし、そこまで興味はないのですが、こういうお話をいただけることはうれしい気持ちはありますね♪
知らない世界を垣間見るのは楽しいので、いろいろお話は聞くようにしています(笑)
今度友達と飲むときのネタが1つ増えました♪
投稿者:
2016.10.03
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
今日は治療成績ではない、診療のスタンスについて書いてみます。
僕の診療にはいつも規則性があり、最初の10分くらいは飼い主さまから色々お話を聞きますが、途中からほとんど僕が話し続ける時間帯を作ります。
今日も一通り皮膚を診て簡単な顕微鏡検査をして、20~30分くらいかけて「診立て」、「検査について」、「予測される治療内容」について説明し、僕がある言葉を添えて、お話する順番を飼い主さまにお返ししました。
すると、こんな言葉が返ってきました。
「今までこのように具体的な(検査・治療)プランを提案してもらったことがなかった。言われたのは『検査しますか?』、『(薬を)使ってみますか?』くらいで、どうしていいかわからなかった。」
ほんと、そうだと思います。
ほとんどの飼主さまが難治性疾患の診療になったときに思うことだと思います。
魔法の薬なんてないこの医療で、高い治療成績を導くポイントの一つはここだと思っています。
今日はそんなお話です。
タイトルでも書いた「インフォームド・コンセント」という言葉をご存知ですか?
今の医療現場では特別新しい言葉でもなく、誰もが知っている言葉なのですが、端的に訳すると
「十分に知らされた上での同意」
という意味で、医療的には、
医師が医療内容を詳しく説明し、患者は納得した上で治療を進めることが重要・・・ということです。
具体的には、「なぜこの検査をするのか」、「この検査で何がわかるのか」、「結果から何が読み取れ得るのか」、「治療のメリット・デメリット」、、「長期的な見解」、を説明しながら、最終的にはどんな治療を受けるのかは患者が選んで決めるという内容です。
当たり前のようですが、この言葉が生まれたには理由があり、はるか以前は「お医者様におまかせ」という雰囲気は否めなかったのだと思います。
今の時代は違いますよね。
患者さん側に医療を選択する権利があることがある程度浸透しているため、そんな一方的なシーンはあまりないのではないかと思っています。
ですが、このインフォームド・コンセントは患者さんのためになっているのか?というと・・・個人的には疑問をもっています。
理由ですか?
それは簡単です。
・高度で専門的な医学を、限られた時間内で説明・理解するのは不可能
・人は選択肢が多すぎると決めることができない
・デメリット(副作用など)が強調されすぎると躊躇する
そして選択肢を出して選んでもらうということは「最終的な判断は患者側、責任も患者にあり」という側面もあります。
当然そうあるべきですし、間違っていないし、インフォームドコンセントが不必要なんて思いませんが、今のインフォームド・コンセントに問題があることは否めないと思います。
問題がなければ上のような患者さまの言葉は生まれません。
もちろんそれらの問題を含めて「インフォームド・コンセントでクリアにしましょう」なのですが、限界があります。
知識も経験もない、まったく知らない世界のことを説明されて、複数の選択肢から本当の意味で適切な判断ができる人はそういないと思います。
もしそれができれば全員が医師になれるし、それこそインターネット上ででそこそこ適切な医療が成り立つことになります。
専門性の高いサービス、特に医療サービスはそうじゃないですよね?医療はそんなに甘くない。
時代がつくったインフォームド・コンセントですが、僕はこの教科書的なものがあまり好きになれません。
足りないのは「僕だったらこう考えて、こうする」というお勧めプランではないでしょうか?
僕が創りあげた世界観を提供する、これが最高のサービスだと考えています。
これは医療だけではなく、どんなジャンルでもそうだと思います。
身近なところでは料理、同じことがいえるのではないでしょうか?
職人さんがいるお店にいって「ああして、こうして」とかはもったいないですよね?
その職人さんが行き着いた世界観を味わった方がきっと感動が得られると思います。
知らない世界をみさせてくれることに価値がある、僕はそう考えています。
十分な説明と選択肢を提案に加えて、納得した上でお勧めの選択肢を選んでもらうのもインフォーム・ドコンセントの一つではないでしょうか?
そのため僕は初診時に多くの言葉を使って情報を伝え、選択肢も出し、希望を聞き・・・・・・ですが、最後にこう言葉を添えて締めくくるようにしています。
「おまかせでよろしいですか?」
投稿者:
2016.09.09
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
ここ数年、診療でとても重要にしていることがあります。
「診極め」
このブログ、症例報告でも何度も使っている言葉です。
1回診ただけで3ヵ月後までの治療方針&治療経過を描ききる、をイメージしています。
その典型が「遠隔診療」なのですが、実際に診療するのは基本1回のみ、あとは写真とメールだけでコントロールと呼べるラインまで治療成績を引き上げていきます。
しかし先日に開催したさいたまでの遠隔診療で、見誤ったことがあります・・・・・・・・(汗)
気づいたのは遠隔診療の帰り、最寄り駅から電車にのり「新幹線乗り換えの品川まで約40分・・・・・よし!寝よう!」と、スマホのアラームをセットして寝て起きたら・・・・
そこは品川手前ではなく、田端でした・・・・・・(涙)
どこで見誤ったのか!?
この豊明の駅ではまずないことですが、東京では同じホームでも行き先が色々違うので注意が必要ですね(笑)
さて、埼玉での遠隔診療から約2週間ですが、診察した3頭のわんちゃんはかなり改善が認められています。
今年の遠隔診療は全症例で順調に改善しているので、本当にうれしいです。
今回の3症例はすべて脂漏症でしたので、当院のスキンケアを使用しています。
投薬治療も非常に重要なのですが、ベースのスキンケアが不十分であれば治療方針が合っていても効果がでないため、正しいスキンケアを行いましょう。
写真は久しぶりの登場、はす吉です。
スキンケアが重要!といいつつ・・・・・、自分でシャンプーするのが大変なのでイオンのトリミングに連れてきました(笑)
かかった時間はなんと4時間!
イオンでなんとか時間をつぶしましたが、イオンにいると買い物も食べ物も色々誘惑が多いので大変です(汗)
投稿者:
2016.05.26
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
昨年に「20年後、50%の人間がロボット(及び人工知能)に今の仕事を奪われる」という記事を目にしました。
今の時代でもすでに多くの仕事がロボットに切り替わっているため、時代の流れを考えても違和感なく、しかも半分他人事のようにみていました。
それは今の自分の仕事である診療がロボット(人工知能)に置き換わることなどない、と判断していたらからです。
理由は簡単、「教科書で診断・治療ができると思ったら大間違い。直感と創造性こそが違いを生む。」が僕の行き着いた答えのため、人工知能がそのレベルを超えることはないと思ったからです。
では教科書で診断・治療もできず、世界には魔法の薬なんてどこにもないこの医療で、治療成績はどこで変わるのでしょうか?
診療現場でのほんのささいな一瞬、1コマの判断が治療成績を変えます。
皮膚を診ることも大事ですし、血液検査することは当然ですが・・・・・・・・・・大事なのはそこではありません。
それこそ皮膚を診て検査で治療が可能であれば、教科書1冊あれば今の時点でもそう治療成績に差はでない・・・ということになります。
教科書で治療ができないからこそ、直感による診断や創造性ある治療が必要だからこそ、AI(人工知能)が診療で人を上回ることなどない・・・とずっと考えていました。
ですが、先日あるものをみて考えが変わりました。
少し前にNHKで放映された
という番組に目がとまったので、食い入るように見ました。
少なくともごく一部の特殊な能力を除き、人工知能が人をはるかに超える日が目の前にきているのだなと思うようになりました。
僕が診察で重要視している「診断は診察室で感じる直感」という行き着いた答えも、きっと人工知能でカバーできる範囲になるのでしょう。
はるか以前にその日がくることを考えて漫画を描いた手塚治さんはどう考えていたのか・・・今だからこそ「火の鳥」を読むともっと違ったおもしろさを感じるかもしれませんね!
四季の森どうぶつクリニック
平川
投稿者:
2016.05.22
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
日曜の午後はセミナーや学会が多くあるのですが、今日は東京で大事な皮膚科セミナーが開催されるということで・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・セミナーを自宅で受けました♪
以前は「セミナー申し込みをして、会場まで足を運び・・・」でしたが、最近はネットで受講できるセミナーもあります。
茶菓子を並べて、勉強しているのかお茶しているのか・・・・(笑)
遠いものが簡単に手に入るのはモノだけではない時代ですね♪
そんな当院でもこの東海三県(愛知・三重・岐阜)だけでなく、南は宮崎、北は関東までさまざまな地域にお住まいの方に医療を提供しています。
東京での診療は夏以降で未定なのですが、すでにお申し込みをいただいていますので、近いうちに開催日を決めようと思っています。
投稿者:
2016.05.07
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
今日は来院された飼主さまにおいしい食パンをいただきました♪
「サンドにするのがお勧めです!」 ということでしたので・・・
麻衣子先生がお休みということもあり、早速スタッフに食材買出しとサンド調理をお願い♪
突然の仕事でしたが、そつなくおいしいサンドウィッチを作ってくれました♪
普段目にすることのない従業員の働きにちょっと感動・・・今月は昇給があるのでこのサンドウィッチでプラス査定にしておきましょう(笑)
飼主さまのお気遣いと、スタッフの気持ちに感謝!
ごちそうさまでした♪
投稿者:
2016.04.09
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックです。
もう寒くなることもない心地よい春ですね♪
ちょうど先日の休診日、近くの桜が満開になっていました♪
天気もよく、ここ数年で一番綺麗な桜を楽しむことができました♪
病院でも春の楽しみがあり、
ジューンベリーが開花しました♪
桜のような華やかさはありませんが、かわいいですよ!
そしてあと2ヶ月後?くらいには、おいしし実をつけてくれます!
お勧めのシンボルツリーです。
また、我が家の庭でも色々な花が咲く季節になり、春先の一番手は・・・
ヒュウガミズキといって、我が家の冬の色のない庭で最も早く咲くとってもかわいい花なので、お気に入りの一つです。
続いて・・・
これはユキヤナギ(雪柳)、ちょっとめずらしいピンクです!
以前のブログでも何度も紹介していて病院の庭の一員でもあるユキヤナギ、個人的にこのユキヤナギが大好きで、色々探しているうちにピンク色があることを知り、我が家の庭の一員になりました♪
病院のユキヤナギは白ですが、このピンクはすごく綺麗です!
桜と同じく咲いている時期が短くはかないのがまたいいですね。
最後は我が家ではないのですが・・・
通勤途中の歩道の植樹の麓でさいていた「ムスカリ」です。
探せばそこらに自生している地味なムスカリですが、僕のお気に入りの一つです。
かわいすぎて、これもまた昨年の秋に我が家の一員に迎えたのですが・・・・・
今はこの写真から少し頭をだしていますが、満開まであと少しです。
群生にはもう数年かかるのかな?といった感じです。
春はあちこちで色々な花が咲くので、外にでかけるのがとても楽しみです。
ホームセンターにいっても、園芸コーナーで色々と見てしまいます。
いつか病院の駐車場の一部を自分好みの庭にしたいな~と思う今日この頃です(笑)
投稿者:
2016.03.29
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
桜満開までカウントダウンの春ですね!
当院の庭でも春の準備のため・・・・・・
伸びきった状態で枯れた芝をカットすることにしました。
この小さな芝カットのために芝刈りを買うのももったいなので、鋏でチョキチョキ刈り込むこと15分・・・・・
予定では1~2時間あれば終わるだろうと思っていたのですが、予想以上のヘナチョコの手だったようで、あっという間にマメがつぶれてリタイア・・・・・(笑)
しかしなんとかしなければ春にならないので、苦肉の策の第2プランでいくことに。
鋏の次は・・・
着火!
野焼きすることにしました!
どんどん広がります!
30分もかからず真っ黒に・・・
最初からこうすればよかったようです。
・・・といいたいところですが、またまた予想外の出来事が・・・・
1枚目の写真と最後の写真で違和感を感じた方はいらっしゃいますか????
何かが足りません・・・・
答えは「枕木と枕木を渡っていた黒いロープがありません。
そうなんですね、意外な火力で燃え尽きてしまいました・・・(笑)
人生初の芝刈りと野焼きで見極めの難しさを実感・・・来年に向けて対策を練ろうと思います。
投稿者:
2016.03.22
こんにちは♪四季の森どうぶつクリニックの平川です。
今年の桜は福岡からの開花となりましたが、名古屋でももうまもなくですね♪
我が家でも桜の変わりに春の花が次々と咲いています。
これは僕の好きな「ユキヤナギ」。
通常は白色ですが、このユキヤナギはピンクでとてもかわいらしくお気に入りです♪
そろそろ満開の時期なので、満開になったらまたご紹介しようと思います。
さて、今年はまじめなブログを一つも書いていないので、久しぶりにまじめなお話を・・・
仕事のお話としてタイトルにも書いた「違和感」について書いてみようと思います。
違和感といえば、随分と前のブログでも診察で必要なのは『違和感に気づくこと』と触れたことがあります。
教科書を読んで診察が進むほど診療は甘くありません。
教科書に書いていない小さな違和感に気づくことが非常に重要です。
今日はそんな違和感を感じられるか?というチャレンジです。
休みの日を利用して訪れた病院近くのブラウンビーンズという喫茶店でコーヒーを頼んだときの写真です。
違和感・・・を感じることができましたでしょうか?
本来はこうあるべきです。
お気づきでしょうか?
1枚目の写真はコーヒーフレッシュです。
コーヒーフレッシュを見てボケようと考えてしまうのは・・・・・・・・・・・関西人のセンスの名残です(笑)
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